JP6171265B2 - 複式筆記具 - Google Patents
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Description
より詳細には、前記シャープペンシルユニットは芯パイプとシャープペンシル筆記体とを有し、スライダーの前方には芯パイプが固定され、芯パイプの前方にシャープペンシル筆記体を取り付けてなる。ここで、シャープペンシルユニットは、継ぎ手によって芯パイプとシャープペンシル筆記体とを連結しているが、この継ぎ手は大径部とその大径部の前方に形成された小径部を有しており、小径部にはチャックスプリングが張設されている。シャープペンシル筆記体は、一般的なチャック機構を内蔵し、後端にチャック機構と連結した継ぎ手を介して芯パイプに接合し、芯パイプの後端がスライダーの孔部に嵌着されている。芯の繰り出しは、シャープペンシル筆記体の口金の段部が先軸の内段部に当接した状態で、スライダーの前後動によりチャックを連動させて行われる。また、前記ボールペンリフィルは受けパイプと芯ホルダー、そして、ボールペン筆記体とを有し、スライダーの前方には受けパイプが固定され、受けパイプの前方に芯ホルダーを取付けて、その芯ホルダーのチャックによってボールペン筆記体の先端部が突出状態に把持されてなる。そして、各スライダーを、スライダーの前方と中軸先方との間にそれぞれリターンスプリングを付勢して前後動可能に設け、各筆記体のいずれか一本の先端部を先軸の突出孔(先端口)から選択的に突出すると共に、前進位置にある他の筆記体が後退する際には、筆記体の後退時(リターン時)にスライダーと中軸とを衝止させることにより各筆記体の先端部を収納している。
又、ダブルノック式シャープペンシルにおいても、シャープペンシル機構が軸内に収納される際の衝撃により、同様の問題を抱えていた。
参照符号1は、軸本体(軸筒)であり、その軸本体1は、前軸2と後軸3とより構成されている。また、本例において、前軸2は、先部材4と中軸5の螺合構造により構成されているが、凹凸嵌合で圧入されていても良いし、一体的に形成されていても良い。しかし、後述する筆記体の交換や成形の容易性を考慮すると2部材とし、着脱自在に固定した方が良い。また、前記先部材4の内径部には、先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部4aが形成されている。そして、その先部材4の先端には、筆記体が出没する突出孔4bが形成されている。又、先部材4の内径部には、軸本体1の長手方向に長い平面部4cが複数箇所形成されているため、軸本体1(先部材4)が透明な場合には、前記平面部4cによって得られるレンズ効果によって、内部に配置されたシャープペンシルユニット、ボールペンリフィルの色を容易に識別することができ、高級感も得られるようになる(図1〜4、図29を参照)。尚、本実施例では、軸本体1を透明、或いは、着色された半透明な材質によって形成しているが、これに限らず、軸本体を有色不透明な材質から形成しても良い。
前記後軸3の前方には断面の形状が外側に円弧部を有する半月形をした脚部8が120度間隔の位置に形成されている。この脚部8は、スリット6が形成されることにより形成される。よって、筆記体の数によって脚部8の数は変わる。その脚部8の外接円径は、後軸3の最大外径よりも小さく形成されている(図7を参照)。
符号9は、後軸3に一体的に形成されたクリップ部であるが、別部材で構成し後軸3に固定などしても良い。符号10は、前記クリップ部9の前方内面に形成された玉部であって、その玉部10は前記中軸5の表面に当接している。
しかしながら、これに限らず、変形例としてスライダー11Bの側面に3個の孔11Sfが設けられていても良い(図10、図11を参照)。孔11Sfを設ける場合は、スライダー11Bの側面に設けられた3個の孔11Sfは、貫通孔と非貫通孔とから構成されている。具体的に説明すると、解除突起13の近傍に形成されている孔11Sfと、解除突起14の近傍に形成されている孔11Sfは、延出部111を貫通した貫通孔となっており、一方、スライダー11Bの前方部に形成された孔11Sfは非貫通孔となっている(図10を参照)。そして、前記貫通孔である孔11Sfは、幅狭スリット部6aに位置しているものの、その孔11Sfの半分が幅狭スリット部6aから露出している。孔11Sfの半分程度を幅狭スリット部6aから露出させることによって、その孔11Sfに貯留されたゴミや埃を孔11Sfの両開口部から効率的に排出できるようにしているのである。一方、非貫通孔である孔11Sfの一部は、摺動突起12に位置している。即ち、摺動突起12の一部分が孔11Sfによって切り欠かれている。これによって、摺動突起12の前方部分に弾力性が発生し、多少の寸法上のばらつきが発生したとしてもスムーズな摺動動作が得られるようになる。
