JP6153374B2 - 硬化性ウレタンポリマー組成物 - Google Patents
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この発明にかかる硬化性コーティング剤は、ウレタンポリマー(以下、「(A)成分」と称する。)、重合性単量体(以下、「(B)成分」と称する。)、及び紫外線硬化剤(以下、「(C)成分」と称する。)を含有してなるウレタン−アクリル重合体組成物を含有するコーティング剤である。
上記(A)成分であるウレタンプレポリマーは、多価イソシアネート化合物とジオール化合物とをウレタン化反応して得られたポリマーである。
上記(B)成分は、複数の二重結合を有する多官能(メタ)アクリル系単量体を含む重合性単量体である。この(B)成分には、二重結合を1つ有する単官能(メタ)アクリル系単量体や、その他の単官能ビニル系単量体が含まれていてもよい。また、上記(B)成分がウレタンポリマー(A)と結合可能な官能基を有すると、(A)成分と(B)成分とをさらに緊密に複合化することができる。このため、二重結合の数以外の観点からも、上記(B)成分は、ウレタンポリマー(A)と結合可能な官能基を有する重合性単量体(以下、「ウレタン結合性重合性単量体」と称する場合がある。)を含んでいるのが好ましい。
上記(B)成分の上記(A)成分への混合方法としては、上記(A)成分であるウレタンポリマーの生成反応後、その(A)成分に上記(B)成分を混合する方法、上記(B)成分の構成成分である(メタ)アクリル系単量体中で多価イソシアネート化合物とジオール化合物とをウレタン反応させて(A)成分を得る方法等があげられる。特に後者の方法を採用すると、得られる硬化性ウレタンポリマー組成物は、(A)成分と(B)成分とがより緊密に複合化し得るので、好ましい。この場合、上記(B)成分の少なくとも一部として、上記した水酸基含有(メタ)アクリル系単量体等のウレタン結合性重合性単量体を含む場合、多価イソシアネートと反応が可能である。この場合、(A)成分に重合性官能基が存在することになり紫外線硬化した場合、(A)成分と(B)成分とが、さらに緊密に複合化し得るので、好ましい。
上記(C)成分である紫外線硬化剤は、紫外線を照射することによりラジカル重合を開始させる剤をいう。
この発明にかかる硬化性コーティング剤を構成するウレタン−アクリル重合体組成物の水性分散液を得るために用いられる分散剤としては、前述のように、カルボキシル基含有ジオールを原料ジオールの一部として得たウレタンポリマーを(A)成分として用いて、自己分散させる方法に加えて、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、各種公知の分散剤を使用することができる。また、上記の重合体水性分散液には、必要に応じて、顔料などの着色剤、ワックス、消泡剤、可塑剤、成膜助剤などを、この発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。
上記の方法で得られるウレタン−アクリル重合体組成物の水性分散液は、硬化性コーティング剤の一成分として使用される。
なお、ここで用いる紫外線硬化性組成物としては、前述の多官能(メタ)アクリル系単量体100重量部あたり、前記(C)成分0.3〜2重量部程度添加したものが好ましく用いられる。
[多価イソシアネート化合物]
・IPDI:イソホロンジイソシアネート…エボニックデグサ社製。
・H12MDI:4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート…住友バイエルウレタン(株)製:デスモジュールW(商品名)。
・1.6−ヘキサンジオール…宇部興産(株)製:UH200(商品名)、以下「UH200」と称する。
・ポリプロピレングリコール…第一工業製薬(株)製:D200(商品名)、以下「D200」と称する。
・ジメチロールプロピオン酸…Mallinckrodt Chemical Inc.社製、以下「DMPA」と称する。
・トリエチルアミン…和光純薬工業(株)製、以下「TEA」と称する。
・トリメチロールプロパントリアクリレート…大阪有機化学(株)製、以下「TMP3A」と称する。
