JP6173660B2 - 到来方向推定装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、電波の到来方向を推定する到来方向推定装置に関する。
従来、アレイアンテナによる到来方向推定アルゴリズムとして、MUSIC(Multiple Signal Classification)法が知られている。このMUSIC法は、角度分解性能に優れており、複数の電波の到来方向を測定できる。なお、MUSIC法の詳細については、例えば非特許文献1を参照されたい。
MUSIC法で電波の到来方向を推定する場合、条件によっては、到来方向の推定結果が悪くなる場合がある。例えば、複数の電波の到来方向が近接した角度範囲にある場合、MUSICスペクトルの形状がピーク位置で非対称になり、MUSIC法による推定結果が劣化する。
また、MUSIC法に限らず、角度分解性能に優れた到来方向推定法、例えば、線形予測法(LP:Linear Prediction)、パワーインバージョン(PIAA:Power Inversion Adaptive Array)等の場合、近傍に干渉波が存在すると、所望波の到来方向の推定結果が大きく劣化する場合がある
菊間信良:"アレーアンテナによる適用信号処理"、科学技術出版,1999 竹本宜弘、荒実:"Cによる数値計算"、朝倉書店、1987
上述したように、所望波と干渉波の到来方向が十分離れていれば、MUSIC法のような角度分解性能の良い到来方向推定アルゴリズムで、各電波の到来方向を推定できるが、所望波と干渉波の到来方向が近接している場合、到来方向推定に使用する角度スペクトル(MUSIC法の場合「MUSICスペクトル」という)のピークが明瞭でなくなり、到来方向の推定誤差が大きくなる。この場合、到来方向の推定結果の信頼性(推定誤差の度合い)が分からなくなるという問題がある。
本発明の課題は、信頼性の高い到来方向の推定結果を得ることができる到来方向推定装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、実施形態に係る到来方向推定装置によれば、複数のアンテナと、複数のアンテナからの信号に基づき算出された角度スペクトルからスペクトルピークを抽出して電波の到来方向を推定し、抽出されたスペクトルピークの近傍の所定範囲である抽出範囲内のデータに基づきピークが1個であるかどうかを判定し、ピークが1個である場合に前記データの内の複数点のデータを用いてピークの非対称度を算出し、算出したピークの非対称度を所定の閾値と比較し、ピークの非対称度が所定の閾値を超える場合には前記推定された電波の到来方向の信頼性が低いと判断し、ピークの非対称度が所定の閾値未満である場合には前記信頼性が高いと判断する信号処理装置と、前記信号処理装置の処理結果を表示する表示部とを備えることを特徴とする到来方向推定装置。
第1の実施形態に係る到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置において実行される到来方向推定結果の有効判定処理を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置において抽出されるデータを説明するための図である。 複数の信号が合成されて1つのピークが形成されて本来のピーク位置からずれる状態を説明するための図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置においてピークの非対称度としてピークの左右の傾きの差または比を用いる場合の動作を説明するための図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置においてピークの非対称度としてピーク中心軸からピークが離れている量を用いる場合の動作を説明するための図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置においてピークの非対称度としてピーク中点の中心軸からのずれを用いる場合の動作を説明するための図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置においてピークの非対称度として左右の面積比(その1)を用いる場合の動作を説明するための図である。 第1の実施形態に係る到来方位推定装置においてピークの非対称度として左右の面積比(その2)を用いる場合の動作を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態の到来方向推定装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。この到来方向推定装置は、p個(pは2以上の整数)のアンテナ111〜11p、p個のアンプ121〜12p、p個の周波数変換部131〜13p、p個のデジタイザ141〜14p、信号処理装置15および表示部16を備えている。
