JP6156520B2 - 衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の障害物等への衝突の回避を支援する衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法に関する。
従来から、車両の運転中に障害物に対する衝突を防ぐための衝突回避支援装置が研究開発されている。例えば、特許文献1には、物体検出手段が検出した物体と自車両との衝突可能性を離散時間ごとに判定し、TTC(time to collision:障害物への到達時間)に基づく衝突可能性の算出結果に応じて、ブレーキ支援等の衝突回避支援を行う技術が開示されている。
特開2008−308024号公報 国際公開2013−030903号
ところで、これらの衝突回避支援によって実際に自車両が検出した物体と衝突することを回避するためには、より早いタイミングで衝突回避支援を行うことが望ましい。しかしながら、衝突回避支援の実行タイミングを早めるためには、衝突回避支援を実行するか否かの判断タイミングを更に早める必要があるため、不要な衝突回避支援が発生する問題がある。
そこで、本発明の一態様は、不要な衝突回避支援の発生を抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る衝突回避支援装置は、車両周囲の物体に対する車両の衝突回避支援を実行する衝突回避支援装置であって、物体を検出する物体検出部と、物体検出部の検出結果に基づいて、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する実行予定タイミング決定部と、物体検出部が物体を検出した検出タイミングよりも後かつ実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯において、少なくとも車両のジャークから得られる運動特性値を取得する運動特性値取得部と、運動特性値取得部が取得した運動特性値と、過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定部と、を備える。
本発明の一態様に係る衝突回避支援装置では、衝突回避支援決定部が、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングよりも前の比較対象時間帯において、少なくとも車両のジャークから得られる運動特性値と過去の運動特性値の履歴から得られた基準運動特性値との比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する。ここで、車両のジャークは、ドライバによるアクセルペダルオフ操作、ブレーキペダルオン操作などに起因した車両の運動量変化を抽出しやすいパラメータであり、基準運動特性値は、ドライバのいつもの運転の特徴を表すものと推認できる。このため、現在のドライバの運転の特徴がドライバのいつもの運転の特徴と異なるか否かに基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定することができる。これにより、運動特性値と基準運動特性値との比較結果に基づかない場合に比べて、不要な衝突回避支援の発生を抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
一実施形態として、運動特性値取得部は、比較対象時間帯における車両のジャーク及び車両の加速度から得られる運動特性値を取得してもよい。これにより、運動特性値及び基準運動特性値において、車両のジャークだけでなく車両の加速度も加味した比較を行うことができる。ここで、車両の加速度は、ドライバによるエンジンブレーキ操作等の変速度を下げる操作に起因した車両の運動量変化、アクセルペダル操作後又はブレーキペダル操作後における車両の運動量変化などを抽出しやすいパラメータである。このため、車両のジャーク及び車両の加速度の両方を用いて衝突回避支援の判定を行うことで、不要な衝突回避支援の発生を更に抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
一実施形態として、運動特性値取得部は、比較対象時間帯における車両のジャーク及び車両の加速度の比率を運動特性値として取得してもよい。車両のジャーク及び車両の加速度の比率を用いることによって、ドライバにより行われる運転操作の特徴を表す車両の運動特性の変化を顕在化させることができる。これによって、不要な衝突回避支援の発生をより一層抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
一実施形態として、衝突回避支援決定部は、運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が閾値以上である場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行することを決定してもよい。これにより、運動特性値が表す現在の運転操作状況が、基準運動特性値が表すいつもの運転操作状況と異なっているか否かが、精度よく判定される。したがって、不要な衝突回避支援の発生をより一層抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
一実施形態として、車両及び物体の遭遇状態を判定する遭遇状態判定部を更に備え、遭遇状態判定部は、車両の進行方向における車両及び物体の相対距離を車両及び物体の相対速度で除した第一接近度と、車両の進行方向と交差する方向における車両及び物体の相対距離を車両及び物体の相対速度で除した第二接近度と、に基づいて、車両に対する物体の遭遇状態が横断状態であるか並進状態であるかを判定し、衝突回避支援決定部は、運動特性値と、遭遇状態における過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定してもよい。遭遇状態判定部によって判定された遭遇状態が並進状態である場合と横断状態である場合とでは、運動特性値の時間的変化が異なると考えられる。このため、運動特性値との比較対象として、運動特性値と同じ遭遇状態における遭遇状態別運動特性値を用いることで、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かの判断精度を高めることができる。
一実施形態として、衝突回避支援決定部は、遭遇状態が横断状態である場合に、前記遭遇状態別基準運動特性値として、前記遭遇状態判定部によって遭遇状態が横断状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた前記比較対象時間帯における横断状態基準運動特性値を用いてもよい。遭遇状態判定部によって判定された遭遇状態が横断状態である場合は、遭遇状態が並進状態である場合に比べ、運動特性値の時間的変化が大きいと考えられる。このため、遭遇状態が横断状態である場合に、遭遇状態別運動特性値として横断状態基準運動特性値を用いることで、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かの判断精度を高めることができる。
本発明の一態様に係る衝突回避支援方法は、車両周囲の物体に対する車両の衝突回避支援を実行する衝突回避支援方法であって、物体を検出する物体検出ステップと、物体検出ステップの検出結果に基づいて、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する実行予定タイミング決定ステップと、物体検出ステップで物体を検出したタイミングよりも後かつ実行予定タイミング決定ステップで決定した実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯において、車両のジャークから得られる運動特性値を取得する運動特性値取得ステップと、運動特性値取得ステップで取得した運動特性値と、過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定ステップと、を備える。
本発明の一態様に係る衝突回避支援方法では、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングよりも前の比較対象時間帯において、車両のジャークから得られる運動特性値と過去の運動特性値の履歴から得られた基準運動特性値との比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かが決定される。ここで、車両のジャークは、ドライバによるアクセルペダルオフ操作、ブレーキペダルオン操作などに起因した車両の運動量変化を抽出しやすいパラメータであり、基準運動特性値は、ドライバのいつもの運転の特徴を表すものと推認できる。このため、現在のドライバの運転の特徴がドライバのいつもの運転の特徴と異なる場合に、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定することができる。これにより、運動特性値と基準運動特性値との比較結果に基づかない場合に比べて、不要な衝突回避支援の発生を抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
