以下、図面を参照しながら、本発明に係る排水ますの実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、実施形態に係る排水ます30Aを備えた排水システム1の平面図である。排水システム1は、図1に示すように、排水が流れるシステムである。ここで、「排水」には、汚水および雨水が含まれる。「汚水」とは、トイレ、風呂、および台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。本実施形態では、トイレ、風呂、および台所の流し台などのように、汚水が排出される設備を排水設備5とする。ここでは、排水設備5は、トイレ、風呂、および台所の流し台などの何れかであるが、特にトイレであることが好ましい。なお、図1では、2つの排水設備5が図示されているが、排水設備5の数は特に限定されない。排水設備5は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。「雨水」とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。ここでは、排水システム1は、排水のうち排水設備5から排出された汚水を、下水処理場(図示せず)に接続された下水本管6に流すシステムである。しかし、排水システム1は、雨水が流れるシステムであってもよい。この場合、排水設備5は、雨水が集約される側溝などに置換され、下水本管6は、雨水本管または河川などに変換される。図示は省略するが、排水システム1は、地中に埋設されている。排水システム1は、主管路10と、分岐管路20と、排水ます30Aとを備えている。
主管路10は、排水設備5から排出された排水が集約される管路である。図1において、便宜上、右を主管路10の上流とし、左を主管路10の下流とする。主管路10は、特に図示はしていないが、下流に向かうに連れて下方に傾斜している。主管路10は、第1主管路11と、第2主管路12と、第3主管路13とを備えている。第1主管路11の上流端には、例えば、排水設備5とは異なる排水設備(図示せず)が接続されている。第1主管路11の下流端には、上流側の排水ます30A(図1において、右の排水ます30A)が接続されている。第2主管路12の上流端には、上流側の排水ます30Aが接続され、下流端には、下流側の排水ます30A(図1において、左の排水ます30A)が接続されている。第3主管路13の上流端には、下流側の排水ます30Aが接続され、下流端には、下水本管6が接続されている。なお、主管路10の下流側には、公共ます(図示せず)が設けられていてもよい。
分岐管路20は、排水設備5から排出された排水を、排水ます30Aを介して主管路10へ流す管路である。分岐管路20は、排水設備5と排水ます30Aとに接続されている。ここでは、分岐管路20は、第1分岐管路21と、第2分岐管路22とを備えている。なお、図1において、便宜上、下を分岐管路20の上流とし、上を分岐管路20の下流とする。第1分岐管路21の上流端には、上流側の排水設備5が接続され、下流端には、上流側の排水ます30Aが接続されている。第2分岐管路22の上流端には、下流側の排水設備5が接続され、下流端には、下流側の排水ます30Aが接続されている。なお、「管路」とは、水を流通させる通路を意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよいし、複数本の配管とそれら配管を接続する継手によって構成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る排水ます30Aについて説明する。なお、図1では、2つの排水ます30Aが図示されているが、2つの排水ます30Aは同様の構成をしている。ただし、2つの排水ます30Aは異なる構成であってもよい。例えば、2つの排水ます30Aのうち何れか一方は、従来公知の排水ますであってもよい。排水ます30Aは、排水設備5から排出された排水と主管路10の上流側から流れる排水とを合流させ、その排水を主管路10の下流側へ流すものであり、いわゆる合流ますである。排水ます30Aは、主管路10の途中箇所に設けられている。
図2は、本実施形態に係る排水ます30Aの平面図である。図3は、排水ます30Aの正面図である。図4は、図2のIV−IV断面における排水ます30Aの断面図である。図5は、図2のV−V断面における排水ます30Aの断面図である。図6は、排水ます30Aの左側面図である。図7は、排水ます30Aの右側面図である。図8は、図3のVIII−VIII断面における排水ますの断面図である。なお、図2から図8などにおいて、符号F、Rr、LおよびRは、それぞれ排水ます30Aの前、後、左および右を表している。ただし、各方向は説明の便宜上定めたものであり、本発明を特に限定するものではない。排水ます30Aは、図2に示すように、ます本体31と、第1流入筒状部32と、第2流入筒状部33と、流出筒状部34と、第1排水流路35と、第2排水流路36と、仕切板71とを備えている。
