JP6154367B2 - インターロック付フック解放構造および救命艇一斉離脱装置 - Google Patents

インターロック付フック解放構造および救命艇一斉離脱装置 Download PDF

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Description

本発明は、船舶に備えられる救命艇の一斉離脱装置において、フックに作用する荷重に応じてインターロックの作動とその解除が自動的に切り替えられて、フックに十分な浮力が作用している場合のみフックを解放可能であり、かつ、非常時には、容易かつ確実にインターロックを手動解除できるインターロック付フック解放構造およびそれを備えた救命艇一斉離脱装置に関する。
はじめに、従来公知のフック解放構造およびそれを備えた救命艇一斉離脱装置及びその作動機構について図12乃至図17を参照しながら詳細に説明する。
図12は、従来技術に係るフック解放構造および救命艇一斉離脱装置の概念図である。また、図13乃至図17はいずれも従来技術に係るフック解放構造の解放プロセスを示す側面図である。
図12に示すように従来技術に係るフック解放構造21は、救命艇16の少なくとも船首側及び船尾側に一対設けられる。また、これらのフック解放構造21は、操作用ワイヤ19を介して操作部18に接続されており、この操作部18の操作レバー20を操作することで、救命艇16に設けられるフック解放構造21を一斉に解放して吊りワイヤ15を離脱させることができる。
なお、船体に異常が発生して乗員が避難する必要がある場合は、図12に示すように、この吊りワイヤ15により救命艇16が吊り下げられて海面まで搬送された後、フック解放構造21が操作レバー20の操作により同時に解放される。
また、救命艇16が水面上に着水していない状態で吊りワイヤ15の一斉離脱が行なわれると、救命艇16が水面上に落下してしまい極めて危険である。このため、従来技術に係るフック解放構造21は、救命艇16の船底に浮力検知手段22を備えており、救命艇16の着水状態(浮力発生状態)が検知された場合のみ操作レバー20の操作が可能になるインターロックを備えている。なお、救命艇16は、必要に応じて推進装置17を備えている。さらに、一対のフック解放構造21に吊りワイヤ15を掛着して救命艇16を吊り下げている状態から、吊りワイヤ15を一斉に解放して救命艇16を離脱させるための一連の構造が従来技術に係る一斉離脱装置24である。
ここで、図13乃至図17を参照しながら従来技術に係るフック解放構造21から吊りワイヤ15が離脱されるプロセスについて説明する。図13乃至図14はいずれも従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。なお、図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、図13を参照しながら従来技術に係るフック解放構造21について説明する。
従来技術に係るフック解放構造21は、鉤状部4bとその鉛直下方側に形成される係止用突部4aとを備えるフック4と、このフック4の左右それぞれの側面側に配設される一対のサイドプレート2,2(図13ではフック4の一方の側面側に配設されるサイドプレート2のみが示されている。)と、フック4及び一対のサイドプレート2,2を貫通しながら挿設されるフックピン3と、フック4の係止用突部4aと嵌合構造を形成しながら、フックピン3を基軸にした係止用突部4aの回動動作を規制するロックピース13と、ロックピース13をサイドプレート2,2に回動可能に枢設するロックピースピン23と、ロックピース13の鉛直下方側周縁に接触してロックピース13を支えて、ロックピース13のロックピースピン23を基軸にした回動動作を規制するカムレバーピン5とにより構成されている。なお、従来技術に係るフック解放構造21では、サイドプレート2に穿設されるフックピン挿通孔2aや、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eは、いずれも長孔でない。
また、サイドプレート2はリンクストッパー11を備えている。このリンクストッパー11は、リンクストッパーピン12を基軸に回動可能にサイドプレート2に取設されるものである。また、リンクストッパー11はその鉛直下方端に金属塊からなる錘11aを備えており、リンクストッパーピン12を基軸に時計回り(図13中の符号Pで示す方向)にリンクストッパー11を傾動させて、フック4の鉤状部4bに吊りワイヤ15を掛着させた後、リンクストッパー11は、錘11aの作用により反時計回りに傾動する結果、図13に示す位置に自動的に復帰して、吊りワイヤ15の外れを防止する。
なお、一対のサイドプレート2,2は、例えば、デッキプレート14の上面に立設されている。
そして、上述のようなフック解放構造21に吊りワイヤ15を掛着して、先の図12に示すように救命艇16を吊り下げている状態においてフック解放構造21を側面側から見たものが図13である。
なお、フック4は、金属厚板体を成形してなるものであり、その胴部に錘として機能する幅広部4dを備えることで、フック4に外力が作用しない状態では、鉤状部4bの先端が鉛直上方を向いている状態(後述の図17を参照。)が、最も安定した状態である。なお、このフック4は、その周縁にストッパー4cを備えており、フック4がフックピン3を基軸に時計回り方向に回動した場合際に、サイドプレート2に突設されるストッパー2bに、フック4のストッパー4cが引っ掛かることでフック4の回動動作が停止される仕組みになっている。
そして、図13に示すように、フック4に吊りワイヤ15が掛着されて荷重が作用している状態では、フック4に、フックピン3を基軸に時計回り方向に回動しようとする力が常に作用している。しかし、このような回転力が作用しているフック4の係止用突部4aは、ロックピース13と嵌合構造を形成することでその回動動作が規制されており、しかも、ロックピース13の回動動作はカムレバーピン5により規制されているため、図13に示した状態ではフック4がフックピン3を基軸として時計回りの方向に回動することはない。
そして、図12に示す救命艇16が図示しない水面に着水すると、浮力の影響でフック4には荷重がほとんど若しくは全く作用しなくなる。
この場合、図14に示すように、ロックピース13の嵌合用凹部13a内における、係止用突部4aとロックピース13との接触状態が解除される。すなわち、ロックピース13を、ロックピースピン23を基軸に反時計回り方向に回動させようとする力が作用しなくなるか、あるいは、このように作用する力が大幅に小さくなる。この結果、ロックピース13により押さえつけられて回動操作することができなかったカムレバーピン5の回動操作が可能になる。
そして、この状態から図15に示すように、カムレバーピン5のレバー5aを操作してカムレバーピン5をその周方向(反時計回りの方向)に回動させて、カムレバーピン5の胴部に形成される切欠き5bをロックピース13の真下に配置すると、図16に示すように、ロックピース13は支えを失ってロックピースピン23を基軸に反時計回りに回動し(図16中において実線部分で示されるロックピース13を参照。)、このロックピース13の回動動作に伴ってロックピース13の嵌合用凹部13aからフック4の係止用突部4aが解放されて(図16中において実線部分で示されるフック4を参照。)、フック4がフックピン3を基軸に時計回りに回動して、図17に示すように、吊りワイヤ15がフック4から離脱する。
なお、従来技術に係るフック解放構造21では、救命艇16に十分な浮力が作用していない状態で(例えば、水面の波が高くて救命艇16に作用する浮力が安定しない場合など。)、フック解放構造21の解放操作が行われると危険なので、先の図12に示すような浮力検知手段22を備えて、この浮力検知手段22により救命艇16に十分な浮力が作用していることが検知された場合にのみ、操作部18の操作レバー20の操作が可能になるよう構成されている。
つまり、従来技術に係る救命艇一斉離脱装置24では、浮力検知手段22がフック解放構造21のインターロックとして機能している。
このような従来技術に係るフック解放構造21では、フック解放構造21とは別体のインターロックとして機能する構造物(例えば、浮力検知手段22)を備えている必要があった。この場合、救命艇一斉離脱装置24に係る部品点数が多くなるので、製造にコストがかかる上、それぞれに対するメンテナンスの手間もかかり煩雑であった。さらに、浮力検知手段22を備える場合は、救命艇16の人員が乗り込むエリアに、浮力検知手段22が突出してしまう場合があり、緊急避難用の救命艇16内に障害物がある状態となり構造上危険であった。
したがって、図12に示すような従来技術に係るフック解放構造21において、浮力検知手段22(インターロック)に相当する構造を、フック解放構造21に内蔵して一体化することが求められていた。