本発明の一態様によって、不要な衝突回避支援の発生を抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法を提供できる。
実施形態に係る衝突回避支援装置を示すブロック図である。 実施形態に係る衝突回避支援方法を説明するフローチャートである。 遭遇状態判定処理を説明するフローチャートである。 第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間の算出方法を示す図である。 時間変化に伴う車両と物体との距離または車両の速度変化を示すグラフである。 横断状態における第一接近度A1及び第二接近度A2の変化を示すグラフである。 並進状態における第一接近度A1及び第二接近度A2の変化を示すグラフである。 運転操作状況判定処理を説明するフローチャートである。 横断状態における車両の運動特性の時間的変化の一例を示すグラフである。 横断状態におけるいつもの運転特性の時間的変化の一例を示すグラフである。 衝突回避支援決定処理を説明するフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら実施形態に係る衝突回避支援装置及び方法を詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の内容に限定されない。また、添付図面は実施形態の一例を示したものであり、形態はこれに限定して解釈されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。図面の寸法及び比率は図示されたものに限られるものではない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
衝突回避支援装置及び方法は、車両と物体の衝突を回避するための衝突回避支援を行う装置及び方法である。衝突回避支援装置及び方法としては、車両と物体との衝突回避のための衝突回避支援装置及び方法、車両挙動を安定化させるための衝突回避支援装置または方法、車両周囲の撮像画像を表示することによりドライバへの視認を促す衝突回避支援装置または方法、衝突予測を行う衝突回避支援装置または方法、報知又は警報によりドライバまたは車両周囲への注意を促す衝突回避支援装置または方法、などが挙げられる。
ここで物体とは、例えば、歩行者、二輪車、自動車など、車両と衝突する可能性がある移動可能な物体である。衝突回避とは、例えば、制動介入による衝突回避、操舵介入による衝突回避、及びドライバへの注意喚起のうち少なくとも1つを含む。制動介入とは、例えば、自動ブレーキによる制動、制動力サポート、光の照射、音声、及び振動などの物理刺激によるドライバへの制動操作の促しの少なくとも1つを含む。また、操舵介入とは、例えば、自動操舵による旋回、操舵サポート、光の照射、音声、及び振動などの物理刺激によるドライバへの操舵操作の促しの少なくとも1つを含む。注意喚起とは、光の照射、音声、振動などの物理刺激によるドライバへの運転及び周囲の確認の促しの少なくとも1つを含む。なお、衝突回避、制動介入、操舵介入、及び注意喚起は、上記以外の周知技術であってもよい。
まず、図1から図11を参照して、実施形態に係る衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法について説明する。図1は、実施形態に係る衝突回避支援装置を示すブロック図である。
図1に示すように、衝突回避支援装置1は、車両に搭載され、車両周囲の物体に対する車両の衝突回避支援を実行する装置である。衝突回避支援装置1は、衝突回避支援処理を主に行うECU(Electronic Control Unit)10を中心として構成されている。ECU10には、物体検出部21、HMI(Human Machine Interface)22、及びアクチュエータ23が接続されている。
物体検出部21は、車両に取り付けられたセンサ、GPS、ナビゲーションシステムなどから構成され、車両周囲の障害物となりうる物体を検出する。物体検出部21が検出する物体は、車両の進行方向前方の物体とすることができる。物体検出部21は、他に衝突回避支援に必要な各種情報を取得してもよい。各種情報は、車両周囲にて障害物となりうる物体が検出された際に物体検出部21によって取得される情報であり、例えば、車両と物体との遭遇時における車両に関する情報、車両周囲の物体に関する情報、及び車両周囲の状況に関する情報などが含まれる。なお、センサとしては、レーダセンサ、画像センサ、車速センサ、舵角センサ、アクセルセンサ、又はブレーキセンサなどが用いられる。
ここで、車両に関する情報は、車両の運動情報、車両の位置情報、及びドライバ操作情報を含む。車両の運動情報としては、車両の速度、加速度、及び車両ジャーク(加速度の微分値)などが挙げられる。ドライバ操作情報としては、アクセル操作(オン及びオフの操作タイミング及び操作量)、ブレーキ操作(オン及びオフの操作タイミング及び操作量)、及びステアリング操作などが挙げられる。
車両周囲の物体に関する情報としては、例えば車両周囲の物体の位置情報及び物体の運動情報が挙げられる。車両周囲の物体の運動情報としては、物体の速度、加速度、及びジャーク等が挙げられる。車両周囲の状況に関する情報としては、車両の周囲の走行環境情報が挙げられる。当該走行環境情報の具体例としては、例えば周辺環境(天候、時間帯、気温、室温など)、走行路の制限速度、道路線形、及び道路構造物などが挙げられる。
HMI22は、視覚情報、聴覚情報、及び触覚情報などを用いて、車両の走行状態などを車両のドライバに報知する報知支援を実行するために用いられる。HMI22の具体的として、例えばモニタ、スピーカ、バイブレータ、又はブザーが挙げられる。
アクチュエータ23は、衝突回避支援装置1による衝突回避支援を実行するために用いられる。アクチュエータ23として、例えばブレーキアクチュエータ、ステアリングアクチュエータ、又はシートベルトアクチュエータなどが挙げられる。
ECU10は、例えば情報処理部11、遭遇状態判定部12、実行予定タイミング決定部13、時間帯特定部14、運動特性値取得部15、記憶部16、基準運動特性値取得部17、衝突回避支援決定部18及び衝突回避支援実行部19を備える。ECU10は、CPU、ROM、RAMなどを主体として構成され、CPUによるプログラムの実行を通じて、情報処理部11、遭遇状態判定部12、実行予定タイミング決定部13、時間帯特定部14、運動特性値取得部15、記憶部16、基準運動特性値取得部17、衝突回避支援決定部18及び衝突回避支援実行部19の機能を実現する。なお、情報処理部11、遭遇状態判定部12、実行予定タイミング決定部13、時間帯特定部14、運動特性値取得部15、記憶部16、基準運動特性値取得部17、衝突回避支援決定部18及び衝突回避支援実行部19は、2つ以上のECUにより実現されてもよい。
情報処理部11は、物体検出部21によって取得された各種情報から、車両及び物体の相対的な移動状態を示す相対運動情報と、車両及び物体の位置関係についての情報と、を算出する。
相対運動情報としては、車両進行方向における車両と物体との相対距離、相対速度、相対加速度及び相対ジャーク(相対加速度の時間微分値)と、車両進行方向と交差する方向における車両と物体との相対距離、相対速度、相対加速度及び相対ジャークと、が算出される。車両及び物体の位置関係についての情報としては、車両進行方向における車両及び物体の位置関係に関する情報と、車両進行方向と交差する方向における遭遇時の車両及び物体の位置関係についての情報と、が算出される。車両進行方向と交差する方向は、車両幅方向、車両進行方向と直角に交差する方向、及び車両進行方向と斜めに交差する方向の何れでもよい。
情報処理部11は、取得された各種情報と算出された相対運動情報とを用いて、車両が物体に遭遇した時における運転指標を算出する。運転指標は、例えば物体に対する車両の接近度合を示す第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCが挙げられる。
第一接近度A1は、車両進行方向における車両及び物体の接近度を示す指標値である。第二接近度A2は、車両進行方向と交差する方向における車両及び物体の接近度を示す指標値である。到達時間TTCは、車両及び物体の接近度を示す時間であり、車両が遭遇した物体に衝突するまでに予測される時間としてもよい。第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCの算出方法は後述する。
