以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。図1は、本発明の一実施の形態による包装材料の積層方向に沿った断面であって、包装材料の層構成を説明するための図である。図2は、図1の包装材料を用いて作製された包装容器の一例を示す図である。
図1に示す包装材料10は、例えば、図2に示すレトルトパウチ形式の包装容器1に用いられる。レトルトパウチ形式の包装容器1では、包装材料10同士を重ね合わせて対向する辺部をヒートシールすることで、当該辺部が貼り合わせられる。このため、包装材料10は、容器内方側となる部分にシール性を有するシーラント層50が設けられている。また、ここで説明する包装容器1は、食品を内容物として内包することに適した包装容器であって、包装容器1を構成する包装材料10には、遮光性及び隠蔽性を確保すべく、遮光印刷層30が積層されている。すなわち、本実施の形態による包装材料10は、製袋して包装容器1とするときの容器外方となる側から容器内方となる側に向けて基材層20と遮光印刷層30とシーラント層50とを含んでいる。また、本実施の形態では、ガスバリア性を確保すべく、遮光印刷層30とシーラント層50との間にバリア層40が積層されている。
(基材層)
基材層20は、図1に示すように、基材22と、基材22の容器内方側となる面に積層された、絵柄を含む絵柄層21と、を含んでいる。本実施の形態では、基材22は、包装材料10のうち、製袋して包装容器1とするときの最も容器外方となる層としても機能する。
このような基材22としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)、ナイロン(Ny)などの熱可塑性樹脂フィルムの一軸ないし二軸延伸フィルムを好適に用いることができる。
更に、基材22は、ガスバリア性を有していてもよい。この場合、包装材料10全体としてのガスバリア性が改善され、この包装材料10から作成された包装容器1において、例えば外部からの酸素の透過を抑えて内容物の酸化による劣化を抑制することができる。ガスバリア性を有する基材22として、上記熱可塑性樹脂フィルムの一軸ないし二軸延伸フィルムに、ガスバリア性樹脂をコーティングしてなる積層体を用いてもよいし、あるいは、基材22として、それ自体がガスバリア性の高いフィルム、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)などを用いてもよい。
前述したように、基材22の容器内方側となる面に、絵柄を含む絵柄層21が積層されている。ここで、絵柄とは、基材層20に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。とりわけ、レトルトパウチ形式の包装容器1に用いられる包装材料10では、絵柄として、内容物の図や、内容物の商品名、賞味期限、製造日、製造番号等の情報を示す文字が用いられる。もっとも、絵柄層21は、商品の仕様に応じて基材22に積層されるものであり、基材層20に絵柄層21が設けられなくてもよい。
本実施の形態では、絵柄層21は、容器外方側となる基材22の外面ではなく、基材22の内面に施される。この場合、絵柄層21は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、絵柄の改ざんも効果的に防止することができる。また、製袋して包装容器1としたときに、基材22の内面に積層された絵柄層21を基材22を介して視認し得るよう、基材22は透明性を有していることが好ましい。
(遮光印刷層)
遮光印刷層30は、少なくとも、白をベタ印刷してなる白ベタ層31と、白及び黒を混合してベタ印刷してなる無彩色層32とからなる。ここで、白及び黒は、無彩色と呼ばれ、有彩色と区別される。すなわち、白及び黒を混合してベタ印刷してなる無彩色層32には、有彩色は含まれない。なお、無彩色及び有彩色とは、JIS−Z8102:2001における定義に準じる。
遮光印刷層30を構成する白ベタ層31及び無彩色層32は、互いに隣接して積層されている。白ベタ層31及び無彩色層32は、基材層20の容器内方側となる面に順にベタ印刷されて形成されている。従って、包装材料10の容器外方側から透明性を有する基材22を介して絵柄層21及び遮光印刷層30を視たとき、絵柄層21の背景として遮光印刷層30が観察される。この為、所望の色相で絵柄を表示することができ、且つ、明るさが醸し出されると共に需要者に清潔感を感じさせることができる。
具体的には、白ベタ層31は、白色系顔料を含んでなる白インキを基材層20の基材22にベタ印刷して形成される。この白ベタ層31の厚みを厚くするにつれて、容器外方側から包装材料10を視たとき、絵柄層21の背景として観察される遮光印刷層30の白ベタ層31の白味が増し、絵柄層21の背景に明るさが醸し出されると共に需要者に清潔感を感じさせることができる。また、包装材料10の遮光性及び隠蔽性も向上させることができるが、黒インキに比べると寄与は小さい。このような白ベタ層31の厚みは、例えば、1μm〜10μm程度に形成される。
一方、無彩色層32は、白色系顔料を含む白インキ及び黒色系顔料を含む黒インキを混合してなる無彩色インキを基材層20の基材22にベタ印刷して形成される。この無彩色インキは、白インキ及び黒インキを適切な配合比率で混合することで、JIS−Z8102:2001に準じる所定の明度に調整される。この無彩色インキに含まれる黒インキの配合比率を高くするにつれて、すなわち、無彩色インキの明度を低くするにつれて、遮光印刷層30の遮光性及び隠蔽性を高くすることができる。また、無彩色インキからなる無彩色層32の厚みを厚くするにつれて、遮光印刷層30の遮光性及び隠蔽性を高くすることができる。このような無彩色層32の厚みは、例えば、1μm〜10μm程度に形成される。
