JP6348035B2 - 排水ますおよびそれを備えた排水システム - Google Patents

Description

本発明は、排水ますおよびそれを備えた排水システムに関する。

従来から、排水設備から下水本管に排水を排出する排水システムが知られている。排水施設としては、例えば、トイレ、風呂、または台所の流し台などが挙げられる。この種の排水システムは、排水施設と下水本管とを繋ぐ流出管路を備えている。排水設備から排出された排水は、流出管路を通じて下水本管へ排出される。

ところで、大規模な地震または津波などの災害が発生した場合、下水本管が破損するおそれがある。下水本管が破損してしまった場合、排水が下水本管から外部に漏れてしまうおそれがある。

特許文献１には、排水の流路を切り替えることが可能な流路切替機能を有するソケットが開示されている。このソケットは、縦筒部と、上流側および下流側の通常時管路と、応急時管路と、閉鎖扉とを備えている。縦筒部は、上部に開口する有底筒状のものである。上流側および下流側の通常時管路は、縦筒部を挟んで対向するように縦筒部の側部に突設されている。応急時管路は、通常時管路よりも下方の位置において縦筒部から一方向に突設されている。閉鎖扉は、応急時管路を閉鎖するものである。例えば、上流側の通常時管路には排水設備が接続され、下流側の通常時管路には下水本管が接続される。応急時管路には、応急用の排水処理施設が接続される。このソケットでは、通常時、応急時管路は閉鎖扉によって閉鎖されている。このため、通常時、排水設備から排出された排水は、通常時管路を通じて下水本管に排出される。一方、災害時などの応急時では、閉鎖扉を引き上げることで、応急時管路は開放される。よって、応急時、排水設備から排出された排水は、縦筒部内を自然に落下して、応急時管路から応急用の排水処理施設に排出される。

特開平７−３００８９７号公報

ところで、特許文献１に記載されたソケットは、マンホールの底に設置して用いられる。通常時、このマンホールには蓋が被せられている。そのため、応急時には、まず、マンホールの蓋を取り外した後に、閉鎖扉を引き上げることで応急時管路を開放していた。すなわち、応急時には、作業者は２段階の作業を経て応急時管路を開放していた。しかしながら、応急時に排水の流路を切り替える際、緊急の場合が多い。そのため、作業者の作業時間を削減することで、作業効率をよくすることが望ましい。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水の流路を切り替える際、作業者の作業効率をよくすることが可能な排水ますおよびそれを備えた排水システムを提供することである。

本発明に係る排水ますは、略筒状のます本体と、点検蓋と、蓋体と、連結部材とを備えている。前記ます本体は、上方に開口した点検口と、側部に形成され、排水が流入する流入口と、側部に形成され、排水が流出する第１流出口と、側部または底部であって前記第１流出口より下方の位置に形成され、排水が流出する第２流出口と、を有する。前記点検蓋は、前記点検口に開閉自在に設けられている。前記蓋体は、前記第２流出口が開閉自在となるように前記ます本体内に設けられ、前記流入口から前記第１流出口へ排水が流れるように、前記第２流出口を閉鎖して前記流入口と前記第１流出口とを連通させる第１切替位置と、前記流入口から前記第２流出口へ排水が流れるように、前記第２流出口を開放して前記流入口と前記第２流出口とを連通させる第２切替位置との間で位置変更が可能である。前記連結部材は、前記点検蓋と前記蓋体とを連結させる。

前記排水ますによれば、蓋体を第１切替位置に配置したとき、第２流出口が閉鎖されて、流入口と第１流出口とが連通する。そのため、流入口からます本体内に流入した排水は、第１流出口から流出する。蓋体を第２切替位置に配置したとき、第２流出口が開放されて、流入口と第２流出口とが連通する。そのため、流入口からます本体内に流入した排水は、第２流出口から流出する。前記排水ますによれば、点検蓋と蓋体とは連結部材によって連結している。そのため、蓋体の位置を第１切替位置から第２切替位置に変更するとき、点検蓋を持ち上げることで、それに連動して、蓋体が移動する。このことによって、第２流出口が開放される。よって、作業者が点検蓋を操作することに伴って、蓋体が移動して第２流出口を開放することができる。したがって、作業者による作業時間を削減することができ、作業効率がよくなる。

本発明の好ましい一態様によれば、前記第２流出口は、前記ます本体の底部に形成されている。

上記態様によれば、蓋体が上下方向に移動することによって、第２流出口は開放されたり閉鎖されたりする。よって、蓋体の位置を第１切替位置から第２切替位置に変更するとき、作業者が点検蓋を上方に持ち上げることで、それに連動して、蓋体が移動し易い。したがって、点検蓋を上方に移動させることで、第２流出口を開放し易い。

本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記第２流出口は前記点検口内に配置されている。

上記態様によれば、蓋体の位置を第１切替位置から第２切替位置に変更するときにおいて、作業者が点検蓋を上方に持ち上げる場合、それに連動して上方に移動する蓋体がます本体の内面にぶつかりにくくすることができる。よって、第２流出口を容易に開放することができる。

本発明の好ましい他の一態様によれば、前記連結部材は、屈曲可能な紐状の部材によって形成されている。前記連結部材の一端は、前記点検蓋に設けられている。前記連結部材の他端は、前記蓋体に設けられている。前記連結部材の長さは、前記蓋体を第１切替位置に配置したとき、前記連結部材の一端が接続された前記点検蓋の部位から、前記連結部材の他端が接続された前記蓋体の部位までの距離より長い。

蓋体を第１切替位置に配置したときにおいて、連結部材に衝撃が加わった場合、その衝撃で連結部材が動くおそれがある。上記態様によれば、連結部材の長さが、連結部材の一端が接続された前記点検蓋の部位から、連結部材の他端が接続された蓋体の部位までの距離より長い。そのため、連結部材が衝撃で動いたとしても、連結部材の長さに余裕があるため、蓋体が動きにくい。よって、連結部材が衝撃で動いたとしても、第２流出口が開放されにくい。仮に、連結部材の長さが、蓋体を第１切替位置に配置したとき、連結部材の一端が接続された点検蓋の部位から、連結部材の他端が接続された蓋体の部位までの距離と同じ場合、蓋体を開けずに点検蓋のみを開けたいにも関わらず、点検蓋を開けると蓋体も開いてしまう。しかし、上記態様によれば、蓋体を開けずに点検蓋のみを開けたいとき、点検蓋のみを開けることができる。

本発明の好ましい他の一態様によれば、前記連結部材は、紐状の部材によって形成されている。前記連結部材の一端は、平面視において、前記点検蓋の中央部分に設けられている。また、前記連結部材の他端は、平面視において、前記蓋体の中央部分に設けられている。

上記態様によれば、蓋体の位置を第１切替位置から第２切替位置に変更するときにおいて、作業者が点検蓋を上方に持ち上げる場合、それに連動して蓋体をバランスよく上方に持ち上げることができる。

