JP6167708B2 - 電極形成用スラリーの製造方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明の一例としては、硫化物固体電解質であるLiI−Li2S−P2S5および分散媒である酪酸ブチルに、さらに結着材であるPVDFを加えて混練して第1スラリーを得た後、上記第1スラリーに、負極活物質であるグラファイトおよび分散媒である酪酸ブチルを追加して混練し、第1スラリーより固形成分濃度が低い電極形成用スラリーを得る。
以上のことから、第1混練工程および第2混練工程の2段階に分けて混練することで、集電体との接着性が良好な電極形成用スラリーを得ることができる。
本発明における第1混練工程は、少なくとも上記硫化物固体電解質、上記結着材および上記分散媒を含む第1電極材料を混練して第1スラリーを作製する工程である。上記第1電極材料は、少なくとも硫化物固体電解質、結着材および分散媒を含むものであれば特に限定されない。また第1電極材料は、必要に応じて導電化材を含有していても良い。また第1電極材料は、活物質を含有していても良く、含有していなくても良い。
具体的に、結着材としてPVDFを使用し、分散媒として酪酸ブチルを使用する場合、第1スラリーの固形成分濃度は、50重量%以上であり、また55重量%以上であり、さらに60重量%以上であることが好ましい。
また結着材としてアミン変性水素添加ブタジエンゴムを使用し、分散媒としてヘプタンを使用する場合、第1スラリーの固形成分濃度が、例えば、55重量%以上であり、また60重量%以上であり、さらに65重量%以上であることが好ましい。
なお、第1スラリーの固形成分濃度は、例えば、第1スラリー中の全固形分重量(例えば電極活物質、硫化物固体電解質、及び結着材の総重量)を第1スラリーの全重量で除することにより算出することができる。
本発明における第2混練工程は、上述した第1スラリーに、少なくとも分散媒を含む第2電極材料を追加して混練し、第1スラリーより固形成分濃度が低い電極形成用スラリーを作製する工程である。ここで、分散媒としては、硫化物固体電解質との反応性が低いものであれば特に限定されず、結着材の種類等に応じて適宜選択できる。例えば、第1電極材料に含まれる分散媒と同様のものを使用することができる。
本発明で得られる電極形成用スラリーは、硫化物固体電解質、活物質、結着材および分散媒を含有するものであり、また上述した第1スラリーよりも固形成分濃度が低いという特徴を有する。
ここで、電極形成用スラリーの固形成分濃度としては、第1スラリーの固形成分濃度より低いものであれば特に限定されないが、第1スラリーの固形成分濃度との差が、例えば10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。
ここで、電極形成用スラリーの固形成分濃度は、使用する結着材や分散媒等の種類に応じて適宜決定されるものであり、例えば、40重量%以上であり、50重量%以上であることが好ましい。
具体的に、結着材としてPVDFを使用し、分散媒として酪酸ブチルを使用する場合、電極形成用スラリーの固形成分濃度は、例えば、40重量%以上であることが好ましい。また結着材としてアミン変性水素添加ブタジエンゴムを使用し、分散媒としてヘプタンを使用する場合、電極形成用スラリーの固形成分濃度が、例えば、50重量%以上であることが好ましい。なお、電極形成用スラリーの固形成分濃度は、第1スラリーと同様の方法で算出することができる。
また本発明で得られる電極を負極として用いる場合、上記電極を有する固体電池は、固体電解質層、正極体等のその他の電池構成を備える。正極体は、一般的な電池に使用できるものであれば特に限定されず、通常、正極集電体と、正極活物質層とを備えるものである。このような正極体の形成方法としては、例えば、正極活物質、固体電解質、結着材および分散媒等を分散、混練して正極活物質層形成用スラリーを作製し、当該スラリーを正極集電体上に塗布する方法を挙げることができる。なお、正極活物質層形成用スラリーの混練方法としては、分散性の高いスラリーを得られる方法であれば特に限定されず、例えば、薄膜旋回型ミキサーを用いる方法を挙げることができる。また固体電解質層としては、上述したものと同様である。
このような固体電池の製造方法の一例としては、得られる電極(正極または負極)、固体電解質層、対極を積層し、電池ケースに密閉する方法等を挙げることができる。
出発原料として、硫化リチウム(Li2S)、五硫化二リン(P2S5)、およびヨウ化リチウム(LiI)を用い、特開2012−048973号公報に記載の方法で、硫化物固体電解質(LiI−Li2S−P2S5)を得た。
得られた硫化物固体電解質(平均粒径(D50):1.5μm)67.3重量部と、結着材としてのPVDF溶液(PVDF:酪酸ブチル=5:95(重量比))と、分散媒としての酪酸ブチルを準備した。なお、PVDF溶液は、PVDFが3.0重量部となるように秤量し、分散媒である酪酸ブチルは、下表1に記載の第1スラリーの固形成分濃度(重量比)となるように調整した。次に、薄膜旋回型ミキサー(プライミクス社製 フィルミックス30−30)を用いて混練し(周速:27.2m/sec、混練時間:30分)、第1スラリーを得た(第1混練工程)。さらに、上記第1スラリーに、活物質であるグラファイト(三菱化学社製、平均粒径(D50):10μm、100重量部)および分散媒である酪酸ブチルを追加して混練し(周速:27.2m/sec、混練時間:10分)、電極形成用スラリーを得た(第2混練工程)。なお、酪酸ブチルは、下表1に記載の電極形成用スラリーの固形成分濃度(重量比)となるように調整した。
