JP6158904B2 - ナノ粒子蛍光体素子及び発光素子 - Google Patents
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Description
本発明は、ナノ粒子蛍光体素子及び発光素子に関する。
半導体ナノ粒子蛍光体のサイズを励起子ボーア半径程度に小さくすると、量子サイズ効果を示すことが知られている。量子サイズ効果とは、物質の大きさが小さくなると該物質の中の電子は自由に運動できなくなり、該電子のエネルギーは任意ではなく特定の値しか取り得なくなることである。また、電子を閉じ込めている半導体ナノ粒子蛍光体のサイズが変化することで電子のエネルギー状態も変化し、半導体ナノ粒子蛍光体から発生する光の波長は寸法が小さくなるほど短波長になることが知られている。このような量子サイズ効果を示す半導体ナノ粒子蛍光体は、蛍光体としての用途が着目され、研究が進められている。
半導体ナノ粒子蛍光体は、比表面積が大きく、表面活性が高いことから、化学的・物理的に安定しにくい。したがって、半導体ナノ粒子蛍光体を安定化させるための方法が提案されている。
例えば、特表2013−505347号公報(特許文献1)には、コーティングされた複数の一次粒子であって、各一次粒子が、一次マトリックス材料から構成されており、半導体ナノ粒子の集団を含み、各一次粒子は、表面コーティング材料の層が個別に与えられている、コーティングされた複数の1次粒子が開示されている。
特許文献1の技術では、マトリックス材料としてポリマー、ガラス等の一般的な材料を用いているため、該マトリックス中で半導体ナノ粒子蛍光体の凝集が生じ、半導体ナノ粒子蛍光体の量子効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、マトリックス中で半導体ナノ粒子蛍光体が良好に分散しており、優れた量子効率を示すナノ粒子蛍光体素子及び該ナノ粒子蛍光体素子を用いた発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、中空の球状、壁面から内部空間に貫通する細孔を有する中空カプセル形状または表面から内部に向かう細孔を有する球状の封入体と、前記封入体に封入されたイオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックスと、前記マトリックス中に分散された半導体ナノ粒子蛍光体と、を備える、ナノ粒子蛍光体素子である。
本発明のナノ粒子蛍光体素子において、前記マトリックスは、前記イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を含む。
本発明のナノ粒子蛍光体素子において、前記半導体ナノ粒子蛍光体は、表面に極性官能基を含むことが好ましい。
本発明のナノ粒子蛍光体素子において、前記封入体はシリカを含むことが好ましい。
本発明は、封止材と、前記封止材中に分散された、上記のナノ粒子蛍光体素子と、を備える、発光素子についても提供する。
本発明は、封止材と、前記封止材中に分散された、上記のナノ粒子蛍光体素子と、を備える、発光素子についても提供する。
本発明によれば、マトリックス中で半導体ナノ粒子蛍光体が良好に分散しており、優れた量子効率を示すナノ粒子蛍光体素子及び該ナノ粒子蛍光体素子を用いた発光素子を提供することができる。
以下、本願の図面において、同一の符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法を表わしてはいない。
[実施の形態1]
<ナノ粒子蛍光体素子>
実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子を示す断面模式図である。図2及び図3は、それぞれ、図1の点線部分の拡大図の一例を示す図である。図4は、実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子の変形例を示す断面模式図である。
<ナノ粒子蛍光体素子>
実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子を示す断面模式図である。図2及び図3は、それぞれ、図1の点線部分の拡大図の一例を示す図である。図4は、実施の形態1に係るナノ粒子蛍光体素子の変形例を示す断面模式図である。
図1に示されるように、ナノ粒子蛍光体素子21は、封入体9と、前記封入体9に封入されたイオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックス8と、前記マトリックス8中に分散された半導体ナノ粒子蛍光体10と、を備える。
ナノ粒子蛍光体素子21の形状は球状に限定されず、断面形状が多角形を有する立方体等の形状でもよい。ナノ粒子蛍光体素子21の粒径は、50nm以上2mm以下が好ましく、100nm以上30μm以下がより好ましい。ナノ粒子蛍光体素子21の粒径が100nm未満である場合には、ナノ粒子蛍光体素子21の1粒子あたりの表面積/体積比が大きくなるため、励起光の散乱によるロスが大きくなる傾向にあるためである。さらにナノ粒子蛍光体素子21の粒径が30μm以下である場合には、従来の蛍光体と同様のプロセスで後述の封止材中に分散させることができる傾向にあるため、特に好ましい。
(半導体ナノ粒子蛍光体)
図2に示されるように、半導体ナノ粒子蛍光体10は、化合物半導体からなるナノ粒子コア2と、前記ナノ粒子コア2を被覆するシェル層4からなる被覆層と、前記シェル層4の外側表面に結合する有機修飾基6と、を備える。前記有機修飾基6は、極性官能基を含むことが好ましい。
図2に示されるように、半導体ナノ粒子蛍光体10は、化合物半導体からなるナノ粒子コア2と、前記ナノ粒子コア2を被覆するシェル層4からなる被覆層と、前記シェル層4の外側表面に結合する有機修飾基6と、を備える。前記有機修飾基6は、極性官能基を含むことが好ましい。
半導体ナノ粒子蛍光体10は、ナノサイズの蛍光体粒子である。半導体ナノ粒子蛍光体の粒子径は、原料および所望の発光波長に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、1〜20nmの範囲内であることが好ましく、2〜5nmの範囲内であることがより好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体の粒径が1nm未満である場合には、体積に対する表面積の割合が増えることにより、表面欠陥が支配的となり効果が低下する傾向にあるためであり、また、半導体ナノ粒子蛍光体の粒径が20nmを超える場合には、分散状態が低下し、凝集・沈降が生じる傾向にあるためである。ここで、半導体ナノ粒子蛍光体の形状が球状である場合には、粒径は、たとえば粒度分布測定装置により測定された平均粒径もしくは電子顕微鏡により観察された粒子の大きさを指す。また半導体ナノ粒子蛍光体の形状がロッド状である場合には、粒径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。さらに、半導体ナノ粒子蛍光体の形状がワイヤ状である場合には、粒径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。
ナノ粒子コア2は化合物半導体からなる。ナノ粒子コア2を構成する化合物半導体の組成は、例えば、InN、InP、InAs、InSb、InBi、InGaN、InGaP、GaP、AlInN、AlInP、AlGaInN、AlGaInP、CdS、CdSe、CdTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdZnSSe、CdZnSeTe、In2S3、In2Se3、Ga2Se3、In2Te3、Ga2Te3、CuInS2、CuInSe2、CuInTe2等である。このような組成の化合物半導体は、波長380nm〜780nmの可視光を発光するバンドギャップ・エネルギーを有している。したがって、粒子径およびその混晶比を制御することにより、任意の可視光の発光が可能なナノ粒子コアを形成することができる。
ナノ粒子コア2を構成する半導体として、InP又はGaP又はCdSeを用いることが好ましい。理由としては、InP、GaP及びCdSeは、構成する材料が少ないため作製がし易い上、高い量子収率を示す材料であり、LEDの光を照射した際、高い発光効率を示すからである。ここでの量子収率とは、吸収した光子数に対する、蛍光として発光した光子数の割合のことである。
シェル層4は、ナノ粒子コア2の結晶構造を引き継いで形成される化合物半導体からなる。シェル層4は、ナノ粒子コア2の表面に半導体結晶を成長させることによって形成される層であり、ナノ粒子コア2とシェル層4との間は化学結合によって結合する。シェル層は、たとえば、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InAs、InP、InN、InSb、AlAs、AlP、AlSb、AlN、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdZnSSe、CdZnSeTe、In2O3、Ga2O3、In2S3、Ga2S3及びZrO2からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。シェル層4の厚さは、0.1〜10nmが好ましい。またシェル層4は、複数のシェル層からなる多層構造でもよい。
