JP6171115B2 - 油性食品 - Google Patents

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Description

本発明は、飽和脂肪酸含有量が低い油性食品に関する。
油脂が連続相をなす油性食品として、チョコレートやファットクリーム、バタークリームなどが挙げられる。これらに含まれるココアバターや動物脂肪などの天然油脂は、常温で固体である保形性の高い油脂(固体脂)である。そのため、油性食品の形状は含有する固体脂によって保たれている。固体脂を構成する脂肪酸の多くは飽和脂肪酸である。
固体脂としては、大豆油、菜種油、綿実油などの液体油が水素添加された硬化油が知られている。水素添加は、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変換するだけでなく、シス型不飽和脂肪酸をトランス異性体へと変換する。従って、硬化油を構成する脂肪酸の多くは飽和脂肪酸とトランス型の不飽和脂肪酸(以下、トランス型脂肪酸ともいう)である。
上記のように、油性食品の形状を保つには、固体脂を使用する必要がある。それは、比較的多くの飽和脂肪酸やトランス型脂肪酸を含むことを意味する。これらの脂肪酸は、心臓疾患発生のリスクを増加するとされている。それゆえ、WHOのような公的機関は、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の1日あたりの摂取量の推奨上限値を公表している。
油性食品の飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸を低減するいくつかの試みが知られている。例えば、特開昭51−33922号公報には、完全に硬化したパーム核油25乃至75部と16より少ない炭素数の脂肪酸を含まない完全に硬化した植物油脂75乃至25部とのエステル交換油が記載されている。エステル交換油8乃至15部とリノール酸に富む液体植物油92乃至85部をブレンドした食用脂肪組成物が記載されている。そして、該食用脂肪組成物を使用したマーガリンが記載されている。
また、特表2008−543321号公報には、ヨウ素価(IV)33.7のSOS油脂と、70%の高オレイン酸ひまわり油からなる低SAFA(飽和脂肪酸)油脂が記載されている。該低SAFA油脂のSAFA(飽和脂肪酸)含有量は24.3重量%、TFA(トランス型脂肪酸)含有量は0.1重量%である。そして、該低SAFA油脂を90重量%および10重量%のヘーゼルナッツ油からなるフィリングが記載されている。
しかしながら、上記特開昭51−33922号公報や特表2008−543321号公報に記載の油性食品は、飽和脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量が低いので、保形性は有するものの、触れると油性食品が付着しやすく、手や食器を汚してしまう。また、食べた時にも、歯にくっつきやすい。
特開昭51−33922号公報 特表2008−543321号公報
従って、飽和脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量が低く、保形性が良好で、付着の少ない油性食品の開発が望まれていた。
本発明の課題は、飽和脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量が低く、保形性が良好で、付着の少ない油性食品、特に、ココアバターを含む風味良好な油性食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、飽和脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量が低い油性食品に、糖骨格が形成されることで、保形性が良好で、付着の少ない油性食品が得られることが見出された。これにより、本発明が完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)油脂と糖類とを含み、かつ、糖骨格を有する油性食品。
ただし、前記油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含有量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含有量が5質量%以下である。
(2)前記油脂に占める、L3の含有量が10質量%以下である、(1)の油性食品。
ただし、LおよびL3は以下のものを意味する。
L:炭素数16以上の飽和脂肪酸
L3:Lが3分子結合しているトリグリセリド
(3)前記油脂に占める、L2Xの含有量が9〜40質量%である、(1)または(2)の油性食品。
ただし、XおよびL2Xは以下のものを意味する。
X:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
L2X:Lが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド
(4)前記油脂に占める、LX2とX3の合計含有量が50〜79質量%である、(1)〜(3)の何れか1つの油性食品。
ただし、LX2およびX3は以下のものを意味する。
LX2:Lが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
(5)前記油脂に占める、L2MとLM2の合計含有量が0.6〜10質量%である、(1)〜(4)の何れか1つの油性食品。
ただし、M、L2MおよびLM2は以下のものを意味する。