ここで、白ベタ層31と無彩色層32との関係について更に詳述する。先ず、白ベタ層31の厚みと無彩色層32の厚みとを加算した総厚みは、30μm以下であることが好ましい。前記総厚みが30μmを越える場合、後述する製造方法において、基材22に印刷された白ベタ層31及び無彩色層32を乾燥させる際に、白ベタ層31及び無彩色層32に熱を十分に伝えることができず、白ベタ層31及び無彩色層32が十分に乾燥されない状態で包装材料10が製造されてしまうおそれがある。この場合、十分に乾燥されなかった白ベタ層31及び無彩色層32に含まれる顔料やバインダーから異臭が生じてしまい、商品性を著しく低下させる要因となる。
また、白ベタ層31の厚み、無彩色層32の厚み及び無彩色層32を構成する無彩色インキにおける白インキと黒インキとの配合比率は、容器外方側から包装材料10を視た場合の外観、容器内方側から包装材料10を視た場合の内観及び包装材料10に求められる遮光性及び隠蔽性の程度に基づいて決定される。
一例として、白ベタ層31の厚み、無彩色層32の厚み、及び、無彩色インキにおける配合比率は、以下のようにして決定される。前述したように、図2に示す例では、包装材料10の容器外方側から絵柄層21及び遮光印刷層30を視たとき、絵柄層21の背景として遮光印刷層30の白ベタ層31側が観察される。一方、包装材料10の容器内方側から遮光印刷層30を視たとき、遮光印刷層30の無彩色層32側が観察される。先ず、容器内方側から包装材料10を視た場合の内観を調整すべく、上述した無彩色層32をなす無彩色インキの明度が、包装容器1に内包される内容物に調和するような明度に決定される。次に、この決定された明度に基づいて無彩色インキにおける白インキと黒インキとの配合比率が決定され、包装材料10に求められる遮光性及び隠蔽性に応じて、この無彩色インキからなる無彩色層32の厚みが決定される。そして、容器内方側から包装材料10を視た場合の外観を調整すべく、白ベタ層31の厚みが決定される。
また、包装材料10の光透過性を評価する指標として、全光線透過率を用いることができる。ここで、全光線透過率とは、試料となる遮光印刷層30に入射する光の全入射光量に対する遮光印刷層30を通過した全透過光量の割合をいう。ほとんどの試料は光拡散性を有するため、全光線透過率は、平行光線透過率と拡散透過率の和となり、JISで規定される積分球を使用する光学的特性試験方法JIS−K7361−1に準拠して計測される。
一例として、遮光印刷層30の全光線透過率は、0.1%以上20%以下であることが好ましい。全光線透過率が20%以下である場合、通常の使用条件下において包装材料10に入射する300〜800nmの波長域の外光からなる可視光と紫外線とを効果的に遮断することができ、包装容器1に収容した内容物の劣化を効果的に抑制することができる。一方、遮光印刷層30の全光線透過率が0.1%未満となると、白ベタ層31の厚み及び無彩色層32の厚みが大きく増大してフィルムとしてのコストが上昇するだけでなく、上述した白ベタ層31の厚みと無彩色層32の厚みとを加算した総厚みが、30μmを越えてしまう可能性がある。この場合、上述したように、十分に乾燥されない白ベタ層31及び無彩色層32に含まれる顔料やバインダーから異臭が生じてしまい、商品性を著しく低下させる。なお、遮光印刷層30の全光線透過率を低下させるために大きく寄与するのは、無彩色層32に含まれる黒インキの配合比率であるが、更に白ベタ層31をも組み合せて使用することによって、遮光性を更に高めることができる。
(シーラント層)
シーラント層50は、上述したように、2つの包装材料10同士を重ね合わせて対向する辺部をヒートシールすることで、当該辺部を貼り合わせて密封するために設けられている。また、本実施の形態では、シーラント層50は、包装材料10のうち、製袋して包装容器1とするときの最も容器内方となる層としても機能する。
このようなシーラント層50としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなる耐熱性のあるフィルムおよびイージーピールフィルムなどが採用できる。更に、これらの材料からなるフィルムによって単層としてシーラント層50が構成されてもよいし、あるいは、複数の前記材料からなるフィルムによって多層としてシーラント層50が構成されてもよい。なお、包装材料10をボイルやレトルト用の容器など、耐熱性が要求される包装容器1に形成する場合には、シーラント層50として無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を用いることが好ましい。
シーラント層50の厚みは、40μm以上200μm以下の範囲にあるのが好ましい。この場合、包装容器1の流通過程において生じ得る落下に対する耐衝撃強度に優れると共に、内容物の充填し易さ、内容物の詰替え易さといった取扱性にも優れる。
(バリア層)
次に、遮光印刷層30とシーラント層50との間に積層されたバリア層40について説明する。バリア層40は、主として水蒸気や酸素ガスの透過を防止するバリア性を向上させるために設けられている。バリア層40として、一般の包装材料10においてバリア層40として用いられている各種の素材を適用することができる。本実施の形態では、ポリエステル系材料またはポリアミド系材料に無機物を蒸着させることにより蒸着膜41が形成されたバリア層40を用いている。具体的には、蒸着膜41を形成する方法として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等が挙げられる。このうち、真空蒸着法が生産性に優れるため好ましい。