ます本体31は、図3に示すように、上下方向に延びた略筒状の形状を有している。ます本体31は、図4に示すように、内部に空間を有している。ます本体31の上部には、点検口41が形成されている。点検口41は、上方に開口している。点検口41は、作業者がます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34の内部に破損または詰まりなどがあるか否かのメンテナンスを行う部位である。なお、特に図示していないが、点検口41には縦管が接続され、この縦管の上端には蓋が被せられている。なお、ここでは、点検口41とは、平面視において、ます本体31の上部の内周面内のことをいう。
第1流入筒状部32は、ます本体31の側部に設けられている。ここでは、図2に示すように、平面視において、第1流入筒状部32の中心軸L12は、点検口41の中心軸L11よりも第2流入筒状部33とは反対側、すなわち、後方に位置している。図4に示すように、正面視において、第1流入筒状部32の中心軸L12と、点検口41の中心軸L11とは直交している。第1流入筒状部32の上流部には、接続しろ61が設けられている。接続しろ61には、主管路10の上流側を構成する配管が接続される。例えば、図1に示すように、上流側の排水ます30Aの第1流入筒状部32の接続しろ61には、第1主管路11の下流端を構成する配管が接続され、下流側の排水ます30Aの第1流入筒状部32の接続しろ61には、第2主管路12の下流端を構成する配管が接続される。本実施形態では、第1流入筒状部32の接続しろ61は、図4に示すように、配管が挿入される受口であるが、配管に挿入される差口であってもよい。
第1流入筒状部32は、第1流入口51を有している。第1流入口51は、第1流入筒状部32の上流端、すなわち、接続しろ61の上流端に設けられている。第1流入口51には、排水が流入する。ここでは、第1流入口51は、側方に開口している。正面視において、第1流入口51の端面を通る直線と点検口41の端面を通る直線とは直交している。なお、ここでは、第1流入筒状部32の中心軸L12は、第1流入口51の中心軸でもある。そのため、中心軸L12は、適宜、第1流入口51の中心軸ともいう。
図2に示すように、第2流入筒状部33の少なくとも一部は、ます本体31の側部に設けられている。本実施形態では、第2流入筒状部33は、ます本体31の側部から第1流入筒状部32の側部に亘って設けられている。第2流入筒状部33の中心軸L13は、平面視において、点検口41の中心軸L11よりも第1流入筒状部32側、すなわち、右方に位置している。第2流入筒状部33の流出筒状部34側の側端部は、点検口41の中心軸L11よりも第1流入筒状部32側に位置している。ただし、第2流入筒状部33は、第1流入筒状部32の側部には設けられず、ます本体31の側部にのみ設けられていてもよい。なお、本実施形態では、第2流入筒状部33の中心軸L13とは、第2流入筒状部33の端面、すなわち、後述する第2流入口52の中心軸のことをいう。そのため、中心軸L13は、適宜、第2流入口52の中心軸ともいう。第2流入筒状部33は、第1流入筒状部32側に凸となるように湾曲している。第2流入筒状部33は、下流側に向かうに連れて流出口53側に向くように若干湾曲している。ここでは、第2流入筒状部33のうち、下流側かつ第1流入筒状部32側(すなわち右方側)の部分が、下流側に向かうに連れて流出口53側に向くように若干湾曲している。図3に示すように、第2流入筒状部33の底部は、第1流入筒状部32の底部と同じ高さの位置に配置されている。ここでは、第2流入筒状部33の底部は、流出筒状部34の底部よりも高い位置に配置されているが、流出筒状部34の底部と同じ高さの位置に配置されていてもよい。図2に示すように、第2流入筒状部33の中心軸L13は、第1流入筒状部32の中心軸L12と直交してい
る。図7に示すように、第2流入筒状部33の中心軸L13は、点検口41の中心軸L11と直交している。
