JP6153839B2 - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性材料を用いて押出成形されたフィルムを備えた空気入りタイヤに関するものである。
空気入りタイヤの内側面には、タイヤの空気圧を一定に保持するために空気透過抑制層としてインナーライナーが設けられている。かかるインナーライナーは、一般に、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどの気体が透過しにくいゴム層で構成されているが、タイヤの軽量化のため、薄肉化が可能な樹脂フィルムの使用が検討されている。
例えば、特許文献1には、インフレーション成形法により円筒状に形成した熱可塑性エラストマーフィルムをインナーライナーに用いることが提案されており、Tダイ押出法により得られたフィルムに対して耐久性に優れることが開示されている。また、特許文献2には、インフレーション成形法により破断強度のタイヤ幅方向と周方向の比を1に近づけて、タイヤの耐久性を向上することが開示されている。このように、インフレーション成形法を用いれば、配向の小さいフィルムを作製することができ、耐久性を向上することが容易であるが、Tダイ押出法によるフィルムを用いた場合、耐久性を向上することが困難であった。
なお、特許文献3には、インナーライナーを第1層と第2層との積層構造とし、第1層の弾性率の配向方向と第2層の弾性率の配向方向とを交差させることが提案されている。しかしながら、この文献は、カレンダーロールによってシート状に加工されたゴムシートを、配向方向を交差させて2層構造にて設けることにより、タイヤの撓み変形に対して均等に歪みが生じることを狙ったものであり、熱可塑性材料からなるフィルムの設置角度を規定することによるタイヤの耐久性向上を示唆するものではない。
特開2006−315339号公報 特開2007−030691号公報 特開平11−059120号公報
本発明者は、上記の点に鑑みて検討していく中で、熱可塑性材料からなるフィルムの押出方向とタイヤ周方向との角度を変更することにより、タイヤの耐久性が変化することを見出した。
本発明は、Tダイ押出法により押出成形されたフィルムを用いたものでありながら、耐久性を向上することができる空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなる熱可塑性材料を用いてTダイ押出法によりフィルムを押出成形し、前記フィルムは押出方向における破断強度(TB1)に対する押出方向に垂直な方向における破断強度(TB2)の比(TB2/TB1)が0.7以下であり、得られたフィルムを、押出方向がタイヤ周方向に対して交差する方向となるように、サイドウォール部又はショルダー部を含むタイヤの少なくとも一部に設置して、空気入りタイヤを加硫成形するものである。
本発明によれば、押出成形されたフィルムを押出方向がタイヤ周方向に対して交差する方向となるようにタイヤに設置したことにより、タイヤの耐久性を向上することができる。
第1実施形態に係る空気入りタイヤの断面図である。 第1実施形態におけるタイヤ周方向とフィルムの押出方向との関係を示す概念図である。 第1実施形態におけるタイヤ荷重方向とフィルムの押出方向との関係を示す概念図である。 第2実施形態におけるタイヤ周方向とフィルムの押出方向との関係を示す概念図である。 比較例におけるタイヤ周方向とフィルムの押出方向との関係を示す概念図である。 比較例におけるタイヤ荷重方向とフィルムの押出方向との関係を示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の断面図である。図示するように、空気入りタイヤ1は、リム組みされる左右一対のビード部2,2と、該ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部3,3と、該一対のサイドウォール部3,3間に設けられた路面に接地するトレッド部4と、トレッド部4とその両側のサイドウォール部3,3との境界領域を構成する左右一対のショルダー部5,5とを備えてなる。
上記一対のビード部2,2には、それぞれリング状のビードコア6が埋設されている。有機繊維コードを用いたカーカスプライ7が、ビードコア6,6の周りを折り返して係止されるとともに、左右のビード部2,2間にトロイダル状に架け渡して設けられている。また、カーカスプライ7のトレッド部4における外周側には、スチールコードやアラミド繊維などの剛直なタイヤコードを用いた2枚の交差ベルトプライからなるベルト8が設けられている。
カーカスプライ7の内側にはタイヤ内面の全体にわたってインナーライナー9が設けられている。すなわち、インナーライナー9は、トレッド部4からその左右両側のショルダー部5,5及びサイドウォール部3,3を経てビード部2,2に至る、タイヤ内面の全体を覆うように設置されている。そして、本実施形態では、このインナーライナー9として、熱可塑性材料からなる耐空気透過性フィルムが用いられている。インナーライナー9は、図1中の拡大図に示すように、タイヤ内面側のゴム層であるカーカスプライ7の内面に貼り合わされており、より詳細には、カーカスプライ6のコードを被覆するトッピングゴム層の内面に貼り合わされている。