遭遇状態判定部12は、取得された各種情報及び算出された運転指標の少なくとも何れかに基づいて、車両及び物体の遭遇状態を判定する。車両と物体との遭遇状態の判定結果(遭遇状態判定結果)として、物体が車両の前方を横断している状態(横断状態)、物体が車両と並進している状態(並進状態)、又は物体が停止している状態(停止状態)などが挙げられる。遭遇状態判定部12は、例えば上述の第一接近度A1及び第二接近度A2の比率が閾値以下の場合、車両及び物体の遭遇状態が並進状態であると判定する。
実行予定タイミング決定部13は、物体検出部21の検出結果に基づいて、車両の衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する。実行予定タイミング決定部13は、物体検出部21による物体の検出に基づいて、実行予定タイミングを決定してもよい。また、実行予定タイミング決定部13は、遭遇状態判定部12による遭遇状態の判定結果に応じて実行予定タイミングを決定してもよい。例えば、実行予定タイミング決定部13は、遭遇状態判定結果が横断状態であれば実行予定タイミングを決定し、遭遇状態判定結果が並進状態であれば実行予定タイミングを決定しない。なお、実行予定タイミングとは、衝突回避支援装置1が衝突回避支援の実行を予定するタイミングであり、例えば衝突回避操作が実行されなければ車両が物体に衝突してしまう可能性が一定以上になるタイミングである。実行予定タイミングは、到達時間TTCにて表してもよい。この場合、実行予定タイミングは、予め設定された到達時間TTCとすることができる。
時間帯特定部14は、物体検出部21が物体を検出した検出タイミングよりも後かつ実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯を特定する。比較対象時間帯の始点を第二タイミングとし、当該比較対象時間の終点を第三タイミングとしてもよい。第二タイミングは、例えば物体との衝突予測リスクが一定量以上となるタイミングであり、第三タイミングは、実行予定タイミングと第二タイミングとの間である。第二タイミングは、実行予定タイミングが決定された際に任意に特定されるタイミングとして例えば到達時間TTCにて表してもよい。この場合、第二タイミングは、予め設定された到達時間TTCとすることができる。また、第二タイミングは、例えば車両が物体と遭遇したことを認識し、遭遇状態の判定が完了したタイミングとすることができる。第三タイミングは、実行予定タイミングが決定された際に任意に特定されるタイミングであり、到達時間TTCにて表してもよい。この場合、第三タイミングは、予め設定された到達時間TTCとすることができる。また、第三タイミングは、例えば第一タイミングよりΔTb前のタイミングと設定することができる。ΔTbは、比較対象時間帯の終了タイミングから実行予定タイミングまでの時間間隔を示す。ΔTbは、あらかじめ設定された値である。また、第三タイミングは、後述する運転操作状況の判定が終了したタイミングとして設定されてもよい。
運動特性値取得部15は、比較対象時間帯における運動特性値を取得する。運動特性値は、比較対象時間帯における車両のジャークから得られる値である。本実施形態では、車両のジャークは車両及び物体の相対ジャークであるが、車両自体のジャークでもよい。車両のジャークは、例えばドライバによるアクセルペダルオフ操作、ブレーキペダルオン操作などに起因した車両の運動量変化を抽出しやすいパラメータである。
運動特性値は、比較対象時間帯における車両のジャーク及び車両の加速度から得られてもよい。本実施形態では、車両の加速度は、車両及び物体の相対加速度であるが、車両加速度でもよい。車両の加速度は、例えばドライバによるエンジンブレーキ操作等の変速度を下げる操作に起因した車両の運動量変化、アクセルペダル操作後又はブレーキペダル操作後における車両の運動量変化などを抽出しやすいパラメータである。
運動特性値は、車両のジャーク及び車両の加速度の比率(車両の運動特性)であることが好ましく、車両のジャークを車両の加速度で除した値であることが更に好ましい。運動特性値が車両のジャーク及び車両の加速度の比率である場合、特に、運動特性値が車両のジャークを車両の加速度で除した値である場合、ドライバにより行われる運転操作の特徴の変化を顕在化させることができる。具体的には、運動特性値を取得することによって、車両のジャーク及び車両の加速度の両方の運動量変化が確認できる。また、車両のジャーク及び車両の加速度のそれぞれの特性が強調されやすくなる。なお、車両の運動特性は、例えば時刻=tにおいての車両と物体との相対距離Drとしたとき、下記数式にて算出される。
Figure 0006156520
記憶部16は、過去の運動特性値の履歴を記憶する。過去の運動特性値の履歴は、例えば遭遇状態判定結果(横断状態、並進状態)毎に運動特性値が関連付けられたものであり、関連付けられた運動特性値が統計処理されたものである。統計処理としては、例えば、過去の複数の運動特性値から中央値又は最頻値を算出し、この算出した中央値又は最頻値を過去の運動特性値の履歴とすることができる。例えば記憶部16は、遭遇状態判定結果毎に運動特性値の中央値及び最頻値を算出及び記憶し、当該中央値及び最頻値に基づいて判定された異常値を記憶しない。また、記憶部16は、遭遇状態判定結果及び運動特性値の関連付けが不適切な場合、当該運動特性値を記憶しなくてもよい。これにより、記憶部16は、遭遇状態判定結果毎に運動特性値を高い精度で記憶することができる。なお、遭遇状態判定結果に応じて実行予定タイミングを決定しない場合は、過去の運動特性値の履歴を遭遇状態判定結果に関連付けて記憶しなくてもよい。
また、記憶部16は、例えば物体検出部21が取得した各種情報と、情報処理部11によって算出された運転指標と、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態判定結果と、実行予定タイミング決定部13によって決定された実行予定タイミングと、時間帯特定部14によって特定された比較対象時間帯と、運動特性値取得部15によって取得された運動特性値と、を過去のデータとして記憶及び蓄積する。記憶部16は、当該過去のデータを遭遇状態判定結果毎に関連付けてもよい。例えば、記憶部16は、遭遇状態判定結果毎に各種情報及び運転指標を関連付けて記憶する。また、記憶部16は、到達時間に関連付けて過去のデータを記憶してもよい。なお、過去の運動特性値の履歴が過去のデータに含まれてもよい。
基準運動特性値取得部17は、時間帯特定部14によって特定された比較対象時間帯における基準運動特性値を取得する。基準運動特性値は、運動特性値に対応するパラメータであって、過去の運動特性値の履歴から得られるパラメータである。基準運動特性値は、例えば記憶部16に保存された過去の運動特性値の履歴から取得される。また、基準運動特性値取得部17は、記憶部16に記憶された過去のデータから、比較対象時間帯における基準運動特性値を算出してもよい。基準運動特性値取得部17は、基準運動特性値として、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態毎の過去の運動特性値の履歴から得られる比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値を取得してもよい。遭遇状態別基準運動特性値は、例えば横断状態基準運動特性値と、並進状態基準運動特性値とを含む。横断状態基準運動特性値は、遭遇状態判定部12によって遭遇状態が横断状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値である。並進状態基準運動特性値は、遭遇状態判定部12によって遭遇状態が並進状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値である。以下では、基準運動特性値を遭遇状態別基準運動特性値として説明するが、遭遇状態別基準運動特性値ではない基準運動特性値としてもよい。
例えば、運動特性値が車両のジャーク及び車両の加速度の比率(車両の運動特性)である場合、基準運動特性値は統計処理された車両のジャーク及び統計処理された車両の加速度の比率(いつもの車両の運動特性)となる。この場合、基準運動特性値は、遭遇状態判定結果に応じたドライバのいつもの運転の特徴を示す。したがって、基準運動特性値によって遭遇状態判定結果に応じたドライバのいつもの運転の特徴の変化を顕在化させることができる。