シェル層4の外側表面は、有機修飾基6と結合している。有機修飾基6は、シェル層4の外側表面に、修飾有機化合物を反応させて結合させることにより形成される。これにより、シェル層4の表面のダングリングボンドが有機修飾基6によってキャッピングされ、シェル層4の表面欠陥が抑制されるため、ナノ粒子コア2の発光効率が向上する。
半導体ナノ粒子蛍光体10は、表面に有機修飾基6が存在するため、半導体ナノ粒子蛍光体10同士の凝集を防ぐことができる。このため、マトリックス中への半導体ナノ粒子蛍光体の分散が容易になる。
修飾有機化合物は、極性官能基を末端に有することが好ましい。該修飾有機化合物をシェル層4の外側表面と反応させると、極性官能基は半導体ナノ粒子蛍光体10の表面に配置される。したがって、半導体ナノ粒子蛍光体10の表面が極性を有するため、半導体ナノ粒子蛍光体10がイオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックス中に良好に分散することができる。
極性官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、アンモニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ピリジニウム基、ピロリジニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
修飾有機化合物中の極性官能基は、イオン性の官能基であることが好ましい。イオン性の官能基は極性が高いため、イオン性の官能基を表面に有する半導体ナノ粒子蛍光体は、イオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックス中への分散性が非常に優れている。さらに、該半導体ナノ粒子蛍光体をイオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックス中に封入する場合に、イオン性液体の正電荷及び負電荷による静電的な作用により、半導体ナノ粒子蛍光体の安定性が非常に向上する。なお、イオン性液体については後述する。
イオン性の官能基としては、アンモニウム基、イミダゾリウム基、スルホニウム基、ピリジニウム基、ピロリジニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
修飾有機化合物は、末端に極性の官能基を有していれば、その他の構造は特に制限されない。具体的には、ジメチルアミノエタンチオール、カルボキシデカンチオール、n−トリメトキシシリルブタノイックアシッド(TMSBA)、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン(APDMES)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(TMSP−TMA)、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、2−シアノエチルトリエトキシシラン等を用いることができる。
半導体ナノ粒子蛍光体は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(マトリックス)
マトリックス8は、イオン性液体に由来する構成単位を含む。本明細書中「イオン性液体」とは、常温(たとえば25℃)でも溶融状態の塩(常温溶融塩)を意味するものであり、以下の一般式(1):
X+Y− (1)
で示される。
マトリックス8は、イオン性液体に由来する構成単位を含む。本明細書中「イオン性液体」とは、常温(たとえば25℃)でも溶融状態の塩(常温溶融塩)を意味するものであり、以下の一般式(1):
X+Y− (1)
で示される。
上記一般式(1)中、X+は、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンである。これらの中でも、熱的および大気中での安定性に優れるという理由から、脂肪族四級アンモニウムイオンが特に好ましいカチオンとして挙げられる。
また上記一般式(1)中、Y−は、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである。これらの中でも、熱的および大気中での安定性に優れるという理由から、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオンが特に好ましいアニオンとして挙げられる。
マトリックス8は、イオン性液体に由来する構成単位を含み、具体的には、イオン性液体を含んでいてもよいし、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を含んでいてもよい。マトリックス8は、イオン性液体や、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を主成分(例えば、80質量%以上)として含んでいれば、他の成分を含んでいてもよい。
イオン性液体としては、重合性官能基を有するイオン性液体や、重合性官能基を有しないイオン性液体を用いることができる。重合性官能基を有するイオン性液体としては、例えば、2−(メタクリロイロキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「MOE−200T」と略記)や、1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。重合性官能基を有しないイオン性液体としては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−メチル−2−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「DEME」と略記)等が挙げられる。
重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂は、例えば、イオン性液体を架橋剤を用いて熱や光などで硬化させることで形成できる。
半導体ナノ粒子蛍光体10をイオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックス8中に分散させることにより得られる効果について、図3を用いて具体的に説明する。
マトリックス8中の半導体ナノ粒子蛍光体10は、マトリックス8中のイオン性液体に由来する、正電荷12及び負電荷13の静電的な作用により、マトリックス8中に良好に分散することができる。
さらに、マトリックス8中のイオン性液体に由来する静電的な作用により、半導体ナノ粒子蛍光体の表面の有機修飾基6が安定化し、半導体ナノ粒子蛍光体表面からの離脱によるダングリングボンドの発生が抑制されるため、半導体ナノ粒子蛍光体の量子効率の低下を抑制できる。
中でも、有機修飾基6が極性官能基やイオン性官能基を含み、極性官能基やイオン性官能基が半導体ナノ粒子蛍光体表面に存在していると、これらの官能基に含まれる電荷11と、イオン性液体に由来する、正電荷12及び負電荷13との静電的な相互作用により、半導体ナノ粒子蛍光体の安定性が一層向上する。
(封入体)
図1に示されるように、封入体9は、半導体ナノ粒子蛍光体10が分散されたマトリックス8を被覆する。マトリックス8の周囲を封入体9で被覆することにより、マトリックス中への酸素や水分の侵入を抑制することができる。これにより、酸素や水分による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制でき、半導体ナノ粒子蛍光体の効率の低下を抑制できる。
図1に示されるように、封入体9は、半導体ナノ粒子蛍光体10が分散されたマトリックス8を被覆する。マトリックス8の周囲を封入体9で被覆することにより、マトリックス中への酸素や水分の侵入を抑制することができる。これにより、酸素や水分による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制でき、半導体ナノ粒子蛍光体の効率の低下を抑制できる。
封入体9の厚みは、例えば、0.5nm〜0.5mmが好ましく、10nm〜100μmがさらに好ましい。封入体9の厚みは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
封入体9の材料は、酸素や水分を遮断する材料であれば、特に限定されず、無機材料やポリマー材料等を用いることができる。
無機材料は、酸素や水分の遮断性が非常に優れている。無機材料としては、例えば、シリカ、金属酸化物、金属窒化物等を用いることができる。
