以下,図面を用いて各実施形態について説明する。
以下では,本発明における試料台ユニット24の詳細及び当該試料台ユニットが適応される荷電粒子線装置36について説明する。ただし,これは本発明の単なる一例であって,本発明は以下説明する実施の形態に限定されるものではない。本発明は,荷電粒子線35を照射することによって試料を観察する装置,例えば走査電子顕微鏡,走査イオン顕微鏡,走査透過電子顕微鏡,これらと試料加工装置との複合装置,またはこれらを応用した解析・検査装置にも適用可能である。なお,本発明における試料台ユニット24と当該試料台ユニット24が載置される荷電粒子線装置36とにより,透過荷電粒子線像の観察が可能な観察システムを構成する。
本明細書において「試料台」とは発光素子23を固定するための部材であり,発光素子の下部,もしくは側面にある。「試料台ユニット」とは試料を載置した状態で荷電粒子線装置から試料とともに取り外しできるユニットのことを意味する。具体的には,以下で説明するように,当該「試料台ユニット」は発光素子23と試料台25,集光手段とによって構成されていてもよく,発光素子のみで構成されていてもよい。「試料ステージ」は試料台ユニットや光検出器等によって構成されていてもよく,発光素子のみで構成されていてもよく,荷電粒子線装置2の試料室内で観察視野の移動を可能とする構造体を指す。なお、試料9は例えば生体試料、高分子材料等の一次荷電粒子線を透過するものであれば何でも構わない。
はじめに,本実施例の概要に関して説明する。本実施例では,試料内部を透過または散乱した荷電粒子線を光に変換し,その光を検出することで透過荷電粒子線像を生成する荷電粒子顕微鏡,観察システムについて説明する。より具体的には,試料が載置される試料台の少なくとも一部は荷電粒子線の照射により発光する発光素子で形成され,当該発光素子上にある試料を透過または散乱した荷電粒子線が当該発光素子に照射されることで光が発生し,荷電粒子顕微鏡に備えられた検出器でこの光を検知することで,透過荷電粒子線像を生成する。つまり,本実施例では試料を透過した荷電粒子線を直接検出するのではなく,光に変換して検出する。以下に詳述するように,荷電粒子線を光に変換する発光素子は外部から接続される電源ケーブルや信号線等の配線が不要である。そのため,同じ試料台を用いて荷電粒子線顕微鏡とその他の装置で観察することができ,装置間の試料の移動に際し電気配線の着脱が不要となる。また,発光素子自体または発光素子を有する試料台を簡単に着脱できるので,どのような試料でも試料台上に載置出来る。このような構成は特に,顕微鏡観察用の試料台上で試料自体を培養させる必要がある培養細胞などを観察する場合に有効である。
図1に示すように,本実施例の試料台25を用いた場合,荷電粒子線顕微鏡による観察と光学顕微鏡29などの他の装置による観察を同じ試料台25で行うことができる。図1には本実施例における荷電粒子線を光に変換または増幅して発光させることが可能な発光素子23(検出素子ともいう)と発光素子23を支持する支持部材21を具備する試料台25と,発光素子からの光を集光する集光手段50と,光検出器4と,荷電粒子線顕微鏡2と,光学顕微鏡29を示す。試料9は試料台25の上に載置される。
本実施例において,この試料台25に具備された発光素子23は透明な部材で作られていることが望ましい。以下,本明細書において,「透明」とは,特定の波長領域の可視光もしくは紫外光もしくは赤外光が通過可能,またはすべての波長領域の可視光もしくは紫外光がもしくは赤外光通過可能ということとする。紫外光は波長がおおよそ10〜400nmであり,可視光は波長がおおよそ380nmから750nmであり,赤外光とは波長がおおよそ700nm〜1mm(=1000μm)程度の波長の領域のことを言う。例えば,多少の色が混在していても透けて見えれば特定の波長領域の可視光が通過可能ということであり,無色透明であればすべての波長領域の可視光が通過可能という意味である。ここで「通過可能」とは少なくとも当該波長領域の光によって光学顕微鏡29による観察が可能な光量の光が通過することを指す。典型的には透過率50%以上であることが望ましい。
また,ここで特定の波長領域とは少なくとも光学顕微鏡29の観察に用いる波長領域を含む波長領域である。そのため,本実施例の試料台25の一面側からの光が試料9を透過することによって得られる「光透過信号」を試料台25のもう一面側から検出することが可能な一般的な光学顕微鏡29(典型的には透過型光学顕微鏡29)に用いることが可能である。光学顕微鏡29としては,生物顕微鏡,実体顕微鏡,倒立型顕微鏡,金属顕微鏡,蛍光顕微鏡,レーザ顕微鏡等,像観察に光を利用する顕微鏡ならばどんなものでもかまわない。また,ここでは説明のために「光学顕微鏡」と記載するが,本発明は画像の拡大率に関らず,試料9に光を照射することで情報を取得する装置一般に適用可能である。
本実施例では,荷電粒子線顕微鏡2内で発生された荷電粒子線が試料に照射された後に試料9の内部を透過または散乱した「透過荷電粒子信号」を,試料台25に具備された発光素子23にて光に変換して検出することにより,透過荷電粒子顕微鏡画像として取得できる。
また,荷電粒子線顕微鏡2と光学顕微鏡29では得られる情報が異なるため,近年は荷電粒子線顕微鏡2光学顕微鏡29の両方で同一試料9を同一視野で観察したい要求が増えている。しかしながら,例えば特許文献1の検出器兼試料台は光が透過できず,実質的に光学顕微鏡29では観察が困難なため,専ら荷電粒子線顕微鏡向けの試料台であった。このため,荷電粒子線顕微鏡向けの試料9と光学顕微鏡29向けの試料9を別々に作製する必要があり,試料作製に手間がかかる等の課題があった。
以下で,試料台ユニット,試料搭載方法,画像取得原理,装置構成等の詳細に関して説明する。
図2を用いて,本実施例における試料台25の詳細について説明する。本実施例の試料台25は荷電粒子線を光に変換する発光素子23とそれを支持する支持部材21(透明である場合には透明部材ともいう)から構成される。光学顕微鏡29での観察と荷電粒子顕微鏡での観察を同じ試料台で行う場合には,発光素子23と支持部材21を含む試料台25は透明であることが望ましい。試料は発光素子23上に直接載置される。または,後述するように膜などの部材を介して間接的に載置されても良い。支持部材21は無色透明であることが望ましいが,多少の色が混入していてもかまわない。例えば,支持部材21の材料として,透明ガラス,透明プラスチック,透明の結晶体などがある。蛍光顕微鏡などで観察する場合は蛍光が吸収されない方が望ましいため,透明プラスチックが好ましい。本実施例の試料台25では,少なくとも,試料9が配置される箇所と試料台25において試料9が配置される箇所と対向する面との間にある発光素子23と支持部材21とが「透明」であれば光学的な顕微鏡観察が可能である。なお,後述するように支持部材21は必須の構成ではない。
