(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、病室の廊下灯3、壁埋込形子機4、ハンド形子機5、共用スペースの廊下灯6、呼出ボタン7、ハンディナースコール主装置8、構内交換機(PBX)9、無線基地局10および携帯端末11を備えて構成されている。
ナースコール親機1は、患者毎に設置されたナースコール子機(壁埋込形子機4、ハンド形子機5)や共用スペースに設置された呼出ボタン7からの呼び出しに対する応答の操作、またはナースコール子機の呼び出しの操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。以下では、壁埋込形子機4およびハンド形子機5をまとめてナースコール子機4,5と記す。
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3,6との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。病室の廊下灯3は、各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、タッチパネル付きの表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者がナースコール子機4,5を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置され、廊下灯3に接続されている。この壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が呼び出されたときに応答するための復旧ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカ、ハンド形子機5を接続するための接続端子を備えている。
ハンド形子機5は、壁埋込形子機4に接続される。このハンド形子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。
共用スペースの廊下灯6は、トイレや浴室などの共用スペースの入口付近外部に設置される。この廊下灯6は、タッチパネル付きの表示装置(特許請求の範囲の表示装置に相当する)を備え、共用スペース内の患者が呼出ボタン7を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。呼出ボタン7は、共用スペース内に設置されており、患者がこれを押下すると通常は、全ての看護師が所持する携帯端末11に対して呼び出しが行われるようになっている。
また、共用スペースの廊下灯6は、看護師によるタッチパネルに対する所定の表示指示の操作に応じて、呼び出しを行ったナースコール子機4,5または患者を特定する情報(以下、呼出識別情報という)が表示されるようになっている。本実施形態では、看護師がこの呼出識別情報をタッチ操作により選択した場合、その後に患者によって呼出ボタン7が押下されたときに、特定の看護師が所持する携帯端末11に対してのみ呼び出しを行うようにしている。本実施形態において、特定の看護師とは、ナースコール子機4,5からの呼び出しに対して携帯端末11で応答し、患者の共用スペースへの移動の介助を行った看護師である。なお、この看護師の特定方法についての詳細は後述する。
ハンディナースコール主装置8は、PBX9を介して、看護師が所持する携帯端末11との間で通話やデータの送受信に関する制御を行う。このハンディナースコール主装置8は、例えば病院内の通信センタに設置され、ナースコール親機1と接続されている。無線基地局10は、携帯端末11との間で通話やデータの無線通信をするためのものであり、PBX9と接続されている。
図2は、第1の実施形態によるナースコール親機1の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、ナースコール親機1は、その機能構成として、インタフェース部21、呼出受付部22、応答受付部23、記録部24、呼出制御部25、操作受付部26、呼出履歴表示部27、管理情報記憶部31および呼出履歴記憶部32を備えている。
なお、上記各機能ブロック21〜27は、ハードウェア構成、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック21〜27は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
管理情報記憶部31は、患者に関する情報(以下、患者情報という)と、看護師に関する情報(以下、看護師情報という)と、ナースコールの呼び出し先に関する情報(以下、呼出先情報という)とをナースコールに関する管理情報として記憶している。
本実施形態において患者情報は、例えば、患者の氏名、病室の部屋番号、患者が使用しているベッドを識別するベッド番号、患者を識別するための患者ID、使用するナースコール子機4,5を識別するための子機IDなどの各種情報を含む。また、看護師情報は、例えば、看護師の氏名、看護師を識別するための看護師ID、担当する患者を識別するための患者ID、使用する携帯端末11を識別するための端末IDなどの各種情報を含む。