ポリマー材料は柔軟性を有するため、封入体9の材料として用いると、ナノ粒子蛍光体素子21の耐衝撃性が向上する。さらに、マトリックス8上に封入体9を形成する際、ポリマー材料は、無機材料に比べて温和な条件で形成できるため、マトリックス8中のイオン性液体、半導体ナノ粒子蛍光体に対するプロセスダメージを抑制することができる。ポリマー材料としては、アクリレートポリマー、エポキシド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリチオエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリジエン、ポリスチレンポリブタジエンコポリマー、パリレン、シリカ−アクリレートハイブリッド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリジビニルベンゼン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、セルロース誘導体、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。
図4に示されるように、封入体9は、第1封入体91及び第2封入体92を含む多層構造とすることができる。これにより、酸素や水分の遮断性がさらに向上する。なお、層の数は2層以上であれば特に限定されず、各層の材料も、酸素や水分の遮断性を有するものであれば、特に限定されない。
図1では、封入体9の形状は、マトリックス8全体を被覆する中空の球状であるが、封入体の形状は、内部にマトリックスを保持することができれば、特に限定されない。例えば、図9に示されるように、壁面から内部空間に貫通する細孔を有する中空カプセル形状の封入体93や、図10に示されるように、表面から内部に向かう細孔を有する球状の封入体94とすることができる。これらの封入体において、細孔径は20nm以上10μm以下が好ましく、また、100nm以上10μm以下が好ましい。細孔径が10μm以下であると、封入体内部に液状のマトリックスが封入されている場合であっても、該マトリックスが封入体の外側に流出することを抑制できる。また、細孔径が前記の範囲であると、例えば、予め細孔を有する中空カプセル等の封入体を作製した後、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたマトリックスを当該封入体中に注入してナノ粒子蛍光体素子を作製するナノ粒子蛍光体素子の作製手法において、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたマトリックスを効率よく細孔を有する中空カプセル等の封入体中に注入することができる。これは、即ち細孔径が20nm以上であれば、半導体ナノ粒子蛍光体として好ましい1〜20nmの粒子径を有するいずれの半導体ナノ粒子蛍光体よりも細孔径の方が大きいため、半導体ナノ粒子蛍光体が容易に細孔を通過することができるためである。また、細孔径が100nm以上であれば、わずか0.1秒程度の短時間でナノ粒子蛍光体素子の好ましい粒径である30μmに相当する浸透深さまでイオン性液体が到達できるためである。このことは、毛管浸透現象の式として知られたルーカス−ウォッシュバーンの式において、イオン性液体の代表的な値γ=30mNm−1、η=50mPas、およびθ=45°を仮定して導かれる。尚、ルーカス−ウォッシュバーンの式は下記で表され、式中、lは液体の浸透深さ、Rは毛管半径、γは液体の表面張力、θは液体と毛管との接触角、ηは液体の粘性係数、tは時間を表す。
封入体表面の開口部は、封入体内部にマトリックスを封入した後に、封止することができる。
<ナノ粒子蛍光体素子の製造方法>
ナノ粒子蛍光体素子は、既存のカプセル製造方法を用いて、ナノ粒子蛍光体及びマトリックスを封入体で被覆することにより作製することができる。具体的な製造方法の一例を、以下に示す。
ナノ粒子蛍光体素子は、既存のカプセル製造方法を用いて、ナノ粒子蛍光体及びマトリックスを封入体で被覆することにより作製することができる。具体的な製造方法の一例を、以下に示す。
(半導体ナノ粒子蛍光体の製造)
半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法は、特に制限されず、いかなる製造方法であっても良い。手法が簡便であり、且つ、低コストであるという観点では、半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法として化学合成法を用いることが好ましい。化学合成法では、生成物質の構成元素を含む複数の出発物質を媒体に分散させた上で、これらを反応させることにより目的の生成物質を得ることができる。このような化学合成法としては、たとえば、ゾルゲル法(コロイド法)、ホットソープ法、逆ミセル法、ソルボサーマル法、分子プレカーサ法、水熱合成法、または、フラックス法などが挙げられる。化合物半導体材料からなるナノ粒子コア2を好適に製造できるという観点では、ホットソープ法を用いることが好ましい。以下では、ホットソープ法による半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法の一例を示す。
半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法は、特に制限されず、いかなる製造方法であっても良い。手法が簡便であり、且つ、低コストであるという観点では、半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法として化学合成法を用いることが好ましい。化学合成法では、生成物質の構成元素を含む複数の出発物質を媒体に分散させた上で、これらを反応させることにより目的の生成物質を得ることができる。このような化学合成法としては、たとえば、ゾルゲル法(コロイド法)、ホットソープ法、逆ミセル法、ソルボサーマル法、分子プレカーサ法、水熱合成法、または、フラックス法などが挙げられる。化合物半導体材料からなるナノ粒子コア2を好適に製造できるという観点では、ホットソープ法を用いることが好ましい。以下では、ホットソープ法による半導体ナノ粒子蛍光体10の製造方法の一例を示す。
まず、ナノ粒子コア2を液相合成する。たとえばInNからなるナノ粒子コア2を製造する場合、フラスコなどに1−オクタデセン(合成用溶媒)を満たし、トリス(ジメチルアミノ)インジウムとヘキサデカンチオール(HDT)とを混合する。この混合液を十分に攪拌した後、180〜500℃で反応させる。これにより、InNからなるナノ粒子コア2が得られ、得られたナノ粒子コア2の外表面にはHDTが結合されている。なお、シェル層4の成長後にHDTを添加しても良い。
ホットソープ法に用いられる合成用溶媒は、炭素原子および水素原子からなる化合物溶液(以下、「炭化水素系溶媒」という。)であることが好ましい。これにより、合成用溶媒への水または酸素の混入が防止されるので、ナノ粒子コア2の酸化が防止される。炭化水素系溶媒は、たとえば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、または、p−キシレンなどであることが好ましい。
ホットソープ法では、原理的には、反応時間が長いほどナノ粒子コア2の粒子径が大きくなる。よって、フォトルミネッセンス、光吸収、または、動的光散乱などにより粒子径をモニタしながら液相合成することにより、ナノ粒子コア2のサイズを所望のサイズに制御することができる。
次に、ナノ粒子コア2を含む溶液に、シェル層4の原材料である反応試薬を加え、加熱反応させる。これにより、半導体ナノ粒子蛍光体の出発物質が得られる。得られた半導体ナノ粒子蛍光体の出発物質では、ナノ粒子コア2の外表面がシェル層4で被覆されており、HDTがシェル層4の外表面に結合されている。
続いて、半導体ナノ粒子蛍光体の出発物質を含む溶液に修飾有機化合物を添加し、室温〜300℃で反応させる。これにより、シェル層4の外表面とHDTとの結合が解除されて、修飾有機化合物がシェル層4の外表面に結合し、有機修飾基6が形成される。このようにして半導体ナノ粒子蛍光体10が得られる。
なお、ナノ粒子コア2を製造するときにHDTの代わりに修飾有機化合物を添加しても良い。このようにして半導体ナノ粒子蛍光体10を得る場合には、シェル層4の形成後に修飾有機化合物を添加しなくても良い。
(封入体の作製)
得られた半導体ナノ粒子蛍光体10を、イオン性液体を主成分とするマトリックス中に分散させる。マトリックスに対する半導体ナノ粒子蛍光体の体積比は、発光素子の用途に応じた値を用いることができ、例えば、0.000001以上10以下であることが好ましい。これによると、半導体ナノ粒子蛍光体はより凝集しにくく、マトリックス中により均一に分散しやすい。
得られた半導体ナノ粒子蛍光体10を、イオン性液体を主成分とするマトリックス中に分散させる。マトリックスに対する半導体ナノ粒子蛍光体の体積比は、発光素子の用途に応じた値を用いることができ、例えば、0.000001以上10以下であることが好ましい。これによると、半導体ナノ粒子蛍光体はより凝集しにくく、マトリックス中により均一に分散しやすい。
次に、半導体ナノ粒子蛍光体10を分散させたマトリックス8を、封入体9の材料を含んだ溶液に入れた後、封入体材料の析出処理を行う。これにより、マトリックス8の表面が封入体9で被覆されたナノ粒子蛍光体素子21を得ることができる。