本願発明と関連する先行技術としては、例えば、以下に示すような特許文献1が知られている。
特許文献1には「救命艇一斉離脱装置」という名称で、船体に十分な浮力が作用している状態で、人為的な操作が行われた場合にのみフックを解放させることができる救命艇の一斉離脱装置に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される救命艇一斉離脱装置は、特許文献1に記載される符号をそのまま用いて説明すると、下部内側に勾配をもつフック(1)と、艇体の底部に固着したアイプレート(2)にボルトで取付けられ中央側面に上部長孔及び下部長孔を設けた側板と、ピン(4)を固着し中央部側面に長孔を設けた案内板(5)と、ピン(6)を固着しロープ(10)で固着された錘(7)と、フック(1)及び側板(3)を連結するピン(8)を軸とするガイドローラー(9)と、ロープ(10)を緊張させる装置をもつガイドローラー(11)と、ロープ(10)を艇の前、後部から艇の中央部まで導くガイドローラ(12),(12’)と、ガイドローラ(13)を介して中央に集約したロープ(10)を引っ張るローラー付ボルト(14)と、側面片側に長孔を設けたロープカバー(15)、又は、ローラー付ボルト(14)が抜出されないようにロープカバー(15)に挿入したストッパーピン(16)と、ロープ(10)の保護用カバー(17),(17’),(17’’)とにより構成されるものである。
上記構成の特許文献1に開示される救命艇一斉離脱装置によれば、機構が単純で、軽量であり、わずかな手動力で作動させることができる救命艇の一斉離脱装置を提供することができる。
実願昭51−147671号(実開昭53−64497号)のマイクロフィルム
上述のような特許文献1に開示される考案の場合、ロープ(10)により吊り下げられた錘(7)を貫通するピン(6)によりガイド板(5)を鉛直上方に押上げ、このガイド板(5)により間接的にピン(4)を常時押し上げておくことで、艇に浮力が作用してフック(1)によるピン(4)の押圧力が瞬間的にゼロになった場合でも、ピン(4)が鉛直下方に落下してフック(1)が解放するのを防止できる構造となっている。したがって、特許文献1に開示される考案によれば、フック(1)の解放機構にインターロックが内蔵されているとも考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示される考案の場合は、何らかの原因により意図せずロープ(10)の破断が起きた場合に、フック(1)が即解放されてしまうため、安全性が十分に担保されていないという課題があった。
また、逆に、ロープ(10)の固着又は錘(7)の固着が起きた場合に、その構造上、救命艇に十分な浮力が作用していてもフック(1)を、手動ででも解放することができないという課題があった。この場合、救命艇が対を成す一方のフック(1)のみで吊り下げられた状態になるおそれがあり、乗員にとって極めて危険な状態になるので、やはり、十分な安全性が担保されていないという課題があった。
さらに、特許文献1に開示される発明の場合は、上述のような不具合(何らかの原因により意図せずロープ(10)の破断が起こる等)の発生を回避するためにロープ(10)を定期的に交換する必要があるが、ロープ(10)を交換した場合に、使用するロープ(10)の種類によってはその伸びのせいで船首側、船尾側とでロープ(10)の長さが一様にならないことが予想される。このことは、船首側と、船尾側とでフック(1)が解放されるタイミングが同じにならないことを意味する。このため、船首尾における同時離脱を実現するためには、ロープ(10)の長さを短周期で調整する必要があり、作業が煩雑な上、メンテナンスのためのコストがかかるという課題もあった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、フック解放構造内にインターロックを内蔵し、このインターロックの性能が経時変化とともに低下する恐れが極めて低く、メンテナンスが容易で、しかも、非常時には手動操作により容易かつ確実にインターロックを解除することができる安全性の高いインターロック付フック解放構造およびそれを用いた救命艇一斉離脱装置を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1記載の発明であるインターロック付フック解放構造は、鉤状部の鉛直下方側に係止用突部を備えるフックと、このフックの左右両側面のそれぞれに配設される一対のサイドプレートと、フック及び一対のサイドプレートを貫通しながら挿設されるフックピンと、フックピンを基軸にした係止用突部の回動動作を直接又は間接的に規制するカムレバーピンと、このカムレバーピンの周方向への回動動作を規制するインターロックと、を有し、インターロックは、カムレバーピンの胴部において嵌合構造を形成してその周方向への回動を規制するロック部材と、このロック部材をフックピンの上下動に同調させて上下動させる支持アームと、ロック部材と支持アームの重なり部と一対のサイドプレートとを貫通しながら挿設されるインターロックピンと、ロック部材と支持アームとの重なり部を貫通して挿設されかつインターロックピンを基軸とするロック部材の回動動作を規制する安全ピンと、を備え、フックピンを挿通させるために一対のサイドプレートに穿設されるフックピン挿通孔は長孔であり、インターロックピンを挿通させるためにロック部材と支持アームの重なり部に穿設されるインターロックピン挿通孔はともに長孔である、ことを特徴とするものである。
上記構成の請求項1記載の発明において、フックは救命艇を吊り下げ保持するための吊りワイヤを掛着保持するという作用を有する。また、一対のサイドプレートは、フックピン、カムレバーピン及びインターロックピンを回動可能に支持するという作用を有する。特に、一対のサイドプレートにおいてフックピンを挿通させるフックピン挿通孔を長孔とすることで、フックピン挿通孔内においてフックピンを鉛直上下方向に移動可能にするという作用を有する。
そして、この作用に伴い、フックもフックピンとともに鉛直上下方向に移動可能となる(ただし、その可動範囲はフックピンの可動範囲内である。)。また、フックピンは、フックを回動可能に軸支するという作用を有する。
なお、フックに吊りワイヤが掛着されていない状態では、フックは鉤状部の先端が鉛直上方側に向いている状態が一番安定した状態である。そして、フックがこの安定状態になった時にフックの鉤状部に掛着保持される吊りワイヤがフックから解放される。
さらに、カムレバーピンは、フックの係止用突部と直接的又は間接的に接触状態を形成して、フックピンを基軸とするフックの回動動作を規制するという作用を有する。具体的には、カムレバーピンと係止用突部の接触状態が維持される場合は、フックの回動動作が規制される。他方、カムレバーピンがその中心軸を基軸に周方向に回動されて、カムレバーピンとフックの係止用突部の直接的又は間接的な接触状態が解除された場合は、フックが回動動作する。
そして、インターロックは、カムレバーピンの胴部の所望個所において、嵌合構造を形成する場合に、カムレバーピンの中心軸を基軸にした回動動作(カムレバーピンの周方向への回動操作)を規制するという作用を有する。また、カムレバーピンとインターロックとの嵌合構造が形成されない場合は、カムレバーピンの回動動作が可能になる。
さらに、請求項1に記載されるインターロックにおいて、ロック部材は、必要に応じてカムレバーピンと嵌合構造を形成するという作用を有する。また、支持アームは、安全ピン及びインターロックピンを介してロック部材に連結され、フックピンの鉛直方向上下動に同調してロック部材を鉛直方向に上下動させるという作用を有する。
つまり、ロック部材の鉛直方向上下動に伴って、ロック部材とカムレバーピンとの間に、嵌合構造が形成されたり、形成されない状態が生じる。また、ロック部材と支持アームとは、重なり部を有している。そして、インターロックは、これら(ロック部材と支持アーム)の重なり部及び一対のサイドプレートを貫通して挿設されるインターロックピンを備えることで、ロック部材は、インターロックピンを基軸に回動可能に支持される。
さらに、インターロックピンを挿通させるためにロック部材及び支持アームのそれぞれに穿設されるインターロックピン挿通孔を長孔にすることで、フックピンが鉛直方向に上下動する際に、その動作に同調して支持アーム及びそれに連結されるロック部材が、鉛直方向に上下動する。この動作により、カムレバーピンとロック部材との間に嵌合構造が形成されたり、形成されない状態が生じる。