M:炭素数が6〜10の飽和脂肪酸
L2M:Lが2分子、Mが1分子結合しているトリグリセリド
LM2:Lが1分子、Mが2分子結合しているトリグリセリド
(6)前記油脂に占める、ココアバターの含有量が1〜50質量%である、(1)〜(5)の何れか1つの油性食品。
(7)前記油脂の固体脂含有量(SFC)が、10℃で4〜44%、20℃で3〜30%、30℃で1〜15%、である、(1)〜(6)の何れか1つの油性食品。
(8)さらに粉乳を含有する、(1)〜(7)の何れか1つの油性食品。
(9)(1)〜(8)の何れか1つの油性食品が焼成された状態にある、焼成済み油性食品。
(10)製造工程中に、水の添加分散工程、冷却固化工程、および、エージング工程を有する、(1)〜(9)の何れか1つの油性食品の製造方法。
ただし、前記油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含有量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含有量が5質量%以下である。
本発明によれば、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の含有量が低く、保形性が良好で、付着の少ない油性食品を提供できる。特に、ココアバターを含み、口どけが良く、組織と風味が良好な、油性食品を提供できる。また、本発明によれば、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の含有量が低い、焼成済みの油性食品を提供できる。
本発明の油性食品は、油脂が連続相をなす食品である。具体例として、チョコレート、ファットクリーム、バタークリームおよびスプレッドなどが挙げられる。本発明の油性食品は、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の含有量が低い。具体的には、飽和脂肪酸(以下、SFAとも表す)の含有量は、45質量%以下であり、好ましくは13〜41質量%であり、より好ましくは17〜38質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。トランス型脂肪酸(以下。TFAとも表す)の含有量は、5質量%以下であり、好ましくは0〜3質量%であり、より好ましくは0〜2質量%である。本発明の油性食品の油脂含有量は、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜55質量%、さらに好ましくは28〜46質量%である。
本発明の油性食品は、好ましくはチョコレートである。本発明においてチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されない。食用油脂および糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダーなど)、乳製品、香料、乳化剤などを加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、冷却工程など)の一部乃至全部を経て製造されたものである。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含む。
本発明の油性食品における油脂含有量は、原材料として配合される油脂そのものの他に、カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳などの原材料に含まれる油脂(カカオ脂、乳脂など)をも含む。例えば、カカオマスの油脂(ココアバター)含有量は約55質量%(含油率0.55)であり、ココアパウダーの油脂(ココアバター)含有量は約11質量%(含油率0.11)であり、全脂粉乳の油脂(乳脂)含有量は約25質量%(含油率0.25)である。油性食品中の油脂含有量は、各原材料の油性食品中の配合量(質量%)に含油率を掛け合わせた値を合計した値となる。
本発明の油性食品は、糖骨格を形成しているため、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の含有量が低くても、耐熱性に優れる。従って、手で触れても手に付着しにくく、また、喫食時に歯に付着しにくい。また、糖骨格は水溶性のため、喫食されると口の中で速やかに溶解する。本発明の油性食品は、例えば、20℃でn−ヘキサンで湿潤しても、好ましくは30分間以上その形状を保持する。それは、油性食品が糖骨格を有し、油脂がその骨格中に閉じ込められていることを示唆する。本発明の油性食品は、糖骨格の指標として、20℃でn−ヘキサンで湿潤しても、より好ましくは60分間以上その形状を保持する。なお、ここで形状を保持するとは、n−ヘキサンで湿潤しても、形の半分以上が崩れずに残る状態をいう。
上記n−ヘキサンでの湿潤は、例えば、次のように実施ができる。1.チョコレートなどの油性食品を1辺1cmの立方体状に切り出す。2.シャーレ(内径84mm、高さ20mm程度)上に、濾紙(直径70mm程度)を敷き、3ml程度のヘキサンを浸み込ませる。3.切り出した油性食品を、濾紙上に置き、シャーレの蓋をする。
本発明の油性食品に含まれる糖類は、油性食品中の糖骨格形成に寄与する。糖類としては、例として、砂糖(ショ糖)、乳糖、ブドウ糖、麦芽糖、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、還元糖ポリデキストロース、ラフィノース、ラクチュロース、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロースなどが挙げられる。糖類は、糖アルコールであってもよい。本発明の油性食品に含まれる糖類の含有量は、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは35〜60質量%である。