インナーライナー9を構成するフィルムの材料としては、各種の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを用いることができる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリルなどのポリニトリル系樹脂、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などのフッ素系樹脂、芳香族ポリイミド(PI)などのイミド系樹脂、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性の凍結相あるいは結晶相を形成するハードセグメント(硬質セグメント)と、ゴム弾性を示すソフトセグメント(軟質セグメント)とからなるブロック共重合体を用いることができる。例えば、ポリエステルをハードセグメントとするポリエステル系エラストマー、ポリアミドをハードセグメントとするポリアミド系エラストマー、ポリスチレンをハードセグメントとするポリスチレン系エラストマー、ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメントとするポリオレフィン系エラストマー、ハードセグメントにウレタン構造を持つポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、これらを1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、このようなブロック共重合体に対して柔軟性を付与するためにゴム成分をブレンドしてなる海島構造のものも、熱可塑性エラストマーとして用いることができる。更に、熱可塑性エラストマーとしては、上記熱可塑性樹脂とゴム成分をブレンドしてなる海島構造のものを用いてもよい。ここで、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)などのジエン系ゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴムなどのオレフィン系ゴムなどが挙げられる。また、このようなゴム成分を分散させた海島構造のものを用いる場合、フェノール系樹脂などの架橋剤を添加しておいて、ゴムを動的架橋(TPV)させてもよく、動的架橋により、分散相であるゴム成分の粒子サイズを小さくして柔軟性を向上することができる。
上記熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーには、充填剤や相溶化剤などの各種添加剤を配合することができる。熱可塑性エラストマーを構成するゴム成分についても同様である。これらを混合する際には、例えば、二軸押出機、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの各種混練機を用いて行うことができる。
一実施形態として、インナーライナー9には、熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)と少なくとも1種類のゴム(B)とを動的架橋してなる耐空気透過性フィルムが好ましく用いられる。
該耐空気透過性フィルムは、タイヤの軽量化効果を高めるために、空気透過係数が5×1013fm/Pa・s以下であることが好ましい。空気透過係数は、より好ましくは4×1013fm/Pa・s以下である。下限は特に限定されないが、事実上は0.5×1013fm/Pa・s以上である。ここで、空気透過係数は、JIS K7126−1「プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」に準じて、試験気体:空気、試験温度:80℃にて測定される値である。
該耐空気透過性フィルムは、追従性を増してタイヤ成形時の加工性を良好にするために、ヤング率が30〜300MPaであることが好ましい。ここで、ヤング率は、JIS K6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じて(ダンベル状3号形で打ち抜き)、フィルムの配向方向(押出方向)における応力−ひずみ曲線を得て、その初期ひずみ領域での曲線に対する接線の傾きから求められる。
該耐空気透過性フィルムは、タイヤ成形時における加工性を良好にするために、破断伸びが200%以上であることが好ましい。破断伸びはより好ましくは300%以上である。破断伸びの上限は特に限定されないが、通常は600%以下である。ここで、破断伸びは、JIS K6251の引張試験に準じて測定される、フィルムの配向方向(押出方向)における破断時の伸びである(ダンベル状3号形で打ち抜き)。
該耐空気透過性フィルムは、タイヤを加硫成形する際の不所望な変形を抑制するため、融点が170℃以上であることが好ましい。融点の上限は特に限定されないが、250℃以下であることが好ましい。ここで、融点は、JIS K7121のDSC(示差走査熱量計)法に準拠して測定される値である。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)は、特に限定されないが、融点が170℃以上、ヤング率が100〜400MPa、破断伸びが300%以上であることが好ましい。上記ゴム(B)は、特に限定されないが、ヤング率が50MPa以下、破断伸びが200%以上であることが好ましい。また、両成分の比は、特に限定されないが、質量比で、(A)/(B)=90/10〜40/60であることが好ましい。
