JP6157892B2 - 太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールに関し、特にポリマー層の面状と、高温高湿経時後の封止材への経時密着性に優れた太陽電池用バックシートに関する。
結晶シリコンまたはアモルファスシリコン等を太陽電池素子とする太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する側の透明性のフロント基板、光起電力素子としての太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板、および、裏面保護シート層(太陽電池用バックシート)等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造されている。太陽電池は、屋根の上等、太陽光が照りつけ、雨曝しになる環境に長期間置かれることから、太陽電池モジュールを構成する各層は、湿熱環境下での耐久性を代表とする様々な機能性が求められている。
従来、太陽電池用バックシートとしてはガラスが用いられることが多かったが、機能層を積層することで様々な機能性を追加でき、太陽電池モジュールの重さを減らせ、コスト低減をできるなどの観点から、太陽電池用バックシートとして、樹脂フィルムを主成分とする基材を用いた太陽電池用バックシートを利用することが近年求められている。
太陽電池用バックシートはモジュールを抜け出てきた光を反射して太陽電池セルに戻すことが望ましいため、一般的に反射率が高いことが望ましい。その場合の反射材料として酸化チタンは代表的な材料である。従来酸化チタンは白色ポリエステル樹脂の着色剤として基材フィルムに含まれることもあったが、耐久性の観点などから、透明のポリエステル樹脂に積層される形で酸化チタンを添加した白色の機能層を設ける方法も知られている(特許文献1〜5参照)。
また、太陽電池用バックシートに求められる機能の中でも太陽電池モジュールの寿命に直結する湿熱環境下での耐久性が特に求められている。太陽電池モジュールの湿熱環境下での耐久性の観点からは、特に封止材(例えばEVAが一般的に用いられている)と太陽電池用バックシートとが剥離して水分が電池側基板に入らないことが最も重要である。すなわち、太陽電池モジュールに使用される封止材との湿熱環境下での密着性が良好である太陽電池用バックシートが求められている。
特開2012−246365号公報 特開2013−021273号公報 特開2012−104763号公報 特開2012−254529号公報 特開2012−209461号公報
しかしながら、本発明者らが酸化チタン粒子を有する白色のポリマー層を設けた太陽電池用バックシートを作製したところ、酸化チタン粒子の偏在が原因と思われる、ムラが生じ、面状不良が起こるという問題があることがわかった。また、本発明者らが特許文献1〜5に記載されている方法で製造した太陽電池用バックシートを用いて太陽電池モジュールを製造し、湿熱環境下で経時させたところ、太陽電池モジュールの封止材と太陽電池用バックシートのポリマー層との間の高温高湿環境で経時後の密着性に問題があることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、酸化チタン粒子を有するポリマー層の面状と、高温高湿経時後の封止材への経時密着性に優れる太陽電池用バックシートを提供することである。
本発明者らが上記課題を解決することを目的として鋭意検討した結果、一部のオニウム化合物を、酸化チタン粒子を有するポリマー層に用いることで、ポリマー層の面状を改善でき、かつ、高温高湿経時後の封止材(EVA)への密着性を改善できることを見出すに至った。そこで、特許文献1〜3に記載の有機オニウム化合物を用い、酸化チタン粒子を有するポリマー層に用いた太陽電池用バックシートを製造したものの、依然としてポリマー層の面状、および/または、太陽電池モジュールの封止材と太陽電池用バックシートの間の湿熱環境下での密着性に問題があることがわかった。
以上の知見をもとにさらに本発明者らが鋭意検討した結果、オニウム化合物の中でも無機オニウム化合物を、酸化チタン粒子を有するポリマー層に用いることで、ポリマー層の面状を改善でき、かつ、高温高湿経時後の封止材への密着性を改善できることを見出すに至った。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段である本発明の構成は以下の通りである。
[1] 基材フィルムと、無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含むポリマー層と、を有することを特徴とする太陽電池用バックシート。
[2] [1]に記載の太陽電池用バックシートは、前記バインダーはアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかから選択されることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記酸化チタン粒子の含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中に含まれる酸化チタンの容積濃度が5.0%以上30.0%以下であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記無機オニウム化合物がアンモニウム塩、ニトロニウム塩およびニトロソニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記無機オニウム化合物が第二リン酸アンモニウムであることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中に架橋剤を含有することが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記架橋剤がオキサゾリン系架橋剤であることが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中において、前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層の厚さが0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートは、前記基材フィルムがポリエステルフィルムであることが好ましい。
[12] 太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、太陽電池素子と、前記太陽電池素子を封止する封止材と、前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有し、前記太陽電池用バックシートが[1]〜[11]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートを含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
[13] [12]に記載の太陽電池モジュールは、前記太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと前記封止材との間に配置されることが好ましい。
[14] 無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含むことを特徴とする太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
[15] [14]に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記バインダーはアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかから選択されることが好ましい。
[16] [14]または[15]に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記ポリマー層形成用組成物中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記酸化チタン粒子の含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることが好ましい。
[17] [14]〜[16]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記ポリマー層形成用組成物中に含まれる酸化チタンの容積濃度が5.0%以上30.0%以下であることが好ましい。
[18] [14]〜[17]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記無機オニウム化合物がアンモニウム塩、ニトロニウム塩およびニトロソニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
[19] [14]〜[18]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記無機オニウム化合物が第二リン酸アンモニウムであることが好ましい。
[20] [14]〜[19]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記ポリマー層形成用組成物中に架橋剤を含有することが好ましい。
[21] [14]〜[20]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記架橋剤がオキサゾリン系架橋剤であることが好ましい。
[22] [14]〜[21]のいずれかに記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、前記ポリマー層形成用組成物中において、前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
本発明によれば、酸化チタン粒子を有するポリマー層の面状と、高温高湿経時後の封止材への経時密着性に優れる太陽電池用バックシートが提供される。
本発明の太陽電池モジュールの構成の一例を概略的に示す断面図である。
以下において、本発明の太陽電池用バックシートやそれに用いる材料などについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[太陽電池用バックシート]
本発明の太陽電池用バックシートは、基材フィルムと、無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含むポリマー層と、を有することを特徴とする。
このような構成により、本発明の太陽電池用バックシートは、酸化チタン粒子を有するポリマー層の面状と、高温高湿経時後の封止材への経時密着性に優れる。従来、酸化チタン粒子およびバインダーを含むポリマー層をムラが少なく、良好な面状となるように形成するときには、酸化チタン粒子は、分散剤で囲まれて分散された状態として組成物(塗布液)中に存在し、このような塗布液を用いてポリマー層を形成するのが通常であった。このような酸化チタン粒子が分散剤で囲まれて分散された状態の組成物に塩を添加すると、静電遮蔽が起こり、酸化チタン粒子は沈殿したり、凝集したりして、分散性が悪くなると予想されていた(最新「顔料分散」実務ノウハウ・事例集 技術情報協会を参照)。これに対し、本発明では無機オニウム化合物を添加することにより、無機オニウム化合物の有する適度な電荷反発を利用でき、従来の常識に反してより酸化チタン粒子の分散状態を安定させたり、凝集を解消させたりすることができる。その結果、本発明では、酸化チタン粒子を有するポリマー層の面状を改善することができる。さらに、ポリマー層内の分散状況の改善により、酸化チタン粒子の偏在が起こりにくくなるため、脆弱層がなくなると共に、膜凝集力が向上することにより、酸化チタン粒子を有するポリマー層の高温高湿経時後の封止材への経時密着性も改善することができる。
また、本発明の太陽電池用保護シートの上記特性により、本発明の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用バックシートの良好な封止材との密着力により、湿熱環境下での経時で剥離等を起こすことなく、長期に亘って発電性能を安定して保つことが可能である。
以下、本発明の太陽電池用バックシートについて説明する。
<太陽電池用バックシートの構成>
図1に、本発明の太陽電池用バックシートと、本発明の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールの構成の一例を示す。この太陽電池用バックシート31は、基材フィルム16の一方の面に酸化チタン粒子を有するポリマー層18が設けられている。耐候性層なしの態様として本発明の太陽電池用バックシートを用いる場合、本発明の太陽電池用バックシート部材とも言う。さらに、基材フィルム16と酸化チタン粒子を有するポリマー層18の間にその他の層17が設けられていてもよい。酸化チタン粒子を有するポリマー層18の上にはさらにオーバーコート層(不図示)が設けられていてもよい。
基材フィルム16の他方の面には耐候性層が設けられていることが好ましい。基材フィルム16には、耐候性層第1層14と、耐候性層第2層12の2つの耐候性層が設けられていることが好ましい。このように耐候性層16を有していれば、そのまま太陽電池用バックシート32として用いることができる。
なお、本発明の太陽電池モジュール10は、前記封止材22の本発明の太陽電池用バックシートとは反対側に、透明性のフロント基板24を配置されていることが好ましい。
<太陽電池用バックシートの各構成部材>
以下、本発明の太陽電池用バックシートを構成する各構成部材について好ましい態様を説明する。
(ポリマー層)
本発明の太陽電池用バックシートは、無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含むポリマー層を有する。他の層との区別が必要な場合、このポリマー層のことを、酸化チタン粒子を含むポリマー層ということがある。
前記ポリマー層は、前記基材フィルムの少なくとも片面側に配置されていることが好ましく、両側に配置されていてもよい。
前記ポリマー層の膜厚は、0.5μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm〜20μmであることがより好ましく、1.5μm〜15μmであることが特に好ましく、2〜10μmであることがより特に好ましい。膜厚を0.5μm以上とすることで、装飾性や反射率を十分に発現することができ、50μm以下とすることで面状悪化を抑制し、湿熱経時後の封止材との密着性を改善することができる。従来、50μm以上の機能層中に酸化チタン粒子を分散して反射率を保持していた態様が多かったが、本発明によれば前記ポリマー層が50μm以下と薄い場合であっても、酸化チタンが膜厚ムラの可視化を助長することなく、面状不良も生じにくくすることができる。
−無機オニウム化合物−
前記ポリマー層は、無機オニウム化合物を含む。
前記「無機オニウム化合物」とは、オニウムイオンまたはその誘導体の一部または全部が、アルキル基やアリール基などの有機の置換基で置換されてない化合物のことを言う。なお、オニウムイオンまたはその誘導体の一部または全部をアルキル基やアリール基などの有機の置換基で置換した化合物は、本発明の効果を奏さない。
前記無機オニウム化合物における「無機化合物」とは、本明細書中、有機化合物以外の化合物であり、単純な一部の炭素化合物(など炭素の同素体、一酸化炭素や二酸化炭素、二硫化炭素など陰性の元素と作る化合物、あるいは炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、青酸と金属青酸塩、金属シアン酸塩、金属チオシアン酸塩、金属炭化物などの塩)と、炭素以外の元素で構成される化合物のことを言う。
前記無機オニウム化合物としては、オニウムイオンの、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロニウム塩、ニトロソニウム塩、ジアゾニウム塩等が好適に挙げられる。
無機オニウム化合物の具体例としては、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩;
スルホニウム塩;
オキソニウム塩;
ヨードニウム塩;
ホスホニウム塩;
四フッ化ホウ酸ニトロニウム等のニトロニウム塩;
四フッ化ホウ酸ニトロソニウム等のニトロソニウム塩;
ジアゾニウム塩、
等が挙げられる。
これらの中でも、無機オニウム化合物は、酸化チタン分散安定性付与の点で、オニウムイオンの、アンモニウム塩、ニトロニウム塩およびニトロソニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、これらの中ではアンモニウム塩が更に好ましい。
前記無機オニウム化合物を水溶液としたときのpHとしては特に制限はないが、添加直後に前記ポリマー層に用いられるバインダーラテックスの沈殿を抑制し、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物の経時での酸化チタン粒径の増大を抑制し、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物の経時での粘度上昇を抑制するなどの観点から、6.0〜9.5以下であることが好ましく、7〜9.0以下であることがより好ましく、7.5〜8.5であることが特に好ましい。
無機オニウム化合物は、安全性、pH、及びコストの観点からは、リン酸系のものが好ましい。
前記無機オニウム化合物の分子量は、塩全体として、50〜500であることが好ましく、80〜300であることがより好ましく、100〜200であることが特に好ましい。
これらの中でも、前記無機オニウム化合物が第二リン酸アンモニウムであることがより特に好ましい。
前記ポリマー層における前記無機オニウム化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記酸化チタン粒子の含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0〜2.5質量%であることが特に好ましい。
また、前記ポリマー層中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記バインダーの含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.5質量%であることが特に好ましい。
−酸化チタン粒子−
本発明の太陽電池用バックシートでは、前記ポリマー層が酸化チタン粒子を含む。このような酸化チタン粒子を含むポリマー層は、着色層(白色層)とも呼ばれることがある。
酸化チタン粒子を含む前記ポリマー層の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることである。
前記酸化チタン粒子を含む前記ポリマー層は、太陽電池モジュールのオモテ面から入射した太陽光のうち、セルを素通りした光を乱反射して、セルに戻すことで発電効率を上げる機能を有する。
基材フィルムの、酸化チタン粒子を含む前記ポリマー層が配置されている面(最外表面)の波長550nmにおける光反射率は、前記ポリマー中の着色顔料の含有量や層厚を前記または後述の数値範囲で制御することにより反射率を高める方向に調整することができる。
前記酸化チタン粒子の体積平均粒径としては0.03μm〜0.9μmが好ましく、より好ましくは0.2μm〜0.7μmである。酸化チタン粒子の体積平均粒径をこの範囲とすることで、光の反射効率低下を抑制することができる。
本発明では特に断りのない限り、平均粒径とは、前記酸化チタン粒子の体積平均粒径を指し、日機装社製、マイクロトラックMT3300EX2により測定される値(溶媒:水、粒子形状:非球形、粒子屈折率:2.7、超音波処理:無)である。
前記酸化チタン粒子を含む前記ポリマー層における前記酸化チタン粒子の好ましい含有量は、用いる酸化チタン粒子の種類や平均粒径によって異なるが、前記ポリマー層における酸化チタン粒子の含有量が少な過ぎなければ、反射性、光沢度が十分発揮でき、多過ぎなければ封止材との接着性の観点から好ましい。これらの機能を十分発揮させる観点から、本発明の太陽電池用バックシートでは、前記ポリマー層における前記酸化チタン粒子の含有量は好ましくは2g/m2〜20g/m2、より好ましくは2g/m2〜15g/m2、特に好ましくは2g/m2〜9g/m2である。
本発明の太陽電池用バックシートでは、同様の観点から、前記ポリマー層に含まれる前記酸化チタン粒子の容積濃度(以下、体積分率またはPVCとも言う)は好ましくは5.0%以上35.0%以下であり、より好ましくは15〜30%であり、特に好ましくは17〜25%である。
−バインダー−
本発明では、前記ポリマー層のバインダーとしては特に制限は無く、公知のバインダーなどを用いることができる。
前記ポリマー層の前記バインダーとしては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、本発明の太陽電池用バックシートは前記ポリマー層の前記バインダーがアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂(以下、オレフィン樹脂とも言う)のいずれかから選択されることが好ましい。また、これらのポリマーの2種以上の混合物を用いることもできる。
(1)オレフィン樹脂