また、貫通した孔11Sfの内周面のほぼ中央部には、微細な突起が円周上に形成されている。内周面に円周上の突起を形成することによって、スライダーを樹脂成型品とした場合、後述するようにその成形性の向上が図られる。
尚、本例においては、孔11Sfの縦断面形状を円形としているが、楕円や三角、四角、多角形、或いはこれらの組合せた形状としても良いが、スライダー11Sを成形品とした場合には、その成形性を考慮すると丸形状が良い。また、孔11Sfの数は、本例では3箇所としているが、1個所であっても良いし、4個所や5個所などであっても良い。
尚、前記ボールペンリフィル16Bは、インキを収容するポリプロピレンなどの樹脂材質で押し出し成形によって形成されたインキ収容管(パイプ部)16Baと、そのインキ収容管16Baの前方に圧入されたボールペンチップ(筆記部)16Bbなどから構成されている(図12を参照)。インキ収容管16Baに圧入されているため、ボールペンチップ16Bbの外径は、インキ収容管16Baの外径よりも小さい。このため、インキ収容管16Baの前端部には段部が形成される。ここでは、このインキ収容管16Baの前端部を16Bfとする。
ここで、前記スライダー11Bは、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成されているため、その内部に位置する前記接続部材15の色や表示を容易に識別することができる。これに加え、スライダー11Bには平面部11bと曲面部11cが形成されているため、それによって得られるレンズ効果によって、前記接続部材15の色をさらに容易に識別することができるようになる(図13を参照)。
尚、スライダー11Bは、透明、或いは、着色された半透明な材質に限らず、着色不透明な材質から形成しても良い。着色不透明部材とした場合には、その着色した色と略同色のインキが内蔵されているボールペンリフィル16Bを取り付けることで、そのボールペンリフィル16Bの色を視覚的に識別出来る。また、本実施例においては、ボールペンリフィル16Bとスライダー11Bと間に接続部材15を介しているが、この接続部材15はスライダー11Bと一体に形成しても良い。この場合にも、内蔵されているインキの色と略同色のスライダー11Bにボールペンリフィル16Bを取り付けることで、そのボールペンリフィル16Bの色を視覚的に識別出来る。
尚、前記スライダー11Bの前端部には、後述する弾撥部材17Bの外径部を保持する延出部11dが形成されている(図8参照)。延出部11d間の長さは、後述する弾撥部材17Bの外径よりも若干短く形成されており、これによって弾撥部材17Bは延出部11dに圧入された状態となっている。即ち、ボールペンリフィル16Bを交換する際にも弾撥部材17Bがスライダー11Bの前端部から外れないようになっている。また、前記スライダー11Bの接続部材15(後方部15a)に対する挿着力(嵌合力)は、ボールペンリフィル16Bの接続部材15(前方部15b)に対する挿着力(嵌合力)よりも弱く設定されている。即ち、ボールペンリフィル16Bをスライダー11Bに対して離脱させようとすると、ボールペンリフィル16Bと接続部材15が連結された状態でスライダー11Bから離脱する。参照符号17Bは、ボールペンリフィル16B並びにボールペンリフィル16Bに接続するスライダー11Bを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材である(図3参照)。前記弾撥部材17Bは、後述するシャープペンシルユニット16S並びに芯タンク161に接続するスライダー11Sを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材17Sより、ばね定数を高くしている。
尚、本例においては、孔11Sfの縦断面形状を円形としているが、楕円や三角、四角、多角形、或いはこれらの組合せた形状としても良いが、スライダー11Sを成形品とした場合には、その成形性を考慮すると丸形状が良い。また、孔11Sfの数は、本例では3箇所としているが、1個所であっても良いし、4個所や5個所などであっても良い。