ナノ粒子蛍光体素子21の直径を100μm以下とする場合は、半導体ナノ粒子蛍光体10を分散させたマトリックスは、例えばホモジナイザー等で乳化(微細化)処理したものを、封入体材料を含んだ溶液に入れることができる。また、ナノ粒子蛍光体素子21の直径を100μm以上とする場合は、半導体ナノ粒子蛍光体10を分散させたマトリックスは、乳化処理を行わず、直接スポイト等で封入体材料を含んだ溶液に入れることができる。封入体9の厚さは封入体材料の析出処理の時間、温度、pH、封入体材料の濃度等で制御することができる。
なお、上述の製造方法では、マトリックス8中のイオン性液体は液体状態を維持している。該イオン性液体を縮合反応させ、硬化し樹脂化(固体化)させて、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を形成することで、マトリックス8がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を含む、ナノ粒子蛍光体素子を得ることができる。硬化の方法は、紫外線を当てて硬化させる光硬化法や、熱を加えて硬化させる熱硬化法を用いることができる。
上述の作製方法の他に、例えば、予め細孔を有する中空カプセルを作製した後、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたマトリックスを中空カプセル中に注入し、必要に応じて、イオン性液体を硬化処理することでも、ナノ粒子蛍光体素子を作製することができる。この手法によれば、中空カプセルを作製した後に半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたマトリックスを当該中空カプセル内に注入するため、中空カプセル作製プロセスによる半導体ナノ粒子蛍光体あるいは半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたマトリックスへのプロセスダメージを与えることなく、ナノ粒子蛍光体素子を作製することができる。
[実施の形態2]
<発光素子>
実施の形態2に係る発光素子について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る発光素子を示す断面模式図である。図6は、実施の形態2に係る発光素子の変形例を示す断面模式図である。
<発光素子>
実施の形態2に係る発光素子について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係る発光素子を示す断面模式図である。図6は、実施の形態2に係る発光素子の変形例を示す断面模式図である。
図5に示されるように、発光素子14は、光源18の上方に配置された封止材15と、前記封止材15中に分散された、実施の形態1に記載のナノ粒子蛍光体素子21と、を備える。本実施の形態において、ナノ粒子蛍光体素子は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
実施の形態1のナノ粒子蛍光体素子21は、優れた量子効率を有している。さらに、表面が封入体で被覆されているため、封止材15中でナノ粒子蛍光体素子21同士が凝集せず、良好に分散することができる。したがって、該ナノ粒子蛍光体素子21を含む発光素子14は、優れた発光効率を有することができる。
封止材15としては、ガラス材料または高分子材料を用いることが好ましい。ガラス材料としては例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を用いることができる。高分子材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等からなるエポキシ樹脂、MOE−200T(2−(メタクリロイロキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等からなるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂等を用いることができる。
封止材15に対するナノ粒子蛍光体素子21の体積比は、発光素子の用途に応じた値を用いることができ、例えば、0.000001以上10以下であることが好ましい。発光素子の透明性を重視する場合には、封止材に対する半導体ナノ粒子蛍光体の体積比が0.2以下であることが好ましい。該体積比が0.2以下であれば、高い透明性を持った発光素子とすることができる。また、発光デバイスの発光量を重視する場合には、封止材に対するナノ粒子蛍光体の体積比が0.00001以上であることが好ましい。該体積比が0.00001以上であれば、発光量が大きな発光デバイスとすることができる。
封止材15は、ガラス材料または高分子材料を80体積%以上含むことが好ましく、90体積%以上含むことがさらに好ましい。封止材15がガラス材料または高分子材料を80体積%以上含めば、高い透明性あるいは高い発光効率を有する発光素子とすることができ、90体積%以上含めばさらに高い透明性あるいは高い発光効率を有する発光素子とすることができる。
ナノ粒子蛍光体素子の種類と、封止材の種類との組み合わせは特に限定されず、発光素子の用途に応じて選択することができる。
図6に示されるように、発光素子24は、封止材15中に第1ナノ粒子蛍光体素子21aが分散された第1発光層17aと、封止材15中に第2ナノ粒子蛍光体素子21bが分散された第2発光層17bとを含む、多層構造を有していてもよい。例えば、光源18として青色発光LEDチップを用い、この上に、赤色発光ナノ粒子蛍光体を用いた第2ナノ粒子蛍光体素子21bを含む第2発光層17b(赤色発光層)と、緑色発光ナノ粒子蛍光体を用いた第1ナノ粒子蛍光体素子21aを含む第1発光層17a(緑色発光層)とが、前記の順で積層されていると、第1発光層17a(緑色発光層)から第2発光層17b(赤色発光層)へのエネルギーの再吸収が生じにくいため、発光素子24の発光効率が良好となる。
<発光素子の製造方法>
封止材15中にナノ粒子蛍光体素子21を封入する際には、封止材15中にナノ粒子蛍光体素子21を分散させた後に硬化するプロセスを行う。
封止材15中にナノ粒子蛍光体素子21を封入する際には、封止材15中にナノ粒子蛍光体素子21を分散させた後に硬化するプロセスを行う。
封止材15としてガラス材料を用いる場合、ガラス材料とナノ粒子蛍光体素子21を混合した溶液を撹拌することで、ガラス材料中にナノ粒子蛍光体素子21を分散させる。次に、ガラス材料を縮合反応させ、硬化させる。縮合反応の進行速度を速めるために加熱したり、酸または塩基を系に加えてもよい。
封止材15として高分子材料を用いる場合、高分子材料とナノ粒子蛍光体素子21を混合した溶液を撹拌することで、高分子材料中にナノ粒子蛍光体素子21を分散させる。次に、高分子材料を縮合反応させ、硬化し樹脂化(固体化)させる。硬化の方法は、紫外線を当てて硬化させる光硬化法や、熱を加えて硬化させる熱硬化法を用いることができる。
多層構造を有する発光素子の製造方法の一例について、以下に説明する。以下では、2層構造を有する発光素子の場合を説明するが、3層構造以上の場合も、基本的に同様の方法で作製することができる。まず、異なるサイズを有する、2種類のナノ粒子蛍光体素子を準備する。これら2種類のナノ粒子蛍光体素子の溶液をアクリル樹脂材料中に混合し、青色発光LEDチップ上に滴下した後、加熱硬化処理を行う。加熱硬化中に粒径の大きいナノ粒子蛍光体素子が一定時間経過後には沈降し、発光素子として主に粒径の大きいナノ粒子蛍光体素子を含む下層と、主に粒径の小さいナノ粒子蛍光体素子を含む上層とを備える2層構造が形成される。
上記の製造方法によれば、各層を別々に形成するなどの、複雑なプロセスが不要になり、製造工程を簡略化できる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。以下、A/Bの記載は、AがBで被覆されていることを示す。
[実施例1]
実施例1では、ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がジメチルアミノエタンチオール(DAET)、マトリックスがMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂、封入体がシリカ、であるナノ粒子蛍光体素子について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
実施例1では、ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がジメチルアミノエタンチオール(DAET)、マトリックスがMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂、封入体がシリカ、であるナノ粒子蛍光体素子について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。
