JP6156917B2 - シート材及び壁紙 - Google Patents

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Description

本発明は、シート状の基材とこの基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層を有したシート材と、このシート材を用いた壁紙に関するものである。
従来、積層された構成からなる放熱材が知られている(特許文献1)。
この放熱材は、可視光線および近赤外線透過性、遠赤外線非透過性材料からなる最表層と、可視光線および赤外線吸収性材料からなる吸収性基布層および/または常温遠赤外線放射性充填材を含む基材層を用いてなる最裏層と、の少なくとも2層以上が積層された構成からなる。
特開2003−136618号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載された放熱材は、可視光線および近赤外線透過性、遠赤外線非透過性の材料を最表層に用いることで、表面での遠赤外線の放射を押さえることが出来、またその下層から放射される遠赤外線を透過しないので、温度の上昇を防ぐことが出来る。また、最裏層に可視光線吸収性および赤外線吸収性材料からなる吸収性基布層および/または常温遠赤外線放射性充填材を含む基材層を用いることで、最表層を通過した可視光線、近赤外線を吸収することができ、また放射される遠赤外線を効率良く裏面へと放射することが可能となる(特許文献1の段落0022)。
つまり、特許文献1の放熱材は、下層に赤外線を吸収する材料を有するものの、それは、最表層側の空間(車内・室内)から最裏層側の空間(車外・室外)へ熱を移動させるためであって、結局、最表層側の車内・室内は暖まらない。
そこで本発明は、シート状基材に形成され最外面に露出した赤外線吸収層側から入射する赤外線の反射率を50%以下とすることで、赤外線吸収層側の空間からの赤外線を吸収し易くなると同時に、赤外線吸収により温度が高まった赤外線吸収層から輻射熱を放射して、赤外線吸収層側の空間の暖房効率を向上させて「省エネ」を図ることを目的とする。
本発明に係るシート材1は、シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が38.815%以下であり、前記赤外線吸収層は、珪酸ジルコニウム粒子を含有しておらず、前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、前記シート状基材を透過する赤外線は、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の0.2%以下であることを第1の特徴とする。
本発明に係るシート材1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、 前記赤外線吸収層は赤外線吸収剤を0.03g/m 2 以上2.00g/m 2 以下の割合で含有している点にある。
本発明に係るシート材1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記赤外線吸収層の露出した最外面と、前記シート状基材の表面とのJIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系における色差ΔE * が4.8以内である点にある。
本発明に係るシート材1の第4の特徴は、シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が50%以下であり、前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、且つ、前記赤外線吸収層は赤外線吸収剤を0.03g/m 2 以上2.00g/m 2 以下の割合で含有し、前記赤外線吸収剤アンチモンドープ錫酸化物である点にある。
本発明に係るシート材1の第5の特徴は、シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が50%以下であり、前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、温度を約20℃に整えた評価用BOX内にて前記最外面に位置した赤外線吸収層の直上で距離が30cmの位置から130Wのレフランプにて光を照射してから10分後における最外面の表面温度と前記赤外線吸収層を有さない場合の最外面の表面温度との温度差と、前記赤外線吸収層における赤外線吸収剤の含有量との関係は、以下の式(1)で表され、前記温度差は1.1℃以上である点にある。
これらの特徴により、シート状基材2の少なくとも一面2a側に形成されて最外面に露出した赤外線吸収層3側からの赤外線反射率Hを50%以下に抑えることによって、赤外線吸収層3側の空間からの赤外線(例えば、室内・車内の暖房器具等から照射された赤外線)が、最外面の赤外線吸収層3で吸収され易くなると共に、赤外線吸収層3等で反射される赤外線より、吸収される赤外線を多く出来ると共に、赤外線吸収により温度が高まった赤外線吸収層3から輻射熱を赤外線吸収層3側の室内・車内等に放射することによって、暖房効率が向上し、その結果、省エネを図ることが出来る。
尚、本発明における「赤外線」とは、JIS−Z−8120:2001による赤外線(赤外放射)であって、詳しく述べれば、「単色光成分の波長が可視放射の波長(上記JISでは、可視放射の長波長限界は760〜830nm)より長く、およそ1mmより短い放射」を言う。
又、赤外線吸収層3で露出した面(最表面3a、より詳しくは、赤外線吸収層3で露出した最表面3a側から入射した光の反射で発色する当該赤外線吸収層の露出した面3a)を、JIS−Z−8729:2004によるL*** 表色系におけるL* 値が50以上95以下とすることで、シート材1の表面1aが淡く明るい色となることから、シート状物として本来持つ(表装材・インテリアとしての)用途に支障なく使用でき、淡く明るい色でありながらも、赤外線吸収の機能(赤外線吸収能)を発揮できる。
尚、従来より黒い色ほど赤外線を多く吸収することが知られている(例えば、特許文献1では、最表層直下の吸収性基布層を、明度0.1〜6(JIS−Z−8721に定義されるマンセル表色系で、ほぼ黒から黒に近い色までを網羅する範囲)として、赤外線吸収を図っている)が、淡色系を主に用いる室内・車内においては、装飾性の面から濃色が使えず、色相による赤外線の利用は困難なものであった。
しかし、鋭意試験の結果、基材2の表面2aにおける色相(明度L* 値)にはそれほど大きく発現(影響)しないが、赤外吸収剤4を用いることにより赤外吸収能が付与できるだけでなく、淡色(明度L* 値が大きいほど)であるほど赤外吸収能が大きく発揮されることをも見出し、発明に到った。
又、上述の「赤外線吸収層3で露出した最表面3a側から入射した光」とは、より詳しくは、可視光線や、紫外線、赤外線であって、可視光線の反射で当該赤外線吸収層の最表面3aが発色するのは勿論のこと、紫外線等の反射であっても、反射時に波長帯がずれることによって、最表面3aの発色に寄与し得る。
本発明における「可視光線」とは、JIS−Z−8120:2001による可視光線(可視放射)であって、詳解すれば、「目に入って視感覚を起こすことができ、一般に可視放射の波長範囲の短波長限界は360〜400nm、長波長限界は760〜830nmである放射」を言う。