発光素子23は,例えば数keVから数100keVぐらいまでのエネルギーで飛来する一次荷電粒子線を検知し,一次荷電粒子線が照射されると可視光や紫外光や赤外光などの光を発光する素子である。本実施例の試料台25に用いられる場合,当該発光素子23は試料台25に載置された試料9の内部を透過または散乱した荷電粒子を光に変換する。発光素子23としては例えばシンチレータ,ルミネッセンス発光材,YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)素子やYAP(イットリウム・アルミニウム・ペロブスカイト)素子などである。発光波長は,可視光,紫外光,赤外光のうち特定のまたは任意のいずれかの波長領域であればよい。シンチレータの例としてはSiNなど無機材でできた無機シンチレータや,ポリエチレンテレフタレートなど発光することが可能な材料が含有するプラスチックシンチレータあるいは有機シンチレータや,アントラセンなどが含有した液体シンチレータが塗布された材料などである。荷電粒子線を光に変換可能な素子であれば発光素子23はどのような材料であってもかまわない。
なお,発光素子23は着脱可能な固体に限らず,荷電粒子線が照射されることによって蛍光を発生する蛍光剤がコーティングされた薄膜やサンプル内に吸収し,荷電粒子線の照射により発光する微粒子でもよい。本実施例では,これらも含め,荷電粒子を受けることにより光を発生する部材を総称して発光素子23と称する。荷電粒子線の固体内平均自由行程は荷電粒子線の加速電圧(照射エネルギー)に依存し,数十nmから数十μmである。このため,発光素子23内の発光領域は,試料9を透過した荷電粒子線の侵入する領域とほぼ一致する。よって,発光素子23で発生する光を効率良く捕集するためには,発光素子23の厚みは試料9を透過する荷電粒子線が発光素子23に侵入する深さを上回っていればよい。一方,光学顕微鏡29による観察を同じ試料台で行う場合は,光信号をできるだけ多く透過させる必要がある。このため,多少の色が混入した発光素子23を用いる場合は,発光素子23の厚みは薄い方が好ましい。
本発明で使用される光検出器4として,フォトダイオードや光電子増倍管(ホトマルチプライヤ,PMTともいう)がある。これらについて,以下で説明する。
フォトダイオードは簡易な回路で動作可能,小型のため設置場所の制限が少ない,ノイズが少ないなどの利点がある。しかし,出力信号が小さく,低S/Nが欠点となる。このため,フォトダイオードを検出器として使用する場合は,出力電流を増幅するためのプリアンプを検出器近傍に設置するとよい。
光電子増倍管は検出面から入射した光を光電子に変換し,その電子をダイノードで最大約6桁程度の増幅率で検出できる素子である。検出器自体に増幅機能があるため,信号を強く出来る利点があり,また,ダイノードの印加電圧で検出感度を調整できる。これにより,荷電粒子線の透過率が異なる構造物を多く含む試料の観察で使用した場合に,光電子増倍管の検出感度を変えて多様な試料情報が得られる。しかし,フォトダイオードと比べサイズが大きく設置自由度が小さい欠点がある。また,センサ動作のために1kV程度の電圧印加が必要であり,外部から高電圧配線用のフィードスルーや電界が外に漏れないシールド線を接続して使用される。高電圧増倍管と高電圧用回路を組合せて搭載したセンサもあるが,サイズが更に大きくなり,設置場所の制約を受けやすい。
光検出器は光電子増倍管のように自身で増幅作用を有する検出器でもよいし,フォトダイードのように光から電流への変換機能しか有さないものでもよい。
集光手段50とは,試料を通過した荷電粒子線が発光素子23により変換された光を
集めて光検出器4の検出面5にて検出させる手段である。具体的には、視野移動や傾斜角度を変えるために試料台ステージが可動(XY軸及びZ軸,傾斜回転軸θ軸)した場合でも,光検出器4の検出面5に対して集光される光量の変化を最小限に抑えるように設置された部材である。主に光学レンズ,フレネルレンズ,プリズム,鏡の組み合わせなどにより実現する。試料台ユニットの構造に適した集光手段を設計・作成して適用することで,検出光量の変化を最小限に抑えることができる。
光伝達経路203は単なる空間でもよいが、発光素子23からの光を伝達することが可能なガラスや石英やプラスチックなどの光伝達物質であってもよい。光伝達経路の少なくとも一部を構成する部材を光伝達部材と称することとする。光伝達部材は例えば支持体33やライトガイドなどの光伝達物質である。また、光伝達経路の途中にレンズなどの集光部材やミラーなどの反射部材がある場合には、これらも光伝達部材に含まれるものとする。
ここで,図5に一般的な荷電粒子線装置に本実施例の試料台ユニット24を搭載した装置の構成例を記載する。荷電粒子顕微鏡2は,主として,荷電粒子光学鏡筒を装置設置面に対して支持するための筐体10(以下,真空室と称することもある)およびこれらを制御する制御系によって構成される。荷電粒子顕微鏡2は荷電粒子光学鏡筒3と筐体10の内部は真空ポンプ7により試料室内の圧力が制御される。真空ポンプ7の起動および停止動作も制御系により制御される。図5中に記載されている真空ポンプ7は一つのみであるが,二つ以上あってもよい。
荷電粒子光学鏡筒3は,一次荷電粒子線を発生する荷電粒子源11,発生した荷電粒子線を集束して鏡筒下部へ導き,一次荷電粒子線を試料上に収束するためのレンズ1などの要素により構成される。荷電粒子光学鏡筒3は筐体10内部に突き出すように設置されており,真空封止部材20を介して筐体10に固定されている。荷電粒子光学鏡筒3の端部には,上記一次荷電粒子線35の照射により得られる二次的荷電粒子(荷電粒子線装置が電子顕微鏡の場合は二次電子または反射電子等)を検出する検出器38が配置される。検出器38は図示した位置ではなくても筺体10内部であればどこでもよい。
試料9に到達した荷電粒子線によって試料9内部または表面から反射荷電粒子や透過荷電粒子などの二次的荷電粒子を放出する。この二次的荷電粒子を検出器38にて検出する。検出器38はエネルギー数keV〜数100keVで飛来する荷電粒子線を検知及び増幅できる素子である。例えば,シリコン等の半導体材料で作られた半導体検出器や,ガラス面またはその内部にて荷電粒子信号を光に変換することが可能なシンチレータ等である。
本実施例の荷電粒子顕微鏡は,制御系として,装置使用者が使用するコンピュータ14,コンピュータ14と接続され通信を行う上位制御部15,上位制御部15から送信される命令に従って真空排気系や荷電粒子光学系などの制御を行う下位制御部16を備える。コンピュータ14は,装置の操作画面(GUI)が表示されるモニタと,キーボードやマウスなどの操作画面への入力手段を備える。上位制御部15,下位制御部16およびコンピュータ14は,各々通信線17,により接続される。
下位制御部16は真空ポンプ7,荷電粒子源11やレンズ1などを制御するための制御信号を送受信する部位であり,さらには検出器38の出力信号をディジタル画像信号に変換して上位制御部15へ送信する。図では検出器38からの出力信号を,プリアンプ39などの増幅器28を経由して下位制御部16に接続している。もし,増幅器が不要であればなくてもよい。
上位制御部15と下位制御部16ではアナログ回路やディジタル回路などが混在していてもよく,また上位制御部15と下位制御部16が一つに統一されていてもよい。なお,図5に示す制御系の構成は一例に過ぎず,制御ユニットやバルブ,真空ポンプ7または通信用の配線などの変形例は,本実施例で意図する機能を満たす限り,本実施例の荷電粒子線顕微鏡2の範疇に属する。