続いて、細孔の空いた平均粒径約10μmの中空シリカカプセルを準備した。具体的には、まず、30%ケイ酸ナトリウム水溶液とポリメチルメタクリレート水溶液がそれぞれ0.42g/mlと0.14g/mlになるように調整した水相(W1相)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)とSpan80(ソルビタンモノオレアート)がそれぞれ0.014g/mlと0.007g/mlになるように調整したn−ヘキサン相(O相)、炭酸水素アンモニウムが0.16g/mlになるように調整した水相(W2相)を準備した。次いで、W1相をO相に加えた後ホモジナイザーで8000rpmの回転速度で乳化してW1/O相を作製し、これをすぐさまW2相中に加えてマグネチックスターラーで35℃で2時間撹拌させた。その後、溶液に水あるいはエタノールを加えて遠心分離し、上澄みを除去する作業を繰り返して洗浄処理を行った後、濾過して沈殿物を得た。その後、沈殿物を100℃で12時間乾燥し、次いで、700℃で5時間焼成処理することで細孔の空いた平均粒径約10μmの中空シリカカプセルを得た。
得られた中空シリカカプセルと半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200Tとを混合し、真空引きすることでカプセル内にMOE−200T溶液を注入した。そして、シリカ原料を滴下し乾燥させることでカプセル表面の細孔を塞いだ。最後に、80℃で加熱することでMOE−200Tを重合させて樹脂化した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有する。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(観察結果)
図7は、本実施例におけるナノ粒子蛍光体素子に波長405nmの励起光を照射したときの光学顕微鏡写真である。図7では、ナノ粒子蛍光体素子の赤色発光が確認できる。また、ナノ粒子蛍光体素子のEDX組成分析結果では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂や、半導体ナノ粒子蛍光体の成分は検出されなかったことから、ナノ粒子蛍光体素子の表面にはイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂や半導体ナノ粒子蛍光体は存在しないと言える。即ち、発光はナノ粒子蛍光体素子内部にあるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中の半導体ナノ粒子蛍光体からであると考えられる。なお、中空シリカカプセルの層厚は、図8の断面SEM解析結果から、EDXの電子線がほぼ侵入できない約1μmの厚さであるため、内部の元素はEDXでは検出されない。
図7は、本実施例におけるナノ粒子蛍光体素子に波長405nmの励起光を照射したときの光学顕微鏡写真である。図7では、ナノ粒子蛍光体素子の赤色発光が確認できる。また、ナノ粒子蛍光体素子のEDX組成分析結果では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂や、半導体ナノ粒子蛍光体の成分は検出されなかったことから、ナノ粒子蛍光体素子の表面にはイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂や半導体ナノ粒子蛍光体は存在しないと言える。即ち、発光はナノ粒子蛍光体素子内部にあるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中の半導体ナノ粒子蛍光体からであると考えられる。なお、中空シリカカプセルの層厚は、図8の断面SEM解析結果から、EDXの電子線がほぼ侵入できない約1μmの厚さであるため、内部の元素はEDXでは検出されない。
(性能評価)
得られた発光素子に対して点灯試験及び耐熱試験を行った。点灯試験では、発光素子に対して波長405nmの励起光を吸収させたとき発した蛍光の発光強度を測定し、吸収フォトン数に対する発光フォトン数の比を発光効率とした。耐熱試験では、120℃の電気炉中で発光素子を一定時間加熱した後に量子効率を測定した。
得られた発光素子に対して点灯試験及び耐熱試験を行った。点灯試験では、発光素子に対して波長405nmの励起光を吸収させたとき発した蛍光の発光強度を測定し、吸収フォトン数に対する発光フォトン数の比を発光効率とした。耐熱試験では、120℃の電気炉中で発光素子を一定時間加熱した後に量子効率を測定した。
(結果)
本実施例の発光素子は、点灯試験における経時変化観察で、良好な量子効率を示し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。また、耐熱試験の結果、良好な量子効率が維持されていた。
本実施例の発光素子は、点灯試験における経時変化観察で、良好な量子効率を示し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。また、耐熱試験の結果、良好な量子効率が維持されていた。
[比較例1]
実施例1と同様の半導体ナノ粒子蛍光体を、直接マトリックス中へ分散させた発光素子の場合を比較例1とした(発光素子:半導体ナノ粒子蛍光体/アクリル樹脂)。
実施例1と同様の半導体ナノ粒子蛍光体を、直接マトリックス中へ分散させた発光素子の場合を比較例1とした(発光素子:半導体ナノ粒子蛍光体/アクリル樹脂)。
(発光素子の作製)
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、半導体ナノ粒子蛍光体を得た。次に、半導体ナノ粒子蛍光体を遠心分離処理および乾燥処理によって粉末にしてアクリル樹脂中に混合し、青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行うことで、LED発光素子を作製した。
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、半導体ナノ粒子蛍光体を得た。次に、半導体ナノ粒子蛍光体を遠心分離処理および乾燥処理によって粉末にしてアクリル樹脂中に混合し、青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行うことで、LED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験及び耐熱試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験及び耐熱試験を行った。
(結果)
本比較例の発光素子は、実施例1の発光素子と比べて、初期量子効率が悪く、また耐熱試験の結果、効率の経時劣化の割合も大きかった。
本比較例の発光素子は、実施例1の発光素子と比べて、初期量子効率が悪く、また耐熱試験の結果、効率の経時劣化の割合も大きかった。
(考察)
比較例1では、アクリル等の一般的な樹脂中に半導体ナノ粒子蛍光体を直接混合しているため、効率低下要因となる半導体ナノ粒子蛍光体の凝集が起こり、発光素子の効率が低下した。さらに、アクリル等の一般的な樹脂中では半導体ナノ粒子蛍光体表面の有機修飾基が脱離しやすく、これは半導体ナノ粒子蛍光体の劣化要因であるため、発光素子の効率が低下した。また、アクリル等の一般的な樹脂は、酸素・水分をある程度透過する。酸素・水分は半導体ナノ粒子蛍光体の劣化要因であるため、発光素子の効率が時間と共に低下した。
比較例1では、アクリル等の一般的な樹脂中に半導体ナノ粒子蛍光体を直接混合しているため、効率低下要因となる半導体ナノ粒子蛍光体の凝集が起こり、発光素子の効率が低下した。さらに、アクリル等の一般的な樹脂中では半導体ナノ粒子蛍光体表面の有機修飾基が脱離しやすく、これは半導体ナノ粒子蛍光体の劣化要因であるため、発光素子の効率が低下した。また、アクリル等の一般的な樹脂は、酸素・水分をある程度透過する。酸素・水分は半導体ナノ粒子蛍光体の劣化要因であるため、発光素子の効率が時間と共に低下した。
[実施例1A]
実施例1Aでは、ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnS、有機修飾基がジメチルアミノエタンチオール(DAET)、マトリックスがMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂、封入体がシリカ、であるナノ粒子蛍光体素子について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
