JP6156219B2 - 自励振動ヒートパイプ - Google Patents

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Description

本発明は、自励振動ヒートパイプに関するものである。
発熱体の冷却を小空間で有効に行うための放熱器としてヒートパイプ方式の放熱器が知られている。この種の放熱器のうち、自励振動ヒートパイプは、液体(作動液)の沸騰による液体の圧力振動を利用して液体を移動させるものである。
例えば、複数層の蛇行細径トンネルヒートパイプの層が積層されて構成されたプレート形ヒートパイプが知られている(特許文献1)。このプレート形ヒートパイプでは、層間を貫通する連結細孔により隣接層の蛇行細径トンネルヒートパイプが相互に連結されて、一連長尺のループ形蛇行細径トンネルヒートパイプ又は非ループ形蛇行細径トンネルヒートパイプとして構成されている。
また、同一プレートの中に、蛇行細径トンネルヒートパイプと非蛇行細径トンネルヒートパイプ群を、それらの直管部が交互並列に近接配置して作り込まれた複合型プレートヒートパイプが知られている(特許文献2)。
特開平7−63487号公報 特開平9−329396号公報
水を作動液として用いた自励振動ヒートパイプにおいては、氷点下における性能の確保が必須である。また、振動流に対し、循環流の方が、熱特性が格段に向上する。このため、熱特性を向上させるためには、循環流の発生が望ましい。
上記の特許文献1では、上下積層が開示されているが、ターン数の増加による安定性の向上を目指している。しかしながら、作動液は単相であり、低温起動性の向上は期待できない。
上記の特許文献2では、成分の異なる二相凝縮性液が封入されているとの記載があるが、蛇行細径トンネルヒートパイプと非蛇行細径トンネルヒートパイプの複合が前提である。非蛇行細径トンネルヒートパイプと複合化したため、本来の蛇行細径トンネルヒートパイプの特徴である、重力(姿勢)に依存しない特性や大容量の熱輸送性も減殺されてしまう。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、低温起動性を向上させると共に、冷却性能を向上させる自励振動ヒートパイプを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の自励振動ヒートパイプは、各々種類が異なる作動液が移動する複数の系統の流路を形成する平板状のコンテナを備え、前記コンテナは、前記コンテナの少なくとも一方の面から、外部の熱を吸収して前記作動液を加熱する吸熱部と、加熱された作動液の熱を外部に放熱する放熱部と、を備え、前記コンテナは、厚み方向を上下方向として上層及び下層を含む複数の層で構成され、前記複数の系統の各々の流路は、前記吸熱部と前記放熱部との間を往復して設けられ、前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、前記上層に形成され、前記系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、前記下層に形成されている。
本発明では、前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの連結されている往路及び復路が、異なる層に形成されるように、前記系統の流路の往路及び復路が、交互に上層及び下層に形成されることができる。
本発明では、前記コンテナは、前記複数の系統の各々について、前記作動液が移動する閉ループ状の流路を形成し、前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの前記往路の各々及び前記復路の各々の何れか一方が、前記上層に並列に配置されるように形成され、前記系統の流路のうちの前記往路の各々及び復路の各々の何れか他方が、前記下層に並列に配置されるように形成され、前記系統の流路のうちの前記上層の並列方向の最も一端側に形成された往路又は復路が、前記下層の並列方向の最も一端側に形成された往路又は復路に連結され、前記系統の流路のうちの前記上層の並列方向の最も他端側に形成された往路又は復路が、前記下層の並列方向の最も他端側に形成された往路又は復路に連結されるようにすることができる。
本発明では、前記複数の系統のうちの何れか一つの系統の流路では、前記作動液として水が移動し、他の系統の流路では、前記作動液として、水とは異なる有機液体又は無機液体が移動するようにすることができる。
本発明では、前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの往路及び復路の何れか一方の断面積が、前記系統の流路のうちの往路及び復路の何れか他方の断面積より小さくなるようにすることができる。
本発明では、前記コンテナは、前記吸熱部から前記放熱部へ向かう方向に見たときに、前記複数の系統の流路が千鳥配置又は碁盤目配置となるように形成されることができる。