更に、前記摺動突起12の前端面と、後述する後方筒部25の間には、後述する弾撥部材17Sの内径部を保持するため、円周の一部である円弧部11Sgが形成されている。円弧部11Sgは、対向した位置にも形成されており、2箇所ある。(図19参照。対向した位置の円弧部11Sgは図示されていない。)。円弧部11Sgの半径は、後述する弾撥部材17Sの内径の半径よりも若干大きく形成されており、これによって弾撥部材17Sは円弧部11Sgに圧入された状態となっている。参照符号17Sは、シャープペンシルユニット16S並びに芯タンク161に接続するスライダー11Sを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材である(図3参照)。前記弾撥部材17Sは、前記ボールペンリフィル16B並びにボールペンリフィル16Bに接続するスライダー11Bを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材17Bより、ばね定数を低くしている。
また、本実施例においては、前記弾撥部材17Sをコイルスプリングからなしており、その弾撥部材17Sの両端に座巻き部(両端座巻き部)を設けると共に、中間の2箇所にも座巻き部(中間座巻き部)を設けている(図3参照)。このように、少なくとも1箇所以上に中間座巻き部を設けることにより、座巻き部以外の有効巻き部を分断し、短くすることで、有効巻き部が、径方向に膨らんで撓むことを防止することが出来る。そして、弾撥部材同士や他部品との擦れによる操作性不良、擦れ傷、擦れによる異音を防止し、良好にシャープペンシルユニットを使用することが出来る。この中間座巻きを有する弾撥部材はボールペンリフィルに用いても同様の効果を得ることができ、有用であるが、シャープペンシルユニットの場合は、ボールペンリフィルの場合と比較して、シャープペンシルユニットを選択・突出させ、係止させた後も芯を繰り出すための押圧操作が必要なため、このように中間座巻き部を有する弾撥部材17Sは、より有用である。
更に、前記弾撥部材17Sにおいて、中間の2箇所に設けた座巻き部(中間座巻き部)は、両端に設けた座巻き部(両端座巻き部)より巻き数を多くするよう異ならしめても良い。両端座巻き部より中間座巻き部の巻き数を多くすることにより、組立前の弾撥部材単体状態において、弾撥部材同士が絡み合うことを防止することが出来る。シャープペンシルユニットの場合は、ボールペンリフィルの場合と比較して、シャープペンシルユニットを選択・突出させ、係止させた後も芯を繰り出すための押圧操作が必要なため、弾撥部材の全長が長くなる。よって、中間の座巻きの巻き数を増やすことは、中央部での弾撥部材同士の絡み防止に有用である。尚、本実施例においては、両端座巻き部を各3巻き、中間座巻き部を各4巻きとしている。
尚、スライダー11Sには、前記スリット6の幅より大きい幅の略半球状のツバ部11Sdが形成されている。そのツバ部11Sdにより幅広になることで、シャープペンシルユニット16Sの突出操作が向上すると共に、芯出し操作も容易に行え、また、その芯出し操作の際、スライダー11Sが後軸3の軸心方向に没入してしまうのを防止する。
シャープペンシルユニット16Sを構成する外装部品の継ぎ手部材162、ガイド筒165、先部材167の材質は、真鍮などによる金属にめっきなどの表面処理を施しても良いし、ポリアセタール、ナイロンなどによる樹脂成形品でも良い。
図30に示すように、チャック体163には、芯把持部163aに対応する外周部163bが形成され、その外周部163bは水平部163cと傾斜面163dで構成されている。水平部163cは、チャック体163の前端近傍からチャック体163の軸線と略平行な周面として形成されている。そして、このチャック体163の水平部163cの後端から後方は、チャック体163の軸心に向かって傾斜した周面である傾斜面163dが形成されている。傾斜面163dは、有効な芯の把持力を得るために軸線方向に対して略3〜4°の緩やかな勾配で形成されている。更に、傾斜面163dの後端から後方にも、チャック体163の軸心に向かって傾斜した周面である案内傾斜面163eが形成されている。案内傾斜面163eは、傾斜面163dより傾斜角度が大きく、チャックリング164を外設し易くしている。この案内傾斜面163eの傾斜角度は、本実施例では、25°としている。案内傾斜面163eの後端は、チャック体163の胴径部163fに接続されている。