呼出先情報は、患者(例えば、患者ID)と、当該患者からのナースコールに対応して呼び出しを行う担当看護師(例えば、看護師ID)と、当該担当看護師が所持する携帯端末11の端末IDおよび呼出先に関する情報(内線番号など)とを関連付けて記憶したものである。一人の患者を複数の看護師でサポートするチームナーシングを行う場合は、一人の患者と複数の看護師と各看護師が所持する複数の携帯端末11の呼出先とがグルーピングされて記憶される。
インタフェース部21は、制御機2およびハンディナースコール主装置8との間で通信を行うものである。呼出受付部22は、ナースコール子機4,5からの呼び出しを受け付けて、所定の報知処理を行う。すなわち、呼出受付部22は、ナースコール子機4,5から廊下灯3および制御機2を介して送られてくる呼出信号を、インタフェース部21を介して受信する。そして、受信した呼出信号によって伝えられる子機情報(呼び出しを行ったナースコール子機4,5を特定するための子機IDなど)に基づいて、管理情報記憶部31を参照することにより、呼び出しを行った患者を特定する。
そして、呼出受付部22は、特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)を管理情報記憶部31から読み出し、患者情報のポップアップ画面を生成して図示しないディスプレイに表示させる。また、呼出受付部22は、ナースコール親機1の図示しないスピーカから呼出音を鳴らして看護師に対する報知を行う。
また、呼出受付部22は、上述のように特定した患者の患者情報(例えば、呼び出しを行ったナースコール子機4,5を特定する子機IDまたは患者を特定する患者の氏名などの情報であり、上述の呼出識別情報に相当するもの)を記録部24に供給し、呼出履歴記憶部32に記憶させる。
また、呼出受付部22は、ナースコール子機4,5から受信した呼出信号を呼出制御部25に供給し、携帯端末11への呼び出しを指示する。この指示を受けた呼出制御部25は、呼出受付部22により特定された患者に対応する呼出先情報を管理情報記憶部31から読み出し、当該読み出した呼出先情報に基づいて、チームナーシングのためにグルーピングされた複数の携帯端末11に対して同報呼び出しを実行する。なお、ここで同報呼び出しの対象とする複数の携帯端末11は、管理情報記憶部31に記憶されている全ての携帯端末11でも良い。
呼出制御部25は、具体的には、複数の携帯端末11に対する同報呼び出しの実行を指示する同報呼び出しコマンドを、インタフェース部21からハンディナースコール主装置8を介してPBX9に送信することにより、同報呼び出しを実行する。PBX9は、ナースコール親機1からハンディナースコール主装置8を介して同報呼び出しコマンドを受信したとき、当該同報呼び出しコマンドで示されている複数の携帯端末11に対する呼び出しを実行する。
また、呼出受付部22は、共用スペースに設置された呼出ボタン7から廊下灯6および制御機2を介して送られてくる呼出信号を受け付けたとき、その呼出信号を呼出制御部25に供給して、携帯端末11に対する呼び出しを指示する。この指示を受けた呼出制御部25は、管理情報記憶部31に記憶されている全て携帯端末11に対して呼び出しを実行する。ただし、呼出ボタン7からの呼び出しを受け付ける前提として所定の処理が行われている場合、呼出制御部25は、上述した特定の看護師が所持する携帯端末11に対する呼び出しのみを実行する。なお、この呼び出しに関する詳細は後述する。
応答受付部23は、ナースコール親機1または携帯端末11からの応答を受け付けて、所定の応答処理を行う。例えば、看護師が患者からの呼び出しに応答するためにナースコール親機1のハンドセットをオフフックすると、オフフックされたことを応答受付部23が受け付けて、上述した呼出受付部22および呼出制御部25による呼び出し動作を停止させる。
また、看護師が患者からの呼び出しに応答するために携帯端末11をオフフックすると、応答信号がハンディナースコール主装置8を介してナースコール親機1に送信され、インタフェース部21を介して応答受付部23に供給される。応答受付部23は、この応答信号を受けて、上述の呼出受付部22および呼出制御部25による呼び出し動作を停止させる。
また、応答受付部23は、携帯端末11から送られてくる応答信号を受信した場合、その受信した応答信号によって伝えられる端末情報(応答を行った携帯端末11を特定するための端末IDあるいは内線番号などの情報)を記録部24に供給し、呼出履歴記憶部32に記憶させる。以下、この応答を行った携帯端末11を特定するための情報を応答識別情報という。
記録部24は、上述したように、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しが行われたとき、つまり、呼出受付部22がナースコール子機4,5からの呼出信号を受け付けたとき、呼び出しを行ったナースコール子機4,5または患者を特定する呼出識別情報を呼出履歴情報として呼出履歴記憶部32に記憶させる。また、記録部24は、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しに対して看護師が携帯端末11で応答したとき、つまり、応答受付部23が携帯端末11から送られてくる応答信号を受信したとき、応答を行った携帯端末11を特定する応答識別情報を上述の呼出識別情報に関連付けて呼出履歴情報として呼出履歴記憶部32に記憶させる。