本発明の好ましい他の一態様によれば、前記点検蓋は、蓋本体と、前記蓋本体に着脱自在に設けられた点検把持部と、を備えている。前記連結部材は、前記蓋体と前記点検把持部とを連結させる。

上記態様によれば、点検把持部を持ち上げることで、それに連動して、蓋体が上方に移動することで第２流出口が開放される。よって、作業者が点検把持部を操作することに伴って、蓋体が移動して第２流出口を開放することができる。したがって、作業者による作業時間を削減することができ、作業効率がよくなる。上記態様によれば、点検蓋によって点検口を閉鎖している状態で、蓋体が移動して第２流出口を開放することができる。

本発明の排水システムは、上述した何れかの排水ますと、上流端が排水設備に接続され、下流端が前記流入口に接続された流入管路と、上流端が前記第１流出口に接続され、下流端が下水本管に接続された流出管路と、前記第２流出口に接続され、排水を貯留する貯留槽と、を備えている。

前記排水システムによれば、下水本管が破損した場合であっても、排水ますによって、ます本体内を流れる排水の流路を切り替えることで、排水設備から流入管路に流入する排水を、排水ますを通じて貯留槽に排出することができる。

本発明によれば、排水の流路を切り替える際、作業者の作業効率をよくすることが可能な排水ますおよびそれを備えた排水システムを提供することができる。

第１実施形態に係る排水システムの平面図である。 第１実施形態に係る排水システムの正面図である。 排水ますの平面図である。 排水ますの正面図である。 図３のＶ−Ｖ断面における排水ますの正面断面図である。 ます本体の平面図である。 ます本体の正面断面図である。 ます本体の右側面図である。 蓋体を第２切替位置に配置した状態における排水ますの平面図である。 蓋体を第２切替位置に配置した状態における排水ますの正面断面図である。 蓋体の平面図である。 蓋体の正面図である。 蓋体の側面図である。 蓋体の底面図である。 排水ますおよび点検筒の正面断面図である。 排水ますおよび点検筒の正面断面図である。 突出部が段差部に正しく載置されている状態を示す突出部および段差部の断面図である。 突出部が段差部に正しく載置されていない状態を示す突出部および段差部の断面図である。 蓋体がます本体に対して揺動した状態を示す図である。 第２実施形態に係る排水ますおよび点検筒の正面断面図である。 第２実施形態に係る排水ますおよび点検筒の正面断面図である。

以下、図面を参照しながら、本発明に係る排水ます、および、排水システムの実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。

＜第１実施形態＞
まず、第１実施形態に係る排水システム１について説明する。図１は、第１実施形態に係る排水システム１の平面図である。図２は、排水システム１の正面図である。図１に示すように、排水システム１は、排水が流れるシステムである。ここで、「排水」には、汚水および雨水が含まれる。「汚水」とは、トイレ、風呂、および、台所の流し台などから排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。本実施形態では、トイレ、風呂、および台所の流し台などのように、汚水が排出される設備を排水設備５とする。「雨水」とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。ここでは、排水システム１は、排水のうち排水設備５から流出する汚水が流れるシステムである。しかし、排水システム１は、雨水が流れるシステムであってもよい。この場合、例えば、排水設備５は、雨水が集約される側溝などに置換され、下水本管１５は、雨水本管などに置換される。図２に示すように、排水システム１は、地中に埋設されている。排水システム１は、排水管路１０と、排水の流路を切り替えることが可能な排水ます２０Ａと、貯留槽７０とを備えている。

排水管路１０は、特に図示はしていないが、下流に向かって下方に傾斜している。図１に示すように、排水管路１０は、流入管路１１と、第１流出管路１２と、第２流出管路１３とを備えている。流入管路１１には、排水設備５から排出された汚水が流入する。流入管路１１の上流端は、排水設備５に接続されている。流入管路１１の下流端は、排水ます２０Ａに接続されている。第１流出管路１２には、排水ます２０Ａから流出した汚水が流入する。第１流出管路１２の上流端は、排水ます２０Ａに接続されている。第１流出管路１２の下流端は、汚水を汚水処理場（図示せず）などに導く下水本管１５に接続されている。なお、第１流出管路１２は、本発明の「流出管路」に対応する。ここでは、第１流出管路１２の下流側には、公共ます１６が設けられている。公共ます１６は、排水ます２０Ａと下水本管１５との間に設けられている。

第２流出管路１３には、排水ます２０Ａから流出した汚水が流入する。第２流出管路１３の上流端は、排水ます２０Ａに接続されている。第２流出管路１３の下流端は、汚水を一時的に貯留する貯留槽７０に接続されている。なお、「管路」とは、水を流通させる通路を意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよいし、複数本の配管とそれら配管を接続する継手によって構成されていてもよい。

次に、本実施形態に係る排水ます２０Ａについて説明する。排水ます２０Ａは、排水（本実施形態では、汚水）の流路を切り替えることが可能なますである。排水ます２０Ａは、排水管路１０の途中箇所に設けられている。ここでは、排水ます２０Ａは、流入管路１１の下流端と第１流出管路１２の上流端との間に設けられている。図３は、排水ます２０Ａの平面図である。図４は、排水ます２０Ａの正面図である。図５は、図３のＶ−Ｖ断面における排水ます２０Ａの正面断面図である。なお、以下の図面において、符号Ｆ、Ｒｒ、ＬおよびＲは、それぞれ排水ます２０Ａの前、後、左および右を表している。ただし、各方向は説明の便宜上定めたものであり、本発明を特に限定するものではない。図５に示すように、排水ます２０Ａは、ます本体２１と、点検蓋１８と、蓋体２６と、連結部材６０を備えている。

図６は、ます本体２１の平面図である。図７は、ます本体２１の正面断面図である。図８は、ます本体２１の右側面図である。図６から図８では、ます本体２１から蓋体２６を取り外した状態が示されている。図７に示すように、ます本体２１は、略筒状であり、内部に空間を有する形状である。本実施形態では、図４に示すように、ます本体２１は、縦筒状部２１ａと流入筒状部２１ｂと第１流出筒状部２１ｃと第２流出筒状部２１ｄとによって構成されている。縦筒状部２１ａは、上方に開口するように上下方向に延びている。流入筒状部２１ｂは、縦筒状部２１ａの側面から側方（図４では、左方）に延びるように設けられている。第１流出筒状部２１ｃは、流入筒状部２１ｂと向かい合うようにして、縦筒状部２１ａの側面から側方（図４では、右方）に延びるように設けられている。第２流出筒状部２１ｄは、縦筒状部２１ａの底面の中央部分から下方に延びるように設けられている。図７に示すように、ます本体２１には、点検口３１、流入口３２、第１流出口３３および第２流出口３４が形成されている。