更に、本発明における「紫外線」とは、JIS−Z−8120:2001による紫外線(紫外放射)であって、詳しく述べれば、「単色光成分の波長が可視放射の波長(上記JISでは、可視放射の短波長限界は360〜400nm)より短く、およそ1nmより長い放射」を言う。
尚、赤外線吸収剤4を、導電性を有する金属錯体、導電性を有する高分子有機化合物、有機染料化合物及び有機顔料化合物よりなる群から選択された少なくとも1種としても良い。
又、赤外線吸収剤4を、アンチモンドープ錫酸化物としても良い。
そして、シート状基材2に形成されて露出した赤外線吸収層3に、赤外線吸収剤4を0.03g/m2 以上2.00g/m2 以下の割合で含有させることで、赤外線吸収層3の赤外線吸収能を確保すると同時に、赤外線吸収層3に含有される赤外線吸収剤4の上限を2.00g/m2 に抑えているため、赤外線吸収層3を有するにも関わらず、シート状基材2が元々持つ色彩・模様への影響が抑えられる。
本発明に係る壁紙10は、上述したシート材1を用いていることを第1の特徴とする。
この特徴により、シート材1を壁紙10として使用することによって、建築物の屋内や、自動車、車両の車内などにおける壁面等の内面を装飾又は補強する壁紙本来の機能と共に、壁面等に、赤外線吸収能も持たせて、屋内・車内などの暖房効率を向上させ、省エネを図れる。
シート状基材の最外面に露出した赤外線吸収層側からの赤外線の反射率を50%以下に抑えることで、赤外線を吸収し易くすると共に、赤外線吸収により温度が高まった赤外線吸収層から輻射熱を放射することによって、暖房効率が向上し、省エネを実現できる。
は、本発明に係るシート材を示す断面図である。 は、試験1でのシート材の最表面の温度変化を、シート材の厚み・赤外線吸収層の有無ごとに示すグラフである。 は、試験1での赤外線吸収剤の含有量Gと、温度差ΔTの関係を示すグラフである。 は、試験1での波数と、赤外線反射率Hの関係を、赤外線吸収層の有無ごとに示すグラフである。 は、試験2での濃色基材における赤外線吸収剤の含有量Gと、ΔE* 値の関係を示すグラフである。 は、試験2での濃色基材における赤外線吸収剤の含有量Gと、赤外線反射率Hの関係を示すグラフである。 は、試験3での淡色基材における赤外線吸収剤の含有量Gと、ΔE* 値の関係を示すグラフである。 は、試験3での淡色基材における赤外線吸収剤の含有量Gと、赤外線反射率Hの関係を示すグラフである。 は、試験4での赤外線吸収剤の含有量Gと、ΔE* 値の関係を、基材表面の明度L* 値ごとに示すグラフである。 は、試験4での基材表面の明度L* 値と、ΔE* 値の関係を、赤外線吸収剤の含有量Gごとに示すグラフである。 は、試験4での基材表面の明度L* 値と、近赤外線反射率Hn の関係を、赤外線吸収剤の含有量Gごとに示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係るシート材1が示されている。
<全体構成>
このシート材1は、シート状基材2と、このシート状基材2の一面(表面)2a側に形成された赤外線吸収層3を有している。尚、シート材1は、図1の如く、シート状基材2の他方の面(裏面)2b側に裏打紙11が貼り付けられていても良いが、この裏打紙11は、必須ではない。
シート材1全体としての厚みは、吸収した赤外線の熱を、十分に赤外線吸収層3(の最表面3a)側の空間に放射して戻せるのであれば、何れの厚みであっても構わないが、例えば、0.05mm以上3.00mm以下、好ましくは0.10mm以上2.00mm以下、更に好ましくは、0.20mm以上1.00以下(0.27mmや0.30mm)であっても良い。
<シート状基材2>
シート状基材2(以下、基材2)は、赤外線吸収層3や裏打紙11を支え得るシート状物であれば、その素材は限定されないが、合成樹脂によりフィルム状に成形されたシートや、紙、布帛(織布、編布、不織布)、更には、アルミナを含有させた水酸化アルミニウム紙や、鉄、アルミニウム等の金属箔等の難燃加工された特殊シートなどから構成できる。
これらを構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂などがあり、これらを単独または組み合わせて用いても良い。
尚、シートを構成する合成樹脂として、ポリ塩化ビニル樹脂は、安価な上、難燃性が優れており好ましく用いられる。
又、基材2は、紙であれば、セルロースを主成分とした植物繊維が原料であり、布帛を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル繊維、ナイロン(ポリアミド)繊維、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)を主成分とするアクリル繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(ビニロン繊維)、ポリウレタン(PU)繊維、ガラス繊維、羊毛、絹などがあり、これらを単独または組み合わせて用いられる。
尚、上述したように、基材2の素材が、赤外線吸収層3や裏打紙11を支え得るようなポリ塩化ビニル樹脂などをはじめとする合成樹脂や紙などであれば、これらの樹脂や紙等を透過する赤外線は極微量(照射した赤外線の0.1〜0.2%など)であり、更に、基材2に赤外線吸収層3を形成し、その赤外線吸収層3側に照射された赤外線が透過する割合は、皆無に等しい。
又、基材2において、表面2a(赤外線吸収層3が形成される前の元々の面)の色相・表色(明度)、模様は、特に限定されないが、例えば、白、クリーム、ベージュ、薄茶、薄黄色、薄赤、薄ピンク、薄緑、薄青、薄紫、薄グレー、グレー、茶等であっても良い。
<赤外線吸収層3>
赤外線吸収層3は、シート状基材2の表面2a(及び/又は裏面2b)上に形成され、シート材1の最外面に位置し、この赤外線吸収層3の最表面3aが、室内・車内等の空間に露出した面となる。
この赤外線吸収層3は、赤外線吸収剤4を含有するのであれば、その他の組成物については、特に限定するものではないが、樹脂バインダーに、無機微粒子(充填剤)、分散剤、可塑剤、発泡剤、安定剤の他、着色剤、希釈剤などを目的に応じて適量混合したものを用いても良い。
赤外線吸収層3の樹脂バインダーとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂や、ポリ酢酸ビニル(PVAc)樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン共重合体樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等の合成ゴム、天然ゴムなど、例えば、ペースト可能な樹脂等が使用され、これらを単独または組み合わせて用いられる。
無機微粒子(充填剤)としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、アルミナ、カオリン、タルク等の天然或いは合成の無機粉体が適宜1種又は2種以上併用して用いられる。