実施例1Aでは、ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnS、有機修飾基がジメチルアミノエタンチオール(DAET)、マトリックスがMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂、封入体がシリカ、であるナノ粒子蛍光体素子について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnSである半導体ナノ粒子蛍光体のトルエン溶液を準備し、この半導体ナノ粒子蛍光体についてDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。その後、実施例1と同様にして半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnSである半導体ナノ粒子蛍光体のトルエン溶液を準備し、この半導体ナノ粒子蛍光体についてDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。その後、実施例1と同様にして半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
(発光素子の作製)
得られた半導体ナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られた半導体ナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例では、半導体ナノ粒子蛍光体がCdSe/ZnS/DAETの構成を有する。実施例1及び実施例1Aから、ナノ粒子蛍光体素子において、半導体ナノ粒子蛍光体のコア/シェル構成は、1種類に限定されず、適宜選択できることが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
本実施例では、半導体ナノ粒子蛍光体がCdSe/ZnS/DAETの構成を有する。実施例1及び実施例1Aから、ナノ粒子蛍光体素子において、半導体ナノ粒子蛍光体のコア/シェル構成は、1種類に限定されず、適宜選択できることが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
[実施例2]
実施例2では、実施例1のナノ粒子蛍光体素子において、封入体としてシリカの代わりにポリアミドイミド樹脂を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂)。
実施例2では、実施例1のナノ粒子蛍光体素子において、封入体としてシリカの代わりにポリアミドイミド樹脂を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200T溶媒を、ポリアミドイミド樹脂材料が溶解した溶液と混合し、加熱撹拌することでMOE−200Tを樹脂化するとともに、ポリアミドイミド樹脂をMOE−200Tの周囲に形成した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂、の構成を有する。
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200T溶媒を、ポリアミドイミド樹脂材料が溶解した溶液と混合し、加熱撹拌することでMOE−200Tを樹脂化するとともに、ポリアミドイミド樹脂をMOE−200Tの周囲に形成した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂、の構成を有する。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
ポリアミドイミド樹脂は酸素、水分の透過をある程度抑制できるため、半導体ナノ粒子蛍光体の経時劣化を抑制できた。さらに、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂上に化学的手法・物理化学的手法・機械的手法等によって封入体を直接形成する場合、シリカ等の無機物質からなる封入体を形成する場合に比べてポリマー封入体は比較的温和なプロセス条件で形成できるため、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂、半導体ナノ粒子蛍光体へのプロセスダメージを低減できるメリットがある。また、ポリマー材料は無機材料に比べて柔軟であるため、割れにくく、耐衝撃性に優れるというメリットがある。
ポリアミドイミド樹脂は酸素、水分の透過をある程度抑制できるため、半導体ナノ粒子蛍光体の経時劣化を抑制できた。さらに、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂上に化学的手法・物理化学的手法・機械的手法等によって封入体を直接形成する場合、シリカ等の無機物質からなる封入体を形成する場合に比べてポリマー封入体は比較的温和なプロセス条件で形成できるため、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂、半導体ナノ粒子蛍光体へのプロセスダメージを低減できるメリットがある。また、ポリマー材料は無機材料に比べて柔軟であるため、割れにくく、耐衝撃性に優れるというメリットがある。
[実施例3]
実施例3では、実施例1の半導体ナノ粒子蛍光体において、有機修飾基としてDAETの代わりにカルボキシデカンチオール(CDT)を用いた場合について示す(ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/CDT、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
実施例3では、実施例1の半導体ナノ粒子蛍光体において、有機修飾基としてDAETの代わりにカルボキシデカンチオール(CDT)を用いた場合について示す(ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/CDT、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからCDTへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。続いて、実施例1と同様の方法で、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからCDTへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。続いて、実施例1と同様の方法で、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例では、有機修飾基として、極性基(カルボキシル基)を含むCDTを用いたため、半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体中へ良好な分散性を有する。本実施例から、有機修飾基として、イオン性の有機修飾基に限定されず、極性官能基を含む有機修飾基を用いることができることが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
本実施例では、有機修飾基として、極性基(カルボキシル基)を含むCDTを用いたため、半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体中へ良好な分散性を有する。本実施例から、有機修飾基として、イオン性の有機修飾基に限定されず、極性官能基を含む有機修飾基を用いることができることが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
[実施例4]
実施例4では、実施例1のナノ粒子蛍光体素子において、封入体としてシリカ(単層)の代わりにポリアミドイミド樹脂及びシリカを含む2層構造の封入体を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂/シリカ)。
実施例4では、実施例1のナノ粒子蛍光体素子において、封入体としてシリカ(単層)の代わりにポリアミドイミド樹脂及びシリカを含む2層構造の封入体を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:InP/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200T溶媒を、ポリアミドイミド樹脂材料が溶解した溶液と混合し、加熱撹拌することでMOE−200Tを樹脂化するとともに、ポリアミドイミド樹脂をMOE−200Tの周囲に形成した。その後、シリカ原料を滴下後、一定時間塩基性雰囲気下でシリカ層形成反応を行い、洗浄および乾燥処理を行うことでシリカ層をポリアミドイミド樹脂の周囲に形成した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂/シリカ、の構成を有する。