また、安全ピンは、支持アームとロック部材の重なり部に着脱可能に挿設され、安全ピンが挿設されている状態では、支持アームとロック部材とが同調して鉛直方向に上下動する。他方、安全ピンが取り外された状態では、支持アームの動きにロック部材が連動せず、ロック部材はインターロックピンを基軸に自重により回動動作する。このとき、カムレバーピンからロック部材が離間したままとなり、嵌合構造が形成されず、カムレバーピンの回動が可能になる。
請求項2記載の発明であるインターロック付フック解放構造は、鉤状部の鉛直下方側に係止用突部を備えるフックと、このフックの左右両側面のそれぞれに配設される一対のサイドプレートと、フック及び一対のサイドプレートを貫通しながら挿設されるフックピンと、フックピンを基軸にした係止用突部の回動動作を直接又は間接的に規制するカムレバーピンと、このカムレバーピンの周方向への回動動作を規制するインターロックと、を有し、インターロックは、カムレバーピンの胴部において嵌合構造を形成してその周方向への回動を規制するロック部材と、このロック部材をフックの上下動に同調させて上下動させる支持アームと、ロック部材と支持アームの重なり部と一対のサイドプレートとを貫通しながら挿設されるインターロックピンと、ロック部材と支持アームとの重なり部を貫通して挿設されかつインターロックピンを基軸とするロック部材の回動動作を規制する安全ピンと、を備え、フックピンを挿通させるためにフックに穿設されるフックピン挿通孔は長孔であり、フックピン挿通孔の鉛直上方側の周縁は、フックの左右それぞれの側面上に突出してなる支持アーム係止部を具備し、インターロックピンを挿通させるためにロック部材と支持アームの重なり部に穿設されるインターロックピン挿通孔はともに長孔であり、支持アーム係止部上に支持アームが掛着保持される、ことを特徴とするものである。
上記構成の請求項2記載の発明は、上述の請求項1記載の発明において、フックピンを、フックピン挿通孔内を鉛直方向に上下動させることに代えて、フックピンを不動にしつつ(ただし、クリアランスの範囲内の上下動は上下動には含めない。)、フックを鉛直方向に上下動させるよう構成したものである。さらに、このフックの鉛直方向上下動に同調して、インターロックが鉛直方向に上下動するよう構成されるものである。
したがって、請求項2記載の発明においては、上述の請求項1記載の発明において、一対のサイドプレートに穿設されるフックピン挿通孔を長孔にすることに代えて、フックに穿設されるフックピン挿通孔を長孔にしている。この場合、フックピンは不動であるが、フックは、フックピン挿通孔の範囲内で鉛直方向に上下動させることが可能になる。
また、この場合、フックピンが鉛直方向に上下動しないので、インターロックを鉛直方向に上下動させることができなくなる。このため、請求項2記載の発明では、フックに穿設されるフックピン挿通孔の鉛直上方側の周縁に、フックの左右それぞれの側面上に突出してなる支持アーム係止部を形成しておき、この支持アーム係止部に支持アームに穿設されるフックピン挿通孔を掛着させておくことで、フックの鉛直方向上下動に同調してインターロックが鉛直方向に上下動するよう構成している。なお、支持アーム係止部をフックのフックピン挿通孔の周縁の鉛直上方側にのみ形成することで、フックがフックピンを基軸に回動動作する際に自動的にフックから支持アームが落下するので、フックの回動動作に連動して支持アームが回動したり、支持アームによりフックの回動動作が妨げられることはない。
なお、上記以外の部材による作用については、請求項1に記載のそれぞれの部材の作用と同じである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインターロック付フック解放構造であって、フックの係止用端部とカムレバーピンとの間にロックピースが介設され、係止用端部とロックピースとは、第2の嵌合構造を形成し、ロックピースは、インターロックピンにより回動可能に軸支され、カムレバーピンは、ロックピースの回動動作を規制することを特徴とするものである。
上記構成の請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用に加えて、フックの係止用端部とカムレバーピンとの間に介設されるロックピースは、フックの係止用端部と第2の嵌合構造を形成することで、必要時にフックの回動動作を確実に規制するという作用を有する。
また、ロックピースは、フックの係止用端部と接触状態にある場合に、フックに作用するトルクをカムレバーピンに伝達して、カムレバーピンの回動動作をフックに作用するトルクを利用して間接的に規制するという作用を有する。
請求項4記載の発明である救命艇一斉離脱装置は、救命艇と、この救命艇に設けられる少なくとも2つの請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインターロック付フック解放構造と、全てのインターロック付フックにおけるカムレバーピンを同時に回動操作させる操作部と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の請求項4記載の発明において、救命艇は、船艇が航行不能になった場合に、船艇から人員を避難させるという作用を有する。また、インターロック付フック解放構造は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ作用を有する。さらに、操作部は、全てのインターロック付フックにおけるカムレバーピンを同時に回動操作させるという作用を有する。
本発明の請求項1,2に記載されるインターロック付フック解放構造では、フックに荷重が作用している状態では、フック及びそれを支持するフックピンとともに、インターロック(ロック部材及び支持アーム)が鉛直上方側に引き上げられて、ロック部材とカムレバーピンとの間に嵌合構造が形成されて、カムレバーピンの回動動作が規制される。この結果、カムレバーピンとフックの係止用突部とが直接的又は間接的に接触した状態となり、フックの回動動作が規制される。つまり、フックに吊り下げによる荷重が作用している場合は、フックを解放してフックに掛着される吊りワイヤを離脱させることができない。
他方、浮力が作用してフックに荷重が作用しなくなるか、あるいは、フックに作用する荷重が十分に小さくなると、フック及びそれを支持するフックピン、並びに、インターロックが鉛直下方側に移動して、ロック部材とカムレバーピンとによる嵌合構造が形成されなくなり、カムレバーピンの回動動作が可能になる。この時、カムレバーピンが人為的に回動動作されると、カムレバーピンとフックの係止用突部との直接的又は間接的な接触状態が解除されて、フックが回動動作する。つまり、フックに十分な浮力が作用している状態では、フックを解放してフックに掛着される吊りワイヤを離脱させることができる。
さらに、インターロックを構成するロック部材とカムレバーピンとの間に嵌合構造が形成されている状態であっても、すなわち、インターロックによりカムレバーピンの回動動作が規制されている場合でも、安全ピンを取り外すことで、ロック部材によるカムレバーピンの回動動作の規制を解除することができる。この場合、安全ピンを取り外すことで、ロック部材が自重によりインターロックピンを基軸に回動動作して、カムレバーピンからロック部材が離間し、この結果、カムレバーピンの回動動作の規制が解除される。そして、フックに十分な浮力が作用していれば、カムレバーピンの人為的な回動動作が可能になる。この場合、インターロックを手動で強制的に解除することができ、フックに掛着される吊りワイヤを離脱させることができる。
このような請求項1,2に記載の発明によれば、フックに作用する浮力の大きさに応じてインターロックの作動状態が自動的に切り替えられる。また、請求項1,2に記載の発明におけるインターロックは、十分な剛性を有する金属製のシンプルな形状の部品の組み合わせからなるので、耐候性に優れ、しかも、経時変化に伴う劣化(例えば、伸び等の変形)や機能の低下(例えば、吊りワイヤの離脱のタイミングの不一致等)が起こり難く、メンテナンスも容易である。
また、請求項1,2に記載の発明におけるインターロックは、その構造が極めてシンプルなので、誤作動や破損が起こり難く、救命艇一斉離脱装置に用いられる場合に、その安全性及び信頼性を大幅に向上させることができる。
また、請求項1,2に記載の発明においては、インターロックがロック部材と支持アームの2つの部材から構成され、これらの重なり部がインターロックピン及び安全ピンにより軸支されていることで、ロック部材と支持アームとを、必要に応じて一体のものとして動作さたり、各々独立して動作させることができる。
つまり、ロック部材と支持アームの重なり部に安全ピンを装着している状態では、ロック部材は、支持アームの鉛直方向上下動に同調して鉛直方向に上下動する。他方、安全ピンが取り外された状態では、ロック部材は、支持アームの動きに関わらず、自重によりインターロックピンを基軸に回動動作して、カムレバーピンから離間する。つまり、カムレバーピンとロック部材との間に嵌合構造が形成されなくなり、結果として、ロック部材によるカムレバーピンの周方向への回動動作の規制が解除される。