本発明に係る自励振動ヒートパイプは、平板状のコンテナに、各々種類が異なる作動液が移動する複数の系統の流路が形成され、複数の系統の各々について、系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、上層に形成され、系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、下層に形成されることにより、低温起動性を向上させると共に、冷却性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
第1の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプの構成を模式的に示す図である。 第1の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプを示す断面構成図である。 コンテナの積層構造を示す図である。 測定系を示す模式図である。 他の例に係る自励振動ヒートパイプを示す断面構成図である。 第2の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプの構成を模式的に示す図である。 第2の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプを示す断面構成図である。 二系統の流路を上層と下層とに分けて配置した従来例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<発明の原理>
自励振動ヒートパイプの内部では、作動液が液体状態のままの液栓と、作動液の蒸気である気泡とが、交互に並んでいる。
非特許文献1(西尾ら、「SEMOS Heat Pipeの熱輸送特性」、日本伝熱シンポジウム、2001年D311)が報告した如く、コンテナが加熱されたとき、あるターンのパイプにおいて作動液の蒸発が起こり気泡を発生するとともに、体積が局所的に膨張する。この気泡の体積膨張により、液栓が押し上げられ、冷却部へ移動していく。気泡が冷却部に達すると、気泡が凝縮し液体に戻ると同時に体積収縮が起き、他端の液栓を引き上げる。
循環流においては、これら一連の運動が、パイプ間で、順次繰り返され、隣のパイプヘ連鎖していく。循環流では、運動が釣瓶式に起こるため、気泡の体積膨張で発生した運動が、ヒートパイプ全体にわたって慣性力として持続され、エネルギー効率が高くなる。この結果、液栓の循環とともに、液栓に取り込まれた加熱部の熱が顕熱として循環するため、冷却性能が高くなる。
ここで、顕熱は、作動液の比熱と関連するが、水は、他の液体と比較して大きいため、水を用いたヒートパイプは熱性能が高い(水の比熱:4.2J/kg・K、アセトンの比熱:2.2J/kg・K)。他方、水は0℃以下で凍結するため、氷点下では性能が出ない。
そこで、本発明の実施の形態では、流路を二系統設け、一方の系統では水を作動液として用い、他方の系統では水以外の液体を作動液として用いる。氷点下においても、水以外の液体を作動液が自励振動して熱を輸送するため、凍った水を溶かし、低温での起動性を高める。
また、図8に示すように、二系統の流路を上層と下層とに分けて配置した場合、加熱がヒートパイプの片面に起こると、凍った水のパイプによって熱が遮られ、水以外のパイプが起動できない可能性がある。一方、本発明の実施の形態では、流路が上下の層の間を順次往復する構造とした。水以外の液体が、ヒートパイプの両面上を通過して熱を輸送するため、発熱が片面/両面に関わらず、低温で起動できる。
また、本発明の実施の形態においては、パイプ連結部を設けず閉ループを形成できるため、熱性能を高くできる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプの構成を模式的に示している。本実施の形態の自励振動ヒートパイプ10は、平板状のコンテナ1の一方端側に、コンテナ1の少なくとも一方の面から熱を吸収する吸熱部(以下、受熱部、あるいは発熱部ともいう)3が配置され、他方端側に放熱部(以下、冷却部ともいう)4が配置されている。
コンテナ1内には、閉ループ状をなす1本の流路が形成されており、この流路内には、作動液(熱媒体、又は冷媒ともいう)が封入されている。本実施の形態では、2系統の流路2A、2Bが、コンテナ1内に形成されており、流路2A、2Bの各々は、吸熱部3と放熱部4との間で往復している。
流路2Bには、作動液として水が封入され、流路2Aには、水以外の作動液が封入されている。
図2は、図1における断面線A−A’での自励振動ヒートパイプ10におけるコンテナ1の流路2A、2Bの断面を示している。
