JP6173253B2 - Varによるチタン鋳塊の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、純チタン又はチタン合金で構成された消耗電極を溶解してチタン鋳塊を製造するVARによるチタン鋳塊の製造方法に関する。
従来より、チタンの工業的な製造には、塩素化還元を適用したクロール法が一般的に採用されている。さらに、クロール法によって製造されたスポンジチタンから板、棒、管、鍛造品などを製造するための加工材料となるインゴットを製造する場合には、溶解中に耐火物からの汚染を避けるために、アーク、電子ビーム、プラズマを熱源として、外側を強制水冷するモールドを用いて、真空中または不活性雰囲気中で溶解が行われる。
このようなチタンインゴットの溶解法として、消耗電極式真空アーク再溶解法(VAR)、プラズマビーム溶解法(PBR)、電子ビーム溶解法(PBR)、電子ビーム溶解法(EBR)、エレクトロスラグ溶解法(ESR)があるが、工業的な生産規模でチタンインゴットを溶製するには、消耗電極式真空アーク再溶解法が広く採用されている。
真空雰囲気中や不活性ガス雰囲気中で消耗電極の溶解を行う真空アーク溶解法では、まず、チタンの原料となるスポンジチタンをプレスしてコンパクト材を製作し、複数のコンパクト材を繋げて消耗電極を形成する。そして、この消耗電極を溶解炉(鋳型内)にセットして、消耗電極と鋳型内との間にアークを発生させて当該消耗電極を溶解して冷却することにより、チタン鋳塊を製造している。
溶解原料となるスポンジチタンは、スポンジ状破砕粒であり、これをプレスしてブリケットをつくり、その際に必要に応じて、合金元素やリターンスクラップをチタン原料として活用し、これらのブリケットをビード溶接によって組み立て消耗電極を作製する。
消耗電極式真空アーク溶解炉は、溶解原料となる素材から作製された消耗電極を、真空または不活性ガス雰囲気とした炉内にて、外側から水冷した銅モールド中に吊り下げて電極を負、モールドを正とした直流電流により、電極下端とモールドの底との間にアークを発生させて、アークの熱で溶けた電極から落ちた溶湯のプールと、電極との間にアークを安定させる。電極は下端から順次溶解されて、溶解のプールが下方から凝固されてインゴットを形成する。
通常、消耗電極式真空アーク再溶解法では、組成の均一化、さらに表面欠陥および内部欠陥の低減を図るために、一次溶解の後、二次溶解、三次溶解と多段階にわたって溶解が行われる。
さて、溶湯と電極の間でアークが発生している局部では、アークの高熱によって発生する金属蒸気や消耗電極から放出される各種ガス成分の分子等によって、電極径の範囲内の特に電極中心付近では安定した状態でアークが発生している。
しかし、稀に、電極と水冷銅るつぼ内側の間でアークが発生するサイドアーク現象が発生する場合がある。サイドアークは、水冷銅るつぼ内で発生する金属蒸気や各種ガス成分の分子、イオンなどの存在分布が局所的に不均一になった場合に発生すると推定される。
サイドアークが発生すると、水冷銅るつぼに直接アークが照射され、高温になるため、水冷されている銅るつぼであっても溶損する可能性がある。水冷銅るつぼが溶損した場合、冷却水がるつぼ内に流入し、溶融チタンと冷却水が接触する。溶融チタンと冷却水が接触すると、水蒸気爆発が発生する可能性がある。また、溶融チタンが冷却水中の酸素と反応し、るつぼ内に水素が残存することになる。るつぼ内に高濃度の水素が残存した状態で、るつぼが開放されると、大気中の酸素と水素が反応し、水素爆発が発生する恐れがある。従って、サイドアークは、安全上絶対に回避されるべき現象である。
このようなサイドアークの発生を回避する技術として、特許文献1の技術がある。
特許文献1は、純チタン管の中にスポンジチタンと合金成分を混入したブリケットを複数個作製し、純チタン管部分を溶接して製造した電極に関する技術を開示している。詳しくは、低融点金属を含むチタン合金用電極をVAR溶解する際に、従来の方法で溶解すると、電極の外周部に存在する低融点金属部が先行して溶融し、電極外周部からアークが発
生し、サイドアークが発生し易くなる。その他、電極溶接時に低融点金属部分が溶け落ち、歩留低下や溶接作業性困難、インゴットの成分偏析を促進させるなどの問題がある。そこで、純チタン管の中にスポンジチタンと合金成分を混入したブリケットを複数個作製し、純チタン管部分を溶接して製造した電極を活用するものとしている。これにより、電極外周部が先行溶融することなく、サイドアークの発生が抑制でき、また、電極溶接時の歩留改善、作業性改善、インゴット偏析低減が達成される。この技術によれば、VAR溶解中のサイドアーク防止、低融点金属の電極溶接時の歩留改善、電極溶接の作業性改善、インゴットの成分偏析低減などが可能となるとされている。