点検口３１は、ます本体２１の上部において、上方に向かって開口している。本実施形態では、点検口３１は、ます本体２１の縦筒状部２１ａの上端に形成されている。点検口３１は、作業者がます本体２１の内部に破損または詰まりなどがないかのメンテナンスを行う部位である。点検口３１は、流入口３２、第１流出口３３および第２流出口３４よりも大きく開口している。言い換えると、点検口３１の内径は、流入口３２の内径、第１流出口３３の内径および第２流出口３４の内径よりも長い。そのため、作業者は、点検口３１を通じて、ます本体２１の内部のメンテナンスを容易に行うことができる。図２に示すように、点検口３１には、点検筒１７が接続されている。点検筒１７の上端には、点検蓋１８が配置されている。点検蓋１８は、点検口３１を開閉自在となるように、点検筒１７の上端に設けられている。点検蓋１８の上端が地面ＧＬ（図１５参照）と略同じ高さに配置されるように、排水ます２０Ａ、点検筒１７は、地中に埋設されている。ここでは、点検蓋１８は、点検筒１７を介して点検口３１を開閉することができる。通常時、点検筒１７は、点検蓋１８によって閉じられている。

図７に示すように、流入口３２は、ます本体２１の側部に設けられている。流入口３２は、側方に向かって開口している。本実施形態では、流入口３２は、ます本体２１の流入筒状部２１ｂの端面に形成されている。流入口３２には、排水設備５から排出された汚水が流入する。図１に示すように、流入口３２には、流入管路１１の下流端が接続される。なお、流入口３２には、流入管路１１の一部をなす配管が直接接続されるが、流入口３２に上記配管が他の部材などを介して間接的に接続されていてもよい。ここでは、流入口３２は、配管が挿入される受口であるが、配管に挿入される差口であってもよい。

図８に示すように、第１流出口３３は、ます本体２１の側部に設けられている。図７に示すように、第１流出口３３は、側方に向かって開口している。ここでは、第１流出口３３は、流入口３２の反対側に配置されている。第１流出口３３は、流入口３２と対向している。ただし、第１流出口３３の配置位置は特に限定されない。本実施形態では、第１流出口３３は、ます本体２１の第１流出筒状部２１ｃの端面に形成されている。流入口３２からます本体２１内を流れる汚水が第１流出口３３を通じて流出する。図１に示すように、第１流出口３３には、第１流出管路１２の上流端が接続される。第１流出口３３には、第１流出管路１２の一部をなす配管が直接接続されていてもよく、上記配管が他の部材を介して間接的に接続されていてもよい。ここでは、第１流出口３３は受口であるが、差口であってもよい。

図７に示すように、第２流出口３４は、ます本体２１の底部に設けられている。第２流出口３４は、下方に向かって開口している。本実施形態では、第２流出口３４は、ます本体２１の第２流出筒状部２１ｄの端面に形成されている。図６に示すように、第２流出口３４は、ます本体２１の底部の中央部分に設けられている。第２流出口３４は、平面視において、点検口３１内の中央部分に設けられている。第２流出口３４は、平面視において、流入口３２と第１流出口３３との間に設けられている。図７に示すように、第２流出口３４は、流入口３２および第１流出口３３よりも下方の位置に設けられている。ここでは、第２流出口３４の内径は、流入口３２の内径および第１流出口３３の内径と同じである。しかし、第２流出口３４の内径は、流入口３２の内径および第１流出口３３の内径より大きくてもよいし、小さくてもよい。第２流出口３４の形状は、真円形状である。しかし、第２流出口３４の形状は特に限定されず、惰円形状であってもよい。この場合、第２流出口３４の長軸の方向は、流入口３２の中心軸Ｌ３２の方向と平行であるとよい。このことによって、第２流出口３４が開放されているとき、流入口３２からます本体２１に流入した汚水が第２流入口３４を乗り越えて第１流出口３３へ流れにくくなる。ます本体２１内を流れる汚水が第２流出口３４から流出する。図２に示すように、第２流出口３４には、第２流出管路１３の上流端が接続される。第２流出口３４には、第２流出管路１３を介して貯留槽７０が接続されている。ただし、第２流出口３４には、貯留槽７０が直接接続されていてもよい。この場合、第２流出管路１３は省略することができる。また、この場合、排水ます２０Ａは、貯留槽７０の上に載置される。ここでは、第２流出口３４は受口であるが、差口であってもよい。なお、排水ます２０Ａは、貯留槽７０の内部に配置されていてもよい。この場合、貯留槽７０の上部の開口部分に、排水ます２０Ａの点検口３１が配置されていてもよい。このことによって、排水ます２０Ａおよび貯留槽７０の配置スペースが小さくなるため、コンパクトに配置することができる。

図７に示すように、ます本体２１において、縦筒状部２１ａと第２流出筒状部２１ｄとの接続部分のうち流入口３２側の接続部分には、傾斜面２２が設けられている。傾斜面２２は、第２流出口３４に向かうに連れて傾斜が急になっている。傾斜面２２は、ます本体２１の内部に向かって凸となるように湾曲している。なお、ます本体２１において、縦筒状部２１ａと第２流出筒状部２１ｄとの接続部分のうち第１流出口３３側の接続部分（第２流出筒状部２１ｄの上縁部）２３には、傾斜面２２のような傾斜は設けられていない。ここでは、接続部分２３は、直角になっている。

ここでは、図６に示すように、平面視において、ます本体２１の内面であって、第２流出口３４の前方および後方には、互いに対向するようにガイド面４０が設けられている。図８に示すように、ガイド面４０は、側面視において、第２流出口３４に向かうにしたがって下方に傾斜している。このことによって、ガイド面４０に汚水が乗り上げた場合、乗り上げた汚水を、ガイド面４０に沿って、ます本体２１の底に流すことができる。よって、ガイド面４０に汚水が溜まることを防ぐことができる。

図６に示すように、排水ます２０Ａは、段差部４１と、支持溝４２と、確認部４３を備えている。段差部４１は、蓋体２６を後述する第１切替位置Ａ（図３参照）に配置したとき、蓋体２６を支持する部位である。段差部４１が蓋体２６を支持することの詳しい説明は、後述する。段差部４１は、平面視において、ます本体２１の内面であって、第２流出口３４の前方および後方に互いに対向するように設けられている。段差部４１は、平面視において、流入口３２の中心軸Ｌ３２（なお、本実施形態では、中心軸Ｌ３２は、第１流出口３３の中心軸Ｌ３３と一致する）を挟んで対向するようにます本体２１の側部に２つ設けられている。段差部４１は、平面視において、流入口３２の軸方向（または、第１流出口３３の軸方向）において、点検口３１内の中央部分に設けられている。ここでは、段差部４１は、平面視において、ガイド面４０よりも第２流出口３４側に設けられている。図７に示すように、段差部４１は、点検口３１の中心軸Ｌ３１に向かうにしたがって下方に傾斜する面４１ａを有している。図６に示すように、段差部４１は、円弧状の形状を有している。なお、本実施形態では、段差部４１が本発明の「支持部」に対応する。