呼出制御部25は、上述したように、呼出受付部22がナースコール子機4,5からの呼び出しを受け付けときに、そのナースコール子機4,5を使用する患者の担当看護師が所持する携帯端末11への同報呼び出しを実行する。また、呼出制御部25は、呼出受付部22が呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けときに、全員または特定の看護師(患者の共用スペースへの移動の介助を行った看護師)が所持する携帯端末11への呼び出しを実行する。
操作受付部26は、ナースコール親機1に対する看護師のユーザ操作を受け付ける。また、操作受付部26は、廊下灯3,6のタッチパネルに対して看護師のユーザ操作が行われたときに、制御機2を介してインタフェース部21に送られてくる操作信号を受け付ける。第1の実施形態は、共用スペースの廊下灯6のタッチパネルに対して行われる看護師のユーザ操作に応じて、呼出制御部25や呼出履歴表示部27が所定の動作をすることにより、特定の看護師が所持する携帯端末11への呼び出しを実行するところに特徴がある。
例えば、操作受付部26は、呼出履歴記憶部32に呼出履歴情報として記憶されている呼出識別情報を廊下灯6に表示させるための操作が廊下灯6のタッチパネルに対して行われたことを受け付ける。この操作は、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答した看護師が、患者に付き添って共用スペースまで移動したときに、その共用スペースに設置されている廊下灯6のタッチパネルに対して行う。
このユーザ操作を操作受付部26が受け付けた場合、呼出履歴表示部27は、呼出履歴記憶部32に記憶されている呼出識別情報を読み出し、インタフェース部21を介して共用スペースの廊下灯6に送信することにより、当該呼出識別情報を廊下灯6のディスプレイに表示させる。
共用スペースへの移動に付き添った看護師がナースコール子機4,5から呼び出しに対して応答した時点で、それに関する呼出履歴情報(呼出識別情報および応答識別情報)が呼出履歴記憶部32に記憶されている。したがって、看護師が患者に付き添って共用スペースに移動したときに、廊下灯6のタッチパネルに対して呼出識別情報の表示指示に関する操作を行うと、いまの介助に関する呼出履歴情報も廊下灯6のディスプレイに表示されることになる。
また、操作受付部26は、呼出履歴表示部27により廊下灯6のディスプレイに表示された呼出識別情報を選択する操作が廊下灯6のタッチパネルに対して行われたことを受け付ける。そして、この操作により選択された呼出識別情報を、廊下灯6から送られてくる操作信号によって伝えられる廊下灯IDと共に呼出制御部25に通知する。
この場合、呼出制御部25は、操作受付部26から通知された呼出識別情報と廊下灯IDとを一時記憶メモリに記憶しておく。なお、看護師が廊下灯6のタッチパネルに対して呼出識別情報を選択する操作を行った後は、その共用スペースに待機して患者の用が済むのを待ってもよいし、共用スペースから離れて他の業務に従事するようにしてもよい。
その後、共用スペース内で用が済んだ患者が呼出ボタン7を押下すると、その呼出ボタン7からの呼び出しを呼出受付部22が受け付け、そのことが呼出制御部25に通知される。この通知には、呼出ボタン7が接続されている廊下灯6を特定する廊下灯IDが含まれている。
呼出制御部25は、この廊下灯IDに基づいて、これに関連付けて一時記憶メモリに記憶しておいた呼出識別情報を特定する。さらに、特定した呼出識別情報に基づいて呼出履歴記憶部32を参照することにより、当該呼出識別情報に関連付けて記憶されている応答識別情報を特定する。そして、呼出制御部25は、その応答識別情報で示される携帯端末11(ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答して共用スペースへの移動の介助を行った看護師の携帯端末11)に対してのみ呼び出しを行うように制御する。
ただし、呼出制御部25は、呼出識別情報を選択する操作が行われてから所定時間以内に呼出ボタン7が押下されたときに限り、選択された呼出識別情報により特定される患者に関連付けられた看護師の携帯端末11に対してのみ呼び出しを行うように制御する。呼出識別情報を選択する操作が行われてから所定時間を超えて呼出ボタン7が押下された場合には、呼出制御部25は、全ての看護師が所持する携帯端末11に対して呼び出しを実行する。
図3は、上記のように構成した第1の実施形態によるナースコールシステムが備えるナースコール親機1の動作例を示すフローチャートである。なお、この図3に示すフローチャートは、ある患者がナースコール子機4,5を用いて呼び出しを行ったときに開始する。