上記インナーライナー9を構成するフィルムとしては、Tダイ押出法により押出成形されたものが用いられる。すなわち、上記熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなる熱可塑性材料を溶融混練し、得られた溶融物を、Tダイ(フラットダイとも称される)を取り付けた押出機を用いてフィルム化することにより、インナーライナーのための耐空気透過性フィルムが得られる。かかる押出成形自体は、従来一般的な押出技術を用いて行うことができる。フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、0.02〜2.0mmとすることができ、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
Tダイ押出法により成形されたフィルムは、押出方向に配向性を持ち、例えば、破断強度が押出方向において最大、押出方向に垂直な方向において最小となるような配向性を持つ。一実施形態として、押出方向における破断強度(TB1)に対する押出方向に垂直な方向における破断強度(TB2)の比(TB2/TB1)は0.8以下である。特に、この比TB2/TB1が0.7以下であるような大きな配向性を持つフィルムでは、タイヤの耐久性を向上することが困難となる。そこで、本実施形態では、押出成形されたフィルムを、インナーライナー部材として用いて、その押出方向がタイヤ周方向に対して垂直な方向となるようにタイヤに設置する。ここで、破断強度は、JIS K6251の引張試験に準じて測定される引張強さである(ダンベル状3号形で打ち抜き)。なお、上記の比TB2/TB1の下限は特に限定されないが、通常は0.6以上である。
詳細には、図2に示すように、フィルム10の押出方向12がタイヤ周方向14に対して垂直な方向となるように、フラットに押し出されたフィルム10の端部同士を接合することで円筒状に形成する。フィルム10の接合方法としては、特に限定されず、例えば、両端部の重ね合わせ部を、ヒートシールや超音波ウェルダー法で溶着したり、ゴムなどの接着剤を用いて接着したりすることで、接合することができる。
得られた円筒状フィルム10は、その周方向をタイヤ周方向14に向けた状態でタイヤに設置する。より詳細には、円筒状のフィルム10は、グリーンタイヤの成形時に、インナーライナー9を形成する部材として成形ドラムの外周に装着され、その上にカーカスプライ7を貼り付け、更にベルト8、トレッドゴム及びサイドウォールゴムなどの各タイヤ部材を貼り重ね、インフレートすることによりグリーンタイヤ(未加硫タイヤ)が作製され、該グリーンタイヤをモールド内で加硫成形することにより、空気入りタイヤ1が得られる。
得られた空気入りタイヤ1において、インナーライナー9は、フィルム10の配向方向(即ち、押出方向12)がタイヤ周方向14に対して垂直(すなわち、押出方向12とタイヤ周方向14とのなす角度θ=90度)になるように設けられている。そのため、フィルム10の押出方向12はタイヤ子午線方向に平行であり、詳細には、トレッド部4では押出方向12がタイヤ幅方向に略平行に、ショルダー部5からサイドウォール部3を経てビード部2においては押出方向12がタイヤ径方向に略平行に配置されている。
[熱可塑性ポリエステルエラストマー]
次に、上記熱可塑性ポリエステルエラストマー(A)の好適な一実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントのポリエステルを構成するジカルボン酸は、通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸が好ましい。該ポリエステルを構成するジカルボン酸は、物性及び成形性の点から、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート単位よりなるものがより好ましい。ジカルボン酸に占めるテレフタル酸の含有量としては、90〜70モル%が好ましく、より好ましくは90〜75モル%、更に好ましくは90〜80モル%である。また、イソフタル酸は10〜30モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜25モル%、更に好ましくは10〜20モル%である。イソフタル酸量が10モル%未満である場合、応力緩和が小さくなり、フィルム剥がれの原因となる。30モル%を超える場合、融点が下がり、耐熱性が低下する。その他の酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの他の酸成分は、樹脂の融点を大きく低下させない範囲、つまり全酸成分の20モル%未満、より好ましくは10モル%未満であれば使用可能である。