JP6172811B2 - Ag−Sn合金めっき液及び電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
前記銀めっきとして、電気自動車用のコネクタ、接点として硬質であり、高温耐性のあるAg(合金)めっきが求められている。
また、大電流を印加することができ、低い摩擦係数と、高い耐熱性とが両立されためっき部材及びコネクタ用めっき端子の製造方法として、銅又は銅合金よりなる母材の表面に接触させてニッケル下地めっき層を形成し、最下層および最表層を銀めっき層としてスズめっき層と銀めっき層とを交互に積層した積層構造をニッケル下地めっき層に接触させて形成した後に、加熱を行い、母材の表面を被覆する銀−スズ合金層と、銀−スズ合金層を被覆し、最表面に露出する銀被覆層とを形成する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法は工程数が多く、かつ加熱が必要なため、コストが高くなるなどの問題があった。
銀−スズ合金めっき液としては、ピロリン酸スズ錯体と銀イオンを含むピロリン酸系めつき液にアンチモン0.2乃至1.0g/を含有せしめたことを特徴とする、銀―スズ合金めつき液(特許文献2)等が開示されているが、Snが経時的に析出するため、めっき浴の安定性に問題があった。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)銅素材、もしくは銅めっき膜上に直接、もしくは下地Niめっき膜を介してめっきによって形成される、膜厚が0.1〜100μmであり、Sn品位が10〜30質量%でかつ、Ag−Sn合金めっき膜の硬度が、マイクロビッカース硬さでHv150以上でかつ、大気中で熱処理(200℃×1hr.)したときの硬度低下が、熱処理前の硬度の20%以下であるAg−Sn合金めっき膜を有する電子部品における、前記Ag−Sn合金めっき膜を形成するためのAg−Sn合金めっき液であって、
少なくとも銀イオン濃度5〜40g/L、シアンイオン濃度10〜60g/Lであり、かつ、カルボキシル基を含む酸のSn塩をSnイオン濃度5〜40g/Lになるように含有することを特徴とするAg−Sn合金めっき液。
(2)前記電子部品がコネクタもしくは接点であることを特徴とする前記(1)記載のAg−Sn合金めっき液。
(3)銅素材、もしくは銅めっき膜上に直接、もしくは下地Niめっき膜を介して、前記(1)に記載のAg−Sn合金めっき液を用いて、Ag−Sn合金めっき膜を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
銅めっき膜の厚さは0.1〜10μmが好ましい。
下地Niめっき膜を設けることにより、銅素材又は銅めっき膜の銅成分がAg−Sn合金めっき層に拡散するのを抑制することができ、好ましい。
下地Niめっき膜の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。
前記膜厚が0.1μm未満であると、摩耗により短時間で電気信頼性が低下し、好ましくない。また、前記膜厚が100μmを超えると製造コストが高くなり、好ましくない。
上記めっき膜の膜厚は、蛍光X線膜厚計により測定することができる。
Sn品位が10質量%未満であると、銀めっきの硬度が低く、好ましくない。
Sn品位が30質量%を超えると、電気抵抗が上がり、好ましくない。
上記Ag−Sn合金めっき膜のSn品位は、ICP−AESで銀とSnの定量分析を行い算出することができる。
Ag−Sn合金めっき膜が上記の特性を有することにより、該Ag−Sn合金めっき膜を有する本発明の電子部品は、硬度が要求されるコネクタ、電子部品接点として好ましく用いることができる。
マイクロビッカース硬さの試験は、被膜に測定端子を刺して、その硬さを評価する。
即ち、上記マイクロビッカース硬さは、マイクロビッカース硬さ試験機を用いて、荷重10gで、形成したAg−Sn合金めっき膜を測定した値である(JIS Z 2244、ビッカース硬さ試験−試験方法準拠)。
熱処理(200℃×1hr.)するための加熱方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレートまたは熱風循環式オーブンなどを用いて行うことができる。
カルボキシル基を含む酸とのSn塩の含有量が、Snイオン濃度で5g/L未満であると、Ag−Sn合金めっき膜中のSn品位が低くなり、当該合金めっき膜の硬度が低下し、好ましくない。