支持溝４２は、蓋体２６を後述する第２切替位置Ｂ（図９参照）に配置したとき、蓋体２６を支持する部位である。支持溝４２が蓋体２６を支持することの詳しい説明は、後述する。支持溝４２は、平面視において、第２流出口３４を挟んで互いに対向するように、ます本体２１の縦筒状部２１ａの内面に２つ設けられている。支持溝４２は、第２流出口３４の前方および後方に設けられている。平面視において、２つの支持溝４２は、第１流出口３３の中心軸Ｌ３３を挟んで互いに対向するように設けられている。ここでは、支持溝４２は、段差部４１内に設けられている。支持溝４２は、平面視において、ガイド面４０よりも第２流出口３４側に設けられている。図７に示すように、支持溝４２は、正面視において、段差部４１よりも下方（詳しくは、真下）に設けられている。図６に示すように、支持溝４２は、平面視において、流入口３２の軸方向（または、第１流出口３３の軸方向）において、ます本体２１の中央部分に設けられている。図７に示すように、支持溝４２は、下方に凹んだ円弧状の溝である。ただし、支持溝４２の形状は特に限定されない。支持溝４２の表面には、複数の突起４５が設けられている。ここでは、各支持溝４２につき、５つの突起４５が設けられているが、突起４５の数は特に限定されない。複数の突起４５は、互いが等間隔になるように支持溝４２の表面に配置されているが、その間隔は特に限定されない。例えば、複数の突起４５の互いの間隔は、平面視において、支持溝４２の中央に近づくにしたがって狭くなってもよい。

図３に示すように、確認部４３は、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、蓋体２６が段差部４１に正しく配置されているか否かを確認するための部材である。図６に示すように、確認部４３は、平面視において、ます本体２１の内面であって、第２流出口３４の前方および後方に設けられている。確認部４３は、第２流出口３４を挟んで互いに対向している。ここでは、確認部４３は、段差部４１よりも外方であって、ガイド面４０の中央部分に配置されている。確認部４３の一部は、ガイド面４０から段差部４１に突出している。確認部４３は、板状である。確認部４３は、弾性部材によって形成されているとよく、ここでは、ゴム製である。確認部４３は、ます本体２１の他の部位とは異なる色彩であるとよい。例えば、確認部４３は、黄色で彩られていてもよい。

次に、蓋体２６について説明する。図３に示すように、蓋体２６は、ます本体２１内に着脱可能に設けられており、ます本体２１に対して着脱することでます本体２１を流れる汚水の流路を切り替える部材である。図９は、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置した状態を示しており、排水ます２０Ａの平面図である。図１０は、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置した状態を示しており、排水ます２０Ａの正面断面図である。なお、図３から図５は、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置した状態を示している。蓋体２６は、ます本体２１内において、第１切替位置Ａ（図３参照）と第２切替位置Ｂ（図９参照）との間で位置変更が可能なものである。図５に示すように、第１切替位置Ａは、ます本体２１内に設けられた状態で、流入口３２から流入した汚水が第１流出口３３に流れるように流入口３２と第１流出口３３とを連通させる位置である。図１０に示すように、第２切替位置Ｂは、ます本体２１内に設けられた状態で、流入口３２から流入した汚水が第２流出口３４に流れるように流入口３２と第２流出口３４とを連通させる位置である。ここでは、蓋体２６は、ます本体２１の第２流出口３４を開閉自在に設けられている。図５に示すように、蓋体２６は、第１切替位置Ａに配置されたときに第２流出口３４を閉鎖する。このとき、図３に示すように、蓋体２６は、平面視において、点検口３１内の中央部分に配置されている。一方、図１０に示すように、蓋体２６は、第２切替位置Ｂに配置されたときに第２流出口３４を開放する。このとき、図９に示すように、蓋体２６は、平面視において、点検口３１内の中央部分に配置されている。すなわち、ます本体２１内を流れる汚水の流路が切り替わる前後において、蓋体２６は、平面視において、点検口３１内の中央部分に配置されている。

図１１は、蓋体２６の平面図である。図１２は、蓋体２６の正面図である。図１３は、蓋体２６の側面図である。図１４は、蓋体２６の底面図である。なお、図１１から図１４において、符号Ｆ、Ｒｒ、Ｌ、Ｒは、第１切替位置Ａにおける蓋体２６の方向を示している。図１２に示すように、蓋体２６は、インバート部５１と、突出部５２と、把持部５３と、嵌合凸部５４と、越流防止板５５を備えている。

図５に示すように、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、インバート部５１は、流入口３２からます本体２１に流入した汚水を第１流出口３３へ流す流路となる部位である。蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、インバート部５１は、流入口３２と第１流出口３３とを繋ぐ。図１３に示すように、インバート部５１は、流入口３２の底面および第１流出口３３の底面と滑らかに連続するように、略Ｕの字状に形成されている。インバート部５１は、流入口３２と第１中出口３３との間の溝である。ここでは、図１１に示すように、インバート部５１は、真っ直ぐな溝である。しかし、インバート部５１は、一部が湾曲した溝であってもよい。蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置したとき、インバート部５１の端部５１ａは、ます本体２１の支持溝４２に配置される。そのため、インバート部５１の端部５１ａの外周面は、支持溝４２に対応する形状であるとよい。ここでは、インバート部５１の外周形状は、円弧形状である。

図３に示すように、突出部５２は、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、段差部４１によって支持される部位である。図１１に示すように、突出部５２は、インバート部５１の側部から外方に突出している。詳しくは、図１３に示すように、突出部５２は、インバート部５１の前部および後部の上端から外方に突出するように、インバート部５１に設けられている。図３に示すように、突出部５２は、ます本体２１の段差部４１に合致する形状を有している。ただし、突出部５２は、段差部４１に合致する形状でなくてもよく、この場合、段差部４１よりも小さいことが好ましい。ここでは、突出部５２は、板状であり、円弧状の形状を有している。

図１１に示すように、把持部５３は、作業者が蓋体２６の位置を切り替える際に使用する部位であり、把持可能なものである。把持部５３は、インバート部５１を跨ぐように配置されている。把持部５３は、インバート部５１の流路方向Ｌ５１（図１４参照）において、インバート部５１の中央部分に設けられている。把持部５３の形状は特に限定されない。ここでは、図１３に示すように、把持部５３は、インバート部５１の２つの上端を架け渡すような形状を有している。把持部５３は、インバート部５１と一体であってもよいし、別体であってもよい。ここでは、図１１に示すように、インバート部５１の両端部５１ａには、補強部材５３ａが設けられている。補強部材５３ａは、インバート部５１の右上端部同士、および、インバート部５１の左上端部同士を架け渡すように設けられている。この補強部材５３ａによって、インバート部５１を変形しにくくすることができる。なお、補強部材５３ａは、把持可能であるため、把持部５３と同様に、作業者が蓋体２６の位置を切り替える際に使用する部位として使用されてもよい。