前記ポリオレフィン樹脂に用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどを重合したものなどを挙げることができ、その中でもエチレンが好ましい。すなわち、本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層に用いられる前記バインダーの主鎖がエチレンユニットを含むことが好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層に用いられる前記バインダーが、変性されたオレフィン樹脂バインダーであることが好ましく、酸変性されたオレフィン樹脂バインダーであることがより好ましい。本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層に用いられる前記ポリオレフィン樹脂に用いられる酸性ユニットとして、(メタ)アクリル酸ユニットを含むことが好ましく、アクリル酸ユニットを含むことが特に好ましい。また、本明細書中において、アクリル樹脂は、アクリレート骨格の樹脂とメタクリレート骨格の樹脂を含む。また、(メタ)アクリルはアクリルとメタクリルの総称を意味し、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタアクリレートの総称を意味する。
前記ポリオレフィン樹脂の酸性ユニットの一部又は全部はカチオンにより中和していることが好ましい。カチオンとしては、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、銅イオン、リチウムイオン、カリウムイオンなどの金属かアミン類又はアンモニアであることが好ましい。金属イオンとしてはナトリウムイオン、亜鉛イオンなどが好ましい。アミン類又はアンモニアとしては、トリエチルアミン、N、N´−ジメチルエタノールアミン、アンモニアなどが好ましい。
オレフィン樹脂バインダーの主鎖骨格の種類としては、例えば、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、エチレン−ブテン−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、エチレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸(および/またはアクリル酸)共重合体などが挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸またはエチレンとメタクリル酸からなるポリマーが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂におけるオレフィンユニットと酸性ユニットの共重合比率(モル比)は99.7:0.3〜90:10であることが好ましく、99.5:0.5〜97:3であることがより好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層に用いられる前記オレフィン樹脂バインダーの融点が75℃以上であることが好ましく、85〜105℃であることがより好ましく、90〜95℃であることが特に好ましい。
本発明に用いられる前記オレフィン樹脂バインダーの弾性率は320MPa以下であることが好ましく、前記オレフィン樹脂バインダーの弾性率は10〜250MPaであることがより好ましく、20〜150MPaであることが特に好ましく、30〜100MPaであることがより特に好ましく、30〜70MPaが最も好ましい。
前記オレフィン樹脂バインダーの形状や使用態様についても、ポリマー層を形成できれば特に制限はない。例えば、水分散可能なオレフィン樹脂であっても、溶融可能なオレフィン樹脂であってもよい。また、結晶性のオレフィン樹脂であっても、非結晶性のオレフィン樹脂であってもよい。
本発明ではその中でも、溶媒に分散可能なオレフィン樹脂バインダーを用いることが、塗布により前記ポリマー層を形成でき、より封止材との湿熱経時後の密着性を改善できる観点から好ましい。前記オレフィン樹脂バインダーは、水に分散可能であることがより好ましい。
前記オレフィン樹脂バインダーの入手方法についても特に制限はなく、商業的に入手してもよく、合成してもよい。また、添加剤を加えて本発明で求められる前記オレフィン樹脂バインダーの弾性率の範囲に制御してもよい。
商業的に入手できる、本発明に用いられる前記オレフィン樹脂バインダーとしては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体をアミン中和した水分散体であるアローベースSE−1010、SE−1013N、SD−1010(いずれもユニチカ(株)製)、プロピレン−アクリル酸共重合体をアミン中和した水分散体であるTC−4010、TD−4010、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアンモニア中和した水分散体であるハイテックS3148、S3121、S8512(いずれも東邦化学(株)製)、エチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマーの水分散体であるケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)、などを挙げることができる。その中でも、本発明ではアローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが好ましい。なお、アローベースSE−1013Nの融点は約91℃であり、オレフィンユニットと酸性ユニットの共重合比率(モル比)は99:1である。
また、ハイテックS3121のオレフィンユニットと酸性ユニットの共重合比率(モル比)は95:5である。
前記ポリマー層のバインダーとして用いられる、前記オレフィン樹脂バインダーは単独で用いてもよく、複数の前記オレフィン樹脂バインダーを混合して用いてもよい。
(2)アクリル樹脂
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層がアクリル樹脂をバインダーとして含むことも好ましい。
アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とし、これらと共重合可能なモノマーを共重合したポリマーが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、アセトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、β−フェノキシエトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロクチルエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合可能なモノマーとしてはクロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。
前記クロトン酸エステル類としては、例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えば、t−Boc等)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのなかで更に、前記(メタ)アクリルモノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルアクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記共重合可能なモノマーとしてはスチレンが好ましい。
前記アクリル樹脂としては、少なくともアルキル(メタ)アクリレートユニットを含むことが好ましく、少なくとも2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートユニットを含むことがより好ましい。
前記アクリル樹脂中における2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートユニットの比率は、モル比で10〜40%であることが好ましく、15〜30%であることがより好ましい。
前記アクリル樹脂中におけるヒドロキシルアクリレートユニットの比率は、モル比で1〜10%であることが好ましく、3〜8%であることがより好ましい。
前記アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸ユニットの比率は、モル比で40〜80%であることが好ましく、50〜70%であることがより好ましい。
前記アクリル樹脂中におけるスチレンユニットの比率は、モル比で1〜15%であることが好ましく、5〜12%であることがより好ましい。
(3)その他のバインダー
前記ポリマー層のバインダーは、本発明の趣旨に反しない限り、前記オレフィン樹脂および前記アクリル樹脂以外のその他のバインダーを含んでいてもよい。
前記その他のバインダーとしては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂を挙げることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸/イソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、アジピン酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル等がある。ポリエステル系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。また、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリウレタン樹脂としては、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、エーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。また、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス460、800、870いずれも第一工業製薬(株)製などを挙げることができる。
前記シリコーン樹脂および前記フッ素樹脂としては、後述の耐候性に用いられるシリコーン樹脂およびフッ素樹脂を挙げることができる。
前記オレフィン樹脂バインダーおよび/または前記アクリル樹脂バインダーの合計と、その他のバインダーの割合(質量比)は50:50〜100:0であることが好ましく、80:20〜100:0であることがより好ましい。
−架橋剤−
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層が架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。太陽電池モジュールの封止材との湿熱経時後の密着性を確保する観点から、このなかで特にオキサゾリン系架橋剤(オキサゾリン基をもつ化合物)が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、分子中に2個以上のオキサゾリン基を有するものであり低分子化合物であっても重合体であってもよいが、重合体の方が、接着性が良好であるため好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、低分子化合物のオキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等がある。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤は、その構成成分として付加重合性オキサゾリンを必須とし、付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体をも含むモノマー成分を重合させることにより得ることができる。
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが好ましく挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが入手の容易さや接着性を良好にするために好ましい。これら付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されないが、モノマー成分中5質量%以上とすることが好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、オキサゾリン基と反応しないものから選ぶことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムおよび(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレンおよびプロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。
本発明の太陽電池用バックシートでは、前記オキサゾリン系架橋剤、すなわち、前記オキサゾリン基をもつ化合物が(メタ)アクリル酸エステルユニットを含む共重合体であることが好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤は、水溶性および/または水分散性などの水性であることが、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体との混合安定性が優れる点から好ましく、水溶性であることがより好ましい。重合体のオキサゾリン系架橋剤の重合方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば水性媒体中で溶液重合、乳化重合、懸濁重合または塊状重合させる方法などが挙げられ、これらの方法などで水溶液または水分散体などを得ることができる。これら重合体のオキサゾリン系架橋剤は、接着性や耐候性を良好にするために、不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことが好ましい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤の分子量は、数平均分子量で1000〜80000であることが好ましく、3000〜60000がより好ましく、5000〜40000がさらに好ましく、8000〜30000が特に好ましく、10000〜20000が最も好ましい。数平均分子量が1000未満の場合は、接着性や耐候性が低下する傾向にあり、80000を超えた場合は、重合体の製造が困難となる。
また、オキサゾリン系架橋剤は、市販品を用いてもよく、例えば、水性分散体タイプのエポクロス「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、K2010E、K2020E、K2030E、水溶液タイプのWS500、WS700〔いずれも(株)日本触媒製エポクロスシリーズ〕等を用いることができる。
前記太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中において、前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、15質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、20質量%以上50質量%未満の範囲であることが特に好ましい。架橋剤含有量が1.0質量%以上であることで前記ポリマー層の高温高湿経時後の封止材への密着性を改良することができ、5質量%以上であることで、充分な架橋効果が得られ前記ポリマー層の強度低下を抑制することができる。一方、50質量%未満であることで、前記太陽電池用バックシートの高温高湿経時後の封止材への密着性を改良することができる。
−酸化チタン粒子以外の着色顔料−
前記ポリマー層に、酸化チタン粒子以外の着色顔料を添加してもよい。その機能は太陽電池モジュールを表面側から見た場合の外観の装飾性を向上することである。一般に太陽電池モジュールを表面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに酸化チタン粒子以外の着色顔料を含む着色層を設けることにより装飾性を向上させて見栄えを改善することができる。
前記ポリマー層に用いられる酸化チタン粒子以外の着色顔料は特に限定されず、要求される反射性、意匠性等に応じて選択すればよい。
前記着色顔料の中でも、カーボンブラック、チタンブラック、黒色の複合金属酸化物、ペリレン系カラー顔料、シアニン系カラー顔料およびキナクドリン系カラー顔料から選択される少なくとも1種が好ましい。
ここで、前記黒色の複合金属酸化物としては、鉄、マンガン、コバルト、クロム、銅、ニッケルのうち少なくとも1種を含む複合金属酸化物が好ましく、コバルト、クロム、鉄、マンガンおよび銅、ニッケルのうち2種以上を含むことがより好ましく、カラーインデックスがPBk26、PBk27およびPBk28、PBr34から選ばれる少なくとも1つ以上の顔料がより特に好ましい。
なお、PBk26の顔料は、鉄、マンガン、銅の複合酸化物であり、PBk−27の顔料は鉄、コバルト、クロムの複合酸化物であり、PBk−28は銅、クロム、マンガンの複合酸化物であり、PBr34はニッケル、鉄の複合酸化物である。
前記シアニン系カラーおよびキナクドリン系カラーとしては、シアニングリーン、シアニンブルー、キナクドリンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
前記ペリレン系カラー顔料としては、ペリレングリーン、ペリレンブラックなどが挙げられる。
−その他の添加剤−
前記ポリマー層は、さらに、界面活性剤、前記酸化チタン粒子や前記着色顔料以外の微粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を含有することができ、特に、ポリマー層を形成するためのポリマー層形成用組成物は、塗布適性を確保するために、界面活性剤を用いて調製することが好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤を利用することができ、具体的には、デモールEP〔花王(株)製〕、ナロアクティーCL95〔三洋化成工業(株)製〕等を挙げることができる。前記界面活性剤は、単独種を用いても複数種を用いてもよい。
前記酸化チタン粒子や前記着色顔料以外の微粒子としては、シリカ、酸化マグネシウム、酸化錫等の無機酸化物フィラーが挙げられる。中でも、湿熱雰囲気に晒された時の接着性の低下が小さいことから、酸化錫またはシリカが好ましい。
前記無機酸化物フィラーの体積平均粒径は10nm〜700nmであることが好ましく、20nm〜300nmがより好ましい。平均粒径がこの範囲の無機酸化物フィラーを用いることにより、前記ポリマー層と隣接する層との良好な易接着性を得ると共に、特に湿熱環境下(例えば、85℃、相対湿度85%)での隣接層(より特に好ましくは太陽電池モジュールの封止材、例えばEVAを含む封止材層)との密着性を発現することができる。なお、前記無機酸化物フィラーの体積平均粒径は、日機装社製マイクロトラックFRAにより測定された値である。
前記酸化チタン粒子や前記着色顔料以外の微粒子の形状は特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のものを用いることができる。
前記酸化チタン粒子や前記着色顔料以外の微粒子のポリマー層中の含有量は、ポリマー層のバインダー樹脂の全質量に対して、5質量%〜400質量%であることが好ましく、50質量%〜300質量%であることがより好ましい。微粒子の含有量が5質量%以上であることで、湿熱雰囲気に晒された時の接着性および湿熱環境下で経時させたときの太陽電池モジュールの封止材との密着性が良好であり、400質量%以下であることで前記ポリマー層の面状悪化を防止することができる。
なお、前記無機酸化物フィラー以外の微粒子として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を含んでもよい。
−ポリマー層の形成−
前記ポリマー層は公知の方法で形成することができ、特に制限はない。例えば、前記基材フィルムを支持体として用いて溶液製膜または溶融製膜して積層してもよく、ポリマー層をあらかじめ他の支持体上で溶液製膜または溶融製膜しておいたものと前記基材フィルムとを接着剤などを介して積層してもよい。その中でも、本発明の太陽電池用バックシートは、前記基材フィルムを支持体として用いて溶液製膜することが好ましい。前記溶液製膜の方法としては特に制限はなく、流延製膜であっても塗布であってもよいが、本発明の太陽電池用バックシートでは、前記ポリマー層が、塗布により製膜されてなることが好ましい。
前記ポリマー層は、基材フィルムの片面のみならず両面に設けられていてもよく、その場合も基材フィルムの両面に塗布することが好ましい。
また、前記ポリマー層は、前記基材フィルムとの間に後述するその他の層を有する場合は、前記ポリマー層を基材フィルム上に直接又は前記その他の層の上に、塗布して形成することができる。