このように、請求項1,2に記載の発明では、浮力の状態に応じてインターロックの作動状態が自動的に切り替わるだけでなく、必要時に(非常時に)、インターロックを簡単な手動操作により容易かつ確実に解除することができる。
この場合、万一、請求項1,2に記載の発明におけるインターロックの作動機構に不具合が生じた場合でも、インターロックを解除することができず、フックから吊りワイヤを離脱させることができないというような事態が起こるのを確実に防止することができる。
よって、請求項1,2に記載の発明を用いる場合の安全性を一層向上させることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ発明に加えて、フックの係止用突部と、カムレバーピンとの間にロックピースが介設されることで、係止用突部を保持する際の安定性が向上する。
この結果、より信頼性と安全性の高いインターロック付フック解放構造を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、インターロック付フック解放構造に十分な浮力が作用している場合にのみフックの解放操作を行うことができ、しかも、必要時(非常時)に簡単な手動操作で容易にかつ確実にインターロックを解除することができる高性能な救命艇一斉離脱装置を提供することができる。
つまり、請求項4に記載の救命艇一斉離脱装置によれば、救命艇に備えられるインターロック付フック解放構造のいずれかにおいて不具合が生じ、インターロック付フック解放構造に十分な浮力が作用してもインターロックが解除されない場合に、簡単な人為的操作により確実にインターロックを解除できるので、安全にかつ確実に救命艇を本船から離脱させることができる。
本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造および救命艇一斉離脱装置の概念図である。 (a)本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の正面図である。(b)本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の側面図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック及び関連パーツの配置を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造における通常時の作動機構を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造における通常時の作動機構を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造における通常時の作動機構を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造における通常時の作動機構を示す側面図である。 本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の非常時における作動機構を示す側面図である。 本発明の実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造の側面図である。 (a)本発明の実施の形態の変形例に係るフックの側面図である。(b)本発明の実施の形態の変形例に係るフックの正面図である。 本発明の実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造の通常時の作動機構を示す側面図である。 従来技術に係るフック解放構造および救命艇一斉離脱装置の概念図である。 従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。 従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。 従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。 従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。 従来技術に係るフック解放構造の作動機構を示す側面図である。
以下に、本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造およびそれを用いた救命艇一斉離脱装置について図1乃至図11を参照しながら詳細に説明する。
なお、本発明に係るインターロック付フック解放構造は、先の図12乃至図17に示した従来技術に係るフック解放構造21に、新たな部品を加え、その構造を一部変更して改良したものであり、その多くが従来技術に係るフック解放構造21を構成する部品と共通している。このため、ここでは従来技術に係るフック解放構造21との構造上の相違点に重点をおいて説明する。
まず、図1乃至図3を参照しながら本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造およびそれを用いた救命艇一斉離脱装置の概要について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造および救命艇一斉離脱装置の概念図である。また、図2(a)は本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の正面図であり、図2(b)は本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の側面図である。さらに、図3は本発明の実施の形態に係るインターロック及び関連パーツの配置を示す斜視図である。なお、図12乃至図17に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1に示すように、本実施の形態に係る救命艇一斉離脱装置100は、必要に応じて推進装置17を備えた救命艇16と、この救命艇16の少なくとも船首側及び船尾側のそれぞれに救命艇16に一体に固設されてなるインターロック付フック解放構造1Aと、これらのカムレバーピン5を、同時に回動操作するための操作レバー20を備える操作部18と、により構成されるものである。なお、カムレバーピン5と操作部18との間には、操作用ワイヤ19が介設されている。
このような救命艇一斉離脱装置100においては、インターロック付フック解放構造1Aにおけるフック4に、吊りワイヤ15を掛着することで、救命艇16が吊り下げ保持され、この状態で水面上に救命艇16が搬送される。
ここでは先の図13に示す従来技術に係るフック解放構造21と対比しながら本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの構造について説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aは、インターロック6を備えている点、及び、このインターロック6を吊り下げ保持するフックピン3及びそれに軸支されるフック4が、一対のサイドプレート2に対して鉛直方向に上下動するよう構成される点が大きく異なっている。
本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの詳細な構造について図2,3,13を参照しながらさらに詳細に説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aは主に、鉤状部4bの鉛直下方側に係止用突部4aを備えるフック4(図13の従来技術と共通)と、このフック4の左右両側面のそれぞれに配設される一対のサイドプレート2(図13の従来技術と共通)と、フック4及び一対のサイドプレート2を貫通しながら挿設されるフックピン3(図13の従来技術と共通)と、このフックピン3を基軸にしたフック4の係止用突部4aの回動動作を直接又は間接的に規制するカムレバーピン5(図13の従来技術と一部共通、図3を参照)と、このカムレバーピン5の周方向への回動動作を規制するインターロック6(図3を参照)と、により構成されている。
なお、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおいて、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eは、長孔ではない。
また、本願発明では、ピン(例えば、フックピン3やインターロックピン9等)を挿通させるための挿通孔を「長孔」にすることで、この挿通孔内において、他のパーツを軸支するピンを単に挿通させて保持するだけでなく、この挿通孔内において、ピン自体を所望に移動させることが可能になる。あるいは、このピンに軸支されるパーツを、その挿通孔の範囲内でピンを基軸に移動可能にできる。