p個のアンテナ111〜11pは、外部から到来する電波を受信してアナログの電気信号に変換し、p個のアンプ121〜12pにそれぞれ送る。
p個のアンプ121〜12pは、p個のアンテナ111〜11pからそれぞれ送られてくる電気信号を増幅し、p個の周波数変換部131〜13pにそれぞれ送る。
p個の周波数変換部131〜13pは、p個のアンプ121〜12pからそれぞれ送られてくる高周波の電気信号を低周波の電気信号に変換し、p個のデジタイザ141〜14pにそれぞれ送る。
p個のデジタイザ141〜14pは、p個の周波数変換部131〜13pからそれぞれ送られてくる低周波のアナログの電気信号をデジタル信号に変換し、デジタルデータとして信号処理装置15に送る。
信号処理装置15は、p個のデジタイザ141〜14pから送られてくるp個のデジタルデータに基づき、電波の到来方向を推定する到来方向推定処理を実施するとともに、推定された電波の到来方向の信頼性を判断する処理を実施し、この実施の結果を表示部16に送る。この信号処理装置15で行う処理は、1つのCPU(Central Processing Unit)で行うこともできるし、複数のCPUで並行して行うこともできる。
表示部16は、ディスプレイを含むパーソナルコンピュータから構成されており、信号処理装置15から送られてきた到来方向推定結果を表示する。この表示部16は、複数のパーソナルコンピュータを用いて並行に処理を行うように構成することができる。
次に、上記のように構成される第1の実施形態に係る到来方位推定装置の動作を説明する。図2は、第1の実施形態に係る到来方位推定装置において実行される到来方向推定結果の有効判定処理を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、主に信号処理装置15において実行される。
処理が開始されると、まず、受信信号の相関行列計算が行われる(ステップS11)。すなわち、信号処理装置15は、p個のアンテナ111〜11pから送られてくる電気信号が、p個のアンプ121〜12p、p個の周波数変換部131〜13pおよびp個のデジタイザ141〜14pをそれぞれ経由することによって得られたデジタルデータを受け取る。この信号処理装置15では、1回の処理でMサンプル分(Mは正の整数)のデジタルデータが使用されるものとする。ここで、時刻tkにおける処理対象データX(tk)は、次のように構成されている。
Figure 0006173660
信号処理装置15は、処理対象データXを受け取ると、これを使用して受信信号の相関行列Rを計算する。相関行列Rは、下記(2)式で表される。
Figure 0006173660
ここで、E[・]はアンサンブル平均を表しており、Hは複素共役転置を行うことを示している。
次いで、固有値・固有ベクトル計算が行われる(ステップS12)。相関行列Rの固有値・固有ベクトルは、ハウスホルダ法・QR法などを組合せた方法、または、他の方法を使用して求めることができる。
Figure 0006173660
ここで、Λは固有値を対角要素とする行列を示し、Esは固有ベクトルE1〜Epを列ベクトルとする行列を表している。このとき、下記(6)式に示すように、固有値は大きい値のものから順番に並べられているものとする。
Figure 0006173660
次いで、信号数指定が行われる(ステップS13)。すなわち、到来方向推定を行う対象となる信号数が指定される。このステップS13で指定される信号数をn(0≦n<p)とする。
次いで、角度スペクトル計算が行われる(ステップS14)。MUSIC法を用いる場合の角度スペクトル計算を(7)式に示す。なお、角度スペクトル計算の詳細は、必要に応じて、非特許文献1を参照されたい。
Figure 0006173660
ここで、
Ek :ノイズ固有ベクトル(k=n+1〜p、n:信号数)
a(θ,φ):ステアリングベクトル
θ,φ :ピークサーチ仰角・方位角
λ :信号波長
u :信号方向ベクトル
R :基準位置からアンテナ素子までの距離
Θ,Φ :基準位置からアンテナ素子までの方向ベクトル仰角・方位角
である。また、Tは行列の転置を示す。