分散剤(界面活性剤)としては、脂肪酸ナトリウム、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等の陰イオン系界面活性剤(アニオン性界面活性剤)、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等の陽イオン系界面活性剤(カチオン性界面活性剤)、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤(双性界面活性剤)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル等の非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤)などがあり、適宜単独または組み合わせて使用される。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート、ジブチルアジペート等のアジピン酸エステル類、トリクレジルフォスフェート、トリクロロエチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート等の難燃性のリン酸エステル類及び塩素化パラフィンなどが、適宜単独または組み合わせて使用される。
発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカーボンアミド、ジアゾベンゼン等のアゾ化合物、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物、ニトロソ化合物等がある。
安定剤としては、亜鉛華、脂肪酸亜鉛等の金属石鹸が用いられ、更に、酸化チタン等の着色剤が目的に応じて使用される。又、希釈剤としては、例えばミネラルスピリット、キシレン等が使用される。
赤外線吸収層3に含有される赤外線吸収剤4は、赤外線を吸収するのであれば、何れであっても構わないが、大別して、導電性を有する金属錯体、導電性を有する高分子有機化合物、有機染料化合物、有機顔料化合物などがある。
導電性を有する金属錯体としては、硫化銅、6ホウ化ランタン(ホウ化ランタン)、酸化鉄系セラミックス、ジルコニウム系化合物(炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウム)、ハフニウム系化合物(炭化ハフニウム、酸化ハフニウム)、酸化亜鉛練込繊維、酸化マグネシウム、酸化スズ、リン含有酸化スズ、5酸化アンチモン、アンチモンドープ錫酸化物(ATO)、インジウムドープ錫酸化物(ITO)、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミドープ酸化亜鉛など、その他金属系素材が使用される。
又、導電性を有する高分子有機化合物としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどがある。
更に、有機染料化合物、有機顔料化合物としては、フタロシアニン化合物、アミニウム化合物、インモニウム化合物(イモニウム化合物、イモニウム化合物塩)、シアニン化合物、硫化染料、建染染料などがある。
これら赤外線吸収剤4は、必要に応じて、樹脂バインダー、無機微粒子、分散剤等と共に、基材2の表面2a等に固着される。
固着の方法としては、赤外線吸収剤4や、樹脂バインダー、無機微粒子、分散剤等を、ペーストゾルの状態で、基材2の表面2a等に塗布(コーティング)、浸漬(ディッピング)したり、赤外線吸収剤4等を練り込んだ(混練した)フィルム等のシート状物を、基材2の表面2a等に接着(ラミネート)するなど、何れの方法であっても構わない。
塗布(コーティング)としては、特に限定するものではないが、刷毛等による塗布や、スプレー塗布によるコーティングのほか、コンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、グラビア・リバース法、リバースロールコート法、エアーナイフコート法、キスコート法等が使用できる。
尚、浸漬による固着では、一度の浸漬で、基材2の表裏両面2a、2bに赤外線吸収層3が形成されることとしても良い。
このように固着形成された赤外線吸収層3の厚みは、何れの値でも良いが、例えば、0.05μm以上20.00μm以下、好ましくは0.10μm以上10.00μm以下、更に好ましくは0.50μm以上2.00μm以下となる。
又、シート材1に吸収される赤外線は、上述したように、透過する赤外線が皆無に等しいことから、赤外線吸収層3の露出した面3a(最表面3a)側から入射する赤外線の反射率Hを測定することで判明し、その反射率Hを1から引いた値が、赤外線吸収層3の最表面3a側から入射した赤外線におけるシート材1に吸収された赤外線の割合となる(つまり、赤外線反射率Hが低いほど、赤外線を吸収した割合は高い)。
本発明における赤外線吸収層3は、その露出した最表面3a側から入射する赤外線の反射率H(以下、赤外線反射率H)を50%以下とする(に抑えている)が、好ましくは1%以上40%以下、更に好ましくは2%以上30%以下としても良い。
尚、本発明における「赤外線」とは、JIS−Z−8120:2001による赤外線(赤外放射)であって、詳しく述べれば、「単色光成分の波長が可視放射の波長より長く(上記JISでは、可視放射の長波長限界は760〜830nmとされ、この760〜830nmより、単色光成分の波長が長く)、およそ1mmより短い放射」を言う。
又、赤外線吸収層3側から入射する赤外線の反射は、その殆どが赤外線吸収層3の露出した最表面3aで起こっているが、赤外線吸収層3内の赤外線吸収剤4の位置や最表面3aの表面性状(凹凸等)に拠っては、最表面3aから層3内へ若干入ったところでの反射や、基材2の表面2aでの反射(基材2の表面2aで反射した赤外線には、赤外線吸収層3(層中の赤外線吸収剤4)で吸収され得る機会が再び訪れるが、その機会さえも掻い潜った赤外線がシート材1の外であって入射した側へ反射されるもの)も含まれており、上述の赤外線反射率Hは、赤外線吸収層3によって、或いは、シート材1全体で起こる反射の率である。
そして、赤外線吸収層3には、赤外線吸収剤4が0.03g/m2 以上2.00g/m2 以下の割合で含有されるが、好ましくは0.05g/m2 以上0.90g/m2 以下、更に好ましくは0.05g/m2 以上0.30g/m2 以下の割合で含有させても構わない。
このような赤外線吸収層3を、最外面の位置で露出させることによって、シート材1は、赤外線吸収層3側の空間からの赤外線(例えば、室内・車内の暖房器具等から照射された赤外線)を、赤外線吸収層3にて吸収し易くなる。
これと共に、最外面に位置した赤外線吸収層3から、赤外線吸収層3側の室内・車内等へ輻射熱を放射することによって、暖房効率が向上し、省エネを図ることが出来る。
又、赤外線吸収層3の露出した面(最表面)3a(つまり、赤外線吸収層3の露出した最表面3a側から入射した光(可視光線、紫外線、赤外線)の反射で発色する当該赤外線吸収層3の露出した最表面3a)を、JIS−Z−8729:2004によるL*** 表色系におけるL* 値(明度)が50以上95以下としている。
これによって、シート材1のベースとなる基材2の表面2aが淡く明るい色でも(明度L* 値が高くても)、赤外線吸収の機能(赤外線吸収能)を十分に発揮しつつ、シート状物として本来持つ(表装材・インテリアとしての)用途に支障はない。
尚、本発明における「可視光線」とは、JIS−Z−8120:2001による可視光線(可視放射)であって、詳解すれば、「目に入って視感覚を起こすことができ、一般に可視放射の波長範囲の短波長限界は360〜400nm、長波長限界は760〜830nmである放射」を言う。