前記ポリマー層を形成するための、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、少なくとも無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含む。本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、さらに必要に応じて、着色顔料、その他のバインダー樹脂、無機酸化物フィラー、架橋剤、添加剤等を塗布溶媒と混合することで調製することができる。本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物に用いられる各成分の好ましい範囲は、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層に用いられる各成分の好ましい範囲と同様である。また、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層は、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物を用いて形成されてなることが好ましい。
〔溶媒〕
塗布溶媒としては、前記ポリマー層を構成する各成分が分散又は溶解し、塗布後、除去することができることができれば特に限定されないが、水が好ましく用いられ、前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物に含まれる溶媒中の60質量%以上が水であることが好ましい。このような水系組成物は、環境に負荷をかけにくい点で好ましく、また水の割合が60質量%以上であることにより、防爆性および安全性の点で有利である。前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物中の水の割合は、環境負荷の観点からは、さらに多い方が望ましく、水が全溶媒の70質量%以上含まれる場合がより好ましい。本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層中の溶剤残留率が前記ポリマー層の質量(塗膜の質量)に対して0.05質量%以下であることが好ましく、0.025質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましい。
〔架橋剤〕
前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。
前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物が架橋剤を含有することで、前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物に含まれるバインダー樹脂を架橋し、接着性及び強度のある前記ポリマー層を形成することができ、好ましい。
前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物のポリマー層のバインダー樹脂の固形分質量に対しての架橋剤の含有量は、1.0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、15質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、20質量%以上50質量%未満の範囲であることが特に好ましい。50質量%以下であることで、前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物のポットライフ低下を防止することができる。
〔塗布方法〕
前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物の基材フィルム上への塗布は、たとえばグラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。
酸化チタン粒子を含む前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物は、反射性能と膜強度の観点から、太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物を、前記基材フィルム上に、塗布厚が50μm未満となるように塗布することが好ましく、より好ましい範囲は前記ポリマー層の膜厚の好ましい範囲と同様である。また、前記酸化チタン粒子の塗工量が2g/m2〜20g/m2となるように塗布することが好ましく、より好ましい範囲は前記ポリマー層の前記酸化チタン粒子の含有量の好ましい範囲と同様である。
(基材フィルム)
−ポリマー−
本発明の太陽電池用バックシートの基材フィルムを構成するポリマー(原料樹脂)としてはポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等が使用できるがコスト、機械安定性や耐久性の観点からボリエステルが好ましい。
前記基材フィルムに好ましく使用できるポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを挙げることができる。このうち、力学的物性やコストのバランスの点で、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
前記ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、前記ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。
ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。
原料樹脂となるポリエステルとしては、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とを用いて合成してもよいし、市販のポリエステルを用いてもよい。
ポリエステルを合成する場合は、例えば、(A)ジカルボン酸成分と、(B)ジオール成分とを、周知の方法でエステル化反応及び/又はエステル交換反応させることによって得ることができる。
(A)ジカルボン酸成分としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸;などのジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
(B)ジアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール、1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香族ジオール類;等のジオール化合物が挙げられる。
(A)ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種が用いられる場合が好ましい。より好ましくは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸を主成分として含有する。なお、「主成分」とは、ジカルボン酸成分に占める芳香族ジカルボン酸の割合が80質量%以上であることをいう。芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を含んでもよい。このようなジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸などのエステル誘導体等である。
また、(B)ジオール成分として、脂肪族ジオールの少なくとも1種を用いることが好ましい。脂肪族ジオールとして、エチレングリコールを含むことができ、好ましくはエチレングリコールを主成分として含有する。なお、主成分とは、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が80質量%以上であることをいう。
脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール)の使用量は、前記芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸)及び必要に応じそのエステル誘導体の1モルに対して、1.015〜1.50モルの範囲であるのが好ましい。使用量は、より好ましくは1.02〜1.30モルの範囲であり、更に好ましくは1.025〜1.10モルの範囲である。使用量は、1.015以上の範囲であると、エステル化反応が良好に進行し、1.50モル以下の範囲であると、例えばエチレングリコールの2量化によるジエチレングリコールの副生が抑えられ、融点やガラス転移温度、結晶性、耐熱性、耐加水分解性、耐候性など多くの特性を良好に保つことができる。
エステル化反応及び/又はエステル交換反応には、従来から公知の反応触媒を用いることができる。反応触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることができる。通常、ポリエステルの製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
例えば、エステル化反応工程は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとを、チタン化合物を含有する触媒の存在下で重合する。このエステル化反応工程では、触媒であるチタン化合物として、有機酸を配位子とする有機キレートチタン錯体を用いると共に、工程中に少なくとも、有機キレートチタン錯体と、マグネシウム化合物と、置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルとをこの順序で添加する過程を設けて構成される。
まず初めに、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールを、マグネシウム化合物及びリン化合物の添加に先立って、チタン化合物である有機キレートチタン錯体を含有する触媒と混合する。有機キレートチタン錯体等のチタン化合物は、エステル化反応に対しても高い触媒活性を持つので、エステル化反応を良好に行なわせることができる。このとき、ジカルボン酸成分及びジオール成分を混合した中にチタン化合物を加えてもよいし、ジカルボン酸成分(又はジオール成分)とチタン化合物を混合してからジオール成分(又はジカルボン酸成分)を混合してもよい。また、ジカルボン酸成分とジオール成分とチタン化合物とを同時に混合するようにしてもよい。混合は、その方法に特に制限はなく、従来公知の方法により行なうことが可能である。
上記ポリエステルの重合に際し、下記の化合物を加えることも好ましい。
5価のリン化合物として、置換基として芳香環を有しない5価のリン酸エステルの少なくとも一種が用いられる。例えば、炭素数2以下の低級アルキル基を置換基として有するリン酸エステル〔(OR)3−P=O;R=炭素数1又は2のアルキル基〕が挙げられ、具体的には、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが特に好ましい。
リン化合物の添加量としては、P元素換算値が50〜90ppmの範囲となる量が好ましい。リン化合物の量は、より好ましくは60〜80ppmとなる量であり、さらに好ましくは60〜75ppmとなる量である。
ポリエステルにマグネシウム化合物を含めることにより、ポリエステルの静電印加性が向上する。この場合に着色が生じることがあるが、本発明の構成とすることにより、着色を抑え、優れた色調、耐熱性が得られる。
マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩が挙げられる。中でも、エチレングリコールへの溶解性の観点から、酢酸マグネシウムが最も好ましい。
マグネシウム化合物の添加量としては、高い静電印加性を付与するためには、Mg元素換算値が50ppm以上となる量が好ましく、50〜100ppmの範囲となる量がより好ましい。マグネシウム化合物の添加量は、静電印加性の付与の点で、好ましくは60〜90ppmの範囲となる量であり、さらに好ましくは70〜80ppmの範囲となる量である。
エステル化反応工程においては、触媒成分であるチタン化合物と、添加剤であるマグネシウム化合物及びリン化合物とを、下記式(i)から算出される値Zが下記の関係式(ii)を満たすように、添加して溶融重合させる場合が特に好ましい。ここで、P含有量は芳香環を有しない5価のリン酸エステルを含むリン化合物全体に由来するリン量であり、Ti含有量は、有機キレートチタン錯体を含むTi化合物全体に由来するチタン量である。このように、チタン化合物を含む触媒系でのマグネシウム化合物及びリン化合物の併用を選択し、その添加タイミング及び添加割合を制御することによって、チタン化合物の触媒活性を適度に高く維持しつつも、黄色味の少ない色調が得られ、重合反応時やその後の製膜時(溶融時)などで高温下に曝されても黄着色を生じ難い耐熱性を付与することができる。
(i)Z=5×(P含有量[ppm]/P原子量)−2×(Mg含有量[ppm]/Mg原子量)−4×(Ti含有量[ppm]/Ti原子量)
(ii)0≦Z≦5.0
これは、リン化合物はチタンに作用のみならずマグネシウム化合物とも相互作用することから、3者のバランスを定量的に表現する指標となるものである。
式(i)は、反応可能な全リン量から、マグネシウムに作用するリン分を除き、チタンに作用可能なリンの量を表現したものである。値Zが正の場合は、チタンを阻害するリンが余剰な状況にあり、逆に負の場合はチタンを阻害するために必要なリンが不足する状況にあるといえる。反応においては、Ti、Mg、Pの各原子1個は等価ではないことから、式中の各々のモル数に価数を乗じて重み付けを施してある。
本発明においては、特殊な合成等が不要であり、安価でかつ容易に入手可能なチタン化合物、このようなリン化合物、マグネシウム化合物を用いて、反応に必要とされる反応活性を持ちながら、色調及び熱に対する着色耐性に優れたポリエステルを得ることができる。
式(ii)において、重合反応性を保った状態で、色調及び熱に対する着色耐性をより高める観点から、1.0≦Z≦4.0を満たす場合が好ましく、1.5≦Z≦3.0を満たす場合がより好ましい。
本発明における好ましい態様として、エステル化反応が終了する前に、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールに、1〜30ppmのクエン酸又はクエン酸塩を配位子とするキレートチタン錯体を添加する。その後、キレートチタン錯体の存在下に、また、60〜90ppm(より好ましくは70〜80ppm)の弱酸のマグネシウム塩を添加し、該添加後にさらに、60〜80ppm(より好ましくは65〜75ppm)の、芳香環を置換基として有しない5価のリン酸エステルを添加することが好ましい。
エステル化反応は、少なくとも2個の反応器を直列に連結した多段式装置を用いて、エチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水又はアルコールを系外に除去しながら実施することができる。
また、上記したエステル化反応は、一段階で行なってもよいし、多段階に分けて行なうようにしてもよい。
エステル化反応を一段階で行なう場合、エステル化反応温度は230〜260℃が好ましく、240〜250℃がより好ましい。
エステル化反応を多段階に分けて行なう場合、第一反応槽のエステル化反応の温度は230〜260℃が好ましく、より好ましくは240〜250℃であり、圧力は1.0〜5.0kg/cm2が好ましく、より好ましくは2.0〜3.0kg/cm2である。第二反応槽のエステル化反応の温度は230〜260℃が好ましく、より好ましくは245〜255℃であり、圧力は0.5〜5.0kg/cm2、より好ましくは1.0〜3.0kg/cm2である。さらに3段階以上に分けて実施する場合は、中間段階のエステル化反応の条件は、前記第一反応槽と最終反応槽の間の条件に設定するのが好ましい。
重縮合は、エステル化反応で生成されたエステル化反応生成物を重縮合反応させて重縮合物を生成する。重縮合反応は、1段階で行なってもよいし、多段階に分けて行なうようにしてもよい。
エステル化反応で生成したオリゴマー等のエステル化反応生成物は、引き続いて重縮合反応に供される。この重縮合反応は、多段階の重縮合反応槽に供給することにより好適に行なうことが可能である。
例えば、3段階の反応槽で行なう場合の重縮合反応条件は、第一反応槽は、反応温度が255〜280℃、より好ましくは265〜275℃であり、圧力が100〜10torr(13.3×10-3〜1.3×10-3MPa)、より好ましくは50〜20torr(6.67×10-3〜2.67×10-3MPa)であって、第二反応槽は、反応温度が265〜285℃、より好ましくは270〜280℃であり、圧力が20〜1torr(2.67×10-3〜1.33×10-4MPa)、より好ましくは10〜3torr(1.33×10-3〜4.0×10-4MPa)であって、最終反応槽内における第三反応槽は、反応温度が270〜290℃、より好ましくは275〜285℃であり、圧力が10〜0.1torr(1.33×10-3〜1.33×10-5MPa)、より好ましくは5〜0.5torr(6.67×10-4〜6.67×10-5MPa)である態様が好ましい。
上記のようにして合成されたポリエステルには、光安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、易滑剤(微粒子)、核剤(結晶化剤)、結晶化阻害剤などの添加剤を更に含有させてもよい。
フィルム基材の原料樹脂として用いるポリエステル樹脂は、エステル化反応により重合した後に、固相重合を行うことが好ましい。固相重合することにより、ポリエステルの含水率、結晶化度、ポリエステルの酸価、すなわち、ポリエステルの末端カルボキシル基の濃度、固有粘度を制御することができる。
特に、固相重合開始時のエチレングリコール(EG)ガス濃度を固相重合終了時のEGガス濃度よりも200〜1000ppmの範囲で高くすることが好ましく、より好ましくは250〜800ppm、さらに好ましくは300〜700ppmの範囲で高くして固相重合することが好ましい。この時、平均EGガス濃度(固相重合開始時と終了時のガス濃度の平均)を添加することでAVを制御できる。即ちEG添加により末端COOHと反応させAVを低減できる。EGは100〜500ppmが好ましく、より好ましくは150〜450ppm、さらに好ましくは200〜400ppmである。
また、固相重合の温度は180〜230℃が好ましく、より好ましくは190〜215℃、さらに好ましくは195〜209℃である。
また、固相重合時間は10〜40時間が好ましく、より好ましくは14〜35時間、さらに好ましくは18〜30時間である。
−ケテンイミン、カルボジイミド−
本発明では、フィルム基材の原料樹脂がポリエステルである場合などには、カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物を含んでも良い。カルボジイミド化合物またはケテンイミン化合物は単独で用いても良く、両者を併用して用いても良い。これによりサーモ後のポリエステルの劣化を抑制し、サーモ後も高い絶縁性を保つのに有効である。
ケテンイミン、カルボジイミドは、ポリエステルに対して、0.1〜10質量%含有されていることが好ましく、0.1〜4質量%含有されていることがより好ましく、0.1〜2質量%含有されていることがさらに好ましい。環状カルボジイミド化合物の含有率を上記範囲内とすることにより、基材フィルムの層間の密着性および基材フィルムと前記ポリマー層間の密着性を高めることができる。また、基材フィルムの耐熱性を高めることができる。
なお、カルボジイミド化合物とケテンイミン化合物が併用される場合は、2種類の化合物の含有率の合計が、上記範囲内であることが好ましい。
カルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが例示される。ポリカルボジイミド化合物としては、その重合度が、下限が通常2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは、30以下であるものが使用され、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、及びChemical Review 1981、81巻、第4号、p.619−621等に記載された方法により製造されたものが挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物の製造原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートなどが例示される。
工業的に入手可能な具体的なポリカルボジイミドとしては、カルボジライトHMV−8CA(日清紡製)、カルボジライト LA−1(日清紡製)、スタバクゾールP(ラインケミー社製)、スタバクゾールP100(ラインケミー社製)、スタバクゾールP400(ラインケミー社製)、スタビライザー9000(ラシヒケミ社製)などが例示される。カルボジイミド化合物は単独で使用することもできるが、複数の化合物を混合して使用することもできる。
環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物は、環状封止剤として機能する。
環状カルボジイミド化合物は、国際公開2011/093478号パンフレットに記載された方法によって調製することができる。
環状カルボジイミド化合物は、環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していても良い。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、環状構造中の原子数とは、環構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
環状カルボジイミド化合物としては、下記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明の環状カルボジイミド化合物の好ましい構造について、下記一般式(O−1)と一般式(O−2)の順に説明する。