まず、呼出受付部22は、ナースコール子機4,5からの呼び出しを受け付ける(ステップS1)。すなわち、ナースコール子機4,5から廊下灯3および制御機2を介して送られてくる呼出信号を呼出受付部22が受信する。ナースコール子機4,5からの呼び出しを受け付けた呼出受付部22は、管理情報記憶部31を参照することによって呼び出しを行った患者を特定し、患者情報のポップアップ画面を生成してディスプレイに表示したり、スピーカから呼出音を鳴らしたりして看護師に対する報知を行う(ステップS2)。
さらに、呼出受付部22は、ナースコール子機4,5から受信した呼出信号を呼出制御部25に供給し、携帯端末11への呼び出しを指示する。この指示を受けた呼出制御部25は、管理情報記憶部31を参照することにより、呼び出しを行った患者の担当看護師を特定し、当該担当看護師が所持する複数の携帯端末11に対して同報呼び出しを実行する(ステップS3)。また、呼出受付部22は、ステップS2で特定した患者に関する呼出識別情報を記録部24に供給し、呼出履歴記憶部32に記憶させる(ステップS4)。
その後、応答受付部23は、ナースコール親機1または携帯端末11からの応答を受け付けて、所定の応答処理を行う(ステップS5)。また、応答受付部23は、携帯端末11からの応答を受け付けた場合、当該携帯端末11から受信した応答信号によって特定される応答識別情報を記録部24に供給し、呼出履歴記憶部32に記憶させる(ステップS6)。ここで、ナースコール子機4,5からの呼び出しが、患者が共用スペースへ移動する際の介助を要請するものであった場合、その呼び出しに応答した看護師は、患者に付き添って共用スペースまで移動する介助を行う。
次に、操作受付部26は、呼出履歴記憶部32に記憶されている呼出識別情報を共用スペースの廊下灯6に表示させるための操作が廊下灯6のタッチパネルに対して行われたか否かを判定する(ステップS7)。ここでは、患者に付き添って共用スペースまで移動した看護師によって、その共用スペースに設置されている廊下灯6のタッチパネルに対して呼出識別情報を表示させるための操作が行われたか否かを判定している。
このような表示指示の操作が行われていない場合、呼出受付部22は、共用スペース内に設置された呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けたか否かを判定する(ステップS8)。ここで、呼出受付部22が呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けた場合、呼出制御部25は、管理情報記憶部31に記憶されている全ての携帯端末11に対して呼び出しを実行する(ステップS16)。
一方、呼出受付部22が呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けていないと判定された場合、呼出受付部22は、ナースコール子機4,5から他の呼び出しを受け付けたか否かを判定する(ステップS9)。ナースコール子機4,5から他の呼び出しを呼出受付部22が受け付けた場合、処理はステップS1に戻る。一方、他の呼び出しを呼出受付部22が受け付けていない場合、処理はステップS7に戻る。そして、呼出識別情報を廊下灯6に表示させるための操作が廊下灯6のタッチパネルに対して行われたか否かを引き続き判定する。
ここで、呼出識別情報の表示を指示する操作が廊下灯6で行われたと操作受付部26にて判定された場合、呼出履歴表示部27は、呼出履歴記憶部32に記憶されている呼出識別情報を廊下灯6のディスプレイに表示させる(ステップS10)。呼出履歴表示部27が呼出識別情報を廊下灯6に表示させた後、操作受付部26は、廊下灯6に表示された呼出識別情報を選択する操作が廊下灯6のタッチパネルに対して行われたか否かを判定する(ステップS11)。
呼出識別情報を選択する操作が廊下灯6で行われたと操作受付部26にて判定された場合、操作受付部26は、選択された呼出識別情報を廊下灯IDと共に呼出制御部25に通知する。呼出制御部25は、操作受付部26から通知された呼出識別情報と廊下灯IDとを一時記憶メモリに記憶させる(ステップS12)。その後、呼出受付部22は、共用スペース内に設置された呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けたか否かを判定する(ステップS13)。
呼出受付部22が呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けた場合、そのことを呼出制御部25に通知する。この通知を受けた呼出制御部25は、その通知の中に含まれている廊下灯IDに関連付けて呼出識別情報が一時記憶メモリに記憶されているか否かを判定する(ステップS14)。呼出識別情報の記憶がある場合、呼出制御部25は、その呼出識別情報に関連付けて呼出履歴記憶部32に記憶されている応答識別情報を特定し、特定した応答識別情報で示される携帯端末11に対して呼び出しを実行する(ステップS15)。一方、一時記憶メモリに呼出識別情報の記憶がない場合、呼出制御部25は、管理情報記憶部31に記憶されている全ての携帯端末11に対して呼び出しを実行する(ステップS16)。