図５に示すように、嵌合凸部５４は、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、第２流出口３４を閉塞する部位である。ここでは、嵌合凸部５４は、ます本体２１の第２流出筒状部２１ｄに嵌合可能な部位である。図１４に示すように、嵌合凸部５４は略円筒状である。本実施形態では、図１３に示すように、嵌合凸部５４の外周面には、ゴム製のシール部材５４ａが設けられている。このシール部材５４ａによって、第２流出筒状部２１ｄと嵌合凸部５４との間のシールが図られている。

図１０に示すように、越流防止板５５は、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置したとき、流入口３２からます本体２１内に流入した汚水が、第２流出口３４を超えて、第１流出口３３に流れることを防止する部位である。図１２に示すように、越流防止板５５は、インバート部５１の底面の中央部分から下方に向かって延びている。図１４に示すように、越流防止板５５は、嵌合凸部５４に囲まれるようにして配置されている。図１２に示すように、越流防止板５５は、下部に向かう程、幅が短くなっている平板状の部材で形成されている。

次に、連結部材６０について説明する。図１５および図１６は、排水ます２０Ａおよび点検筒１７の正面断面図である。図１５は、蓋体２６が第２流出口３４を閉じている状態を示しており、図１６は、第２流出口３４が開放されている状態を示している。図１５に示すように、上述したように、排水ます２０Ａの点検口３１には、点検筒１７が接続されている。点検蓋１８は、点検口３１が開閉自在となるように、点検筒１７の上端に配置されている。連結部材６０は、排水ます２０Ａの蓋体２６と、点検蓋１８とを連結させる部材である。ここでは、連結部材６０は、屈曲可能な紐状の部材によって形成されている。ここでは、連結部材６０は、紐である。しかし、連結部材６０の種類は特に限定されず、例えば、鉄製のチェーンであってもよい。

ここでは、点検蓋１８の裏面の中央部分には、下方に延びた板状の取付部６１が設けられている。取付部６１には、水平方向に貫通した孔６２が形成されている。連結部材６０の一端は、点検蓋１８の裏面の中央部分に設けられている。具体的には、連結部材６０の一端は、点検蓋１８の取付部６１の孔６２に通すようにして、取付部６１に取り付けられている。連結部材６０の他端は、平面視において、蓋体２６の中央部分に設けられている。ここでは、連結部材６０の他端は、蓋体２６の把持部５３に取り付けられている。連結部材６０の長さは、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、連結部材６０の他端が取り付けられた蓋体２６の部位から、連結部材６０の一端が取り付けられた点検蓋１８の部位までの距離以上であるとよい。ここでは、連結部材６０の長さは、蓋体２６が第２流出口３４を閉鎖するようにして、ます本体２１に設けられた状態の位置（第１切替位置Ａ）における、把持部５３の上部から、点検蓋１８の裏面までの距離よりも長い。そのため、ここでは、連結部材６０の途中部分６０ａには、引き解け結びが施されているとよい。このことによって、連結部材６０が垂れて、その一部がます本体２１内を流れる汚水に浸かることを防止することができる。

次に、蓋体２６を第１切替位置Ａおよび第２切替位置Ｂに配置したときの、蓋体２６とます本体２１との位置関係について詳しく説明する。図３に示すように、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、蓋体２６の突出部５２は、ます本体２１の段差部４１に配置される。蓋体２６は、段差部４１によって支持されている。このとき、蓋体２６は、平面視において、点検口３１内の中央部分に配置されている。蓋体２６は、平面視において、点検口３１の中心点Ｌ３１と重なる位置に配置されている。ここでは、蓋体２６の中心軸Ｌ２６と点検口３１の中心軸Ｌ３１とは一致している。このとき、蓋体２６のインバート部５１は、流入口３２と第１流出口３３とを繋いでおり、汚水の流路となっている。インバート部５１の両端５１ａは、流入口３２の中心軸Ｌ３２（言い換えると、第１流出口３３の中心軸Ｌ３３）上に配置されている。図５に示すように、蓋体２６の嵌合凸部５４は、ます本体２１の第２流出筒状部２１ｄに嵌っている。そのため、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、蓋体２６は、ます本体２１に固定されており、揺動不能となっている。なお、このとき、越流防止板５５は、その面が前後方向に向くようにして配置されている。また、このとき、図４に示すように、越流防止板５５の下部は、第２流出口３４から下方へ突出している。なお、図１５に示すように、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、連結部材６０の途中部分６０ａは、引き溶け結びが施されているとよい。

本実施形態では、上述したように、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、蓋体２６の突出部５２がます本体２１の段差部４１に正しく載置されているかを確認部４３によって確認することができる。図１７は、突出部５２が段差部４１に正しく載置されている状態を示す突出部５２および段差部４１の断面図である。図１８は、突出部５２が段差部４１に正しく載置されていない状態を示す突出部５２および段差部４１の断面図である。

図１７に示すように、蓋体２６の突出部５２が段差部４１に正しく載置されているとき、確認部４３の先端部分４３ａは、突出部５２の上方に位置している。この場合、図３に示すように、平面視において、確認部４３の先端部分４３ａを目視することができる。一方、図１８に示すように、突出部５２が段差部４１に正しく載置されておらず、段差部４１に対して多少ずれて載置されている場合、確認部４３が折れ曲がる。そのため、確認部４３の先端部分４３ａは、突出部５２と段差部４１との間に位置する。この場合、平面視において、確認部４３の先端部分４３ａを目視することができない。このように、本実施形態では、平面視において、確認部４３の先端部分４３ａが目視できるか否かによって、蓋体２６が第１切替位置Ａに正しく配置されているか否かを判別することができる。

図９に示すように、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置したとき、蓋体２６のインバート部５１の端部５１ａが、ます本体２１の支持溝４２に載置されている。このとき、蓋体２６は、支持溝４２によって支持されている。図１０に示すように、蓋体２６が第２切替位置Ｂに配置されたとき、蓋体２６は、第１切替位置Ａ（図５参照）のときよりも高い位置に配置されている。このとき、第１切替位置Ａに配置されたときと同様に、蓋体２６は、図９に示すように、平面視において、点検口３１内の中央部分に配置されており、かつ、点検口３１の中心点Ｌ３１と重なる位置に配置されている。ここでは、蓋体２６の中心軸Ｌ２６と点検口３１の中心軸Ｌ３１とは一致している。このとき、インバート部５１の両端は、平面視において、流入口３２の中心軸Ｌ３２（言い換えると、第１流出口３３の中心軸Ｌ３３）と直交し、かつ、点検口３１の中心点Ｌ３１を通る直線Ｌ１上に配置されている。