特許文献2は、VAR溶解中に発生し、水冷銅るつぼ内壁に付着したスパッタを再溶解するため、従来よりアークをるつぼ外周部に広げて、アーク熱でスパッタ再溶解を促進させた消耗電極式アーク溶解法を開示している。具体的には、電極表面にアルカリ金属、またはアルカリ土類金属のハロゲン化物の被服層を厚み0.1mm〜2mmに形成した電極を用いて溶製を実施し、電離性の高いアルカリ金属、またはアルカリ土類金属蒸気を電極外周部に形成させることで、アークを外周部に広げるようにしている。この技術により、VAR溶解中に発生し且つ水冷銅るつぼ内壁に付着したスパッタを再溶解し、表面欠陥のないインゴットを製造するものとしている。
特開平3−253521号公報 特開昭62−182227号公報
特許文献1、2に示された真空アーク溶解装置(真空アーク溶解法)を用いることにより、サイドアーク現象を確実に防止ししつつ、チタン鋳塊を製造できるか疑問が残る。
すなわち、特許文献1の技術を用いて真空アーク溶解を行った場合、純チタン管に比べて、スポンジチタンおよび合金成分部に間隙が存在し、通電率が悪いため、電極外周部が先行して溶融を開始する可能性がある。その場合、サイドアークが発生する恐れがある。また、純チタン管内に装入するスポンジチタンの成分によっては、電極下部から銅るつぼ内壁に向けてサイドアークが発生する可能性があるが、特許文献1は、このような現象を抑制する技術を開示するものとはなっていない。
一方、特許文献2の技術は、スパッタ未溶解物起因の表面欠陥を低減させる技術であり、特許文献2は、サイドアークの発生現象を抑制する技術を開示するものとはなっていない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、るつぼ溶損トラブルの原因となるサイドアークの防止しつつ、健全なチタン鋳塊を製造することができるVARによるチタン鋳塊の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、チタン原料を含有する消耗電極と鋳型との間にアークを発生させて前記消耗電極を溶解するアーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造するチタン鋳塊の製造方法において、前記チタン原料中にはスクラップチタンが15質量%以上含まれる条件において、前記チタン原料中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上として、アーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造することを特徴とする。
好ましくは、前記チタン原料中に含有されるMg量を100質量ppm以上、Cl量を295質量ppm以上として、アーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造するとよい。
好ましくは、前記チタン原料には、スポンジチタンとスクラップチタンとが含まれ、前記スポンジチタンの一部とスクラップチタンとをサイドチャージにより鋳型内に供給するとよい。
また、本発明に係るVARによるチタン鋳塊の製造方法の最も好ましい形態は、チタン原料を含有する消耗電極と鋳型との間にアークを発生させて前記消耗電極を溶解するアーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造するチタン鋳塊の製造方法において、前記チタン原料中にはスクラップチタンが20質量%以上含まれる条件において、サイドアークの発生を抑制すべく、前記チタン原料中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上として、アーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造することを特徴とする。
本発明によれば、るつぼ溶損トラブルの原因となるサイドアークの防止しつつ、健全なチタン鋳塊を製造することが可能となる。