尚、チャック体163の前記芯把持部163aの前端は、チャック体163の前端から形成されたR部163iに接続されており、このR部163jは、チャック体163が芯を把持する時の把持力集中を避けるために形成されている。また、チャック体163の前記芯把持部163aの後端は、後方に形成されたテーパー部163hに接続している。このテーパー部163hは、芯が芯把持部163aへ挿通し易くするために形成され、芯が挿通する貫通孔163iに接続している。本実施例にあっては、チャック体163の芯把持部163aの後端は、チャック体163の外周部163bにおける案内傾斜面163eの後端よりも後方に位置している。
ここで、比率K/Dは、14%以上30%未満の範囲とすることが望ましい。比率K/Dは、チャック体163の外周部163bに対する、チャック体163がチャックリング164に締め付けられる範囲である。仮に、この比率K/Dが大きければ、長さKが長いということであり、チャック体163が芯を把持する把持力が強くなり、芯にダメージ(課題な荷重)を与えやすくなる。また、仮に、この比率K/Dが小さければ、長さKが短いということであり、チャック体163の芯を把持する把持力が弱くなり、筆記中に芯が引っ込んでしまう。より具体的には、前記比率K/Dが30%以上の場合には、チャック体163の芯を把持する把持力が強くなり、芯にダメージ(過大な荷重)を与え易くなる。又、14%未満の場合には、チャック体163の芯を把持する把持力が弱くなり、筆記中に芯が引っ込んでしまう。よって、比率K/Dを14%以上30%未満の範囲とすることにより、シャープペンシルユニットの突出状態を解除した際に、その衝撃力による芯の喰いちぎり(折損)を防止することが出来る。
前記芯タンク161と継ぎ手部材162との連結は、継ぎ手部材162の後方に設けられた連結部162aが芯タンク161に嵌合することによってなし、その嵌合は、前記連結部162aの前方に設けられた大径部162bの後方段部162bAの端面に芯タンク161の前端部が当接することで、嵌合完了となる。
又、前記ガイド筒165は、その後方部外形が、後方に向かって順に、大径部165a、後方に縮径するテーパー部165bにより形成されている。テーパー部165bの後端の外径は、継ぎ手部材162の縮径部162cよりも大きく、継ぎ手部材162の大径部162bの外径と略同じである。このテーパー部165bは、後述するシャープペンシルユニット16Sを軸本体1に収納する場合に、インキ収容管16Baの前端部16Bfが、ガイド筒165に引っかかって抵抗とならないようにスムーズに収納するために形成されている。即ち、シャープペンシルユニット16Sを軸本体1に収納する場合には、他のスライダー11Bを押圧し、互いのスライダー11S、11Bの背面に形成されている解除突起13、14を衝突させることによって、スライダー11Sの係合を解除する。このときスライダー11Bは、他のスライダーであるスライダー11Sを若干押圧しているので、押圧された筆記体は、その分前進し、ガイド筒と当接してしまうことがある。しかし、他の筆記体がシャープペンシルユニットのガイド筒と当接してしまったとしても、前記テーパー部165bがあるので、ボールペンリフィル16Bの前端部16Bfによる擦れ抵抗はなく、シャープペンシルユニット16Sの後退動作(収納)をスムーズに行うことが出来る。尚、前記ガイド筒165のテーパー部165bの後方を、テーパー部165から連続して形成された小径部としてもよい。
更に、前記弾撥部材166は、シャープペンシルユニット16Sの出没過程、及び芯繰り出し操作の過程で、他の筆記体と擦れ合って、スライド操作感が悪くなったり、急に操作が重くなったりすることを防ぐために、ガイド筒165などの内方に配置することが好ましい。
例えば、前記芯タンク161は、前記シャープペンシル用のスライダー11Sの前方の連結部21近傍において、屈曲させ(屈曲部161b;図23(a)、(b)参照)、軸本体1に装着した際、シャープペンシルユニット16Sの前方部が軸本体1の中心軸線方向に向かうようにしても良い。この場合、前記芯タンク161は、前記スライダー11Sの前記連結部21に接着などの手段によって着脱不能に固定するなどしても良い。
また、前記連結部21には、ポリプロピレンやナイロンなどの樹脂材質、或いは金属材質からなる円筒状のシャープペンシルユニット16Sの芯タンク161がかしめ加工(かしめ部161a)によって回転不能に接続されていても良い。そのかしめ部161aは、円周状に渡って形成されている。勿論、複数方向からかしめても良いし、適宜選択が可能である。着脱自在にし、回転は不能に挿着されていても良い。