バリア層40が無機酸化物の蒸着膜41を含むことで、水蒸気や酸素ガスの透過を防止するバリア性を著しく向上させることができる。加えて、無機酸化物を含む包装容器1を焼却処分しても、無機酸化物が焼却炉に残渣として残ってしまうことはない。このような蒸着膜41を形成するために用いられる無機物として、一般的には、金属の酸化物が用いられ、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、アルミニウム等の金属等が挙げられる。
とりわけ、蒸着膜41が、バリア層40において、最も容器外方となる側、すなわち、遮光印刷層30に隣接して形成されていることが好ましい。この場合、外方から包装材料10に入射する水蒸気や酸素ガスを容器外方側で遮断することができる。このため、水蒸気や酸素ガスによる、無機物を蒸着されたポリエステル系材料またはポリアミド系材料の劣化を効果的に抑制することができる。
加えて、包装材料10からなる包装容器1が落下した際の衝撃に対する耐性を向上させるために、このバリア層40に衝撃を吸収する機能を付与してもよい。この場合、包装容器1が落下した際の衝撃をバリア40層によって吸収することができ、これにより、衝撃に起因した包装容器1へのピンホールの発生を効果的に防止することができる。このようにバリア層40に衝撃を吸収する機能を付与する形態の一例として、上記バリアー層に、一軸乃至二軸延伸ナイロンフィルムを更に積層させる形態が挙げられる。
あるいは、バリア層40として、以下の構成からなるバリア性多層延伸フィルム43を用いてもよい。このバリア性多層延伸フィルム43は、バリア性及び落下の衝撃に対する耐性に優れ、屈曲や吸湿による寸法変化によってもそのバリア性及び耐衝撃性を劣化させない。また、バリア層40としてバリア性多層延伸フィルム43を用いると、バリア層40の厚みを極めて薄く形成することができる。
このバリア性多層延伸フィルム43は、ポリエステル系樹脂層(A層)、ポリアミド系樹脂層(B層)及びポリエステル系樹脂層(A層)の少なくとも3層をこの順に有する多層積層体(2つの(A)層は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい)を二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムの少なくとも片面に蒸着層(C層)を設けてなる。このうち、
(A)層44が、いずれも結晶性ポリエステルを含有し、
(B)層45が、脂肪族ポリアミドを70〜99重量%、芳香族ポリアミドを1〜30重量%含有し、
(C)層46が無機物を含有する
ことを特徴とする。
以下、バリア性多層延伸フィルム43の各構成について詳述する。なお、以下、バリア性多層延伸フィルム43を単に多層延伸フィルムと略記することがある。
(1)(A)層44
(A)層44は、多層延伸フィルム43に寸法安定性、耐熱性等の機能を付与するものである。特に寸法安定性が付与されることで、湿潤時のガスバリア性の低下を抑制することができる。また、本実施の形態では、(A)層44を2層以上設け、(A)層44、(B)層45、(A)層44の順に形成する。
(A)層44は、いずれも結晶性ポリエステルを主成分として含有する。結晶性ポリエステルとしては、多層延伸フィルム43に寸法安定性、耐熱性等の機能を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させることにより得られる樹脂等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステルや、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、3−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸ジアルキル、2−スルホイソフタル酸ジアルキル、4−スルホイソフタル酸ジアルキル、3−スルホイソフタル酸ジアルキル及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン基含有ジカルボン酸等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロへキシル)プロパン等のアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類、1,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸、1,4−ジヒドロキシブタンスルホン酸等のスルホン基含有ジオール等が挙げられる。
この中でも特に、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99〜80モル%)及びイソフタル酸(1〜20モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート;ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分が1,4−ブタンジオールであるポリブチレンテレフタレート(PBT);ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(99.5〜90モル%)及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸(0.5〜10モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるスルホイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート等が寸法安定性、耐熱性等の点から好適であり、より好ましくはテレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート(PET)である。