図2に示すように、第2流入筒状部33の上流部には、接続しろ62が設けられている。第2流入筒状部33の接続しろ62には、分岐管路20を構成する配管が接続される。例えば、図1に示すように、上流側の排水ます30Aの第2流入筒状部33の接続しろ62には、第1分岐管路21の下流端を構成する配管が接続される。下流側の排水ます30Aの第2流入筒状部33の接続しろ62には、第2分岐管路22の下流端を構成する配管が接続される。第2流入筒状部33の接続しろ62は、受口であるが、差口であってもよい。図2に示すように、平面視において、第2流入筒状部33の接続しろ62の一部は、点検口41と重なっている。ここでは、平面視において、接続しろ62の流出筒状部34側の部分、すなわち、左部の下流側が点検口41と重なっている。ただし、平面視において、接続しろ62の左部全体が点検口41と重なっていてもよいし、接続しろ62の中央部分または右部の下流側が点検口41と重なっていてもよい。
図3に示すように、第2流入筒状部33は、第2流入口52を有している。第2流入口52は、図2に示すように、第2流入筒状部33の上流端、すなわち、接続しろ62の上流端に設けられている。第2流入口52には、排水が流入する。ここでは、第2流出口52は、前方に向かって開口している。図7に示すように、側面視において、第2流入口52の端面を通る直線と点検口41の端面を通る直線とは、直交している。また、図2に示すように、平面視において、第2流入口52の端面を通る直線と第1流入口51の端面を通る直線とは直交している。平面視において、第2流入口52の中心軸L13は、点検口41の外方であって、点検口41よりも第1流入筒状部32側に位置している。
平面視において、点検口41の中心軸(中心点)L11から第1流入口51の中心軸L12に直交するように延びた直線を直線L31とし、第1流入口51の中心軸L12と直線L31との交点を交点P41とする。交点P41から第2流入口52側に延びた直線を直線L32とする。交点P41を中心にして、交点P41よりも第1流入筒状部32側の第1流入口51の中心軸L12と、直線L32とのなす角度R2は、45度である。このとき、直線L32と第2流入口52の中心軸L13とが交わる交点を交点P42としたとき、この交点P42は、平面視において、点検口41の外方であって、第2排水流路36上に位置している。ここでは、交点P42は、平面視において、第2流入筒状部33のうち接続しろ62を除いた部位上に位置している。なお、本実施形態では、直線L31および直線L32は、それぞれ本発明の「第1の直線」および「第2の直線」に対応している。また、交点P41および交点P42は、それぞれ本発明の「第1の交点」および「第2の交点」に対応している。
流出筒状部34は、ます本体31の側部であって第1流入筒状部32の反対側に設けられている。流出筒状部34と第1流入筒状部32とは対向している。ただし、流出筒状部34は、第1流入筒状部32の反対側に設けられていなくてもよい。流出筒状部34の中心軸L14は、点検口41の中心軸L11よりも第2流入筒状部33とは反対側に位置している。ここでは、流出筒状部34の長さ方向の距離は、第1流入筒状部32の長さ方向の距離よりも短い。図3に示すように、流出筒状部34の底部は、第1流入筒状部32の底部および第2流入筒状部33の底部よりも低い位置に配置されている。ただし、流出筒状部34の底部は、第1流入筒状部32の底部または第2流入筒状部33の底部と同じ高さに配置されていてもよい。図2に示すように、流出筒状部34の中心軸L14は、第1流入筒状部32の中心軸L12と平行である。また、平面視において、流出筒状部34の中心軸L14と、第2流入筒状部33の中心軸L13とは直交している。図4に示すように、正面視において、流出筒状部34の中心軸L14は、点検口41の中心軸L11と直交している。
流出筒状部34の下流部には、接続しろ63が設けられている。流出筒状部34の接続しろ63には、主管路10を構成する配管が接続される。例えば、図1に示すように、上流側の排水ます30Aの流出筒状部34の接続しろ63には、第2主管路12の上流端を構成する配管が接続される。下流側の排水ます30Aの流出筒状部34の接続しろ63には、第3主管路13の上流端を構成する配管が接続される。図4に示すように、流出筒状部34の接続しろ63は、受口であるが差口であってもよい。
図6に示すように、流出筒状部34は、流出口53を有している。図4に示すように、流出口53は、流出筒状部34の下流端、すなわち、接続しろ63の下流端に設けられている。流出口53は、流出筒状部34を介して、ます本体31の側部に設けられている。ここでは、流出口53は、ます本体31の側部であって第1流入口51の反対側に設けられているが、第1流入口51の反対側に設けられていなくてもよい。ます本体31内に流入した排水は、流出口53から外部へ流出する。ここでは、流出口53は、側方に開口している。図2に示すように、平面視において、流出口53の端面は、第1流入口51の端面と平行である。流出口53は、第1流入口51と対向している。平面視において、流出口53の端面を通る直線は、第2流入口52の端面を通る直線と直交している。また、図3に示すように、正面視において、流出口53の端面を通る直線は、点検口41の端面を通る直線と直交している。なお、本実施形態では、流出口53は、流出筒状部34に設けられているが、ます本体31の側部に直接形成されていてもよい。