なお、本願発明では、上述のような作用を有するピン挿通用孔として、「長孔」を利用する場合を例に挙げて説明しているが、同様の作用を発揮させることができるのであれば、この「長孔」の形態は必ずしも長孔状に特定される必要はない。
より具体的には、「長孔」に代えて、ピンの軸方向断面形状と同じ形状を有し、かつ、より大きな径を有する形状のピン挿通用孔を用いることもできる。
また、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおけるインターロック6は、図2,3に示すように、カムレバーピン5の胴部において、カムレバーピン5と嵌合構造を形成して、カムレバーピン5のその周方向への回動動作を規制するロック部材7と、このロック部材7を、フックピン3の鉛直方向上下動に同調させて上下動させる支持アーム8と、この支持アーム8とロック部材7との重なり部及び一対のサイドプレート2を貫通しながら挿設されるインターロックピン9(図13の従来技術におけるロックピースピン23に相当)と、インターロック6と支持アーム8との重なり部を貫通して挿設され、かつ、インターロックピン9を基軸とするロック部材7の回動動作を規制する安全ピン10とにより構成されている。
さらに、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aでは、図2に示すように、フックピン3を挿通させるために一対のサイドプレート2に穿設されるフックピン挿通孔2aを長孔にすることで、この長孔内におけるフックピン3の鉛直方向への上下動を可能にしている。このことは、フックピン3に軸支されるフック4も、フックピン3の鉛直方向上下動に同調して上下動可能であることを意味している。
なお、後段において詳細に説明するが、実際にはフック4の鉛直方向上下動に同調してフックピン3が上下動する。
このとき、このフックピン3に軸支される支持アーム8も、フックピン3の鉛直方向上下動に同調して上下動する。
さらに、ロック部材7は、インターロックピン9を基軸に回動可能に取設されているが(図2,3を参照)、ロック部材7及び支持アーム8の重なり部で、かつ、インターロックピン9の挿設位置とは異なる位置に安全ピン10が挿設されることで、ロック部材7のインターロックピン9を基軸にする回動動作が規制されて、支持アーム8とロック部材7とが一体となって上下動する。
なお、この安全ピン10を抜き取ることで、支持アーム8とロック部材7との連動を解除することができる。
さらに、図2,3に示すように、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおいては、インターロックピン9を挿通させるためにロック部材7及び支持アーム8の重なり部に穿設されるインターロックピン挿通孔7c,8cは、ともに長孔である。
本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aでは、図2,3に示すように、支持アーム8にインターロックピン9が挿通されているが、このインターロックピン9が挿通されるインターロックピン挿通孔8cが長孔なので、フックピン3の鉛直方向上下動に同調して、支持アーム8を鉛直方向に上下動させることができる。なお、インターロックピン挿通孔8cが長孔でないと、支持アーム8を鉛直方向に上下動させることができない。
また、これと同様に、ロック部材7に穿設されるインターロックピン挿通孔7cも長孔なので、支持アーム8の鉛直方向上下動に同調して、ロック部材7も鉛直方向に上下動させることができる。
また、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aは、図2,3に示すように、フック4の係止用突部4aとカムレバーピン5の間にロックピース13(図13の従来技術と共通)を備えていてもよい。なお、このロックピース13は、インターロックピン9により回動可能に軸支されている。
このようなロックピース13は、図2,3に示すように、嵌合用凹部13aを備えており、この嵌合用凹部13a内にフック4の係止用突部4aを収容することで、フック4との嵌合構造が形成されて、係止用突部4aのフックピン3を基軸とした回動動作が規制される。
なお、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aが、ロックピース13を備える場合は、係止用突部4aの回動動作が、カムレバーピン5により間接的に規制される場合に相当する。
また、特に図示しないが、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aでは、ロックピース13を用いることなくカムレバーピン5で直接フック4の係止用突部4aの回動動作を規制することもできる。この場合は、カムレバーピン5とフック4の係止用突部4aとの間に嵌合構造を形成すればよい。このようなケースは、カムレバーピン5によりフック4の係止用突部4aの回動動作が直接規制される場合に相当する。
本実施の形態においてはロックピース13を備える場合を例に挙げてその作用、効果を説明しているが、ロックピース13を備えなくとも支障なく同等の効果を発揮させることができる。
ここで、図3を参照しながら本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおけるインターロック6の構造についてさらに詳細に説明する。
図3に示すように、支持アーム8は、一対の細長平板状の支持アーム本体8aからなり、その鉛直上方側にフックピン3を挿通させるためのフックピン挿通孔8bが、その鉛直下方側にはインターロックピン9を挿通させるためのインターロックピン挿通孔8c(長孔)が、それぞれ穿設されている。なお、フックピン挿通孔8bは、長孔でない。
さらに、図2に示すように、支持アーム本体8aには、その鉛直下方側でかつその周縁近傍に、安全ピン10を挿通させるための安全ピン挿通孔8dが穿設されている。なお、この安全ピン挿通孔8dに挿通される安全ピン10は、インターロック付フック解放構造1Aの外部から手動で容易に挿脱できる位置に挿設されている必要がある。このため、安全ピン挿通孔8dは、支持アーム8をフックピン3に掛着した場合に、サイドプレート2から露出する位置に穿設されている。なお、ロック部材7に穿設される安全ピン挿通孔7eについても同様である。
さらに、ロック部材7は、図3に示すように、支持アーム本体8aの鉛直下方側の領域と重なり部を形成しながら配設される一対のロック部材本体7aと、それぞれのロック部材本体7aから水平方向に延設される突起状の嵌合端7bと、これら嵌合端7b,7bの端部を一体に連結する連結部材7dとにより構成されている。なお、ロック部材7を構成する一対の嵌合端7b,7bを連結するための連結部材7dは、錘としても機能するものであり、ロック部材7を、インターロックピン9を基軸に回動動作させる際に、その動作を確実にかつスムースにするという作用を有する。
また、ロック部材7は、ロック部材本体7aの胴部にインターロックピン9を挿通させるためのインターロックピン挿通孔7c(長孔)を備えている。なお、支持アーム本体8aに穿設されるインターロックピン挿通孔8cと、ロック部材本体7aに穿設されるインターロックピン挿通孔7cとは連通しているが、インターロックピン挿通孔8c(長孔)の穿設位置と、インターロックピン挿通孔7c(長孔)の穿設位置を、完全に一致させる必要はない。
他方、安全ピン10を挿通させるために支持アーム本体8a及びロック部材本体7aに穿設される安全ピン挿通孔8d,7eはともに、その穿設位置が一致するよう形成された連穿孔であり、かつ、この連穿孔内に安全ピン10の外形が内接(略内接する場合も含む)するよう構成されている。
この場合、安全ピン挿通孔8d,7eに安全ピン10を挿通することで、支持アーム本体8aに対するインターロックピン9を基軸にしたロック部材7の回動動作が規制される。
さらに、図3を参照しながら本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおいて、インターロック6によりカムレバーピン5の周方向への回動動作が規制される仕組みについて詳細に説明する。
図3に示すように、カムレバーピン5の胴部には切欠き5bが形成されている。このため、カムレバーピン5をその中心軸を基軸に周方向に回動させて、切欠き5bをロックピース13の真下に配置すると、カムレバーピン5上に載置されカムレバーピン5に係止していたロックピース13は支えを失って切欠き5b内を落下する。つまり、ロックピース13を、インターロックピン9を基軸に回動させることが可能になる。このように、カムレバーピン5により、ロックピース13の回動動作を所望に規制することができる。