このような結晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、ベルペット−EFG6C、ベルペットPIFG5(いずれも(株)ベルポリエステルプロダクツ製)等を(A)層44を構成する結晶性ポリエステルとして用いることができる。
なお、(A)層44に用いられる結晶性ポリエステルは1種のみでも良いし、必要に応じ2種以上をブレンドして用いてもよい。
また、(A)層44は、必要に応じ結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂を含有していても良いが、(A)層44を構成する成分の総重量に対する結晶性ポリエステルの含有量は、50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
結晶性ポリエステルと相溶性のある樹脂としては非晶性ポリエステル等が例示できる。非晶性ポリエステルとはJIS−K7121に基づく示差走査熱量測定において融解熱量が観察されないポリエステルである。このような特性を有するポリエステルであれば特に限定されないが、具体例として、ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸、ジオールに由来する成分がエチレングリコール(20〜80モル%)及びシクロヘキサンジメタノール(80〜20モル%)であるポリエステル;ジカルボン酸に由来する成分がテレフタル酸(20〜80モル%)及びイソフタル酸(80〜20モル%)、ジオールに由来する成分がエチレングリコールであるポリエステルが好適である。このような非晶性ポリエステルは商業的に入手可能であり、例えば、Eastar Copolyester 6763(イーストマンケミカル製)等を非晶性ポリエステルとして用いることができる。
また、バリア層40の効果を損なわない範囲で必要に応じて、(A)層44に公知の無機又は有機添加剤等を適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、染料等を適宜配合することができる。
(2)(B)層45
(B)層45は、多層延伸フィルム43に耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものである。特に耐屈曲性が付与されることで、屈曲後のガスバリア性の低下を抑制することができる。
(B)層45は、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミドを含有する。
(2−1)脂肪族ポリアミド
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)等を例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
好ましい脂肪族ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン-6,6、ナイロン−6/6,6(ナイロン6とナイロン6,6との共重合体)が挙げられ、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6であり、さらに好ましくはナイロン−6である。2種以上の脂肪族ポリアミドとしてはナイロン−6とナイロン−6/6,6の組み合わせ(重量比で50:50〜95:5程度)が好ましい。
(2−2)芳香族ポリアミド
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S−6007、S−6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
或いは、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)が挙げられる。好ましくはヘキサメチレンジアミン−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸の共重合体等である。具体例としては、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)等が例示される。
(B)層45として、脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの好ましい組み合わせは、ナイロン−6とMXD−ナイロンの組み合わせ、ナイロン−6と非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスナイロン)の組み合わせが挙げられる。
(2−3)含有量
多層延伸フィルム43における(B)層45では、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミドの含有量は、脂肪族ポリアミドが70〜99重量%、好ましくは85〜97重量%、芳香族ポリアミドが1〜30重量%、好ましくは3〜15重量%の割合で含有されるように調整する。脂肪族ポリアミドが99重量%より多い場合、芳香族ポリアミドが1重量%より少ない場合には、二軸延伸性が低下し、フィルムの成形が困難となる。一方、脂肪族ポリアミドが70重量%より少ない場合、芳香族ポリアミドが30重量%より多い場合には、耐屈曲性が低下する。