次に、点検口41、第1流入口51、第2流入口52および流出口53の大きさの関係について説明する。図2に示すように、点検口41は、第1流入口51、第2流入口52および流出口53よりも大きく開口している。言い換えると、点検口41の内径は、第1流入口51の内径、第2流入口52の内径および流出口53の内径よりも長い。そのため、作業者は、点検口41を通じて、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34の内部のメンテナンスを容易に行うことができる。ここでは、第1流入口51、第2流入口52および流出口53は、それぞれ同じ大きさであるが、それぞれ大きさが異なっていてもよい。
本実施形態では、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34は、一体的に成形されている。しかし、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34は、それぞれ別体で成形されて、成形後、互いが組付けられてもよい。また、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34のうち、何れか2つまたは3つが一体的に成形されていてもよい。
第1排水流路35は、ます本体31内に設けられている。第1排水流路35は、第1流入筒状部32と流出筒状部34とに接続されている。第1排水流路35は、第1流入筒状部32および流出筒状部34と連続している。ここでは、第1排水流路35は、平面視において、真っ直ぐな溝である。ただし、第1排水流路35は、平面視において、少なくとも一部が湾曲した溝であってもよい。図4に示すように、第1排水流路35の底部には、傾斜部35aが設けられている。傾斜部35aは、第1排水流路35の途中部分の底部に設けられている。傾斜部35aは、第1排水流路35のうち傾斜部35aが設けられた箇所よりも上流側の底部35b(以下、第1排水流路35の上流側の底部35bともいう。)から下流側に向かって下方に傾斜している。
図2に示すように、第2排水流路36は、ます本体31内および第2流入筒状部33内に設けられている。第2排水流路36は、第2流入口52と第1排水流路35の途中部分とに接続されている。第2排水流路36は、第2流入口52および第1排水流路35と連続している。ここでは、第2排水流路36は、第1排水流路35の上流側と隣合うようにして、第1排水流路35の上流側の前方に設けられている。第2排水流路36は、下流側に向かう程、第1排水流路35に近づいている。ここでは、第1排水流路35の下流側に第2排水流路36が接続されている。平面視において、第2排水流路36と第1排水流路35の上流側とのなす角度Rは、鋭角である。この角度Rは、例えば45度である。しかし、角度Rは、直角すなわち90度であってもよい。ここで、角度Rとは、平面視において、第2排水流路36の幅方向の中心を繋ぐ線の延長線L21と、第1排水流路35の幅方向の中心を繋ぐ線の延長線L22とのなす角度のことである。第2排水流路36の幅は、上流から下流に向かうに連れて短くなっている。図3に示すように、第2排水流路36の底部は、上流側から下流側に向かって下方に傾斜している。詳しくは、第2排水流路36の底部は、上流側から下流側に向かって緩やかに傾斜している。このことによって、第2流入筒状部33からます本体31に流入した排水を、第2排水流路36の上流側から下流側へ自然に流すことができる。よって、第2流入筒状部33からます本体31に流入した排水が、第1流入筒状部32へ逆流しにくくすることができる。ここでは、第2排水流路36の下流側の底部は、第1排水流路35の下流側の底部と同じ高さである。
図8に示すように、仕切板71は、第1流入筒状部32の下流部と第2流入筒状部33の下流部、および、第1排水流路35と第2排水流路36を仕切る板である。仕切板71は、第1流入筒状部32の下流部と第2流入筒状部33の下流部との間から、第1排水流路35と第2排水流路36との間に亘って設けられている。図7に示すように、第1流入筒状部32の軸方向から見たとき(ここでは、右側面視において)、仕切板71の一部は、第1流入口51を通じて視認される位置に配置されている。ここでは、図6に示すように、流出筒状部34の軸方向から見たとき(ここでは、左側面視において)、仕切板71の一部は、流出口53を通じて視認される位置に配置されている。図5に示すように、仕切板71は、上方に向かって延びている。