次いで、スペクトルピーク抽出(方位測定)が行われる(ステップS15)。すなわち、信号処理装置15は、ピークサーチ仰角・方位角(θ,φ)を変化させながら(7)式を用いて計算したピークの中から、大きい順に信号数に相当するn個分のピークを抽出する。この抽出されたピークに対応したステアリングベクトルの仰角・方位角が、推定された到来方向の仰角・方位角、つまり推定方位となる(A1)。
次いで、抽出ピーク信頼性計算用データ抽出が行われる(ステップS16)。すなわち、信号処理装置15は、ステップS15で抽出したピークの近傍から信頼性計算に使用するデータを抽出する。この際、図3に示すように、スペクトルピークからd[dB]だけ低い位置を基準レベルLとし、この基準レベルLより大きいデータが抽出される。このデータが抽出される範囲を、以下「抽出範囲」という。
次いで、抽出範囲内のピークが1個であるかどうかが調べられる(ステップS17)。このステップS17において、抽出範囲内のピークが1個でない、つまり抽出範囲内に複数のピークが存在することが判断されると、ステップS18およびS19の処理をスキップしてステップS20に進む。この場合(抽出範囲内に複数のピークが存在する場合)、複数の信号の各々の方位を識別できたと判断できるので、推定方位の信頼性は高いと判断される。
一方、ステップS17において、抽出範囲内のピークが1個であることが判断されると、次いで、ピーク非対称度が算出される(ステップS18)。すなわち、抽出範囲内にピークが1つだけ存在する場合、このピークが1つの信号のみによって形成されているのであれば信頼性は高い。
しかしながら、複数の信号が近接している場合は、図4に示すように、複数の信号が合成されて1つのピークが形成され、ピーク中心軸上のスペクトルピークがピーク対称軸上の本来のピーク位置からずれることがある。この場合、スペクトルピークによって示される推定方位の信頼性は低くなる。そこで、ピークの非対称度を算出して数値化することにより、推定方位の信頼性が求められる。
ピークの非対称度として、以下の(A)〜(G)に示す値を用いることができる。
(A)ピークの左右の傾きの差
ピークの非対称度としてピークの左右の傾きの差を用いる場合、図5に示すように、抽出範囲内のデータのうち、ピーク中心軸の左側に存在するデータの一部または全部を使用して近似した直線の傾きaと、ピーク中心軸の右側に存在するデータの一部または全部を使用して近似した直線の傾きaとの差が非対称度とされる(A2)。なお、一定範囲のデータによって形成される曲線を直線で近似する方法としては、周知の種々の方法を用いることができる。この非対称度を示す「差」は、下記(11)式で表すことができる。なお、(11)式では、得られる非対称度を規格化するために、傾きaと傾きaの差を、傾きaと傾きaの和で除している。
Figure 0006173660
上記のようにして非対称度が算出されると、次いで、非対称度が閾値ε1以上であるかどうかが調べられる(ステップS19)。このステップS19において、非対称度が閾値ε1以上でない場合は、推定方位の信頼性が高いことが判断され、ステップS20に進む。一方、ステップS19において、非対称度が閾値ε1以上である場合は、推定方位の信頼性が低い旨が判断され(A3)、ステップS20に進む。
ステップS20では、処理が済んだピーク数が、ステップS13で指定された信号数以上になったかどうかが調べられる。このステップS20において、信号数以上になっていないことが判断されると、ステップS15に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、処理ピーク数が信号数以上になったことが判断されると、処理は終了する。
(B)ピークの左右の傾きの比
ピークの非対称度としてピークの左右の傾きの比を用いる場合、上述した図5に示すように、抽出範囲内のデータのうち、ピーク中心軸の左側に存在するデータの一部または全部を使用して近似した直線の傾きaと、ピーク中心軸の右側に存在するデータの一部または全部を使用して近似した直線の傾きaとの比が非対称度とされる(A2)。この非対称度を示す「比」は、下記(12)式で表すことができる。
Figure 0006173660
非対称度が算出された後の処理は、ステップS19で用いられる閾値ε1が閾値ε2に変更されている点を除けば、上述した(A)の場合と同じである。すなわち、傾きaと傾きaの比の絶対値が1からずれるにしたがって非対称度が大きくなり、推定方位の信頼性が低くなる旨が判断される。
(C)抽出データの2階微分値の正数