このとき、図１０に示すように、越流防止板５５は、その面が左右方向に向くようにして配置されている。蓋体２６の嵌合凸部５４は、ます本体２１の第２流出筒状部２１ｄよりも上方に位置しており、第２流出筒状部２１ｄには嵌っていない。ここでは、インバート部５１の端部５１ａが支持溝４２に載置されている状態のみで、蓋体２６がます本体２１に支持されている。蓋体２６は、ます本体２１に対して揺動可能である。蓋体２６は、支持溝４２に沿って、その位置および角度を変更することが可能である。図１９は、蓋体２６がます本体２１に対して揺動した状態を示す図である。蓋体２６が第２切替位置Ｂに配置された状態において、流入口３２からます本体２１内に汚水が流れてきた場合、その汚水は、第２流出口３４の上方において、蓋体２６の越流防止板５５にぶつかる。このとき、蓋体２６が第１流出口３３側へ回転する。そして、越流防止板５５の下部が、縦筒状部２１ａと第２流出筒状部２１ｄとの接続部分のうち第１流出筒状部２１ｃ側の接続部分２３に接触する。第１流入口３３は、越流防止板５５によって閉鎖される。このことによって、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置したとき、流入口３２からます本体２１内に流入した汚水が、第２流出口３４を超えて、第１流出口３３に流れることを防止することができる。

貯留槽７０は、図２に示すように、貯留槽７０は、排水設備５から排出された汚水を貯留する槽である。貯留槽７０は、タンクによって構成されており、内部に密封された空間を有している。貯留槽７０の側面上部には、排水口７１が形成されている。排水口７１には、第２流出管路１３の下流端が接続されており、第２流出管路１３を介して排水ます２０Ａの第２流出口３４が接続されている。

貯留槽７０の上面には、鉛直方向に円筒７８が突設されている。円筒７８は、上端が地面と略同一の高さとなるようにして、貯留槽７０の上面に設けられている。作業者は、円筒７８を通じて、貯留槽７０の内部を保守および点検することができる。なお、通常時において、円筒７８の上部は蓋７９によって閉塞されている。

次に、本実施形態に係る排水システム１および排水ます２０Ａの利用方法について説明する。図１に示すように、排水システム１は、通常時には排水設備５から流出した汚水を下水本管１５に排出し、地震または津波などの災害が発生して、下水本管１５が破損したときには、排水ます２０Ａ内を流れる汚水の流路を切り替えて、排水設備５から流出する汚水を貯留槽７０へ排出するように用いられる。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時の利用態様を災害時モードということとする。

通常時モードでは、図３に示すように、流入口３２と第１流出口３３とを連通させる第１切替位置Ａに、蓋体２６をます本体２１内に配置する。詳しくは、蓋体２６の嵌合凸部５４をます本体２１の第２流出筒状部２１ｄに嵌めると共に、蓋体２６の突出部５２をます本体２１の段差部４１に載置する。

通常時モードでは、図１に示すように、排水設備５から流出した汚水は、流入管路１１を流れた後、排水ます２０Ａの流入口３２からます本体２１内に流入する。図３に示すように、ます本体２１内に流入した汚水は、蓋体２６のインバート部５１を通り、第１流出口３３からます本体２１の外へ流出する。このとき、図５に示すように、第２流出口３４は、蓋体２６によって閉塞されている。傾斜面２２は、インバート部５１によって覆われている。よって、ます本体２１内の汚水は、傾斜面２２に沿って第２流出口３４には流れない。図２に示すように、第１流出口３３から流出した汚水は、第１流出管路１２を流れ、下水本管１５に排出される。下水本管１５に排出された汚水は、汚水処理場などに導かれ、浄化処理される。

災害時モードでは、第１切替位置Ａから、流入口３２と第２流出口３４とが連通する第２切替位置Ｂへ蓋体２６の位置を変更する。例えば、以下のようにして蓋体２６の位置を変更することができる。まず、作業者は、点検筒１７に被せられた点検蓋１８を取り外す。このとき、図１６に示すように、点検蓋１８は上方に持ち上げられる。ここでは、点検蓋１８と蓋体２６とは、連結部材６０によって連結されている。そのため、点検蓋１８が上方に持ち上げられると、それに連動して、連結部材６０の途中部分６０ａ（図１５参照）に施された引き解け結びが解かれた後、連結部材６０によって蓋体２６が上方に移動する。このことによって、第２流出口３４が開放される。そして、図９に示すように、作業者は、点検口３１を通じて蓋体２６の把持部５３を持ち、蓋体２６のインバート部５１の端部５１ａがます本体２１の支持溝４２の上方に位置するように、蓋体２６を９０度回転させる。このときの回転の向きは右回りでもよいし、左回りでもよい。作業者は、インバート部５１の端部５１ａを支持溝４２に載置することによって、蓋体２６を第２切替位置Ｂに配置する。

災害時モードでは、図１に示すように、排水設備５から流出した汚水は、第１流出管路１１を流れた後、流入口３２からます本体２１内に流入する。図１９に示すように、ます本体２１内に流入した汚水が蓋体２６の越流防止板５５にぶつかることで、蓋体２６が第１流出口３３側へ回転する。そして、越流防止板５５の下部が、縦筒状部２１ａと第２流出筒状部２１ｄとの接続部分２３に接触する。このことによって、第１流出口３３は越流防止板５５によって閉塞される。よって、ます本体２１内の汚水は、ます本体２１の傾斜面２２に沿って、第２流出口３４に向かって流れ、第１流出口３３には流れない。その後、図２に示すように、汚水は、第２流出口３４からます本体２１の外へ流出する。第２流出口３４から流出した汚水は、第２流出管路１３を通じて貯留槽７０へ排出され、貯留槽７０に貯留される。貯留槽７０に貯留された汚水は、例えば、吸引ポンプによって吸い上げられる。この場合、作業者は、貯留槽７０の上面に設けられた円筒７８の上部を閉塞する蓋７９を取り外す。そして、円筒７８を介して、貯留槽７０に上記吸引ポンプを挿入する。そして、上記吸引ポンプによって、貯留槽７０に貯留された汚水を外部へ吸い上げる。

以上のように、本実施形態では、第２流出管路１２または下水本管１５が破損した場合であっても、排水ます２０Ａによって汚水の流路を切り替えることで、排水設備５から流入管路１１に流入する汚水を、排水ます２０Ａを通じて、第２流出管路１３から貯留槽７０に排出することができる。

本実施形態では、図１５に示すように、連結部材６０は、点検蓋１８と、蓋体２６とを連結させている。このことによって、蓋体２６の位置を第１切替位置Ａ（図５参照）から第２切替位置Ｂ（図１０参照）に変更するとき、図１６に示すように、点検蓋１８を持ち上げることで、それに連動して、蓋体２６が上方に移動する。このことによって、第２流出口３４が開放される。よって、作業者が点検蓋１８を操作することに伴って、蓋体２６が移動して第２流出口３４を開放することができる。したがって、作業者による作業時間を削減することができ、作業効率がよくなる。また、本実施形態では、工具を使用することなく蓋体２６を移動させることで、第２流出口３４を開放することができる。