チタン鋳塊の製造方法の手順を示した図である。 本発明の実験結果を示したものである。 配合されるCl量及びMg量と、サイドアークの発生の有無との関係を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の構成をその具体例のみに限定するためのものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態の開示内容のみに限定されるものではない。
例えば、以下の説明において、鋳型2内に原料を供給する供給装置6を備えた真空アーク溶解装置1を用いたチタン鋳塊12の製造方法についての説明を行うが、それに限定されず、供給装置6を備えていない真空アーク溶解装置を用いたチタン鋳塊12の製造方法にも、本発明の技術を適用することは可能である。
チタン鋳塊12の製造は、真空アーク溶解装置1によりスポンジチタン等から構成された原料を鋳型2内(るつぼ内)で溶解し、溶解した溶湯を冷却することによって行う。
図1を用いて、まず、真空アーク溶解装置1、及びこの装置を用いたチタン鋳塊12の製造方法について説明する。
真空アーク溶解装置1は、鋳型2内を真空雰囲気状態又は不活性ガスの雰囲気状態にして、鋳型2内にセットされた消耗電極3をアーク放電によって溶解するVAR装置(Vacuum Arc Remelting装置)であって、鋳型2と、この鋳型2内にセットされる消耗電極3を取り付ける電極支持体4と、鋳型2内に原料を供給する供給装置6とを備えている。
鋳型2には、当該鋳型2を冷却する冷却装置(図示省略)が備えられると共に、消耗電極3が溶融して鋳型2に落下してできたチタン溶融プールを攪拌するためのスターラ攪拌装置(図示省略)が設けられている場合がある。また、鋳型2の上部には、真空引きした排気を外部に放出したり、不活性ガスを鋳型2内に供給する開口5が設けられている。
電極支持体4は昇降自在になっていると共に、当該電極支持体4(消耗電極3)と鋳型2との間に所定の電圧が印加されるようになっている。
供給装置6は、例えば、スポンジチタン及びスクラップチタンが含まれるチャージ原料10を鋳型2内に供給するもので、チャージ原料10を貯留するホッパ7と、ホッパ7内のチャージ原料10を鋳型2に供給する搬送シュート8とを備えている。この供給装置6により、鋳型2内にチャージ原料10を追加装入することを「サイドチャージ」と呼ぶ。
このような真空アーク溶解装置1では、電極支持体4に消耗電極3を取り付け、電極支持体4と鋳型2との間に電圧を印加することにより、消耗電極3と鋳型2との間でアーク放電を発生させてアークによって消耗電極3を溶解するアーク溶解処理(VAR溶解という)を行う。
VAR溶解中は、鋳型2内を真空状態又は不活性ガスの雰囲気状態にすると共にサイドチャージを行いながら、消耗電極3やホッパ7から供給されたチャージ原料10を溶解し、溶解した溶湯を鋳型2の冷却装置によって冷却することにより、チタン鋳塊12を製造する。
さて、本発明では、真空アーク溶解装置1によるVAR溶解を複数回行うことによって、チタン鋳塊12を製造する。なお、この実施形態では、2回のVAR溶解を行うこととしており、2回目のVAR溶解は、複数回での鋳造における「最終回」に対応している。
図1に示すように、まず、1回目のVAR溶解(最終回の1つ前)では、不活性ガスの雰囲気下でチャージ原料10を、鋳型2に供給するサイドチャージを行いながら溶解を行う。2回目のVAR溶解(最終回)では、まず、1回目のVAR溶解によって製造された1次鋳塊11を消耗電極3として鋳型2内にセットし、鋳型2内を真空雰囲気下にしてサ
イドチャージを行わずに溶解を行う。なお、2回目のVAR溶解では、サイドチャージを行わない真空アーク溶解装置、すなわち1回目のVAR溶解に用いられる真空アーク溶解装置1とは異なるVAR装置を用いる。
ところで、上記した真空アーク溶解装置1においては、1回目のVAR溶解を行う際に、以下に示す問題が生じる虞がある。
1次鋳塊11(溶湯)と消耗電極3の間でアークが発生している局部では、アークの高熱によって発生する金属蒸気や消耗電極3から放出される各種ガス成分の分子等によって、電極径の範囲内の特に電極中心付近では安定した状態でアークが発生している。
しかし、稀に、電極と鋳型2内側の間でアークが発生するサイドアークが発生し、鋳型2を損傷させてしまう虞がある。
このサイドアークは、消耗電極3とチャージ原料10を含めたチタン原料9中に含有されるMg量、及びCl量が少なくなるときに発生する傾向があることを、本願発明者は知見している。なお、このチタン原料9中に含有されるMg量、及びCl量は、クロール法でスポンジチタンを製造する工程において、不可避的に残存する成分である。