ピークの非対称度として抽出データの2階微分値を用いる場合、抽出データの2階微分値の正数の値が非対称度とされる。抽出範囲内のデータが単調に増加した後に減少している場合、1階微分値は、ピークを境にプラスからマイナスに変化する。このときの2階微分値は、ピーク近傍では負になる。一方、抽出範囲内のデータが単調に増加した後に減少していない場合、2階微分値に正になる部分が発生する。そこで、2階微分値に正数が存在する場合、推定方位の信頼性が低い旨が判断される。
Figure 0006173660
上記(13)式において、f(x)は、抽出したデータのxにおける値を示している。微分法としては、差分を単純にとる方法、複数データを用いて差分をとる方法や、一旦、スプライン曲線などの曲線近似を行い、この近似曲線を微分する方法などを使用することができる。なお、微分方法については、必要に応じて非特許文献2を参照されたい。
非対称度が算出された後の処理は、ステップS19で用いられる閾値ε1が閾値ε3に変更されている点を除けば、上述した(A)の場合と同じである。
(D)ピーク中心軸からピークが離れている量
ピークの非対称度としてピーク中心軸からピークが離れている量を用いる場合、ピーク中心軸からピークが離れている量が非対称度とされる。ピーク中心軸は、抽出したデータのピークから離れている数点の同一レベルのデータを使用して計算される。
いま、図6に示すように、抽出したデータの組を(x,p),(x,p),…,(x,p)とする。このとき、p,p,…,pは、それぞれ、x,x,…,xにおけるスペクトルの値を示している。まず、下記式(14)に示すように、スペクトルピークよりd[dB]だけ低い基準レベルLから、+α[dB]だけ高いレベルまでの範囲にあるデータがさらに抽出される。図6に示す例では、pi+1,pi+2,pi+3、pi+n−2,pi+n−1およびpi+nの6個のデータが抽出される。
Figure 0006173660
次に、抽出されたデータp,pi+1,…,pi+nの中で、ほぼ同一レベルである組合せ、例えば、(p,pi+n),(pi+1,pi+n−1),…が抜きだされる。この組の対応するxの中心を求め、それがピーク中心軸Xcenterの値とされる。例えば、(pi+1,pi+n−1)が抜き出され、xi+1とxi+n−1の中点がピーク中心軸Xcenterの値とされる。このとき、(15)式に示すように、ピーク中心軸Xcenterの値は、複数のデータの平均をとって求めてもよいし、単独のデータから求めてもよい。
Figure 0006173660
このピーク中心軸Xcenterの値とスペクトルピークが含まれるスペクトルピーク軸Xpeakの値との差が、下記(16)式に示すように、閾値ε4を越えている場合、非対称度が大きくなり、推定方位の信頼性が低い旨が判断される。
Figure 0006173660
なお、抽出データの組(x,p),(x,p),…,(x,p)を用いてスプライン曲線などの曲線近似を行い、この近似曲線の値を使用して、上述した(15)および(16)式を計算するように構成することもできる。
非対称度が算出された後の処理は、ステップS19で用いられる閾値ε1が閾値ε4に変更されている点を除けば、上述した(A)の場合と同じである。
(E)同一レベルのピーク中点のピーク中心軸からのずれ
ピークの非対称度として同一レベルのピーク中点の中心軸からのずれを用いる場合、非対称度は次のようにして求められる。ピーク中心軸Xcenterの求め方は、上記(D)の場合と同じである。ピーク中心軸Xcenterが求められると、次に、スペクトルピーク付近の同一レベルのデータを使用して、中心位置が計算される。
いま、図7に示すように、抽出したデータの組を(x,p),(x,p),…,(x,p)とする。下記(17)式に示すように、スペクトルピークPeakのレベルから、そのスペクトルピークPeakよりβ[dB]だけい低いレベルの範囲にあるデータがさらに抽出される。
Figure 0006173660
次に、抽出されたデータp,pj+1,…,pj+mの中で、ほぼ同一レベルである組合せ、例えば、(p,pj+m),(pj+1,pj+m−1),…が抜きだされる。そして、この組の対応するxの中心(ピーク中点)を求め、式(18)に示すように、その求めた値が含まれるスペクトルピーク軸Xpeakの値とピーク中心軸Xcenterの値との差の2乗和の平方根を求め、この値が閾値ε5を越えている場合、非対称度が大きくなり、推定方位の信頼性が低い旨が認識される。
Figure 0006173660