ここでは、仕切板71は、曲板72と、直板73とを備えている。図2に示すように、曲板72は、平面視において、点検口41の外方に配置されている。ここでは、曲板72は、第1流入筒状部32と第2流入筒状部33との間であって、第1流入筒状部32と第2流入筒状部33とが接続される位置から、流出筒状部34側に向かって延びている。曲板72は、平面視において、第1流入筒状部32と第2流入筒状部33とによって、隠れた位置に設けられている。図8に示すように、曲板72は、平面視において、第1流入筒状部32側、すなわち、後方に凸となるように湾曲している。ここでは、曲板72の第2流入筒状部33側の側面は、上流側から下流側に向かうに連れて緩やかに湾曲している。直板73は、曲板72の下流端に設けられている。図2に示すように、直板73は、平面視において、点検口41内に配置されている。直板73は、第2排水流路36の下流側に延びている。ここでは、直板73は、曲板72の下流端から点検口41の中心軸L11に向かって真っ直ぐに延びている。ただし、直板73は、平面視において、多少湾曲していてもよく、この場合、直板73は、曲板72と一体となって滑らかに湾曲していてもよい。図5に示すように、直板73の上部は、下流側に向かうに連れて下方に傾斜している。図2に示すように、直板73の下流端は、第2流入口52よりも流出口53側(図2では、第2流入口52よりも左方)に位置している。このことによって、第2流入口52から流入した排水を、第2排水流路36に沿って流出口53へ確実に流すことができる。
図9は、排水ます30Aを分解した平面図である。なお、図9において、説明の便宜上、排水ます30Aの各部材を分解して図示しているが、実際には、各部材は互いに接続されている。図9に示すように、本実施形態では、ます本体31は、筒状の形状を有しており、平面視において、点検口41よりも外側に側部が広がっていない形状である。第1流入筒状部32は、平面視において、点検口41から右方に延びた筒状の部材である。第2流入筒状部33は、平面視において、点検口41から右斜め前に向かって湾曲しながら延びた筒状の部材である。第1流入筒状部32と第2流入筒状部33との境目は、仕切板71の曲板72である。流出筒状部34は、平面視において、点検口41から左方に延びた筒状の部材である。なお、本発明の「ます本体の側部に設けられ、排水が流出する「流出口」」とは、符号53aが示す部位のことである。符号53aは、ます本体31における流出筒状部34が接続された箇所の開口部分を示している。
なお、排水ます30Aの製造方法は特に限定されない。例えば、排水ます30Aは、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33、流出筒状部34および仕切板71などが一体となって成形されてもよい。この場合、それら部位が一体となるような金型を用いて排水ます30Aが成形されることが好ましい。ただし、排水ます30Aは、ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33、流出筒状部34および仕切板71などの各部品が、それぞれ別体で成形され、各部品が成形された後に、それぞれの部品同士が組付けられてもよい。この場合、各部品は、各部品に対応する金型を用いて成形されることが好ましい。
次に、排水ます30Aを備えた排水システム1の利用方法について説明する。本実施形態に係る排水システム1では、図1に示すように、排水設備5から排出された排水を下水本管6へ排出する。ここでは、上流側に配置された排水設備5(図1の右側に示された排水設備5)から排出された排水の流れについて説明する。下流側に配置された排水設備5(図1の左側に示された排水設備5)から排出された排水の流れは、上流側の排水設備5から排出された排水の流れと同様のため、ここでの説明は省略する。
上流側の排水設備5から排出された排水は、第1分岐管路21内を流れ、第2流入口52からます本体31内に流入する。第2流入口52から流入した排水は、図2に示すように、第2排水流路36へ流れる。第2排水流路36へ流れた排水は、仕切板71の曲板72および直板73に沿って、第1排水流路35の下流部へ流れ、その後、流出筒状部34へ流れる。流出筒状部34へ流れた排水は、図1に示すように、排水ます30Aから流出し、第2主管路12へ流れる。その後、第2主管路12へ流れた排水は、下流側の排水ます30Aの第1流入筒状部32からます本体31内に流入する。このとき、下流側の排水設備5から排水が排出されている場合、その排水は、下流側の排水ます30A内で主管路10の上流側から流れてきた排水と合流する。その後、下流側の排水ます30A内に流入した排水は、第3主管路13へ流れる。そして、第3主管路13に流れた排水は、下水本管6へ流出する。