(B)層45は、上記ポリアミド系樹脂からなるものであってもよいが、バリア層40の効果を損なわない範囲で必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。耐屈曲性改良剤としては、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられ、0.5〜10重量%程度の範囲で適宜配合することができる。無機又は有機添加剤としては、アンチブロッキング剤、核剤、撥水剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。例えば、アンチブロッキング剤であれば、シリカ、タルク、カオリン等を100〜5000ppm程度の範囲で適宜配合することができる。なお、(B)層45を1層のみではなく、2層以上設けることも可能である。
(3)(C)層46
(C)層46は、多層延伸フィルム43に、ガスバリア性、防湿性、保香性等の機能を付与するものである。
(C)層46は、無機物を含有する。無機物は、(A)層44や(B)層45の上に蒸着により、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有する層を形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、アルミニウム等の金属等が挙げられる。なかでも、透明性、金属異物検査が可能となる等の点から、金属酸化物が好ましく、酸化ケイ素がより好ましい。
この(C)層46の形成方法は、種々あるが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等が挙げられる。なかでも、生産性に優れるため、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法における加熱手段は、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導過熱方式等が挙げられるが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると、電子線加熱方式が好ましい。なお、(C)層46の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を採用してもよい。また、(C)層46の透明性を向上させるために、蒸着時に、酸素等の各種ガス等を吹き込む反応蒸着を用いてもよい。
(4)接着層
上記の(A)層44と(B)層45との層間強度を向上させる目的で、接着層が形成されていてもよい。接着層を介在させることにより、両者の接着後の層間強度を飛躍的に向上させることができる。接着層としては特に限定されず、多層延伸フィルム43における(A)層44と(B)層45との間に形成され、例えば不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性された酸変性樹脂を用いることができる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性された酸変性樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン、変性スチレン系エラストマー等が挙げられる。
変性ポリオレフィンは、公知の製法で得られ、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体とポリオレフィンとをラジカル発生剤の存在下で加熱混合して得られる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物、そのエステル又はその金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)等が例示できる。
ポリオレフィンとしては、オレフィン類の単独重合体、相互共重合体、他の共重合可能なモノマー(例えば、他のビニル系モノマー)との共重合体を例示できる。具体的には、例えば、ポリエチレン(例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン、ポリブテン、これらの相互共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を例示できる。
変性ポリオレフィンとして、好ましくは無水マレイン酸変性ポリオレフィンである。具体的には、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(例えば、三井化学(株)製のアドマーSF731、SE800等や、三菱化学(株)製のモディック等)が例示される。
変性スチレン系エラストマーは、公知の製法で得られ、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体とスチレン系エラストマーとをラジカル重合剤の存在下で加熱混合して得られる。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物やスチレン−イソプレン共重合体の水素添加物等を例示できる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、その酸無水物、そのエステル又はその金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)等が例示できる。