上記ステップS13において、呼出受付部22が呼出ボタン7からの呼び出しを受け付けていないと判定された場合、呼出受付部22は、呼出識別情報を選択する操作をステップS11で操作受付部26が受け付けてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS17)。所定時間がまだ経過していなければ、処理はステップS13に戻る。一方、所定時間が経過した場合、処理はステップS8に戻る。
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しが行われたとき、呼び出しを行ったナースコール子機4,5または患者を特定する呼出識別情報を呼出履歴記憶部32に記憶させる。また、その呼び出しに対して看護師が携帯端末11で応答したとき、応答を行った携帯端末11を特定する応答識別情報を、呼出識別情報に関連付けて呼出履歴記憶部32に記憶させる。
その後、共用スペースの廊下灯6のタッチパネルに対する看護師による表示指示の操作に応じて廊下灯6のディスプレイに表示された呼出識別情報を選択する操作が行われた後、共用スペースに設置された呼出ボタン7が押下されたときには、選択された呼出識別情報に関連付けて呼出履歴記憶部32に記憶されている応答識別情報より特定される携帯端末11、つまり、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答して共用スペースまでの移動の介助を行った看護師の携帯端末11に対してのみ呼び出しを行うようにしている。
このように構成した第1の実施形態によれば、患者はナースコール子機4,5を操作して看護師を呼び出した後、共用スペースで用が済んだときに呼出ボタン7を押下する以外の煩わしい作業をする必要がない。一方、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しに応答した看護師が共用スペースに設置された廊下灯6のタッチパネルを操作して、呼び出しを行ったナースコール子機4,5または患者を特定する呼出識別情報を廊下灯6に表示させて選択する操作をしておけば、その後に共用スペースの呼出ボタン7が患者により押下されたときに、自分の携帯端末11に対してのみ呼び出しが行われることとなる。これにより、患者に煩わしい作業を行わせることなく、その患者の介助を行った看護師に対してのみ共用スペースからの呼び出しを行うことができ、その患者の介助に関連していない看護師の業務効率の低下を防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。第2の実施形態によるナースコールシステムの全体構成は、図1と同様である。図4は、第2の実施形態によるナースコール親機1の機能構成例を示すブロック図である。なお、この図4において、図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図4に示すように、第2の実施形態によるナースコール親機1は、応答受付部23、記録部24、呼出制御部25および呼出履歴記憶部32の代わりに、応答受付部23’、記録部24’、呼出制御部25’および呼出履歴記憶部32’を備えている。
上述した第1の実施形態では、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しに対して看護師が携帯端末11で応答した場合において、その後で呼出ボタン7からの呼び出しがあったときに、ナースコール子機4,5からの呼び出しに携帯端末11で応答した看護師の携帯端末11に対してのみ呼び出しを実行する例について説明した。これに対し、第2の実施形態は、患者によるナースコール子機4,5からの呼び出しに対して看護師がナースコール親機1で応答した場合に適用して好適な例である。なお、看護師が携帯端末11で応答した場合に第2の実施形態を適用することも可能である。
応答受付部23’は、ナースコール親機1または携帯端末11からの応答を受け付けたときに、所定の応答処理を行う。これは第1の実施形態と同様である。ただし、応答受付部23’は、携帯端末11からの応答を受け付けた場合でも、応答識別情報を記録部24’に供給することはしない。よって、記録部24’は、ナースコール子機4,5からの呼出信号を呼出受付部22が受信したときに呼出識別情報を呼出履歴記憶部32’に記憶させるのみで、応答識別情報を呼出履歴記憶部32’に記憶させることはしない。
呼出制御部25’は、共用スペースの廊下灯6に表示された呼出識別情報を選択する操作が行われた後、共用スペースの呼出ボタン7が押下されたときに、管理情報記憶部31に記憶されている情報に基づいて、選択された呼出識別情報により特定される患者の担当看護師の携帯端末11に対してのみ呼び出しを行うように制御する。
ナースコール子機4,5からの呼び出しに対してナースセンタの看護師がナースコール親機1で応答すると、その看護師を一意に特定することができないため、その看護師が所持する携帯端末11のみを指定して呼び出しを行うことができない。しかし、第2の実施形態によれば、ナースコール子機4,5を用いて呼び出しを行った患者とその担当看護師は一意に特定することができるので、ナースコール子機4,5を用いて呼び出しを行った患者の担当看護師が所持する携帯端末11のみを指定して呼び出しを行うようにしている。
