JP6160748B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体に形成された下地層へのインクジェット記録方法に関する。
透明な記録媒体、例えば、透明な樹脂フィルムに、視認性向上のため白色インクによって下地印刷を行って下地層としての白地を形成し、白地の上に着色インクによって文字、画像等の記録を行なう記録方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−248008号公報(3頁、段落番号[0004])
しかしながら、下地層の乾燥状態によって、着色インクの下地層へのなじみかたが異なり、文字、画像等の画質が低下する。
ここで、画質の低下は、着色インクと下地層との混合による発色の低下、着色インク間での境界での滲み、着色インクが弾かれることによる色の広がり不足等により生じる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るインクジェット記録方法は、インク非吸収性の記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、白色系顔料を含有し、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない白色系インクを用いて、前記記録媒体に白色系画像を記録する第1記録工程と、前記白色系画像を乾燥し、乾燥率を40%〜80%とする乾燥工程と、表面張力が30mN/m以下であり、色材を含有し、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない着色インクを用いて、インクジェット法によって、乾燥率が40%〜80%の前記白色系画像に着色画像を記録する第2記録工程とを含むことを特徴とする。
本適用例によれば、白色系インクが、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しないので、乾燥工程において、第1記録工程で白色系インクを用いて記録された白色系画像の乾燥を行う際に、乾燥が進みやすい。したがって、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有する白色系インクと比較して、短い時間で乾燥率を40%〜80%としやすい。
第2記録工程において、乾燥率が40%以上の白色系画像は、乾燥が進んでいるので、色材を含有した着色インクを用いて、インクジェット法によって着色画像を記録すると、乾燥率が40%未満の白色系画像に記録する場合と比較して、白色系画像と着色インクとが混ざりにくい。したがって、白色系画像と着色インクとが混ざることによる発色の低下が抑えられ、画質の低下を抑えたインクジェット記録方法が得られる。
また、表面張力が30mN/m以下の着色インクを用いるので、乾燥率が40%程度の乾燥の進んでいない白色系画像であっても弾きが少なくなり、弾きによる画質の低下を抑えられる。
また、乾燥率が40%程度の白色系画像であっても、着色インクの表面張力を低くすることで弾きによる画質の低下が抑えられ、使用できる白色系画像の乾燥率の幅を広くとれる。したがって、乾燥率の制御が行いやすいインクジェット記録方法が得られる。
一方、乾燥率が80%以下の白色系画像は、乾燥が進みすぎていないので、色材を含有した着色インクで、インクジェット法を用いて着色画像を記録すると、乾燥率が80%より大きい白色系画像に記録する場合と比較して、着色インクの濡れ広がりが抑えられる。したがって、着色インクが白色系画像上に広がることによる、着色インク同士の混ざり合いによる滲みによる画質の低下を抑えたインクジェット記録方法が得られる。
また、着色インクが、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しないので、着色インクの乾燥が進みやすく、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有する白色系インクと比較して、着色インクの濡れ広がりが抑えられる。したがって、着色インク同士が混ざり合って生じる滲みによる画質の低下を抑えたインクジェット記録方法が得られる。
[適用例2]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記第1記録工程で記録された前記白色系画像に含まれる前記白色系顔料の量が0.8g/m2以上であるのが好ましい。
本適用例によれば、第1記録工程で白色系画像に含まれる白色系顔料の量が0.8g/m2以上であれば、白色系画像の白色度が73.0以上になり、着色画像の視認性が向上したインクジェット記録方法が得られる。
[適用例3]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記着色インクに、デービス法により算出されたHLB値が4.2〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤からなる群から選択される一種以上を含んでいるのが好ましい。
本適用例によれば、着色インクに、デービス法により算出されたHLB値が4.2〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のいずれかを含んでいるので、インクが濡れ広がりやすい。
[適用例4]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記第1記録工程で、前記白色系インクを用いて、前記記録媒体に前記白色系画像を記録するのにインクジェット法を用い、前記白色系顔料の平均粒子径が200nm以上400nm以下であるのが好ましい。
本適用例によれば、白色系顔料の平均粒子径が200nm以上であれば、白色系画像の白色度が73.0以上得られ、平均粒子径が400nm以下であれば、インクジェット法において、インクの流れに滞留が生じず、白色系インクの吐出が安定して行えるインクジェット記録方法が得られる。