まず、一般式(O−1)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 0006157892
一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L1は2価の連結基を表す。
上記一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、アルキル基またはアリール基を表すことが好ましく、2級もしくは3級アルキル基またはアリール基を表すことがポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点からより好ましく、2級アルキル基を表すことが特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は2級または3級アルキル基であることが好ましく、2級アルキル基であることがより好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができ、その中でもiso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、iso−プロピル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基がより好ましく、iso−プロピル基およびシクロヘキシル基が特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルキル基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6のアリール基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、R1とR2が縮合またはR5とR6が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R1およびR5は、それぞれR2およびR6と縮合して環を形成しないことが好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基がより好ましい。
1およびR5が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアリール基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基の好ましい例は、R1およびR5が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることがあり、好ましい範囲も同様にR1およびR5が表す好ましいアルキル基の末端に−O−が連結した基である。
1およびR5が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルコキシ基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−1)中、R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
2〜R4およびR6〜R8が表すアルキル基、アリール基またはアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。
本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R2およびR6がともに水素原子であることが、R1およびR5に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。ここで、WO2010/071211号公報には、上記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してメタ位)にアルキル基やアリール基が置換した化合物が例示されているが、これらの化合物はポリエステルの末端に連結したイソシアネートとポリエステルの水酸基末端との反応を抑制することができない上、前記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してオルト位)に置換基を導入することが困難である。
上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。このときに形成される環は特に制限はないが、芳香族環であることが好ましい。例えば、R1〜R4の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよい。このときに形成される炭素数10以上のアリーレン基としては、ナフタレンジイル基などの炭素数10〜15の芳香族基が挙げられる。
同様に、例えば、R5〜R8の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R5〜R8が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよく、そのときの好ましい範囲はR1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成するときの好ましい範囲と同様である。
但し、本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
上記一般式(O−1)中、X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−および−CH2−から選択される少なくとも1種を表し、その中でも−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−であることが好ましく、−O−、−S−であることが合成容易性の観点からより好ましい。
上記一般式(O−1)中、L1は2価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいても良く、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、2価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
1が表す2価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。これらの脂肪族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基が挙げられる。炭素数5〜15のアリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−1)中、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数とは、カルボジイミド基を含む環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より前記一般式(O−1)中、環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
次に、前記一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 0006157892
一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよい。X11、X12、X21およびX22は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L2は4価の連結基を表す。
上記一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR1およびR5の好ましい範囲と同様である。
11、R15、R21およびR25が表すアリール基は、R11とR12が縮合、R15とR16が縮合、R21とR22が縮合またはR25とR26が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R11、R15、R21およびR25は、それぞれR12、R16、R22およびR26と縮合して環を形成しないことが好ましい。
11、R15、R21およびR25は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−2)中、R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR2〜R4およびR6〜R8の好ましい範囲と同様である。
12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28中、R12、R16、R22およびR26がともに水素原子であることが、R11、R15、R21およびR25に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。
このようにカルボジイミド基の近傍に、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基のように嵩高い基を導入することで、カルボジイミド基とポリエステルの末端カルボン酸が反応した後に生成するイソシアネート基とポリエステルの末端水酸基の反応を抑制できる。この結果、ポリエステルの高分子量化を抑制でき、上述のようなポリエステルの粘性増加による切り屑の発生を抑制できる。
上記一般式(O−2)中、R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよく、好ましい環の範囲は上記一般式(O−1)中、R1〜R8が互いに結合して形成する環の範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、X11、X12、X21およびX22の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のX1およびX2の好ましい範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、L2は4価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、4価の炭素数1〜20の脂肪族基、4価の炭素数3〜20の脂環族基、4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、4価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
2が表す4価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。炭素数1〜20のアルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられ、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基がより好ましく、エタンテトライル基が特に好ましい。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の脂環族基として、脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。炭素数5〜15のアレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−2)中、4価の連結基であるL2を介して、カルボジイミド基を含む環状構造が2つ含まれる。
上記一般式(O−2)中における各カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲はそれぞれ、上記一般式(O−1)中におけるカルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲と同様である。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物は、分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物は単環であり、上記一般式(O−1)で表されることが、増粘し難い観点から好ましい。
但し、揮散を抑制でき、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できる観点からは、本発明の環状カルボジイミド化合物は環状構造を複数有し、上記一般式(O−2)で表されることも好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量が、400以上であると、揮散性が小さく、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できるため好ましい。また、環状カルボジイミド化合物の分子量の上限は本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、カルボン酸との反応性の観点から、1500以下が好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量は、500〜1200であることがより好ましい。
上記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表されることを特徴とする環状カルボジイミド化合物の具体例、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
Figure 0006157892
Figure 0006157892
前記環状カルボジイミド化合物は、芳香環に隣接して−N=C=N−で表される構造(カルボイジイミド基)を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましく、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などを参考にして合成することができる。
前記環状カルボジイミド化合物を合成するにあたり、カルボジイミド基の第一窒素と第二窒素に隣接するアリーレン基のオルト位に特定の嵩高い置換基を導入する方法としては特に制限はないが、例えば既知の方法でアルキルベンゼンをニトロ化することで、アルキル基が置換されたニトロベンゼンを合成することができ、それを元にWO2011/158958に記載の方法で環状カルボジイミドを合成することができる。
前記基材フィルムは、ケテンイミン化合物を含有することも好ましい。ケテンイミン化合物は単独で用いても良く、上記環状カルボジイミド化合物と併用しても良い。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0006157892
ここで、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。
ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。すなわち、上記一般式(1)では、R1−C(=C)−R2基の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は、320以上であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましく、600〜1000であることがさらに好ましい。このように、窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量を上記範囲内とすることにより、基材フィルム(好ましくはポリエステルフィルム)と前記ポリマー層の密着性を高めることができる。これは、窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分が一定範囲の分子量を有することで、ある程度の嵩高さをもったポリエステル末端が前記ポリマー層に拡散し投錨効果を発揮するためである。
1およびR2で表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
1およびR2が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。なお、R1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルコキシ基の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルコキシ基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシカルボニル基のアルコキシ部としては、上述したアルコキシ基の例を挙げることができる。
1およびR2で表されるアミノカルボニル基は、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニル基、炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基であることが好ましい。アルキルアミノカルボニル基のアルキルアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基のアリールアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアリール基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリールオキシ基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリールオキシ基のアリール部としては、上述したアリール基の例を挙げることができる。
1およびR2で表されるアシル基は、炭素数2〜20のアシル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアシル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアシル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアシル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアシル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であることがより好ましいR1およびR2が表すアリールオキシカルボニル基のアリール部としては、上述したアリール基の例を挙げることができる。
3はアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R3が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R3が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
3が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。
アリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R3が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
3が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
なお、一般式(1)は、繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、R1またはR3の少なくとも一方が繰り返し単位であり、この繰り返し単位には、ケテンイミン部が含まれることが好ましい。
また、ケテンイミン化合物としては、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0006157892
ここで一般式(2)中、R1はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2は置換基としてL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3はアルキル基またはアリール基を表す。nは1〜4の整数を表し、L1はn価の連結基を表す。(R1−C(=C)−R2−)n−L1基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(2)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、R2は、n価の連結基であるL1を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基としては、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
1はn価の連結基を表し、ここで、nは1〜4の整数を表す。中でも、nは2〜4であることが好ましい。
二価の連結基の具体例としては、例えば、−NR8−(R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、水素原子が好ましい)で表される基、−SO2−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−ならびにこれらを2つ以上組み合わせて得られる基が挙げられる。
三価の連結基の具体例としては、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから1つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