又、本発明における「紫外線」とは、JIS−Z−8120:2001による紫外線(紫外放射)であって、詳しく述べれば、「単色光成分の波長が可視放射の波長(上記JISでは、可視放射の短波長限界は360〜400nm)より短く、およそ1nmより長い放射」を言う。
更に、赤外線吸収層3の露出した面(最表面)3a側から入射した光(可視光線、紫外線等)の反射も、赤外線吸収層3の露出した最表面3aでの反射と、赤外線吸収層3の最表面3aから層3内へ若干入ったところでの反射や、赤外線吸収層3を透過した光における基材2の表面2aでの反射を含んでいる。
更に、基材2の表面2aで反射した光は、再び赤外線吸収層3を透過したものが、赤外線吸収層3の露出した最表面3aの発色に寄与する。
尚、L*** 表色系における各値は、a* 値を−30以上30以下としたり、b* 値を−30以上30以下としたりしても良い。これらL* 値、a* 値、b* 値は、少なくとも何れか1つの値でも、上述した範囲内であれば良く、又、3つの値が同時に上述の範囲に入っていても構わない。
更に、L*** 表色系におけるL* 値は、好ましくは60以上95以下で、更に好ましくは70以上95以下である。
*** 表色系におけるa* 値について、好ましくは−15以上15以下で、更に好ましくは−3以上3以下である。
*** 表色系におけるb* 値は、好ましくは−10以上20以下で、更に好ましくは−3以上8以下である。
<裏打紙11>
尚、シート状基材2の裏面2b側に裏打紙11を貼り付けた場合の裏打紙11は、目付けが5g/m2 以上300g/m2 以下、好ましくは20g/m2 以上200g/m2 以下、更に好ましくは60g/m2 以上100g/m2 以下の紙であり、裏打紙11の更に裏面11bに、糊付け加工を施すなどしても良い。
本発明のシート材1について実施例に基づき、更に詳細に説明を行う。
尚、本発明の各試験(実施例)におけるL*** 表色系は、JIS−Z−8729:2004によっており、L*** 表色系の測定は、可視分光光度計(GretagMacbeth 社製:「Spectrolino 」、光源:D65フィルタ、測定波長:380nm以上730nm以下、解像度:10nm)にて行った。
又、本発明の各試験(実施例)における赤外線の反射率Hの測定は、赤外分光光度計(島津製作所社製:「FT-IR8400 」)に、拡散反射率ユニット(島津製作所社製:「DRS-8000」、測定波数:650cm-1以上4500cm-1以下)を取り付けたものにて行った。
<試験1>
試験1では、基材がPVC樹脂からなり、裏面側に裏打紙を貼り付けた壁紙をベースに用いる。
これらの壁紙の表面に、赤外線吸収剤4としてアンチモンドープ錫酸化物(三菱マテリアル社製:「TDL-1 」(以下、ATO))を、0.1g/m2 の割合で塗布して(赤外線吸収剤4が0.1g/m2 の割合で含有された)赤外線吸収層3を形成したシート材(実施例1−1)、0.2g/m2 の割合で塗布して(赤外線吸収剤4が0.2g/m2 の割合で含有された)赤外線吸収層3を形成したシート材(実施例1−2)をそれぞれ得た。
尚、赤外線吸収剤4の塗布は、ATOを所定の含有量Gとなるように、樹脂バインダーに配合したものをグラビア・ダイレクト法にて、ベースの壁紙の表面に塗工した後、所定温度で所定時間(例えば、80℃以上100℃で、3秒以上10秒以下の時間)乾燥させており、以下の試験2〜4でも同様である。
各実施例は、赤外線吸収層3及び裏打紙11を含め、実施例1−1全体の厚みは0.55mmで、実施例1−2全体の厚みは0.25mmである(各実施例は、ベースとなる壁紙の厚みが異なっていて、赤外線吸収層3の厚みは略同じ)。
又、実施例1−1のベースとなる壁紙に赤外線吸収剤4を含有させずに樹脂バインダーのみを塗布した(つまり、実施例1−1から赤外線吸収剤4を抜いたものであって、本発明における赤外線吸収層3を有さない)ものを比較例1−1とし、実施例1−2から樹脂バインダーのみを塗布したものを比較例1−2とする。
<試験1の試験方法>
上述の実施例1−1、1−2と比較例1−1、1−2のシート材1それぞれを、温度を約20℃に整えた室内(部屋に見立てた評価用BOX内)にて、各シート材の直上で距離が30cmの位置から、130Wのレフランプ(内側にアルミニウムを付着させて反射鏡とした白熱電球)にて光を照射した。
この照射開始から、各シート材の表面(実施例1−1、1−2においては、赤外線吸収層3の露出した最表面3a)における温度を計測した。
照射開始から10分後に、上述したレフランプの電源を切り(照射を止め)、その後、更に10分間、温度計測を継続した。
この合計20分間の温度計測によるシート材の表面の温度の温度変化を、以下の表1に示し、この表1をグラフ化したものが図2である。
尚、図2において、(a)が比較例1−1と実施例1−1の表面の温度変化を示し、(b)が比較例1−2と実施例1−2の表面の温度変化を示す。
これら表1、図2に示されたように、赤外線吸収層3が形成されていない比較例1−1、比較例1−2では、ベースとなる壁紙の厚みによらず、その表面における温度の推移(変化)は略同じであった。
一方、表1中で、比較例1−1の表面における照射10分後の温度は、29.1℃であるが、実施例1−1の最表面3aにおける照射10分後の温度は、30.2℃であり、1.1℃上昇している(つまり、赤外線吸収剤4を「0.1g/m2 」の割合で含有した実施例1−1は、赤外線吸収層3のない比較例1−1より、表面1a(赤外線吸収層3の露出した最表面3a)の温度が「約1℃」高くなっている)。
又、表1中で、比較例1−2の表面における照射10分後の温度は、28.9℃であるが、実施例1−2の表面1aにおける照射10分後の温度は、31.0℃であり、2.1℃上昇している(つまり、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」の割合で含有した実施例1−1は、赤外線吸収層3のない比較例1−2より、赤外線吸収層3の露出した最表面3aの温度が「約2℃」高くなっている)。
従って、赤外線吸収剤4(ATO)を「0.1g/m2 」の割合で含有させると、赤外線吸収層3の最表面3aが「約1℃」上昇するという相関が得られた。
このような相関(赤外線吸収剤4の含有量Gと、比較例との温度差ΔTの関係)を、以下の表2と、図3にて示す。
更に、これら表2と図3で示された赤外線吸収剤4の含有量Gと、比較例との温度差ΔTの関係を、1次関数として最小二乗法で求めたところ、以下の式(1)を得た。
尚、この式(1)は、図3中でも、直線として示している。
<温度差ΔTによる判定>
ここで、本発明において、赤外線吸収性能があると云える温度差ΔTを0.5℃と設定し、これを下限ラインとする(下限ラインは、表2、図3中でも示す)。
この図3中の下限ライン(y=0.5)と、上述の式(1)との交点によって求めた場合は、赤外線吸収剤4(ATO)の含有量Gが「0.046g/m2 」はあれば(この「0.046g/m2 」よりも多い「0.05g/m2 」であれば、尚更)、赤外線吸収性能があると言える。
又、赤外線吸収剤4(ATO)含有量Gの下限値は、この「0.046g/m2 」と「0.00g/m2 」の間に存在し、「0.03g/m2 」とする。
尚、ここで、ATO以外の赤外線吸収剤4について述べる。
上述した「0.046g/m2 」との値は、当然、ATOを赤外線吸収剤4として含有させた場合であるが、そもそも、赤外線をあてることで、何れの物質でも、分子の振動・回転運動が起こり、特定波数(波長) 域の光エネルギーを吸収することとなる。
