JP6175623B2 - リード線引出し構造及び方法 - Google Patents

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本発明は、リード線引出し構造に関し、特に、金属ケースの外周に設けた金属バンドの延設部を、リード線を覆う筒状シールド部材に導通させることにより金属ケースのアースを取るための新規な改良に関する。
従来、用いられていたこの種のリード線引出し構造としては、例えば、特許文献1及び2に開示されている構成と類似の構成を図6及び図7で示している。
すなわち、図6及び図7おいて符号1で示されるものはカップ型をなす金属ケースであり、この金属ケース1の内面1aには、レゾルバステータ2とレゾルバステータトランス3とが軸方向に直列配置されている。
前記金属ケース1内に一対の軸受4、5を介して回転自在に設けられた回転軸6には、レゾルバロータ7及びレゾルバロータトランス8が軸方向に直列配置されている。
前記レゾルバステータ2とレゾルバロータ7とによりレゾルバ9が構成され、前記レゾルバステータトランス3とレゾルバロータトランス8とによりトランス10が構成されている。
前記トランス10の端部には、前記レゾルバステータ2及びレゾルバステータトランス3に接続されたシールド線11a(通称、ブレード)で覆われたリード線11が前記金属ケース1に接続された後、穴1Cを介して外部に導出されており、このシールド線11aの外側はチューブ12によって覆われている。
従って、前記チューブ12は前記穴1Cを貫通する状態で配設され、このチューブ12が前記穴1Cに集合することにより、前記リード線11とシールド線11aは前記金属ケース1に固定されている。
次に、図8及び図9で示される構成は、前述の各特許文献1及び2に示された図6及び図7の構成とは異なる他の従来構成を示しており、図6及び図7と同一又は同等部分には同一符号を用い、その説明は省略するものとする。
すなわち、金属ケース1から外部へ導出されたリード線11のシールド線11aに接続されたアース線20にアース固定部21が設けられ、このアース固定部21が前記金属ケース1の外面1bに図示しないねじによって固定される。
特開2000−228588号公報 特開2008−86056号公報
従来のリード線引出し構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の図6及び図7で示される第1従来構成においては、金属ケース1の穴12にリード線11を内蔵したチューブ12が直接係合し、シールド線11が金属ケース1の一部に直接導通接続するため、金属ケース1内にシールド線11aを導通接続させるためのスペースを必要とするため金属ケース1自体を大きくせざるを得ず、金属ケース1の小型化への障害となっていた。
また、チューブ12が穴12に係合するのみで、リード線11とシールド線11aを金属ケース1に保持していたため、保持強度及び防水性が十分ではなく、信頼性の向上に障害となっていた。
また、前述の図8及び図9の第2従来構成においては、金属ケース1外に導出されたリード線11のシールド線11aに接続されたアース線20を、アース固定部21を介して金属ケース1に接続しているため、金属ケースの外部にアース線20とアース固定部21及び取付用ボルト等が露出するため、アース線20の損傷や取付ボルトの突出が取扱い上の障害となることもあった。
また、図8において明らかであるように、チューブ12の端部と穴12との間には隙間Dが存在するため、この隙間Dを埋めるために、図9で示されるように、ポッティング部13で埋めなければならず、このポッティング作業に時間を必要とし、かつ、外部からの防水性及び取付強度の点についても十分ではなかった。
また、図6及び図7の構成においても、前述の防水性及び取付強度については十分ではなかった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、金属ケースの外周に設けた金属バンドの延設部を、リード線を覆う筒状シールド部材に導通させることにより、金属ケースのアースを容易に取るようにしたリード線の引出し構造を提供することを目的とする。
本発明によるリード線の引き出し構造は、電気機器を内蔵した金属ケースと、前記電気機器に接続され前記金属ケースに形成された穴又は開口を経て外部へ導出されるリード線と、前記リード線を覆う筒状シールド部材と、からなるリード線引出し構造において、
前記金属ケースの外周に設けられた導電性の金属バンドと、前記金属バンドから前記金属ケースの半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材に接する一対の延設部と、前記各延設部の先端に形成された曲折部と、前記各延設部の外周に設けられ前記曲折部に接して位置する筒状バンドと、前記筒状シールド部材と前記リード線との間に設けられた筒状ブッシュと、前記筒状バンド及び前記筒状シールド部材の外周に設けられた熱収縮チューブと、を備え、
前記金属バンド、前記延設部及び前記筒状シールド部材は、互いに導通している構成であり、また、前記熱収縮チューブのうち、前記筒状バンドに対応する対応部分は、前記筒状シールド部材と接する接触部分よりも断面でみて外側へ膨出している構成であり、また、本発明によるリード線引出し方法は、
電気機器を内蔵した金属ケースと、前記電気機器に接続され前記金属ケースに形成された穴又は開口を経て外部へ導出されるリード線と、前記リード線を覆う筒状シールド部材と、からなるリード線引出し構造において、