また、図3には示されていないが、カムレバーピン5は、その胴部にロック部材7の嵌合端7bと嵌合構造を形成するための別の嵌合用凹部5cを、切欠き5bと一体に又は別に備えている(図2(a)を参照)。つまり、カムレバーピン5に形成される切欠き5b及び嵌合用凹部5cは、一体に形成されてもよいし、それぞれ独立して形成されていてもよい。
そして、図2に示すように、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aでは、カムレバーピン5の胴部に形成される嵌合用凹部5c内に、ロック部材7の嵌合端7bが収容されている場合は、カムレバーピン5の反時計回りの方向への回動動作が妨げられるので、結果的に、ロックピース13及び係止用突部4aの回動動作が妨げられることになる。
上述のような本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aによれば、後述するように図1に示す救命艇16に十分な浮力が作用する場合にのみ、カムレバーピン5の周方向への回動操作を可能にすることができる。そして、この状態で操作部18の操作レバー20を操作することで、インターロック付フック解放構造1Aから吊りワイヤ15を一斉離脱させることができる。
また、万一、救命艇16に十分な浮力が作用しているにも関わらず、インターロック6のロック部材7がカムレバーピン5から離間せず、フック4を回動させてワイヤ15を離脱させることができない場合でも、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aによれば、後述するように簡単な手動操作によりカムレバーピン5からロック部材7を確実に離間させることができる。
この結果、非常時においても、インターロック付フック解放構造1Aから吊りワイヤ15を確実に離脱させることができるという独自の効果を有する。
以下に、図4乃至図7を参照しながら、通常時に、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aから吊りワイヤ15が離脱されるプロセスについて詳細に説明する。
図4乃至図7はいずれも本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造における通常時の作動機構を示す側面図である。なお、図12乃至図17及び図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4は、先の図1において、救命艇16がインターロック付フック解放構造1Aを介して吊りワイヤ15により吊り下げられている状態(フック4に荷重が作用している状態)のインターロック付フック解放構造1Aを拡大して示した側面図である。
図4に示すように、インターロック付フック解放構造1Aのフック4に救命艇16の荷重が作用している場合は、フック4及びそれに挿設されるフックピン3が、サイドプレート2に穿設されるフックピン挿通孔2aの上端まで移動した状態になる。
そして、このようなフックピン3の動作に連動して、フックピン3に掛着保持される支持アーム8もフックピン3とともに鉛直上方に引き上げられる。
この時、支持アーム8とロック部材7の重なり部に穿設される安全ピン挿通孔8d,7eに安全ピン10が挿設されているので、ロック部材7は支持アーム8に固設された状態となり、ロック部材7は支持アーム8とともに鉛直上方側に引き上げられる。つまり、ロック部材7の嵌合端7bが、カムレバーピン5の嵌合用凹部5cに収容された状態となる。この場合、カムレバーピン5は、ロック部材7の嵌合端7bが障害となって、その周方向に回動動作させることができなくなる。
このことは、フック4に荷重が作用している状態では、カムレバーピン5を周方向に回動動作させることができず、吊りワイヤ15をフック4から解放させることができないことを意味している。
つまり、救命艇16が吊りワイヤ15により吊り下げられている状態では、カムレバーピン5をその周方向に回動させることができず、フック4から吊りワイヤ15を離脱させることができない。このことは、カムレバーピン5が誤操作されないことを意味し、救命艇16の落下事故は起こらない。
この後、先の図1に示す救命艇16が水面上に着水して、救命艇16に十分な浮力が作用すると、フック4には荷重が作用しなくなるか、あるいは、フック4に作用する荷重が極めて小さい状態となる。
この場合、インターロック付フック解放構造1Aのフック4、フックピン3及びインターロック6のそれぞれは、図5において点線で示す位置から実線及び二点鎖線で示す位置に移動する。つまり、インターロック付フック解放構造1Aのフック4、フックピン3及びインターロック6のそれぞれが鉛直下方側に移動する。
この結果、図5に示すように、カムレバーピン5の嵌合用凹部5cからロック部材7の嵌合端7bが離間して、カムレバーピン5をその周方向に回動動作させることが可能になる。
そして、図6に示すように、カムレバーピン5に一体に取設されるレバー5aを、先の図1に示す操作部18の操作レバー20を操作して、カムレバーピン5を反時計回りに、例えば、45°回動させると、カムレバーピン5に形成される切欠き5b(図3を参照)が、ロックピース13の真下に配設される。つまり、カムレバーピン5上に載置されるようにして係止されていたロックピース13が、支え(カムレバーピン5)を失った状態になる。
この結果、図7に示すように、ロックピース13はカムレバーピン5に形成される切欠き5b内を通過するようにインターロックピン9を基軸に回動動作し、この動作に伴い、ロックピース13の嵌合用凹部13a内に収容されて係止されていたフック4の係止用突部4aが、嵌合用凹部13aから解放される。
この後は、先の図17に示す場合と同様に、フック4がフックピン3を基軸に時計回り方向に回動して、最終的にフック4から吊りワイヤ15が離脱する。
つまり、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aによれば、救命艇16が水面上に着水して十分な浮力が作用する場合にのみ、つまり、フック4に荷重が作用しないか、あるいは、フック4に作用する荷重が所望以下になった場合にのみ、カムレバーピン5を操作することが可能になり、この操作により吊りワイヤ15をフック4から離脱させることができる。
よって、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aによれば、フック4に十分な浮力が作用していない場合に、すなわち、救命艇16が水面上にしっかり着水していない状態で、フック4から吊りワイヤ15が離脱することがないので、緊急避難時に救命艇16の落下事故の発生を確実に防止することができる。つまり、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aを用いる場合の安全性を大幅に向上させることができる。
また、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの場合は、インターロック6を構成する部材が全て十分な強度と剛性を有する固形状の部品により構成されているので、経時変化に伴いインターロック6を構成する部品が劣化したり、変形する恐れが極めて小さい。このため、信頼性の高いインターロック付フック解放構造を提供することができるという独自の効果も有する。
また、このことは本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aのメンテナンスが容易であることを意味している。
本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aを用いる場合は、上述のようにその構造が極めてシンプルであるため、誤作動等が起こるリスクは極めて少ないが、それでも、十分な浮力が作用しているにも関わらずインターロック6が解除されないという事態が起こらないとは言い切れない。
このような非常時に備えるために、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aでは、インターロック6が解除されるべき状況下でありながら、インターロック6が解除されない場合であっても、必要に応じて簡単な手動操作によりインターロック6を容易かつ確実に解除するための構造を備えている。この点について図4,8を参照しながら詳細に説明する。
図8は本発明の実施の形態に係るインターロック付フック解放構造の非常時における作動機構を示す側面図である。なお、図12−17,1−7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