ただ、上述したATOをはじめとする赤外線吸収剤4の場合は、その特定波数(波長)域が、赤外線の波数(波長)であって、温度差ΔTとして0.5℃を得るための下限値は、厳密にはそれぞれの赤外線吸収剤4ごとに異なるものの、例えば、ATO、インジウムドープ錫酸化物(以下、ITO)等の如くドーパント添加により自由電子(キャリア電子)が存在するものや、酸化亜鉛等の如く鉛晶構造の酸素欠陥に起因する自由電子が存在するもの、ポリアニリン等の如く重合条件やドーピングによってプロトン(水素イオン)の付加・脱離が容易に可能なもの等のように、電気のキャリアが存在していることには変わりがなく、何れの赤外線吸収剤4であっても、赤外線吸収性能の下限値に、「0.046g/m2 」と大きな差はないと言える。
因みに、図4のグラフに示したように、赤外線吸収剤4としてATOを用いたシート材1(実施例1−2)は、何れの波数(波長)域でも、赤外線反射率Hが15%より小さく、特に、図4における波数が4500cm-1〜4000cm-1(4000cm-1以上4500cm-1以下)≒波長が2.222・・・μm以上2.500μm以下≒波長が2.3μm以上2.5μm以下の域(以下、近赤外線域)では、赤外線吸収剤4を塗布しない壁紙(比較例1−2)より、赤外線反射率Hが、常に低い。
又、図4における波数3500cm-1から、それより波数が小さい範囲では、赤外線反射率Hが、常に10%を切っている。
尚、この波数3500cm-1≒2.857・・・μm≒2.86μmは、波数が4000cm-1〜2500cm-1(2500cm-1以上4000cm-1以下)=波長が2.5μm以上4.0μm以下の域(以下、中赤外線域))に入っている。又、この中赤外線域より波数が小さい2500cm-1〜650cm-1(650cm-1以上2500cm-1以下)≒波長が4.0μm以上15.384・・・≒波長が4.0μm以上15.0μm以下の域を、以下、遠赤外線域とする。
これに加えて、実施例1−2は、図4中の表に示したように、近赤(近赤外線域)、中赤(中赤外線域)、遠赤(遠赤外線域)において、赤外線反射率Hのそれぞれの域での平均値が、比較例1−2より低く、10%を切っている。
このように、ATOを用いた場合で、ほとんどの赤外線を反射することから、ベースとなる壁紙における本来の赤外線反射率Hがどのような値であっても、又、ATOと同様の赤外線吸収効果を持つ導電性を有する金属錯体や、導電性を有する高分子有機化合物、有機染料化合物、有機顔料化合物など何れの赤外線吸収剤4を用いても、赤外線反射率Hは、50%以下にはすることが出来る(逆に、赤外線反射率Hを0%以上としたり、1%以上となるようにしたり、2%以上となるようにすることも可能である)。
<試験2>
上述の試験1によって、赤外線吸収剤4を含有した赤外線吸収層3が最外面にあるシート材1であれば、その赤外線吸収層3の最表面3aにおける赤外線反射率Hを50%以下に抑えることとしたが、一般に、壁紙等の表面に、赤外線吸収剤4や樹脂バインダー等を塗布すれば、その表面の色相(表色)は、含有量G(塗布量)が多くなるにつれて、変化していく(例えば、徐々に緑がかる等)。
そこで、色相(表色)の変化と、赤外線吸収剤4の含有量Gとの関係を、試験2以降で調べる。
このとき、試験1をふまえ、赤外線反射率Hは、顕著に違いのでる近赤外線域の反射率(以下、近赤外線反射率Hn )を用いる。
又、波長域について言及すると、本発明において、例えば「赤外線の反射率Hが50%以下」であるとは、上述の定義をふまえた「JIS−Z−8120:2001による赤外線における全ての波長域での反射率が50%以下」であるだけではなく、少なくとも「近赤外線反射率Hn における2.3μm以上2.5μm以下の近赤外線域での平均値が50%以下」であれば良いことも含む。
試験2でも、試験1と同様に、基材がPVC樹脂からなるが、まずは、表面が濃グレー(L* 値が44.64で、a* 値が0.26で、b* 値が1.28)の壁紙をベースに用いた。
この濃グレーの壁紙の表面に、赤外線吸収剤4としてATOを、0.2g/m2 の割合で塗布して(赤外線吸収剤4が0.2g/m2 の割合で含有された)赤外線吸収層3を形成したシート材(実施例2−1)、1.0g/m2 塗布して(赤外線吸収剤4が1.0g/m2 の割合で含有された)シート材(実施例2−2)、2.0g/m2 塗布して(赤外線吸収剤4が2.0g/m2 の割合で含有された)シート材(実施例2−3)をそれぞれ得た。
尚、ベースとした濃グレーの壁紙に赤外線吸収剤4を含有させずに樹脂バインダーのみを塗布した(つまり、実施例2−1〜実施例2−3から赤外線吸収剤4を抜いたものであって、本発明における赤外線吸収層3を有さない)ものを、これらの比較例2とし、実施例2−1〜実施例2−3と共に、L*** 表色系の各値とΔE* 、近赤外線反射率Hn の近赤外線域(詳しくは、波数が4500cm-1〜4000cm-1の域であって、以下の試験3、4でも同様)での平均値を、以下の表3と、図5、6にて示す。
<L*** 表色系換算した汚染用グレースケールによる判定>
ここで、本発明において、ベースとなった壁紙本来の色相・表色から離れる限界値を、JIS−L−0805:2005による汚染用グレースケールの4−5級(又は4級)相当までとした(4−5級又は4級相当レベルとすれば、シート状物として本来持つ(表装材・インテリアとしての)用途に支障はないからである)。
そこで、この汚染用グレースケールの4−5級や4級が、L*** 表色系の色差ΔE* では、幾らの値となるかを、以下に示す。
汚染用グレースケールにおいて詳解すれば、汚染されていない5級から、徐々に汚染の度合いがきつくなる4−5級、4級、3−4級、3級それぞれのL*** 表色系の各値と、E* 値を可視分光光度計で求めた。
これら求めたE* 値における5級と、それ以外の級との差ΔE* を、他の値と共に、以下の表4に示す。
この表4で示されたように、汚染用グレースケールにおける5級と、例えば、4−5級の色差ΔE* は、「2.148」であり、この試験2においては、ベースとした濃グレーの壁紙である比較例2と各実施例の色差ΔE* が、「2.148」以内であれば、その実施例は、汚染用グレースケールの4−5級相当とした。
従って、表3において、実施例2−1〜実施例2−3のΔE* は、ほぼすべて「2.148」以内であるため、汚染用グレースケールの4−5級に相当すると言え、また、ベース表面が濃グレー等(濃色)であれば、赤外線吸収剤4塗布の色相面への影響は小さいと考えられる。
尚、近赤外線反射率Hn の平均値は、試験2における何れの実施例(含有量G)の場合でも50%以下であって、赤外線吸収剤4を塗布しない壁紙(比較例2)に比べて、最大で5%低下させている。
この4−5級相当である色差ΔE* 「2.148」を基にした際に、赤外線吸収剤4(ATO)含有量Gの上限値を鑑みるに、赤外線吸収剤4の含有量Gが、0.2g/m2 や「1.0g/m2 」であれば、色差ΔE* が2.148以内である。
一方、赤外線吸収剤4の含有量Gが「2.0g/m2 」となると、多少ではあるが、色差ΔE* が2.148を越えている。
従って、試験2において、汚染用グレースケールの4−5級相当での赤外線吸収剤4(ATO)含有量Gの上限値は、「0.2g/m2 」と「2.0g/m2 」の間に存在し、「0.90g/m2 」とする。