筐体10には,一端が真空ポンプ7に接続された真空配管13が接続され,内部を真空状態に維持できる。同時に,筐体10内部を大気開放するためのリークバルブ12を備え,試料台ユニット24を装置内部に導入時に筐体10の内部を大気開放することができる。リークバルブ12は,なくてもよいし,二つ以上あってもよい。また,筐体10におけるリークバルブ12の配置箇所は,図5に示された場所に限られず,筐体10上の別の位置に配置されていてもよい。
筐体10は側面に開口部40を備えており,この開口部40には蓋部材22及び真空封止部材20によって装置内部の真空気密を保っている。本実施例の荷電粒子顕微鏡2は,前述のように試料台25に搭載された試料9を筺体10内部に導入した後に試料9と荷電粒子光学鏡筒3との位置関係を変更するための試料ステージ8を備えている。試料ステージ8には前述の発光素子23または発光素子23を有する試料台25が着脱できるように配置される。蓋部材22が支持する底板となる支持部材21が取り付けられており,ステージ8が支持部材21に固定されている。ステージ8は,面内方向へのXY駆動機構および高さ方向へのZ軸駆動機構などを備えている。支持部材21は,蓋部材22の対向面に向けて筺体10内部に向かって延伸するよう取り付けられている。Z軸駆動機構およびXY駆動機構からはそれぞれ支軸が伸びており,各々蓋部材22が有する操作つまみ18−1および操作つまみ18−2と繋がっている。装置ユーザは,これらの操作つまみ18−1,18−2を操作することにより,試料9の位置を調整することが可能である。また,後述するように,蓋部材22上には光学顕微鏡29が具備できる構成としてもよい。
試料ステージ8の上には発光素子23を具備した試料台25を搭載できる。前述の通り発光素子23では荷電粒子線を光に変換する。この光を検出して電気信号に変換及び信号増幅するための光検出器4を試料ステージ上またはステージ近傍,筐体10外に備える。
なお、発光素子23及び試料台24,試料台ユニット25,集光手段50の性能は装置内雰囲気に関係しないため,大気圧状態から高真空状態までさまざまな真空度条件下で使用可能である。
以下で,本実施例の試料台を用いた光検出方法及び透過荷電粒子線画像の取得原理について説明する。図4は,発光素子23上に試料9が載置された状態を示す。試料台25の下には光検出器4を示している。光検出器4は発光素子23からの光信号を電気信号に変換または増幅することが可能である。この発光をできるだけ多く光検出器4にもたらすために集光手段50が設けられる。集光手段50は,光学レンズ,フレネルレンズ,プリズム,鏡の組み合わせなどにより実現され,発光素子23から出てきた発散する光108を集めるように配される。変換または増幅された電気信号は通信線17を介して制御部やコンピュータ14に入力され,これらの制御系により画像化され,これが透過荷電粒子線画像153となる。この透過荷電粒子線画像153は,必要に応じてモニタ等に出力されるものとする。
光検出器4と試料台25との間(図中h部分)の空間領域は,集光手段50に依存して光を可能な限り効率よく検出するように,最良の範囲が決まる。最良の範囲とは、例えば、集光手段として凸レンズを使用する場合、発光素子の発光が検出器の検出面に対して最も集光できる焦点距離のことである。
ここでは,試料内で密度が高い部位100と密度が低い部位101があることを考える。試料内で密度が高い部位100に一次荷電粒子線35が照射された場合,荷電粒子線の一部が後方散乱されるため,発光素子23に到達する透過荷電粒子の数は少ない。一方,試料内で密度が低い部位101に一次荷電粒子線35が照射された場合,荷電粒子線の大多数は散乱されずに発光素子23まで透過する。その結果,発光素子23で試料9内部の密度差を検出することが可能となる。この時,透過する荷電粒子線量は,照射される荷電粒子線35のエネルギーに依存する。そのため,荷電粒子線のエネルギーを変えることで観察したい内部情報やその領域を変えることも可能である。
図19に、本実施例の検出原理で取得した透過像(図19−(a))と反射電子検出器で取得した表面像(図19−(b))を示す。表面像では得られなかった情報が透過像では多く確認できた。ここで、図19の撮影条件は、印加電圧5kV、倍率が約4000倍である。
細胞の内部構造はその細胞の種類によって異なり,核を中心にミトコンドリア,ゴルジ体,小胞体等の様々な小器官を有する。透過する荷電粒子線量は内部構造体の位置や部位に依存する。このため,試料9の傾斜角度を変えて荷電粒子線35を照射し,透過した荷電粒子を検出し,複数の方向から取得した透過荷電粒子線画像を三次元的に再構成することで,内部構造の位置や部位が可視化される。
次に,図3を用いて荷電粒子線による試料9の内部構造の可視化原理を説明する。図では試料9と荷電粒子線35が照射される際の相互関係を示す。試料9には密度が比較的小さい物質101の中に,密度が比較的大きい内部物質100と内部物質102と内部物質103を持つ。内部物質103は内部物質100,102に比べサイズおよび密度が小さいとする。試料9として例えば細胞試料などを考えると,物質101は細胞内部であり,この物質101の内部に含まれる内部物質100,102,103は細胞核などの細胞小器官などに対応する。
試料9に照射された荷電粒子線35は,荷電粒子光学鏡筒3の軸である光軸106に対し垂直な面内で走査され,その結果,発光素子23によって光信号に変換された信号を顕微鏡画像としてモニタ上に表示される。図3(a)において,密度が小さい内部物質103と比べ密度が大きい内部物質100,102で後方散乱される荷電粒子線35が多い。このため,試料9上で荷電粒子線を走査した際に試料9下側で検出して得られる画像(または検出画像,透過荷電粒子画像)は投影画像150のようになる。このため,図3(a)に示すように,投影画像150上の内部物質100と内部物質102との距離Cは実際の距離とは異なる。内部物質103付近に照射された荷電粒子線の多くは後方散乱される荷電粒子の数が内部物質100,102と比べて少なく,透過して検出される結果,検出信号が物質101と比べ差が小さい場合は検出されず,投影画像150には反映されない。
次に,図3(b)は荷電粒子線35のエネルギーEを図3(a)の場合よりも小さくした場合の説明図およびその場合に得られる投影画像151である。図3(a)や図3(b)において,エネルギーEの大きさは図中矢印の太さで明示的に図示されている。エネルギーEが小さい場合,内部物質103で後方散乱される荷電粒子の数が増える。これによって,投影画像(または検出画像,透過荷電粒子画像)151には内部物質100,102の構造に加えて内部構造103の情報が反映される。これは,エネルギーの小さい荷電粒子線ほど物質での散乱を受けやすくなる性質に起因する。
図3(a)と図3(b)で得られる投影画像からは,内部物質100と内部物質102と内部物質103の三次元位置関係は不明である。そこで,荷電粒子線35の入射方向と試料との相対角度を変えて複数の投影画像を取得する。具体的には試料9自体を傾斜するか荷電粒子線35の入射方向自体を光軸106に対して傾斜する。この複数の投影画像に基づいて内部構造の三次元位置配置を把握することが可能となる。図3(c)では試料台23を角度θ傾斜することによって,荷電粒子線を斜めから試料9に照射する様子を図示する。投影画像151と投影画像(または検出画像)152を比較すると,内部物質100と内部物質102と内部物質103の間の距離が変化する(図中C’部やD’部)。さらに,物質101の大きさも変化する(図中B’部)。つまり,投影画像151と投影画像152比較して観察して変化量をみることによって,試料9全体及び内部の三次元内部構造観察をすることが可能となる。