以上のように、本実施形態では、図2に示すように、平面視において、第1排水流路35における第2排水流路36が接続された箇所よりも第1流入筒状部32側の流路と、第2排水流路36とのなす角度Rは、鋭角である。このことによって、第2流入筒状部33から第2排水流路36に流入した排水は、第2排水流路36に沿って流れるため、その流れの向きのまま第1排水流路35に流入する。よって、排水は、第1排水流路35の下流側に流れ易くなり、第1排水流路35の上流側には逆流しにくくなる。
平面視において、点検口41の中心軸L11から第1流入口51の中心軸L12に直交するように延びた直線L31と、第1流入口51の中心軸L12との交点を交点P41とする。交点P41から第2流入口52側に延びた直線を直線L32とする。交点P41を中心にして、第1流入口51の中心軸L12と、直線L32とのなす角度R2は、45度である。このとき、直線L32と第2流入口52の中心軸L13とが交わる交点を交点P42としたとき、この交点P42は、平面視において、点検口41の外方であって、第2排水流路36上に位置している。このような位置関係で第2流入口52を配置することで、排水ます30Aにおける第2流入口52の軸方向に対する距離を、特許文献1の排水ますよりも短くすることができる。そのため、狭小地に配置し易くなる。
例えば、平面視において、交点P42が第2流入口52よりも外側(図2では、第2流入口52よりも前方)に位置するように、第2流入筒状部33および第2流入口52を配置した場合、第1排水流路35と第2排水流路36とのなす角度Rが、本実施形態の排水ます30Aの場合よりも、更に鋭角になる。そのため、第2排水流路36の幅が狭くなる。このことによって、第2排水流路36に排水があふれて、その排水の一部が第1流入筒状部32に逆流するおそれがある。また、第2排水流路36の幅が狭くなると、第2流入筒状部33の開口面積が小さくなる。そのため、作業者が第2流入筒状部33の内部に破損または詰まりなどがあるか否かのメンテナンスをする際、維持管理器具(図示せず)を点検口41から第2流入筒状部33に向かって挿入しにくくなる。よって、メンテナンスがしにくくなる。
例えば、平面視において、交点P42が点検口41内に位置するように、第2流入筒状部33および第2流入口52を配置した場合、第2流入筒状部33から流入した排水は、仕切板71の直板73に直接ぶつかり易い。直板73にぶつかった排水は、散らばり易い。そして、散らばった排水の一部が、直板73を乗り越えて第1流入筒状部32に向かって逆流するおそれがある。
しかし、本実施形態のような位置関係で第2流入口52を配置することで、第2排水流路36の幅をある程度確保することができる。第2流入筒状部33から流入した排水は、仕切板71の曲板72にぶつかり、直板73にはぶつかりにくい。よって、第2流入筒状部33から流入した排水が第2排水流路36であふれにくくなると共に、排水を円滑に流出口53へ流すことができる。
また、本実施形態では、第1排水流路35と第2排水流路36との間には、仕切板71が設けられている。そのため、第2流入筒状部33から勢いよく排水が流入した場合、その排水が、仕切板71によって、第2排水流路36の側面を超えて第1排水流路35の上流側に流れることを防ぐことができると共に、排水が仕切板71によって第1排水流路35の下流側に導かれ易い。よって、第2流入筒状部33から流入した排水が、第1流入筒状部32から逆流して流出することを防ぐことができる。
平面視において、第2流入口52の中心軸L13は、点検口41の中心点L11よりも第1流入筒状部32側に位置している。ここでは、第2流入筒状部33の流出筒状部34側の側端部は、点検口41の中心軸L11よりも第1流入筒状部32側に位置している。このことによって、第2流入口52から流入した排水は、平面視において、点検口41の外方で仕切板71にぶつかり易くなる。そのため、仕切板71にぶつかった排水は、散らばりにくくなると共に、第2排水流路36へ流れ易くなる。
平面視において、第2流入筒状部33の接続しろ62の少なくとも一部は、点検口41と重なっている。そのため、排水ます30Aにおける第2流入筒状部33の軸方向、すなわち、前後方向に対する距離を、特許文献1の排水ますよりも短くすることができる。よって、特許文献1の排水ますに比べてコンパクト化を図ることができる。
ます本体31、第1流入筒状部32、第2流入筒状部33および流出筒状部34は、一体的に成形されている。このことによって、ます本体31と、第1流入筒状部32と、第2流入筒状部33と、流出筒状部34との接続部分から排水が漏れにくくなる。よって、排水ます30A内において、排水を円滑に流すことができる。