尚、汚染用グレースケールの4級相当であれば、赤外線吸収剤4(ATO)の含有量Gが「2.0g/m2 」であっても、色差ΔE* は「4.801」以内であるため、含有量Gの上限値は、少なくとも「2.00g/m2 」であることは明らかである。
尚、試験2でも、ATO以外の赤外線吸収剤4について述べれば、何れの赤外線吸収剤4であっても、粉末などの固体時であれば、灰色等の色味がついているが、上述したように、赤外線吸収層3の厚みは20.00μm以下等であって、樹脂バインダー等と共にペースト状等である場合には、ほぼ透明である。
逆に、どのような赤外線吸収剤4であるか、又、ベースとなる壁紙の表面(実施例2−1〜実施例2−3であれば、基材2の表面2a)が本来どのような色相(表色)かは問わない。
又、上述をふまえ、本発明に係るシート材1は、赤外線吸収剤4を含有させる前の露出面(つまり、基材2の表面2a)と、赤外線吸収層3の露出した最表面3aとの色差ΔE* が、4.8以内で、好ましくは2.1以内としても良い。
更に、この「基材2の表面2aと赤外線吸収層3の露出した最表面3aとの色差ΔE* 」とは、赤外線吸収剤4を含有させる前後でシート材1の表面1aの色差ΔE* (つまり、赤外線吸収剤4を含有させる前の基材2の表面2aと、赤外線吸収剤4を含有させた後のシート材1の表面1aとの色差ΔE* )を求めることとしても良く、赤外線吸収剤4を含有させた(赤外線吸収層3を形成した)後に、赤外線吸収層3の一部を剥がして基材2の表面2aを部分的に露出させ、この露出部分(基材2の表面2aにおける露出した部分)と、剥れていない赤外線吸収層3の最表面3aとで、色差ΔE* を求めたり、この他、基材2が単一素材で一様に形成されている場合(単一の合成樹脂で形成されたシート状物などの場合)、シート材1を切断して露出した基材2の断面と、形成された状態が保たれた赤外線吸収層3の最表面3aとで、色差ΔE* を求めるなど、何れの求め方であっても構わない。
<試験3>
上述した試験2では、基材の表面が濃グレーであったが、他の色相(表色)である場合についても調べる。
試験3では、基材がPVC樹脂からなり、表面が淡ベージュ(L* 値が88.30で、a* 値が−0.24で、b* 値が6.61)の壁紙をベースに用いた。
この淡ベージュの壁紙の表面に対しては、試験2と同様に、赤外線吸収剤4としてATOを、0.2g/m2 の割合で塗布して(赤外線吸収剤4が0.2g/m2 の割合で含有された)赤外線吸収層3を形成したシート材(実施例3−1)、1.0g/m2 塗布して(赤外線吸収剤4が1.0g/m2 の割合で含有された)シート材(実施例3−2)、2.0g/m2 塗布して(赤外線吸収剤4が2.0g/m2 の割合で含有された)シート材(実施例3−3)をそれぞれ得た。
尚、ベースとした淡ベージュの壁紙に赤外線吸収剤4を含有させずに樹脂バインダーのみを塗布した(つまり、実施例3−1〜実施例3−3から赤外線吸収剤4を抜いたものであって、本発明における赤外線吸収層3を有さない)ものを、これらの比較例3とし、実施例3−1〜実施例3−3と共に、L*** 表色系の各値とΔE* 、近赤外線反射率Hn の近赤外線域での平均値を、以下の表5と、図7、8にて示す。
この表5において、赤外線吸収剤4の含有量Gが、「0.2g/m2 」であれば、色差ΔE* が2.148以内である(つまり、汚染用グレースケールの4−5級に相当する)が、含有量Gが「1.0g/m2 」となると、色差ΔE* が2.148を越えている。
従って、試験3において、汚染用グレースケールの4−5級相当での赤外線吸収剤4(ATO)含有量Gの上限値は、「0.2g/m2 」と「1.0g/m2 」の間に存在し、「0.30g/m2 」とする。
一方で、汚染用グレースケールの4級相当であれば、赤外線吸収剤4(ATO)の含有量Gが「1.0g/m2 」であっても、色差ΔE* は「4.801」以内であり(つまり、汚染用グレースケールの4級に相当し)、汚染用グレースケールの4級相当での含有量Gの上限値は、「1.0g/m2 」と「2.0g/m2 」の間に存在する。
このように、試験3において、4−5級と4級に相当する含有量Gの上限値それぞれを鑑みるに、汚染用グレースケールの4−5級又は4級(4−5級と4級に亘る範囲)に相当する赤外線吸収剤4(ATO)含有量Gであれば、その上限値は、「0.2g/m2 」と「2.0g/m2 」の間に存在し、「0.90g/m2 」とする。
尚、試験2で比較例2として用いた壁紙は、表面の色相が濃グレーであり、元々赤外線等の光を吸収しやすい色(実際に、試験2の比較例2における近赤外線反射率Hn は「40.863」)である。
一方、試験3で比較例3として用いた壁紙は、表面の色相が淡ベージュであり、近赤外線反射率Hn も「47.341」であるが、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有させた(含有量Gを「0.2g/m2 」とした)だけで、近赤外線反射率Hn が「38.815」まで下がっている。
加えて、赤外線吸収剤4の含有量Gを「1.0g/m2 」としただけで、近赤外線反射率Hn が、更に「28.703」まで下がっており、この「28.703」という値は、表面の色相が濃グレーの試験2で、赤外線吸収剤4の含有量Gを「1.0g/m2 」とした時の近赤外線反射率Hn 「36.894」すら下回っている。
従って、元々の基材表面の色相が淡ベージュである(明度L* 値が高い)と、元々の色相が濃グレーである(明度L* 値が低い)ものと比べて、少し赤外線吸収剤4を含有させただけで、近赤外線反射率Hn が大幅に下がると共に、下がった近赤外線反射率Hn の値も、元々が濃グレーであるものよりも低い値となる。
<試験4>
そこで、ベースとなる基材表面の明度L* 値と、赤外線吸収剤4の含有量Gによる色差ΔE* を調べる。
試験4では、基材の表面の明度L* 値が、「91.71(比較例4a)」、「83.94(比較例4b)」、「77.88(比較例4c)」、「68.04(比較例4d)」、「58.61(比較例4e)」、「47.58(比較例4f)」、「36.14(比較例4g)」の7種類であって、基材がPVC樹脂からなる壁紙を、ベースに用いた(つまり、基材表面の明度L* 値が「91.71」、「83.94」、「77.88」、「68.04」、「58.61」、「47.58」、「36.14」のベースとした壁紙に赤外線吸収剤4を含有させずに樹脂バインダーのみを塗布した(本発明における赤外線吸収層3を有さない)ものを、この順に、比較例4a、比較例4b、比較例4c、比較例4d、比較例4e、比較例4f、比較例4gとしている)。
これら7種類の壁紙の表面それぞれに、赤外線吸収剤4としてATOを、0.2g/m2 の割合で塗布して(赤外線吸収剤4が0.2g/m2 の割合で含有された)赤外線吸収層3を形成したシート材(実施例4a−1〜実施例4g−1)、1.0g/m2 塗布して(赤外線吸収剤4が1.0g/m2 の割合で含有された)シート材(実施例4a−2〜4g−2)をそれぞれ得た。
これら実施例4a−1〜実施例4g−2と、比較例4a〜4gにおけるL*** 表色系の各値とΔE、そして、近赤外線反射率Hn の近赤外線域での平均値を、以下の表6に示す。
尚、この表6中における「4a」〜「4g」の見方は、「4a」であれば、ベースとなる基材表面の明度L* 値が「91.71」である壁紙を用いた比較例4a、実施例4a−1、実施例4a−2を表し、「4b」であれば、明度L* 値が「91.71」である壁紙を用いた比較例4b、実施例4b−1、実施例4b−2を表し、以下同様で、「4c」〜「4g」まで、それぞれの明度L* 値で同じ壁紙を用いた比較例と、2つ実施例を表す。