また、ここでいう非常時とは、例えば、何らかの事情により救命艇16に十分な浮力が作用しているにも関わらず、つまり、フック4が無負荷状態であるか、フック4に作用する荷重が極めて小さい状態であるにも関わらず、カムレバーピン5からロック部材7が離間せず、カムレバーピン5をその周方向に回動操作することができない状況である。
このような場合は、図4に示す状態において、ロック部材7と支持アーム8の重なり部に挿設される安全ピン10を抜き取ればよい。
この場合、図8に示すように、支持アーム8にロック部材7が固設された状態が解除され、ロック部材7は、自重によりインターロックピン9を基軸に反時計回りに回動して、ロック部材7の嵌合端7bがカムレバーピン5の胴部から離間する。つまり、図8において点線で示す位置に配置されていたロック部材7が、図8中において二点鎖線で示す位置に移動する。
この操作により、カムレバーピン5の周方向への回動操作が可能になる。従って、レバー5aを手動操作することで、カムレバーピン5によるロックピース13の回動規制状態を解除することができる。
この結果、先の図7,図17に示すようなプロセスを経て、フック4から吊りワイヤ15が離脱する。
したがって、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aによれば、非常時に簡単な手動操作でインターロック6を確実に解除できるインターロック付フック解放構造を提供できるという独自の効果を有する。
なお、意図せず安全ピン10の外れが起きた場合でも、フック4に十分な浮力が作用しない限り、カムレバーピン5を回動操作することはできないので、安全ピン10の取外しが直ちにカムレバーピン5の回動操作を可能にするわけではない。しかしながら、万一の事態に備えて、安全ピン10の周囲にカバーを被覆しておき、非常時にこのカバーを破壊して安全ピン10の取外しを行うよう構成しておくことで(図示せず)、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの安全性を一層高めることができる。
次に、図9乃至図11を参照しながら本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造について説明する。
図9は本発明の実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造の側面図である。また、図10(a)は本発明の実施の形態の変形例に係るフックの側面図であり、図10(b)は本発明の実施の形態の変形例に係るフックの正面図である。さらに、図11は本発明の実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造の通常時の作動機構を示す側面図である。なお、図12乃至図17及び図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bは、上述のインターロック付フック解放構造1Aと同じ作用、効果を奏するものであるが、その構造とインターロック6の作動原理が異なっている。
ここでは、上述のインターロック付フック解放構造1Aとの相違点に重点をおいて説明する。
図9に示すように、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bは、先の本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aにおけるフックピン3が、フックピン挿通孔4e内を鉛直方向に上下動することに代えて、フックピン3を不動にしつつ、フック4が鉛直方向に上下動するように構成したものである。さらに、このフック4の鉛直方向上下動に同調して、インターロック6が鉛直方向に上下動するよう構成したものである。
このために本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bは、先の本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの一対のサイドプレート2に穿設されるフックピン挿通孔2aを長孔にすることに代えて、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eを長孔にしている。なお、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bでは、一対のサイドプレート2に穿設される2aは、長孔ではない。
このような構成を備えることで、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bは、フック4に荷重が作用した場合に、フックピン3が不動でありながら(ただし、フックピン挿通孔2a内のクリアランスの範囲内におけるフックピン3の上下動は含まない。)、フックピン挿通孔4eの範囲内でフック4を鉛直方向に上下動させることができる。
また、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bでは、フックピン3が鉛直方向に上下動しないので、フックピン3に支持アーム8を掛着保持させただけでは、フック4の鉛直方向上下動に同調させて支持アーム8を上下動させることはできない。
このような事情に鑑み、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bでは、図10(a)及び図10(b)に示すように、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eの鉛直上方側の周縁に、フック4の左右それぞれの側面上に突出する支持アーム係止部4fを設けておき、この支持アーム係止部4f上に支持アーム8のフックピン挿通孔8bを掛着保持させることで、フック4の鉛直方向上下動に同調させて支持アーム8を上下動させている。
なお、フック4の回動動作の妨げにならないよう、支持アーム8に穿設されるフックピン挿通孔8bは、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eよりも大きく設定しておく必要がある。
また、支持アーム係止部4fは、フック4に穿設されるフックピン挿通孔4eの鉛直上方側の周縁にのみ突設されているので、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bにおいて、フック4がフックピン3を基軸に回動動作する際に、支持アーム8は自動的に支持アーム係止部4fからフックピン3上に落下する。この結果、フック4の回動時に、フック4に掛着保持される支持アーム8を含むインターロック6が、フック4とともに回動したり、フック4の回動動作を妨げることはない。
なお、本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bにおけるその他の部材の作動機構は、先に述べた本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aを構成する各部材と同じである。
ここで、図9及び図11を参照しながら本実施の形態の変形例に係るインターロック付フック解放構造1Bにおいて、フック4から吊りワイヤ15が離脱するプロセスについて説明する。
フック4に吊りワイヤ15が掛着されて救命艇16が吊り下げられた状態のインターロック付フック解放構造1Bを示したものが図9である。すなわち、図9に示すフック4に、荷重が作用している状態である。別の表現をすると、図1に示すインターロック付フック解放構造1Aが、図9に示すインターロック付フック解放構造1Bに置き換えられた状態である。
この場合、フック4が、吊りワイヤ15によりフックピン3を基軸に鉛直上方側に引き上げられる一方、この動作に同調して、フック4の支持アーム係止部4fに掛着保持される支持アーム8を含むインターロック6が鉛直上方側に引き上げられる。
この場合、インターロック6を構成するロック部材7の嵌合端7bが、カムレバーピン5の嵌合用凹部5cに収容された状態となり、カムレバーピン5の周方向への回動動作が規制される。
この状態から、フック4に吊り下げられている救命艇16が水面上へ着水して、浮力が作用すると、フック4は無負荷状態、あるいは、フック4に作用する荷重(負荷)が極めて少ない状態になる。
この状態のインターロック付フック解放構造1Bを示したものが図11である。
図11に示すように、フック4が無負荷状態になる、あるいは、フック4に作用する荷重が著しく低下すると、フック4は、図11中の点線で示す位置から、実線で示す位置に移動する。
すなわち、フック4が、フックピン3を基軸に、フックピン挿通孔4eの範囲内で鉛直下方側に移動する。この動作に同調して、フック4の支持アーム係止部4fに掛着保持される支持アーム8を含むインターロック6も鉛直下方側に移動する。そして、この動作に伴い、カムレバーピン5の嵌合用凹部5cからロック部材7の嵌合端7bが離間して、カムレバーピン5の周方向への回動動作が可能になる。
