JP6175778B2 - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
凝集シリカ粒子の含有量はポリエステル組成物に対して、ケイ素原子として0.05〜10重量%であり、好ましくは1.0〜6.0重量%である。0.05重量%未満ではポリエステルフィルム表面の粗面化が不十分であり、10重量%を越えると、粗大な粒子ができやすく、また液相重縮合の工程で攪拌機の負荷が大きくなるので、得られた成形品の表面品位が劣り、また所定の重合度とすることが困難になる。
引き続き、得られた低分子量体を重縮合反応槽に移送し、液相重合反応させる重縮合工程、またチップ化するカッティング工程で製造できる。
本発明のポリエステル組成物はケイ素元素が主成分の塊状の単一粒子が5個/cm2以下である。塊状の単一粒子が5個/cm2を越えると、押出成形時の濾圧上昇が早く、フィルターの交換周期が短くなる。これは塊状の単一粒子は凝集体に比べて固く、フイルターで捕捉された際に崩れにくいので、より濾圧上昇を招きやすいと考えられる。またフィルム表面に存在する塊状の単一粒子は固く、研磨フィルムの支持体に使用した際に、研磨する面に傷がつきやすい。また記録シートにした際に受容層に積層されたフィルムや紙の剥離強度が安定しない。
ポリエステル組成物をプラズマ低温灰化処理して粒子を露出させる。これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、粒子の画像をイメージアナライザーで処理し、粒子数5000個以上を数え体積平均粒子径を求めた。
ポリエステル組成物を蛍光X線元素分析装置(堀場製作所製、MESA−500W型)で、ケイ素元素を測定し、予め求めた検量線により求めた。
ポリエステル組成物中の粗大粒子量の指標として、富士フィルター製フジメルトスピニングテスター(MST−C400)を用いて濾過圧力を測定した。ポリエステル組成物のチップをあらかじめ145℃で7.5時間乾燥後、メルトスピニングテスターのシリンダー温度290℃で、濾過面積2.5cm2のフィルタ−目開き20μm焼結繊維フィルター、吐出量10g/分の条件下で測定し、初期圧力と3時間後圧力との差を濾過圧力ΔPとして判定した。
前記の濾過性試験機のフイルターをヘキサフロロイソプロパノール(HFIP)でポリマー分を溶解した後、その液を目開き5μmのニッケルスクリーンで濾過した。次いで、ニッケルスクリーンを乾燥させ、濾上物の重さを測定し、前記の濾過性試験で通過したポリエステル組成物の量から、濾上物の量(ppm)を求めた。
塊状の単一粒子の特徴は、走査型電子顕微鏡でポリエステル組成物を倍率1000倍で観察した際に、面が平らで凹凸が少なく、また20000倍で観察した際に、凝集シリカ特有である細孔容積が観察されない。
走査型電子顕微鏡を用いてポリエステル組成物の任意の箇所について、1000倍の倍率で20枚撮影した。その写真から、塊状の単一粒子に蛍光X線を当てて、ケイ素であることを確認できたものをカウントし、写真20枚での平均値から単位面積当たりの塊状の単一粒子数を算出した。
下記のように評価した。
○○:交換周期の間隔が14日間以上
○:交換周期の間隔が7日間以上、14日間未満
△:交換周期の間隔が5日間以上、7日間未満
×:交換周期の間隔が5日間未満
(7)フィルム表面の中心線平均表面粗さ(SRa)
小坂研究所製Surfcorder ET30HKを用い、下記条件にてフィルム表面の中心線平均粗さ(SRa)を求めた。
触針曲率半径 : 2μm
カットオフ : 0.25mm
測定長 : 0.5mm
測定間隔 : 5μm
測定回数 : 40回。
次の研磨層用塗工液組成の配合物を1時間攪拌した後、細孔径約1μmのフィルターで濾過して固形分30%の研磨層用塗工液を得た。研磨層用塗工液組成は、シリカゾル(有効成分30重量%、MEK−ST、日産化学社製、平均粒径10〜20nm)を24重量部、アクリルポリオール(有効成分50重量%、アクリディックA804、大日本インキ化学工業社製)を3重量部、イソシアネート硬化剤(有効成分60重量%、タケネートD110N、武田薬品工業社製)を1重量部、メチルエチルケトンを2重量部である。上記の研磨層用塗工液を支持体上にバーコーティングにより塗布し、加熱乾燥し、その後熱処理して硬化させて研磨フィルムを作製した。該研磨フィルム(φ127mm)を用いて、光コネクタ研磨機(SFP−120A、精工技研社製)により光ファイバコネクタフェルールを最終研磨した。研磨は、光ファイバコネクタフェルール12本を研磨機の研磨ホルダーに取り付け、最終研磨時間30〜60秒で行った。研磨後のフェルール表面のジルコニア部分及びガラスファイバー部分における鏡面性(傷の発生状態)を顕微鏡で観察した。