又、表6の見方は、例えば、「4a」であれば、基材表面の明度L* 値が「91.71」であるベースの壁紙(比較例4a)から縦に下って、この比較例4aのa* 値、b* 値を示している。
この比較例4aのb* 値から、更に縦に下ったL* 値「90.63」とその下2つで、比較例4aと同じベースの壁紙に赤外線吸収剤4(ATO)を0.2g/m2 含有させた(含有量Gを「0.2g/m2 」とした)実施例4a−1のL* 値、a* 値、b* 値を示している。以下同様にして、この実施例4a−1から縦に下った3つの欄で、1.0g/m2 含有させた実施例4a−2のL* 値、a* 値、b* 値を示している。
尚、実施例4a−1における比較例4aとの色差ΔE* は、更に二重線を挟んで1つ目の「−」から縦に下った「1.676」が示しており、実施例4a−2の比較例4aとの色差ΔE* は、更に下の「4.174」が示す。
更に二重線を挟んで縦に下った3つの「53.937」、「37.052」、「22.235」が、この順に、比較例4a、実施例4a−1、実施例4a−2の近赤外線反射率Hn の平均値を示す。
以下、「4b」〜「4g」においても同様である。
上述した表6を基に、基材表面の明度L* 値ごとの含有量Gと色差ΔEの関係を図9に示し、含有量Gごとの基材表面の明度L* 値と色差ΔE* の関係を図10に示し、含有量Gごとの基材表面の明度L* 値と近赤外線反射率Hn の平均値の関係を図11に示す。
これら3図のうち図10や表2から、赤外線吸収剤4(ATO)の含有量Gは、同じ0.2g/m2 や1.0g/m2 であっても、ベースとなる基材表面の明度L* 値によって、色差ΔE* は異なる。
すなわち、基材表面の明度L* 値が高い(淡い)ほど、同量の含有量Gであっても色差ΔE* は大きくなり、明度L* 値が低い(濃い)ほど、含有量Gが同じでも、色差ΔE* は小さくなる(色差ΔE* で上限を決めれば、ベースの色が濃い(明度L* 値が低い)ほど、たくさん含有させられる)。
一方、汚染用グレースケールの4−5級に相当する色差ΔE* 「2.148」との関係を見ると、赤外線吸収剤4の含有量Gが「0.2g/m2 」の際には、ベースとなる基材表面の明度L* 値に関わらず、色差ΔE* は「2.148」以内となるが、「1.0g/m2 」含有させると、基材表面の明度L* 値が「75」を越えると、色差ΔE* は「2.148」を越える(図10中の4−5級相当ΔE* を越える)。
しかし、図11に示されたように、基材表面の明度L* 値が高い(淡い)場合は、多くの赤外線吸収剤4を含有させずとも、近赤外線反射率Hn を、基材表面の明度L* 値が低い(濃い)場合よりも減少幅が大きい(図11中で、含有量G0.0g/m2 の曲線と、や0.2g/m2 の曲線間の開きは、グラフの右にいけばいくほど(明度L* 値が大きくなって、基材表面が明るくなればなるほど)、大きくなっている)。
つまり、基材表面の明度L* 値が低い域(濃色域)では、もともとの近赤外線反射率Hn が低く、色差ΔE* の点からも、多くの赤外線吸収剤4の含有が可能であるが、赤外線含有による近赤外線反射率Hn がそれほど減少しない(例えば、表6中、最も濃い「4g」の縦列(基材表面の明度L* 値が「36.14」)では、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有させても、近赤外線反射率Hn は「0.704%」しか減少していない(表6中「4g」の縦列で下から2、3番目の欄参照))。
又、シート状物として本来持つ用途に照らして、基材表面が濃色域であれば、表装材・インテリアとして使える場面も限られる。
これとは逆に、基材表面の明度L* 値が高い域(淡色域)では、赤外線吸収剤4(ATO)を「0.2g/m2 」しか含有させていないにも関わらず、近赤外線反射率Hn が大幅に減少し(例えば、表6中、最も淡い(明るい)「4a」の縦列(基材表面の明度L* 値が「91.71」)では、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有させただけで、近赤外線反射率Hn は「16.885%」も減少している(表6中「4a」の縦列で下から2、3番目の欄参照))。
更に、この減少幅「16.885%」は、最も明るい「4a」の縦列で含有量Gを「0.2g/m2 」から5倍の「1.0g/m2 」に増やした時の減少幅「14.817%」に匹敵すると共に、表6中の濃色側「4e」、「4f」、「4g」の縦列で、「1.0g/m2 」使ったときの減少幅「11.319%」、「7.874%」、「5.040%」を越える。
従って、基材表面の明度L* 値が高い域であれば、赤外線吸収剤4を多量に使わずとも十分な赤外線吸収能が発揮され、使用する赤外線吸収剤4の量を低減でき、製造コストを抑制できる。
又、他の淡色側等「4b」、「4c」、「4d」の縦列(基材表面の明度L* 値が「83.94」、「77.88」、「68.04」)でも、含有量Gを「1.0g/m2 」とすれば、「21.404%」、「21.653%」、「19.341%」の減少幅があり、濃色側「4e」、「4f」、「4g」の縦列において、「1.0g/m2 」使ったときの減少幅を越える。
特に、最も明るい「4a」の縦列で「1.0g/m2 」使ったときの減少幅は、「31.702%」である。
<明度L* 値の下限値>
ここで、図9に示すように、「4a」〜「4g」の何れの明度L* 値であっても、色差ΔE* が「2.148」以内であって、表6中においても、赤外線吸収剤4を含有させた前後で明度L* 値の差が「1.08」以内となる場合(つまり、赤外線吸収剤4の含有量Gが「0.2g/m2 」である場合)において、近赤外線反射率Hn を「5%」等減少させる基材表面の明度L* 値の下限値は、幾らから、であるかを検討する。
表6中で、3番目に濃い「4e」の縦列において、含有量Gを0.0g/m2 から0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「6.615%」であり、2番目に濃い「4f」の縦列において、含有量Gを0.0g/m2 から0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「0.711%」である。
つまり、赤外線吸収層3の最表面3aが2番目に濃い「4f(L* 値が「47.70」)」の縦列と、3番目に濃い「4e(L* 値が「58.26」)」の縦列との間で、初めて近赤外線反射率Hn の減少幅が「5%」を越えている。
従って、赤外線吸収剤4(ATO)の含有量G「0.2g/m2 」における近赤外線反射率Hn 減少幅「5%」の明度L* 値の下限値(つまり、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有しさえすれば、近赤外線反射率Hn の減少幅が初めて「5%」を越えるときの赤外線吸収層3の最表面3aの明度L* 値)は、「47.70」と「58.26」の間に存在し、「L* 値50」とする。
