JP6163917B2 - 絞りユニット、レンズ装置、撮像装置 - Google Patents
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Description
絞りユニットにおいて、絞り開口の形状は、被写界深度が浅くなる(ピントの合う範囲が狭くなる)絞り開放付近ではボケやゴーストの形状として撮像画像の品位に影響する。
また、被写界深度が深くなる(ピントの合う範囲が広くなる)中間〜小絞り付近では、絞り開口の形状はボケやゴーストの形状として撮像画像の品位に影響するだけでなく、円径比が下がることによって羽根同士の重なり部分が鋭角になってしまうとその部分で光の回折現象が生じてしまうことから、解像力の低下やフレア/迷光の発生によって撮像画像の品位を低下させることになる。
このため、絞り開口の形状は円形に近いことが好ましい。すなわち円径比が高いことが望ましい。なお、円径比とは、絞り開口の形状について内接円と外接円を描いたときの内接円の径(R1)と外接円の径(R2)の比(R1/R2)を意味する。
上記特許文献1,2においては、絞り羽根の内縁部の形状が複数の円弧を滑らかに連結することにより形成されていて、それらの円弧の中心から絞り羽根の回転軸までの距離が全て等しい(つまり、全ての円弧の中心が絞り羽根の回転軸を中心とし且つ当該回転軸から絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある)絞りユニットが開示されている。
例えば、開放絞り時のF値がF2のレンズにおいて最小絞り時のF値がF22とすると、開放絞り(F2)からF2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22の7段の絞り範囲で絞り量にかかわらず円径比を高めておくことが望ましいが、従来技術では開放絞りから2段〜4段の範囲で円径比0.95程度を維持するのが限界であった。
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されているものである。
また、これにより、最小絞り時の絞り開口は、各絞り羽根における所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧で形成された部分のみを組み合わせて形成される。
包絡線を用いたことで、各円弧の繋がりが滑らかとなる。
これにより、内縁部における最小絞り付近での絞り開口の形成に使用される部分がほぼ円弧状となる。
これにより、開放絞り時の絞り開口の円径比は開放絞り径に相当する円弧とその同心円との径比と一致する。
これにより、開放絞り付近において、隣接関係にある一方の絞り羽根の内縁部の先端部分すなわち開放絞り径に相当する円弧と同じ径を有する部分が、他方の絞り羽根の内縁部における開放絞り径に相当する円弧とほぼ同じRを有する部分に重なる。
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されているものである。
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されているものである。
なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態の絞りユニット>
[1-1.絞りユニットの構成]
[1-2.内縁部の形状について]
[1-3.まとめ及び効果]
<2.レンズ装置及び撮像装置>
<3.変形例>
<4.本技術>
[1-1.絞りユニットの構成]
以下、添付図面を参照して本技術に係る実施の形態について説明していく。
図1乃至図3は、実施の形態の絞りユニット1の構成についての説明図であり、図1は絞りユニット1の背面側の斜視図、図2は絞りユニット1の正面側の斜視図、図3は絞りユニット1の分解斜視図である。なお、絞りユニット1の「正面」とは、被写体からの光の入射方向に対向する面であり、「背面」とは正面の反対側の面である。
絞りユニット1はいわゆる虹彩絞りとされ、複数の絞り羽根7,7,・・・が少なくとも回転することによって絞り開口1aの面積を変化させることが可能に構成されている。本例の場合、絞り羽根7,7,・・・の枚数は7枚とされている。
羽根押え6は、複数のカム溝6a,6a,・・・を有している。
絞り羽根7,7,・・・は、回転軸7a,7a,・・・が動輪3の回転軸挿入口3a,3a,・・・に回転可能に勘合され、駆動軸7b,7b,・・・が羽根押え6のカム溝6a,6a,・・・に摺動可能に勘合され、動輪3と羽根押え6との間(羽根室)でスラスト方向に適切なガタを持ちながら保持されている。
ここで、図1〜図3では不図示としたが、内縁部7cとは、絞り羽根7における絞り開口1aの外縁を形成する側の縁部を意味する。
図4乃至図14を参照して、各絞り羽根7の内縁部7cの形状の設計例について説明する。
本例においても、内縁部7cの形状の基本的な設計思想としては、従来と同様に各絞り径に相当する複数の円弧を用いるという思想を踏襲する。