四価の連結基の具体例としては、例えば、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから2つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
nを2〜4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。また、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることにより、ケテンイミン基当たりの分子量を低くすることができ、効率良くケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基を反応させることができる。さらに、ケテンイミン部を一分子中に2以上有することにより、ケテンイミン化合物やケテン化合物が揮散することを抑制することができる。
一般式(2)中、nは3または4であることがより好ましい。nを3または4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に3または4有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。また、nを3または4とすることにより、一般式(2)中のR1またはR2の置換基のモル分子量を小さくした場合であっても、ケテンイミン化合物の揮散を抑制することができる。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0006157892
一般式(3)中、R1およびR5はアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R2およびR4は置換基としてL2を有するアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アリールオキシ基、アシル基またはアリールオキシカルボニル基を表す。R3およびR6はアルキル基またはアリール基を表す。L2は単結合または二価の連結基を表す。R1−C(=C)−R2−L2−R4―C(=C)−R5基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(3)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R5は、一般式(1)におけるR1と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R2は、一般式(2)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R4は、一般式(2)におけるR2と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R6は、一般式(1)におけるR3と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、L2は、単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基の具体例としては、一般式(2)のL1で例示した連結基を挙げることができる。
ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であれば良く、400以上であることが好ましく、500以上であることがさらに好ましい。また、一分子中のケテンイミン部の数に対するケテンイミン化合物のモル分子量(モル分子量/ケテンイミン部の数)は、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。本発明では、ケテンイミン化合物のケテンイミン部炭素上の置換基の分子量及びケテンイミン部の数に対するケテンイミン化合物のモル分子量を上記範囲内とすることにより、ケテンイミン化合物自体の揮散を抑制し、ポリエステルの末端カルボキシル基を封止する際に生じるケテン化合物の揮散を抑制し、さらにポリエステルの末端カルボキシル基の封止を低添加量のケテンイミン化合物にて行うことができる。
ケテンイミン基を少なくとも1つ有するケテンイミン化合物は、例えば、J. Am. Chem. Soc., 1953, 75 (3), pp 657−660に記載の方法などを参考にして合成することができる。
下記に一般式(1)で表されるケテンイミン化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0006157892
Figure 0006157892
Figure 0006157892
上記例示化合物に示されているように、ケテンイミン化合物は、3官能または4官能であることがより好ましい。これにより、末端封止効果をより高めることができ、ケテンイミン化合物やケテン化合物の揮散を効果的に抑制することができる。
また、例示化合物(6)のようにケテンイミン部を環骨格として環状構造を有する場合、R1とR3は連結して環状構造を形成し、R3は、環骨格のアルキレン基またはアリーレン基からなる。この場合、R1はケテンイミン部を含む連結基を有する。
例示化合物(10)は繰り返し数nの繰り返し単位を示し、nは3以上の整数を表す。例示化合物(10)に示される左末端は水素原子であり、右末端はフェニル基である。
前記基材フィルムとして用いられるポリエステル支持体は高い耐加水分解性を有することが好ましい。このためポリエステル中のカルボキシル基含量は50当量/t以下が好ましく、より好ましくは35当量/t以下であり、さらに好ましくは20当量/t以下である。カルボキシル基含量が50当量/t以下であると、耐加水分解性を保持し、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。カルボキシル基含量の下限は、ポリエステル支持体に形成される層(例えば前記ポリマー層)との間の接着性を保持する点で、2当量/t、より好ましくは3当量/t、さらに好ましくは3当量/tが望ましい。
ポリエステル中のカルボキシル基含量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)、固相重合、添加剤(末端封止剤等)により調整することが可能である。
−基材フィルムの製造方法−
以下、基材フィルムの製造方法の好ましい態様について、基材フィルムがポリエステルである場合を例に挙げて説明する。
前記基材フィルムは、例えば、上記のポリエステルをフィルム状に溶融押出を行った後、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるように延伸した2軸延伸フィルムであることが好ましい。
さらに、必要に応じて180〜230℃で1〜60秒間の熱処理を行ったものでもよい。
以下、基材フィルムの製造方法の好ましい態様について、説明する。
ポリエステルフィルム形成工程、すなわちポリエステルフィルムを製膜する工程では、樹脂組成物に含まれるポリエステルおよびケテンイミン化合物、カルボジイミド化合物等を溶融させた溶融体をギアポンプや濾過器を通し、その後、ダイを介して冷却ロールに押出し、これを冷却固化させることで(未延伸)フィルムを形成することができる。溶融は押出し機を用いて行なうが、単軸押出し機を用いても良く、2軸押出し機を用いても良い。
カルボジイミドやケテンイミン化合物は、直接これらの押出し機に添加しても良いが、予めポリエステルとマスターバッチを形成し押出し機に投入することが、押出し安定性の観点から好ましい。マスターバッチを形成する場合は、ケテンイミン化合物を含むマスターバッチの供給量に上記変動を与えることが好ましい。なお、マスターバッチケテンイミンの濃度は濃縮したものを使用することが好ましく、製膜後のフィルム中の濃度の2〜100倍、より好ましくは5〜50倍にすることがコストの観点から好ましい。
押出しは真空排気や不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。これによりでケテンイミン、カルボジイミド化合物等の分解を抑止できる。押出し機の温度は使用するポリエステルの融点から融点+80℃以下で行なうことが好ましく、より好ましくは融点+10℃以上、融点+70℃以下、さらに好ましくは融点+20℃以上、融点+60℃以下である。この範囲未満では充分に樹脂が融解せず、一方この範囲を超えるとポリエステルやケテンイミン化合物、カルボジイミド化合物等が分解し好ましくない。なお、この押出しの前に、ポリエステルやケテンイミン化合物、カルボジイミド化合物等のマスターバッチを乾燥しておくことが好ましく、好ましい含水率は10〜300ppm、より好ましくは20〜150ppmである。
なお、押出された溶融体は、ギアポンプ、濾過機、多層ダイを通してキャストドラム上に流涎される。多層ダイの方式はマルチマニホールドダイ、フィードブロックダイ、どちらも好適に用いることができる。ダイの形状はT−ダイ、ハンガーコートダイ、フィッシュテール、いずれでも構わない。このようなダイの先端(ダイリップ)に上述のような温度変動を付与することが好ましい。
キャストドラム上では、溶融樹脂(メルト)を、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、キャストドラムの駆動速度に上記のような変動を与えることが好ましい。キャストドラムの表面温度は、おおよそ10℃〜40℃とすることができる。キャストドラムの直径は0.5m以上5m以下が好ましく、より好ましくは1m以上4m以下である。キャストドラムの駆動速度(最外週の線速度)は1m/分以上50m/分以下が好ましく、より好ましくは3m/分以上30m/分以下である。
<延伸工程>
フィルム形成工程によって形成された(未延伸)フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸は縦方向(MD)、横方向(TD)の少なくとも一方に行なうことが好ましく、より好ましくは、MD、TDの両方延伸を行なうことが、フィルムの物性にバランスが取れ好ましい。このような2方向延伸は、縦、横逐次におこなっても良く、同時に実施しても良い。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた(未延伸)フィルムに1つまたは2つの方向に延伸されることが好ましく、2つの方向に延伸されることがより好ましい。2つの方向への延伸(二軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。この時、上述のように温度分布を付与することが好ましい。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。二軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
二軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg1)℃〜(Tg1+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg1)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
縦二軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、またチャックで幅方向を把持した後、このチャック間の長手方向の間隔を広げることで延伸しても良い。
横延伸はフィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
同時延伸は、チャックで把持したあと、長手方向にチャック間隔を拡げる操作と、幅方向にチャック間隔を拡げる操作を組み合わせることで実施できる。
これらの延伸工程に、後述する下塗り層の塗布工程を組み合わせることが好ましい。下塗り層は、このような延伸工程の前や延伸工程の間の工程において、塗布によりポリエステルフィルムの表面に形成されることが好ましい。すなわち、本発明では、ポリエステルフィルム基材を少なくとも1回延伸することが好ましい。
例えば、延伸工程と塗布工程は、下記のような組合せで実施することができる。
(a)縦延伸→塗布→横延伸
(b)塗布→縦延伸→横延伸
(c)塗布→縦、横同時延伸
(d)縦延伸→横延伸→塗布→縦延伸
(e)縦延伸→横延伸→塗布→横延伸
この中で好ましいのが(a)、(b)、(c)であり、さらに好ましいのが(a)である。この手法が最も密着力が高く、設備もコンパクトとなり好ましい。
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180〜225℃程度(更に好ましくは、185〜210℃)で1〜60秒間(更に好ましくは2〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
延伸工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜220℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも1〜12%であることが好ましく、1〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
前記基材フィルムの厚みは、30μm以上350μmが好ましいが、耐電圧の観点から、160μm以上300μm以下がより好ましく、さらに好ましくは180μm以上280μm以下である。
前記基材フィルムは、120℃、相対湿度100%の条件で50時間保存した後の破断伸びが、前記保存前の破断伸びに対して50%以上であるものが好ましい(以下、当該条件により湿熱処理した基材フィルムの処理前後における破断伸びの保持率を、単に「破断伸び保持率」ともいう。)。破断伸び保持率が50%以上であることで、加水分解に伴う変化が抑えられ、長期使用の際に塗布層との密着界面での密着状態が安定的に保持されることにより、経時での剥離等が防止される。これにより、バックシートが、例えば屋外等の高温、高湿環境や曝光下に長期に亘り置かれる場合でも、高い耐久性能を示す。より好ましくは50%に達する時間が75時間以上200時間以下が好ましく、より好ましくは100時間以上180時間以下である。
前記基材フィルムは180℃で50時間熱処理した後の破断強度が、熱処理前の破断強度の50%以上であることが好ましい。より好ましくは180℃で80時間熱処理した後の破断強度が熱処理前の破断強度の50%以上であり、さらに好ましくは180℃で100時間熱処理した後の破断強度が熱処理前の破断強度の50%以上である。これにより高温に曝されたときの耐熱性を良好にすることができる。
また、前記基材フィルムは150℃で30分間熱処理をした時の熱収縮がMD,TDとも1%以下、より好ましくは0.5%以下であることが好ましい。熱収縮を1%以下に保つことにより、太陽電池モジュールを形成した時の反りを防止することができる。
前記基材フィルムは必要に応じてコロナ処理、火炎処理、グロー放電処理のような表面処理を行ってもよい。これらのうちでコロナ処理は低コストで行うことができる、好ましい表面処理方法である。
コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を、基材フィルムを通過させることにより行う。
本発明で用いる好ましい処理条件は、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m2程度が好ましい。
グロー放電処理は、真空プラズマ処理またはグロー放電処理とも呼ばれる方法で、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、基材表面を処理する方法である。本発明の処理で用いる低圧プラズマはプラズマガスの圧力が低い条件で生成する非平衡プラズマである。本発明の処理は、この低圧プラズマ雰囲気内に被処理フィルムを置くことにより行われる。
前記グロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。
交流を用いる場合には50又は60Hzの商用の周波数を用いてもよいし、10〜50kHz程度の高周波を用いてもよい。また、13.56MHzの高周波を用いる方法も好ましい。
前記グロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。また、特に気体を処理容器に導入せず、リークにより処理容器にはいる大気や被処理物から出る水蒸気などの気体をプラズマガスとして用いる方法も好ましい。
プラズマガスの圧力としては、非平衡プラズマ条件が達成される低圧が必要である。具体的なプラズマガスの圧力としては、0.005〜10Torr、より好ましくは0.008〜3Torr程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.005Torr未満の場合は接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に10Torrを超えると電流が増大して放電が不安定になる場合がある。
プラズマ出力としては、処理容器の形状や大きさ、電極の形状などにより一概には言えないが、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
前記グロー放電処理の処理時間は0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度が好ましい。処理時間が0.05未満の場合には接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に100秒を超えると被処理フィルムの変形や着色等の問題が生じる場合がある。
前記グロー放電処理の放電処理強度はプラズマ出力と処理時間によるが、0.01〜10kV・A・分/m2の範囲が好ましく、0.1〜7kV・A・分/m2がより好ましい。放電処理強度を0.01kV・A・分/m2以上とすることで充分な接着性改良効果が得られ、10kV・A・分/m2以下とすることで被処理フィルムの変形や着色といった問題を避けることができる。
前記グロー放電処理では、あらかじめ被処理フィルムを加熱しておくことも好ましい。この方法により、加熱を行わなかった場合に比べ、短時間で良好な接着性が得られる。加熱の温度は40℃〜被処理フィルムの軟化温度+20℃の範囲が好ましく、70℃〜被処理フィルムの軟化温度の範囲がより好ましい。加熱温度を40℃以上とすることで充分な接着性の改良効果が得られる。また、加熱温度を被処理フィルムの軟化温度以下とすることで処理中に良好なフィルムの取り扱い性が確保できる。
真空中で被処理フィルムの温度を上げる具体的方法としては、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱などが挙げられる。
(その他の層)
−下塗り層−
本発明の太陽電池用バックシートには、前記基材フィルム(支持体)と前記ポリマー層との間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層の厚みは、2μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.005μm〜2μmであり、更に好ましくは0.01μm〜1.5μmである。厚みが0.005μm未満であると、塗布ムラを生じ易く、2μmを超えると、フィルムがベタツキ、加工性に劣る場合がある。
前記下塗り層は、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる1種類以上のポリマーを含有することが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン共重合体が好ましい。前記ポリオレフィン樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、アローベースSE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(ともにユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(ともに東邦化学(株)製)、ケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)などを挙げることができる。その中でも、低密度ポリエチレン、アクリル酸エステル、無水マレイン酸の三元共重合体である、アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが好ましい。
前記アクリル樹脂としては、例えば、ホリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。前記アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等が好ましい。前記ポリエステル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリウレタン樹脂としては、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂が好ましく、例えば、スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
これらの中でも、基材フィルムおよび前記ポリマー層との接着性を確保する観点から、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、これらのポリマーは単独で用いても2種以上併用して用いてもよく、2種以上併用する場合は、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せが好ましい。