・ジペンタエリスリトールプロパンヘキサアクリレート…ダイセルサイテック(株)製、以下「DPHA」と称する。
・ジプロピレングリコールジアクリレート…ダイセルサイテック(株)製、以下「DPGDA」と称する。
・トリスアクリル酸=ヒドロキシエチルリジントリ(メチレン)…大阪有機化学(株)製、以下「V#300」と称する。
・ジブチル錫ジラウレート…Aldrich社製、以下「DBTDL」と称する。
[紫外線硬化剤]
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン…BASF社製:イルガキュア184(商品名)、以下「イルガキュア184」と称する。
[その他:ウレタン−アクリルエマルジョン]
・SU−100(商品名)…中央理化工業(株)製:ウレタン−アクリルエマルジョン(多官能(メタ)アクリル系単量体を含有しない(メタ)アクリル系単量体と、ウレタンポリマーとから得られたウレタン−アクリル重合体複合エマルジョン)
[乾燥後指触タック]
1層目を乾燥した後、その塗工面を指で触って、タックがあるかどうかを下記の基準で確認した。
○:タックなし。
×:タックあり。
得られた積層体の塗工面にカッターで縦横に各11本、計100目の切り目を入れ、その後、セロハンテープを貼り、次いで剥離した。このとき、100目のうち塗工面が剥がれなかった目の数をカウントした。
得られた積層体の塗工面に指をあて、指紋がつくかどうかを下記の基準で、目視にて確認した。
○:指紋の痕がほとんど確認できない。
×:指紋の痕が明らかに確認できる。
得られた積層体の表面硬度は、JIS K5600−5−4に従って鉛筆硬度を測定することにより評価した。
得られた積層体の耐水性は、この積層体を、50℃の温水中に3時間浸漬した後の、塗布面の状態(白化、剥離)により、以下の基準で評価した。
◎:白化・剥離どちらもなし
○:端部のみ一部白化したが、剥離なし
△:ほぼ全面が白化、剥離なし
×:塗工層が基材のPETフィルムから剥離
(ウレタンポリマー/重合性単量体混合液1の製造)
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示すポリオールの各成分、及び重合性単量体の各成分を表1に記載の量ずつ加え、内温を50℃とし、表1に記載の量の多価イソシアネートを加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマー溶液を得た。
得られたウレタンプレポリマー溶液を50℃に冷却し、表1に記載の量の中和剤(TEA)を加えて、ウレタンプレポリマー溶液中のカルボキシル基を中和しウレタンポリマー/重合性単量体混合液1を得た。
温度計、撹拌装置及び還流冷却管を備えた4つ口フラスコに、表1に示すポリオールの各成分、及び重合性単量体の各成分を表1に記載の量ずつ加え、内温を50℃とし、表1に記載の量の多価イソシアネートを加え、90℃に加温し、この温度で5時間反応させてウレタンプレポリマー溶液を得た。
得られたウレタンプレポリマー溶液を50℃に冷却し、表1に記載の量の中和剤を加えて、ウレタンプレポリマー溶液中のカルボキシル基を中和した。
次いで、このウレタンプレポリマー溶液に、表1に記載の量のイオン交換水(転相水)を、10分間かけて滴下し、乳白色の水性分散液であるウレタンポリマー/重合性単量体混合液2〜6を得た。
上記で得られたウレタンポリマー/重合性単量体混合液1〜6中の重合性単量体100重量部に対して、紫外線硬化剤 イルガキュア184を2重量%添加し、表2に示すように、UV硬化性の組成物(塗布液)1〜6を得た。
表2に示すように、所定の多官能ビニル単量体、希釈溶剤及び紫外線硬化剤を混合し、UV硬化性の組成物(塗布液)7、8を得た。
(参考例1)
PETフィルム(東レ(株)製:ルミラー、厚み50μm)に塗布液1を硬化後の膜厚が1μmになるように塗工し、120W/cmのオゾンレスメタルハライドランプを用いて紫外線硬化させ積層体を得た。これについて、碁盤目剥離試験及び指紋付着性の評価を行った。その結果を表3に示す。
上記PETフィルムに、表3に示す1層目の塗布液を硬化後の膜厚が1μmになるように塗工し、その後100℃×1分間の条件で乾燥し、タック評価を行った。次いで120W/cmのオゾンレスメタルハライドランプを用いて紫外線硬化させ積層体を得た。