或いは、シャープペンシルユニット16Sの前方を中心方向に向けるために、前記連結部21を屈曲させても良い(図24、図25参照)。具体的に説明すると、前記スライダー11Sの連結部21が、前記スライダー11Sの連結部21を除く後方基部に対して角度を保たせて屈曲させている。
このシャープペンシルユニット16Sの突出過程において、前記スライダー11Sの後部が軸本体1の中心軸線方向に向かって沈み込み、シャープペンシルユニット16Sの前方部が軸本体1の内壁面に接近しようとするが、シャープペンシルユニット16Sは、その後部で回動可能に連結されているため、シャープペンシルユニット16Sの前方部は直線を維持した状態で突出する。
ここで、前述した様にシャープペンシルユニット16Sの弾撥部材17Sは、ボールペンリフィル16Bの弾撥部材17Bよりもばね定数を低くしているため、ボールペンリフィル16Bの弾撥部材17Bよりも強さ(荷重)が低くなる。よって、シャープペンシルユニット16Sを軸本体1から突出させる際の操作感が、ボールペンリフィル16Bを軸本体1から突出させる際の操作感よりも軽くなる。このように、ボールペンリフィル16Bとシャープペンシルユニット16Sとで突出操作時の操作感が異なることで筆記体の違いを容易に識別でき、複式筆記具が使用し易くなる。
又、シャープペンシルユニット16Sは、ボールペンリフィル16Bと比較して、シャープペンシルユニット16Sの先端が前記軸本体1の先端より突出した前進位置から、更に、スライダー11Sを前進方向に操作する芯の繰り出し押圧操作が必要であり、弾撥部材17Sが付勢(圧縮)される距離(ストローク)、回数が多い。よって、ばね定数の小さい方がスプリング荷重を低く出来るので、芯の繰り出しノック圧が低くなり操作がし易くなる。
尚、前記先部材4の前端部から没入状態におけるボールペンリフィル16Bの前端部(段部)16Bfまでの距離をAとする。
ここで、シャープペンシルユニット16Sの先端が前記軸本体1の先端より突出した前進位置において、スライダー11Sのツバ部11Sdの上部11Seを前方方向へ押圧操作すると、シャープペンシルユニット16Sの先部材167が、前記先部材4の内径部の先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部4aに当接し、シャープペンシルユニット16Sの前進移動が阻止される。先部材167の外周面は複数の段部を有しており、各段部において、前方側の先部材167の外径よりも後方側の先部材167の外径の方が大きく形成されている。このため、シャープペンシルユニット16Sが前進せしめられると、シャープペンシルユニット16Sの先部材167は、前記軸本体1の先部材4に当接する。ここで、さらに、スライダー11Sを押圧操作すると、芯タンク161やチャック体163が弾撥部材166の弾発力に抗して前進し、前記大径部162bの前方段部162bBが、ガイド筒165のテーパー部165bの後端に当接することにより前進終了となり、これが芯の繰り出し押圧操作のストロークとなる。丁度、継ぎ手部材162の縮径部162cがガイド筒165の内部に収容される状態である(このときの先部材4の前端から前記大径部162bの前方段部162bBまでの距離をBとする(図33))。これによって芯の繰り出しがなされる。このとき、前述した通り、シャープペンシルユニット16Sの回動範囲は芯タンク161の後端内面部が後方筒部25の表面に接触することによって規制されており、この接触によりスライダー11Sを前方に押圧したとき、芯タンク161の後端内面部が後方筒部25の喰いつくように作用して、スライダー11Sの前方への動きをロスなく、確実にシャープペンシルユニット16S(芯タンク161)に伝達することができるのである。尚、芯の繰り出し押圧操作時におけるシャープペンシルユニットの最大前進状態においては、前記シャープペンシルユニットの前方段部162bBは、前記ボールペンリフィル16Bの前端部(段部)16Bfよりも前方に位置している(B<A)。