また,図示しないが,荷電粒子線35のビーム径および検出器4,39の検出信号はビーム電流量に依存する。このため,前記ビーム電流を変えることによって,観察したい内部構造のサイズを制御できる。つまり,試料内部の見たい情報と見たくない情報を分離する目的で,荷電粒子線のビーム電流量を制御パラメータとして利用することができる。
以上をまとめると,三次元内部構造観察を実施するためには,荷電粒子線35が試料9に照射される際の相対的な照射角度θ,のエネルギーE,およびビーム電流量Iが重要となる。これは荷電粒子線35のベクトルそのものである。本明細書において,上記θ,E,Iを組にしてベクトルパラメータと称する。すなわち,ベクトルパラメータとは一次荷電粒子線35と試料9との相互関係を決定するパラメータであるといえる。つまり,ベクトルパラメータ(θ,E,I)を制御することによって,ベクトルパラメータを変えて取得した複数の透過荷電粒子画像に基づいて試料台上の試料9の内部構造を観察できる。これらの画像を並べて観察したり,連続的に表示することにより,内部構造の詳細を三次元的に把握できる。また,内部構造の距離や面積などの大きさを計測していくつかの画像を比較することによって三次元内部構造の定量化も可能となる。なお,上記「ベクトルパラメータの変更」とは,一次荷電粒子線35と試料9との相対的な角度θ,一次荷電粒子線の入射エネルギーE,荷電粒子線のビーム電流量Iの少なくとも一つを変更することを意味する。
また,リアルタイムに内部情報を迅速に取得したい場合がある。例えば,後述するように,試料9が自動で動いてコンピュータ14断層撮影法(CT)によりトモグラフィー化する際などである。この場合,荷電粒子線装置内部に配置される時間が限られる。このような場合は,照射角度θとエネルギーEとビーム電流量Iをセットにしてリアルタイムに変更してもよい。これにより,試料内部の可視化したい情報をより迅速に取得できるようになる。
本発明の第二の実施例として,集光手段50として集光凸レンズ51を用いた場合の構成例について,図6を用いて説明する。図示しないが,本実施例で集光される発光素子23の発光波長は,可視光,紫外光,赤外光のうち特定のまたは任意のいずれかの波長領域とする。
集光手段50がない場合,発光素子23と光検出器4を限界まで近接させることで,より多くの光を光検出器4にもたらすことができるが,その場合,観察視野を広くしようとすると,光検出器4の検出面5を大きくする必要がある。このため,検出面5の大きいフォトダイオードを光検出器4として用いると,静電容量の増加に起因して検出に要する応答時間が増大し,像取得およびその再構築に要する時間が増えるため,粒子線装置で非点調整や焦点合わせなどがしにくくなるという問題がある。また,フォトダイオードの代わりに光電子増倍管を光検出器4として用いる場合は,光検出器4全体のサイズが大きくなる。このため,試料室サイズが大きくなるに伴う製造コストの増大や,光検出器4の設置自由度が悪くなるなどの課題が生じる。これらの問題を回避するには,光検出器4の検出面5は小さいもののほうが好ましい。応答周波数にして百kHz以上あれば,比較的遅いスキャンで像形成し,これを目視で確認しながら焦点合わせや非点補整を行うことで,最適分解能の画像が得られる。応答速度がより高速,例えば数百kHzとなれば,比較的速いスキャンでこれらを実行できるため,より高い効果が得られる。さらに高速で1MHz以上,典型的には1秒間に三十フレーム以上の帯域があれば,テレビレートのスキャンでの観察が可能となり,帯電しやすい試料を観察する際に有利である。
図6(a)は,発光素子23と光検出器4の間に発光素子23からの放出された光108を集光するための集光レンズ51−1を配置する構造の例である。図中の試料台25を支えている部材21は導電性及び非磁性体の材質,例えばステンレス等であるとよい。集光レンズ51−1は,発光素子23から発光した光108を効率的に検出面5へ,集光させる役割を持っている。また,図示はしないが集光レンズの焦点距離を最適化することで光検出器4の検出面5に集光される光のスポット径を調整できる。これにより,検出面5の小さい光検出器4,典型的には,高速処理可能なPIN-フォトダイオードや小型の光電子増倍管等でも高感度での検出が可能となる。図6(b)は,試料台に発光素子23用のくぼみを形成,そのくぼみに発光素子23を設置する構造例である。くぼみにはめることで,試料ステージ可動時の衝撃による,発光素子23の位置ずれを低減できる。
集光レンズの材質は,光を集光出来るものであれば何でもよい。集光レンズの材質がガラスやプラスチック等の非導電性材料である場合,荷電粒子線が照射されるとチャージアップが発生する。その対策として,光が透過可能な透明導電膜を集光レンズにコートするとよい。
図7に示すように,支持部材が図6(a)および図6(b)における集光レンズとして使用される構成としても構わない。図7に示した例は,支持部材がフレネルレンズ54で構成されている場合を示す。
図6および図7の可動領域154に含まれている部材,具体的には発光素子23,試料台24,集光手段50,光検出器4は試料ステージ8と一体化しているため,試料ステージ8の動きに追従する構造になっている。そのため,発光素子23から光検出器4間に光路変化が無いので,集光効率変化が少ないといえる。
図8に,発光素子23の支持部材21への固定方法の例を示す。これらの固定方法は試料台ユニットや試料台ステージにも設置可能である。図8(a)は,導電性テープを使用して発光素子23を支持部材21へ固定した例である。この場合,なるべく発光行路を阻害しないように発光素子23の両端を留めるとよい。また,荷電粒子線顕微鏡用の導電性テープ112を使用し,アースに落とすことにより,試料台のチャージアップ防止対策になる。図8(b)は,両面テープを使用して発光素子23を支持部材21へ固定した場合の例である。発光素子23全面に試料があるときでも,試料を傷つけずに固定できるメリットがある。図8(b)では発光素子23に両面テープ113を接触させることによる汚れが発生する恐れがある。これを回避するため,図8(c)に,発光素子23と支持部材21を金属等の部材で機械的に固定する方法の例を示す。上から押さえつける形態の場合,支持基板となる試料台の構成で発光素子23のサイズが制約されてしまうため,専用の構造を試料台ユニットに対して設計・作製する必要があるが,繰り返し何度も使用できるため,発光素子23を何度も交換するような観察用途の場合に便利である。図示はしないが,図8−(a),(b),(c)において固定する部材は発光素子23と試料台ユニットまたはステージでもよい。
また、固定する部材は接着剤等接着効果を有するものでも可能であるが、真空装置内に入れる際は、ガスの発生しないものを使用するほうがよい。