コンテナ1は、図2に示すように、厚み方向を上下方向として上層及び下層を含む2つの層で構成され、流路2Aは、封入された作動液が図中の矢印方向に折り返す場合(実線の矢印が図面手側で折り返すことを示し、破線の矢印が図面背面側で折り返すことを示す)、放熱部4から吸熱部3に至る往路としての流路2Aaと、吸熱部3から放熱部4に至る復路としての流路2Abとで構成され、流路2Aaと流路2Abの連結部分で折り返す構造になっている。復路としての流路2Abの各々が、コンテナ1の上層に並列に配置されるように形成され、往路としての流路2Aaの各々が、コンテナ1の下層に並列に配置されるように形成されている。このように、復路としての流路2Ab及び往路としての流路2Aaが、交互に、上層と下層に形成されている。
また、流路2Bは、放熱部4から吸熱部3に至る往路としての流路2Bbと、吸熱部3から放熱部4に至る復路としての流路2Baとで構成され、流路2Baと流路2Bbの連結部分で折り返す構造になっている。往路としての流路2Bbの各々が、コンテナ1の上層に並列に配置されるように形成され、復路としての流路2Baの各々が、コンテナ1の下層に並列に配置されるように形成されている。このように、復路としての流路2Bb及び往路としての流路2Baが、交互に、上層と下層に形成されている。
また、一方の系統の流路2Aは、上層の並列方向の最も一端側に形成された復路としての流路2Abが、下層の並列方向の最も一端側に形成された往路としての流路2Aaに接続され、上層の並列方向の最も他端側に形成された復路としての流路2Abが、下層の並列方向の最も他端側に形成された往路としての流路2Aaに接続され、パイプ連結部の存在なしに、閉ループ状をなす1本の流路を形成している。
また、他方の系統の流路2Bは、上層の並列方向の最も一端側に形成された復路としての流路2Bbが、下層の並列方向の最も一端側に形成された往路としての流路2Baに接続され、上層の並列方向の最も他端側に形成された復路としての流路2Bbが、下層の並列方向の最も他端側に形成された往路としての流路2Baに接続され、パイプ連結部の存在なしに、閉ループ状をなす1本の流路を形成している。
本実施の形態では、コンテナ1は、吸熱部3から放熱部4へ向かう方向に見たときに、2つの系統の流路2A、2Bが、碁盤目配置となるように形成されている。
ここで、「閉ループ状」とは、流路2A及び流路2bの各々の経路が、一筆書きできることを意味しており、かつ、その一筆書きが閉じている状態を指す。また、流路2A、2Bについて、吸熱部3と放熱部4との間を往復する回数に制限はない。
図1に示す自励振動ヒートパイプ10は、流路2A、2B内に封入した作動液を循環させる駆動力として、流路2A、2B内で発生する圧力振動を用いている。
すなわち、コンテナ1の吸熱部3には、図示していないIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子等からなる発熱体が配置されており、この発熱体における発熱量の増加とともに吸熱部3の温度が上昇し、作動液が沸騰して(蒸気泡を発生して)気相へと変化し、同時に圧力が上昇する。封入された作動液は、流路2A、2B内において気相状態と液相状態が交互に存在し、この結果、気相の膨張により液相と気相が熱とともに放熱部4の方へ移動する。なお、本実施の形態では、コンテナ1の一方の面に、発熱体が配置され、コンテナ1の一方の面から、発熱体の熱を吸収する場合を例に説明する。
放熱部4には、図示していない冷却装置が配置されており、放熱部4は、流路2A、2Bを経由して送られてきた気相の作動液の熱を受け取り、その熱を、冷却装置を介して外部に放出する。このように、流路2A、2Bのうち放熱部4に位置する部分で作動液が冷却されると気相が収縮して(蒸気泡が収縮、または凝縮して)、圧力の降下と作動液の温度降下が生じ、作動液は気相から液相へ変化する。そして、冷却された液相が流路2A、2Bを通って吸熱部3の方へ戻る。
コンテナ1内においては、液相の作動液が蒸発して、それが作動液の循環流の駆動力である圧力変動をもたらし、吸熱部3と放熱部4の圧力差により自励的に発生する圧力振動により、流路2A、2B内に閉じ込められた気相と液相の作動液が、圧力の高い吸熱部3から圧力の低い放熱部4へ移動する自励振動によって熱を輸送する。このように、自励振動ヒートパイプ10では、コンテナ1における流路2A、2B内での作動液の循環が繰り返され、作動液の移動により潜熱と顕熱の両方の熱が同時に輸送されることで、外部の発熱体の冷却が連続して行われる。
コンテナ1の作製では、熱伝導性の良好な金属、例えば銅製の5枚の板の各々に、図3に示すように、貫通穴が掘られ、上下の流路及び流路間の通路が形成され、溝の上と下とを覆うように、銅製のケース(コンテナ蓋)が被せられた後、拡散接合により、気密性及び水密性を保ちながら一体化される。なお、本実施の形態においては、熱伝導率が高く加工のし易い銅を用いたが、軽量化のためにはアルミ、高強度(高温で使用)のためには鉄(SUS)を用いることも有効である。
本実施の形態のコンテナ1は、流路を形成する側が、長辺が190mm、短辺が50mmであり、コンテナ蓋の寸法は、例えば、長辺が190mm、短辺が50mm、厚さが0.5mmである。