変性スチレン系エラストマーとして、好ましくは無水マレイン酸で変性したスチレン−ブタジエン共重合体水素添加物である。具体的には、無水マレイン酸で変性したスチレン−ブタジエン共重合体水素添加物(例えば、クレイトンポリマー製のクレイトンFG1901や旭化成ケミカルズ(株)製のタフテックM1913等)が例示できる。
(5)層構成
多層延伸フィルム43は、(A)層44、(B)層45及び(A)層44の少なくとも3層をこの順に有する多層積層体(2つの(A)層44は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい)を二軸延伸することにより得られる二軸延伸多層フィルムの少なくとも片面に(C)層46を有するものである。ここで、(A)層44は、2層のみではなく、3層以上設けることも可能である。また、(B)層45は、1層のみではなく、2層以上設けることも可能である。なお、複数ある(A)層44は、使用する樹脂や厚みは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、(B)層45が複数ある場合も同様に、使用する樹脂や厚みは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、その他にも、接着層(D層)やガスバリア層(E層)、シール層(F層)等を必要に応じて設けることもできる。
具体的な層構成として、(A)層/(B)層/(A)層/(C)層、(A)層/(A)層/(B)層/(A)層/(C)層、(A)層/(A)層/(B)層/(A)層/(A)層/(C)層、(A)層/(B)層/(A)層/(A)層/(C)層、(A)層/(A)層/(B)層/(B)層/(A)層/(A)層/(C)層、(A)層/(D)層/(B)層/(D)層/(A)層/(C)層、(A)層/(B)層/(E)層/(B)層/(A)層/(C)層、(A)層/(B)層/(A)層/(C)層/(F)層等が挙げられる。これらの層構成のものは、湿潤時のガスバリア性の低下を抑制できる。
ここで、ガスバリア層とは酸素、窒素、二酸化炭素等のガスの透過性の低い層である。具体例として、エチレン−ビニルアルコール系共重合体や芳香族ポリアミド等が挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるものである。エチレン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含有量は20〜70モル%、好ましくは25〜50モル%が好ましい。エチレン含有量が20モル%を下回ると熱安定性が悪く成形性が悪くなり、押出溶融成形においてゲル等の異物が発生しやすくなったり、延伸成形においてフィルムが破れやすくなったりする傾向がある。エチレン含有量が70モル%を上回ると充分なバリア性を得られなくなる。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、ガスバリア性が著しく低下しないような公知の他の成分が共重合されていたり、ブレンドされていたりしても良い。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は組成が異なるエチレン−ビニルアルコール系共重合体をブレンドしているものであっても良い。エチレン−ビニルアルコール系共重合体の市販品としては、「エバール」((株)クラレ製)、「ソアノール」(日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の結晶性芳香族ポリアミドである。具体例としては、S6007、S6011(何れも三菱ガス化学(株)製)が例示される。
また、シール層としては、シール性を有する樹脂フィルムであればよく、例えば、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)等のポリエチレン;CPP(無延伸ポリプロピレン)等のポリプロピレン;EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、EMA(エチレン−メチルアクリレート共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMMA(エチレン−メチルメタアクリレート共重合体)、アイオノマー等のポリオレフィンによって構成される層を採用することができる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
シール層を形成する方法としては、ラミネート法を採用することができ、ドライラミネート法や押出ラミネート法等を例示できる。ドライラミネート法は多層延伸フィルム43に接着剤を塗布し、接着剤上にシール層のフィルムをラミネートして、多層延伸フィルム43とシール層を積層させる方法である。また、押出ラミネート法は、シール層を構成する前記樹脂を押出機から溶出させ、多層延伸フィルム43上にシール層として積層する方法や、多層延伸フィルム43とシール層のフィルムの間に押出機からポリエチレン等の樹脂を溶出させ、多層延伸フィルム43とシール層をラミネートして積層させる方法である。押出ラミネート法でシール層を積層する場合、多層延伸フィルム43には事前にアンカーコート処理を施しておくことが好ましい。
以上のような層構成を有する多層延伸フィルム43の総膜厚は、用途にあわせて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常10〜50μm程度、好ましくは12〜25μm程度である。