図9に,四角形の板状の発光素子23内部で発光した光のうち、発光素子23の側面から放出される光を集光する構造の例について説明する。図9(a)は断面図,図9(b)は鳥瞰図である。本実施例に使用される発光素子において,光が発光素子23の外部放出される面は試料が載置される面(上面),試料が載置される面と平行な裏面(下面),および4つの側面である。光は全方位に均等に放射するが、発光素子の屈折率が大きいため、光の一部は下面で全反射され、その一部は各側面から発光素子外部に放出される。この時、各側面から放出される光量は下面と概ね同量となるため、下面に加え側面から放出される光を検出した場合、下面のみの場合と比較して検出量が約5倍ものと期待される。側面からの光110を集光する手段として,発光素子23側面に側面ミラー61を配置した。側面ミラー61で反射した光は支持部材21を通過し,集光手段50にて集光され,光検出器4の検出面5で検出される。側面ミラー61の材質はアルミニウム(Al)や金(Au)等の光を反射するものであればなんでも構わない。この時,支持部材21は光を透過することが出来る部材,たとえば石英,ガラス,プラスチック等であることが望ましい。支持部材21が非導電性の場合は,荷電粒子線照射時にチャージアップが発生するため,支持部材21に光の通過を阻害しない透明導電膜を作成することがよい。また,側面ミラー61は支持部材21と一体化,もしくは可動した際に支持部材21に一緒に動くような構造である。図9(c)は,側面ミラー61を楕円形ではなく,表面が平らな斜面ミラーを用いた構造である。楕円ミラーと比べて集光効率は低下するが,作製が容易なため安価である。
また、図9で示した側面ミラーを設置して発光素子23の側面から発光素子外に放出される光を検出器に導く構造は図6,図7の構造に対しても適用可能である。
図10に集光ミラー56−1及び集光レンズ51−1を組み合わせた構造の例を示す。図10(a)は,図中の破線で囲われた範囲内に記載された全ての部材が試料ステージ8と設置している構造である。試料ステージ移動時も発光素子23−集光レンズ51−1−光検出器4間の行路に位置的な変動がないため,集光効率の変化が少ない点が特徴である。図10(b)は,破線で範囲内にある発光素子23,支持部材21,集光ミラー56−1,集光レンズ51−1,レンズ支え57は試料ステージ8と機械的に固定している。そのため,試料ステージの可動に追従するが,光検出器4は試料ステージに固定されていないため,試料ステージの可動には追従しない。図示しないが,より集光効率を向上する目的で,集光レンズ51−1と光検出器4間に集光レンズを複数枚重ねて設置しても良い。
図10(c)は,光検出器4が大気側に設定される場合の例である。発光素子23で発生した光は,ミラー56−1で集光レンズ51−1の方向に反射される。集光レンズ51−1で集光された光は,再びミラー56−2および,ミラー56−3で集光レンズ51−2の方向に反射される。集光レンズ51−2で集光された光は光伝達路64に入射し,大気側にある光検出器4検出される。本実施の構造で試料ステージ8に接合している部材は図中の破線で囲まれたエリアの部材,たとえば支持部材21,集光ミラー56−1,−2,集光レンズ51−1である。また,集光ミラー56−3および集光レンズ51−2は,できるだけサイズが大きいもので構成した場合の方が,試料ステージ移動による集光効率の変化が少ない。ここで重要なことは,傾斜試料の透過像を取得する際に,異なる傾斜角度ごとの検出信号の変化をできるだけ小さくすることである。この目的のために,図10(c)に一点鎖線で図示した傾斜回転軸は,試料9を通り光伝達路64の真空側端面を通る直線となっている。このように集光手段50を構成することで,発光素子23からの光を効率良く光伝導路に入射させることができる。これにより,ステレオ観察や試料内部情報の三次元観察のための透過荷電粒子線画像を取得する際に,試料傾斜角度によらず光の捕集効率は一定となり,明るさの補正を不要となる。また,試料を大きく傾斜しても透過荷電粒子線画像を取得できる。図10(c)の構成の場合,観察視野を変えて同様の手段によってステレオ観察や試料内部情報の三次元観察のために,試料ステージ全体を一点鎖線で図示される傾斜回転軸の方向に平行移動することが可能である。その際,光伝達路64の端面のどこかに光路が入っていれば同様の効果が得られるため,光伝達路64の端面の大きさは装置使用の可能な範囲で大きくすることが有効となる。
図10(d)は,光検出器4を大気側においた例である。試料9に照射した荷電粒子線35が試料9を透過して発光素子23を発光させる。その光は集光ミラー56−1,集光レンズ51−1を通過後,反射円柱ミラー65で集光後,光伝達路64を伝い大気側に設置された光検出器4で検出される。本実施構造で試料ステージに接合している部材は図中の破線で囲まれたエリア154の部材である。ここでは光取り込み口の面積を大きくすることで,試料9の傾斜角度を変えたり,観察視野を変えるために光軸と垂直方向に試料9を移動しても取り込まれる光の量の変化が少ない。この光取り込み口を構成するものとしては,レンズや鏡,ライトガイドなどが用いられる。また,細長い中空のキャピラリーを光伝送方向に向けて多数束ねた物を使うと一層効果的である。
また、図9の発光素子23側面から発光素子外に放出される光を検出器に導く構造は図10の構造に対しても適用可能である。
図12(a)は発光素子23からの発光を効率良く集光しようとする場合の例である。図11に示すように,回転楕円体の内面を鏡面とした場合,ひとつの焦点Aから出た光は回転楕円体の表面で反射し,もうひとつの焦点A‘に集まる性質がある。この性質を利用して,図12(a)発光素子23からの発光点,すなわち荷電粒子源11から発生した荷電粒子線35の照射位置を焦点Aに重ね,光伝達路64の入り口部分をもう一つの焦点A’に重ねる。また,回転楕円体と荷電粒子線の光軸が交わる位置に,荷電粒子線35の通過孔66を設ける。以下,このような内面を鏡面とした回転楕円体を楕円ミラー62と表記する。光伝達路64の入り口部に集光した光は光伝達路64内を通過し,光検出器4で検出後,信号線37で外部へ出力される。楕円ミラーと光伝達路,光検出器で構成可能なため,少ない部品点数で集光できるメリットがある。
図12(b)には,2つの楕円ミラー及び2つの光検出器4を使用した試料台の構成を示す。2つの楕円の長手方向の中心軸が重なった部分(A)が焦点となるよう発光素子23をAに設置する。発光素子23上面からの発光は,上部に設置された楕円ミラー62で反射,もうひとつの焦点(A’)である光伝達路64の入り口部分に集光され,光検出器4で検出される。また,上面同様に発光素子23下面の発光は下面に設置された楕円ミラー62と光伝達路および光検出器4で検出される。発光素子23側面からの光は上下に設置された光検出器4のどちらかで検出される。楕円ミラーが上下で別の構造体となっているため,もし,本構造で二次電子像を観察したい場合は,上部楕円ミラー及び上部光検出器4を試料上部から移動できる構成とすれば良い。図示はしないが,ここで発光素子23は試料ステージに接合しており,集光ミラー62と光伝達路64および光検出器4は固定部材である。
図13に楕円ミラーを使用した場合の集光構造例を説明する。本構成のメリットは,ミラーが導電性の材料もしくは導電材料でコートされた部材であるため,チャージアップの心配がない点である。図13(a)に,楕円ミラーを使用して放射した光を光検出器4の検出面5に集光する機能をもった構造を説明する。図13(a)中の一点鎖線で示す観察細胞を通る軸のまわりで試料ステージを傾斜する際,試料ステージは光検出器4とは同一の動きをしないため,ステージ移動により光路が変動する。この変動によって検出器4の集光効率が低下しないように,楕円ミラー62の一方の焦点を試料,もう一方の焦点を検出面4近傍に設定することにより,細胞のステレオ観察や三次元観察等が容易に行えることは前述のとおりである。