また、第1記録工程および第2記録工程で、同じ記録方法であるインクジェット法を用いるので、第1記録工程と第2記録工程との間で記録方法の変更を行う必要がなく工程間の流れがよくなる。したがって、第1記録工程と第2記録工程との間で記録方法の変更を行う場合と比較して、記録時間の短いインクジェット記録方法が得られる。
[適用例5]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記記録媒体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属、ガラスから選択される一種であるのが好ましい。
本適用例によれば、記録媒体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属、ガラスから選択される一種であるので、インク非吸収性がある。
[適用例6]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記記録媒体が、ポリ塩化ビニルであり、前記白色系インクが、ピロリドン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含むのが好ましい。
本適用例によれば、記録媒体がポリ塩化ビニルの場合、白色系インクが、ポリ塩化ビニルを溶解するピロリドン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含むので、記録媒体と白色系画像の密着性が向上したインクジェット記録方法が得られる。
[適用例7]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記白色系インクまたは前記着色インクの少なくとも一方が、水を50質量%以上含むのが好ましい。
本適用例によれば、白色系インクまたは着色インクの少なくとも一方が、環境への負荷の少ない水を50質量%以上含んでいるので、環境への影響の少ないインクジェット記録方法が得られる。
[適用例8]本適用例に係る記録装置は、上記インクジェット記録方法を用いることを特徴とする。
本適用例によれば、前述の効果を備えた記録装置が得られる。
[適用例9]本適用例に係る記録物は、上記インクジェット記録方法によって記録されたことを特徴とする。
本適用例によれば、前述の効果を備えた記録物が得られる。
インクジェット式記録装置を示す概略斜視図。 二酸化チタンの平均粒子径を変化させて、白色度と吐出安定性を評価した結果を示す図。 乾燥時間と乾燥率との関係を示す図。
以下、実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度は実際とは異なっている。
図1は、実施形態における記録装置としてのインクジェット式記録装置100を示す概略斜視図である。
図1において、インクジェット式記録装置100は、キャリッジ101を備えている。キャリッジ101は、キャリッジモーター102により駆動されるタイミングベルト103を介し、ガイド部材104に案内されてプラテン105の軸方向に往復移動する。
記録媒体200は、図示しない搬送機構によってキャリッジ101とプラテン105との間に向かって送られる。
キャリッジ101の記録媒体200に対向する位置には、インクジェット式記録ヘッド300が搭載されている。
また、インクジェット式記録ヘッド300の上部には、インクジェット式記録ヘッド300に、液体としてのインクを供給する白色系インクカートリッジ106および着色インクとしてのカラーおよびブラックインクカートリッジ107が着脱可能に装填されている。
記録媒体200は、印字等領域Pに配置されて、インクジェット式記録ヘッド300によってインクが吐出され、文字、画像等が記録される。文字、画像等が記録された記録媒体200は、記録物210として排出される。
また、図1に示すように、記録媒体200が配置されない非印字等領域である、例えば、ホームポジションHには、キャップ部材や吸引手段等を有するクリーニング手段である、例えば、キャッピング手段120、吸引ポンプ130、そしてワイピング部材140が配置されている。
実施形態におけるインクジェット記録方法は、白色系画像を記録する第1記録工程と白色系画像を乾燥する乾燥工程と乾燥工程の後に行われる着色画像を記録する第2記録工程とを含む。
(第1記録工程)
第1記録工程では、インクジェット式記録装置100を使用して、白色系インクを用いて、記録媒体200にインクジェット法で白色系画像を記録する。
記録媒体200は、印刷本紙等の塗工紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、金属、ガラスから選択される一種であるのが好ましい。これらの記録媒体200はインク非吸収性または低吸収性であり、ブリストー(Bristow)法において、接触開始から30msecまでの水吸収量が1ml/m2以下のものである。
白色系インクは、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない。例えば、1気圧下相当の沸点が188℃のプロピレングリコールは含んでもよいが、1気圧下相当の沸点が280℃以上のグリセリン、1気圧下相当の沸点が280℃以上のポリエチレングリコール、1気圧下相当の沸点が280℃以上のポリプロピレングリコール等は含まない。
また、白色系インクは、白色系顔料を含有する。白色系顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニア、中空樹脂粒子の微粒子を含む顔料を用いることができる。ここで、優れた白色度から酸化チタンの微粒子を含むのが好ましい。白色系顔料の平均粒子径は、特に限定されないが100nm以上1μm以下が好ましく、200nm以上400nm以下であるのがさらに好ましく、250nm以上380nm以下であるのが一層好ましく、最も好ましくは260nm以上350nm以下である。
なお、これらの微粒子は、酸化珪素、アルミナ等でコーティングされた微粒子であってもよい。