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントのポリエステルを構成するジオールは、主たる構成成分が1,4−ブタンジオールであることが好ましい。主たるとは80モル%以上を意図しており、それ以外のジオール成分としてはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。ハードセグメントのポリエステルを構成するジオールとしては、1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、100モル%であっても良い。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、一般に数平均分子量10000〜40000を有しているものが望ましい。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけるソフトセグメントを構成する脂肪族ポリカーボネート鎖は、主として炭素数5〜12の脂肪族ジオール残基からなるものが好ましい。炭素数5〜12の脂肪族ジオール残基は、脂肪族ポリカーボネートの全脂肪族ジオール残基のうち、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%であっても良い。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの柔軟性や低温特性の点より、炭素数5〜12の脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。これらの脂肪族ジオール以外として、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなども20モル%未満であれば、使用可能である。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメントを構成する脂肪族ポリカーボネートジオールとしては、融点が低く(例えば、70℃以下)かつ、ガラス転移温度が低いものが好ましい。一般に、熱可塑性ポリエステルエラストマーのソフトセグメントを形成するのに用いられる1,6−ヘキサンジオールからなる脂肪族ポリカーボネートジオールは、ガラス転移温度が−60℃前後と低く、融点も50℃前後となるため、低温特性が良好なものとなり、好ましい。その他にも、上記脂肪族ポリカーボネートジオールに、例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールを適当量共重合して得られる脂肪族ポリカーボネートジオールは、元の脂肪族ポリカーボネートジオールに対してガラス転移点が若干高くなるものの、融点が低下もしくは非晶性となるため、低温特性が良好となる場合があり、好ましい。
上記の脂肪族ポリカーボネートジオールは、必ずしもポリカーボネート成分のみから構成される必要はなく、他のグリコール、ジカルボン酸、エステル化合物やエーテル化合物などを少量共重合したものでもよい。共重合成分の例として、例えばダイマージオール、水添ダイマージオール及びこれらの変性体などのグリコール、ダイマー酸、水添ダイマー酸などのジカルボン酸、脂肪族、芳香族、または脂環族のジカルボン酸とグリコールとからなるポリ又はオリゴエステル、ε−カプロラクトンなどからなるポリエステル又はオリゴエステル、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール又はオリゴアルキレングリコールなどが挙げられる。該共重合成分は、実質的に脂肪族ポリカーボネートセグメントの効果を消失させない程度用いることができる。具体的には、脂肪族ポリカーボネートセグメント100質量部に対して好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。共重合量が多すぎる場合、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーの耐熱性が劣ったものになる。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントを構成するポリエステルとソフトセグメントを構成する脂肪族ポリカーボネート及び共重合体成分との質量比(ハードセグメントの含有量)は、下限が65質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。ハードセグメントの含有量の上限は95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは90質量%以下である。ハードセグメントの含有量が95質量%を超えるとエラストマー特性を有さず、65質量%未満では耐熱性に劣る。
実施形態に係る熱可塑性ポリエステルエラストマーは、上記のようなポリエステルからなるハードセグメント及び脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントが結合されてなるポリエステルエラストマーである。ここで、結合されてなるとは、ハードセグメントとソフトセグメントがイソシアネート化合物などの鎖延長剤で結合されるのではなく、ハードセグメントやソフトセグメントを構成する単位が直接エステル結合やカーボネート結合で結合されている状態をいう。たとえば、ハードセグメントを構成するポリエステル、ソフトセグメントを構成するポリカーボネート及び必要であれば各種共重合成分を溶融下、一定時間のエステル交換反応及び解重合反応を繰返しながら得ることが好ましい。
