JP6153068B2 - 固体酸化物型燃料電池装置 - Google Patents
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Description
このように構成された本発明においては、複数の燃料電池セルの各々が排気集約室内において燃料電池セルの上端の高さが不揃いとなるように配置されているので、複数の燃料電池セルから排気集約室内に排出されるごく少量の未反応の燃料ガスの流れが乱されることにより分散性が高まり、それにより、燃料ガスが排気集約室の天井面にほぼ等間隔で形成された複数の噴出口において均一に燃焼し易くなり、燃焼性が向上する。
従来、燃料電池セルは焼結時に収縮するためセルの長さはセル毎にバラツキがあり、各燃料電池セルの長さを揃えるため、セルの端部を切断することが行われていた。しかしながら、本発明の発明者らは、このセル毎の収縮量の差によるバラツキを逆に利用することを見出し、それにより、燃料ガスの分散性を向上させて、燃焼性を高めることができたのである。その結果、本発明によれば、従来必要であった各燃料電池セルの長さを揃えるために端部を切断する工程が不要となり、製造コストが低減し、燃料電池セルが安価になるという相乗効果を得ることができた。
このように構成された本発明においては、複数の燃料電池セルのそれぞれの長さが異なっても、複数の燃料電池セルの各々の下端部の下端の高さを揃えて燃料ガス分散室に固定するようにしたので、燃料ガス分散室から各燃料電池セルに燃料ガスを均一に供給することができると共に、各燃料電池セルの上端の高さを不揃いとすることができる。さらに、本発明においては、複数の燃料電池セルの各々の下端部の下端の高さが揃えられているので、燃料電池セルの下端部を燃料ガス分散室にセラミック接着剤層により固定するための工程が簡易となる。
複数の燃料電池セルの長さにバラツキがある場合にはその長さ方向の中心を揃えて配置する必要があるが、本発明においては、複数の燃料電池セルの各々の下端部の電解質層をセラミック接着剤層の所定の基準接着領域よりも上下方向にそれぞれより広くなる領域に設け、電解質層の長さを余分に長くしたので、燃料電池セルの長さのバラツキを吸収することができ、複数の燃料電池の長さ方向の中心を揃えて配置する必要がないので、製造工程を簡易にすることができる。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュール2により発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
図2に示すように、燃料電池セル収容容器8内の空間には、複数の燃料電池セル16が同心円状に配列され、その周囲を取り囲むように燃料流路である燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、酸化剤ガス供給流路22が順に同心円状に形成されている。ここで、排ガス排出流路21及び酸化剤ガス供給流路22は、酸化剤ガスを供給/排出する酸化剤ガス流路として機能する。
燃焼触媒60は、排ガス排出パイプ58よりも上方に、外側円筒部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58から排出される。
シースヒーター61は、燃焼触媒60の下方の、外側円筒部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物型燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、燃焼触媒60が活性温度まで加熱される。
図4に示すように、排気集約室18は、各燃料電池セル16の上端部に取り付けられたドーナツ型断面のチャンバーであり、この排気集約室18の中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74が貫通して延びている。
集約室下部材18bは、上方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための円筒部18fが設けられている。
集約室上部材18aは、下方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための開口部が設けられている。集約室上部材18aは、集約室下部材18bの上方に開口したドーナツ型断面の領域に嵌め込まれる形状に形成されている。
また、このセラミック接着剤層120aの上には、大径シールリング19aが配置され、セラミック接着剤層120aを覆っている。大径シールリング19aは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
また、このセラミック接着剤層120bの上には、小径シールリング19bが配置され、セラミック接着剤層120bを覆っている。小径シールリング19bは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
ここで、燃料電池セルは焼結時に収縮し、その収縮量の違いにより、燃料電池セルの各々の長さは異なるのが普通である。収縮量のバラツキは燃料電池セルの全長に対して最大±2%程度であり、本実施形態においては、このバラツキの範囲で長さが異なる複数の燃料電池16を、長さを揃えるために切断することなく、使用するようにしている。
また、図2に示すように、長さが異なる複数の燃料電池セル16の下端部の高さを揃えて燃料ガス分散室76に後述するセラミック接着剤層により固定されている。
このようにして、本実施形態においては、長さの異なる複数の燃料電池16を使用しても、それらの下端部の高さが揃えられているので、排気集約室18内の複数の燃料電池セル16の上端の高さを容易に不揃いとすることができる。
まず、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間の空間により形成されている燃料ガス供給流路20の下部には、水蒸気改質用の水を蒸発させるための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側円筒部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から形成されている。また、蒸発部86は、発電用の空気を導入するための酸化剤ガス導入パイプ56よりも下方で、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58よりも上方に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側円筒部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側円筒部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (1)