本発明の油性食品は、糖類の1つとしてショ糖を30〜58質量%含有することが好ましい。本発明において油性食品に含まれるショ糖は、糖骨格を形成する重要な成分の1つである。ショ糖は、ショ糖の結晶であるグラニュー糖を粉にした粉糖を使用するのが適当である。本発明の油性食品のショ糖含有量は、好ましくは32〜54質量%、より好ましくは34〜50質量%である。油性食品のショ糖含有量が上記範囲内にあると、油性食品中に糖骨格が形成され易い。
本発明の油性食品は、糖類の1つとして乳糖を1〜20質量%含有することが好ましい。乳糖を含有することで、油性食品の糖骨格の強度を高めることができる。乳糖は、好ましくは結晶質であり、好ましくは結晶として配合される。市販の乳糖のほとんどは、結晶質である。乳糖の結晶は、α−乳糖であってもβ−乳糖であってもよい。α−乳糖は、無水物でも一水和物であってもよい。本発明の油性食品の乳糖含有量は、より好ましくは2〜18質量%であり、さらに好ましくは3〜16質量%である。なお、乳糖が結晶質であるかどうかは、粉末X線回折により確認できる。
本発明の油性食品は、油脂と糖類以外に、一般に油性食品に使用される食品材料を配合できる。例えば、カカオマス、ココアパウダー、乳製品(乳固形類等)、乳化剤、香料、色素等のほか、澱粉類、ガム類、熱凝固性タンパク、いちご粉末や抹茶粉末のような各種粉末類などの、各種食材や各種食品添加物が含まれていてもよい。
本発明の油性食品は、粉乳を4〜32質量%含有することが好ましい。本発明に使用される粉乳は、乳由来の粉末であれば特に制限はない。例として、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、クリームパウダー、バターミルクパウダーが挙げられる。粉乳は1種または2種以上を選択して使用できる。特に、好ましくは全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーが含まれ、より好ましくは全脂粉乳、脱脂粉乳が含まれる。本発明の油性食品に使用される粉乳は、また、上記例示した粉乳のように、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥により、製造されたものが好ましい。本発明の油性食品の粉乳含有量は、より好ましくは8〜28質量%であり、さらに好ましくは12〜24質量%である。油性食品の粉乳含有量が上記範囲内にあると、油性食品は、良好な風味と保形性を有する。
本発明の油性食品の製造は、糖骨格を形成させるために、好ましくは、予め少量の水を添加分散させる工程を有する。以下、チョコレートにおいて、糖骨格を形成させる方法の一例を説明する。糖骨格を有するチョコレートの製造は、好ましくは、融液状態にあるチョコレートに、水を添加分散させる工程(水添加工程)を有する。ここで融液状態とは、チョコレート中の油脂が融解された状態をいう。
水添加工程における融液状態にあるチョコレートの温度は、ノーテンパータイプのチョコレートの場合、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜60℃、さらに好ましくは35〜50℃である。また、テンパータイプのチョコレートの温度は、水添加工程後、後述のシーディング処理する場合は、ノーテンパータイプと同様で良い。しかし、後述のテンパリング処理もしくはシーディング処理の後、水添加工程を採る場合は、テンパータイプのチョコレートの温度は、好ましくは24〜40℃であり、より好ましくは25〜38℃であり、さらに好ましくは26〜36℃である。
水添加工程において添加される水の量は、融液状態のチョコレートに対して、0.1〜5.0質量%であってもよい。水の添加量が融液状態のチョコレートに対して0.1質量%以上であると、糖骨格が十分に形成され、耐熱性に優れたチョコレートが得られる。水の添加量が融液状態のチョコレートに対して5.0質量%以下であると、微生物汚染のリスクを抑制できる。水の添加量は、融液状態のチョコレートに対して、より好ましくは0.3〜3.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%である。
水添加工程において添加される水は、水のみであってもよいが、水と共に水以外の成分を含む組成物(以下、このような組成物を「含水材」という)であってもよい。水添加工程において添加される水は、添加量が同じであっても、水と共に添加する成分によって、融液状態のチョコレートの粘度上昇速度が変化し得る。具体的には、水のみ、又は、水の含有量の高い含水材(果汁、牛乳など)を添加すると、チョコレートの粘度は急激に上昇する。他方、糖液やタンパク液などの含水材を添加すると、比較的緩やかに粘度が上昇する。急激に粘度が上昇すると、融液状態のチョコレート中に水が十分に分散できないため、水添加工程における水は、含水材、特に糖液やタンパク液であることが好ましい。
糖液としては、果糖、ブドウ糖、蔗糖、麦芽糖、オリゴ糖などの糖と水とを含む、還元水飴や果糖ブドウ糖液糖、ソルビトール液などの溶液が挙げられる。タンパク液としては、タンパク質と水とを含む、卵白メレンゲ、濃縮乳、生クリームなどが挙げられる。糖液やタンパク液に含まれる水の含有量は、溶液全体に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。水添加工程において水を含水材の形態で添加する場合、その添加量は融液状態のチョコレートに対する水の量が上記の範囲内となるように添加すればよい。