また、チャージ原料10に含有されるスクラップチタンは、一度溶解が実施されているので、Mg量、及びCl量が揮発して残存していない。すなわち、Mg量、及びCl量の揮発温度が溶解時の温度より低いことから、実施された溶解工程において、揮発して残存していない。
上記サイドアークが発生する傾向は、1回目のVAR溶解を行う時に使用するチタン原料9全体に含有されているMg量、及びCl量の割合(質量の割合)によって大きく異なる。そこで、本願発明者らは、様々な知見により、チタン原料9内に含まれるスクラップチタンの含有率、及び、チタン原料9全体に含有されているMg量、及びCl量を規定することで、鋳型2の溶損トラブルの原因となるサイドアークの防止しつつ、健全なチタン鋳塊12を製造することができるVARによるチタン鋳塊12の製造方法を発明した。
以下、本発明に係るVARによるチタン鋳塊12の製造方法について、詳しく説明する。
本実施形態のVARによるチタン鋳塊12の製造方法は、消耗電極3と鋳型2との間にアークを発生させて消耗電極3を溶解するVAR溶解処理を行うことによってチタン鋳塊12を製造する際に、チタン原料9中に含まれるスクラップチタンの量の比と、そのチタン原料9中に含有されるMg量及びCl量を規定したものを、1回目のVAR溶解を行う時に使用する製造方法である。
なお、本実施形態のVARによるチタン鋳塊12の製造方法に用いられるチタン原料9は、消耗電極3とチャージ原料10とからなる。消耗電極3はスポンジチタンを含み、チャージ原料10にはスポンジチタンとスクラップチタンとが含まれる。そして、本実施形態のVARによるチタン鋳塊12の製造方法は、チャージ原料10をサイドチャージにより鋳型2内に供給する方法(サイドチャージ法)を用いている。
具体的には、チタン原料9中のスクラップチタンを20質量%以上含まれる条件において、そのチタン原料9中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上とする。
好ましくは、チタン原料9中に含有されるMg量を100質量ppm以上、Cl量を295質量ppm以上とするとよい。
次に、上記したチタン原料9を用いたチタン鋳塊12の製造方法について、述べる。
まず、チタン原料9中にはスクラップチタンが20質量%以上含まれるようにしておく。具体的には、サイドチャージにて供給されるチャージ原料10に含まれるスクラップチタンの質量を調整し、チタン原料9(消耗電極3のスポンジチタン+サイドチャージのスポンジチタン+サイドチャージのスクラップチタン)に対するスクラップチタンの量が15質量%以上となるように、ホッパ7内にスクラップチタンをチャージ原料10として装入しておく。
その上で、チタン原料9中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上とする。具体的には、サイドチャージにて供給されるチャージ原料10に
含まれるスポンジチタンの質量を調整したり、MgやClを高濃度で含有するスポンジチタンを選択し、消耗電極3やサイドチャージの原料とする。
そして、図1に示すように、真空アーク溶解装置1に備えられた電極支持体4にスポンジチタンで構成された消耗電極3を取り付ける。取り付けた電極支持体4と鋳型2との間に電圧を印加することにより、消耗電極3と鋳型2との間でアーク放電を発生させてアークによって消耗電極3を溶解するVAR溶解を行う。
このVAR溶解中に、鋳型2内を真空状態又は不活性ガスの雰囲気状態にすると共に、ホッパ7から上記のように規定されたチタン原料9を供給する。このようなサイドチャージを行いながら、消耗電極3と規定されたチタン原料9を溶解し、溶解した溶湯を鋳型2の冷却装置によって冷却して、1次鋳塊11を製造する。1回目のVAR溶解を終える。
1回目のVAR溶解によって製造された1次鋳塊11を、上下反転させて消耗電極3として鋳型2内にセットし、鋳型2内を真空雰囲気下にしてサイドチャージを行わずに溶解を行う。そして、溶解した溶湯を鋳型2の冷却装置によって冷却して、チタン鋳塊12(チタンインゴット)を製造する。
このように、本発明のVARによるチタン鋳塊12の製造方法は、1回目のVAR溶解において、チタン原料9内に含まれるスクラップチタンの含有率、及び、チタン原料9全体に含有されているMg量、及びCl量を規定することで、サイドアークの防止することができ、鋳型2の溶損トラブルを生じさせないことが可能となる。このようにすることにより、健全な1次鋳塊11を製造することができる。