また、各層の膜厚は、通常、(A)層44は1〜20μm程度、好ましくは2〜15μm程度である。(A)層44の厚みが1μm以上であることによって、寸法安定性、耐熱性等の優れた機能が多層延伸フィルム43に付与され得る。また、20μm以下であることにより、耐屈曲性の優れたフィルムを得ることができる。なお、(A)層44を複数形成するが、(A)層44の厚みは、複数の(A)層44の合計厚みである。
(B)層45の厚みは5〜49μm程度、好ましくは8〜23μm程度である。(B)層45の厚みが5μm以上であることによって、耐屈曲性、耐衝撃性等の優れた機能が付与され、49μm以下であれば充分な衝撃強度を付与しつつ、製品コストを抑えることができる。なお、(B)層45を複数形成する場合には、(B)層45の厚みは、複数の(B)層45の合計厚みである。
さらに、(C)層46の厚みは10〜200nm程度、好ましくは20〜150nm程度である。(C)層46の厚みが10nm以上であることによって、ガスバリア性、防湿性、保香性を付与することができ、200nm以下であることによって、優れたガスバリア性、防湿性、保香性を付与しつつ、耐クラック性に優れた蒸着層を得ることができる。
なお、接着層を設ける場合には、接着層の厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは0.5〜2.5μm程度である。接着層の厚みが0.5μm以上であれば膜厚のコントロールがしやすく、5μm以下であれば充分な接着強度を付与しつつ、生産コストを抑えることができる。
とりわけ、無機物を含有する(C)層46が、バリア層40において、最も容器外方となる側、すなわち、遮光印刷層30に隣接して形成されていることが好ましい。この場合、外方から包装材料10に入射する水蒸気や酸素ガスを容器外方側で遮断することができるため、水蒸気や酸素ガスによる(A)層44及び(B)層45の劣化を効果的に抑制することができる。
(接合層)
遮光印刷層30とバリア層40との間、及び/または、バリア層40とシーラント層50との間に接合層60が介在されていてもよい。この接合層60としては、例えばそれ自体既知のラミネート法にて一般に用いられる接着剤を用いることができ、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いることができる。
(包装容器)
上述した包装材料10から得られる包装容器1の形態は、特に限定されず、スタンディングパウチの形態の包装容器、ガゼット包装形態による包装容器、ピロー包装形態による包装容器、三方パウチ包装形態による包装容器の形態が挙げられる。さらに包装材料10を容器開口を覆う蓋材として採用することも可能である。
図2に示すように、本実施の形態の包装容器1では、包装材料10同士を重ね合わせて、上側の辺部に開口2を設け、他の対向する辺部をヒートシールすることで、当該辺部が貼り合わせられる。そして、上側に設けた開口2から内容物を充填した後、当該開口2が設けられた辺部をヒートシールすることにより密閉して、包装容器1が得られる。なお、辺部をヒートシールする方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の方法で行うことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、遮光印刷層30が、ベタ印刷してなる白ベタ層31と白及び黒を混合してベタ印刷してなる無彩色層32とからなる。ベタ印刷では、インキを隙間なく塗布することができるため、ベタ印刷してなる白ベタ層31及びベタ印刷してなる無彩色層32は、光を透過させ難く、更に内容物を浸透させ難い。このため、ベタ印刷してなる白ベタ層31及びベタ印刷してなる無彩色層32は、遮光性及び隠蔽性に優れている。更に、無彩色層32が所定の配合比率で黒インキを含んでいるため、遮光印刷層30の遮光性及び隠蔽性を更に大きく向上させることができる。すなわち、遮光印刷層30が、ベタ印刷してなる白ベタ層31とベタ印刷してなる無彩色層32とからなり、無彩色層32が黒インキを含むという組合せの結果、遮光印刷層30が包装容器1に要求される遮光性及び隠蔽性を充分に発揮することができる。
また、本実施の形態によれば、遮光印刷層30が白ベタ層31と白及び黒を混合してなる無彩色層32とからなり、黒インキ層を含まない。このため、この包装材料10からなる包装容器1を内面側または外面側から観察しても、消費者に不快感を与えず消費者の購買意欲を低下させない。また、この包装材料10からなる包装容器1は、食品を内容物として収容する用途に対しても好適に使用され得る。
また、本実施の形態によれば、遮光印刷層30が白ベタ層31と白及び黒を混合してなる無彩色層32とからなり、有彩色を含まない。この場合、調色作業による多大な手間がかからないため並びに多数種類のインキを使用する必要がないため、包装材料を比較的安価で効率よく製造することができる。
(製造方法)
次に、上述した包装材料10を製造する方法の一例について、図4を参照しながら説明する。図4は、ドライラミネート法を用いて、図1に示す包装材料10を製造する方法を示す概略図である。
先ず、基材層20の基材22をなすようになる基材シート(不図示)に、絵柄層21、白ベタ層31及び無彩色層32が印刷され、印刷された基材シートが熱風によって乾燥される。このようにして、基材層20及び遮光印刷層30を含んでなる積層ウェブが得られる。得られた積層ウェブは、ロール状に巻取られてロール状の原反105(図4参照)をなすようになる。この印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等を利用することができる。