第1記録工程で記録される白色系画像は、記録媒体200に形成されるべた画像であってもよいし、カラーおよびブラックインクによって着色画像が形成される位置に合わせて白色系画像を形成してもよい。白色系画像に記録される着色画像の十分な視認性を得るには、白色系インクを用いて形成する白色系画像の白色度は73以上、より好ましくは75以上がよい。
ここで、白色系画像の記録に使用される白色系顔料量は0.8g/m2以上、より好ましくは1.0g/m2以上であるのが好ましい。
白色系インクの表面張力は本願発明においては特に限定されないが、30mN/m以下であることが好ましく、28mN/m以下であることがより好ましい。さらに、下地となる白色系インクと後述する上地となる着色インクの表面張力の差の絶対値は、5mN/m以下であることが好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程では、白色系画像を乾燥し、乾燥率を40%〜80%とする。乾燥の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥を用いることができる。加熱乾燥としては、温風乾燥、熱源による直接接触のヒーター乾燥、活性化エネルギー線(例えば赤外線)による乾燥等が挙げられる。
乾燥工程で達成する乾燥率40%〜80%は、第2記録工程で吐出された着色インクが白色系画像に到達するまでに達成されていればよい。したがって、乾燥工程は、第1工程で白色系画像が記録媒体200に記録されて、第2記録工程で着色インクが白色系画像に到達するまでの工程であり、白色系画像が形成された記録媒体200が搬送されている間の自然乾燥も乾燥工程に含まれる。なお、乾燥率はより好ましくは50%〜80%が好ましい。
(第2記録工程)
第2記録工程では、着色インクを用いて、乾燥率が40%〜80%の白色系画像に着色画像を記録する。白色系顔料の単位面積当たりの量が多い白色系画像は、着色インクが濡れ広がりにくい状態にある。よって良好な白色度を示す画像の場合は、上述の乾燥率にて着色画像を記録することが好ましい。
着色画像は、着色インクを用いて、インクジェット法によって形成することができる。
着色インクは、表面張力が30mN/m以下であり、色材を含有し、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない。
ここで、着色インクの表面張力は、28mN/m以下であることがより好ましく、一層好ましくは26mN/m以下である。
(白色系インクと着色インクの他の添加剤)
白色系インクまたは着色インクの少なくとも一方が、デービス法により算出されたHLB( Hydrophile Lipophile Balance)値が4.2〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤からなる群から選択される一種以上を含んでなるのが好ましい。当該添加剤を含むことにより、表面張力が低下し、記録媒体200に対しての濡れ性が良好となる。
・グリコールエーテル
白色系インクまたは着色インクの少なくとも一方が、前述のHLB値範囲を満たすグリコールエーテル類を含むことで、記録媒体200の種類の影響をあまり受けずに濡れ性、浸透速度を制御することできる。これにより、記録媒体200、特にインク非吸収性または低吸収性の記録媒体200に対して濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。
ここで、実施形態において用いられるグリコールエーテル類のHLB値は、デービスらが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、たとえば文献「J.T.Davies and E.K.Rideal,“Interface Phenomena”2nd ed.Academic Press,New York 1963」中で定義されているデービス法により求められる数値で、下式によって算出される値をいう。
HLB値=7+Σ[1]+Σ[2]
(但し、[1]は親水基の基数を表し、[2]は疎水基の基数を表す。)
下記の表1に、代表的な親水基および疎水基の構造、基数を例示する。
Figure 0006160748
グリコールエーテル類は、デービス法により算出されたHLB値が4.2〜8.0の範囲内であり、5.8〜8.0の範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは5.8〜7.1の範囲内である。
HLB値が4.2未満であるとグリコールエーテル類の疎水性が高まり、主溶媒が水の場合、水との親和性が低下してインクの保存安定性が低下する場合がある。
一方、HLB値が8.0より大きくなると、記録媒体200への濡れ性・浸透性の効果が減少し、画像の濃淡ムラが目立つ場合がある。特に、疎水表面であるインク非吸収性または低吸収性の記録媒体200への濡れ性の効果は顕著に低下する傾向がある。
このようなグリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
例示したグリコールエーテル類の中でも、そのグリコールエーテル類中に含まれるアルキル基が分岐構造を有することがより好ましい。アルキル基が分岐構造を有するグリコールエーテル類を含有することで、特にインク非吸収性または低吸収性の記録媒体200に対して濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。具体的には、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテル類中に含まれるアルキル基の分岐構造の中でも、発色性をさらに高める観点から、2−メチルペンチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基がさらに好ましく、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。具体的には、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル等が挙げられ、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等が特に好ましい。