図13(b)は,発光素子23及び集光用の楕円ミラー62,光検出器4等が同一の部材で試料ステージに接合している構造例である。試料ステージ可動時に発光素子23−光検出器4間の行路に変化がないことから,集光効率の変化を少なくできる。
図13(c)に大気側に光検出器4を設置した場合についての構造図を示す。発光素子23から出た光が楕円ミラーで反射,光伝達路64に集光され,光伝達路64を通って,大気側に設置されている光検出器4で検出される構成になっている。この場合も同様に細胞のステレオ観察や三次元観察等が容易に行えるという特徴がある。光伝達路64は,光を伝達することが可能な固体物質でもよいし,空気中や真空中などでもよい。発光の波長領域を通過させることが可能な固体材料とは,例えば,石英,ガラス,光ファイバー,プラスチック等,光に対して透明または半透明な材料である。
図13(c)は検出器が大気空間にあり,試料ステージに発光素子23,支持部材21,集光ミラー及び光検出器4が同一部材で接合している場合の構成例である。試料ステージの傾斜および移動に伴う集光効率の変化が小さい点を特徴とする。
本実施例で示したように、発光素子からの発光を集光手段を使用して検出器へ集光することで集光効率を向上させ、より明瞭な透過像観察が可能となる効果が得られた。また、試料を傾斜させて実施する立体観察においても、試料台傾斜による集光効率の低下を抑制することが可能である。
本実施例では,高分解能観察が可能なインレンズ型の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)や(S)TEMで主に使用されているサイドエントリー方式向けの試料台ユニットの構成例について説明する。実施例2の方式と比較して,微細な構造の観察が可能であり,さらに試料ステージの傾斜自由度が高いため,試料の立体構造観察の為のトモグラフィー観察を容易に実施できる。
本実施例における試料台ユニットの全体構成図を図14(a)に、基本構成の断面図を図14(b)に、試料台ユニット先端部の斜視図を図14(c)示す。
本試料台ユニットは、試料ホルダを有し、少なくとも発光素子23が載置可能な発光部材載置部215と、発光素子23からの光を伝達する経路203が具備され本試料台ユニットの主部材となる棒形状の支持体33と、光検出器4と、取っ手34によって構成される。光検出器4は配線を経由して制御部16などに接続される。光伝達経路203は単なる空間でもよいが、発光素子23からの光を伝達することが可能なガラスや石英やプラスチックなどの光伝達物質であってもよい。光伝達経路の少なくとも一部を構成する部材を光伝達部材と称することとする。光伝達部材は例えば支持体33、あるいはライトガイドや光ファイバーなどの光伝達物質である。また、光伝達経路の途中にレンズなどの集光部材やミラーなどの反射部材がある場合には、これらも光伝達部材に含まれるものとする。光検出器4あるいは光伝達部材のいずれかには真空と外気との気密を保つことが可能な真空封止部材であるOリング32が具備される。また、筐体10などとの真空気密封じが可能なOリング32を支持体33に備えてもよい。発光素子23が載置可能な発光部材載置部215には図示しない固定部材等で発光素子23が固定されて発光部材載置部215に固定されているものとする。また、試料台ユニットは図14には図示されない駆動機構を備え、これによって必要量に応じた観察位置の移動や傾斜角度の変更が可能な構成となっているものとする。
本構成で発光素子23に荷電粒子線が照射されると発光素子の内部で光が発生し、その光は発光素子表面から放出される。発光素子表面には、試料が載置されている面(上面)とその他の面がある。図9で説明したように、特に発光素子が四角形の板状の場合には、試料が載置される面(上面)、試料が載置される面と平行な裏面(下面)、そして、試料が載置される面に非平行な側面、つまり、4つの側面から発光素子23の外部に光が放出される。図14(c)の構成は、発光素子23の光検出器側の側面、およびその対向面から発光素子23の外部に放出され発光部材載置部215との接触面で反射された光が光検出器4によって検出される構成となっている。
発光部材載置部215の先端部の形状はこれに限らず、図14(d)に示すように,回転軸202と直交する方向の発光素子23側面から放出された光を検出するために、反射された光を光検出器4に導く構成となっていても良い。また、発光部材23の形状もこれには限らず、図14(e)に示すように、発光素子23が台形の板状で側面部がミラーとなっており、反射された光が検出器4に光を導く構成となっていても良い。また、発光素子23の側面は曲面でもよい。
図9で説明したとおり、四角形の板状の発光素子23側面から発光素子外に放出される光は,試料が載置面と平行な裏面(下面)に加え,側面からも放出される。このため、下面および側面から発光素子外に放出される光を検出した場合、下面だけを検出する場合と比べ検出信号量が約5倍になると期待される。発光素子23の側面から発光素子外に放出される光を検出器に導くことで、検出される信号強度が増大し、本実施例における透過像を高精度、高効率に取得することが可能となる。そのため、発光部材の試料の載置される面と非平行な面からも出射される光を検出器の方向へ伝達する光伝達経路を構成する光伝達部材を備えるようにする。後述するように発光部材載置部215には発光素子23からの光を光検出器4の方向へ誘導するための反射材50がもうけられていてもよい。反射材50とは発光部材載置部215がミラー加工されている場合や、発光部材載置部215が金属部材からなる場合も含む。これらの場合は発光部材載置部が反射材となる。
また、サイドエントリー型試料台は、試料を載せた発光部材を筐体10の横方向から光軸106のある箇所まで挿入できるようにするための試料台であり、取っ手34方向に検出器を設けているため、光伝達経路も試料設置箇所の下から横方向へ伸びるようになっている。このサイドエントリー型試料台において、傾斜試料の透過像を取得する際に,傾斜角度を変えた際の検出信号の変化が小さい構成となっている。図14(a)に一点鎖線で図示した傾斜回転軸202は,試料を通り検出器4の検出面5に中心に重なっている。また,発光素子23、集光手段50、光検出器4等は機械的に接合しているため、図14(a)の構成で試料ステージを移動および傾斜して同様の観察を行う際に光の行路が変化しない。このため、ステレオ観察や試料内部情報の三次元観察のための透過荷電粒子線画像を取得する際に,試料傾斜角度によらず光の捕集効率は一定となり,異なる条件で取得した検出画像間で明るさの補正が不要となる。また,試料を大きく傾斜した場合も透過荷電粒子線画像を取得できる。なお、観察装置がSEMの場合、対物レンズは、レンズ磁界の分布のさせ方に依存して様々な構成となるが、いかなるタイプの構成に対しても適用可能である。サイドエントリー型試料ステージは、既存装置では試料をレンズ磁界中に浸漬させるインレンズ型対物レンズの構成で主に使用されている。この構成に適用した場合、高分解能観察ができる。いずれのタイプの構成でも、試料台ユニットには、観察視野や試料傾斜角度を変更するための機構部216が設けられる。