次に、図4に示すように、ロール状の原反105から、絵柄層21を含む基材層20と、白ベタ層31及び無彩色層32を含む遮光印刷層30と、を含む積層ウェブ101が繰り出されて、この積層ウェブ101に、例えばグラビアローラ106によってドライラミネート用の接着剤102が塗布される。その後、積層ウェブ101は乾燥炉103に搬送され、当該乾燥炉103にて接着剤102に含まれる溶媒が除去された後、ニップローラ107に案内される。同時に、別個のロール状の原反109から、バリア層40をなすようになるバリアシート104が繰り出され、ニップローラ107まで案内される。当該ニップローラ107において、積層ウェブ101とバリアシート104とが重ね合わされて、当該重ね合わされた積層ウェブ101とバリアシート104とが加熱されながら圧着される。これにより、積層ウェブ101とバリアシート104からなる中間積層体108が作製され、この中間積層体108は、ロール状に巻取られる。
次に、同様なドライラミネート法を用いて、中間積層体108とシーラント層50からなるシーラントシートとが圧着される。これにより、包装材料10が製造される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下に説明するようにして、実施例および比較例に係る包装材料及び包装容器を作製し、各包装材料及び包装容器について遮光性と隠蔽性とを評価した。また、実施例及び比較例に係る包装容器は、レトルトパウチ形式の包装容器であり、内容物としてカレーを内包するものである。
実施例1は、図1に示す包装材料に対応しており、更にこの包装材料から図2に示す包装容器を作製した。
基材として、厚み12μmからなるポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材上に、絵柄層、白ベタ層及び無彩色層を、ベタ印刷によって、順に形成した。次に、無彩色層に、バリア層及びシーラント層を順にラミネートして、実施例1に係る包装材料を作製した。
白ベタ層は、白インキ(東洋インキ社製、製品名「ファインスター681AT」)をベタ印刷することにより形成した。無彩色層は、白インキ(東洋インキ社製、製品名「R631AT」)と黒インキ(東洋インキ社製、製品名「N800LPGTスミ」)とを6対4の配合比率で配合した無彩色インキを、白ベタ層上にベタ印刷することにより形成した。白ベタ層は、グラビア印刷にて基材に白インキを2回ベタ印刷することによって形成した。白ベタ層31の形成には、版深28μm、版胴の線数175である版胴を用いた。無彩色層は、グラビア印刷にて基材に無彩色インキを1回ベタ印刷することによって形成した。無彩色層の形成には、版深22μm、版胴の線数175である版胴を用いた。
バリア層として、厚み15μmからなるシリカ蒸着ナイロン延伸フィルムを用いた。シーラント層として、厚み60μmからなる無延伸ポリプロピレン(東レ(株)社製、製品名「ZK99S」)を用いた。更に、バリア層40は、図4に示すドライラミネート法を用いて、遮光印刷層30に接合した。同様に、シーラント層50は、図4に示すドライラミネート法を用いて、バリア層に接合した。このため、遮光印刷層とバリア層との間、及び、バリア層とシーラント層との間には、接合層として、厚み2μmからなる2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)社製、製品名「RU77TH7」)を使用した。
〔比較例1〕
比較例1に係る包装材料は、基材上に白ベタ層を形成することにより、作製した。すなわち、比較例1に係る包装材料は、基材と白ベタ層とからなるようにした。比較例1に係る包装材料の基材及び白ベタ層は、材料及び形成方法等において、実施例1に係る包装材料の基材及び白ベタ層と同様にした。
〔比較例2〕
比較例2に係る包装材料は、実施例1に係る包装材料と、無彩色インキを印刷してなる無彩色層に代えて、有彩色インキを印刷してなる有彩色層を形成した点において異なり、その他の点において同一とした。有彩色層として、白インキ(DICグラフィックス(株)社製、商品名「CLIOS 950 シロ」、黄インキ(DICグラフィックス(株)社製、商品名「CLIOS 423 キ」、赤インキDICグラフィックス(株)社製、商品名「CLIOS 212 ベニ」を1:1:1で配合した有彩色層を採用した。
(遮光性及び隠蔽性の評価結果)
上記で得られた実施例1、比較例1及び比較例2に係る包装材料及び包装容器の遮光性及び隠蔽性の評価結果を表1に示す。このうち、遮光性を評価する指標として全光線透過率を利用し、この全光線透過率は、全光線透過率測定装置(村上色彩技術研究所社製、商品名「ヘーズメーターHM−150」)を用いてJIS−K7361−1に準拠して測定した。一方、隠蔽性については、包装材料から作製された包装容器に、内容物としてカレーを内包させて、目視にて評価を行った。なお、カレーに含まれるクミンは、包装容器に浸透し易いため、隠蔽性を評価する指標として優れている。
表1から理解されるように、比較例1は、遮光性を十分に示さなかった。また、実施例1の遮光性及び隠蔽性は、有彩色層を含む比較例2の遮光性及び隠蔽性と同程度であった。すなわち、実施例1の包装材料が、有彩色層を含まないため、比較例2の包装材料よりも大幅に安価で効率よく製造することができることに加え、比較例2の包装材料と同程度の遮光性及び隠蔽性を確保し得ることが知見された。