この芯繰り出し操作の過程で、スライダー11Sのツバ部11Sdが後軸3の外周面を摺接している。尚、本願発明においては、芯の繰り出し操作過程でスライダー11Sを前後動させた際に、他のボールペンリフィルのスライダー11Bと関わってしまうことはない。即ち、スライダー11S、及び、その前方に設けられたシャープペンシルユニットが単独で前後動する。このため、芯の繰り出し操作時に、ボールペンリフィル(シャープペンシルユニットを除く他の筆記体)まで僅かに前後動作してしまうようなことはない。シャープペンシルユニットの芯の繰り出し操作時には、シャープペンシルユニットのみが、軸本体1に対して前後動する。このようにシャープペンシルユニットのみが、軸本体1に対して前後動することによって、芯繰り出し操作荷重の増加がなく、良好な芯の繰り出し操作を行うことが出来る。
尚、図26(b)は、スライダー11Sが前進した状態を図示している。この状態では、後軸3は、スリット6、並びに、幅狭スリット部6aが大きな空間部となっている。この状態では勿論、更に芯の繰り出し作動を行うと、空間部にゴミや埃などの異物が入り易くなる。その結果、ゴミや埃などの異物がスリット6や幅狭スリット部6aの壁面、及び、スライド面3aに貼り付きやすい状態になっている。
但し、スリット6は外周面に近いのでゴミや埃などの異物は取り除き易く、スライド面3aは、摺動突起12の背面が接しながら摺動しているので、ゴミや埃などの異物は掻き出し易くなっている。しかし、幅狭スリット部6aは、軸心近傍に位置しているため、ゴミや埃などの異物を取り除き難くなっている。そこで、本実施例においては、シャープペンシルユニット16Sを軸本体1に収納する後退動作により、スライダー11Sの孔11Sfが、幅狭スリット部6aのゴミや埃を掻き取るように除去すると共に、孔11Sfに掻き取った異物を貯留するのである。そして、貯留した後においては、孔11Sfの幅狭スリット部6aから露出した部分から排出されるのである。
また、前述したように、芯繰り出し操作は、シャープペンシルユニット16Sの先端が前記軸本体1の先端より突出した前進位置において、スライダー11Sのツバ部11Sdの上部11Seを前方方向へ押圧操作すると、シャープペンシルユニット16Sの先部材167が、前記先部材4の内径部の先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部4aに当接し、シャープペンシルユニット16Sの前進移動が阻止される。ここで、さらに、スライダー11Sを押圧操作すると、芯タンク161やチャック体163が弾撥部材166の弾発力に抗して前進し、前記大径部162bの前方段部162bBが、ガイド筒165のテーパー部165bの後端に当接することにより前進終了となり、これが芯の繰り出し押圧操作のストロークとなる。丁度、継ぎ手部材162の縮径部162cがガイド筒165の内部に収容される状態である(図33参照)。これによって芯の繰り出しがなされる。従って、芯の繰り出し操作の過程において、前記テーパー部165bが、前記前端部16Bfと当接・干渉することによりシャープペンシルユニット16Sが湾曲し、芯繰り出し作動が悪くなることを防ぎ、良好な芯繰り出し作動を得ることが出来る。
先部材167には段部が形成されているが、先端部分なので、他の筆記体と擦れ合うことはない。(図29参照)
(実施例1〜5)
チャック体163の前端から傾斜面163dの後端までの長さDは、1.52mm、1.67mm、1.82mmの3水準を用意する。
又、チャックリング164との組合せは、接触点163gから傾斜面163dの後端までの長さKが、0.25mm、0.35mm、0.47mm、0.50mmになるよう設定する。組合せは、表1の通り。
(比較例1〜4)
チャック体163の前端から傾斜面163dの後端までの長さDは、1.52mm、1.67mmの2水準を用意する。
又、チャックリング164との組合せは、接触点163gから傾斜面163dの後端までの長さKが、0.20mm、0.47mm、0.62mmになるよう設定する。組合せは、表1の通り。
実施例1〜5、比較例1〜4で作製したチャック体163、チャックリング164を組み込んだシャープペンシルユニットを組み立てる。これらシャープペンシルユニットを組み込んだ複式筆記具にて芯折れ試験、芯の耐圧試験を実施した。これらの結果を表1に示す。
(1)芯折れ試験は、シャープペンシルユニット筆記体の係止と解除を、シャープペンシルユニット筆記体のスライダーと他のボールペンリフィルのスライダーを操作して連続で30回繰り返す。そして、シャープペンシルユニット筆記体のスライダーをノックして芯を出し、芯折れの有無を確認する。
◎:芯折れなし(40回以上)。
○:芯折れなし。
×:芯折れ有り。
××:芯折れ有り(15回以内)。