また、一方の系統について、上層の流路2Ab、下層の流路2Aaを一組として、5組を配置し、一組の流路2Aa、2Abの端部が吸熱部3と放熱部4において1つおきに連結されて、全体として、一筆書きのループ状をなした蛇行細管が形成される。また、他方の系統について、流路2Ba、2Bbを一組として、5組を配置し、一組の流路2Ba、2Bbの端部が吸熱部3と放熱部4において1つおきに連結されて、全体として、一筆書きのループ状をなした蛇行細管が形成される。
なお、コンテナ1の端部の二個所に穴をあけた後、直径約3mmのSUS製のパイプ5(ドレイン孔ともいう)をそれぞれの穴に差し込んで、例えば、ロウ付けする。このパイプ5を介して、例えばロータリーポンプ等により、流路2A、2B内の真空引きを行うとともに、当該パイプ5を作動液の注入口とする。流路2Bに注入する作動液は純水とし、その充填率を約50%(作動液の量を流路の体積の約半分)とし、また、流路2Aに注入する作動液はエタノールとし、その充填率を約50%(作動液の量を流路の体積の約半分)とし、シリンジ(注射器)をパイプ5の弁を介して接続し、作動液を充填した後、注入口(弁)を封止し、自励振動ヒートパイプ10を完成させた。
吸熱部3には、自励振動ヒートパイプ10による冷却対象である発熱体が配置されている。この発熱体は、例えば、動作時の発熱量が大きく、電力制御等に用いられる電子素子(例えば、半導体チップ)であるIGBT、及びダイオードを回路基板にはんだ付けして固定した後、配線のためアルミニウム線でワイヤーボンドし、樹脂で封止したもの(パワーモジュール)である。
このような発熱体を、熱伝導シートを介してコンテナ1の吸熱部3に固定する構成が考えられる。なお、IGBTは、例えば、縦が約10mm、横が約10mm、厚さが約100μmの大きさを有する矩形の素子である。
なお、本実施の形態では、動作確認および効果確認をするために、上述のパワーモジュールに代えて、直径約6mmのカートリッジヒータを銅ブロックに埋め込んで構成した発熱体を使用した。
放熱部4には、コンテナ1の放熱を行うために付加される冷却装置が配置される。ここでは、冷却装置として、銅ブロックの内部に円筒状に孔をあけ、それらの孔を水路とした冷却装置を用いた。そして、この冷却装置を、図示しない熱伝導シートを介してコンテナ1の放熱部4に接触させ、恒温水槽から水を循環させて温度制御(放熱)を行った。
なお、冷却装置として、水冷ブロックのほか、空冷フィン(押出しフィン、コルゲートフィン、ピンフィン等)を用いることができる。
本実施の形態の自励振動ヒートパイプとの比較を行うために、等断面の自励振動ヒートパイプを二個上下に重ね熱伝導性の接着剤で一体として形成し、上層に水、下層にエタノールを作動液として封入した自励振動ヒートパイプを、比較対象として作製し、図4に示す測定系を用いて、自励振動ヒートパイプの性能評価を行った。
その結果、本実施の形態の自励振動ヒートパイプでは、比較対象に対し、熱抵抗Rthおよび最大熱輸送量Qmaxが夫々10%、5%向上した。また、赤外線カメラに、作動液(熱)がパイプ内において隣の管(流路)へ順次伝わっていく様子が観察された。また比較例が40℃以下では始動(自励振動)しなかったのに対し、実施例は5℃においても、始動することができた。これは、作動液の流れの波動が完全に周期的となり、循環流の形成が促進されたためである。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプによれば、平板状のコンテナに、作動液として水が移動する系統の流路と、水以外の作動液が移動する系統の流路とが形成され、2つの系統の各々について、当該系統の流路の各復路が、上層に形成され、当該系統の流路の各往路が、下層に形成されることにより、自励振動ヒートパイプの熱輸送量および熱性能、並びに、低温始動性などが向上する。
また、発熱体をヒートパイプの両面に搭載した場合においても、氷点下において冷却性能を発揮することができる。
また、本実施の形態では、パイプ連結部も設けることなく、閉ループ状の流路が形成されている。パイプ連結部は、通常、筐体の端部(外周)の流路間を連結するケースを横切るため、作動液の流路がその分だけ長くなり、作動液の周期的な運動を妨げることになる。このため、パイプ連結部を設けた場合には、規則的な循環流に移行し難いため、冷却性能の向上が小さくなってしまう。また、循環流も、振動流が発展したものと考えられ、往路及び復路の各ターンの固有振動数が揃ったとき、最も大きな振幅を得る。しかし、パイプ連結部が接続されているターンでは、パイプの長さが他のターンと異なるため、固有振動数も他のターンと異なり、ある受熱量等に対応した振動数で自励振動を開始しても、パイプ連結部が接続されているターンで振動が減衰してしまい、効率が低下してしまう。一方、本実施の形態では、パイプ連結部も設けることなく、閉ループ状の流路が形成されているため、冷却性能を向上させることができる。