ポリエステルフィルムの表面にコロナ放電処理を行ない、次にコロナ放電処理面に受容層として架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を厚さ30μmになるように220℃でエクストルージョンラミネートし、さらにエンボスロール法によって得られた表面粗さRa0.55μm、厚さ25μmの粗面化ポリプロピレンフィルムを積層して記録シートを得て、JIS−Z0237に準じて25℃、55%RH雰囲気下で引っ張り試験機を用いて剥離角180°、引っ張り速度300mm/分で剥離させることにより剥離強度を求めた。
ケイ酸ナトリウム水溶液に硫酸を加えて、シリカゾルを得た。その後、水洗してシリカヒドロゲルを得て、次いで乾燥してシリカキセロゲルを得た。得られたシリカキセロゲルを円盤型粉砕機で粉砕処理して平均粒子径(体積基準の積算50%粒子径)3.2μmの粒子を得て、図1に示す気流分離方式で、塊状単一粒子を含まない凝集シリカ粒子を得た。気流分離方式は、直径50cm、高さ200cmの円筒形の気流分離装置1に、凝集シリカ粒子を5体積%含有させた気流を、20m3/hrの速度で投入して旋回流を発生させ、塊状単一粒子は落下して塊状単一粒子回収ボックス2に回収した。一方、塊状単一粒子を含まない凝集シリカ粒子は上昇気流により気流分離装置1の上部に移動し、バグフィルター3で捕捉して塊状単一粒子を含まない凝集シリカ粒子を得た。また凝集シリカ粒子を含む気流は、気流分離装置1の側面から流入口6から入り、流入角度Aは3度とした。
(参考例2)凝集シリカ粒子スラリー
参考例1で得た塊状単一粒子を含まない凝集シリカ粒子をエチレングリコールに含有し、また凝集シリカ粒子に対して0.72重量%のリン酸を添加し、分散槽の攪拌機の回転数が700rpmで、2時間、高速分散を行ない、シリカ粒子の濃度が17重量%の凝集シリカ粒子スラリーを得た。
(実施例1)
ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコール70重量部およびエステル交換触媒として酢酸マンガン0.06重量部、重合触媒として三酸化アンチモン0.043部を加え、140〜220℃の間でほぼ理論量のメタノールを溜出させ、エステル交換反応を終了させた。次いで、系内に平均粒径が3.2μm、吸油量が210ml/100gの凝集シリカ(BET法による比表面積が、300m2/gのもの)を使用して、 参考例2の方法で得た凝集シリカ粒子スラリーを添加した。次いで系内を30分で徐々に減圧、1mmHgとし、290℃で撹拌所要動力4.0kg・cmでポリマーの極限粘度が0.605になるまで重縮合反応を行った。得られたポリエステル組成物のシリカ粒子の平均粒子径は3.2μmであり、目開き20μmの濾上物は1ppm、塊状単一粒子は0個/cm2、濾過性試験(ΔP)は0.31MPaであった。さらに該ポリエステル組成物を、180℃×3mmHgで24時間乾燥し、90mmの押出機で7m2の15μm、98%カットポーラスメタルフィルターを通過させた後、シート状にTダイから500kg/hrで押出し、縦に100℃で3.0倍、横140℃で3.5倍に延伸した。
(実施例2)
凝集シリカの平均粒子径を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例3)
凝集シリカの平均粒子径、凝集シリカスラリーの分散槽の回転数を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例4)
シリカ含有量、凝集シリカスラリーの分散槽の回転数を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例5)
シリカ含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例6)
凝集シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例7)
シリカ濃度、分散槽の回転数を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例8)
凝集シリカの平均粒子径、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量、分散槽の回転数を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(実施例9)
凝集シリカの平均粒子径、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量、分散槽の回転数、シリカ含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。
(比較例1)
気流分離をしていない凝集シリカを使用し、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。濾過性試験(ΔP)が高く、塊状の単一粒子が10個/cm2であった。
(比較例2)
気流分離をしていない凝集シリカを使用し、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数、シリカ含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。濾過性試験(ΔP)が高く、塊状の単一粒子が15個/cm2であった。