図14(a)では本試料台ユニットを動かすための機構部に関して説明する。機構部216は筐体10あるいは支持部材217に挿入された試料台ユニット24を動かすことが可能である。機構部には試料台ユニット24を図中左右方向に上下方向に駆動可能である。また、本試料台ユニットの中心軸に対して回転させることが可能な駆動機構を有する。なお、図14(a)では制御部を介して機構部216を自動で動かす例を示したが、ユーザ自身の手で動かしてもよい。本試料台ユニットの場合、試料を傾斜させるために本試料台ユニットの中心軸に対して回転させても、発光素子23と光検出器4の位置関係は変わらない。このため前述の実施例と比較して試料傾斜を簡便に観察できるといった特徴がある。
なお,各レンズ200を制御するための制御系や,検出信号を検出するための検出系や,筐体10や荷電粒子光学鏡筒3内部を排気するための真空ポンプ7等,実施例1に記載した共通の構成についての記載は省略する。実施例1および実施例2と同様,試料が載置された発光素子23は,試料を透過した荷電粒子線の入射により発光,放出された光を集光手段50で集め,光伝達経路203を介して検出器4に導き,電気信号に変換されて検出される。
ここで,この集光手段50は,図15(a)および図15(b)に示されるように,透明媒質よりなる光伝送路203の一部と,その周りを覆う光反射材,この場合,例えばアルミニウム(Al)などの反射材206を有する。その形状は曲面あるいは平面等であり,発光素子23から検出器4とは直接向かわない方向に放出された光を検出器側に反射させる作用がある。本試料台ユニット24は,実施例1または実施例2の構成では検出されない可能性のある光を,光伝達路203を介して検出できる可能性を高め,試料台ユニット24移動時の集光効率の変動が少なく,簡易な構造かつ少ない部材での試料台ユニット24を構成できる点に利点がある。本実施例では荷電粒子線装置36が電子顕微鏡の場合について説明するが,他の荷電粒子線装置36の場合も,得られる効果は同様となる。
図15に,サイドエントリー型試料ユニットの先端形状及び集光手段を示す。図15の構造の場合も、発光素子23表面上に傾斜時の中心軸が重なるように配置されることで図14(a)と同様に、試料台を傾斜した際にも、集光効率を変化させず観察が可能であり、試料台ユニットの可動構成についても図14(a)と同様である。
図15の試料台ユニット構造は、図14(a)の構成の場合と同様に、筐体あるいは支持部材に挿入された機構部によって駆動できる構成となっている。試料台ユニットの傾斜回転軸202をX軸、荷電粒子線が照射される方向をZ軸、X軸とZ軸の両方に直交する方向をY軸と定める。この場合の試料台ユニットは導電膜206機構部には試料台ユニット24をXY面内またはZ方向に駆動できる。また、本試料台ユニットは回転軸202のまわりで回転可能な駆動機構を有する。なお、制御部を介して機構部を自動で動かす例を示したが、ユーザ自身により手動で動かす構成でもよい。本試料台ユニットの場合、本試料台ユニットの中心軸に対して回転させて荷電粒子線の照射方向を変えた場合も、発光素子23と光検出器4の位置関係は変わらない。このため、前述の実施例2と比べて簡便に試料を傾斜して観察できるといった特徴がある。
図15(a)は楕円形状,図15(b)はフラットな斜面形状をしている。先端部が楕円形状にした場合は,荷電粒子線の照射位置付近に図11のA点が配置されるように構成することによって,斜面ミラーよりも効果的に発光素子で発生した光が検出器方向に伝達されることが期待される。一方,斜面ミラーとした場合は楕円ミラーよりも構造が簡便であり,安価に作製できる。発光素子23から放出される光の検出効率をさらに高めるために,先端部の側壁部分も回転楕円体もしくは斜面ミラーとして構成しても良い。
試料台先端に試料を載置した発光素子23を配置し,試料に照射され透過した荷電粒子が発光素子23にて発光し光が放出される。この光が試料台支柱部分の光伝達路203を通り,大気領域に設置された光検出器4で検出される。試料台ユニットの支柱部分が光伝達路203で出来ており,発光素子23設置部分以外の光伝達路203の表面をアルミニウム(Al)等の反射材で被覆される。この場合は発光体23の下面から放出された光のみが集光される。固定方法は実施例2と同様であり,図8のように導電テープや,両面テープ,機械的な固定具,接着剤等のいずれの構成でも構わない。
図15−(c),(d)は,試料台先端部に発光素子23を設置するためのくぼみを形成し,そのくぼみに対して発光素子を設置する例である。この構成だと発光体下面だけでなく,側面から放出された光も集光でき,検出される光量が増大する。発光素子23を設置するためのくぼみの部分で,発光体と接合する部分以外の表面には,発光素子23の側面または下面からの放出される光を反射させて集光するために,例えばアルミニウム(Al)などの反射材206で覆われる。
また,発光素子23と光伝達路203の間に隙間があると,発光体で発生した光が屈折し,集光効率が低下する虞がある。これを回避するには,発光素子23を光伝達路としてもよい。
また,荷電粒子装置の試料室内部の空間が狭い場合、または対物レンズ内に試料を配置する構成のような場合は、荷電粒子線が照射されると,この空間内で多重散乱が生じる。このため,上記の事由で光伝達路203の指定した部分をアルミニウム(Al)などの導電性の反射材で被覆しておくことによって,石英,ガラス,光ファイバー,プラスチック等の非導電性材質で作られた光伝達路203のチャージアップ防止策となる。また,チャージアップの防止効果を高めるために,発光素子23全体を透明な導電性薄膜で被覆する構成でも構わない。ただし,この構成の場合は,試料に照射する荷電粒子線のエネルギーと試料および導電性薄膜の膜厚を考慮し,荷電粒子線が試料および導電性薄膜を透過して発光素子23に到達できる条件となっている必要がある例えば,Pt等の金属では10nm前後以下,ITO,NESA膜では20nm以下程度がよい。また,光学顕微鏡による観察に配慮して,導電性薄膜の表面が,試料観察に影響を及ぼさない程度に平坦であることが必要となる。
図14,15では,光伝達路203の先端部が集光手段50になっている。発光素子23から放出された光が効率良く伝達路203方向に反射される構成が好ましい。特に,発光素子23から検出器4とは違う向きに放出された発光体23の光を検出器方向に反射させるように先端形状が構成される。
発光素子の側壁部から放出される光を検出する場合には,図15(c) −1または図15(d)−1のような構成とすれば良い。この構成を斜視図として見たものを図15(c) −2または図15(d) −2にそれぞれ示す。図15(a),図15(b) ,図15(c) −1,図15(d)−1,図15(c) −2,図15(d) −2に記載のいずれの発光素子も,図9に記載されるように,導電テープ112などで,サイドエントリー型の試料台先端部に固定される。この時,導電テープ112等の固定具は,チャージアップしないように表面を被覆された導電性の材質で出来た部材と導通を取るように設置されることが望ましい。