図8に示すように、仕切板71は、第2流入筒状部33から連続し、第1流入筒状部32側に凸となるように湾曲した曲板72と、曲板72の下流端に設けられ、第2排水流路36の下流側に延びた直板73と、を備えている。このことによって、第2流入筒状部33から勢いよく流入した排水は、曲板72にぶつかった後、曲板72に沿って第2排水流路36の下流側に流れ易い。よって、第2流入筒状部33から流入した排水は、曲板72に沿って流出筒状部34の流出口53へ流れ易い。また、第1流入筒状部32からます本体31内に流入した排水は、曲板72に沿って流れるため、第1排水流路35の下流側に流れ易くなる。
このように、本実施形態では、仕切板71の曲板72および直板73は、第1流入筒状部32からます本体31内に流入した排水と、第2流入筒状部33からます本体31内に流入した排水との両方から流れる排水を、流出筒状部34に案内する役割を担っている。そのため、排水ます30Aの第2流入筒状部33の中心軸L13の方向に対する長さを短くした場合であっても、第1流入筒状部32および第2流入筒状部33から流入した排水を、流出筒状部34に流れ易くすることができる。したがって、本実施形態に係る排水ます30Aは、周りに他の配管などの部材が埋設されているような狭小地であっても、特許文献1の排水ますに比べて設置し易い。
ます本体31内に破損または詰まりなどがあるか否かのメンテナンスを行うために、点検口41からます本体31内に向けて、メンテナンス用の維持管理器具(図示せず)を挿入する。図5に示すように、直板73の上部は、下流側に向かうに連れて下方に傾斜している。このことによって、上記維持管理器具を点検口41からます本体31内に挿入する際、上記維持管理器具は、直板73の上部の傾斜を滑るようにしてます本体31内に案内される。よって、上記維持管理器具を円滑にます本体31内に挿入することができる。
図7に示すように、第1流入筒状部32側から見たとき、仕切板71の少なくとも一部は、第1流入口51の内部に配置されている。このことによって、第2排水流路36の幅を広くすることができる。よって、第2排水流路36において、排水が流れる量を多くすることができる。また、第2流入筒状部33からます本体31内に流入した排水を、仕切板71の曲板72に沿って、下流側に流し易い。したがって、第2排水流路36内の排水が第2流入筒状部33から逆流して流出しにくくすることができる。
図2に示すように、平面視において、第2流入筒状部33は、ます本体31の側部から第1流入筒状部32の側部に亘って設けられている。このことによって、ます本体31内において、第2排水流路36の距離を確保することができる。よって、第2流入筒状部33から流入した排水の量が多い場合であっても、第2排水流路36内で排水が詰まりにくくすることができる。
第2流入筒状部33からます本体31内に排水が勢いよく流入したとき、排水は仕切板71の曲板72にぶつかる。曲板72にぶつかった排水は、あらゆる方向に散らばり易いため、ます本体31内に飛び散るおそれがある。しかし、本実施形態では、曲板72は、平面視において、点検口41の外方であって、第1流入筒状部31と第2流入筒状部32との間に設けられている。そのため、曲板72にぶつかった排水は、第2流入筒状部32内に飛び散るため、ます本体31内に飛び散りにくくすることができる。
平面視において、第2流入筒状部33は、第1流入筒状部32側に凸となるように湾曲している。第2流入筒状部33は、下流側に向かうに連れて流出口53側に向くように若干湾曲している。このことによって、第2流入口52から第2流入筒状部33に流入した排水は、第2流入筒状部33の湾曲部分に沿って、流出口53へ流れ易い。よって、第2流入筒状部33に流入した排水が、第1流入筒状部32から逆流して流出しにくくすることができる。
図4に示すように、第1排水流路35の途中部分の底面には、下流側に向かって下方に傾斜した傾斜部35aが設けられている。このことによって、第1排水流路35の下流側に流入した排水は、傾斜部35aによって、第1排水流路35の上流側に逆流しにくくなる。よって、第1排水流路35の下流側に流入した排水が、第1流入筒状部32から逆流して流出することを防止することができる。
排水が流出する流出口53は、流出筒状部34の下流端に設けられている。このことによって、流出口53と第1排水流路35の下流端との間には、流出筒状部34によって、距離が確保されている。よって、主管路10の下流側を流れる排水が流出口53からます本体31内の第1排水流路35に流入しにくくすることができる。