衝突回避支援決定部18は、遭遇状態判定部12による遭遇状態判定結果に基づいて、実行予定タイミング決定部13によって決定された実行予定タイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。例えば、衝突回避支援決定部18は、上記遭遇状態判定結果と、情報処理部11によって算出された到達時間TTCとに基づいて、実行予定タイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。なお、遭遇状態判定部12による遭遇状態に基づいて、実行予定タイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定するのは、遭遇状態が横断状態と判定された場合のみであってもよい。
衝突回避支援決定部18は、運動特性値取得部15が取得した運動特性値と、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態における過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における基準運動特性値(遭遇状態別基準運動特性値)と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。具体的には、衝突回避支援決定部18は、遭遇状態判定部12が判定した遭遇状態が横断状態である場合は、運動特性値取得部15が取得した運動特性値と、遭遇状態が横断状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における横断状態基準運動特性値との比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。また、遭遇状態判定部12が判定した遭遇状態が並進状態である場合は、運動特性値取得部15が取得した運動特性値と、遭遇状態が並進状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における並進状態基準運動特性値との比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。衝突回避支援決定部18は、例えば運動特性値の時間的変化(現在の運転操作状況)と、基準運動特性値の時間的変化(いつもの運転操作状況)とを比較することによって、実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。
実行予定タイミングよりも前のタイミングは、比較対象時間帯よりも後のタイミングであり、且つ、実行予定タイミングよりも前の時間帯における任意のタイミングとして設定される。実行予定タイミングよりも前のタイミングから実行予定タイミングまでの時間間隔は、0秒よりも長く、且つ、ΔTbよりも短い。実行予定タイミングよりも前のタイミングは、上記時間間隔及びタイミングを満たす限り、実行予定タイミングよりも所定時間前のタイミングとなるように設定することも可能である。また、実行予定タイミングよりも前のタイミングは、上記時間間隔及びタイミングを満たす限り、比較対象時間帯の終了タイミングよりも所定時間後のタイミングとなるように設定することも可能である。実行予定タイミングよりも少しでも前のタイミングに衝突回避支援を実行することを決定することによって、車両及び物体が衝突する可能性を下げることができる。なお、遭遇状態判定部12による遭遇状態に基づいて、実行予定タイミング及び実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定するのは、遭遇状態が横断状態と判定された場合のみであってもよい。
衝突回避支援決定部18は、例えば比較対象時間帯における運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が大きい場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行することを決定する。乖離度合が大きいか否かは、例えば当該乖離度合が閾値以上であるか否かに基づいて判断することができる。この場合、乖離度合が閾値以上である場合は、乖離度合が大きいと判断することができる。また、乖離度合が大きくなるにしたがって、実行予定タイミングから早める支援タイミングまでの時間間隔が長くなるように、乖離度合と当該時間間隔との関係を定めたマップを予め用意し、乖離度合を当該マップに適用することで、乖離度合が大きいか否かを判断することができる。なお、乖離度合が大きいか否かは、上記基準以外の基準に基づいて判断してもよい。ここで、運動特性値が車両の運動特性であり、基準運動特性値がいつもの車両の運動特性である場合、遭遇状態判定結果に応じた現在のドライバの運転の特徴の時間的な変化と、ドライバのいつもの運転の特徴の時間的な変化と、を比較できる。これにより、遭遇状態判定結果に応じた現在の運転操作状況と、いつもの運転操作状況とが乖離しているか否かを容易に確認できる。当該乖離度合は、例えば、比較対象時間帯の任意のタイミングにおける運動特性値と基準運動特性値との差分を計算することにより取得される。
衝突回避支援実行部19は、衝突回避支援決定部18の決定に応じた実行タイミングにて衝突回避支援の発動を実行する。衝突回避支援の実行とは、衝突回避支援していない状態から衝突回避支援している状態へ移行することに限られない。衝突回避支援の実行には、例えば衝突回避支援している状態から別の衝突回避支援へ切り替えること、及び衝突回避支援している状態から別の衝突回避支援をさらに行うことなどが含まれる。
衝突回避支援実行部19は、衝突回避支援決定部18が実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援を実行することを決定した場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて車両の衝突回避支援を実行する。実行予定タイミングよりも前のタイミングにおける衝突回避支援として、例えば制動介入、操舵介入、及びドライバへの注意喚起の一又は複数が挙げられる。本実施形態では、衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにおける衝突回避支援として、ドライバに注意喚起を行う衝突回避支援を実行する。実行予定タイミングよりも前のタイミングにおける衝突回避支援は、その他の衝突回避支援を含んでもよい。
衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングにて衝突回避支援決定部18が衝突回避支援を実行することを決定した場合、実行予定タイミングにて車両の衝突回避支援を実行する。実行予定タイミングにおける車両の衝突回避支援は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにおける車両の衝突回避支援と同一の衝突回避支援でもよいし、異なる新たな衝突回避支援でもよい。実行予定タイミングにおける衝突回避支援として、例えば制動介入、操舵介入、及びドライバへの注意喚起の一又は複数が挙げられる。本実施形態では、衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングにおける衝突回避支援として制動介入の一であるブレーキ支援を実行する。実行予定タイミングにおける衝突回避支援は、その他の衝突回避支援を含んでもよい。
衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援を実行しないときであっても、実行予定タイミングにて衝突回避支援を実行してもよい。衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援を実行したときであっても、実行予定タイミングにて衝突回避支援を実行しなくてもよい。衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援を実行したときであっても、実行予定タイミングにて異なる新たな衝突回避支援を実行してもよい。
次に、本実施形態に係る衝突回避支援方法の一例を説明する。図2は、本実施形態に係る衝突回避支援方法を説明するフローチャートである。本実施形態に係る衝突回避支援方法は、図2に示すように、物体検出・演算処理(S11)、遭遇状態判定処理(S12)、実行予定タイミング決定処理(S13)、運動特性値取得処理(S14)、運転操作状況判定処理(S15)、及び衝突回避支援決定処理(S16)に区分される。なお、以下の説明では、物体検出・演算処理(S11)、遭遇状態判定処理(S12)、実行予定タイミング決定処理(S13)、運動特性値取得処理(S14)、運転操作状況判定処理(S15)、及び衝突回避支援決定処理(S16)を別々に説明するが、物体検出・演算処理(S11)、遭遇状態判定処理(S12)、実行予定タイミング決定処理(S13)、運動特性値取得処理(S14)、運転操作状況判定処理(S15)、及び衝突回避支援決定処理(S16)は、各々並行に処理されてもよい。