グリコールエーテル類の含有量は、記録媒体200への濡れ性および浸透性を向上させて濃淡ムラを低減させる効果や、インク保存安定性および吐出信頼性を確保する観点から、インク組成物全量に対して0.05質量%以上6質量%以下の範囲で含まれることが好ましい。
0.05質量%未満であると、インク組成物の濡れ性、浸透性、乾燥性が乏しくなってしまい、鮮明な画像が得られにくく、また印刷濃度(発色性)が不充分である場合がある。また、6質量%よりも大きくなると、インクの粘度が高くなりヘッドの目詰まりが発生したり、インク組成物中に完全に溶解しないことにより保存安定性が得られなかったりする場合がある。グリコールエーテル類は難水溶性のものが効果的であり、その含有量は、インク組成物全量に対して0.1質量%以上2質量%以下の範囲で含まれることがより好ましい。
・ポリエーテルシロキサン系界面活性剤
白色系インクまたは着色インクの少なくとも一方は、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤を含有すると好ましい。好ましい界面活性剤としては、下記式(1)に示すものを用いることが出来る。
式(1)において、R1〜R7は、独立して、炭素数が1から6のアルキル基、好ましくはメチル基を表す。jおよびkは、独立して1以上の整数を表すが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、もっとも好ましくは1または2でありj=k=1あるいはk=j+1を満足することが好ましい。また、gは0以上の整数を表し、好ましくは1〜3であり、もっとも好ましくは1である。さらに、pおよびqはそれぞれ0以上の整数を表し、好ましくは1〜5を表す。但しp+qは1以上の整数であり、好ましくはp+qは2以上4以下である。
Figure 0006160748
式(1)の化合物としてのポリエーテルシロキサン系界面活性剤のもっとも好ましい形態は、R1〜R7はすべてメチル基を表し、jが1〜2を表し、kが1〜2を表し、gが1〜2を表し、pが1以上5以下の整数を表し、qが0を表すものである。
こうしたポリエーテルシロキサン系界面活性剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.03重量%〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上2、重量%以下程度であり、さらに好ましくは0.2重量%以上、1重量%以下程度である。0.2重量%以上1重量%以下であると、上述のグリコールエーテル類との併用によって、弾きやすいメディアにおいて塗りつぶしが良好となる。
ポリエーテルシロキサン系界面活性剤は、特に限定されないが、グリセリンを20質量%、1,2−ヘキサンジオールを10質量%、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤を0.1質量%、および水を69.9質量%含む水溶液とした場合に、その水溶液の1Hzの動的表面張力が26mN/m以下ものを使用することが好ましい。例えば、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて測定することができる。
ポリエーテルシロキサン系界面活性剤は商業的に入手可能で、市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501(日信化学工業株式会社製)、オルフィンPD−570(日信化学工業株式会社製)、BYK−347(ビックケミー株式会社製)、BYK−348(ビックケミー株式会社製)等を用いることができる。
また、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤として、式(2)で示されるものを用いることができる。
Figure 0006160748
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは7〜11の整数を表し、mは30〜50の整数を表し、nは3〜5の整数を表す。)で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、式(2)の化合物において、式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは9〜13の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、nは1〜2の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、式(2)の化合物において、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは6〜18の整数を表し、mは0の整数を表し、nは1の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。さらに、式(2)の化合物において、Rは水素原子を表し、aは2〜5の整数を表し、mは20〜40の整数を表し、nは3〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。
このような特定のポリオルガノシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体200として非吸収性のものに印刷した場合であっても、インクのビーディングとブリーディングがより改善される。
式(2)の化合物においては、Rがメチル基である化合物を使用することによって、さらにインクのビーディングが改善できる。また、式(2)の化合物においては、Rが水素原子である化合物を併用することにより、さらにインクのブリーディングが改善できる。Rがメチル基の界面活性剤は、好ましくは0.01質量%〜1.0質量%、より好ましくは0.05質量%〜0.70質量%含有される。