40g/Lを超えると、めっき液の安定性が低下して、Ag−Sn合金めっき膜の組成のばらつきが大きくなり、また、Ag−Sn合金めっき膜中のSn品位が高くなることで、電気抵抗率が高くなり、好ましくない。
Sn品位が10〜30質量%であるAg−Snめっき膜を得るには、上記各成分のバランスが重要である。
シアンイオン源となるシアン化合物としては、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム等が挙げられる。銀イオン源となる銀化合物としてシアン化銀、シアン化銀カリウム等を用いた場合、これらもシアンイオン源となる。
浴中のSnの酸化を防止するため、有機芳香族系の酸化防止剤、例えばジヒドロキシナフタレン、ヒドロキシキノリンを添加しても良い。
電気抵抗率としては、30μΩ・cm以下が好ましく、前記Ag−Sn合金めっき液により、9〜30μΩ・cmのAg−Sn合金めっき膜が得られる。
本発明の電子部品は、上述のように硬質であり、加熱による硬さの低下がなく、耐摩耗性に優れ、接触抵抗は上昇しないので、電子機器用接続部品であるコネクタやスイッチに好適に用いることができる。特に、電気自動車に用いられているスイッチの可動接点及び/又は固定接点として好適に用いることができる。
リン青銅基板(C5191,25mm×20mm×0.2mmt)に、銀ストライクめっきを0.05μm行った後、実施例1〜13、または比較例1〜9のAg−Sn合金めっき浴によるAg−Sn合金めっき行なっためっき基板を実施例1〜13、比較例1〜9の供試材とした。Ag−Sn合金めっきは、電流密度2A/dm2、浴温25℃で行った。
また、リン青銅基板(C5191,25mm×20mm×0.2mmt)に、スルファミン酸浴によるニッケルめっきを3μm、銀ストライクめっきを0.05μm行った後、実施例1と同じAg−Sn合金めっき浴によるAg−Sn合金めっきを行なっためっき基板を実施例14の供試材とした。
ステンレス合金(SUS304,25mm×20mm×0.2mmt)に、シアン銅浴による銅めっきを2μm、銀ストライクめっきを0.05μm行った後、実施例1と同じAg−Sn合金めっき浴によるAg−Sn合金めっきを行なっためっき基板を実施例15の供試材とした。
また、めっき膜を、ホットプレートを用い、大気中で200℃×1hrの熱処理を行った後、硬度を同様にマイクロビッカース硬さ試験機(マツザワ製 MMT−X7)で測定した。
接触抵抗測定条件:
装置:山崎式接点シミュレータCRS−1
条件:接点荷重10g(Auプローブ)、摺動距離1mm
摺動摩耗試験条件:
装置:山崎精機研究所製CRS−G2050−JNS
条件:〔荷重〕1.6N、〔摺動範囲〕0.2mm、〔摺動速度〕1mm/s、
〔回数〕5万回
評価基準:
○:<10mΩ
△:10〜100mΩ
×:>100mΩ
評価基準:
○:耐摩耗試験でのめっき被膜削れ量が15mg未満
△:耐摩耗試験でのめっき被膜削れ量が15mg以上30g未満
×:耐摩耗試験でのめっき被膜削れ量が30mg以上
評価基準:
○:1ヶ月以上沈殿の発生がみられなかった。
△:1週間から1ヶ月の間で沈殿の発生がみられた。
×:1週間以下で沈殿の発生がみられた。
Claims (3)
- 銅素材、もしくは銅めっき膜上に直接、もしくは下地Niめっき膜を介してめっきによって形成される、膜厚が0.1〜100μmであり、Sn品位が10〜30質量%でかつ、Ag−Sn合金めっき膜の硬度が、マイクロビッカース硬さでHv150以上でかつ、大気中で熱処理(200℃×1hr.)したときの硬度低下が、熱処理前の硬度の20%以下であるAg−Sn合金めっき膜を有する電子部品における、前記Ag−Sn合金めっき膜を形成するためのAg−Sn合金めっき液であって、
少なくとも銀イオン濃度5〜40g/L、シアンイオン濃度10〜60g/Lであり、かつ、カルボキシル基を含む酸のSn塩をSnイオン濃度5〜40g/Lになるように含有することを特徴とするAg−Sn合金めっき液。 - 前記電子部品がコネクタもしくは接点であることを特徴とする請求項1記載のAg−Sn合金めっき液。
- 銅素材、もしくは銅めっき膜上に直接、もしくは下地Niめっき膜を介して、請求項1に記載のAg−Sn合金めっき液を用いて、Ag−Sn合金めっき膜を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
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