なお、上記の実施の形態では、2つの系統の流路2A、2Bが、碁盤目配置となるように形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図5のように、コンテナ1は、吸熱部3から放熱部4へ向かう方向に見たときに、2つの系統の流路2A、2Bが、千鳥配置となるように形成されていてもよい。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、2つの系統の各々において、往路としての流路が、復路より断面積の小さい流路で形成されている点が、第1の実施の形態と異なっている。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプの構成を模式的に示している。第2の実施の形態の自励振動ヒートパイプ10では、2つの系統の流路2A、2Bの各々に対し、往路としての流路2Aa、2Baの断面積が、復路としての流路2Ab、2Bbの断面積より小さくように形成した。
図7は、図6における断面線A−A’での自励振動ヒートパイプ10におけるコンテナ1の流路2A、2Bの断面を示している。
コンテナ1は、厚み方向を上下方向として上層及び下層を含む2つの層で形成され、図7(A)、(C)に示すように、流路2Aは、封入された作動液が図中の矢印方向に折り返す場合(実線の矢印が図面手側で折り返すことを示し、破線の矢印が図面背面側で折り返すことを示す)、放熱部4から吸熱部3に至る復路としての流路2Abと、吸熱部3から放熱部4に至る往路としての流路2Aaとで構成され、流路2Aaと流路2Abの連結部分で折り返す構造になっている。復路としての流路2Abの各々が、コンテナ1の上層に形成され、往路としての流路2Aaの各々が、コンテナ1の下層に形成されている。このように、復路としての流路2Ab及び往路としての流路2Aaが、交互に、上層と下層に形成されている。
また、図7(B)、(C)に示すように、流路2Bは、放熱部4から吸熱部3に至る復路としての流路2Bbと、吸熱部3から放熱部4に至る往路としての流路2Baとで構成され、流路2Baと流路2Bbの連結部分で折り返す構造になっている。復路としての流路2Bbの各々が、コンテナ1の下層に形成され、往路としての流路2Baの各々が、コンテナ1の上層に形成されている。このように、往路としての流路2Ba及び復路としての流路2Bbが、交互に、上層と下層に形成されている。
また、上記の第1の実施の形態と同様に、コンテナ1を作製した。上記図7に示すように、各作動液の流路2A、2Bは、一筆書きのループ状をなしており、いわゆる蛇行細管となっている。各流路2A、2Bは、不等断面(同じ流路においては、隣り合う往路と復路の径が異なる)である。また、上記の第1の実施の形態と同様に、パイプ連結部が存在しない。
各流路2A、2Bを、ロータリーポンプ等により、真空にした後、流路2Aには水を、流路2Bにはエタノールを、それぞれ所定量(本実施の形態においてはヒートパイプ全容量に対して50%)だけ封入して、自励振動ヒートパイプ10を完成させた。
吸熱部3には、自励振動ヒートパイプ10による冷却対象である発熱体が配置されている。放熱部4には、コンテナ1の放熱を行うために付加される冷却装置が配置される。
本実施の形態の自励振動ヒートパイプとの比較を行うために、等断面の自励振動ヒートパイプを二個上下に重ね熱伝導性の接着剤で一体として形成し、上層に水、下層にエタノールを作動液として封入した自励振動ヒートパイプを、比較対象として作製し、蒸気図4に示す測定系を用いて、自励振動ヒートパイプの性能評価を行った。
この結果、熱抵抗Rthおよび最大熱輸送量Qmaxが夫々20%、15%向上した。また、氷点下−10℃においても、除熱することができた。これは、アセトンの封入された流路2Bが氷点下−10℃においても起動し、流路2Aの水(氷)を融解し、夫々の流路2A、2Bがヒートパイプとして機能したためである。
なお、第2の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプ10の他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る自励振動ヒートパイプ10によれば、平板状のコンテナに、作動液として水が移動する系統の流路と、水以外の作動液が移動する系統の流路とが形成され、2つの系統について、一方の系統の流路の各復路が上層に形成され、かつ、各往路が下層に形成され、他方の系統の流路の各復路が下層に形成され、かつ、各往路が上層に形成されることにより、自励振動ヒートパイプの熱輸送量および熱性能、並びに、低温始動性などが向上する。また、流路構造として不等断面を採用しているため、循環流を促進でき、冷却性能を向上させることができる。
なお、上記の第1の実施の形態〜第2の実施の形態によれば、コンテナ1が、上層と下層から構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、上層と下層とを含む3層以上の多層構造で構成されていてもよい。