前記下塗り層は、架橋剤を含有すると、下塗り層の耐久性を向上することができるため、より好ましい。架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。その中でも本発明のポリマーシートは、前記下塗り層における前記架橋剤が、オキサゾリン系架橋剤であることが好ましい。オキサゾリン基を有する架橋剤として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS−500、同WS−700(いずれも(株)日本触媒製)等を利用することができる。
架橋剤の添加量は、下塗り層を構成するバインダーに対して0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、特に好ましくは3質量%以上15質量%未満である。特に架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、下塗り層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、30質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保て、15質量%未満であると塗布面状を改良できる。
前記下塗り層は、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤を含有することが好ましい。前記下塗り層に用いることができる界面活性剤の範囲は前記白色層に用いることができる界面活性剤の範囲と同様である。中でもアニオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜10mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜3mg/m2である。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、10mg/m2以下であると、前記基材フィルムと前記ポリマー層との接着を良好に行なうことができる。
前記下塗り層をコートする方法は、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレーあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材フィルムを水性液に浸漬して行ってもよい。またコストの点から、水性液を、フィルム製造工程内でフィルムにコーティングする、いわゆるインラインコート法により塗布するのが好ましい。具体的には、例えば、上記前記基材フィルムの作製において、基材フィルムに用いられるポリマーを、例えば押し出し、静電密着法等を併用しつつ冷却ドラム上にキャストしてシートを得た後に縦方向に延伸し、次いで当該縦延伸後の基材フィルムの片面に、上記水性液を塗布した後に横方向に延伸するなどの方法を使用することができる。コート時の乾燥、熱処理の条件はコート厚み、装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。
なお、基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理を施してもよい。
水性塗布液中の固形分濃度は、30質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。固形分濃度の下限は1質量%が好ましく、さらに好ましくは3質量%、特に好ましくは5質量%である。上記範囲により、面状が良好な下塗り層を形成することができる。
−オーバーコート層−
オーバーコート層は、本発明の太陽電池用バックシートと太陽電池素子を封止するための封止材(好ましくはEVAフィルム)を接着しやすくするために、前記ポリマー層の面上に設けられてもよい。
オーバーコート層は、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂から選ばれる1種類以上のポリマーを含有することが好ましい。これらの樹脂は密着力を得やすいため好ましく用いられる。
さらに具体的には、例えば以下の樹脂が挙げられる。
前記アクリル樹脂としては、例えば、ホリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。前記アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸/イソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、アジピン酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル等がある。ポリエステル系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。また、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
前記ポリウレタン樹脂としては、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、エーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。また、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス460、800、870いずれも第一工業製薬(株)製などを挙げることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン共重合体が好ましい。これは、本発明の太陽電池バックシートに、変性ポリオレフィン樹脂を含むオーバーコート層を設けておけば、オーバーコート層上に隣接するオレフィン系樹脂と親和性が高いためである。前記ポリオレフィン樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、アローベースSE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(ともにユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(ともに東邦化学(株)製)、ケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)などを挙げることができる。その中でも、本発明では、低密度ポリエチレン、アクリル酸エステル、無水マレイン酸の三元共重合体である、アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが密着性を向上させる上で好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂は単独で用いても2種以上併用して用いてもよく、2種以上併用する場合は、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せ、ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せ、ウレタン樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せが好ましく、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せがより好ましい。
アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂の組合せで用いる場合、前記オーバーコート層中のポリオレフィン樹脂とアクリル樹脂の合計に対するアクリル樹脂の含有量は、3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、7〜25質量%であることが特に好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂に、ポリエステル樹脂(例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく組合せて用いることができる。またポリオレフィン樹脂にポリウレタン樹脂を加えることも好ましく、例えば、カーボネート系ウレタン樹脂が好ましく、例えば、スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
オーバーコート層に架橋剤を含有させると、密着性を向上することができ、より好ましい。架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。その中でも本発明では、架橋剤がオキサゾリン系架橋剤であることが好ましい。オキサゾリン基を有する架橋剤として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS−500、同WS−700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等を利用することができる。
架橋剤の添加量は、オーバーコート層を構成するバインダーに対して0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%であり、特に好ましくは5質量%以上30質量%未満である。特に架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、オーバーコート層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、50質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保て、40質量%未満であると塗布面状を改良できる。
前記オーバーコート層には、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤を含有することが好ましい。中でもアニオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜10mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜4mg/m2である。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、10mg/m2以下であると、オーバーコート層と、前記ポリマー層との接着を良好に行なうことができる。
オーバーコート層形成用の塗布液には、さらに、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
オーバーコート層の厚みは0.1〜5μmであればよく、0.2〜3μmであることが好ましく、0.2〜1.5μmであることがより好ましい。なお、オーバーコート層の厚みとは、オーバーコート層の平均の膜厚をいう。オーバーコート層の厚みを上記範囲内とすることにより、上記効果が得られやすい。
オーバーコート層の形成方法としては、塗布による方法がある。塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
オーバーコート層の塗布量は、0.1〜5g/m2であることが好ましく、0.2〜3g/m2であることがより好ましい。
また、オーバーコート層を塗布により形成する場合は、熱処理後の乾燥ゾーンにおいてオーバーコート層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、酸化チタンを含むポリマー層やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
また、オーバーコート層を塗布する前に、コロナ処理、グロー処理、大気圧プラズマ処理、火炎処理、UV処理等の表面処理を行うことも好ましい。
オーバーコート層形成用の塗布液を塗布した後には、オーバーコート層を乾燥させる工程を設けることが好ましい。乾燥工程は、オーバーコート層に乾燥風を供給する工程である。乾燥風の平均風速は、5〜30m/秒であることが好ましく、7〜25m/秒であることがより好ましく、9〜20m/秒以下であることがさらに好ましい。
−耐候性層−
本発明の太陽電池用バックシートは、前記基材フィルムの、前記ポリマー層が配置されている面とは反対側の面に、さらに、フッ素系樹脂およびシリコーン−アクリル複合樹脂の少なくとも一方を含有する耐候性層を有することが好ましい。
前記シリコーン−アクリル複合樹脂(以降「複合ポリマー」と言う場合がある)は、分子中に−(Si(R1)(R2)−O)n−部分と該部分に共重合するポリマー構造部分を含むシリコーン繰り返し単位とアクリル繰り返し単位の共重合体であることが好ましい。
複合ポリマー中のポリシロキサンセグメントである「−(Si(R1)(R2)−O)n−」の部分において、R1及びR2は同一でも異なってもよく、Si原子と共有結合可能な1価の有機基を表す。
1及びR2で表される「Si原子と共有結合可能な1価の有機基」としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基(例:メチル基、エチル基など)、置換又は無置換のアリール基(例:フェニル基など)、置換又は無置換のアラルキル基(例:ベンジル基、フェニルエチルなど)、置換又は無置換のアルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、置換又は無置換のアリールオキシ基(例:フェノキシ基など)、置換又は無置換のアミノ基(例:アミノ基、ジエチルアミノ基など)、メルカプト基、アミド基、水素原子、ハロゲン原子(例:塩素原子など)等が挙げられる。
中でも、R1、R2としては各々独立に、無置換の又は置換された炭素数1〜4のアルキル基(特にメチル基、エチル基)、無置換の又は置換されたフェニル基、メルカプト基、無置換のアミノ基、アミド基が好ましい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の具体例としてはジメチルジメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/γ−メタクリロキシトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/ビニルトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/2−ヒドロキシエチルトリメトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランの加水分解縮合物、ジメチルジメトキシシラン/ジフェニル/ジメトキシシラン/γ−メタクリロキシトリメトキシシランの加水分解縮合物等がある。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)は線状構造であってもよいし、分岐構造でもよい。さらに分子鎖の一部が環を形成してもよい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の比率は、複合ポリマーの全質量に対して15〜85質量%が好ましく、その中でも20〜80質量%の範囲が特に好ましい。
ポリシロキサン部位の比率は、15質量%未満であると湿熱環境下に曝された際の接着性が劣る場合があり、85質量%を超えると液が不安定になる場合がある。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で30000〜1000000程度であるが、50000〜300000程度がより好ましい。
複合ポリマーの−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)の作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。具体的にはジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシランのようなアルコキシシラン化合物の水溶液に酸を加えて加水分解した後に縮合させる等の方法がある。
前記ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分としては、特に制限されるものではなく、アクリル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ゴム系ポリマーなどを用いることができる。このうち、耐久性の観点からアクリル系ポリマーは特に好ましい。
アクリル系ポリマーを構成するモノマーとしてアクリル酸のエステル(例:エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)又はメタクリル酸のエステル(例:メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等)から成るポリマーを挙げることができる。さらに、モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などのカルボン酸、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
アクリル系ポリマーはこれらのモノマーの1種以上を重合したポリマーでホモポリマーでもコポリマーでもよい。
アクリルポリマーの具体例としては、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ビドロキシエチルメタアクリレート/メタクリル酸/γ−メタクリロキシトリメトキシシラン共重合体、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート/アクリル酸共重合体等がある。
ポリウレタン系ポリマーとしてはトルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートとジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのポリオールからなるポリウレタン系ポリマーを好ましく使用することができる。ポリウレタン系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ポリウレタン系ポリマーの具体例としては、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコール/ネオペンチルグリコールから得られるウレタン、ヘキサメチレンジイソシアネートとジエチレングリコールから得られるウレタン等がある。
ポリエステル系ポリマーとしてはテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、スルホイソフタル酸などのポリカルボン酸とポリウレタンのところで述べたポリオールからなるポリエステル系ポリマーを好ましく使用することができる。ポリエステル系ポリマーの作成方法には特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ポリエステル系ポリマーの具体例としては、テレフタル酸/イソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、テレフタル酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル、アジピン酸/イソフタル酸/スルホイソフタル酸とジエチレングリコールから得られるポリエステル等がある。
ゴム系ポリマーとしてはブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系モノマーからなるポリマーと、これらのジエン系モノマーとこれと共重合可能なスチレンなどのモノマーのコポリマーを好ましく使用することができる。ゴム系ポリマーの作成方法にも特に制限はなく公知の合成方法を用いることができる。
ゴム系ポリマーの具体例としては、ブタジエン/スチレン/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、ブタジエン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、イソプレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー、クロロプレン/アクリロニトリル/メタクリル酸からなるゴム系ポリマー等がある。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分を構成するポリマーは、一種単独でもよいし、2種以上の併用であってもよい。さらに個々のポリマーはホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分の分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で3000〜1000000程度であるが、5000〜300000程度がより好ましい。