次に、表3に2層目が記載されている参考例においては、1層目を塗布後、硬化して得られた積層体の上に、表3に示す2層目の塗布液を同じく膜厚1μmになるように塗工し、その後100℃×1分間の条件で乾燥し、次いで120W/cmのオゾンレスメタルハライドランプを用いて紫外線硬化させ積層体を得た。
得られた積層体を用いて、上記の碁盤目剥離試験及び指紋付着性の評価を行った。その結果を表3にまとめて示す。
表2に示す塗布液7、8を用いて、参考例1と同様に塗布、硬化を行い、積層体を得た。これについて、参考例1と同様の各評価を行った。その結果を表3に示す。
参考例1と同様にして、PETフィルム上に多官能(メタ)アクリル系単量体を含まない水系ウレタン−(メタ)アクリル重合体複合エマルジョン(SU−100)を硬化後の膜厚が1μmになるように1層目として塗工し、その後100℃×1分間の条件で乾燥して積層体を得た。
次に、1層目を乾燥して得た積層体の上に、表3に示す2層目の塗布液を1μmになるように塗工し、その後100℃×1分間の条件で乾燥し、タック評価を行った。次いで120W/cmのオゾンレスメタルハライドランプを用いて紫外線硬化させ積層体を得た。
得られた積層体を用いて、上記の碁盤目剥離試験及び指紋付着性の評価を行った。その結果を表3に示す。
参考例1は、碁盤目剥離試験による密着性評価も良好で、指紋付着性もよい結果を得た。
実施例1〜4は、ポリマー2〜5を2層目の紫外線硬化樹脂とPETフィルムの密着性を高めるプライマーとして使用した。比較例2、3の水性ウレタンアクリルエマルジョンを用いた場合と比べると、密着性や指紋付着性が大きく改善されている。
参考例2と比較例4は、同じ多官能ビニル系単量体(DPHA)を含む系であるが、本発明のようにポリウレタンと複合化すると、密着性が優れ、かつ指紋付着性も良好となる。
参考例4は、重合性単量体としてウレタン中のイソシアネート基と反応可能な水酸基を有する「V#300」を使用しているため、ウレタンポリマーの末端にビニル基をもち、硬化時にウレタンポリマー(A)と重合性単量体(B)が化学的結合するためか、鉛筆硬度、耐水性がさらに向上する。
Claims (7)
- 多価イソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させて得られたウレタンポリマー(A)と、複数の二重結合を有する多官能(メタ)アクリル系単量体を含む重合性単量体(B)とを、(A)/(B)(重量比)として20/80以上、80/20以下の比率で含有し、かつ(B)100重量部あたり紫外線硬化剤(C)を0.01〜3重量部含むウレタン−アクリル重合体組成物を含有する硬化性コーティング剤を基材上に塗布、乾燥、硬化した後、上記硬化性コーティング剤からなる層を積層・硬化してなる多層積層体。
- 上記ウレタンポリマー(A)が、その原料ジオール化合物として、カルボキシル基含有ジオールが用いられ、このカルボキシル基の少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたウレタンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の多層積層体。
- 上記重合性単量体(B)として、更に単官能(メタ)アクリル系単量体を含有する請求項1又は2に記載の多層積層体。
- 上記重合性単量体(B)がウレタンポリマー(A)と結合可能な官能基を有する重合性単量体を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層積層体。
- 上記ウレタンポリマー(A)と結合可能な官能基を有する重合性単量体(B)が水酸基含有(メタ)アクリル系単量体であることを特徴とする請求項4に記載の多層積層体。
- ウレタン−(メタ)アクリル重合体組成物が水性媒体中に分散されてなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多層積層体。
- 上記基材が樹脂製フィルムである請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層積層体。
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