この後は、先の本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの場合と同様に、カムレバーピン5を回動操作することで、ロックピース13からフック4の係止用突部4aが解放されて、フック4が時計回り方向に回動して、フック4から吊りワイヤ15が離脱する。
また、非常時には、先の図9に示す状態において、インターロック付フック解放構造1Bのインターロック6に挿設される安全ピン10を抜き取ることで、前述した本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1Aの場合と同様に、カムレバーピン5からロック部材7を容易にかつ確実に離間させることができる。これにより、カムレバーピン5の回動動作が可能になり、フック4から吊りワイヤ15を離脱させることができる。
最後に、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1A,1Bの技術内容について補足する。
本発明に係るインターロック付フック解放構造1A,1Bでは、インターロック6、及び、このインターロック6とカムレバーピン5との嵌合構造を、一対のサイドプレート2の内側に収容している場合を例に挙げて説明しているが、これらは一対のサイドプレート2の外側に配設してもよい。この場合も、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1A,1Bと同様の作用、効果を発揮させることができる。
また、インターロック6、及び、このインターロック6とカムレバーピン5との嵌合構造を、一対のサイドプレート2の内側に収容する場合は、インターロック6を構成する支持アーム8とロック部材7との重なり部の厚みを薄くする必要がある。この場合、ロック部材7と支持アーム8の重なり部分の厚みをともに薄くし、これらを嵌め合せるように重ねる構造としてもよい(先の図3を参照)。
この場合、インターロック6をコンパクトにできるというメリットを有する。また、インターロック6が一対のサイドプレート2内に収容されることで、サイドプレート2に遮られて、インターロック6及びその取付け構造部分にその動作を妨げるような異物が入り込むのを防止できるというメリットを有する。この結果、インターロック6の作動時における安全性を一層向上できる。
さらに、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1A,1Bを採用する場合で、かつ、インターロック6を一対のサイドプレート2の間に収容する場合は、支持アーム本体8aのサイドプレート2と対向する側の面におけるフックピン挿通孔8b,8bの周囲に、支持アーム本体8aの厚みを厚くしてなる肉厚部8eを形成しておくとよい。
この場合、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1A,1B構成する各部品間に、グリス等の潤滑剤を塗布した場合に、サイドプレート2の内側面に支持アーム8が固着するのを防止できるというメリットがある。これにより、インターロック6の誤動作や不作動を防止することができるので、本実施の形態に係るインターロック付フック解放構造1A,1Bを使用する場合の安全性と信頼性を一層向上できる。
以上説明したように本発明は、フックに作用する荷重の大きさ(浮力の大きさ)に応じてその作動と解除が自動で切り替えられるインターロックを備え、かつ、このインターロックが何らかの原因で解除されない場合に簡単な手動操作により容易かつ確実に解除することのできるインターロック付フック解放構造およびそれを用いた救命艇一斉離脱装置に関するものであり、船舶における避難設備に関する技術分野において利用可能である。
1A,1B…インターロック付フック解放構造 100…救命艇一斉離脱装置 2…サイドプレート 2a,2a…フックピン挿通孔 2b…ストッパー 3…フックピン 4…フック 4a…係止用突部 4b…鉤状部 4c…ストッパー 4d…幅広部4e,4e…フックピン挿通孔 4f…支持アーム係止部 5…カムレバーピン 5a…レバー 5b…切欠き 5c…嵌合用凹部 6…インターロック 7…ロック部材 7a…ロック部材本体 7b…嵌合端 7c…インターロックピン挿通孔 7d…連結部材 7e…安全ピン挿通孔 8…支持アーム 8a…支持アーム 8b,8b…フックピン挿通孔 8c…インターロックピン挿通孔 8d…安全ピン挿通孔 8e…肉厚部 9…インターロックピン 10…安全ピン 11…リンクストッパー 11a…錘 12…リンクストッパーピン 13…ロックピース 13a…嵌合用凹部 14…デッキプレート 15…吊りワイヤ 16…救命艇 17…推進装置 18…操作部 19…操作用ワイヤ 20…操作レバー 21…フック解放構造(従来技術) 22…浮力検知手段 23…ロックピースピン 24…救命艇一斉離脱装置(従来技術)

Claims (4)

  1. 鉤状部の鉛直下方側に係止用突部を備えるフックと、このフックの左右両側面のそれぞれに配設される一対のサイドプレートと、前記フック及び一対の前記サイドプレートを貫通しながら挿設されるフックピンと、前記フックピンを基軸にした前記係止用突部の回動動作を直接又は間接的に規制するカムレバーピンと、このカムレバーピンの周方向への回動動作を規制するインターロックと、を有し、
    前記インターロックは、前記カムレバーピンの胴部において嵌合構造を形成してその周方向への回動を規制するロック部材と、このロック部材を前記フックピンの上下動に同調させて上下動させる支持アームと、前記ロック部材と前記支持アームの重なり部と一対の前記サイドプレートとを貫通しながら挿設されるインターロックピンと、前記ロック部材と前記支持アームとの重なり部を貫通して挿設されかつ前記インターロックピンを基軸とする前記ロック部材の回動動作を規制する安全ピンと、を備え、
    前記フックピンを挿通させるために前記一対の前記サイドプレートに穿設されるフックピン挿通孔は長孔であり、
    前記インターロックピンを挿通させるために前記ロック部材と前記支持アームの重なり部に穿設されるインターロックピン挿通孔はともに長孔である、ことを特徴とするインターロック付フック解放構造。
  2. 鉤状部の鉛直下方側に係止用突部を備えるフックと、このフックの左右両側面のそれぞれに配設される一対のサイドプレートと、前記フック及び一対の前記サイドプレートを貫通しながら挿設されるフックピンと、前記フックピンを基軸にした前記係止用突部の回動動作を直接又は間接的に規制するカムレバーピンと、このカムレバーピンの周方向への回動動作を規制するインターロックと、を有し、
    前記インターロックは、前記カムレバーピンの胴部において嵌合構造を形成してその周方向への回動を規制するロック部材と、このロック部材を前記フックの上下動に同調させて上下動させる支持アームと、前記ロック部材と前記支持アームの重なり部と一対の前記サイドプレートとを貫通しながら挿設されるインターロックピンと、前記ロック部材と前記支持アームとの重なり部を貫通して挿設されかつ前記インターロックピンを基軸とする前記ロック部材の回動動作を規制する安全ピンと、を備え、
    前記フックピンを挿通させるために前記フックに穿設されるフックピン挿通孔は長孔であり、
    前記フックピン挿通孔の鉛直上方側の周縁は、前記フックの左右それぞれの側面上に突出してなる支持アーム係止部を具備し、
    前記インターロックピンを挿通させるために前記ロック部材と前記支持アームの重なり部に穿設されるインターロックピン挿通孔はともに長孔であり、
    前記支持アーム係止部上に前記支持アームが掛着保持される、ことを特徴とするインターロック付フック解放構造。
  3. 前記フックの前記係止用端部と前記カムレバーピンとの間にロックピースが介設され、
    前記係止用端部と前記ロックピースとは第2の嵌合構造を形成し、
    前記ロックピースは、前記インターロックピンにより回動可能に軸支され、
    前記カムレバーピンは、前記ロックピースの回動動作を規制することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインターロック付フック解放構造。
  4. 救命艇と、この救命艇に設けられる少なくとも2つの請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインターロック付フック解放構造と、全ての前記インターロック付フックにおける前記カムレバーピンを同時に回動操作させる操作部と、を有することを特徴とする救命艇一斉離脱装置。
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