前記−(Si(R1)(R2)−O)n−部分(ポリシロキサン部分)とこの部分に共重合するポリマー構造部分を化学的に結合させる方法には特に制限はなく、例えばポリシロキサン部分とこの部分に共重合するポリマー構造部分を別々に重合し、各々のポリマーを化学結合させる方法、ポリシロキサン部分を予め重合しておきこれにグラフト重合する方法、共重合ポリマー部分を予め重合しておきこれにポリシロキサン部分をグラフト重合する方法等がある。後者の2方法は作成が容易で好ましい。たとえば、ポリシロキサン部分にアクリルポリマーを共重合する方法として、γ−メタクリロキシトリメチルシラン等を共重合したポリシロキサン部分を作成し、これとアクリルモノマーをラジカル重合する方法がある。また、アクリルポリマー部分にポリシロキサンを共重合させる方法としてγ−メタクリロキシトリメチルシランを含むアクリルポリマーの水分散物にアルコキシシラン化合物を加えて加水分解と縮重合を起こさせる方法がある。
ポリシロキサン部分と共重合するポリマー構造部分がアクリル系ポリマーの場合には、乳化重合、塊状重合などの公知の重合方法を用いることができるが、合成のしやすさや水系のポリマー分散物が得られる点から乳化重合は特に好ましい。
また、グラフト重合に用いる重合開始剤には特に制限はなく、過硫酸カリ、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリルなどの公知の重合開始剤を用いることができる。
耐候性層のバインダーとして以上述べたシリコーン系複合ポリマーを用いることにより、耐候性層と前記基材フィルムの間の接着性を特に良好にすることが可能になり、長期間経時させても接着性の低下を小さく保つことが可能になる。
前記シリコーン系複合ポリマーは水系のポリマー分散物(いわゆるラテックス)の形とすることが好ましい。シリコーン系複合ポリマーのラテックスの好ましい粒径は50〜500nm程度であり、好ましい濃度は15〜50質量%程度である。
前記のシリコーン系複合ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。本発明のシリコーン系複合ポリマーがカルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
本発明で使用できるシリコーン系複合ポリマーは市販されているものもある。市販品の具体例としては例えば、セラネートWSA1060、1070(以上DIC(株)製)、ポリデュレックスH7620、H7630、H7650(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)等がある。
前記耐候性層を形成するための、耐候性層形成用組成物が含有するフッ素系樹脂としては、例えば、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が挙げられる。中でも、溶解性、および耐候性の観点から、ビニル系化合物と共重合させたクロロトリフルオロエチレン・ビニルエーテル共重合体が好ましい。
前記耐候性層形成用組成物が含有するフッ素系樹脂としては、オブリガートSW0011F〔AGCコーテック(株)製〕、ルミフロンLF200(旭硝子(株)製)、ゼッフルGK570(ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。
前記耐候性層形成用組成物の全固形分質量に対するフッ素系樹脂の含有量は、耐候性と膜強度の観点から、40質量%〜90質量%であることが好ましく、50質量%〜80質量%であることがより好ましい。
前記耐候性層形成用組成物が含有するシリコーン−アクリル複合樹脂としては、セラネートWSA1060、WSA1070〔共にDIC(株)製〕とH7620、H7630、H7650〔共に旭化成ケミカルズ(株)製〕が挙げられる。
前記耐候性層形成用組成物全固形分質量に対するシリコーン−アクリル複合樹脂の含有量は、耐候性と膜強度の観点から、40質量%〜90質量%であることが好ましく、50質量%〜80質量%であることがより好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートは、前記耐候性層が架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。このなかで特にオキサゾリン系架橋剤(オキサゾリン基をもつ化合物)が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、分子中に2個以上のオキサゾリン基を有するものであり低分子化合物であっても重合体であってもよいが、重合体の方が、接着性が良好であるため好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、低分子化合物のオキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等がある。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤は、その構成成分として付加重合性オキサゾリンを必須とし、付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体をも含むモノマー成分を重合させることにより得ることができる。
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが好ましく挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが入手の容易さや接着性を良好にするために好ましい。これら付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されないが、モノマー成分中5質量%以上とすることが好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、オキサゾリン基と反応しないものから選ぶことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムおよび(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレンおよびプロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもよい。
本発明の太陽電池用バックシートでは、前記オキサゾリン系架橋剤、すなわち、前記オキサゾリン基をもつ化合物が(メタ)アクリル酸エステルユニットを含む共重合体であることが好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤は、水溶性および/または水分散性などの水性であることが、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体との混合安定性が優れる点から好ましく、水溶性であることがより好ましい。重合体のオキサゾリン系架橋剤の重合方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば水性媒体中で溶液重合、乳化重合、懸濁重合または塊状重合させる方法などが挙げられ、これらの方法などで水溶液または水分散体などを得ることができる。これら重合体のオキサゾリン系架橋剤は、接着性や耐候性を良好にするために、不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことが好ましい。
重合体のオキサゾリン系架橋剤の分子量は、数平均分子量で1000〜80000であることが好ましく、3000〜60000がより好ましく、5000〜40000がさらに好ましく、8000〜30000が特に好ましく、10000〜20000が最も好ましい。数平均分子量が1000未満の場合は、接着性や耐候性が低下する傾向にあり、80000を超えた場合は、重合体の製造が困難となる。
また、オキサゾリン系架橋剤は、市販品を用いてもよく、例えば、水性分散体タイプのエポクロス「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、K2010E、K2020E、K2030E、水溶液タイプのWS500、WS700〔いずれも(株)日本触媒製エポクロスシリーズ〕等を用いることができる。
前記耐候性層中において、前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、15質量%以上50質量%未満であることがより好ましく、20質量%以上50質量%未満の範囲であることが特に好ましい。架橋剤含有量が1.0質量%以上であることで前記耐候性層の耐溶剤性を改良することができ、5質量%以上であることで、充分な架橋効果が得られ前記耐候性層の強度低下や高温高湿経時後のハガレを抑制することができる。一方、50質量%未満であることで、前記耐候性層の高温高湿経時後のハガレを改良することができる。
前記耐候性層形成用組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。
前記耐候性層形成用組成物が架橋剤を含有することで、前記耐候性層形成用組成物に含まれるバインダー樹脂を架橋し、接着性及び強度のある前記耐候性層を形成することができ、好ましい。
前記耐候性層形成用組成物の塗布量は、耐候性および基材フィルムとの密着性の観点から、0.5g/m2〜20g/m2とすることが好ましく、3g/m2〜15g/m2とすることがより好ましい。
前記耐候性層形成用組成物を形成するための方法は、特に制限はないが、塗布により形成することが好ましい。
塗布方法としては、たとえばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
前記耐候性層形成用組成物の塗布溶媒としては好ましくは水が用いられ、耐候性層形成用組成物に含まれる溶媒中の60質量%以上が水であることが好ましい。水系組成物は、環境に負荷かけにくい点で好ましく、また水の割合が60質量%以上であることにより、防爆性、および安全性の点で有利である。
前記耐候性層形成用組成物中の水の割合は、環境負荷の観点からは、さらに多い方が望ましく、水が全溶媒の70質量%以上含まれる場合がより好ましい。
前記耐候性層は、前記無機酸化物フィラー及び無機酸化物フィラー以外の微粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
前記耐候性層の層厚は、0.5μm〜15μmであることが好ましく、3μm〜10μmであることがより好ましい。膜厚を0.5μm以上とすることで、耐候性を十分に発現することができ、15μm以下とすることで面状悪化を抑制することができる。
なお、前記耐候性層は、単層でもよいし、2層以上を積層した構成としてもよい。本発明の太陽電池用保護シートは、前記耐候性層を2層積層した構成であることが好ましい。
<太陽電池用バックシートの特性>
(60°光沢度)
本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層が配置されている面(最外表面)は、60°光沢度が50%以上であることが好ましい。60°光沢度が50%以上であることが、審美性の観点から好ましい。前記60°光沢度は60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層が配置されている面の60°光沢度は、前記ポリマー層に前記無機オニウム化合物を含めることにより、前記酸化チタン粒子の平均粒径が小さくなる、および/または粒子径がより均一になることで上記範囲に制御することができる。
<太陽電池用積層体>
本発明の太陽電池用バックシートを用いて、本発明の太陽電池用バックシートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはポリビニルブチラールを含む封止材と、を有し、太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと封止材との間に配置される太陽電池用積層体とすることも好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートは、前記ポリマー層側の面が太陽電池モジュールに用いられる封止材(例えばEVA、PVB。特にEVA)との密着性が良好であるため、接着剤層などを介さずに、両者と貼りあわせることができる。また、このような太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムとエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止材との間に配置される太陽電池用積層体は、湿熱環境下で経時しても、両者の密着性が長期間にわたって良好である。
このような太陽電池用積層体は、そのまま太陽電池素子を封止する封止材そのものとして用いてもよく、太陽電池モジュールの封止材の一部として用いてもよい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池用バックシートは、太陽電池モジュールの製造に好適である。
太陽電池モジュールは、例えば、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明の太陽電池用バックシートとの間に配置し、該基板とバックシートとの間をエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止材で封止して構成される。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、太陽電池素子と、前記太陽電池素子を封止する封止材と、前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有し、前記太陽電池用バックシートが本発明の太陽電池用バックシートを含む。
さらに、本発明の太陽電池モジュールは、前記太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと前記封止材との間に配置されることが好ましい。
また、本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、太陽電池素子と、前記太陽電池素子を封止する封止材と、前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有し、前記太陽電池用バックシートおよび前記封止材として本発明の太陽電池用積層体を含む態様であってもよい。
好ましくは、太陽電池素子と、太陽電池素子を封止する封止材と、封止材と接着し、受光面側を保護する表面保護部材と、封止材と接着し、受光面とは反対側を保護する裏面保護部材とを有し、封止材がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含み、裏面保護部材が本発明の太陽電池用バックシートであって、該太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと封止材との間に配置される構成とすることができる。このような太陽電池モジュールであれば、太陽電池用バックシートがEVAと湿熱環境下であっても長期にわたって密着し、長寿命の太陽電池モジュールとすることができる。
前記透明性のフロント基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
前記太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、体積平均粒子径は、日機装社製、マイクロトラックMT3300EX2を用いて測定した。
実施例1〜17、20および24は参考例である。
[実施例1]
<基材フィルムの作製>
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。そして、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
但し、前記チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落番号[0083]の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。
−固相重合−
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行った。
−ベース、下塗り層形成−
以上のように固相重合を経た後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約3mmの未延伸ベースを作成した。その後、90℃で縦方向に3.4倍に延伸し、次いで、下記下塗り層形成用塗布液をポリエチレンテレフタレート支持体の下記コロナ処理面に、塗布量が5.1ml/m2となるように、MD延伸後、TD延伸前にインラインコート法にて塗布を行い、厚み0.1μmの下塗り層を形成した。なお、TD延伸温度は、105℃で、TD方向に4.5倍に延伸し、膜面200℃で15秒間の熱処理を行い、190℃でMD緩和率5%、・TD緩和率11%でMD・TD方向に熱緩和を行い、厚み250μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体(以下、「PET基材フィルム」と称する。)を得た。
−下塗り層用塗布液1の調製−
下記組成中の成分を混合し、下塗り層用塗布液1を調製した。
(1)下塗り層形成用塗布液1の調製
下記組成中の各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液を調製した。
<塗布液の組成>
・ポリオレフィンバインダー … 24.12質量部
(アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、濃度20質量%)
・オキサゾリン系架橋剤 … 3.90質量部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、濃度25質量%)
・フッ素系界面活性剤 … 0.19質量部
(ナトリウム=ビス(3、3、4、4、5、5、6、6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、三協化学(株)製、濃度1質量%)
・蒸留水 … 71.80質量部
(2)下塗り層の形成前処理
下塗り層の形成前にPET基材フィルムの一方の面に、下記の条件でコロナ処理を行った。
・電極と誘電体ロールギャップクリアランス:1.6mm
・処理周波数:9.6kHz
・処理速度:20m/分
・処理強度:0.375kV・A・分/m2
<ポリマー層の形成>
−白色無機微粒子分散物1の調製−
下記組成中の成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により分散処理を施し、固形分49.0%、平均粒径0.55μmの白色無機微粒子分散物1を得た。

(白色無機微粒子分散物1の組成)
・二酸化チタン 1000質量部
〔タイペークCR−95、石原産業(株)製、一次平均粒径0.28μm、固形分:100質量%;白色顔料〕
・ポリビニルアルコール(PVA−105)10%水溶液 500質量部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:100質量%〕
・界面活性剤 12質量部
〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25質量%〕
・蒸留水 631質量部
・防腐剤 6.5質量部
〔AF337、大東化学(株)製、固形分:3.5%〕
−ポリマー層用塗布液1の調製−
下記組成中の成分を混合し、ポリマー層用塗布液1を調製した。
(ポリマー層用塗布液1の組成)
・上記にて得られた白色無機微粒子分散物1 334質量部
・ポリオレフィン樹脂水分散液 604質量部
〔アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製、
固形分:20.2質量%〕
・リン酸水素二アンモニウム 8.1質量部
〔食添用第2リン酸アンモン、日本化学工業(株)製、35%水溶液〕
・蒸留水 44質量部
・フッ素系界面活性剤 9.4質量部
(ナトリウム=ビス(3、3、4、4、5、5、6、6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度1質量%)
−ポリマー層用塗布液の評価−
上記により得られたポリマー層用塗布液の粒径経時安定性および粘度経時安定性について、以下の評価を行った。
得られた結果を、下記表1に記載した。
(粒径経時安定性)
ポリマー層用塗布液の粒径をマイクロトラックMT3300EX2(日機装(株)製)を使用して、調液直後および3日間室温で攪拌し続けた後に測定した。以下の式にしたがって、粒径経時安定性ΔD50を求めた。
ΔD50=D50(t=3d)−D50(t=0)
(上記式中、D50(t=0)[単位:μm]は調液直後のポリマー層用塗布液において、この数値以下の粒径の粒子が、ポリマー層用塗布液全体に含まれる粒子の体積の50%を占める値を表す。D50(t=3d)[単位:μm]は3日間室温で攪拌し続けた後のポリマー層用塗布液において、この数値以下の粒径の粒子が全体の体積の50%を占めるような値を表す。)
その結果を、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランクA、Bが実用上許容可能な範囲である。
A:3日時点でΔD50≦0
B:3日時点で0<ΔD50≦0.05
C:3日時点で0.05<ΔD50≦0.1
D:3日時点で0.1<ΔD50
(塗布液粘度経時安定性)
ポリマー層用塗布液の粘度をB型粘度計(東京計器(株)製)を使用して、調液直後および3日間室温で攪拌し続けた後に測定した。以下の式にしたがって、塗布液粘度経時安定性Δμを求めた。
Δμ=μ(t=3d)−μ(t=0)
(上記式中、μ(t=0)[単位:mPa・s]は調液直後のポリマー層用塗布液の粘度を表し、μ(t=3d)[単位:mPa・s]は3日間室温で攪拌し続けた後のポリマー層用塗布液の粘度を表す。)