なお、以下の説明における前提事項として、本例では、開放絞りから最小絞りまでの絞り範囲が、開放絞りから7.5段の範囲であるとする。本例においては、このような開放絞りから7.5段の絞り範囲内の全域において絞り開口1aの円径比を所定の円径比(例えば0.95)以上に維持させることを目的とする。
先ず、開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径に相当する円弧について説明する。なお、「絞り径」とは絞り開口1aの径を意味し、「絞り径に相当する円弧」とはその絞り径と同じ径を有する円弧を意味する。
開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径に相当する円弧を求めるにあたっては、所定の小絞り径の絞り径と、開放絞り径から所定の小絞り径までの間を何段で刻むかを予め定めておく。
本例では、所定の小絞り径の絞り径を開放絞り径から5.5段分絞った際の絞り径に設定している。また、開放絞り径から所定の小絞り径までの間の刻みは1/6段に設定している。
従って、開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径に相当する円弧としては、開放絞り径から1/6段ごとに5.5段まで絞った際の各絞り径に相当する34個の円弧を求める。
なお、上記の「所定の小絞り径に相当する円弧」(開放絞り径から5.5段絞った絞り径に相当する円弧)は、「最小絞り径に相当する円弧」(開放絞り径から7.5段絞った絞り径に相当する円弧)に対する円径比が0.95以上となる円弧である。後の説明で明らかとなるように、「所定の小絞り径に相当する円弧」は、このように「最小絞り径に相当する円弧」に対する円径比が目標とする円径比以上となる円弧として設定されるべきものである。
本例では、開放径保証円弧として開放絞り径よりも5%だけ大径とされた円弧を求める。
なお、上記で例示した所定の小絞り径と、開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径の刻み段数はあくまで一例を示したに過ぎない。これらは、円径比を高く維持したい絞り範囲や目標とする円径比に応じて適宜変更が可能なものである。
開放径保証円弧Ahh
開放絞り径に相当する円弧Akh
所定の小絞り径に相当する円弧Arm
最小絞り径に相当する円弧Asm
図4は、開放径保証円弧Ahh及びその中心Okと絞り開口1aの中心Ocと絞り羽根7の回転軸7aとの位置関係を模式的に表している。なお、絞り開口1aの中心Ocは光軸と略一致している。
図のように開放径保証円弧Ahhをその中心Okが絞り開口1aの中心Ocと一致するように配置する。
図5は、最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armとの配置関係についての説明図である。
[3]の手順では、以下の1)〜3)の条件が満足されるように最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armとの配置関係を設定する。
1)最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armの中心が絞り羽根7の回転軸7aを中心とし回転軸7aから絞り開口1aの中心Ocまでの距離と等しい半径を有する円弧Arr上にある
2)最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armが二つの交点(c1,c2)で交わる
3)二つの交点c1,c2間に形成される所定の小絞り径に相当する円弧Armの劣弧の中心角がπ/7、二つの交点間c1,c2間に形成される最小絞り径に相当する円弧Asmの劣弧の中心角が2π/7となる
なお、「7」は絞り羽根7の枚数を意味する。
前述のように、所定の小絞り径に相当する円弧Armは、最小絞り径に相当する円弧Asmに対する円径比が目標とする円径比以上となる円弧とされている。従って、上記のように所定の小絞り径に相当する円弧Armの劣弧の7つの組み合わせで絞り開口1aが形成されることによっては、最小絞り時の円径比を目標とする円径比以上とすることができる。
4)各段の円弧におけるその段での絞り開口1aの形成に寄与する部分の中心角が全て等しい
5)所定の小絞り径に相当する円弧Armが、開放絞り径に相当する円弧Akhの同心円Akdに内接する
なお、ここで言う円弧同士の「内接」とは、小径の円弧が大径の円弧の内側に位置し且つ大径の円弧と一点で接することを意味する。
図6は、各段の円弧におけるその段での絞り開口1aの形成に寄与する部分とその中心角(θ)の説明図である。図6では、各段の円弧のうちの1つの円弧を代表して示している。図中の太線Dで示す部分が、その段での絞り開口1aの形成に寄与する部分を表している。
上記4)の条件は、33個の各円弧の中心角θが全て等しいということを定めたものである。
同心円Akdの径は、開放絞り時に満たしたい円径比に応じて設定する。本例では、開放絞り径を0.97で除した径に設定している。同心円Akdの径は、開放絞り時に満たしたい円径比に応じて、開放絞り径に相当する円弧Akhとの径差が所定値以下となるように設定すればよい。