式(2)の化合物においては、Rがメチル基の化合物とRが水素原子の化合物との配合割合を適宜、調整することにより、さらにブリーディングやビーディングのない高品質な画像が実現でき、また顔料種や樹脂量により流動性が異なる場合の調整剤として効果的である。
・フッ素系界面活性剤
また、白色系インクおよび着色インクには、フッ素系界面活性剤を用いてもよい。フッ素系界面活性剤は、WO2010/050618およびWO2011/007888に開示されている通り、低吸収性、非吸収性の記録媒体200に対して良好な濡れ性を奏する溶剤として知られており、本願発明において、上述のグリコールエーテル類及びポリエーテルシロキサン類と併用して好ましく用いることが出来る。
フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられる。これらの中でも、一般式(3)〜(8)で表される化合物が信頼性の観点からも特に好ましく、式(3)、(4)、(5)、(8)で表されるものが一層好ましい。
Figure 0006160748
ただし、式(3)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
Figure 0006160748
ただし、式(4)中、Rfはフッ素含有基を表し、CF3、CF2CF3をなどが挙げられる。m,nおよびpは、それぞれ整数を表し、mは6〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4を表す。
Figure 0006160748
ただし、式(5)中、M+はLi+,Na+,K+,NH4+のいずれかを表す。
Figure 0006160748
ただし、式(6)中、Rfは、CF3、C25、C37、C49のいずれかを表し、M+は、Li+,Na+,K+,NH4 +のいずれかを表す。
Figure 0006160748
ただし、式(7)中、Rfは、CF3、C25、C37、C49のいずれかを表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、M+は、Li+,Na+,K+,NH4 +のいずれかを表す。
Figure 0006160748
ただし、式(8)中、M+はLi+,Na+,K+,NH4 +のいずれかを表す。
フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えばS・144、S・145(旭硝子株式会社製);FC・170C、FC・430、フロラード・FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO・100、FSN、FSN・100、FS・300(Dupont社製);FT・250、251(株式会社ネオス製)などが挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO・100、FSN、FSN・100、FS・300が良好な印字品質、保存性を提供でき好ましい。これらノニオン系のフッ素系界面活性剤である前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
記録媒体200が、ポリ塩化ビニルの場合、白色系インクが、ピロリドン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含むのが好ましい。ピロリドン類の代表例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンがあり、スルホキシド類の代表例としてはジメチルスルホキシドがあり、イミダゾリジノン類の代表例としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンがある。
また、アミドエーテル類としては、下記一般式(9)で示される溶剤が該当する。
Figure 0006160748
式(9)中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好適である。「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基であることができる。R1が炭素数1〜4のアルキル基の式(9)で示される溶剤は、インク組成物に適度な擬塑性を付与することでき、これによりインクの良好な吐出安定性を確保することができる。また、R1が炭素数1〜4のアルキル基の式(9)で示される溶剤は、塩化ビニル系樹脂と相互作用するため、塩化ビニル系樹脂を含有する記録媒体200の表面にインクを強固に定着させることができる。
式(9)で示される溶剤のHLB値は、10.5以上20.0以下、好ましくは12.0以上18.5以下である。式(9)で示される溶剤のHLB値が前記範囲内にあると、インクに適度な擬塑性を付与できる点および塩化ビニル系樹脂との相互作用の点でより好適となる。
なお、式(9)で示される溶剤のHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下式により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
・その他の添加剤
界面活性剤としては上述のポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤以外のものであってもよい。つまり、アニオン性界面活性剤(たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)であってもよい。