[実験例]
次に、本発明のVARによるチタン鋳塊12の製造方法の実験例について、説明する。
図2は、本発明の実験結果を示したものであり、図3は、配合されるCl量及びMg量と、サイドアークの発生の有無との関係を示した図である。
図2に示すように、本実験例では、一般的な真空アーク溶解装置(サイドチャージなし)を用いてチタン鋳塊12の製造を行った際のサイドアーク発生の有無と、サイドチャージしながらVAR溶解を行う真空アーク溶解装置1を用いてチタン鋳塊12の製造を行った際のサイドアーク発生の有無を調べた。
図2中のNo,1〜No,22は、一般的な真空アーク溶解装置でのサイドアーク発生の有無を示し、図2中のNo,23〜No,48は、サイドチャージしながらVAR溶解を行う真空アーク溶解装置1でのサイドアーク発生の有無を示している。
図2中のNo,1においては、消耗電極3中に含有されるClの配合量が270質量ppm、Mgの配合量が90質量ppm、つまりチタン原料9(トータル原料)中に含有されるClの配合量が270質量ppm、Mgの配合量が90質量ppmである。
このチタン原料9(No,1)の場合、サイドアークが発生すると予測(サイドアーク発生予兆)とされ、このまま溶解を行うと、サイドアークが発生する虞があることが分かる。
一方、図2中のNo,2においては、消耗電極3中に含有されるClの配合量が290質量ppm、Mgの配合量が100質量ppm、つまりチタン原料9(トータル原料)中に含有されるClの配合量が290質量ppm、Mgの配合量が100質量ppmである。
このチタン原料9(No,2)の場合、サイドアークが発生しないことが分かる。
以降、図2中のNo,3〜No,22も、図2中のNo,2と同様に、サイドアークが発生しないことが分かる。
次に、図2中のNo,26においては、チタン原料9全体に対する消耗電極3の原料割合は30%(質量%,以降同じ)であり、その消耗電極3中に含有されるClの配合量が812質量ppm、Mgの配合量が301質量ppmである。
そして、サイドチャージの原料について、チタン原料9全体に対するチャージ原料10の割合は70%である。また、チタン原料9全体に対するスポンジチタンの割合が20%であり、スクラップチタンの割合は50%である。そのチタン原料9全体に含有されるClの配合量が38質量ppm、Mgの配合量が14.5質量ppmである。
まとめると、チタン原料9(トータル原料)全体に含有されるClの配合量が270質量ppm、Mgの配合量が100質量ppmである。
このチタン原料9(No,26)の場合、サイドアークが発生すると予測サイドアーク発生予兆)とされ、このまま溶解を行うと、サイドアークが発生する虞があることが分かる。
また、図2中のNo,29においては、チタン原料9全体に対する消耗電極3の原料割合は43.2%であり、その消耗電極3中に含有されるClの配合量が416.7質量ppm、Mgの配合量が138.9質量ppmである。
そして、サイドチャージの原料について、チタン原料9全体に対するチャージ原料10の割合は56.8%である。また、チタン原料9全体に対するスポンジチタンの割合が0%であり、スクラップチタンの割合は56.8%である。そのチタン原料9全体に含有されるClの配合量が0質量ppm、Mgの配合量が0質量ppmである。
まとめると、チタン原料9(トータル原料)全体に含有されるClの配合量が180質量ppm、Mgの配合量が60質量ppmである。
このチタン原料9(No,29)の場合、サイドアークが発生することが分かる。
一方、図2中のNo,23においては、チタン原料9全体に対する消耗電極3の原料割合は30%であり、その消耗電極3中に含有されるClの配合量が899.9質量ppm、Mgの配合量が273.3質量ppmである。
そして、サイドチャージの原料について、チタン原料9全体に対するチャージ原料10の割合は70%である。また、チタン原料9全体に対するスポンジチタンの割合が20%であり、スクラップチタンの割合は50%である。そのチタン原料9全体に含有されるClの配合量が43質量ppm、Mgの配合量が26質量ppmである。
まとめると、チタン原料9(トータル原料)全体に含有されるClの配合量が300質量ppm、Mgの配合量が100質量ppmである。
このチタン原料9(No,23)の場合、サイドアークが発生しないことが分かる。