上記5)の条件は、このような同心円Akdに所定の小絞り径に相当する円弧Armが内接する、すなわち同心円Akdの内側に所定の小絞り径に相当する円弧Armが位置し且つ所定の小絞り径に相当する円弧Armが同心円Akdと一点で接するということを定めたものである。
図8では、開放絞り径に相当する円弧Akhから所定の小絞り径に相当する円弧Armまでの1/6段ごとの各円弧の中心を黒丸により表している。これまでの1)〜5)の条件を満たすことにより、各円弧の中心は、図のように円弧Arrとは逆側に反った弓なり状に配列される。
これは、前述した特許文献1,2の従来技術において絞り開口1aの形成に寄与する各円弧の中心が円弧Arr上に配列されていたことに対し大きく異なる。
当該[5]の手順は、いわゆる羽根切れ状態の発生防止を意図して行うものである。なお、「先端側」とは、絞り羽根7における回転軸7aが形成される側とは逆側を意味する。
[5]の手順では、内縁部7cにおける所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分(交点c1〜c2)よりも先端側の部分の形状を設定する。
羽根切れ状態は、特に開放絞り付近において生じ易い。羽根切れ状態は、絞り開口1aの形状を著しく劣化させてしまうため避ける必要がある。
[5]の手順では、先の[3][4]の手順を経て既にその位置が条件付けられている所定の小絞り径に相当する円弧Armに基づき、先ずは図10に示す羽根切れ防止用円弧Ahgを求める。すなわち、
6)開放絞り径に相当する円弧Akhと同じ径を有する
7)所定の小絞り径に相当する円弧Armと正接する
という条件を満たす円弧である。
なお、ここで言う「正接」とは、羽根切れ防止用円弧Ahgが所定の小絞り径に相当する円弧Armに対して交点c1の一点で外接することを意味する。「外接」とは、大径の円弧が小径の円弧の外側に位置し且つ大径の円弧が小径の円弧と一点で接することを意味する。
但し、羽根切れ状態の発生防止のためには、羽根切れ防止用円弧Ahgのどこまでを内縁部7cの先端側の形状として採用するかを定める必要がある。内縁部7cにおける羽根切れ防止用円弧Ahgの一部で形成された部分の長さは、以下の条件を満たすように定める。
8)開放絞り径に相当する円弧Akhと開放径保証円弧Ahhとの交点のうち回転軸7a側に位置する交点を第一交点c3とし、隣接する絞り羽根7(内縁部7cの先端側方向に隣接する絞り羽根7)についての開放径保証円弧Ahhを開放径保証円弧Ahh’とし、開放径保証円弧Ahh’と羽根切れ防止用円弧Ahgとの交点のうち内縁部7cの先端側に位置する交点を第二交点c4とし、羽根切れ防止用円弧Ahgの中心を中心Ogとし、第一交点c3と中心Ogとを結んだ直線と第二交点c4と中心Ogとを結んだ直線とがなす角度を角度Gとしたときに、角度Gが2π/7以上となる
隣接する絞り羽根7の開放径保証円弧Ahh’は、隣り合う絞り羽根7,7が2π/7ごとに並ぶとの条件によって配置されるものである。図のように、開放絞り径に相当する円弧Akhと開放径保証円弧Ahhとの交点である第一交点c3と円弧Ahgの中心Ogとを結んだ直線と、開放径保証円弧Ahh’と円弧Ahgとの交点である第二交点c4と円弧Ahgの中心Ogとを結んだ直線とがなす角度が角度Gである。
8)の条件は、このような角度Gが2π/7以上(「7」は絞り羽根7の枚数を意味する)であることを定めている。
従って、図9に示したような羽根切れ状態の発生を防止することができる。
この時点において、内縁部7c上で最終的な形状が定まっているのは、所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分と、所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分よりも先端側の部分である。従って、次の[6]の手順により、内縁部7cの残りの部分の形状を確定する。
具体的には、所定の小絞り径に相当する円弧Arm、開放径保証円弧Ahh、及びそれらの間に配置された各円弧の全てを結ぶ包絡線を描き、当該包絡線を内縁部7cにおける所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分よりも回転軸7a側の部分の形状として採用する。
図12を参照して分かるように、開放径保証円弧Ahhから所定の小絞り径に相当する円弧Armまでの各円弧は、内縁部7cとの境界付近においては、回転軸7a側に向かって徐々に大径となるように配列されている。
また、この図12では図示されていないが、内縁部7cにおける所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分よりも回転軸7a側の領域においては、開放径保証円弧Ahhから所定の小絞り径に相当する円弧Armまでの各円弧は、それぞれ隣接する円弧と交差している。
なお、これらの各円弧の関係性、すなわち回転軸7a側に向かって徐々に大径の円弧が配列され各円弧が隣接する円弧と交差するという関係性自体は、先の1)〜5)の条件が満たされることで得られるものである。