以上、本実施形態に係る排水ます30Aについて説明した。しかし、本発明に係る排水ますは、上記実施形態に係る排水ます30Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。
<他の実施形態>
図9は、他の実施形態に係る排水ます30Bの平面図である。図10は、他の実施形態に係る排水ます30Bの右側面図である。図9に示すように、排水ます30Bは、エルボ管90を備えている。エルボ管90は、排水ます30Bの第2流入筒状部33に回動自在に接続されている。エルボ管90の下流端は、第2流入筒状部33の接続しろ62に接続されている。エルボ管90の上流端は、分岐管路20に接続される。図10に示すように、側面視において、エルボ管90の上流端の端面を通る直線と下流端の端面を通る直線とは、直交している。しかし、側面視において、エルボ管90の上流端の端面を通る直線と下流端の端面を通る直線とは、直交していなくてもよい。図10では、エルボ管90の上流端、すなわち、分岐管路20が接続される側の端面は、上方に開口しているが、その開口の向きは特に限定されない。本実施形態によれば、第2流入筒状部33に接続される分岐管路20がどのような方向に延びている場合であっても、エルボ管90を介して、分岐管路20と第2流入筒状部33との接続がし易くなる。
なお、上記各実施形態において、「平行」、「直交」には、それぞれ「略平行」、「略直交」も含まれる。
<変形例>
上記実施形態では、排水ます30Aに接続されている排水設備5は1つであった。しかし、排水ます30Aに接続される排水設備5の数は特に限定されない。例えば、1つの排水ます30Aに、複数の排水設備5が分岐管路20を介して接続されていてもよい。
上記実施形態では、排水ます30Aのます本体31には、排水が流入する流入口が2つ設けられていた。しかし、排水が流入する流入口がます本体31に3つ以上設けられていてもよい。例えば、ます本体31の側部に、第3流入口(図示せず)が設けられていてもよい。
以上、本形態の一態様によれば、排水ますは、略筒状のます本体と、第1流入筒状部と、第2流入筒状部と、流出口と、第1排水流路と、第2排水流路とを備えている。前記ます本体は、上方に開口した点検口を有している。前記第1流入筒状部は、排水が流入する第1流入口を有し、前記ます本体の側部に設けられている。前記第2流入筒状部は、排水が流入する第2流入口を有し、少なくとも一部が前記ます本体の側部に設けられている。前記流出口は、前記ます本体の側部に設けられ、排水が流出する。前記第1排水流路は、前記ます本体内において、前記第1流入筒状部と前記流出口とに接続されている。前記第2排水流路は、前記ます本体内および前記第2流入筒状部内において、前記第1排水流路と前記第2流入口とに接続されている。平面視において、前記第1排水流路における前記第2排水流路が接続された箇所よりも前記第1流入筒状部側の流路と、前記第2排水流路とのなす角度は、鋭角である。平面視において、前記第1流入口の端面を通る直線と前記第2流入口の端面を通る直線とは直交している。平面視において、前記第1流入口の中心軸と、前記点検口の中心点から前記第1流入口の中心軸に直交するように延びた第1の直線との交点を第1の交点とし、前記第1の交点を中心にして、前記第1流入口の中心軸とのなす角度が45度となるように、前記第1の交点から前記第2流入口側に延びた直線を第2の直線としたとき、前記第2の直線と前記第2流入口の中心軸とが交わる第2の交点が、前記点検口の外方であって、前記第2排水流路上に位置している。前記第1排水流路と前記第2排水流路との間には、上方に延びた仕切板が設けられている。前記仕切板の上流端は、平面視において、前記点検口の外方であって、前記第1流入筒状部と前記第2流入筒状部との間に設けられている。
前記排水ますによれば、平面視において、第2の直線と第2流入口の中心軸とが交わる第2の交点が、点検口の外方であって、第2排水流路上に位置している。このような位置関係で第2流入口を配置することで、排水ますにおける第2流入口の軸方向に対する距離を、特許文献1の排水ますよりも短くすることができる。そのため、狭小地に配置し易くなる。また、このような位置関係で第2流入口を配置することで、第2排水流路の幅をある程度確保することができる。よって、第2流入口から流入した排水が第2排水流路であふれにくくなり、排水を円滑に流出口へ流すことができる。また、前記排水ますによれば、第1排水流路と第2排水流路との間には、仕切板が設けられている。よって、第2流入筒状部から勢いよく流入した排水が、仕切板によって、第2排水流路の側面を超えて第1排水流路の上流側に流れることを防ぐことができると共に、排水が仕切板によって第1排水流路の下流側に導かれ易い。よって、第2流入筒状部から流入した排水が、第1流入筒状部から逆流して流出することを防ぐことができる。