(2)芯の耐圧試験(芯の引っ込み防止)は、芯を約1mm出し、台ばかりなどを用いて芯に鉛直圧縮荷重をかける。6N(600gf)で、芯が先部材内にもぐり込みの有無を確認する。
○:芯引っ込みなし(800gf以上)。
○:芯引っ込みなし。
×:芯引っ込み有り。
××:芯引っ込み有り(300gf以内)。
2 前軸
3 後軸
3a スライド面
4 先部材
4a 円錐部
4b 突出孔
4c 平面部
5 中軸
6 スリット
6a スリット
7 摺動溝
8 脚部
9 クリップ部
10 玉部
11 スライダー
111 延出部
11B ボールペンリフィル用のスライダー
11S シャープペンシルユニット用のスライダー
11Sd ツバ部
11Se 上部
11Sf 孔
11Sg 円弧部
11a 孔
11b 平面部
11c 円弧状の曲面部
11d 延出部
12 摺動突起
13 解除突起
14 解除突起
15 接続部材
15a 後方部
15b 前方部
15c 大径部
15d 嵌合突起
15e 平面部
15f 突起
15g 突起
16B ボールペンリフィル
16Ba インキ収容管(パイプ部)
16Bb ボールペンチップ(筆記部)
16Bc 膨出部
16Bd 膨出部
16Be 内面形状
16Bf 前端部(段部)
16S シャープペンシルユニット
161 芯タンク
161a かしめ部
161b 屈曲部
162 継ぎ手部材
162a 連結部
162b 大径部
162bA後方段部
162bB前方段部
162c 縮径部
163 チャック体
163a 芯把持部
163b 外周部
163c 水平部
163d 傾斜面
163e 案内傾斜面
163f 胴径部
163g 接触点
163h テーパー部
163i 貫通孔
164 チャックリング
164a 内周部傾斜面
164b 傾斜面
165 ガイド筒
165a 大径部
165b テーパー部
166 弾撥部材
167 先部材
168 芯戻り止め部材
17 弾撥部材
17B 弾撥部材
17S 弾撥部材
18 連結部
19 貫通孔
20 溝部
21 連結部
22 前方筒部
23 溝部
24 傾斜面
25 後方筒部
26 前方空間部
27 後方空間部
28 かしめ部
30 隙間
Claims (2)
- 芯の把持・開放を行うチャック体と、そのチャック体の前方を囲繞すると共にチャック体の開閉を行うチャックリングを有するシャープペンシルユニットを、軸筒内に出没可能に配置した筆記具であって、チャック体の芯把持部に対応する外周部を少なくとも、軸線に対して略平行な水平部と、その水平部の後方に位置し、軸線方向に傾斜した傾斜面とから形成すると共に、一方、前記チャックリングの内周部を、軸線に対して略平行に形成し、チャック体がチャックリングに嵌着され、前記チャックリングと前記傾斜面の後端とが接触し、チャック体が芯を把持してチャックリングに締め付けられる間にチャックリングがチャック体と摺動する長さであって、前記チャックリングと前記傾斜面の接触点までの長さをK、前記チャック体の前端から前記傾斜面の後端までの長さをDとしたときに、比率K/Dは14%以上30%未満であることを特徴とするシャープペンシルユニットが出没可能な筆記具。
- 前記チャック体の前端から、そのチャック体の芯把持部の前端までをR部としたことを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシルユニットが出没可能な筆記具。
Priority Applications (1)
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JP2012086908A JP6171265B2 (ja) | 2012-04-05 | 2012-04-05 | 複式筆記具 |
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Family
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Family Applications (1)
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Family Cites Families (2)
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-
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