上記反応は、好ましくはハードセグメントを構成するポリエステルの融点ないし融点+30℃の範囲内の温度において行われる。この反応において、系中の活性触媒種はポリエステル重合に用いられる任意の触媒が用いられる。その濃度は、反応の行われる温度に応じて任意に設定される。すなわち、より高い反応温度においてはエステル交換反応及び解重合は速やかに進行するため、系中の活性触媒濃度は低いことが望ましく、また、より低い反応温度においてはある程度の濃度の活性触媒が存在していることが望ましい。
上記反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間の組み合わせを任意に決定して行なうことができる。すなわち、反応条件は、用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、攪拌状況などの種々の要因によってその適正値が変化する。
上記反応条件の最適値は、例えば得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点及びハードセグメントとして用いたポリエステルの融点を比較し、その差が2℃〜60℃となる場合である。融点差が2℃未満の場合、両セグメントが混合又は/及び反応しておらず、得られたポリマーは劣った弾性性能を示す。一方、融点差が60℃を超える場合、エステル交換反応の進行が著しいため得られたポリマーのブロック性が低下しており、耐熱性、弾性性能などが低下する。
上記反応によって得られた溶融混合物中の残存触媒は、任意の方法によってできる限り完全に失活しておいても良い。触媒が必要以上に残存している場合、コンパウンド時、成形時などにエステル交換反応がさらに進行し、得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーの物性が変動することがある。該失活反応は、例えば亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキジメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチルなどの燐化合物などを添加することによって行われるが、これに限られるわけではない。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、少量に限り三官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを含んでもよい。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを使用できる。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、主たるハードセグメントがポリブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート単位である場合、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が180〜220℃であることが好ましい。さらに好ましくは185〜215℃である。
上記したように、エステル交換反応の進行が著しいとポリマーのブロック性が低下し、上記の融点を達成できない。そのため、脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を予め高分子量化(3000〜60000が好ましい)して、反応に供してもよい。脂肪族ポリカーボネートジオール分子量の調整方法は限定されないが、例えば、市販されている脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量は、好ましい分子量範囲よりも低い範囲であるので、該市販されている低分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを予め鎖延長剤で高分子量化して分子量を調整する方法が好ましい。すなわち、予め鎖延長剤で高分子量化して脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量を上記最適化範囲になるように調整してからブロック化反応に供給して反応を行うのが好ましい。これらは低分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールと鎖延長剤の仕込み比を変えるという単純な方法で、市販品の低分子量の脂肪族ポリカーボネートジオールを用いて嘱望される任意の分子量に対応できる。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環族ジオールとから構成されたポリエステルと上記高分子量化してなる脂肪族ポリカーボネートジオールを溶融状態で反応させて製造されることが好ましい。該要件を満たせば、製造条件等は限定されない。