図７に示すように、第２流出口３４は、ます本体２１の底部に形成されている。このことによって、蓋体２６が上下方向に移動することによって、第２流出口３４を開放したり閉鎖したりする。よって、蓋体２６の位置を第１切替位置Ａから第２切替位置Ｂに変更するとき、作業者が点検蓋１８を上方に持ち上げることで、それに連動して、蓋体２６が移動し易い。したがって、点検蓋１８を上方に移動させることで、第２流出口３４を開放し易い。

図６に示すように、平面視において、第２流出口３４は点検口３１内に配置されている。このことによって、蓋体２６の位置を第１切替位置Ａから第２切替位置Ｂに変更するときにおいて、作業者が点検蓋１８を上方に持ち上げる場合、それに連動して上方に移動する蓋体２６がます本体２１の内面にぶつかりにくくすることができる。よって、このとき、第２流出口３４を容易に開放することができる。

図１５に示すように、連結部材６０は、屈曲可能な紐状の部材によって形成されている。連結部材６０の一端は、点検蓋１８に接続されている。連結部材６０の他端は、蓋体２６に接続されている。連結部材６０の長さは、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、連結部材６０の一端が接続された点検蓋１８の部位から、連結部材６０の他端が接続された蓋体２６の部位までの距離より長い。このことによって、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したときにおいて、連結部材６０に外部から衝撃が加わった場合、その衝撃で連結部材６０が上下方向に動くおそれがある。本実施形態では、連結部材６０の長さが、連結部材６０の一端が接続された点検蓋１８の部位から、連結部材６０の他端が接続された蓋体２６の部位までの距離より長い。そのため、連結部材６０が衝撃で動いたとしても、連結部材６０の長さに余裕があるため、蓋体２６が動きにくい。よって、連結部材６０が衝撃で動いたとしても、第２流出口３４が開放されにくい。

仮に、連結部材６０の長さが、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、連結部材６０の一端が接続された点検蓋１８の部位から、連結部材６０の他端が接続された蓋体２６の部位までの距離と同じ場合、蓋体２６を開けずに点検蓋１８のみを開けたいにも関わらず、点検蓋１８を開けると蓋体１８も開いてしまう。しかし、本実施形態では、蓋体２６を開けずに点検蓋１８のみを開けたいとき、点検蓋１８のみを開けることができる。

本実施形態では、連結部材６０の一端は、点検蓋１８の裏面の中央部分に設けられている。また、連結部材６０の他端は、平面視において、蓋体２６の中央部分に設けられている。このことによって、蓋体２６の位置を第１切替位置Ａから第２切替位置Ｂに変更するときにおいて、作業者が点検蓋１８を上方に持ち上げる場合、それに連動して蓋体２６をバランスよく上方に持ち上げることができる。

以上、本実施形態に係る排水システム１について説明した。しかし、本発明に係る排水システムは、本実施形態に係る排水システム１に限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略することとする。

＜第２実施形態＞
次に、第２実施形態に係る排水ます２０Ｂについて説明する。図２０および図２１は、排水ます２０Ｂおよび点検筒１７の正面断面図である。図２０は、蓋体２６が第２流出口３４を閉じている状態を示しており、図２１は、第２流出口３４が開いている状態を示している。

図２０に示すように、第２実施形態では、第１実施形態と同様に、排水ます２０Ｂの点検口３１には、点検筒１７が接続されている。そして、点検筒１７の上部には、他の点検筒１７ａが接続されている。ここでは、点検筒１７の上端は、点検筒１７ａ内に突出するようにして設けられている。点検筒１７ａの上端の開口は、点検筒１７の上端の開口、および、排水ます２０Ｂの点検口３１よりも大きく開口している。

本実施形態では、点検蓋１８は、第１点検蓋１８ａと第２点検蓋１８ｂを備えている。第１点検蓋１８ａは、点検筒１７の上端に装着され、点検筒１７を介して排水ます２０Ｂの点検口３１を開閉自在に設けられている。ここでは、第１点検蓋１８ａの裏面には、下方に延びた板状の取付部６３が設けられている。取付部６３には、水平方向に貫通した孔６４が形成されている。第１点検蓋１８ａの上面には、中央部分に、作業者が把持可能な把持部６５が設けられている。把持部６５は、略コの字状の形状を有している。

第２点検蓋１８ｂは、点検筒１７ａの上端に装着され、点検筒１７、１７ａを介して排水ます２０Ｂの点検口３１を開閉自在に設けられている。第２点検蓋１８ｂの中央部分には、所定の間隔を空けて貫通孔６６が２つ形成されている。そして、第２点検蓋１８ｂには、点検把持部の一例である把持部材６７が設けられている。把持部材６７は、２つの貫通孔６６を跨ぐようにして第２点検蓋１８ｂに着脱可能に設けられている。図示は省略するが、把持部材５７は、平面視において、第２点検蓋１８ｂの中央部分に取り付けられているとよい。把持部材６７は、略コの字状の形状を有しているが、把持部材６７の形状は特に限定されない。

ここでは、連結部材６０は、第１連結部材６０ａと第２連結部材６０ｂとを備えている。第１連結部材６０ａおよび第２連結部材６０ｂの材質は特に限定されないが、ここでは、第１実施形態の連結部材６０と同様に、第１連結部材６０ａおよび第２連結部材６０ｂは、紐によって形成されている。第１連結部材６０ａは、蓋体２６と第１点検蓋１８ａとを連結させる部材である。第１連結部材６０ａの一端は、第１点検蓋１８ａの取付部６３の孔６４に通すようにして、取付部６３に取り付けられている。第１連結部材６０ａの他端は、蓋体２６の把持部５３に取り付けられている。第１連結部材６０ａの長さは、蓋体２６が第１切替位置Ａに配置されたとき、第１連結部材６０ａの他端が取り付けられた蓋体２６の部位から、第１連結部材６０ａの一端が取り付けられた第１点検蓋１８ａの部位までの距離より長いとよい。ここでは、第１連結部材６０ａの長さは、蓋体２６を第１切替位置Ａに配置したとき、把持部５３の上部から、点検蓋１８の取付部６３までの距離より長い。