(比較例3)
気流分離をしていない凝集シリカを使用し、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数、シリカ含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。濾過性試験(ΔP)が高く、塊状の単一粒子が10個/cm2であった。
(比較例4)
気流分離をしていない凝集シリカを使用し、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数、凝集シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。フィルター交換周期が3日間であり、短かった。
(比較例5)
凝集シリカの平均粒子径、気流分離をしていない凝集シリカを使用し、シリカ濃度、凝集シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数、凝集シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。濾過性試験(ΔP)が高く、塊状の単一粒子が2個/cm2で少ないものの、研磨面に傷が見られた。
(比較例6)
シリカ粒子を球状シリカ、シリカの平均粒子径、シリカ濃度、シリカスラリーを分散する際の攪拌機の回転数、シリカスラリーを分散する際に添加するリン酸の含有量を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物、フィルムを得た。結果を表1、2に示す。濾過性試験(ΔP)が高く、塊状の単一粒子が15個/cm2であり、研磨面に傷がなかった。
2:塊状単一粒子回収ボックス
3:バグフィルター
4:中間槽
5:サイロ
6:流入口
7:ベント
A:流入角度
Claims (5)
- 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから成るポリエステル中に平均粒径0.5〜5.0μmの凝集シリカを0.05〜10重量%含有するポリエステル組成物であって、該ポリエステル組成物を目開き20μmを通過した際の濾上物が、全体の濾過量に対して5ppm以下であり、かつ濾上物がケイ素元素を主成分とする下記(1)〜(3)で得られた塊状単一粒子が5個/cm2以下であることを特徴とするポリエステル組成物。
(1)濾過面積2.5cm 2 のフィルタ目開き20μm、ポリエステル組成物を吐出量10g/分、3時間濾過した。
(2)前記のフィルタをヘキサフロロイソプロパノールでポリマー分を溶解後、その液を濾過面積2.5cm 2 のフィルタ目開き5μmのニッケルスクリーンで濾過した。
(3)前記のフィルタの濾上物を走査型電子顕微鏡で20枚撮影し、粒子に凹凸が少なく、凝集シリカ特有である細孔容積が観察されない塊状単一粒子に蛍光X線を当てて、ケイ素であることを確認できたものをカウントした。 - 成形する前のポリエステル組成物であって、溶融温度290℃、目開き20μm、吐出10g/分の速度で、3時間での濾過性試験(ΔP)が0.80MPa以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物。
- 請求項1または請求項2記載のポリエステル組成物からなるポリエステルフィルム。
- ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル交換触媒の存在下でエステル交換反応し、次いで重縮合反応を行うポリエステルの製造方法において、エステル交換反応完結後に、ケイ素元素を主成分とする下記(1)〜(3)で得られた塊状単一粒子が5個/cm2以下の凝集シリカ粒子スラリーをポリエステル組成物に対して0.05〜10重量%添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
(1)濾過面積2.5cm 2 のフィルタ目開き20μm、ポリエステル組成物を吐出量10g/分、3時間濾過した。
(2)前記のフィルタをヘキサフロロイソプロパノールでポリマー分を溶解後、その液を濾過面積2.5cm 2 のフィルタ目開き5μmのニッケルスクリーンで濾過した。
(3)前記のフィルタの濾上物を走査型電子顕微鏡で20枚撮影し、粒子に凹凸が少なく、凝集シリカ特有である細孔容積が観察されない塊状単一粒子に蛍光X線を当てて、ケイ素であることを確認できたものをカウントした。 - 凝集シリカ粒子スラリーが、凝集シリカ粒子をグリコールの存在下に分散槽でスラリー化する際に、該凝集シリカ粒子に対して0.10重量%以上、1.20重量%以下のリン酸を含有し、かつ分散槽の撹拌回転数が600rpm以上、3600rpm以下で分散したものであることを特徴とする請求項4記載のポリエステル組成物の製造方法。
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