包絡線とは、与えられた曲線族と接線を共有する曲線、すなわち与えられた全ての曲線に接する曲線である。[6]の手順では、所定の小絞り径に相当する円弧Arm、開放径保証円弧Ahh、及びそれらの間に配置された各円弧について、図13に示すように各円弧に接する包絡線を描く。そして、この包絡線を内縁部7cにおける所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分よりも回転軸7a側の部分の形状として採用する。
これにより、内縁部7cにおける開放絞り時〜最小絞り時に使用される部分の形状が確定する。
図14中の2つの太線Xで示すように、内縁部7cのうち[6]の手順によって形状が定まった部分の一部には、Rの向きが逆転した形状部分が形成される。具体的に、Rの向きが逆転した形状部分は、所定の小絞り径に相当する円弧Armで形成された部分とそれよりも回転軸7a側の部分との境界付近に形成される。これら向きの異なるRのうち、回転軸7aにより近い側のRは、その中心が絞り開口1aの中心Oc側に位置している。他方のRは、その中心が絞り羽根7の外縁部(内縁部7cとは逆側の部分)側に位置している。
Rの向きが逆転するのは、内縁部7cにおける最小絞り時に使用される部分を所定の小絞り径に相当する円弧Armの一部(前述した劣弧)で形成し、当該所定の小絞り径に相当する円弧Armから開放径保証円弧Ahhまでの各円弧を滑らかに結んだ結果である。
上記のように本実施の形態の絞りユニット1は、複数の絞り羽根7,7,・・・が少なくとも回転して絞り開口1aの面積を変化させることが可能に構成され、個々の絞り羽根7が、内縁部7cの一部においてRの向きが逆転した形状部分を有している。
ここで、最小絞り付近の絞り開口1aの形状の円径比を高めようとすると、内縁部7cにおける最小絞り付近で使用される部分は最小絞り径に応じた小径の円弧で形成することが有効である。一方、絞りを開いていくと内縁部7cにおいて使用される部分は徐々に拡大していくことから前記小径の円弧から延在する部分の平均的なRは比較的大きくすべきである。従って、上記のようにRの向きが逆転した形状部分によって最小絞り付近で使用される円弧部分とより開放側の絞り時に使用される部分とを滑らかに繋ぐことが可能とされた本実施の形態の絞りユニット1によれば、最小絞り側での円径比と開放絞り側での円径比の双方を高めつつ、最小絞りから開放絞りまで高い円径比を維持することができる。すなわち、従来よりも高い円径比が維持される絞り範囲を拡大することができる。
包絡線を用いたことで、各円弧の繋がりが滑らかとなる。従って、所定の絞り範囲において高い円径比を維持しつつ、各絞り段での絞り開口1aの見た目上の円形度合いも向上することができる。
これにより、内縁部7cにおける最小絞り付近で使用される部分がほぼ円弧状となり、最小絞り付近での絞り形状を円形に近い状態で維持できる。すなわち、最小絞り付近での円径比を高めることができる。
・最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armの中心が当該内縁部7cを有する絞り羽根7の回転軸7aを中心とし当該回転軸7aから絞り開口1aの中心Ocまでの距離と等しい半径を有する円弧Arr上にある
・最小絞り径に相当する円弧Asmと所定の小絞り径に相当する円弧Armが二つの交点c1,c2で交わる
・二つの交点c1,c2間に形成される所定の小絞り径に相当する円弧Armの劣弧の中心角がπ/m、二つの交点c1,c2間に形成される最小絞り径に相当する円弧Asmの劣弧の中心角が2π/mとなる
これにより、最小絞り時の絞り開口1aは、各絞り羽根7における所定の小絞り径に相当する円弧Armの劣弧で形成された部分のみを組み合わせて形成される。
最小絞り時に使用される部分が最小絞り径に応じた小径の円弧で形成されることで、最小絞り時における円径比を高めることができる。
これにより、開放絞り時の絞り開口1aの円径比は開放絞り径に相当する円弧Akhとその同心円Akdとの径比と一致する。
従って、開放絞り径に相当する円弧Akhとその同心円Akdとの径比を目標とする円径比以下に設定することで、開放絞り時の絞り開口1aの円径比を目標円径比内に抑えることができる。
これにより、開放絞り付近において、隣接関係にある一方の絞り羽根7の内縁部7cの先端部分すなわち開放絞り径に相当する円弧Akhと同じ径を有する部分が、他方の絞り羽根7の内縁部7cにおける開放絞り径に相当する円弧Akhとほぼ同じRを有する部分に重なる。
従って、図9に示したような羽根切れ状態の発生を防止することができる。
図17A,図17Bはそれぞれ本実施の形態の撮像装置10、レンズ装置20の概略断面図である。
図17Aに示すように本実施の形態の撮像装置10は、撮像レンズ11、絞りユニット1及びレンズ12が配列されたレンズ部10aと、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサなどとされた撮像素子13を有する本体部10bとを備えている。撮像レンズ11は被写体からの光(被写体光)を集光して絞りユニット1の絞り開口1aに導き、レンズ12は絞り開口1aを介して入射した被写体光を集光して撮像素子13の撮像面に結像させる。撮像素子13は被写体光を受光して撮像信号を得る。