この場合、第1の実施形態と比べて、呼出ボタン7の押下に応じて呼び出しを行う携帯端末11の数が多くなるが、全ての携帯端末11に対して呼び出しを行う場合に比べれば格段に少ない数で済む。また、呼び出される担当看護師の中には、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答して共用スペースまでの移動の介助を行った看護師も含まれているので、その看護師が呼出ボタン7からの呼び出しに引き続き応答することも可能である。
なお、この第2の実施形態では、ナースコール子機4,5からの呼び出しに対して看護師がナースコール親機1で応答した場合も携帯端末11で応答した場合も、応答識別情報を呼出履歴記憶部32’に記憶させていない。すなわち、看護師が携帯端末11で応答した場合でも、その後に呼出ボタン7が押下されたときに、ナースコール子機4,5を用いて呼び出しを行った患者の担当看護師の携帯端末11に対して呼び出しを行っているが、本発明はこれに限定されない。例えば、看護師が携帯端末11で応答した場合は第1の実施形態を適用し、ナースコール親機1で応答した場合は第2の実施形態を適用するようにしてもよい。
また、上記第1および第2の実施形態では、呼出識別情報を廊下灯6に表示させるためのユーザ操作も、表示された呼出識別情報を選択するためのユーザ操作も、同じ廊下灯6のタッチパネルに対して行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答した看護師が患者を連れて病室を出る際に、病室の廊下灯3に表示された患者を選択する操作を行うことによって、その患者に関する呼出識別情報を共用スペースの廊下灯6に表示させるようにしてもよい。
なお、この場合に呼出識別情報を表示させる廊下灯6は、選択操作が行われた廊下灯3が設置された病室から最も近い共用スペースの廊下灯6とすることが可能である。または、病室の廊下灯3を特定する情報と共用スペースの廊下灯6を特定する情報とをあらかじめ関連付けて記憶しておき、これによって関連付けられた廊下灯6に対して呼出識別情報を表示させるようにしてもよい。あるいは、病室の廊下灯3で患者を選択する際に、これから移動する予定の共用スペースを指定するようにしてもよい。
また、上記第1および第2の実施形態において、呼出履歴記憶部32,32’に記憶させる呼出履歴情報は、所定の時間が経過した時点で消去するようにしてもよい。この場合における所定の時間は、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応答した看護師が患者を連れて共用スペースまで移動し、廊下灯6のタッチパネルを操作するまでに要すると想定される時間に対して若干の余裕分を加えた時間とする。
ナースコール子機4,5からの呼び出しは、患者が共用スペースへ移動する際の介助を要請するものばかりではない。したがって、ナースコール子機4,5からの呼び出しに応じて呼出履歴情報を呼出履歴記憶部32,32’に記憶させた後、所定の時間が過ぎるまでの間に廊下灯6のタッチパネルに対して呼出履歴情報を表示させるための操作が行われなかった場合は、共用スペースへ移動介助を要請する呼び出しではなかったものとして、呼出履歴記憶部32,32’から余計な呼出履歴情報を消去するのが好ましい。
また、上記第1および第2の実施形態では、ナースコール子機4,5からの呼び出しの種別に関係なく呼出履歴情報を呼出履歴記憶部32,32’に記憶させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、記録部24,24’は、共用スペースへの移動介助に関する種別の呼び出しを呼出受付部22が受け付けたときのみ、呼出履歴情報を呼出履歴記憶部32,32’に記憶させるようにしてもよい。
また、上記第1および第2の実施形態では、1つの共用スペースは一度に一人の患者のみが利用できることを想定し、1つの共用スペースに対して1つの廊下灯6を設置する例について説明しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの共用スペースの内部が複数の個室に分かれていて、1つの共用スペースを一度に複数人の患者が利用可能な場合は、各個室に対してタッチパネル付きの表示装置と呼出ボタン7とを設置し、これら複数の表示装置と呼出ボタン7とを廊下灯6に接続するようにしてもよい。この場合、看護師は、各個室のタッチパネルを操作して呼出識別情報を表示させ、表示させた呼出識別情報を選択するようにする。また、個々の表示装置に対して個室IDを割り当て、上述した廊下灯IDに加えて個室IDを用いて処理を行う。
あるいは、以下のようにしてもよい。すなわち、共用スペースの廊下灯6に各個室を表示させておき、看護師がその中から何れか選んで呼出識別情報を表示させて、表示させた呼出識別情報を選択するようにする。また、個室毎に設置した呼出ボタン7と廊下灯6とを接続し、どの呼出ボタン7が押下されたのかを廊下灯6にて把握できるようにする。この場合、各個室に対して個室IDを割り当て、上述した廊下灯IDに加えて個室IDを用いて処理を行う。
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。