次に、含有量G「0.2g/m2 」で、近赤外線反射率Hn を「7%」減少させる明度L* 値の下限値も、同様に考えて、表6中で、4番目に濃い(4番目に明るい)「4d」の縦列において、含有量Gを0.0g/m2 から0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「7.850%」であり、3番目に濃い「4e」の縦列において、含有量Gを0.0g/m2 から0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「6.615%」である。
つまり、赤外線吸収層3の最表面3aが3番目に濃い「4e(L* 値が「58.26」)」の縦列と、4番目に濃い「4d(L* 値が「67.72」)」の縦列との間で、初めて近赤外線反射率Hn の減少幅が「7%」を越えており、含有量G「0.2g/m2 」における近赤外線反射率Hn 減少幅「7%」の明度L* 値の下限値は、「58.26」と「67.72」の間に存在し、「L* 値60」とする。
「10%」も同様に、含有量G「0.2g/m2 」で、近赤外線反射率Hn を「10%」減少させる明度L* 値の下限値は、表6中で、5番目に濃い(3番目に明るい)「4c」の縦列において、含有量Gを0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「12.206%」であり、4番目に濃い(4番目に明るい)「4d」の縦列において、含有量Gを0.2g/m2 とした際の近赤外線反射率Hn の減少幅は「7.850%」である。
従って、赤外線吸収層3の最表面3aが4番目に濃い「4d(L* 値が「67.72」)」の縦列と、5番目に濃い「4c(L* 値が「77.45」)」の縦列との間で、初めて近赤外線反射率Hn の減少幅が「10%」を越えており、含有量G「0.2g/m2 」における近赤外線反射率Hn 減少幅「10%」の明度L* 値の下限値は、「67.72」と「77.45」の間に存在し、「L* 値70」とする。
<明度L* 値の上限値>
尚、赤外線吸収剤4の含有量Gが「0.2g/m2 」である場合における明度L* 値の上限値は、近赤外線反射率Hn が「50%」以下であることから求められる。
表6中で、最も淡い(明るい)「4a」の縦列で、ベースとなる壁紙の基材表面の近赤外線反射率Hn は「50%」を越えているが、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有させることで、近赤外線反射率Hn が「50%」より下がっている。
ここで、赤外線吸収層3の最表面3aの明度L* 値が「90.63」が「100.00」に近づくにつれて、赤外線吸収剤4を「0.2g/m2 」含有させても、近赤外線反射率Hn が「50%」以下とならない可能性もあり得ることから、明度L* 値の上限値は、「90.63」と「100.00」の間に存在し、「L* 値95」とする。
上述した試験4で示されたように、赤外線吸収層3側から入射する赤外線の反射を、JIS−Z−8729:2004によるL*** 表色系におけるL* 値(明度)が50以上95以下とすることで、シート材1のベースとなる基材2の表面2aが淡く明るい色でも(明度L* 値が高くても)、赤外線吸収能を十分に発揮しつつ、シート状物として本来持つ(表装材・インテリアとしての)用途に支障はない。
又、明度L* 値を、好ましくは60以上95以下とし、更に好ましくは70以上95以下とすることで、非常に少量の赤外線吸収剤4で、十分な赤外線吸収能が発揮でき、使用する赤外線吸収剤4の量や、製造コストを抑えることが可能となる。
<その他>
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。シート材1、壁紙10の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
シート材1は、シート状基材2の一方面(表面)2a側のみに、赤外線吸収層3を形成していたが、裏面2b側に、裏打紙11を貼り付けるのではなく、赤外線吸収層3を形成する、つまり、シート状基材2の表裏両面2a、2bに、赤外線吸収層3が形成されていても構わない。
シート材1は、壁紙10として用いても良く、これにより、建築物の屋内や、自動車、車両の車内などにおける壁面等の内面を装飾又は補強する壁紙本来の機能と共に、壁面等に、赤外線吸収の機能(赤外線吸収能)も持たせて、屋内・車内などの暖房効率を向上させ、省エネを図れる。
本発明は、建物内における壁面に限らず、天井や床面にも使用可能であり、更には、自動車、車両の車内、航空機の機内、船舶の船内における壁面、天井、床面にも利用することが出来る。
1 シート材
2 シート状基材
2a シート状基材の一面(表面)
2b シート状基材の他方の面(裏面)
3 赤外線吸収層
3a 赤外線吸収層の露出した面(最表面)
4 赤外線吸収剤
10 壁紙
11 裏打紙
H 赤外線の反射率

Claims (6)

  1. シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が38.815%以下であり、
    前記赤外線吸収層は、珪酸ジルコニウム粒子を含有しておらず、
    前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、
    前記シート状基材を透過する赤外線は、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の0.2%以下であることを特徴とするシート材。
  2. 前記赤外線吸収層は赤外線吸収剤を0.03g/m2 以上2.00g/m2 以下の割合で含有していることを特徴とする請求項に記載のシート材。
  3. 前記赤外線吸収層の露出した最外面と、前記シート状基材の表面とのJIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系における色差ΔE * が4.8以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート材。
  4. シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が50%以下であり、
    前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、且つ、前記赤外線吸収層は赤外線吸収剤を0.03g/m 2 以上2.00g/m 2 以下の割合で含有し、
    前記赤外線吸収剤がアンチモンドープ錫酸化物であることを特徴とするシート材。
  5. シート状基材の少なくとも一面側に形成された赤外線吸収層が最外面に位置して露出し、前記赤外線吸収層の露出した面側から入射する赤外線の反射率が50%以下であり、
    前記赤外線吸収層の露出した面は、JIS−Z−8729:2004によるL * * * 表色系におけるL * 値が50以上95以下であり、
    温度を約20℃に整えた評価用BOX内にて前記最外面に位置した赤外線吸収層の直上で距離が30cmの位置から130Wのレフランプにて光を照射してから10分後における最外面の表面温度と前記赤外線吸収層を有さない場合の最外面の表面温度との温度差と、前記赤外線吸収層における赤外線吸収剤の含有量との関係は、以下の式(1)で表され、前記温度差は1.1℃以上であることを特徴とするシート材。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のシート材を用いていることを特徴とする壁紙。
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