上記熱可塑性ポリエステルエラストマーには、目的に応じて、ラジカル禁止剤、鎖延長剤、増粘剤、可塑剤、充填剤等の他、光安定剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、離型剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等を適正量添加することも可能である。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る空気入りタイヤ1Aにおいて、インナーライナー9を構成するフィルム10の押出方向12と、タイヤ周方向14との関係を示したものである。この実施形態では、フィルム10の押出方向12をタイヤ周方向14に対して垂直に設置する代わりに、押出方向12がタイヤ周方向14に対して斜めに交差する方向となるように設置しており、この点で第1実施形態と異なる。
すなわち、図4に示すように、フィルム10の押出方向12がタイヤ周方向14に対して斜めに傾けた方向となるように、フラットに押し出されたフィルム10の端部同士を接合することで円筒状に形成される。得られた円筒状フィルム10は、その周方向をタイヤ周方向14に向けた状態でタイヤに設置され、すなわち成形ドラムの外周に装着されてグリーンタイヤが作製され、該グリーンタイヤを加硫成形することにより空気入りタイヤ1Aが得られる。
得られた空気入りタイヤ1Aにおいて、インナーライナー9は、フィルム10の押出方向12がタイヤ周方向14に対して斜めに交差しており、すなわち、押出方向12とタイヤ周方向14とのなす角度θが、0度<θ<90度になるように設けられている。この交差角度θは、耐久性を向上するために、30度以上であることが好ましく、すなわち、第1実施形態の場合も含めてθは30度〜90度であることが好ましい。より好ましくは、交差角度θは45度〜90度である。
第2実施形態の空気入りタイヤ1Aについて、その他の構成は第1実施形態と同様であり、説明は省略する。
[作用効果]
次に、上記実施形態の作用効果について説明する。
Tダイ押出法により成形された押出方向に配向性を持つフィルムを、インナーライナー部材として用いる場合、通常は、図5に示すように、押出方向12がタイヤ周方向14に一致するように円筒状のフィルム10Cを形成して、空気入りタイヤ1Cを加硫成形する。このようなタイヤ1Cについて走行耐久試験を行ったところ、ショルダー部付近においてインナーライナーのフィルム10Cにタイヤ周方向に延びる亀裂が生じることが判明した。亀裂の原因を追究したところ、タイヤは、転動時に、荷重によりショルダー部からサイドウォール部にかけての領域が屈曲し、元に戻るという変形を繰り返す。すなわち、タイヤは、ショルダー部からサイドウォール部にかけての領域が荷重方向に屈曲変形を起こしており、その際、図6に示すように、フィルム10Cの配向方向(押出方向12)とタイヤ荷重方向16とが垂直であるため、上記の亀裂が発生したと考えられる。
これに対し、上記第1実施形態のように、フィルム10の押出方向12をタイヤ周方向14に対して垂直(θ=90度)に設置した空気入りタイヤ1では、屈曲変形を行うショルダー部5からサイドウォール部3にかけて領域において、フィルム10の押出方向12がタイヤ径方向に略平行であり、従って、図3に示すように、屈曲変形を行う荷重方向16とフィルム10の配向方向(押出方向12)が略平行である。そのため、インナーライナー9を構成するフィルム10は、タイヤ転動時の屈曲変形による亀裂が生じにくくなるものと考えられ、耐久性が向上する。
フィルムの押出方向12とタイヤ周方向14との交差角度θは、第1実施形態のような90度の場合でなくても、すなわち第2実施形態のような傾斜した角度の場合でも、タイヤ荷重方向16とフィルム10の配向方向(押出方向12)とが垂直になるのを回避することで、タイヤ転動時の屈曲変形による亀裂を生じにくくすることができ、耐久性を向上することができる。
このように本実施形態によれば、フィルム10の押出方向12をタイヤ周方向14に対して交差する方向となるようにタイヤに設置したことにより、Tダイ押出法により成形された配向性の高いフィルムをインナーライナー部材として用いたものでありながら、タイヤの耐久性を向上することができる。すなわち、インフレーション成形法を用いず、比較的な安価なTダイ押出法を用いた場合でも、タイヤの耐久性を向上することができる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、押出成形されたフィルムをインナーライナーとして用いる場合について説明したが、例えば、耐汚染性や剛性付与を目的としてサイドウォール部の外表面に貼り付けるフィルムとして用いることもできる。その場合も、フィルムをその押出方向がタイヤ周方向に対して交差する方向となるようにタイヤに設置すればよい。上記のように、タイヤ転動時の屈曲変形は、サイドウォール部及びショルダー部において生じるので、サイドウォール部、ショルダー部、又はこれら両領域を含むタイヤの少なくとも一部に、押出成形されたフィルムを設置する場合に、上記実施形態の構成を採用することで、耐久性を向上することができる。