白色系インク組成物および着色インク組成物はアルカンジオールを含有していても良い。アルカンジオールとしては、1,2−アルキルジオールの他、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等の両末端のジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、3−(2−メトキシフェノキシ)−1−2−プロパンジオール等の分鎖構造のジオールを用いることが出来る。中でも、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4〜8の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。この中でも炭素数が6〜8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体200への浸透性が特に高いため、より好ましい。
その他、例えばエタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン等を含んでいても良い。
以上述べたように、実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)白色系インクが、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しないので、乾燥工程において、第1記録工程で白色系インクを用いて記録された白色系画像の乾燥を行う際に、乾燥が進みやすい。したがって、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有する白色系インクと比較して、短い時間で乾燥率を40%〜80%とできる。
第2記録工程において、乾燥率が40%以上の白色系画像は、乾燥が進んでいるので、色材を含有した着色インクを用いて、インクジェット法によって着色画像を記録すると、乾燥率が40%未満の白色系画像に記録する場合と比較して、白色系画像と着色インクとが混ざりにくくできる。したがって、白色系画像と着色インクとが混ざることによる発色の低下を抑えることができ、画質の低下を抑えたインクジェット記録方法を得ることができる。
一方乾燥率が80%超過となると、白色系画像上で着色インクが良好に浸透せず(弾かれ)、着色インク同士が白色系画像上で混ざってしまう恐れが出る。
前記乾燥工程においての乾燥率は、以下のようにして算出される。すなわち、記録媒体200に白色系インクを付与して画像形成した場合の記録媒体重量が乾燥率0%に相当する。そして、所定の乾燥条件化で画像を乾燥させ、記録媒体200の重量の変化が実質的に止まった時点を乾燥率100%に相当する。この両者のデータ及び乾燥時間を変更させて得たデータ(中間乾燥率)から、同一の乾燥条件化において、経時的な記録媒体200の重量変化、経時的な乾燥率の変化を表すことが出来る。この得られた結果と、白色系画像形成から着色画像形成までの時間とから、乾燥率は算出することが可能である。
また、乾燥率が40%程度の白色系画像であっても、着色インクの表面張力を低くすることで弾きによる画質の低下を抑えることができ、使用できる白色系画像の乾燥率の幅を広くとれる。したがって、乾燥率の制御が行いやすいインクジェット記録方法を得ることができる。
一方、乾燥率が80%以下の白色系画像は、乾燥が進みすぎていないので、色材を含有した着色インクで、インクジェット法を用いて着色画像を記録すると、乾燥率が80%より大きい白色系画像に記録する場合と比較して、着色インクの濡れ広がりを抑えることができる。したがって、着色インクが白色系画像上に広がることによる、着色インク同士の混ざり合いによる滲みによる画質の低下を抑えたインクジェット記録方法を得ることができる。
また、着色インクが、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しないので、着色インクの乾燥を進みやすくでき、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有する白色系インクと比較して、着色インクの濡れ広がりを抑えることができる。したがって、着色インク同士が混ざり合って生じる滲みによる画質の低下を抑えたインクジェット記録方法を得ることができる。
(2)第1記録工程で白色系画像に含まれる白色系顔料の量が0.8g/m2以上であれば、白色系画像の白色度を73.0以上にでき、着色画像の視認性が向上したインクジェット記録方法を得ることができる。
(3)着色インクまたは白色系インクの少なくとも一方が、デービス法により算出されたHLB値が4.2〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のいずれかを含んでいるので、インクを濡れ広がりやすくできる。
(4)白色系顔料の平均粒子径が200nm以上であれば、白色系画像の白色度が73.0以上得られ、平均粒子径が400nm以下であれば、インクジェット法において、インクの流れに滞留が生じず、白色系インクの吐出が安定して行えるインクジェット記録方法を得ることができる。
また、第1記録工程および第2記録工程で、同じ記録方法であるインクジェット法を用いるので、第1記録工程と第2記録工程との間で記録方法の変更を行う必要がなく工程間の流れをよくできる。したがって、第1記録工程と第2記録工程との間で記録方法の変更を行う場合と比較して、記録時間の短いインクジェット記録方法を得ることができる。
(5)記録媒体200が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属、ガラスから選択される一種であるので、インク非吸収性がある。
(6)記録媒体200がポリ塩化ビニルの場合、白色系インクが、ポリ塩化ビニルを溶解するピロリドン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含むので、記録媒体と白色系画像の密着性が向上したインクジェット記録方法を得ることができる。
(7)白色系インクまたは着色インクの少なくとも一方が、環境への負荷の少ない水を50質量%以上含んでいるので、環境への影響の少ないインクジェット記録方法を得ることができる。また、白色系インク及び着色インク両者が水を50質量%以上含むことが好ましい。