また、コンテナに、2つの系統の流路が形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、3つ以上の系統の流路が形成されていてもよい。
また、各系統について、当該系統の流路のうちの往路の各々又は復路の各々が、上層に形成され、当該系統の流路のうちの往路の各々又は復路の各々が、下層に形成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。系統の各々について、当該系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、上層に形成され、当該系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、下層に形成されていればよい。
また、平板状のコンテナの一方の面に発熱体が配置される場合を例に説明したが、コンテナの両面に発熱体が配置されていてもよい。
また、水以外の作動液として、エタノールを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、水以外の作動液として、他の有機液体又は無機液体を用いてもよい。例えば、R23、HCFC141b等のフロン(フロレン)系冷媒、アセトン等のケトン類、ブタン等のアルカン類、エチルアルコール等のアルコール類、ブタンなどの有機液体、及び無機液体等を用いてもよい。
また、放熱部4から吸熱部3に至る流路を往路として定義し、吸熱部3から放熱部4に至る流路を復路と定義する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、放熱部4から吸熱部3に至る流路を復路として定義し、吸熱部3から放熱部4に至る流路を往路と定義してもよい。
1 コンテナ
2A、2Aa、2Ab 流路
2B、2Ba、2Bb 流路
3 吸熱部
4 放熱部
10 自励振動ヒートパイプ

Claims (6)

  1. 各々種類が異なる作動液が移動する複数の系統の流路を形成する平板状のコンテナを備え、
    前記コンテナは、前記コンテナの少なくとも一方の面から、外部の熱を吸収して前記作動液を加熱する吸熱部と、加熱された作動液の熱を外部に放熱する放熱部と、を備え、
    前記コンテナは、厚み方向を上下方向として上層及び下層を含む複数の層で構成され、
    前記複数の系統の各々の流路は、前記吸熱部と前記放熱部との間を往復して設けられ、前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、前記上層に形成され、前記系統の流路のうちの少なくとも1つの往路又は復路が、前記下層に形成された、
    自励振動ヒートパイプ。
  2. 前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの連結されている往路及び復路が、異なる層に形成されるように、前記系統の流路の往路及び復路が、交互に上層及び下層に形成された請求項1記載の自励振動ヒートパイプ。
  3. 前記コンテナは、前記複数の系統の各々について、前記作動液が移動する閉ループ状の流路を形成し、
    前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの前記往路の各々及び前記復路の各々の何れか一方が、前記上層に並列に配置されるように形成され、前記系統の流路のうちの前記往路の各々及び復路の各々の何れか他方が、前記下層に並列に配置されるように形成され、
    前記系統の流路のうちの前記上層の並列方向の最も一端側に形成された往路又は復路が、前記下層の並列方向の最も一端側に形成された往路又は復路に連結され、前記系統の流路のうちの前記上層の並列方向の最も他端側に形成された往路又は復路が、前記下層の並列方向の最も他端側に形成された往路又は復路に連結された請求項2記載の自励振動ヒートパイプ。
  4. 前記複数の系統のうちの何れか一つの系統の流路では、前記作動液として水が移動し、他の系統の流路では、前記作動液として、水とは異なる有機液体又は無機液体が移動する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の自励振動ヒートパイプ。
  5. 前記複数の系統の各々について、前記系統の流路のうちの往路及び復路の何れか一方の断面積が、前記系統の流路のうちの往路及び復路の何れか他方の断面積より小さい請求項1〜請求項4の何れか1項記載の自励振動ヒートパイプ。
  6. 前記コンテナは、前記吸熱部から前記放熱部へ向かう方向に見たときに、前記複数の系統の流路が千鳥配置又は碁盤目配置となるように形成されている、請求項2記載の自励振動ヒートパイプ。
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