上記実施形態では、乗用車用の空気入りタイヤに適用した場合について説明したが、トラックやバスなどの重荷重用タイヤを含む各種の自動車用タイヤにも適用することができ、また、自転車を含む二輪車用タイヤなど、各種の空気入りタイヤにも適用することができる。
熱可塑性材料として、熱可塑性ポリエステルエラストマー50質量部に、架橋剤を予め混合(ブチルゴム100重量部に対して、架橋剤5重量部を混合)したブチルゴム52.5質量部と、熱可塑性ポリエステルエラストマーとゴムを相溶させる相溶化剤5質量部の割合で、二軸押出機を用いて溶融混練し動的架橋したものに、更に接着剤(熱可塑性ポリエステルエラストマーとブチルゴム100重量部に対して、接着剤2.5重量部)を添加して、二軸押出機でブレンドしたものを用いた。ブチルゴムとしては、エクソンモービルケミカル製「IIR268」(ヤング率3.3MPa、破断伸び630%)、相溶化剤としては、住友化学工業製「ボンドファーストE」、架橋剤としては、田岡化学工業(株)製「タッキロール201T」、接着剤としては田岡化学(株)製「スミカノール620」を用いた。接着剤添加の目的は上記熱可塑性材料と接着する相手側のゴムとの接着性を改善するためである。
熱可塑性ポリエステルエラストマーは次の方法で合成した。
(1)ポリブチレンテレフタレート共重合体の調製
テレフタル酸100質量部、イソフタル酸18.5質量部、1,4−ブタンジオール110質量部を攪拌機付きのステンレス製オートクレーブに入れ、チタン酸テトラ−n−ブチルモノマーのn−ブタノール溶液(68g/L)を56.5mL加えて、常圧で180〜220℃、2.5時間攪拌してエステル交換を行った。その後、220℃で常圧から20分かけて130Paまで減圧し、過剰なジオール成分を留去して重合した。1.5時間後、内容物を冷却して取出し、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート(ポリマーa)を得た。得られたポリマーaの数平均分子量は30000であった。
(2)脂肪族ポリカーボネートジオールの調製
脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製カーボネートジオールT6002、分子量2150、1,6−ヘキサンジオールタイプ)100質量部とジフェニルカーボネート3.2質量部とをそれぞれ仕込み、温度205℃、130Paで反応させた。2時間後、内容物を冷却して取出し、脂肪族ポリカーボネートジオール(ポリマーb)を得た。得られたポリマーbの数平均分子量は3150であった。
(3)熱可塑性ポリエステルエラストマーの調製
上記方法で調製した100質量部のポリマーaと18質量部のポリマーbを220〜245℃、130Pa下で1時間攪拌し、エステル交換反応させ、樹脂が透明になったことを確認し、内容物を冷却して取り出した。得られた熱可塑性ポリエステルエラストマーは、融点が195℃、ヤング率が340MPaであった。
ここで、ポリマーa(ポリエステル)及びポリマーb(脂肪族ポリカーボネートジオール)の数平均分子量、並びに熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点の測定方法は以下の通りである。
・ポリエステルの数平均分子量(Mn):
ポリエステル0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比))に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃での還元粘度ηsp/cを測定した。求めた還元粘度ηsp/cの値を用いて、下記式に従って算出した。
ηsp/c=1.019×10−4 × Mn0.8929−0.0167
・脂肪族ポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn):
重水素化クロロホルム(CDCl)に脂肪族ポリカーボネートジオールサンプルを溶解させ、H−NMRを測定することにより末端基を算出し、下記式にて求めた。
Mn=1000000/((末端基量(当量/トン))/2)
・熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点(Tm):
50℃で15時間減圧乾燥した熱可塑性ポリエステルエラストマーを示差走査熱量計DSC220C(TAインスツルメンツ社製2920)を用いて、一旦250℃まで昇温、溶融し、50℃まで冷却させ、再度、20℃/分で昇温し測定し、融解による吸熱のピーク温度を融点とした。なお、測定試料は、アルミニウム製パン(TAインスツルメンツ社製2920)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TAインスツルメンツ社製2920)で密封状態にして、窒素雰囲気で測定した。
上記熱可塑性材料を溶融混練し、Tダイを取り付けた単軸押出機で幅1200mm、厚み0.2mmのフィルムに押出成形した。得られた耐空気透過性フィルムは、空気透過係数(80℃)が3.36×1013fm/Pa・s、ヤング率が47.7MPa、破断伸びが410%、融点が175℃であった。また、押出方向における破断強度(TB1)は17.0MPa、押出方向に垂直な方向における破断強度(TB2)は11.1MPaであり、両者の比(TB2/TB1)は0.65であった。