前記金属ケースの外周に設けられた導電性の金属バンドと、前記金属バンドから前記金属ケースの半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材に接する一対の延設部と、前記各延設部の先端に形成された曲折部と、前記各延設部の外周に設けられ前記曲折部に接して位置する筒状バンドと、前記筒状シールド部材と前記リード線との間に設けられた筒状ブッシュと、前記筒状バンド及び前記筒状シールド部材の外周に設けられた熱収縮チューブと、を備え、
前記金属バンド、前記延設部及び前記筒状シールド部材は、互いに導通している方法であり、また、前記熱収縮チューブのうち、前記筒状バンドに対応する対応部分は、前記筒状シールド部材と接する接触部分よりも断面でみて外側へ膨出している方法である。
本発明によるリード線引出し構造及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、電気機器を内蔵した金属ケースと、前記電気機器に接続され前記金属ケースに形成された穴又は開口を経て外部へ導出されるリード線と、前記リード線を覆う筒状シールド部材と、からなるリード線引出し構造において、
前記金属ケースの外周に設けられた導電性の金属バンドと、前記金属バンドから前記金属ケースの半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材に接する一対の延設部と、前記各延設部の先端に形成された曲折部と、前記各延設部の外周に設けられ前記曲折部に接して位置する筒状バンドと、前記筒状シールド部材と前記リード線との間に設けられた筒状ブッシュと、前記筒状バンド及び前記筒状シールド部材の外周に設けられた熱収縮チューブと、を備え、
前記金属バンド、前記延設部及び前記筒状シールド部材は、互いに導通していることにより、モータの金属ケースのアースを完全に得ることができると共に、筒状ブッシュと筒状バンドにより筒状シールド部材と延設部を締結していることにより、金属バンドと筒状シールド部材が強固につながることができ、かつ、熱収縮チューブによって完全な防水効果を得ることができる。また、前記熱収縮チューブのうち、前記筒状バンドに対応する対応部分は、前記筒状シールド部材と接する接触部分よりも断面でみて外側へ膨出していることにより、筒状シールド部材と延設部の接続部分を十分に覆い、防水効果を保つことができる。
本発明によるリード線引出し構造及び方法を示す外観図である。 図1の要部の拡大断面図である。 図2の要部を示す拡大断面図である。 図2の金属バンドを示す正面図である。 図2の筒状ブッシュを示す拡大断面図である。 従来構成1を示す断面図である。 図6の右側面構成図である。 従来構成2を示す断面図である。 図8の平面図である。
本発明によるリード線引出し構造及び方法は、金属ケースの外周に設けた金属バンドの延設部を、リード線を覆う筒状シールド部材に導通させることにより金属ケースのアースを確実化し、かつ、リード線の引出し状態を確実に維持することである。
以下、図面と共に本発明によるリード線引出し構造及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。
図1において符号1で示されるものは、電気機器を内蔵したカップ状の金属ケースであり、この金属ケース1の外周には帯状をなす円形の金属バンド30が金属ケース1と導通する状態で巻付けられている。
前記金属ケース30の両端には、この金属バンド30と一体で前記金属ケース1の半径方向に沿った状態で上方に延設された一対の延設部31が形成されている。
前記各延設部31の上端である先端には、外方に向けて曲折された一対の曲折部32が形成され、前記各延設部31の内側には、筒状シールド部材11a及び筒状ブッシュ34とリード線11が内設されている。
前記各延設部31の外側には、筒状バンド33が設けられ、この筒状バンド33は、図2及び図3で示されるように、前記金属バンド30の上端が前記各曲折部32の内面に接して係合されて締め付けられ、前記延設部31が内側に締め付けられる。
前記筒状シールド部材11aの内側には、比較的硬い材料で形成された筒状ブッシュ34が設けられており、前記筒状バンド33を締め付けると、筒状バンド33の上面が前記各曲折部32の下面に接し、かつ、筒状バンド33が延設部31を前記筒状シールド部材11aと共に前記筒状ブッシュ34側に押し付けるため、前記延設部31と筒状シールド部材11aは強固に接し、その結果、前記延設部31と筒状シールド部材11aは確実に導通し、金属バンド30による金属ケース1のアースを完全に得ることができる。
前記筒状シールド部材11aと前記筒状バンド33の外側には、図2に特に示されているように、熱収縮チューブ12が覆う状態で挿入して設けられていることにより、前記筒状シールド部材11aに接触する接触部分12Aよりも、前記筒状バンド33に対応する対応部分33Aの方が外側に向けて膨出しており、この熱収縮チューブ12は加熱によって収縮し、前記筒状シールド部材11aと筒状バンド33の外面に、周知のように、熱収縮チューブ12が密着する。
従って、図2及び図3に特に示されるように、本発明によるリード線引出し構造の組立手順としては、前記リード線11の外周に前期筒状ブッシュ34を挿入し、前記筒状ブッシュ34の外周に前記筒状シールド部材11aを挿入し、前記筒状シールド部材11aの外周に前記金属ケース1の外周に嵌着した金属バンド30の両端の各延設部31を接触させ、この各延設部31の外周に巻き付けられた筒状バンド33を締結することにより、前記筒状シールド部材11a及び延設部31は前記筒状ブッシュ34と筒状バンド33との間で強固に締結される。