ナノ粒子コアがInP、シェル層がZnS、有機修飾基がヘキサデカンチオール(HDT)からなる半導体ナノ粒子蛍光体のODE溶液を準備した。この半導体ナノ粒子蛍光体について、HDTからDAETへ有機修飾基置換処理を行い、MOE−200T溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200T溶媒を、ポリアミドイミド樹脂材料が溶解した溶液と混合し、加熱撹拌することでMOE−200Tを樹脂化するとともに、ポリアミドイミド樹脂をMOE−200Tの周囲に形成した。その後、シリカ原料を滴下後、一定時間塩基性雰囲気下でシリカ層形成反応を行い、洗浄および乾燥処理を行うことでシリカ層をポリアミドイミド樹脂の周囲に形成した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/ポリアミドイミド樹脂/シリカ、の構成を有する。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例では封入体が多層であるため、酸素・水分の透過を良好に抑制でき、半導体ナノ粒子蛍光体の経時劣化を抑制できる。さらに、ポリマー封入体でイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を覆った後に塩基性条件下でのシリカ層形成プロセスを行っているため、塩基からイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を保護できている。即ち、シリカ層を形成する際のイオン性液体、半導体ナノ粒子蛍光体へのプロセスダメージを低減できる。
本実施例では封入体が多層であるため、酸素・水分の透過を良好に抑制でき、半導体ナノ粒子蛍光体の経時劣化を抑制できる。さらに、ポリマー封入体でイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を覆った後に塩基性条件下でのシリカ層形成プロセスを行っているため、塩基からイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を保護できている。即ち、シリカ層を形成する際のイオン性液体、半導体ナノ粒子蛍光体へのプロセスダメージを低減できる。
[実施例5]
実施例5では、2種類のナノ粒子蛍光体素子を用いて、2層構造の発光素子を作製した場合について示す。
実施例5では、2種類のナノ粒子蛍光体素子を用いて、2層構造の発光素子を作製した場合について示す。
(赤色発光ナノ粒子蛍光体素子の作製)
実施例1と同様の方法で、InP/ZnS/DAET/シリカの構造を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。該ナノ粒子蛍光体素子は、赤色領域に発光ピーク波長を有していた。
実施例1と同様の方法で、InP/ZnS/DAET/シリカの構造を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。該ナノ粒子蛍光体素子は、赤色領域に発光ピーク波長を有していた。
(緑色発光ナノ粒子蛍光体素子の作製)
実施例1と同様の方法で、InP/ZnS/DAET/シリカの構造を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。該ナノ粒子蛍光体素子は、緑色領域に発光ピーク波長を有していた。
実施例1と同様の方法で、InP/ZnS/DAET/シリカの構造を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。該ナノ粒子蛍光体素子は、緑色領域に発光ピーク波長を有していた。
なお、赤色発光半導体ナノ粒子蛍光体の粒径は、緑色発光半導体ナノ粒子蛍光体より大きく、赤色発光ナノ粒子蛍光体素子の粒径も、緑色発光ナノ粒子蛍光体素子よりも大きい。
(発光素子の作製)
これら2種類のナノ粒子蛍光体素子を含む溶液をアクリル樹脂材料中に混合し、青色発光LEDチップ上に滴下した後、加熱硬化処理を行った。加熱硬化中に粒径の大きな赤色発光ナノ粒子蛍光体素子が一定時間経過後には沈降していき、発光素子として主に赤色発光ナノ粒子蛍光体素子を含む下層と、主に緑色発光ナノ粒子蛍光体素子を含む上層とを備える2層構造が形成された。
これら2種類のナノ粒子蛍光体素子を含む溶液をアクリル樹脂材料中に混合し、青色発光LEDチップ上に滴下した後、加熱硬化処理を行った。加熱硬化中に粒径の大きな赤色発光ナノ粒子蛍光体素子が一定時間経過後には沈降していき、発光素子として主に赤色発光ナノ粒子蛍光体素子を含む下層と、主に緑色発光ナノ粒子蛍光体素子を含む上層とを備える2層構造が形成された。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例の発光装置の構造(青色発光LEDチップ光源、赤色発光層、緑色発光層が前記の順で積層された構造)であれば、緑色発光層から赤色発光層へのエネルギー再吸収が起きにくいため、LED発光素子としての発光効率がよくなる。さらに、緑色発光ナノ粒子蛍光体素子と赤色発光ナノ粒子蛍光体素子のサイズの相違を利用して、両方をアクリル樹脂中に混合した後、放置して、サイズの大きい方を沈降させて2層構造を形成できる。よって、緑色発光層と赤色発光層を別々に形成するなどの、複雑なプロセスが不要になり、製造工程を簡略化できる。
本実施例の発光装置の構造(青色発光LEDチップ光源、赤色発光層、緑色発光層が前記の順で積層された構造)であれば、緑色発光層から赤色発光層へのエネルギー再吸収が起きにくいため、LED発光素子としての発光効率がよくなる。さらに、緑色発光ナノ粒子蛍光体素子と赤色発光ナノ粒子蛍光体素子のサイズの相違を利用して、両方をアクリル樹脂中に混合した後、放置して、サイズの大きい方を沈降させて2層構造を形成できる。よって、緑色発光層と赤色発光層を別々に形成するなどの、複雑なプロセスが不要になり、製造工程を簡略化できる。
[実施例6]
実施例6では、実施例1Aのナノ粒子蛍光体素子において、マトリックスとしてMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂の代わりに、DEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/DEME/シリカ)。
実施例6では、実施例1Aのナノ粒子蛍光体素子において、マトリックスとしてMOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂の代わりに、DEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体を用いた場合について示す(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/DEME/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
具体的には、ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnSである半導体ナノ粒子蛍光体のトルエン溶液を準備し、この半導体ナノ粒子蛍光体についてDAETへ有機修飾基置換処理を行い、DEME溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。その後、80℃で加熱することでイオン性液体を樹脂化させる工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして半導体ナノ粒子蛍光体/DEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
具体的には、ナノ粒子コアがCdSe、シェル層がZnSである半導体ナノ粒子蛍光体のトルエン溶液を準備し、この半導体ナノ粒子蛍光体についてDAETへ有機修飾基置換処理を行い、DEME溶媒中に半導体ナノ粒子蛍光体を移した。その後、80℃で加熱することでイオン性液体を樹脂化させる工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして半導体ナノ粒子蛍光体/DEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体/シリカ、の構成を有するナノ粒子蛍光体素子を作製した。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例では、ナノ粒子蛍光体素子のマトリックスがDEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体からなる。本実施例から、ナノ粒子蛍光体素子において、イオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックスは、固体(樹脂)に限定されず、液体であってもよいことが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
本実施例では、ナノ粒子蛍光体素子のマトリックスがDEMEに由来する構成単位を含むイオン性液体からなる。本実施例から、ナノ粒子蛍光体素子において、イオン性液体に由来する構成単位を含むマトリックスは、固体(樹脂)に限定されず、液体であってもよいことが分かる。よって、半導体ナノ粒子蛍光体およびナノ粒子蛍光体素子の作製における設計の自由度が増す。
[実施例7]
実施例7では、実施例1Aのナノ粒子蛍光体素子において、イオン性液体を保持させるために非球状の封入体を用いた場合の例を示す。(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200T/シリカ)。