以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術は上記により説明した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、上記では、絞り羽根7の枚数が7枚とされる例を挙げたが、絞り羽根7の枚数は7枚に限定されるべきものではない。例えば、絞り羽根7の枚数は9枚とすることができる。その場合は、前述した[3]の手順における3)の条件、及び[5]の手順における8)の条件で用いる絞り羽根7の枚数の値(m)を「9」に変更する。
なお、本技術は以下のような構成を採ることもできる。
(1)
複数の絞り羽根が少なくとも回転して絞り開口の面積を変化させることが可能に構成され、
個々の前記絞り羽根が、前記絞り開口の外縁を形成する側の縁部である内縁部の一部においてRの向きが逆転した形状部分を有し、
前記絞り羽根の枚数をmとし、
最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、
前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧とを
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されている
絞りユニット。
(2)
前記Rの向きが逆転した形状部分の一部は、開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径とそれぞれ同径とされた複数の円弧を結ぶ包絡線によって形成されている
前記(1)に記載の絞りユニット。
(3)
前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上に中心を持つ円弧の一部で形成されている
前記(1)又は(2)に記載の絞りユニット。
(4)
最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
開放絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を開放絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における前記最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分は、当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上に中心を持つ前記所定の小絞り径に相当する円弧の一部で形成され、
前記内縁部における前記所定の小絞り径に相当する円弧で形成された部分よりも前記回転軸側の部分の形状は、
前記所定の小絞り径に相当する円弧が前記開放絞り径に相当する円弧の同心円であって前記開放絞り径に相当する円弧との径差が所定値以下とされた同心円に内接するとの条件に従って配列された前記開放絞り径に相当する円弧から前記所定の小絞り径に相当する円弧までの各円弧を結んだ形状とされている
前記(1)乃至(3)の何れかに記載の絞りユニット。
(5)
前記開放絞り径に相当する円弧よりも大径とされその中心が前記絞り開口の中心に一致するように配置された円弧を開放径保証円弧とし、
前記開放絞り径に相当する円弧と同じ径を有し前記所定の小絞り径に相当する円弧と正接する円弧を羽根切れ防止用円弧とし、
前記開放絞り径に相当する円弧と前記開放径保証円弧との交点のうち前記回転軸側に位置する交点を第一交点とし、
前記回転軸とは逆側である先端側に隣接する前記絞り羽根についての前記開放径保証円弧と前記羽根切れ防止用円弧との交点のうち前記先端側に位置する交点を第二交点としたときに、
前記内縁部における前記所定の小絞り径に相当する円弧で形成された部分よりも先端側の部分の形状が前記羽根切れ防止用円弧の一部で形成され、
前記内縁部における前記羽根切れ防止用円弧の一部で形成された部分の長さが、前記第一交点と前記羽根切れ防止用円弧の中心とを結んだ直線と前記第二交点と前記羽根切れ防止用円弧の中心とを結んだ直線とがなす角度が2π/m以上となるとの条件を満たすように設定されている
前記(4)に記載の絞りユニット。
Claims (7)
- 複数の絞り羽根が少なくとも回転して絞り開口の面積を変化させることが可能に構成され、
個々の前記絞り羽根が、前記絞り開口の外縁を形成する側の縁部である内縁部の一部においてRの向きが逆転した形状部分を有し、
前記絞り羽根の枚数をmとし、
最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、
前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧とを
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されている
絞りユニット。 - 前記Rの向きが逆転した形状部分の一部は、開放絞り径から所定の小絞り径までの各絞り径とそれぞれ同径とされた複数の円弧を結ぶ包絡線によって形成されている
請求項1に記載の絞りユニット。 - 前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上に中心を持つ円弧の一部で形成されている