次に、前記筒状シールド部材11a及び筒状バンド33の外側に前記熱収縮チューブ12を挿入させて覆い、加熱することにより、前記熱収縮チューブ12が収縮して筒状シールド部材11a及び延設部31並びに筒状バンド33の外周に密着することにより、金属ケース1のアースと、リード線11の金属ケース1への防水・固定とを同時に達成することができる。
尚、前述の本発明によるリード線の引出し構造及び方法の要旨は、次の通りである。
すなわち、電気機器を内蔵した金属ケース1と、前記電気機器に接続され前記金属ケース1に形成された穴又は開口1Aを経て外部へ導出されるよリード線11と、前記リード線11を覆う筒状シールド部材11aと、からなるリード線の引出し構造において、
前記金属ケース1の外周に設けられた導電性の金属バンド30と、前記金属バンド30から前記金属ケース1の半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材11aに接する一対の延設部31と、前記各延設部31の先端に形成された曲折部32と、前記各延設部31の外周に設けられ前記各曲折部32に接して位置する筒状バンド33と、前記筒状シールド部材11aと前記リード線11との間に設けられた筒状ブッシュ34と、前記筒状バンド33及び前記筒状シールド部材11aの外周に設けられた熱収縮チューブ12と、を備え、
前記金属バンド30、前記延設部31及び前記筒状シールド部材11aは、互いに導通している構成と方法であり、また、前記熱収縮チューブ12のうち、前記筒状バンド33に対応する対応部分33Aは、前記筒状シールド部材11aと接する接触部分12Aよりも断面でみて外側へ膨出している構成と方法である。
本発明によるリード線引出し構造及び方法は、金属ケースの外周に設けた金属ケースの延設部をリード線の筒状シールド部材に導通させることにより、アースとりとリード線引出しの両方を行うことができるため、レゾルバのみではなく、モータ、リード線を外部に引出す各種電気機器に応用できる。
1 金属ケース
1A 穴又は開口
6 回転軸
11 リード線
11a 筒状シールド部材
12 熱収縮チューブ
12A 接触部分
30 金属バンド
31 延設部
32 曲折部
33 筒状バンド
34 筒状ブッシュ
33A 対応部分

Claims (4)

  1. 電気機器を内蔵した金属ケース(1)と、前記電気機器に接続され前記金属ケース(1)に形成された穴又は開口(1A)を経て外部へ導出されるリード線(11)と、前記リード線(11)を覆う筒状シールド部材(11a)と、からなるリード線引出し構造において、
    前記金属ケース(1)の外周に設けられた導電性の金属バンド(30)と、前記金属バンド(30)から前記金属ケース(1)の半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材(11a)に接する一対の延設部(31)と、前記各延設部(31)の先端に形成された曲折部(32)と、前記各延設部(31)の外周に設けられ前記各曲折部(32)に接して位置する筒状バンド(33)と、前記筒状シールド部材(11a)と前記リード線(11)との間に設けられた筒状ブッシュ(34)と、前記筒状バンド(33)及び前記筒状シールド部材(11a)の外周に設けられた熱収縮チューブ(12)と、を備え、
    前記金属バンド(30)、前記延設部(31)及び前記筒状シールド部材(11a)は、互いに導通していることを特徴とするリード線引出し構造。
  2. 前記熱収縮チューブ(12)のうち、前記筒状バンド(33)に対応する対応部分(33A)は、前記筒状シールド部材(11a)と接する接触部分(12A)よりも断面でみて外側へ膨出していることを特徴とする請求項1記載のリード線引出し構造。
  3. 電気機器を内蔵した金属ケース(1)と、前記電気機器に接続され前記金属ケース(1)に形成された穴又は開口(1A)を経て外部へ導出されるリード線(11)と、前記リード線(11)を覆う筒状シールド部材(11a)と、からなるリード線引出し構造において、
    前記金属ケース(1)の外周に設けられた導電性の金属バンド(30)と、前記金属バンド(30)から前記金属ケース(1)の半径方向に沿って延設され、かつ、前記筒状シールド部材(11a)に接する一対の延設部(31)と、前記各延設部(31)の先端に形成された曲折部(32)と、前記各延設部(31)の外周に設けられ前記各曲折部(32)に接して位置する筒状バンド(33)と、前記筒状シールド部材(11a)と前記リード線(11)との間に設けられた筒状ブッシュ(34)と、前記筒状バンド(33)及び前記筒状シールド部材(11a)の外周に設けられた熱収縮チューブ(12)と、を備え、
    前記金属バンド(30)、前記延設部(31)及び前記筒状シールド部材(11a)は、互いに導通していることを特徴とするリード線引出し方法。
  4. 前記熱収縮チューブ(12)のうち、前記筒状バンド(33)に対応する対応部分(33A)は、前記筒状シールド部材(11a)と接する接触部分(12A)よりも断面でみて外側へ膨出していることを特徴とする請求項3記載のリード線引出し方法。
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