なお、抽出データの組(x1,p1),(x2,p2),…,(xn,pn)を用いてスプライン曲線などの曲線近似を行い、この近似曲線の値を使用して、上述した(17)〜(18)式を計算するように構成することもできる。
非対称度が算出された後の処理は、ステップS19で用いられる閾値ε1が閾値ε5に変更されている点を除けば、上述した(A)の場合と同じである。
(E2)
以下のように、ピーク左側のデータと右側のデータとを使用し、中心軸との差のRMSEを比較する方法もある。中心軸の求め方は、E項と同じで、求められた中心軸をxcenterとする。次に、ピーク付近の同一レベルのデータを使用して、中心位置を計算する。
いま、抽出データの組が(x1,p1),(x2,p2),…..,(xn,pn)であったとする。スペクトルピーク値Peakからβ[dB] の範囲にあるデータをさらに抽出する。
Peak −β ≦ pj,pj+1,…,pj+m ≦ Peak…(19)
この抽出された、pj,pj+1,…,pj+mの中で、ピークの左側と右側に抽出したデータを分ける。例えば、(xjL,pjL), (xjL+1,p jL+1),・・・、(xjR,pjR), (xjR+1,p jR+1),・・・(xj+m,p j+m)。右側のデータと左側のデータとで中心軸XcenterからのRMSEを計算する。このRMSEの比が閾値εより大きいかにより、非対称性が高く、信頼性が低いとする。
Figure 0006173660
このとき、抽出データを(xjL,pjL), (xjL+1,p jL+1),・・・、(xjR,pjR), (xjR+1,p jR+1),・・・(xj+m,p j+m)を、スプライン曲線などの曲線近似を行い、求めた曲線の値を使用して、(20-1)〜(21-2)式を計算してもよい。
(F)ピーク左右の面積比(その1)
ピークの非対称度としてピーク左右の面積比(その1)を用いる場合は、非対称度は次のようにして求められる。いま、図8に示すように、抽出データの組を(x,p),(x,p),…,(x,p)とする。下記(22)式に示すように、抽出されたデータのほぼ同一レベルである組合せ、例えば、(p,pj+m),(pj+1,pj+m−1),…が抜きだされる。次に、ピーク(xpeak,peak)を頂点とした左右の三角形SとSRの面積が比較される。
Figure 0006173660
この三角形SとSRの面積比の値が閾値ε6を越えている場合、非対称度が大きくなり、推定方位の信頼性が低い旨が判断される。なお、抽出データの組(x,p),(x,p),…,(x,p)を用いてスプライン曲線などの曲線近似を行い、この近似曲線を使用して、(22)式を計算するように構成することもできる。また、(22)式は、一組のデータに対するものであるが、複数の組の和、平均または2乗和のルートをとる方法を用いることもできる。
さらに、三角形SとSRの面積比に基づき非対称度を求める代わりに、三角形SとSRの面積の差に基づき非対称度を求めるように構成することもできる。この場合、三角形Sの面積と三角形SRの面積の差を、三角形Sの面積と三角形SRの面積の和で除して規格化することが好ましい。
非対称度が算出された後の処理は、ステップS19で用いられる閾値ε1が閾値ε6に変更されている点を除けば、上述した(A)の場合と同じである。
(G)ピーク左右の面積比(その2)
ピークの非対称度としてピーク左右の面積比(その2)を用いる場合は、非対称度は次のようにして求められる。いま、図9に示すように、抽出データの組を(x,p),(x,p),…,(x,p)とする。xpeakより小さい組を、(x,p),(x,p),…,(x,p)とし、xpeakより大きい組を、(x,p),(xu+1,pu+1),…,(x,p)とする。このとき、ピークの左側の面積Sおよび右側の面積SRの各々は、高さが所定間隔(xi+1−x)の台形の面積の和で表すことができ、次のようになる。
Figure 0006173660
このピークの左側の面積Sと右側の面積SRとの面積比が、式(24)に示すように、閾値ε7を越えている場合、非対称度が大きくなり、推定方位の信頼性が低い旨が認識される。
Figure 0006173660
なお、ピークの左側の面積Sと右側の面積SRとの面積比に基づき非対称度を求める代わりに、ピークの左側の面積Sと右側の面積SRの差に基づき非対称度を求めるように構成することもできる。この場合、ピークの左側の面積Sと右側の面積SRの差を、ピークの左側の面積Sと右側の面積SRの和で除して規格化することが好ましい。
以上説明したように、第1の実施形態に係る到来方向推定装置によれば、信頼性の高い到来方向の推定結果を得ることができる到来方向推定装置を提供できる。