また、図2中のNo,28においては、チタン原料9全体に対する消耗電極3の原料割合は30%であり、その消耗電極3中に含有されるClの配合量が847.4質量ppm、Mgの配合量が223.3質量ppmである。
そして、サイドチャージの原料について、チタン原料9全体に対するチャージ原料10の割合は70%である。また、チタン原料9全体に対するスポンジチタンの割合が40%であり、スクラップチタンの割合は30%である。そのチタン原料9全体に含有されるClの配合量が51質量ppm、Mgの配合量が47.5質量ppmである。
まとめると、チタン原料9(トータル原料)全体に含有されるClの配合量が290質量ppm、Mgの配合量が100質量ppmである。
このチタン原料9(No,28)の場合、サイドアークが発生しないことが分かる。
以降、図2中のNo,24、No,25、No,27、No,30〜No,48も、図2中のNo,23及びNo,28と同様に、サイドアークが発生しないことが分かる。
図3は、図2の実験結果をグラフにまとめたものであり、Mgの配合量が100質量ppm及びClの配合量が290質量ppm付近において、サイドアークが発生すると予測とされることが分かり、Mgの配合量が65質量ppm及びClの配合量が180質量ppm付近において、サイドアークが発生することが分かる。
以上の実験結果より、本願発明者らは、アーク溶解処理(消耗電極3式真空アーク再溶解法)を行うことによってチタン鋳塊12を製造する場合においては、チタン原料9中に含有されるスクラップチタンを20質量%以上にし、少なくともチタン原料9中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上と規定することが望ましいことを見出した。
より好ましくは、チタン原料9中に含有されるスクラップチタンを20質量%以上にすると共に、チタン原料9中に含有されるMg量を100質量ppm以上、Cl量を295質量ppm以上と規定することがよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、本実施形態の製造方法は、純チタンインゴットの製造方法に好適であるが、チタン合金インゴットの製造にも適用可能である。
また、本実施形態の製造方法は、水冷銅るつぼ内の雰囲気が真空時の場合でも、不活性ガス雰囲気(例えば、Ar,Heなど)の場合でも、同様に適用可能である。
また、上記した実施形態では、サイドチャージ式のVAR溶解法を例示して、説明を行ったが、この方法には限定されない。本発明は、サイドチャージを行わないVAR溶解法であっても適用可能であり、効果的にサイドアークの発生を抑制できる。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 真空アーク溶解装置
2 鋳型
3 消耗電極
4 電極支持体
5 開口
6 供給装置
7 ホッパ
8 搬送シュート
9 チタン原料
10 チャージ原料
11 1次鋳塊
12 チタン鋳塊

Claims (3)

  1. チタン原料を含有する消耗電極と鋳型との間にアークを発生させて前記消耗電極を溶解するアーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造するチタン鋳塊の製造方法において、
    前記チタン原料中にはスクラップチタンが20質量%以上含まれる条件において、サイドアークの発生を抑制すべく、前記チタン原料中に含有されるMg量を65質量ppm以上、Cl量を190質量ppm以上として、アーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造する
    ことを特徴とするチタン鋳塊の製造方法。
  2. 前記チタン原料中に含有されるMg量を100質量ppm以上、Cl量を295質量ppm以上として、アーク溶解処理を行うことによってチタン鋳塊を製造することを特徴とする請求項1に記載のチタン鋳塊の製造方法。
  3. 前記チタン原料には、スポンジチタンとスクラップチタンとが含まれ、
    前記スポンジチタンの一部とスクラップチタンとをサイドチャージにより鋳型内に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のチタン鋳塊の製造方法。
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