(8)前述の効果を備えたインクジェット式記録装置100が得られる。
(9)前述の効果を備えた記録物210が得られる。
(実施例)
以下、実施例等により実施形態をより詳しく説明する。
実施例および比較例における白色系画像は、以下の方法で作成した。
(第1記録工程)
第1記録工程において、白色系インクとして、表2に示した組成を用いた。表2には、表面張力も合わせて示してある。組成の単位は質量%濃度であり、表面張力の単位はmN/mである。
Figure 0006160748
式(1)で表されるポリエーテルシロキサン系界面活性剤として、ビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−348を用いた。ビニブラン(エマルジョン)は、日信化学工業株式会社製ビニブラン700を用いた。
その他、2−ピロリドン、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、二酸化チタン、スチレンアクリル樹脂、蒸留水は、商業的に入手可能で、市販されているものを用いることができる。
インクジェット式記録装置100として、セイコーエプソン社製カラリオ(登録商標)PX−G930を用い、記録媒体200としてポリエステルフィルムである東レ株式会社製ルミラー(登録商標)を用いた。そして、表1に示した組成の白色系インクで、白色系画像として、べた画像を形成した。
なお、白色系インクに用いる二酸化チタンの分散液は下記の方法により製造した。
ガラス転移温度40℃、質量平均分子量10,000、酸価150mgKOH/gの固形アクリル酸/n−ブチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体の25質量部をジエチレングリコールジエチルエーテル75質量部の混合溶液に溶解させて樹脂固形分25質量%の高分子分散剤溶液を得た。
前記高分子分散剤溶液の36質量%にジエチレングリコールジエチルエーテル19質量%を加え混合し、二酸化チタン分散用樹脂ワニスを調製し、さらに二酸化チタン(CR−90、アルミナシリカ処理(アルミナ/シリカ 0.5)、体積基準の平均粒子径300nm、吸油量21ml/100g、石原産業(株)製)45質量%を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、二酸化チタン分散液を得た。
表3に、白色系インクの吐出量(g/m2)を変え、塗布される白色系顔料の量(g/m2)を変化させて、白色度(L*)を測定した結果を示した。
Figure 0006160748
表3に示した結果より、白色系顔料の量が0.8g/m2以上であれば、白色系画像の白色度が73.0以上になり、視認性が向上することが確認できた。
また、表4および図2は、白色系インクに含まれる白色系顔料としての二酸化チタンの平均粒子径を変化させて、白色度(L*)と吐出安定性を評価した結果を示す表および図である。
Figure 0006160748
表4および図2に示した結果より、白色系顔料の平均粒子径が200nm以上であれば、白色系画像の白色度が73.0以上得られ、平均粒子径が400nm以下であれば、インクジェット法において、インクの流れに滞留が生じず、白色系インクの吐出が安定して行えることが確認できた。
(乾燥工程)
図3は、乾燥工程における白色系画像の乾燥時間と乾燥率との関係を示す一例の図である。
乾燥率の測定は、室温25℃、湿度30%の環境下で、白色系画像を形成後50℃に加熱して重量を測定することで行った。乾燥率は、揮発成分が実質的になくなって重量変化が止まった状態を乾燥率100%として算出している。
例えば、インクジェット式記録装置100において、プラテン105を加熱して白色系画像を乾燥させる場合、乾燥率40%を得るには、4.5秒間プラテン105上で待機させ、乾燥率80%を得るには、30.0秒間プラテン105上で待機させる。待機後、乾燥率が変化しないうちに第2記録工程を行う。ここで、白色系画像が形成された記録媒体200がプラテン105からの搬送によって、第2記録工程までに自然乾燥するときは、自然乾燥による乾燥率を考慮してプラテンでの乾燥を行い、着色インクが白色系画像に到達するときに、白色系画像の乾燥率が40%〜80%になるように調節する。
(第2記録工程)
第2記録工程では、組成を変化させた6種類の着色インクであるシアンインクを用いて、ポリエステルフィルムと塩化ビニルフィルムとに形成された白色系画像に着色画像を形成した。ここで、白色系画像の乾燥率を変化させて画質を評価した。
ポリエステルフィルムには、東レ株式会社製 ルミラー100S10を使用し、塩化ビニルフィルムには、桜井株式会社製塩ビフィルム(PVC)LLSP EX113を使用した。
表5に、実施例としてシアンインクB、C、E、F、G、比較例としてシアンインクA、Dの組成を記載した。そして、表6に各シアンインクに使用した界面活性剤、表面張力、使用した記録媒体200の種類、対応する白色系画像の乾燥率を示した。EHDG(ジエチレングリコール−モノ−2−エチルヘキシルエーテル)は商業的に入手可能で、市販されているものを用いることができる。なお、オルフィンE1010は日信化学工業株式会社製、アセチレン系界面活性剤である。また、シアンインクは下記の方法にて分散を行った。
シアン顔料は、下記の方法によって分散させた。水溶性樹脂(メタクリル酸/ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルアクリレート=25/50/15/10の質量比で共重合したもの。重量平均分子量12,000)40部を水酸化カリウム7部、水23部およびトリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル30部の混合液に投入し、80℃で加熱および撹拌して溶解し、水溶性樹脂溶液を調整する。この溶液(固形分43%)1.75kgに、ピグメントブルー15:3を3.0kg、エチレングリコール1.5kgおよび水8.75kgを配合し、混合撹拌機で撹拌しプレミキシングを行う。この顔料混合液を0.5mmのジルコニアビーズを85%充填した1.5リットルの有効容積を有する多ディスク型羽根車を備えた横型のビーズミルで多パス方式により分散を行った。具体的には、ビーズ周速を8m/秒、1時間に30リットルの吐出量で2パス行い、顔料混合液を得た。次に0.05mmのジルコニアビーズを95%充填した1.5リットルの有効容積を有する横型のアニュラー型のビーズミルで循環分散を行った。スクリーンは0.015mmのものを使用し、ビーズ周速を10m/秒で、顔料分散混合液量10kgを循環量300リットル/時で4時間分散処理を行い、顔料固形分20%の顔料分散液を得た。