その結果を、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランクA、Bが実用上許容可能な範囲である。
A:3日時点でΔμ≦0.5
B:3日時点で0.5<Δμ≦1.0
C:3日時点で1.0<Δμ≦2.0
D:3日時点で2.0<Δμ
−及びポリマー層の形成−
下塗り層を形成したPET基材フィルムの片面を、搬送速度80m/分で搬送し、730J/m2の条件でコロナ放電処理を行った後、着色顔料(酸化チタン)が5.80g/m2となるように上記ポリマー層用塗布液1をバーコート法により塗布した後、170℃で2分乾燥した。前記PET基材フィルムの片面に乾燥厚みが6μmの白色のポリマー層が積層された白色PETフィルムを得た。
<耐候性層の形成>
上記白色基材PETフィルムの白色のポリマー層が塗布された面とは反対面に、下記耐候性層第1層および下記耐候性層第2層をこの順で形成した。
−耐候性層第1層形成用塗布液の調製−
下記耐候性層第1層形成用塗布液の組成に示す各成分を混合し、耐候性層第1層形成用塗布液を調製した。
(耐候性層第1層形成用塗布液の組成)
・アクリル/シリコーン系バインダー(シリコーン系樹脂) 188質量部
〔セラネートWSA−1070、DIC社製、固形分:40%〕
・水溶性オキサゾリン化合物 58質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・フッ素系界面活性剤 9.4質量部
(ナトリウム=ビス(3、3、4、4、5、5、6、6−ノナフルオロ)=2−スルホナイトオキシスクシナート、富士フイルムファインケミカル(株)製、濃度1質量%)
・上記白色無機微粒子分散物1 254質量部
−耐候性層第1層の形成−
上記白色PETフィルムの白色のポリマー層が塗布された面とは反対面を、搬送速度80m/分で搬送し、730J/m2の条件でコロナ放電処理を行った。このコロナ放電処理を行った側の表面に対して、その後、上記耐候性層第1層形成用塗布液を、酸化チタンの量が塗布量で10.5g/m2になるように塗布し、170℃で2分間乾燥させて、耐候性層第1層を形成した。
−耐候性層第2層形成用塗布液の調製−
下記耐候性層第2層形成用塗布液の組成に示す各成分を混合し、耐候性層第2層形成用塗布液を調製した。
(耐候性層第2層形成用塗布液の組成)
・フッ素系バインダー 43質量部
〔オブリガートSW0011F、AGCコーテック社製、固形分:36%に水希釈〕
・水溶性オキサゾリン化合物 12質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%〕
・ノニオン系界面活性剤 1.5質量部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)、固形分:1%水溶液〕
・滑剤 25.7質量部
〔ケミパールW950、三井化学(株)製、固形分:5%水希釈〕
・マット剤 5質量部
〔スノーテックスUP、日産化学(株)、固形分2%水希釈〕
・シランカップリング剤 5質量部
〔TSL8340、モメンティブパフォーマンスジャパン、固形分2%加水分解液〕
・蒸留水 114質量部
−耐候性層第2層の形成−
得られた耐候性層第2層形成用塗布液を、耐候性層第1層の上に、フッ素系樹脂の量が塗布量で1.5g/m2になるように塗布し、170℃で2分間乾燥させて、乾燥厚み1.5μmの耐候性層第2層を形成した。
こうして、PET基材フィルムの片面に、下塗り層、白色のポリマー層を設け、PET基材フィルムのその反対面に耐候性層第1層、耐候性層第2層を設けた太陽電池用保護シートを作成した。この太陽電池用保護シートを、実施例1の太陽電池用バックシートとした。
<太陽電池用バックシートの評価>
この実施例1の太陽電池用バックシートをサンプルシートとして用いて、ポリマー層の面状、光沢度、高温高湿経時後の封止材への密着の評価を以下に示す方法により行なった。得られた結果を、下記表1に示す。
−面状−
上記のようにして作製したサンプルシートのポリマー層の面状を、ハロゲンランプ下で、目視にてムラ(白色のムラ)の官能評価を行った。その結果を、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランクA、B、Cが実用上許容可能な範囲である。
(評価基準)
A:ムラが認識できない
B:ランプに透かせた状態で(透過光)、ムラが認識できる
C:斜め45°からムラが認識できる
D:真上からムラが認識できる
−光沢度−
上記のようにして作製したサンプルシートの光沢度を、JIS Z 8741に準拠して、UGV−5D(スガ試験機(株)製)を用いて測定した。その結果を、以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランクA、B、Cが実用上許容可能な範囲である。
(評価基準)
A:60°光沢度が70以上
B:60°光沢度が60以上70未満
C:60°光沢度が50以上60未満
D:60°光沢度が50未満
−高温高湿経時後の封止材への密着−
上記のようにして作製したサンプルシートを20mm巾×150mm長にカットして、サンプル片を1枚準備した。このサンプル片を、白色のポリマー層側が内側になるようにガラスに配置し、この間に20mm巾×100mm長にカットしたEVAシート(Hangzhou First PV Material Co., Ltd製のEVAシート:F806)を挟み、真空ラミネータ(日清紡(株)製の真空ラミネート機PVL0505S)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。このときの接着条件は、以下の通りとした。
真空ラミネータを用いて、145℃で5分間の真空引き後、10分間加圧して接着した。このようにして接着したサンプル片の一端から20mmの部分はEVAと未接着で、残りの100mmの部分にEVAシートが接着された接着評価用試料を得た。
得られた接着評価用試料を、120℃、相対湿度100%の環境条件下で30時間保持(湿熱経時)した後、接着評価用試料のEVA未接着部分を、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)にて上下クリップに挟み、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行ない、接着力を測定した。
測定された接着力をもとに以下の評価基準にしたがってランク付けした。このうち、ランクA、B、Cが実用上許容可能な範囲である。
(評価基準)
A:密着が特に優れていた (6.0N/1mm以上)
B:密着が非常に良好であった(3.0N/1mm以上6.0N/1mm未満)
C:密着は良好であった (2.0N/1mm以上3.0N/1mm未満)
D:密着不良が生じた (2.0N/10mm未満)
−:塗布不可能であった場合
[実施例2〜24、比較例1〜6]
上記ポリマー層塗布液1中の顔料種類、顔料塗布量、顔料比率、バインダー種類、バインダー塗布量、オニウム化合物種類、オニウム化合物塗布量、架橋剤種類、架橋剤塗布量を下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜24および比較例1〜6の太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
(各実施例および比較例で用いた酸化チタンの種類と主鎖構造)
・R780−2:タイペークR−780−2、石原産業(株)製、一次平均粒径0.24μm、固形分:100質量%、白色顔料;
・UT771:タイペークUT771、石原産業(株)製、平均粒径0.25μm、固形分:100質量%、白色顔料。
(各実施例および比較例で用いたバインダーの種類)
・ウレタン樹脂:商品名スーパーフレックス460、第一工業製薬(株)社製、固形分38.1質量%;
・ポリエステル:商品名バイロナールMD−1245、東洋紡(株)社製、固形分30.0質量%;
・アクリル樹脂:AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分28%)。
(各実施例および比較例で用いたオニウム化合物または塩)
・NaCl(非オニウムの塩);
・ベンゼトニウムクロリド(有機オニウム化合物);
・ポリカルボン酸アンモニウム塩(SNディスパーサント5029、サンノプコ(株)製、特開2011−246365号公報に記載の有機オニウム塩);
・テトラブチルアンモニウムクロリド(特開2013−021273号公報に記載の有機オニウム塩);
・テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(特開2012−104763号公報に記載の有機オニウム塩);
・リン酸一アンモニウム:商品名リン酸一アンモニウム、シグマアルドリッチジャパン(株)社製;
・四フッ化ホウ酸ニトロニウム:商品名テトラフルオロほう酸ニトロニウム、和光純薬工業(株)社製;
・四フッ化ホウ酸ニトロソニウム:商品名テトラフルオロほう酸ニトロソニウム、和光純薬工業(株)社製。
(各実施例および比較例で用いた架橋剤の種類)
・カルボジイミド化合物は、商品名カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、水溶性、固形分40%;
・イソシアネート化合物は、商品名バーノックDNW−5500、DIC(株)社製、固形分13.2%
・オキサゾリン(ラテックス型オキサゾリン)化合物は、商品名エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分25%。
各実施例および比較例で得られた評価結果を、下記表1に示した。
Figure 0006157892
上記表1から、本発明の太陽電池用バックシートは、比較例の太陽電池用バックシートに比べて、酸化チタン粒子を有するポリマー層の面状と、高温高湿経時後の封止材への経時密着性に優れることがわかった。さらに、本発明の太陽電池用バックシートは、光沢度についても良好であることもわかった。また、本発明の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性も良好であることがわかった。
一方、オニウム化合物をポリマー層に添加しなかった比較例1の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の面状が悪く、湿熱経時後の封止材への経時密着性も悪かった。また、比較例1の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性が悪いことがわかった。
オニウム化合物の代わりにNaClをポリマー層に添加した比較例2の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の面状が悪く、塗布不可能であった。また、比較例2の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性が悪いことがわかった。
有機オニウム塩を用いた比較例3の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の面状が悪く、湿熱経時後の封止材への経時密着性も悪かった。また、比較例3の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性が悪いことがわかった。ベンゼトニウムクロリドは組成物のpHが酸性であり、添加直後にバインダーラテックスが沈殿し、面状不良を引き起こしたと予想された。
特開2011−246365号公報に記載の有機オニウム塩を用いた比較例4の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の湿熱経時後の封止材への経時密着性が悪かった。また、比較例4の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性が悪いことがわかった。ポリカルボン酸共重合物のアンモニウム塩などの高分子型のオニウム化合物は、面状は微改良にとどまり、詳細なメカニズムは不明であるものの、高温高湿保管後のEVA封止材との密着力が低下してしまい、これは他の高分子型のオニウム化合物も同様の傾向であった。
特開2013−021273号公報に記載の有機オニウム塩を用いた比較例5の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の湿熱経時後の封止材への経時密着性が悪かった。また、比較例5の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性が悪いことがわかった。テトラブチルアンモニウムクロリド(有機オニウム化合物)の場合、水溶液のpHが酸性であり、経時での塗布液の酸化チタン粒径の増大と、塗布液の粘度上昇を招くため、面状改良効果も得られないと予想された。
特開2012−104763号公報に記載の有機オニウム塩を用いた比較例6の太陽電池用バックシートは、ポリマー層の湿熱経時後の封止材への経時密着性が悪かった。また、比較例6の太陽電池用バックシートのポリマー層を形成するために用いたポリマー層形成用組成物は、粒径経時安定性および粘度経時安定性が悪いことがわかった。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの場合、水溶液のpHが強アルカリ性であり、ラテックスの分散状況が変化し、面状改良は微改良にとどまる上、湿熱経時後の封止材への密着性に劣ると予想された。
[実施例101]
<太陽電池モジュールの作製と評価>
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(Hangzhou First PV Material Co., Ltd製のEVAシート:F806)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(Hangzhou First PV Material Co., Ltd製のEVAシート:F806)と、各実施例で作製した太陽電池用バックシートとをこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと各部材を接着させた。このとき、各実施例の太陽電池用バックシートはその白色のポリマー層がEVAシートと接触するように配置した。また、接着方法は、下記の通りである。
真空ラミネータを用いて、145℃で5分間の真空引き後、10分間加圧して接着した。
このようにして、結晶系の太陽電池モジュールを作製した。得られた太陽電池モジュールを用いて発電運転したところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示し、長期間に亘って安定運転した。
10 太陽電池モジュール
12 耐候性層第2層
14 耐候性層第1層
16 基材フィルム
17 その他の層(下塗り層)
18 ポリマー層
20 太陽電池素子
22 封止材
24 透明性のフロント基板
31 太陽電池用バックシート部材
32 太陽電池用バックシート

Claims (13)

  1. 基材フィルムと、
    無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含むポリマー層と、
    を有し、
    前記無機オニウム化合物が第二リン酸アンモニウムであることを特徴とする太陽電池用バックシートであって;
    前記バインダーはアクリル樹脂およびポリオレフィン樹脂のうち少なくとも一方を含み、
    前記オレフィン樹脂バインダーおよび/または前記アクリル樹脂バインダーの合計と、その他のバインダーの割合(質量比)が80:20〜100:0であり;
    前記ポリマー層中に架橋剤を含有し、
    前記ポリマー層中において前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であり;
    太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、
    太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子を封止する封止材と、
    前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有する太陽電池モジュールの前記太陽電池用バックシート用途であり;
    前記太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと前記封止材との間に配置される用途である;
    太陽電池用バックシート。
  2. 前記バインダーはアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかから選択されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
  3. 前記ポリマー層中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記酸化チタン粒子の含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用バックシート。
  4. 前記ポリマー層中に含まれる酸化チタンの容積濃度が5.0%以上30.0%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  5. 前記架橋剤がオキサゾリン系架橋剤であることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  6. 前記ポリマー層の厚さが0.5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  7. 前記基材フィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  8. 太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、
    太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子を封止する封止材と、
    前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有し、
    前記太陽電池用バックシートが請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシートを含み、
    前記太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと前記封止材との間に配置されることを特徴とする太陽電池モジュール。
  9. 無機オニウム化合物、酸化チタン粒子およびバインダーを含み、
    前記無機オニウム化合物が第二リン酸アンモニウムであることを特徴とする太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物であって;
    前記バインダーはアクリル樹脂およびポリオレフィン樹脂のうち少なくとも一方を含み、
    前記オレフィン樹脂バインダーおよび/または前記アクリル樹脂バインダーの合計と、その他のバインダーの割合(質量比)が80:20〜100:0であり;
    前記ポリマー層形成用組成物中に架橋剤を含有し、
    前記ポリマー層形成用組成物中において前記架橋剤の含有量が前記バインダーの含有量に対して1.0質量%以上50質量%未満であり;
    太陽光が入射する側の透明性のフロント基板と、
    太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子を封止する封止材と、
    前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材と接着する太陽電池用バックシートとを有する太陽電池モジュールの前記太陽電池用バックシートのポリマー層形成用途であり;
    前記太陽電池用バックシートの前記ポリマー層が、前記基材フィルムと前記封止材との間に配置される用途である;
    太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
  10. 前記バインダーはアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかから選択されることを特徴とする請求項に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
  11. 前記ポリマー層形成用組成物中において、前記無機オニウム化合物の含有量が前記酸化チタン粒子の含有量に対して0.10質量%以上10.0質量%未満であることを特徴とする請求項9または10に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
  12. 前記ポリマー層形成用組成物中に含まれる酸化チタンの容積濃度が5.0%以上30.0%以下であることを特徴とする請求項11のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
  13. 前記架橋剤がオキサゾリン系架橋剤であることを特徴とする請求項12のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシートのポリマー層形成用組成物。
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