水添加工程において使用する水や含水材の温度は、水や含水材を添加する融液状態のチョコレートの温度と同程度であることが好ましい。そうすることで、融液状態のチョコレートの温度は一定に保たれ、水や含水材は均一に分散しやすい。水を融液状態のチョコレートに添加した後は、撹拌などにより水をチョコレート中に均一に分散させてもよい。
水添加工程を経た融液状態のチョコレートは、冷却固化してもよい。この工程により、融液状態から固形のチョコレートを効率的に製造できる。
冷却固化の方法は特に限定されない。モールド成形チョコレートや食品への被覆チョコレートといったチョコレート製品に応じて、適宜選択すればよい。融液状態のチョコレートは、例えば、冷却トンネル(クーリングトンネル)での冷風吹付、冷却プレートとの接触、により冷却固化できる。
冷却固化の条件は、融液状態のチョコレートが固化する限り特に限定されない。例えば、冷却温度は、好ましくは0〜20℃、より好ましくは0〜10℃である。冷却時間は、好ましくは5〜90分間、より好ましくは10〜60分間である。
冷却固化後のチョコレートには、さらに「保温処理」する「エージング工程」を適用してもよい。保温処理は、冷却固化後のチョコレートを、好ましくは16〜28℃、より好ましくは18〜24℃において、好ましくは6時間以上、より好ましくは12〜480時間、さらに好ましくは24〜360時間、保温する処理である。保温処理により、チョコレート中の糖骨格をより強固にできる。
チョコレートがテンパータイプのチョコレートである場合、上記水添加工程の前後のどちらかで、テンパリング処理もしくはシーディング処理を行ってもよい。
上記テンパリング処理は、融液状態にあるチョコレートに安定結晶の結晶核を生じさせる操作である。具体的には、例えば、40〜50℃で融解しているチョコレートを、品温を27〜28℃程度まで下げた後に、再度29〜31℃程度まで加温する操作として知られる。テンパリング処理は、水添加工程の前に行うことが好ましい。
上記シーディング処理は、テンパリング処理の代わりに、安定結晶の結晶核として機能するシーディング剤を使用して、融液状態にあるチョコレート中に安定結晶の結晶核を生じさせる処理である。シーディング処理は、テンパリング処理と同様に、チョコレート中の油脂をV型の安定結晶として固化させるために行う。
シーディング処理を行う場合は、シーディング処理と水添加工程の順序はいずれが先であってもよい。また、シーディング剤添加および水添加工程を同時に行ってもよい。つまり、シーディング剤および水を融液状態のチョコレートに同時に添加してもよい。
本発明の油性食品は、糖骨格を有するので、油脂の保形性を維持する固体脂成分の含有量が低く抑えられる。具体的には、本発明の油性食品中の油脂に占めるL3含有量は、10質量%以下であってもよい。なお、本発明において、Lは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、L3はLが3分子結合しているトリグリセリドである。本発明の油性食品中の油脂に占めるL3含有量は、好ましくは0〜8質量%、より好ましくは0〜6質量%である。油脂中のL3含有量が上記範囲内にあると、油性食品は優れた口どけを有する。
本発明の油性食品は、油性食品中の油脂に占めるL2Xの含有量が、9〜40質量%であってもよい。油脂に占めるL2X含有量は、好ましくは11〜35質量%、より好ましくは13〜30質量%である。なお、本発明において、Xは炭素数16以上の不飽和脂肪酸であり、L2Xは、Lが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド(LLX+LXL+XLL)である。
本発明の油性食品は、油性食品中の油脂に占めるLX2とX3の合計含有量が、50〜79質量%であってもよい。油脂に占めるLX2とX3の合計含有量は、好ましくは55〜76質量%であり、より好ましくは58〜73質量%である。なお、本発明において、LX2はLが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド(LXX+XLX+XXL)であり、X3はXが3分子結合しているトリグリセリド(XXX)である。
本発明の油性食品は、油性食品中の油脂に占める、L2MとLM2の合計含有量が0.6〜10質量%であってもよい。油脂に占めるL2MとLM2の合計含有量は、好ましくは1.1〜8質量%であり、より好ましくは1.8〜6質量%である。なお、本発明において、Mは、炭素数が6〜10の飽和脂肪酸であり、L2MはLが2分子、Mが1分子結合しているトリグリセリド(LLM+LML+MLL)であり、LM2はLが1分子、Mが2分子結合しているトリグリセリド(LMM+MLM+MML)である。Mは好ましくは直鎖の飽和脂肪酸である。なお、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは2以上である。
本発明の油性食品は、油性食品中の油脂に占める、トリグリセリドの構成が、上記範囲内にあると、固体脂部分が少なく、飽和脂肪酸およびトランス型脂肪酸の含有量が低くても、口どけに優れ、かつ、ブルームやグレインを生じにくい。なお、LおよびXは、好ましくは炭素数16〜22、より好ましくは炭素数16〜18である、直鎖の脂肪酸である。