なお、上述した第1の実施形態では、MUSIC法を用いて到来方向推定を行う場合について説明したが、これに限らず、角度分解性能に優れた到来方向推定アルゴリズム、例えば、線形予測方(LP)、パワーインバージョン(PIAA)等を用いて到来方向推定を行う場合にも適用できる。
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
111〜11p アンテナ
121〜12p アンプ
131〜13p 周波数変換部
141〜14p デジタイザ
15 信号処理装置
16 表示部

Claims (8)

  1. 複数のアンテナと、
    前記複数のアンテナからの信号に基づき算出された角度スペクトルからスペクトルピークを抽出して電波の到来方向を推定し、前記抽出されたスペクトルピークの近傍の所定範囲である抽出範囲内のデータに基づきピークが1個であるかどうかを判定し、ピークが1個である場合に前記データの内の複数点のデータを用いてピークの非対称度を算出し、算出したピークの非対称度を所定の閾値と比較し、ピークの非対称度が所定の閾値を超える場合には前記推定された電波の到来方向の信頼性が低いと判断し、ピークの非対称度が所定の閾値未満である場合には前記信頼性が高いと判断する信号処理装置と、
    前記信号処理装置の処理結果を表示する表示部と、
    を備えることを特徴とする到来方向推定装置。
  2. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータのうちのピークより左側のデータを用いて近似した直線の傾きと、ピークより右側のデータを用いて近似した直線の傾きとの比を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  3. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータのうちの、ピークから所定値dだけ低い基準レベルから所定値α(α<d)だけ高いレベルまでの範囲に存在するデータを抽出し、該抽出したデータの中心を表すピーク中心軸を算出し、かつ、前記抽出範囲内のデータのうちの、ピークから所定値β(β<d)だけ低いレベルまでの範囲に存在するデータを抽出し、該抽出したデータの中心を表すスペクトルピーク軸を算出し、ピーク中心軸からスペクトルピーク軸がずれている量を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  4. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータの所定レベルとピークとの間であって、該ピークより左側に所定間隔で形成される複数の台形の面積の和と右側に所定間隔で形成される複数の台形の面積の和との比または差を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  5. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータのうちのピークより左側のデータを用いて近似した直線の傾きと、ピークより右側のデータを用いて近似した直線の傾きとの差を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  6. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータの2階微分値の正数を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  7. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータのうちの、ピークから所定値dだけ低い基準レベルから所定値α(α<d)だけ高いレベルまでの範囲に存在するデータを抽出し、該抽出したデータの中心を表すピーク中心軸からピークが離れている量を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
  8. 前記信号処理装置は、前記抽出範囲内のデータの所定レベルとピークとにより決定される、該ピークより左側の三角形の面積と右側の三角形の面積との比または差を非対称度として信頼性を判断することを特徴とする請求項1記載の到来方向推定装置。
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