物体検出・演算処理(S11)は、車両周囲の物体を検出する物体検出ステップである。物体検出・演算処理(S11)では、物体検出部21は車両周囲の障害物となりうる物体を検出する。また、物体検出部21は衝突回避支援に必要な各種情報を取得する。また、情報処理部11は、取得された各種情報を演算することによって、例えば車両及び物体の相対速度、相対加速度、相対ジャーク、及び運転指標が算出される。運転指標は、例えば第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCである。
遭遇状態判定処理(S12)では、遭遇状態判定部12は車両と物体との遭遇状態を判定する。車両と物体との遭遇状態は、取得された各種情報及び算出された運転指標の少なくとも一を用いて判定される。これによって、遭遇状態判定結果が生成される。衝突回避支援決定部18は、当該遭遇状態判定結果に基づいて、車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。例えば、衝突回避支援決定部18は、遭遇状態判定部12が横断状態であると判定した場合、衝突回避支援を実行することを決定する。
実行予定タイミング決定処理(S13)は、物体検出部21の検出結果に基づいて、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する実行予定タイミング決定ステップである。実行予定タイミング決定処理(S13)では、実行予定タイミング決定部13が、車両の衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する。そして、記憶部16は、決定した実行予定タイミングを記憶する。なお、実行予定タイミングの記憶は、S13以降であれば、いつ処理されてもよい。
運動特性値取得処理(S14)は、物体検出・演算処理(S11)で物体を検出した検出タイミングよりも後かつ実行予定タイミング決定処理(S13)で決定した実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯において、車両のジャークから得られる運動特性値を取得する運動特性値取得ステップである。運動特性値取得処理(S14)では、運動特性値取得部15が、比較対象時間帯における運動特性値を取得する。
運転操作状況判定処理(S15)は、運動特性値取得処理(S14)で取得した運動特性値と、過去の運動特性値の履歴から得られた基準運動特性値と、の比較に基づいて、運転操作状況を判定する運転操作状況判定ステップである。運転操作状況判定処理(S15)では、衝突回避支援決定部18は、ドライバの現在の運転操作状況がドライバのいつもの運転操作状況であるか否かを判定する。例えば、車両と物体との遭遇状態が横断状態である場合において、ドライバがいつも減速操作を行うタイミングで減速操作が行われているか、ドライバがいつもアクセルペダルをオフする操作を行うタイミングでアクセルペダルをオフする操作が行われているか、等が判定される。運転操作状況の判定は、運転特性値取得処理(S14)で運動特性値を取得した後、当該運動特性値と、基準運動特性値取得部17によって取得された基準運動特性値とを比較することによって行われる。
衝突回避支援決定処理(S16)は、運動特性値取得処理(S14)で取得した運動特性値と、過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミング決定処理(S13)で決定した実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定ステップである。衝突回避支援決定処理(S16)では、衝突回避支援決定部18が、運転操作状況判定処理(S15)で判定した運転操作状況の判定結果に基づいて、車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定する。衝突回避支援決定部18による上記決定は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて行われる。
次に、図3を参照しながら、車両と物体との遭遇状態の判定処理の一例を説明する。図3は、遭遇状態判定処理(S12)の詳細を説明するフローチャートである。
図3に示すように、遭遇状態判定処理が開始されると、物体検出・演算処理(S11)によって取得された各種情報及び算出された運転指標の少なくとも一を用いて、車両と物体との遭遇状態が判定される(S21)。遭遇状態判定部12が、車両と物体との遭遇状態を判定する。当該判定により、車両と物体との遭遇状態が横断状態であるか、並進状態であるか、又は不明であるかが判定される。車両と物体との遭遇状態が不明と判定された場合(S22:NO)、車両と物体との遭遇状態の判定がやり直される。
車両と物体との遭遇状態の判定が成功した場合(S22:YES)、衝突回避支援決定部18は、車両の衝突回避支援の実行を決定する(S23)。そして、記憶部16は、遭遇状態判定結果を記憶する(S24)。なおS24は、S22以降であれば、いつ処理されてもよい。また、衝突回避支援決定部18は、遭遇状態の判定を行なわずに、車両の衝突回避支援の実行を決定してもよい。
ここで、運転指標である第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCの算出方法の一例について説明する。図4は、第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCの算出方法を示す図である。図4(a)には、車両Cと物体Oの移動状態の一例が示されている。図4(b)には、第一接近度A1、第二接近度A2、及び到達時間TTCの算出結果が示されている。
図4(a)に示す例は、車両C及び物体Oの移動状態が車両進行方向をx軸、車両幅方向をy軸とする座標平面を表す。車両Cが原点(0、0)に位置し、物体Oが(X、Y)に位置している。したがって、車両進行方向における相対距離がXr=Xとなり、車両幅方向における相対距離がYr=Yとなり、車両C及び物体Oの相対距離DrがDr=(Xr+Yr1/2となる。また、車両Cが速度vcで走行し、物体Oが速度voで移動している。したがって、車両C及び物体Oの相対速度がVr=(vc+vo1/2となる。なお、なお、y軸としては車両幅方向に限られず、車両進行方向と交差する方向としてもよい。また、車両Cの速度vcは進行方向を正として示され、物体Oの速度voは車両Cに近づく方向を正として示される。速度vc及び速度voが負の値の場合、0とみなされる。
図4(b)に示すように、車両C及び物体Oの相対的な接近度Aは、車両C及び物体Oの相対距離Drを相対速度Vrで除した値Dr/Vrである。本実施形態において、第一接近度A1は、車両進行方向における相対距離Xrを相対速度Vrで除した値Xr/Vrである。第二接近度A2は、車両幅方向における相対距離Yrを相対速度Vrで除した値Yr/Vrである。第一接近度A1は、車両Cと物体Oの車両進行方向における接近度を示す指標値でもあり、第二接近度A2は、車両Cと物体Oの車両幅方向における接近度を示す指標値でもある。なお、第一接近度A1及び第二接近度A2は、車両C及び物体Oの相対的な接近度Aを車両進行方向の成分と車両幅方向の成分に分解することによって求めてもよい。
また、図4(a)に示す例では、車両Cの進路と物体Oの進路とが地点Pで交差している。車両Cから地点Pまでの距離はDである。したがって、図4(b)に示すように、到達時間TTCは、車両Cから交差地点Pまでの距離Dを車両Cの速度vcで除した値TTC=D/vcである。
第一接近度A1及び第二接近度A2は、車両及び物体の相対距離Drと、車両及び物体の相対速度Vrとに基づいて求められる。したがって、第一接近度A1及び第二接近度A2は、車両の進路と物体の進路とが交差する地点Pが存在しない状態でも求めることができ、また、第二接近度A2は、物体の速度がほぼゼロである状態でも求めることができる。
次に、運転指標である第一接近度A1及び第二接近度A2を用いて、車両と物体との遭遇状態を判定する方法の一例について説明を行う。
車両と物体との遭遇状態が横断状態であるときの運転指標の変化を、図5及び図6を用いて説明する。図5(a)は、横断状態であるときの、時間変化に伴う車両進行方向における車両と物体との距離の変化を示す。図5(a)における縦軸は車両進行方向における車両と物体との距離を示し、横軸は時刻を示す。図5(b)は、車横断状態であるときの、時間変化に伴う車両幅方向における車両と物体との距離の変化を示す。図5(b)における縦軸は車両幅方向における車両と物体との距離を示し、横軸は時刻を示す。図5(c)は、横断状態であるときの、時間変化に伴う車両の速度変化を示す。図5(c)における縦軸は車両速度を示し、横軸は時刻を示す。