第２連結部材６０ｂは、第１点検蓋１８ａと第２点検蓋１８ｂとを連結する部材である。第２連結部材６０ｂの一端は、第２点検蓋１８ｂの把持部材６７に取り付けられている。第２連結部材６０ｂの他端は、第１点検蓋１８ａの把持部６５に取り付けられている。ここでは、第２連結部材６０ｂの長さは、第１点検蓋１８ａを点検筒１７に装着し、第２点検蓋１８ｂを点検筒１７ａに装着したときにおける、第２連結部材６０ｂの他端が取り付けられた第１点検蓋１８ａの部位から、第２連結部材６０ｂの一端が取り付けられた第２点検蓋１８ｂの部位までの距離より長いとよい。ここでは、第２連結部材６０ｂの長さは、第１点検蓋１８ａの把持部６５から第２点検蓋１８ｂの把持部材６７までの距離より長い。

第２実施形態では、災害時モードにおいて、第１切替位置Ａから、流入口３２と第２流出口３４とが連通する第２切替位置Ｂへ蓋体２６の位置を変更する場合、例えば、以下のようにして蓋体２６の位置を変更することができる。まず、図２１に示すように、作業者は、第２点検蓋１８ｂの把持部材６７を握って、把持部材６７を上へ持ち上げる。ここでは、第２点検蓋１８ｂの把持部材６７と第１点検蓋１８ａとは、第２連結部材６０ｂによって連結され、第１点検蓋１８ａと蓋体２６とは、第１連結部材６０ａによって連結されている。そのため、把持部材６７が上方に持ち上げられると、それに連動して、第１点検蓋１８ａが点検筒１７から取り外されて、上方に移動する。また、第１点検蓋１８ａが上方に移動すると、それに連動して、第１連結部材６０ａによって蓋体２６が上方に移動する。このことによって、第２流出口３４が開放される。本実施形態では、第２点検蓋１８ｂを点検筒１７ａに装着した状態で、蓋体２６を第２流出口３４から取り外すことができる。

以上のように、本実施形態であっても、点検蓋１８の第２点検蓋１８ｂの把持部材６７を持ち上げることで、それに連動して、蓋体２６が上方に移動する。このことによって、第２流出口３４が開放される。よって、作業者が把持部材６７を操作することに伴って、蓋体２６が移動して第２流出口３４を開放することができる。したがって、作業者による作業時間を削減することができ、作業効率がよくなる。

なお、本実施形態において、第１点検蓋１８ａを省略することが可能である。この場合、連結部材６０は、１つあればよく、その一端が第２点検蓋１８ｂの把持部材６７に取り付けられ、他端が蓋体２６の把持部５３に取り付けられているとよい。この場合であっても、本実施形態と同様の効果が得られる。

＜他の実施形態＞
上記各実施形態では、第２流出口３４は、下方に開口するようにます本体２１の底部に設けられていた。しかし、第２流出口３４は、側方に開口するようにます本体２１の側部に設けられていてもよい。このとき、第２流出口３４は、第１流出口３３よりも下方に配置されているとよい。

第１実施形態では、連結部材６０の一端は、点検蓋１８の裏面の中央部分に設けられた取付部６１に取り付けられていた。しかし、連結部材６０の一端の取り付け位置は、特に限定されない。例えば、連結部材６０の一端は、点検蓋１８の裏面の端に取り付けられていてもよい。

第１実施形態では、連結部材６０の他端は、蓋体２６の把持部５３に設けられていた。しかし、連結部材６０の他端は、把持部５３以外の蓋体２６の部位に取り付けられていてもよい。例えば、連結部材６０の他端は、蓋体２６のインバート部５１の側部に取り付けられていてもよい。

第１実施形態では、連結部材６０の他端は、平面視において、蓋体２６の中央部分に設けられていた。しかし、連結部材６０の他端は、平面視において、蓋体２６の端に設けられていてもよい。

第１実施形態では、１つの連結部材６０によって、点検蓋１８と蓋体２６が連結していた。しかし、連結部材６０の数は特に限定されない。複数の連結部材６０によって、点検蓋１８と蓋体２６が連結していてもよい。このことによって、点検蓋１８と蓋体２６とを安定して連結させることができる。

１ 排水システム
１１ 流入管路
１２ 第１流出管路
１３ 第２流出管路
１７ 点検筒
１８ 点検蓋
２０Ａ、２０Ｂ 排水ます
２１ ます本体
２６ 蓋体
３１ 点検口
３２ 流入口
３３ 第１流出口
３４ 第２流出口
５１ インバート部
５３ 把持部
６０ 連結部材
６１ 取付部
７０ 貯留槽

Claims (8)

1. 上方に開口した点検口と、側部に形成され、排水が流入する流入口と、側部に形成され、排水が流出する第１流出口と、側部または底部であって前記第１流出口より下方の位置に形成され、排水が流出する第２流出口と、を有する略筒状のます本体と、
   前記点検口に開閉自在に設けられた点検蓋と、
   前記第２流出口が開閉自在となるように前記ます本体内に設けられ、前記流入口から前記第１流出口へ排水が流れるように、前記第２流出口を閉鎖して前記流入口と前記第１流出口とを連通させる第１切替位置と、前記流入口から前記第２流出口へ排水が流れるように、前記第２流出口を開放して前記流入口と前記第２流出口とを連通させる第２切替位置との間で位置変更が可能な蓋体と、
   前記点検蓋と前記蓋体とを連結させる連結部材と、
   を備え、
   前記蓋体は、前記ます本体に対して離間することで前記第１切替位置と前記第２切替位置との間で位置変更して、排水の流路を切り替える、排水ます。
2. 前記第２流出口は、前記ます本体の底部に形成されている、請求項１に記載された排水ます。
3. 平面視において、前記第２流出口は前記点検口内に配置されている、請求項２に記載された排水ます。
4. 前記連結部材は、屈曲可能な紐状の部材によって形成され、
   前記連結部材の一端は、前記点検蓋に設けられ、
   前記連結部材の他端は、前記蓋体に設けられ、
   前記連結部材の長さは、前記蓋体を第１切替位置に配置したとき、前記連結部材の一端が接続された前記点検蓋の部位から、前記連結部材の他端が接続された前記蓋体の部位までの距離より長い、請求項１から３までの何れか一つに記載された排水ます。
5. 前記連結部材は、紐状の部材によって形成され、
   前記連結部材の一端は、平面視において、前記点検蓋の中央部分に設けられている、請求項１から４までの何れか一つに記載された排水ます。
6. 前記連結部材の他端は、平面視において、前記蓋体の中央部分に設けられている、請求項５に記載された排水ます。
7. 前記点検蓋は、
   蓋本体と、
   前記蓋本体に着脱自在に設けられた点検把持部と、
   を備え、
   前記連結部材は、前記蓋体と前記点検把持部とを連結させる、請求項１から６までの何れか一つに記載された排水ます。
8. 請求項１から７までの何れか一つに記載された排水ますと、
   上流端が排水設備に接続され、下流端が前記流入口に接続された流入管路と、
   上流端が前記第１流出口に接続され、下流端が下水本管に接続された流出管路と、
   前記第２流出口に接続され、排水を貯留する貯留槽と、
   を備えた、排水システム。

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