請求項1又は請求項2に記載の絞りユニット。 - 最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
開放絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を開放絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における前記最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分は、当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上に中心を持つ前記所定の小絞り径に相当する円弧の一部で形成され、
前記内縁部における前記所定の小絞り径に相当する円弧で形成された部分よりも前記回転軸側の部分の形状は、
前記所定の小絞り径に相当する円弧が前記開放絞り径に相当する円弧の同心円であって前記開放絞り径に相当する円弧との径差が所定値以下とされた同心円に内接するとの条件に従って配列された前記開放絞り径に相当する円弧から前記所定の小絞り径に相当する円弧までの各円弧を結んだ包絡線の形状とされている
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の絞りユニット。 - 前記開放絞り径に相当する円弧よりも大径とされその中心が前記絞り開口の中心に一致するように配置された円弧を開放径保証円弧とし、
前記開放絞り径に相当する円弧と同じ径を有し前記所定の小絞り径に相当する円弧と正接する円弧を羽根切れ防止用円弧とし、
前記開放絞り径に相当する円弧と前記開放径保証円弧との交点のうち前記回転軸側に位置する交点を第一交点とし、
前記回転軸とは逆側である先端側に隣接する前記絞り羽根についての前記開放径保証円弧と前記羽根切れ防止用円弧との交点のうち前記先端側に位置する交点を第二交点としたときに、
前記内縁部における前記所定の小絞り径に相当する円弧で形成された部分よりも先端側の部分の形状が前記羽根切れ防止用円弧の一部で形成され、
前記内縁部における前記羽根切れ防止用円弧の一部で形成された部分の長さが、前記第一交点と前記羽根切れ防止用円弧の中心とを結んだ直線と前記第二交点と前記羽根切れ防止用円弧の中心とを結んだ直線とがなす角度が2π/m以上となるとの条件を満たすように設定されている
請求項4に記載の絞りユニット。 - 複数の絞り羽根が少なくとも回転して絞り開口の面積を変化させることが可能に構成され、個々の前記絞り羽根が、前記絞り開口の形状の一部を形成する側の縁部である内縁部の一部においてRの向きが逆転した形状部分を有している絞りユニットと、
前記絞りユニットの前記絞り開口に対して被写体光を導く撮像レンズとを備え、
前記絞り羽根の枚数をmとし、
最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、
前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧とを
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されている
レンズ装置。 - 複数の絞り羽根が少なくとも回転して絞り開口の面積を変化させることが可能に構成され、個々の前記絞り羽根が、前記絞り開口の形状の一部を形成する側の縁部である内縁部の一部においてRの向きが逆転した形状部分を有している絞りユニットと、
前記絞りユニットの前記絞り開口に対して被写体光を導く撮像レンズと、
前記絞り開口を介して入射された前記被写体光を受光して撮像信号を得る撮像素子とを備え、
前記絞り羽根の枚数をmとし、
最小絞り時の前記絞り開口と同じ径を有する円弧を最小絞り径に相当する円弧とし、
前記最小絞り径に相当する円弧よりも大径であって前記最小絞り径に相当する円弧に対して所定の円径比を有する円弧を所定の小絞り径に相当する円弧としたときに、
前記内縁部における最小絞り時の前記絞り開口の形成に使用される部分が、
前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧とを
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧の中心が当該内縁部を有する前記絞り羽根の回転軸を中心とし当該回転軸から前記絞り開口の中心までの距離と等しい半径を有する円弧上にある
・前記最小絞り径に相当する円弧と前記所定の小絞り径に相当する円弧が二つの交点で交わる
・前記二つの交点間に形成される前記所定の小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角がπ/m、前記二つの交点間に形成される前記最小絞り径に相当する円弧の劣弧の中心角が2π/mとなる
との条件とを満たすように配置したときの前記所定の小絞り径に相当する円弧の前記劣弧によって形成されている
撮像装置。
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