得られたフィルムについて、押出方向とタイヤ周方向との交差角度θを、表1に示すように変えながら、40℃定歪み試験とタイヤ走行耐久試験に供した。各試験方法は以下の通りである。
・40℃定歪み試験:フィルムを、厚み=2mmの未加硫ゴム層に貼り付けて加硫して、積層シートを作製した。未加硫ゴム層の配合は、カーカスプライ7と同じゴム配合(但し、有機繊維コードは除く)とした。得られた試験用積層シートは、JISダンベル3号(JIS K 6251)にて打ち抜いた後、ダンベル形状サンプルを疲労試験機に取り付け、定ひずみ疲労試験を行った。チャック間距離は30mm、引張り歪み率は50%、繰り返し引張り周波数は5.0Hz、試験温度は40℃の条件で行い、サンプル表面の熱可塑性エラストマー組成物に亀裂が発生した時点で試験終了とした。結果は、比較例についての亀裂発生までの伸長回数を100とした指数で表示した。数値が大きいほど、耐疲労性に優れる。
ここで、比較例は上述した図5に相当する例であり、実施例1〜3が図4に示す第2実施形態に相当し、実施例4が図2に示す第1実施形態に相当する。タイヤ荷重方向はタイヤ周方向に垂直な方向であり、タイヤではこの方向に繰り返し変形が付与されるので、定歪み試験では、伸長方向に垂直な方向をタイヤ周方向として、比較例では、フィルムの押出方向が伸長方向に垂直になるように試験片を作製した。実施例1〜4では、伸長方向に垂直な方向(タイヤ周方向)に対する押出方向の角度が30度、45度、60度、90度となるように試験片を作製した。
・タイヤ走行耐久試験:フィルムをインナーライナーとして用いて、スチールラジアルタイヤ195/65R15を作製し、得られたタイヤを用いて、米国自動車安全基準FMVSS139に定める延長条件に準拠し、ドラム式試験機にて耐久性試験を行い、走行させた後にタイヤ内面のインナーライナーフィルムを目視検査し、亀裂、クラック、または剥がれなどの故障が認められるまでの走行距離を測定した。結果は、比較例の走行距離を100とした指数で表示した。数値が大きいほど、故障発見までの走行距離が長く、耐久性に優れる。
Figure 0006153839
結果は、表1に示す通りであり、フィルムの押出方向とタイヤ周方向との交差角度θを変更することにより、タイヤの耐久性が変化した。詳細には、比較例に示すように、フィルムの押出方向とタイヤ周方向とを一致させた場合(交差角度θ=0度)、定歪み試験での耐久性が最も低く、タイヤ走行耐久試験においても耐久性に劣っていた。これに対し、フィルムの押出方向とタイヤ周方向との交差角度θを90度とした実施例4では、定歪み試験での耐久性が最も高く、タイヤ走行耐久試験においても、インナーライナーに亀裂は発生せず、耐久性に優れていた。また、フィルムの押出方向をタイヤ周方向に対して30度(すなわち、荷重方向に対して60度)とした実施例1でも、比較例に対して定歪み試験での耐久性が顕著に改善されており、タイヤ走行耐久試験での耐久性にも優れていた。また、交差角度θが大きくなるほど、定歪み試験及びタイヤ走行耐久試験での耐久性に優れていた。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,1A…空気入りタイヤ 3…サイドウォール部 5…ショルダー部
9…インナーライナー 10…フィルム 12…押出方向
14…タイヤ周方向 θ…押出方向とタイヤ周方向との交差角度

Claims (4)

  1. 熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなる熱可塑性材料を用いてTダイ押出法によりフィルムを押出成形し、前記フィルムは、押出方向における破断強度(TB1)に対する押出方向に垂直な方向における破断強度(TB2)の比(TB2/TB1)が0.7以下であり、得られたフィルムを、押出方向がタイヤ周方向に対して交差する方向となるように、サイドウォール部又はショルダー部を含むタイヤの少なくとも一部に設置して、空気入りタイヤを加硫成形する
    ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  2. 前記フィルムの押出方向とタイヤ周方向との交差角度が30〜90度である
    ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
  3. 押出成形した前記フィルムを、押出方向が周方向に対して交差する方向となるように端部同士を接合することで円筒状に形成し、得られた円筒状フィルムの周方向をタイヤ周方向に向けて該円筒状フィルムを前記タイヤの少なくとも一部に設置する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤの製造方法。
  4. 前記フィルムがタイヤ内面に設けられたインナーライナーである
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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