得られた電極形成用スラリーを、集電体である銅箔(厚さ:10μm)の上に塗布した。なお、電極形成用スラリー乾燥後の電極(集電体を含まない)の目付けが、13.7mg/cm2となるように電極形成用スラリーを塗布した。その後、30分間静置し、100℃で30分間乾燥した。さらに、面積1cm2の円形に裁断し、電極(負極)を得た。
正極活物質(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、日亜化学社製、平均粒径(D50):4μm)および当該正極活物質表面にニオブ酸リチウムを含む被覆層(厚み:7nm)を有する被覆活物質(100重量部)と、硫化物固体電解質(LiI−Li2S−P2S5、平均粒径(D50):0.8μm、20.5重量部)と、導電化材としての気相法炭素繊維(登録商標:VCGF、昭和電工社製、2.0重量部)と、結着材としてのPVDF溶液(PVDF:酪酸ブチル=5:95(重量比))と、分散媒としての酪酸ブチルを準備した。なお、PVDF溶液は、PVDFが2.0重量部となるように調整した。次に、これらを容器に入れ、超音波分散装置(エスエムテー製 UH−50)を用いて30秒間分散させた。その後、容器を振とう器(柴田科学株式会社製 TTM−1)を用いて、30分間振とうし、スラリー(正極スラリー)を得た。得られた正極スラリーを、正極集電体であるカーボン塗工アルミニウム箔(昭和電工社製 SDX、厚み:20μm)の上に塗布した。なお、正極スラリー乾燥後の正極体(集電体を含まない)の目付けが、18.1mg/cm2となるように正極スラリーを塗布した。その後、30分間静置し、100℃で30分間乾燥した。さらに、面積1cm2の円形に裁断し、正極体を得た。
また、硫化物固体電解質(LiI−Li2S−P2S5、平均粒径(D50):2.5μm、100重量部)と、バインダーとしてのブチレンゴム(BR)溶液(BR:ヘプタン=5:95(重量比))と、分散媒としてのヘプタンを準備した。なお、BR溶液は、BRが1.0重量部となるように秤量し、分散媒であるヘプタンは、得られるスラリーの固形成分濃度(重量比)が39%となるように調整した。次に、これらを容器に入れ、正極スラリーと同様に、30秒間分散させた後、振とう器を用いて、5分間容器を振とうし、スラリー(固体電解質層スラリー)を得た。得られた固体電解質層スラリーをアルミニウム箔上に塗布した後、5分間静置し、100℃で30分間乾燥した。さらに、面積1cm2の円形に裁断し、固体電解質層を得た。
得られた固体電解質層を正極上に転写し、正極体と負極体とを固体電解質層を介して積層し、600MPaの圧力にて圧着した。その後、電池ケース内に1.5MPaの拘束圧力を付与した状態で収納し、評価用電池を得た。
結着材としてアミン変性水素添加ブタジエンゴムを用い、分散媒としてヘプタンを用いたこと、また第1スラリーおよび電極形成用スラリーが下表1に記載の固形成分濃度となるように準備したこと以外は、実施例1と同様に電極形成用スラリー、電極および評価用電池を得た。
硫化物固体電解質、活物質、結着材を実施例1と同様に準備し、分散媒を下表1に記載のスラリーの固形成分濃度となるように準備した。次に、これらを容器に入れた後、薄膜旋回型ミキサーを用いて、一括混練し(周速:27.2m/sec、混練時間:40分)、スラリーを得た。得られたスラリーを用いて、実施例1と同様に電極(負極)および評価用電池を作製した。
結着材としてアミン変性水素添加ブタジエンゴムを用い、分散媒としてヘプタンを用いたこと、また分散媒を下表1に記載のスラリーの固形成分濃度となるように準備したこと以外は、比較例1と同様にスラリー、電極および評価用電池を得た。
(接着強度評価)
実施例1、2および比較例1、2で得られた電極、すなわち集電体および活物質層の接着力を、引張試験機(アイコーエンジニアリング株式会社製、MODEL-2257)にて5回ずつ測定し、その平均値を接着力とした。その結果を、表1に示す。
実施例1、2および比較例1、2で得られた評価用電池を充放電処理した後、電池容量を測定した。ここで、充電処理は、25℃において、充電電流0.7mAとして、4.55Vまで定電流充電を行った。さらに、4.55Vにて、終止電流0.02mAとして、定電圧充電を行った。また充電処理の後、放電処理を行った。放電処理は、25℃において、放電電流0.7mAとして、3.0Vまで定電流放電を行った。さらに3.0Vにて、終止電流0.02mAとして定電圧放電を行った。この際測定した放電容量を電池容量とした。その結果を表1に示す。
Claims (3)
- 硫化物固体電解質、活物質、結着材および分散媒を含有する電極形成用スラリーの製造方法であって、
少なくとも前記硫化物固体電解質、前記結着材および前記分散媒を含む第1電極材料にせん断力を付与して混練し、第1スラリーを作製する第1混練工程と、
前記第1スラリーに、少なくとも前記分散媒を含む第2電極材料を追加し、前記第1スラリーおよび前記第2電極材料にせん断力を付与して混練し、前記第1スラリーより固形成分濃度が低い電極形成用スラリーを作製する第2混練工程と、
を有し、
前記第1電極材料および前記第2電極材料の少なくとも一方が、前記活物質をさらに含むことを特徴とする電極形成用スラリーの製造方法。 - 前記第1スラリーの固形成分濃度が50重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電極形成用スラリーの製造方法。
- 前記第1混練工程においては、前記第1スラリー中の固形成分が凝集した凝集体粒子の粒径が、20μm〜100μmの範囲内となるように前記せん断力を付与し、
前記第2混練工程においては、前記電極形成用スラリー中の固形成分が凝集した凝集体粒子の粒径が20μm〜70μmの範囲内となるように、前記せん断力を付与することを特徴とする請求項2に記載の電極形成用スラリーの製造方法。
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