本実施例において、表面張力は表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いた。
また、画質の評価は、発色の低下、着色インク間での境界での滲み、着色インクが弾かれることによる色の広がり不足等がない場合を○、これらが生じて画質が低下した場合を×、○と×との中間を△として行い、表6に白色系画像の乾燥率とともに示した。
Figure 0006160748
Figure 0006160748
表6に示した結果により、実施例において、界面活性剤としてビックケミー・ジャパン株式会社製BYK−348を用いた場合は、シアンインクの表面張力が30mN/m以下となる。表面張力が30mN/m以下のシアンインクでは、白色系画像の乾燥率が50%〜80%で良好な画質が得られた。このとき、記録媒体200の違いによる影響はなかった。
また、界面活性剤としてオルフィンPD−570(日信化学工業株式会社製、式(2)においてRがメチル基の界面活性剤を含む製品)を用いると、表面表力が24mN/mとなり、白色系画像の乾燥率が40%〜80%で良好な画質が得られた。
以上、実施例および比較例によって、実施形態で述べた効果が確認できた。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。
例えば、第1記録工程における記録方法はインクジェット法に限らない。
インクジェット式記録装置がバーコーター、スリットコーター、ロールコーター等のアナログコート方式の部材を備えていて、ロールコーター等で記録媒体に白色系画像を記録する第1記録工程を行い、乾燥工程を行った後、インクジェット法で着色画像を記録する第2記録工程を行ってもよい。
また、インクジェット記録方法としては、第1記録工程をロールコート法等のアナログ方式で行ってもよい。このとき、ロールコート法は別装置のロールコーターで行ってもよい。
100…インクジェット式記録装置、101…キャリッジ、102…キャリッジモーター、103…タイミングベルト、104…ガイド部材、105…プラテン、106…白色系インクカートリッジ、107…カラーおよびブラックインクカートリッジ、120…キャッピング手段、130…吸引ポンプ、140…ワイピング部材、200…記録媒体、210…記録物、300…インクジェット式記録ヘッド。

Claims (5)

  1. インク非吸収性の記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、
    白色系顔料を含有する白色系インク(但し、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを含有しない)を用いて、前記記録媒体に白色系画像を記録する第1記録工程と、
    前記白色系画像を乾燥する乾燥工程と、
    色材を含有し、デービス法により算出されたHLB値が4.2〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類、ポリエーテルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤からなる群から選択される一種以上を含む着色インク(但し、1気圧下相当の沸点が280℃以上のアルキルポリオールを含有しない)を用いて、インクジェット法によって、前記白色系画像に着色画像を記録する第2記録工程と、を有するインクジェット記録方法で、
    前記白色系インクは水を50質量%以上含み、
    前記乾燥工程により前記白色系画像の乾燥率を40%〜80%とし、
    前記第1記録工程で前記白色系画像に含まれる前記白色性顔料の量を0.8g/m2以上として前記白色系画像の白色度を73.0以上とし、
    前記着色インクは表面張力を30mN/m以下とした
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録方法において、
    前記第1記録工程で、前記白色系インクを用いて、前記記録媒体に前記白色系画像を記録するのにインクジェット法を用い、前記白色系顔料の平均粒子径が200nm以上400nm以下である
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法において、
    前記記録媒体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、金属、ガラスから選択される一種である
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法において、
    前記記録媒体が、ポリ塩化ビニルであり、
    前記白色系インクが、ピロリドン類、スルホキシド類、イミダゾリジノン類、アミドエーテル類から選択される一種以上の非プロトン性極性溶媒を含む
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法において、
    前記白色系インクまたは前記着色インクの少なくとも一方が、水を50質量%以上含む
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
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