図16に,サイドエントリー方式において試料室スペースを大きく確保できない場合の試料台ユニット構成例を示す。図16に示すように,発光体それ自体に楕円型または斜面型の反射機構を付与し,これを支持体33に作成したくぼみにはめ,固定具207で発光素子23と支持体33を機械的に固定し,発光素子23−光検出器4を接触させて設置する。これにより,発光素子23を発光光線108が発光素子23自体を光伝達路として通過し,検出器まで集光する機能を有している。また,図示しないが発光素子23−光検出器4間に光伝達路203を設置する構成としても良い。この構成は,図16に示すように,サイズの小さい光検出器4を使用する場合,発光体23の部分を回転楕円体の回転軸202と一致する構成とし,荷電粒子線の照射位置209を一方の焦点に重ね,小型の光検出器4の検出面5または光伝達路の取り込み口に重なるように配置すると,より一層効果的にフォーカスできる。発光素子23と光伝達路203の間隙部はオプティカルセメントなどで屈折率の急峻な変化が生じないように構成することが望ましい。検出面5の位置は,図16(a)(b)に示すように発光素子の近くに置いてもよいし,図示しないが放出された光108が光伝達路を通過して光検出器4で検出される構成でも構わない。
光検出器4がサイドエントリーステージの取っ手近傍の試料ユニット端部に設置される場合,放出された光108を光検出器4の方向に効率よく反射させるために,発光素子4と光伝達路203の間の屈折率変化を利用しても良い。このような構成も,集光手段50の一部として考えることができる。
また、図16の試料台ユニットの構造においても、発光素子23表面上に傾斜時の中心軸が重なるように配置することで図14(a)と同様に、試料台を傾斜した際にも、集光効率を変化させずに観察が可能となる。試料台ユニットの可動構成は図14(a)と同様である。
図16の試料台ユニット構造の可動方法は、図14(a)の構成の場合と同様に、筐体あるいは支持部材に挿入された機構部によって駆動できる構成となっている。試料台ユニットの傾斜回転軸202をX軸、荷電粒子線が照射される方向をZ軸、X軸とZ軸の両方に直交する方向をY軸と定める。この機構部によって、試料台ユニット24をXY面内またはZ方向に駆動できる。また、本試料台ユニットは回転軸202のまわりで回転可能な駆動機構を有する。なお、制御部を介して機構部を自動で動かす例を示したが、ユーザ自身によって手動で動かす構成でもよい。本試料台ユニットの場合、本試料台ユニットの中心軸に対して回転させて荷電粒子線の照射方向を変えた場合も、発光素子23と光検出器4の位置関係は変わらない。このため前述の実施例2と比べて簡便に試料を傾斜して観察できるといった特徴がある。
図17(a)(b)に,光検出器4の検出面5が試料台ユニット24と比較して小さい場合の構成及び集光手段について示す。光伝達路203としてライトガイドを用い,検出面5の小さな光検出器4で発光素子23からの光を検出しなければならない場合に,発光素子23の接合部の検出面と光検出器4の検出面5の間を緩やかなテーパー角で囲うようにライトガイドを構成し、必要があればそのテーパー部の表面を金属薄膜などの反射材206で被覆することによって、発光素子からの発光を集光109することが可能あるため、光捕集効率の改善が期待される。
本実施例のサイドエントリー方式の試料台ユニット24でステレオ観察や試料内部情報の三次元観察の際の透過荷電粒子線画像を取得する場合の試料回転軸202は,検出される光量が傾斜角度に依存しないようにするために,図17に示すように試料台の長手方向の軸と平行であり,試料を載置した発光素子の表面付近を通る直線と重なっていることが好ましい。
また、図17の試料台ユニットの構造においても、発光素子23表面上に傾斜時の中心軸を配置することで図14(a)と同様に、試料台を傾斜した際にも、集光効率を変化させず観察が可能となる。試料台ユニットの可動構成は図14(a)と同様である。
図17の試料台ユニット構造は、図14(a)の構成の場合と同様に、筐体あるいは支持部材に挿入された機構部によって駆動できる構成となっている。試料台ユニットの傾斜回転軸202をX軸、荷電粒子線が照射される方向をZ軸、X軸とZ軸の両方に直交する方向をY軸と定める。この機構部によって、試料台ユニット24をXY面内またはZ方向に駆動できる。また、本試料台ユニット回転軸202のまわりで回転可能な駆動機構を有する。なお、制御部を介して機構部を自動で動かす例を示したが、ユーザ自身により手動で動かす構成でもよい。本試料台ユニットの場合、本試料台ユニットの中心軸に対して回転させて荷電粒子線の照射方向を変えた場合も、発光素子23と光検出器4の位置関係は変わらない。このため前述の実施例2と比べて簡便に試料を傾斜して観察できるといった特徴がある。
図18に,図15−(c)の構成を使用して,細胞試料内の特定領域に染色材を導入し,その分布情報を得る方法についての構成例を示す。なお,発光素子23や反射材206,検出信号を検出するための検出系等の図15に記載した共通の構成についての記載は省略する。図中の本実施例のサイドエントリー型の試料台を用いて細胞試料を観察する場合,光学顕微鏡観察時に使用される染色剤と同様の方式で荷電粒子線を照射した際に特定の波長の発光が起こる荷電粒子顕微鏡用の染色材210−1を導入する。この時,図18に示すように,この構成で荷電粒子線35を照射すると,透過荷電粒子が発光素子23に照射されて放出される光211(図中、破線)と,各染色材201−1に荷電粒子線が照射された際に放出される光212(図中、点線)が,ともに光検出器4によって検出されるようになる。この2種類の光が分光器や波長フィルタなどの分光手段213によって別々に検出できる構成となっていれば,透過荷電粒子214による透過像を得ると共に,特定領域の分布像を得ることができる。この構成の場合,荷電粒子線によって励起する染色材の種類は,分光手段213によっては波長を識別し別々の光信号として検出することができる限り,別の染色剤210−2のように複数の染色材が導入されていても構わない。また,試料ユニットの構成は図15,図16,図17に応用可能である。
なお、図18の試料台ユニットの構造においても、発光素子23表面上に傾斜時の中心軸を配置することで図14と同様に、試料台を傾斜した際にも、集光効率を変化させず観察が可能となる。試料台ユニットの可動構成は図14(a)と同様である。
なお、本実施例において、光検出器の搭載場所を試料ユニット内に限定していたが、光伝達部−光検出器間に光ファイバー等の光伝送手段を使用することで、光検出器を試料ユニット外に置くことが可能であり、本実施例による効果が同様にあることは明確である。
図18の試料台ユニット構造は、図14(a)の構成の場合と同様に、筐体あるいは支持部材に挿入された機構部によって駆動できる構成となっている。試料台ユニットの傾斜回転軸202をX軸、荷電粒子線が照射される方向をZ軸、X軸とZ軸の両方に直交する方向をY軸と定める。この機構部によって、試料台ユニット24をXY面内またはZ方向に駆動できる。また、本試料台ユニットは回転軸202のまわりで回転可能な駆動機構を有する。なお、制御部を介して機構部を自動で動かす例を示したが、ユーザ自身により手動で動かす構成でもよい。本試料台ユニットの場合、本試料台ユニットの中心軸に対して回転させて荷電粒子線の照射方向を変えた場合も、発光素子23と光検出器4の位置関係は変わらない。このため、前述の実施例2と比べて簡便に試料を傾斜して観察できるといった特徴がある。