本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池セル16は、固体酸化物を用いたセルであり、さらに、複数の電極が上下方向に沿って配置された円筒横縞型セルである。各燃料電池セル16上には、複数の単セル16aが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16となる。ここで、上述したように、複数の燃料電池セル16の各々は、各セルにおいて焼結時の収縮量が異なるため、その長さが異なっている。
多孔質支持体97は、本実施形態においては、フォルステライト粉末、及びバインダーの混合物を押し出し成形し、焼結することにより形成されている。
燃料極層98は、本実施形態においては、NiO粉末及び10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末の混合物により構成された導電性の薄膜である。
固体電解質層100は、本実施形態においては、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末により構成された薄膜である。この固体電解質層100を介して酸化物イオンと水素又は一酸化炭素が反応することにより電気エネルギーが生成される。
インターコネクタ層102は、本実施形態においては、SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート)から作られた導電性の薄膜である。燃料電池セル16上の隣接する単セル16aはインターコネクタ層102を介して接続される。
電極層103a、103bは、本実施形態においては、燃料極層98と同一の材料で形成されている。
リード膜保護層104a、104bは、本実施形態においては、固体電解質層100と同一の材料で形成されている。
まず、固体酸化物型燃料電池装置1の起動工程において、燃料ブロア38が起動され、燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。燃料ブロア38により供給された燃料は、脱硫器36、熱交換器34、電磁弁35を介して、燃料ガス供給パイプ90から燃料電池セル収容容器8の内部に流入する。流入した燃料は、燃料ガス供給流路20内を上端まで上昇した後、改質部94内を下降し、内側円筒部材64の下部に設けられた小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、改質部94内の改質触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
本実施形態においては、複数の燃料電池セル16の各々の上端を内包すると共に複数の燃料電池セル16の各々の上端から噴出される未反応の燃料ガスを集める排気集約室18が設けられ、この排気集約室16の天井面には、未反応の燃料ガスを燃焼室に排出して燃焼させる複数の噴出口17dがほぼ等間隔に円周状に配置されている。さらに、複数の燃料電池セル16の各々は、排気集約室18内において、それらの燃料電池セル16の上端の高さHが不揃いとなるように配置されている。
このように構成された本実施形態の固体酸化型燃料電池装置1においては、複数の燃料電池セル16の各々が排気集約室18内において燃料電池セル16の上端の高さが不揃いとなるように配置されているので、複数の燃料電池セル16から排気集約室18内に排出されるごく少量の未反応の燃料ガスの流れが乱されることにより分散性が高まり、それにより、燃料ガスが排気集約室18の天井面にほぼ等間隔で形成された複数の噴出口18dにおいて均一に燃焼し易くなり、燃焼性が向上する。
2 燃料電池モジュール
8 燃料電池セル収容容器
10 発電室
16 燃料電池セル
16a 単セル
17 燃焼室
18 排気集約室
18a 集約室上部材
18b 集約室下部材
18d 噴出口
62 点火ヒーター
63 第1固定部材
64 内側円筒部材
72 分散室底部材
76 燃料ガス分散室
97 多孔質支持体
97a 燃料ガス通路
98 燃料極層
100 固体電解質層
101 空気極層
103a 電極層(リード膜層)
104a リード膜保護層
122 セラミック接着剤層
Claims (4)
- 固体酸化物型燃料電池装置であって、
内部に燃料ガス通路を備え且つ外表面に電極層を備えた上下方向に延びる複数の燃料電池セルと、
これらの複数の燃料電池セルの各々の下端部を貫通固定すると共に上記複数の燃料電池セルの各々に燃料ガスを分散して供給する燃料ガス分散室と、
上記複数の燃料電池セルの各々の上端を内包すると共に上記複数の燃料電池セルの各々の上端から噴出される未反応の燃料ガスを集める排気集約室と、を有し、
上記排気集約室の天井面には、未反応の燃料ガスを燃焼室に排出して燃焼させる複数の噴出口がほぼ等間隔で形成され、
上記複数の燃料電池セルの各々は、上記排気集約室内において、それらの燃料電池セルの上端の高さが不揃いとなるように配置されていることを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。 - 上記複数の燃料電池セルの各々の長さが異なっている請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
- 上記複数の燃料電池セルの各々は、その下端部がその下端の高さを揃えて上記燃料ガス分散室にセラミック接着剤層により固定されている請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
- 上記複数の燃料電池セルの各々の下端部の外表面には、電極層とこの電極層を覆う電解質層が形成され、この電解質層が、上記セラミック接着剤層の所定の基準接着領域よりも上下方向にそれぞれより広くなる領域に設けられている請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
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