実施例7では、実施例1Aのナノ粒子蛍光体素子において、イオン性液体を保持させるために非球状の封入体を用いた場合の例を示す。(半導体ナノ粒子蛍光体:CdSe/ZnS/DAET、ナノ粒子蛍光体素子:半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200T/シリカ)。
(ナノ粒子蛍光体素子の作製)
本実施例の封入体は以下のようにして作製した。まず、30%ケイ酸ナトリウム水溶液とポリメチルメタクリレート水溶液がそれぞれ0.83g/mlと0.28g/mlになるように調整した水相(W1相)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)とSpan80(ソルビタンモノオレアート)がそれぞれ0.014g/mlと0.007g/mlになるように調整したヘキサン相(O相)、炭酸水素アンモニウムが0.16g/mlになるように調整した水相(W2相)を準備した。次いで、W1相をO相に加えた後マグネチックスターラーで900rpmの回転速度で撹拌し、これをW2相中に加えてマグネチックスターラーで35℃で2時間撹拌させた。
本実施例の封入体は以下のようにして作製した。まず、30%ケイ酸ナトリウム水溶液とポリメチルメタクリレート水溶液がそれぞれ0.83g/mlと0.28g/mlになるように調整した水相(W1相)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)とSpan80(ソルビタンモノオレアート)がそれぞれ0.014g/mlと0.007g/mlになるように調整したヘキサン相(O相)、炭酸水素アンモニウムが0.16g/mlになるように調整した水相(W2相)を準備した。次いで、W1相をO相に加えた後マグネチックスターラーで900rpmの回転速度で撹拌し、これをW2相中に加えてマグネチックスターラーで35℃で2時間撹拌させた。
その後、溶液に水あるいはエタノールを加えて遠心分離し、上澄みを除去する作業を繰り返して洗浄処理を行った後、濾過して沈殿物を得た。その後、沈殿物を100℃で12時間乾燥し、次いで700℃で5時間焼成処理することで、図11のSEM解析結果に示すような平均粒径約80μmの多角形の細孔を有するシリカ(以下、「細孔シリカ」とも記す)を得た。
得られた細孔シリカと半導体ナノ粒子蛍光体含有MOE−200Tとを混合し、真空引きすることで細孔シリカ内にMOE−200T溶液を注入した。最後に、80℃で加熱することでMOE−200Tを重合させて樹脂化した。得られたナノ粒子蛍光体素子は、半導体ナノ粒子蛍光体/MOE−200Tに由来する構成単位を含む樹脂/シリカ、の構成を有する。
(発光素子の作製)
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
得られたナノ粒子蛍光体素子を、アクリル樹脂中に混合したものを青色LEDチップ上に滴下し、アクリル樹脂の硬化処理を行ってLED発光素子を作製した。
(観察結果)
図12は、本実施例におけるナノ粒子蛍光体素子に波長405nmの励起光を照射した時の光学顕微鏡写真である。図12では、ナノ粒子蛍光体素子からの発光が確認できる。
図12は、本実施例におけるナノ粒子蛍光体素子に波長405nmの励起光を照射した時の光学顕微鏡写真である。図12では、ナノ粒子蛍光体素子からの発光が確認できる。
(性能評価)
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
得られた発光素子に対して、実施例1と同様に点灯試験を行った。
(結果)
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
本実施例の発光素子は、良好な量子効率を有し、効率の経時劣化が良好に抑制されていた。
(考察)
本実施例では、イオン性液体を保持する封入体が非球状の形状を有する。また、本実施例では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を保持した細孔シリカに対し、細孔を塞ぐ処理を行っていない。本実施例3から、本発明はイオン性液体を保持する封入体が非球状であってもよく、また、イオン性液体を保持させる封入体の細孔を塞ぐ処理を行わなくても効率の経時劣化を抑制できることが分かる。なお、本実施例では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と、細孔が開口している細孔シリカとの組み合わせ(樹脂/細孔開口)について示したが、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と、細孔が塞がれている細孔シリカとの組み合わせ(樹脂/細孔封止)においても、同様の効果を得ることができると考えられる。また、樹脂化を行っていないイオン性液体と、細孔が開口している細孔シリカとの組み合わせ(液体/細孔開口)、及び、樹脂化を行っていないイオン性液体と、細孔が塞がれている細孔シリカとの組み合わせ(液体/細孔封止)においても、同様の効果を得ることができると考えられる。
本実施例では、イオン性液体を保持する封入体が非球状の形状を有する。また、本実施例では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を保持した細孔シリカに対し、細孔を塞ぐ処理を行っていない。本実施例3から、本発明はイオン性液体を保持する封入体が非球状であってもよく、また、イオン性液体を保持させる封入体の細孔を塞ぐ処理を行わなくても効率の経時劣化を抑制できることが分かる。なお、本実施例では、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と、細孔が開口している細孔シリカとの組み合わせ(樹脂/細孔開口)について示したが、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と、細孔が塞がれている細孔シリカとの組み合わせ(樹脂/細孔封止)においても、同様の効果を得ることができると考えられる。また、樹脂化を行っていないイオン性液体と、細孔が開口している細孔シリカとの組み合わせ(液体/細孔開口)、及び、樹脂化を行っていないイオン性液体と、細孔が塞がれている細孔シリカとの組み合わせ(液体/細孔封止)においても、同様の効果を得ることができると考えられる。
[実施例8]
実施例8では、図9に示される形状の封入体93又は図10に示される形状の封入体94を作製した。具体的には、実施例1の細孔の空いた平均粒径約10μmの中空シリカカプセルを作製する手法において、各原料濃度を変えることによって、図9又は図10に示される形状の封入体を作製した。図13は、壁面から内部空間に貫通する細孔径約0.3μmの細孔を有する中空カプセル形状の封入体の断面SEM画像である。図14は、表面から内部に向かう細孔径約0.3μmの細孔を有する球状の封入体の断面SEM画像である。尚、実施例1の中空シリカカプセルの細孔径は約20nmであった。これらの封入体は、イオン性液体を保持する封入体として他の実施例と同様にして用いることができる。
実施例8では、図9に示される形状の封入体93又は図10に示される形状の封入体94を作製した。具体的には、実施例1の細孔の空いた平均粒径約10μmの中空シリカカプセルを作製する手法において、各原料濃度を変えることによって、図9又は図10に示される形状の封入体を作製した。図13は、壁面から内部空間に貫通する細孔径約0.3μmの細孔を有する中空カプセル形状の封入体の断面SEM画像である。図14は、表面から内部に向かう細孔径約0.3μmの細孔を有する球状の封入体の断面SEM画像である。尚、実施例1の中空シリカカプセルの細孔径は約20nmであった。これらの封入体は、イオン性液体を保持する封入体として他の実施例と同様にして用いることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 ナノ粒子コア、4 シェル層、6 有機修飾基、8 マトリックス、9,91,92,93,94 封入体、10,20 半導体ナノ粒子蛍光体、14,24 発光素子、15 封止材、17a 第1発光層、17b 第2発光層、18 光源、21,31 ナノ粒子蛍光体素子。
Claims (4)
- 中空の球状、壁面から内部空間に貫通する細孔を有する中空カプセル形状または表面から内部に向かう細孔を有する球状の封入体と、
前記封入体に封入されたイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を含むマトリックスと、
前記マトリックス中に分散された半導体ナノ粒子蛍光体と、を備える、
ナノ粒子蛍光体素子。 - 前記半導体ナノ粒子蛍光体は、表面に極性官能基を含む、
請求項1に記載のナノ粒子蛍光体素子。 - 前記封入体はシリカを含む、
請求項1または請求項2に記載のナノ粒子蛍光体素子。 - 封止材と、
前記封止材中に分散された、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナノ粒子蛍光体素子と、を備える、
発光素子。
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