また、本発明の油性食品に含まれる油脂は、固体脂含有量(以下、SFCとも表す)が、好ましくは、10℃で4〜44%、20℃で3〜30%、30℃で1〜15%であり、より好ましくは、10℃で4〜36%、20℃で3〜26%、30℃で2〜11%であり、さらに好ましくは、10℃で4〜30%、20℃で3〜22%、30℃で2〜9%であり、最も好ましくは、10℃で4〜26%、20℃で3〜19%、30℃で2〜7%である。
本発明において、脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量は、例えば、AOCS Ce1f−96に準じて測定できる。また、L3含有量、L2X含有量、LX2含有量、X3含有量、L2M含有量およびLM2含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定できる。また、油脂食品に含まれる油脂のSFC(%)は、製菓油脂ハンドブック(Confectionary Fat Handbook、THE OILY PRESS出版、ISBN 0-9531949-4-9)の72頁表3.1に記載の方法3(Method 3)に準じて、測定できる。このとき、測定前の油脂は、10℃で1時間冷却し、20℃で2日間エージングの温度調整が行われる。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含有量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含有量が5質量%以下である要件を満たせばよい。したがって、本発明の油性食品に使用する油脂は、上記要件を満たすように、食用に適する油脂を適宜使用すれば良い。しかし、本発明の油性食品に使用する油脂は、以下の油脂A、油脂B、油脂C、油脂Dおよび油脂Eの中から選択される1種以上の油脂を含むことが好ましい。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、好ましくは、非ラウリン系油脂を分別処理した低融点部である、油脂Aを含有する。ここで、非ラウリン系油脂とは、全構成脂肪酸中に炭素数16以上の脂肪酸を90質量%以上含有する油脂のことである。非ラウリン系油脂の具体例としては、大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、パーム油や、これらの混合油、これらの油脂又は混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油など)が挙げられる。油脂Aは、ヨウ素価が62以上であることが好ましく、また、以下の(s)〜(v)の条件を満たすことが好ましい。
(s)L3含有量が5質量%未満
(t)L2X含有量が10〜40質量%
(u)LX2含有量が45〜75質量%
(v)X3含有量が2〜22質量%
上記の(s)から(v)の条件において、L、X、L3、L2X、LX2およびX3は、すでに述べたとおりである。
上記油脂Aは、具体的例として、次に説明する油脂A−1、油脂A−2、油脂A−3が挙げられる。油脂A−1は、パーム油もしくはパーム分別油あるいはそれらの混合油を分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。上記ヨウ素価が62以上である低融点部は、好ましくは、パーム油を2回以上分別した低融点部(パームスーパーオレイン)である。分別方法は、通常パーム系油脂の分別に用いられる、乾式分別、乳化分別(湿式分別)、溶剤分別などを適宜適用できる。
油脂A−2は、原料としてパーム系油脂を40質量%以上含むエステル交換油脂を単独で分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。あるいは、該エステル交換油脂40〜90質量%とパーム系油脂10〜60質量%との混合油を分別したヨウ素価が62以上である低融点部である。エステル交換方法は、従来公知の方法を適用できる。分別方法は、上記と同様の方法を適用できる。ここで、パーム系油脂とは、パーム油自体や、パーム油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油など)のことである。パーム系油脂の具体例としては、パーム油、パームオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリンなどが挙げられる。
上記油脂A−2の原料油脂である、分別前のエステル交換油脂は、好ましくは、その構成脂肪酸中のパルミチン酸含有量が30〜50質量%、ステアリン酸含有量が10〜29質量%、オレイン酸含有量が20〜40質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が15質量%未満である。より好ましくは、その構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が2質量%未満、パルミチン酸含有量が33〜47質量%、ステアリン酸含有量が13〜27質量%、オレイン酸含有量が23〜37質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が12質量%未満である。さらに好ましくは、その構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が1質量%未満、パルミチン酸含有量が35〜45質量%、ステアリン酸含有量が15〜25質量%、オレイン酸含有量が25〜35質量%、リノール酸とリノレン酸の合計含有量が10質量%未満である。