図6は、図5(a)〜図5(c)に示されるデータから算出された運転指標である第一接近度A1及び第二接近度A2の変化を示したものである。横軸は第一接近度A1を示し、縦軸は第二接近度A2を示す。第一接近度A1が0の場合、車両と物体との車両進行方向における到達時間が0であり、車両進行方向において車両と物体との距離が0であることを示す。同様に、第二接近度A2が0の場合、車両と物体との車両幅方向における到達時間が0であり、車両幅方向において車両と物体との距離が0であることを示す。したがって、図6において、第一接近度A1及び第二接近度A2の値が小さくなるほど、車両と物体との距離が接近することを示す。第一接近度A1及び第二接近度A2の値が共に0の時、車両と物体とは互いに接触していることを示す。
図6に示すように、第一接近度A1が、T1からKに減少すると、第二接近度A2が減少する。そして、第一接近度A1がKの時点で第二接近度A2が0になる。したがって、第一接近度A1がT1からKに減少するとき、車両進行方向及び車両幅方向において車両及び物体が接近する。第一接近度A1がKの時に車両及び物体が車両進行方向上に位置する。
第一接近度A1が、KからT2に減少すると、第二接近度A2は増加する。したがって、第一接近度A1がKからT2に減少するとき、車両進行方向において車両及び物体が接近する一方で、車両幅方向において車両及び物体は離れる。以上より、図6のデータは、車両が車両進行方向において物体に接近するにつれて、車両幅方向において物体は車両に接近した後離れていくことを示していることがわかる。つまり、図6には、横断状態であることを示す特徴が表れている。
また、車両と物体との遭遇状態が並進状態であるときの運転指標である第一接近度A1及び第二接近度A2の変化を、図7を用いて説明する。図7は、並進状態である場合、運転指標である第一接近度A1及び第二接近度A2をそれぞれ算出し、それらの変化を示したものである。図7に示すように、第一接近度A1がT3からT4に減少しても、第二接近度A2はほとんど変化していない。したがって、車両が車両進行方向において物体に接近したとしても、車両幅方向において車両及び物体はほぼ接近しない。つまり、図7には、並進状態であることを示す特徴が表れている。
図6における運転指標の変化と、図7における運転指標の変化との間には、それぞれ一定の法則性があることがわかる。つまり、横断状態の場合、第一接近度A1の変化に対する第二接近度A2の変化が大きい。一方、並進状態の場合、第一接近度A1の変化に対する第二接近度A2の変化が殆どない。
これらの特徴に基づいて、第一接近度A1の変化(ΔX)に対する第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)を算出し、算出された比率が予め定められた閾値と比較することによって、車両と物体との遭遇状態を判定できる。予め定められた閾値は、横断状態であるか否かの第一閾値と、並進状態であるか否かの第二閾値を有する。第一閾値の絶対値は、第二閾値の絶対値よりも大きい。
横断状態であるか否かは、第一接近度A1の変化(ΔX)に対する第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)が、第一閾値以上であるか否かによって判定される。上記比率が第一閾値以上の場合、横断状態であると判断される。この場合、衝突回避支援決定部18は、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行すると決定してもよい。
第一閾値は、横断状態における第一接近度A1の変化(ΔX)及び第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)を統計処理した値である。第一閾値は、各ドライバが同じ条件下で複数回取得した比率の中での最小値としてもよい。このように予め第一閾値を求めることによって、一定の基準の下に横断状態か否かが判定される。
並進状態であるか否かは、第一接近度A1の変化(ΔX)及び第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)が、第二閾値以下であるか否かによって判定される。上記比率が第二閾値以下の場合、並進状態であると判断される。この場合、衝突回避支援決定部18は、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行しないと決定してもよい。
第二閾値は、第一閾値の求め方と同様に、並進状態における第一接近度A1の変化(ΔX)及び第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)を統計処理した値である。第二閾値は、各ドライバが同じ条件下で複数回取得した比率の中での最大値としてもよい。このように予め第二閾値を求めることによって、一定の基準の下に並進状態か否かが判定される。
なお、物体が停止している状態は、並進状態の特別な場合として扱う。また、第一接近度A1の変化(ΔY)に対する第二接近度A2の変化(ΔY)の比率(ΔY/ΔX)が、第二閾値より上かつ第一閾値未満である場合は、物体の移動状態は不明と判定される。この場合、さらに遭遇状態判定が行われる。
上記のような判定方法により遭遇状態判定を行うことにより、車両と物体との遭遇状態を短時間で判定することができる。また、第一接近度A1及び第二接近度A2の推移の途中で車両と物体との遭遇状態が判定可能であるため、物体との遭遇時から早いタイミングで判定することができる。したがって、より早いタイミングで物体との遭遇時における衝突回避支援を実行するタイミングを適切に決定することができる。
次に、図8を参照しながら、運転操作状況の判定処理の一例を説明する。図8は、運転操作状況判定処理(S15)の詳細を説明するフローチャートである。
まず、時間帯特定部14及び運動特性値取得部15は、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態判定結果の読み出しを行う(S51)。遭遇状態判定結果の読み出しが行われることによって、車両及び物体の遭遇状態に応じた支援決定の要否が可能になる。
次に、時間帯特定部14は、比較対象時間帯を特定する(S52)。そして、運動特性値取得部15は、特定された比較対象時間帯における車両のジャークから得られる運動特性値を取得する(S53)。比較対象時間帯における運動特性値は、車両のジャーク及び車両の加速度から得られてもよい。
次に、記憶部16は、運動特性値取得部15によって取得された運動特性値をデータとして蓄積する(S54)。運動特性値は、遭遇状態判定結果と関連付けられて記憶部16に蓄積される。なお、記憶部16は、運動特性値に加えて、例えば比較対象時間帯を蓄積する。
次に、基準運動特性値取得部17は、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態判定結果に応じた過去データの読み出しを行う(S55)。過去データは、記憶部16に記憶されたものである。本実施形態における過去データは、過去の運動特性値の履歴である。
次に、基準運動特性値取得部17は、比較対象時間帯における過去の運動特性値の履歴から得られた基準運動特性値を算出する(S56)。本実施形態では、基準運動特性値として、基準運動特性値取得部17は、遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態毎の遭遇状態別基準運動特性値を算出する。
次に、衝突回避支援決定部18は、運動特性値と、基準運動特性値(遭遇状態別基準運動特性値)と、の比較結果に基づいて、運転操作状況の判定を行う(S57)。例えば、衝突回避支援決定部18は、ドライバの現在の運転操作状況が、ドライバのいつもの運転操作状況であるか否かを判定する。衝突回避支援決定部18の上記判定は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて行われる。なお、上記S51〜S57は任意の順番で処理されてもよいし、上記S51〜S57の内複数が並列に処理されてもよい。
ここで、車両及び物体の遭遇状態が横断状態において、運動特性値として車両のジャーク及び車両の加速度の比率(車両の運動特性)を用いた場合の運転操作状況の判定を行う方法について、図9及び図10を参照しながら説明する。