油脂A−3は、SX2を50質量%以上含有する油脂である。ここで、Sはステアリン酸を示し、Xは炭素数16以上の不飽和脂肪酸を示し、SX2はSが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリドを示す。油脂A−3の具体例としては、カカオ代用脂の原料油脂である、サル脂、シア脂、モーラー脂、マンゴー核油、アランブラッキア脂、ペンタデスマ脂などのSOS(1,3−ジステアロイル−2−オレオイルグリセロール)を30質量%含有する油脂を分別した低融点部が挙げられる。また、SOSを30質量%含有する油脂は、既知の方法に基づいて、ハイオレイックヒマワリ油とステアリン酸エチルエステルの混合物を、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いてエステル交換反応を行い、脂肪酸エチルエステルを蒸留により除去した油脂であってもよい。分別方法は、上記と同様の方法を適用できる。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、好ましくは、10℃で液体油である油脂Bを含有する。油脂Bは、より好ましくは5℃で液体である。油脂Bの例としては、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、綿実油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、紅花油、高オレイン酸紅花油、コーン油、米油、スーパーパームオレインが挙げられる。油脂Bは、好ましくは、油脂を構成する脂肪酸全量に占めるオレイン酸の含有量が50質量%以上である液体油である。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、好ましくは、油脂Cを含有する。油脂Cは、ヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸全量に占める炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂である。油脂Cは、好ましくは非ラウリン系の天然油脂の極度硬化油である。非ラウリン系の天然油脂の極度硬化油の例としては、大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、パーム油、パーム分別油などの極度硬化油が挙げられる。非ラウリン系の天然油脂の極度硬化油は、好ましくは菜種油の極度硬化油であり、より好ましくはハイエルシン菜種油の極度硬化油である。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、好ましくは、油脂Dを含有する。油脂Dは、L2MとLM2の合計含有量が30質量%以上である油脂である。具体例としては、10〜60質量部(より好ましくは10〜50質量部)の構成脂肪酸が炭素数6〜10の脂肪酸からなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)と、40〜90質量部(より好ましくは50〜90質量部)の上記油脂C(ヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸全量に占める炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂)との混合油脂のエステル交換油脂が挙げられる。油脂Dは、油脂Cである極度硬化油の代わりに非ラウリン系の天然油脂を使用した混合油脂をエステル交換した後、極度硬化した油脂でもよい。また、これらの油脂をさらに分別することにより、L2MとLM2の含有量を高めてもよい。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、好ましくは、油脂Eを含有する。油脂Eは、L2Xを30質量%以上含有する油脂である。具体例としては、カカオ脂、サル脂、シア脂、モーラー脂、マンゴー核油、アランブラッキア脂、ペンタデスマ脂、パーム油や、それらの分別高融点部および中融点部が挙げられる。また、油脂Eは、上記油脂A−2の原料油脂である、エステル交換油脂の分別中融点画分であってもよい。油脂Eは、L2Xを50質量%以上含有することが好ましい。
上記油脂Eは、特にココアバター(カカオ脂)を含むことが好ましい。本発明の油性食品に含まれる油脂は、ココアバターの含有量が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜35質量%、最も好ましくは5〜25質量%である。
本発明の油性食品に含まれる油脂は、油脂Aを好ましくは10〜45質量%、より好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%含有する。また、油脂Bを好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜75質量%、さらに好ましくは50〜75質量%含有する。また、油脂Cを好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは1〜6質量%含有する。また、油脂Dを好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1.5〜12質量%、さらに好ましくは2〜8質量%含有する。また、油脂Eを好ましくは5〜40質量%、より好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは5〜25質量%含有する。