図9は、横断状態における車両の運動特性の時間的変化の一例を示すグラフである。つまり、図9は、横断状態における現在の運転操作状況を示すグラフである。横軸は到達時間(TTC)を示し、縦軸は車両の運動特性を示す。B1は実行予定タイミングを、B2は第二タイミングを、B3は第三タイミングをそれぞれ示す。B3は、実行予定タイミングからΔTb前のタイミングである。B2とB3とによって定まる時間帯は、比較対象時間帯に相当する。運転操作状況の判定を容易に行うために、現在の運転操作状況は平滑化処理されていてもよい。例えば、求めた車両の運動特性値の移動平均、又は時間区間データにおけるメジアンを用いることによって、平滑化処理が行われる。
図9に示すように、車両の運動特性は、B2からB3にかけて減少している。B3からB1にかけても、車両の運動特性は減少している。これより、B2からB3にかけて、車両のジャークよりも車両の加速度の影響が大きくなるような運転操作をドライバが実行していると想定される。つまり、B2からB3までの現在の運転操作状況において、ドライバはアクセルを緩めていない、またはアクセルオフを行っていないことが想定される。また、B3からB1までの現在の運転操作状況においても、同様の状況であることが想定される。
また、図9に示すように、車両の運動特性はB1の後に急激に上昇している。これより、B1の後は、車両の加速度よりも車両のジャークの影響が大きくなるような運転操作をドライバが実行していると想定される。つまり、ドライバはB1後からブレーキ動作を急激に行うように運転したことが想定される。
図10は、横断状態におけるいつもの車両の運動特性の時間的変化の一例を示すグラフである。つまり、図10は、横断状態におけるいつもの運転操作状況を示すグラフである。横軸は到達時間(TTC)を示し、縦軸はいつもの車両の運動特性を示す。B1は実行予定タイミングを、B4は第二タイミングを、B5は第三タイミングをそれぞれ示す。B1〜B5を到達時間TTCで表す場合は、B4及びB5は、それぞれB2及びB3と同一の値でもよい。運転操作状況の判定を容易に行うために、いつもの車両の運動特性の時間的変化は平滑化処理されていてもよい。
図10に示すように、いつもの車両の運動特性は、B4にて0になった後徐々に上昇し、B1後に減少している。これより、B4からB5にかけて、車両の加速度よりも車両のジャークの影響が徐々に大きくなるような運転操作をドライバが実行していると想定される。つまり、B4からB5までのいつもの運転操作状況において、ドライバはいつもの運転操作状況において物体の存在に事前に気付き、B1の前にアクセルを緩める、またはアクセルオフを行い、B1からブレーキ動作を徐々に行うように運転したことが想定される。また、B5からB1までのいつもの運転操作状況においても、同様の状況であることが想定される。
図9に示すB2からB3までの現在の運転操作状況である運動特性値の時間的変化と、図10に示すB4かB5までのいつもの運転操作状況である基準運動特性値(横断状態基準運動特性値)の時間的変化とを、例えばB3にて比較することによって、運転操作状況の判定を行う。運転操作状況の判定は、例えば、比較対象時間帯の任意のタイミングにおける運動特性値と基準運動特性値との差分を計算することにより取得される。
上述のような判定を行うことによって、衝突回避を行う必要のある現在の運転が、衝突回避支援を不要とするいつもの運転であるか否かが、衝突回避支援の実行よりも前のタイミングにて判定される。ここで実行予定タイミングよりも前のタイミングとは、B1及びB3によって定まる時間帯の中の任意のタイミングに相当する。したがって、より早いタイミングで衝突回避支援の有無及び予備支援の実行決定を行うことができる。
次に、図11を参照して、衝突回避支援決定処理の一例について説明する。図11は、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定処理(S16)を説明するフローチャートである。
図11に示すように、まず、運転操作状況判定処理(S15)によって判定された運転操作状況判定結果に応じて、衝突回避支援決定部18は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援は必要か否かを判定する(S41)。実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要か否かの判定は、比較対象時間帯における運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が大きいか否かに基づいて判断される。具体的には、比較対象時間帯における運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が閾値以上か否かに基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要か否かが判断される。つまり、衝突回避支援決定部18は、比較対象時間帯における運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が閾値以上であると判定した場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要であると判定される。一方、衝突回避支援決定部18は、比較対象時間帯における運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が閾値以上ではないと判定した場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要ではないと判定される。
実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要であると判定された場合(S41:YES)、衝突回避支援決定部18が実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援を実行することを決定する(S42)。そして、衝突回避支援実行部19は、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて車両の衝突回避支援を実行する。実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援が必要でないと判定された場合(S41:NO)、実行予定タイミングよりも前のタイミングにて衝突回避支援は実行されないことが決定される(S43)。なお、S42,S43の何れの場合であっても、実行予定タイミングにて車両の衝突回避支援を行ってもよいし、行わなくてもよい。実行予定タイミングよりも前のタイミングにおける衝突回避支援としては、上述の制動介入、操舵介入、及びドライバへの注意喚起などの少なくとも一の支援が行われる。また、実行予定タイミングよりも前のタイミングは、例えばドライバが物体との遭遇時におけるアクセルオフ操作又はブレーキ操作をいつも行う時間付近である。
以上に示した本実施形態に係る衝突回避支援装置1及び衝突回避支援方法によれば、衝突回避支援決定部18が、衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングよりも前の比較対象時間帯において、少なくとも車両のジャークから得られる運動特性値と過去の運動特性値の履歴から得られた基準運動特性値との比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定する。ここで、車両のジャークは、ドライバによるアクセルペダルオフ操作、ブレーキペダルオン操作などに起因した車両の運動量変化を抽出しやすいパラメータであり、基準運動特性値は、ドライバのいつもの運転の特徴を表すものと推認できる。このため、現在のドライバの運転の特徴がドライバのいつもの運転の特徴と異なるか否かに基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定することができる。これにより、運動特性値と基準運動特性値との比較結果に基づかない場合に比べて、不要な衝突回避支援の発生を抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
運動特性値取得部15は、比較対象時間帯における車両のジャーク及び車両の加速度から得られる運動特性値を取得してもよい。これにより、運動特性値及び基準運動特性値において、車両のジャークだけでなく車両の加速度も加味した比較を行うことができる。ここで、車両の加速度は、ドライバによるエンジンブレーキ操作等の変速度を下げる操作に起因した車両の運動量変化、アクセルペダル操作後又はブレーキペダル操作後における車両の運動量変化などを抽出しやすいパラメータである。このため、車両のジャーク及び車両の加速度の両方を用いて衝突回避支援の判定を行うことで、不要な衝突回避支援の発生を更に抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