本発明の油性食品は、糖類と油脂とを含む原材料に、水を、0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.3〜3.0質量%、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%含ませる。本発明の油性食品は、適度な調温により糖骨格を形成させる以外は、通常の方法により製造できる。また、糖骨格を有する本発明の油性食品は、焼成しても焼き崩れしにくいので、簡単に焼成済みの油性食品が製造できる。本発明の油性食品は、好ましくは110〜240℃、より好ましくは120〜200℃で焼成される。
本発明の油性食品は、例えば、チョコレート、ファットクリーム、バタークリームおよびスプレッドなどの形態で、菓子、パンなどの食品と組み合わせることもできる。
次に実施例により本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されない。
〔分析方法〕
脂肪酸含有量およびトランス型脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準拠した方法で測定した。
L3含有量、L2X含有量、LX2含有量、X3含有量、L2M含有量およびLM2含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準拠した方法で測定した。
〔油脂Aの調製〕
8.8質量部のハイオレイックヒマワリ油、48.4質量部のパームステアリン(ヨウ素価36)、18.8質量部の大豆油の極度硬化油および24.0質量部のパーム油を混合した。得られた混合油(パルミチン酸含有量40.9質量%、ステアリン酸含有量20.0質量%、オレイン酸含有量30.6質量%、リノール酸含有量6.3質量%、リノレン酸含有量0.2質量%、トランス型脂肪酸含有量0質量%)を、ランダムエステル交換反応することにより、エステル交換油脂が得られた。エステル交換反応は、常法に従って行った。すなわち、十分に乾燥した原料油脂に対して、ナトリウムメトキシドを0.2質量%添加した。添加後、減圧下、120℃で0.5時間、攪拌しながら、反応を行った。得られたエステル交換油脂を、36〜38℃でドライ分別した。これにより、高融点部が除去され、低融点部が得られた。得られた低融点部を0〜2℃で溶剤分別(アセトン使用)した。これにより、高融点部が除去され、低融点部が得られた。得られた低融点部を脱臭処理して、油脂A(ヨウ素価:64.9、L3含有量:0.1質量%、L2X含有量:28.4質量%、LX2含有量:55.4質量%、X3含有量:10.9質量%、TFA含有量:0.1質量%)を得た。
〔油脂B、Cの準備〕
菜種油(日清オイリオグループ株式会社製)を油脂Bとした。
ハイエルシン菜種油の極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)を油脂Cとした。
〔油脂Dの調製〕
86質量部の菜種油および14質量部のMCT(商品名:ODO、炭素数8と10の脂肪酸からなるMCT、日清オイリオグループ株式会社製)を混合し、油脂Aと同様にランダムエステル交換した。得られたエステル交換油脂を、極度硬化し、さらに溶剤分別して、低融点部が得られた。得られた低融点部を脱臭処理して、油脂D(L2MとLM2との合計含有量82.7質量%、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比4.1)を得た。
〔チョコレートの調製1〕
比較例1および実施例1〜4のチョコレートの配合は、表1に従った。常法により、混合、微粒化、精練することにより、融液状態のチョコレートを得た。表中で水の添加「有り」のチョコレートについては、果糖−ブドウ糖の液糖(水分25質量%)を、37℃で融液状態のチョコレート100質量部に対して、4質量部添加分散させた。その後、融液状態のチョコレートを10℃で冷却固化し、20℃で14日間、静置した。これにより、比較例1および実施例1〜4のチョコレートが得られた。
〔チョコレートの評価1〕
上記で調製した比較例1および実施例1〜4の各チョコレートの口どけを、以下の基準に従って、5名の専門パネラーが、総合的に評価した。また、以下の基準に従って、各チョコレートの組織の状態を観察し、評価した。さらに、以下の方法に従って、1辺1cmの立方体状に切り出した各チョコレートのヘキサン湿潤テストを行った。ヘキサン湿潤テストにおいて、チョコレートが50%以上形状を保持していると、チョコレートは、保形性が良好で、付着が少ないと判断できる。評価結果を表1に示した。
(口どけ)
◎:口どけがスムーズで良好である
○:口どけが良好である
△:ふつう
▲:ザラツキ感があり、好ましくない
×:ザラツキ感がつよく、非常に好ましくない
(組織の状態の評価基準)
◎:組織が非常にスムーズで良好である
○:組織がスムーズで良好ある
△:表面はやや粗いが、内部はスムーズである
▲:表面が粗く、内部もやや粗く、好ましくない
×:表面、内部とも粗く、非常に好ましくない
(ヘキサン湿潤テスト)
シャーレ(内径84mm、高さ20mm)上に置かれた濾紙(直径70mm)に、3mlのヘキサンを浸み込ませた後、1辺1cmの立方体状に切り出したチョコレートを載せ、蓋をする。20℃で120分間静置後、状態を観察し、以下の基準に従って評価した。

◎:100%形状を保持している
○:80%以上形状を保持している
△:50%以上80%未満形状を保持している
▲:30%以上50%未満形状を保持している
×:1辺1cmの立方体状に切り出せないほど軟らかい
もしくは、ほぼ崩壊している
Figure 0006171115
〔実施例5〕
上記実施例4のチョコレート配合において、砂糖の配合を44.35質量%から36.35質量%へと8質量%減らし、代わりに乳糖(結晶質)を8質量%加えたチョコレート原料を準備した。〔チョコレートの調製1〕と同様にチョコレートを調製し、〔チョコレートの評価1〕と同様にヘキサン湿潤テストを行った。結果、ヘキサンで湿潤し、20℃で120分間静置後の評価は◎(チョコレートは完全に形状を保持していた)であった。
〔焼成済みチョコレートの調製1〕
上記、比較例1および実施例1〜4のチョコレートを、200℃のオーブンで2分間焼成することにより、焼成済みチョコレートを調製した。実施例1〜4のチョコレートは、形状が崩れることなく、焼成できた。しかし、比較例1のチョコレートは、焼成により、形状が完全に崩れてしまった。
本発明に係る油性食品は、以下の油性食品であってもよい。
油脂と糖類とを含み、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含量が5質量%以下、である油性食品であって、糖骨格を有する油性食品。
本発明に係る油性食品の製造方法は、以下の油性食品の製造方法であってもよい。
油脂と糖類とを含み、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含量が5質量%以下、である糖骨格を有する油性食品の製造方法であって、製造工程中に、水の添加分散工程、冷却固化工程、および、エージング工程を有する、前記糖骨格を有する油性食品の製造方法。

Claims (10)

  1. 25〜55質量%の油脂と30〜65質量%の糖類とを含み、かつ、0.3〜3.0質量%の水が添加分散された状態にある、糖骨格を有する油性食品であって、前記油脂は、油脂を構成する脂肪酸全量に占める、飽和脂肪酸の含有量が45質量%以下、および、トランス型脂肪酸の含有量が5質量%以下であり、固体脂含有量(SFC)が10℃で4〜36%、20℃で3〜26%、30℃で2〜11%である、油性食品(ただし、結晶ブドウ糖、果糖、結晶ソルビトール、粉末水飴、粉末水添水飴の一種又は二種以上を含む油脂性菓子生地を型に注入し80℃以上にて数秒から数十分間加熱し固化させることを特徴とする耐熱性の優れた油脂性菓子を除く)。
  2. 前記油脂に占める、L3の含有量が10質量%以下である、請求項1に記載の油性食品。
    ただし、LおよびL3は以下のものを意味する。
    L:炭素数16以上の飽和脂肪酸
    L3:Lが3分子結合しているトリグリセリド
  3. 前記油脂に占める、L2Xの含有量が9〜40質量%である、請求項1または2に記載の油性食品。
    ただし、XおよびL2Xは以下のものを意味する。
    X:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
    L2X:Lが2分子、Xが1分子結合しているトリグリセリド
  4. 前記油脂に占める、LX2とX3の合計含有量が50〜79質量%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の油性食品。
    ただし、LX2およびX3は以下のものを意味する。
    LX2:Lが1分子、Xが2分子結合しているトリグリセリド
    X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
  5. 前記油脂に占める、L2MとLM2の合計含有量が0.6〜10質量%である、請求項1〜4の何れか1項に記載の油性食品。
    ただし、M、L2MおよびLM2は以下のものを意味する。
    M:炭素数が6〜10の飽和脂肪酸
    L2M:Lが2分子、Mが1分子結合しているトリグリセリド
    LM2:Lが1分子、Mが2分子結合しているトリグリセリド
  6. 前記油脂に占める、ココアバターの含有量が1〜50質量%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の油性食品。
  7. 前記油脂が、油脂A、油脂B、油脂C、油脂Dおよび油脂Eの中から選択される1種以上の油脂を含有する、請求項1〜6の何れか1項に記載の油性食品。
    ただし、油脂A、油脂B、油脂C、油脂Dおよび油脂Eは以下のものを意味する。
    油脂A:非ラウリン系油脂の分別低融点部
    油脂B:10℃で液体である油脂
    油脂C:ヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸全量に占める炭素数16以上の飽和脂肪酸の含 有量が90質量%以上の油脂
    油脂D:L2MとLM2の合計含有量が30質量%以上である油脂
    油脂E:L2Xを30質量%以上含有する油脂
  8. さらに粉乳を4〜32質量%含有する、請求項1〜7の何れか1項に記載の油性食品。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の油性食品が焼成された状態にある、焼成済み油性食品。
  10. 製造工程中に、水の添加分散工程、冷却固化工程、および、エージング工程を有する、請求項1〜9の何れか1項に記載の油性食品の製造方法。
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