また、運動特性値取得部15は、比較対象時間帯における車両のジャーク及び車両の加速度の比率を運動特性値として取得してもよい。車両のジャーク及び車両の加速度の比率を用いることによって、ドライバにより行われる運転操作の特徴を表す車両の運動特性の変化を顕在化させることができる。これによって、不要な衝突回避支援の発生をより一層抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
また、衝突回避支援決定部18は、運動特性値と基準運動特性値との乖離度合が閾値以上である場合、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行することを決定してもよい。これにより、運動特性値が表す現在の運転操作状況が、基準運動特性値が表すいつもの運転操作状況と異なっているか否かが、精度よく判定される。したがって、不要な衝突回避支援の発生をより一層抑制しつつ、より早い実行タイミングで衝突回避支援を行うことができる。
また、車両及び物体の遭遇状態を判定する遭遇状態判定部12を更に備え、遭遇状態判定部12は、車両の進行方向における車両及び物体の相対距離を車両及び物体の相対速度で除した第一接近度と、車両の進行方向と交差する方向における車両及び物体の相対距離を車両及び物体の相対速度で除した第二接近度と、に基づいて、車両に対する物体の遭遇状態が横断状態であるか並進状態であるかを判定し、衝突回避支援決定部18は、運動特性値と、遭遇状態における過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定してもよい。遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態が並進状態である場合と横断状態である場合とでは、運動特性値の時間的変化が異なると考えられる。このため、運動特性値との比較対象として、運動特性値と同じ遭遇状態における遭遇状態別運動特性値を用いることで、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かの判断精度を高めることができる。
また、衝突回避支援決定部18は、遭遇状態が横断状態である場合に、運動特性値と、遭遇状態が横断状態における過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における横断基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かを決定してもよい。遭遇状態判定部12によって判定された遭遇状態が横断状態である場合は、遭遇状態が並進状態である場合に比べ、運動特性値の時間的変化が大きいと考えられる。このため、遭遇状態が横断状態である場合に、遭遇状態別運動特性値として横断状態基準運動特性値を用いることで、実行予定タイミングよりも前のタイミングで衝突回避支援を実行するか否かの判断精度を高めることができる。
なお、本発明に係る衝突回避支援装置は上記実施形態に限定されない。例えば、基準運動特性値は、必ずしも基準運動特性値取得部17によって取得されなくてもよい。この場合、基準運動特性値は、運動特性値取得部15によって取得されてもよいし、記憶部16によって算出され記憶されたものでもよい。
また、基準運動特性値として、遭遇状態別基準運動特性値ではなく、遭遇状態判定部により判定された遭遇状態に関わらず過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における基準運動特性値を用いてもよい。この場合、遭遇状態を判定する必要はなく、衝突回避支援決定部18は、運動特性値取得部15が取得した運動特性値と、過去の運動特性値の履歴から得られた比較対象時間帯における基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、実行予定タイミングよりも前のタイミングで車両の衝突回避支援を実行するか否かを決定すればよい。
1…衝突回避支援装置、10…ECU、11…情報処理部、12…遭遇状態判定部、13…実行予定タイミング決定部、14…時間帯特定部、15…運動特性値取得部、16…記憶部、17…基準運動特性値取得部、18…衝突回避支援決定部、19…衝突回避支援実行部、21…物体検出部、22…HMI、23…アクチュエータ。

Claims (7)

  1. 車両周囲の物体に対する前記車両の衝突回避支援を実行する衝突回避支援装置であって、
    前記物体を検出する物体検出部と、
    前記物体検出部の検出結果に基づいて、前記衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する実行予定タイミング決定部と、
    前記物体検出部が前記物体を検出した検出タイミングよりも後かつ前記実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯において、少なくとも前記車両のジャークから得られる運動特性値を取得する運動特性値取得部と、
    前記運動特性値取得部が取得した前記運動特性値と、過去の前記運動特性値の履歴から得られた前記比較対象時間帯における基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、前記実行予定タイミングよりも前のタイミングで前記衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定部と、を備える、衝突回避支援装置。
  2. 前記運動特性値取得部は、前記比較対象時間帯における前記車両のジャーク及び前記車両の加速度から得られる前記運動特性値を取得する、請求項1に記載の衝突回避支援装置。
  3. 前記運動特性値取得部は、前記比較対象時間帯における前記車両のジャーク及び前記車両の加速度の比率を前記運動特性値として取得する、請求項2に記載の衝突回避支援装置。
  4. 前記衝突回避支援決定部は、前記運動特性値と前記基準運動特性値との乖離度合が閾値以上である場合、前記実行予定タイミングよりも前のタイミングで前記衝突回避支援を実行することを決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の衝突回避支援装置。
  5. 前記車両及び前記物体の遭遇状態を判定する遭遇状態判定部を更に備え、
    前記遭遇状態判定部は、前記車両の進行方向における前記車両及び前記物体の相対距離を前記車両及び前記物体の相対速度で除した第一接近度と、前記車両の進行方向と交差する方向における前記車両及び前記物体の相対距離を前記車両及び前記物体の相対速度で除した第二接近度と、に基づいて、前記車両に対する前記物体の遭遇状態である横断状態であるか並進状態であるかを判定し、
    前記衝突回避支援決定部は、前記運動特性値取得部が取得した前記運動特性値と、前記遭遇状態判定部によって判定された前記遭遇状態における過去の前記運動特性値の履歴から得られた前記比較対象時間帯における遭遇状態別基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、前記実行予定タイミングよりも前のタイミングで前記衝突回避支援を実行するか否かを決定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の衝突回避支援装置。
  6. 前記衝突回避支援決定部は、前記遭遇状態が横断状態である場合に、前記遭遇状態別基準運動特性値として、前記遭遇状態判定部によって遭遇状態が横断状態と判定された過去の運動特性値の履歴から得られた前記比較対象時間帯における横断状態基準運動特性値を用いる、請求項5に記載の衝突回避支援装置。
  7. 車両周囲の物体に対する前記車両の衝突回避支援を実行する衝突回避支援方法であって、
    前記物体を検出する物体検出ステップと、
    物体検出ステップの検出結果に基づいて、前記衝突回避支援の実行を予定する実行予定タイミングを決定する実行予定タイミング決定ステップと、
    前記物体検出ステップで前記物体を検出したタイミングよりも後かつ前記実行予定タイミング決定ステップで決定した前記実行予定タイミングよりも前の所定の時間帯である比較対象時間帯において、前記車両のジャークから得られる運動特性値を取得する運動特性値取得ステップと、
    前記運動特性値取得ステップで取得した前記運動特性値と、過去の前記運動特性値の履歴から得られた前記比較対象時間帯における基準運動特性値と、の比較結果に基づいて、前記実行予定タイミングよりも前のタイミングで前記衝突回避支援を実行するか否かを決定する衝突回避支援決定ステップと、を備える、衝突回避支援方法。
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