次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して燃料電池セル収容容器8が配置されている。この燃料電池セル収容容器8内の内部には発電室10が構成され、この発電室10の中には複数の燃料電池セル16が同心円状に配置されており、これらの燃料電池セル16により、燃料ガスと酸化剤ガスである空気の発電反応が行われる。
各燃料電池セル16の上端部には、排気集約室18が取り付けられている。各燃料電池セル16において発電反応に使用されずに残った残余の燃料(オフガス)は、上端部に取り付けられた排気集約室18に集められ、この排気集約室18の天井面に設けられた複数の噴出口から流出される。流出した燃料は、発電室10内で発電に使用されずに残った空気により燃焼され、排気ガスが生成されるようになっている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この純水タンクから供給される水の流量を調整する水供給装置である水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された炭化水素系の原燃料ガスの流量を調整する燃料供給装置である燃料ブロア38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
なお、燃料ブロア38を通過した原燃料ガスは、燃料電池モジュール2内に配置された脱硫器36と、熱交換器34、電磁弁35を介して燃料電池セル収容容器8の内部に導入される。脱硫器36は、燃料電池セル収容容器8の周囲に環状に配置されており、原燃料ガスから硫黄を除去するようになっている。また、熱交換器34は、脱硫器36において温度上昇した高温の原燃料ガスが直接電磁弁35に流入し、電磁弁35が劣化されるのを防止するために設けられている。電磁弁35は、燃料電池セル収容容器8内への原燃料ガスの供給を停止するために設けられている。
補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気の流量を調整する酸化剤ガス供給装置である空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)を備えている。
さらに、補機ユニット4には、燃料電池モジュール2からの排気ガスの熱を回収するための温水製造装置50が備えられている。この温水製造装置50には、水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュール2により発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)の燃料電池モジュールに内蔵された燃料電池セル収容容器の内部構造を説明する。図2は燃料電池セル収容容器の断面図であり、図3は燃料電池セル収容容器の主な部材を分解して示した断面図である。
図2に示すように、燃料電池セル収容容器8内の空間には、複数の燃料電池セル16が同心円状に配列され、その周囲を取り囲むように燃料流路である燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、酸化剤ガス供給流路22が順に同心円状に形成されている。ここで、排ガス排出流路21及び酸化剤ガス供給流路22は、酸化剤ガスを供給/排出する酸化剤ガス流路として機能する。
まず、図2に示すように、燃料電池セル収容容器8は、概ね円筒状の密閉容器であり、その側面には、発電用の空気を供給する酸化剤ガス流入口である酸化剤ガス導入パイプ56、及び排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58が接続されている。さらに、燃料電池セル収容容器8の上端面からは、排気集約室18から流出した残余燃料に点火するための点火ヒーター62が突出している。
図2及び図3に示すように、燃料電池セル収容容器8の内部には、燃料電池セル16の周囲を取り囲むように、内側から順に、発電室構成部材である内側円筒部材64、外側円筒部材66、内側円筒容器68、外側円筒容器70が配置されている。上述した燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、及び酸化剤ガス供給流路22は、これらの円筒部材及び円筒容器の間に夫々構成される流路であり、隣り合う流路の間で熱交換が行われる。即ち、排ガス排出流路21は燃料ガス供給流路20を取り囲むように配置され、酸化剤ガス供給流路22は排ガス排出流路21を取り囲むように配置されている。また、燃料電池セル収容容器8の下端側の開放空間は、燃料を各燃料電池セル16に分散させる燃料ガス分散室76の底面を構成する概ね円形の分散室底部材72により塞がれている。
内側円筒部材64は、概ね円筒状の中空体であり、その上端及び下端は開放されている。また、内側円筒部材64の内壁面には、分散室形成板である円形の第1固定部材63が気密的に溶接されている。この第1固定部材63の下面と、内側円筒部材64の内壁面と、分散室底部材72の上面により、燃料ガス分散室76が画定される。また、第1固定部材63には、各々燃料電池セル16を挿通させる複数の挿通穴63aが形成されており、各燃料電池セル16は、各挿通穴63aに挿通された状態で、セラミック接着剤により第1固定部材63に接着されている。このように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池モジュール2を構成する部材間相互の接合部には、セラミック接着剤が充填され、硬化されることにより、各部材が相互に気密的に接合されている。
外側円筒部材66は、内側円筒部材64の周囲に配置される円筒状の管であり、内側円筒部材64との間に円環状の流路が形成されるように、内側円筒部材64と概ね相似形に形成されている。さらに、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間には中間円筒部材65が配置されている。中間円筒部材65は、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間に配置された円筒状の管であり、内側円筒部材64の外周面と中間円筒部材65の内周面の間には改質部94が構成されている。また、中間円筒部材65の外周面と、外側円筒部材66の内周面の間の円環状の空間は、燃料ガス供給流路20として機能する。このため、改質部94及び燃料ガス供給流路20は、燃料電池セル16における発熱及び排気集約室18上端における残余燃料の燃焼により熱を受ける。また、内側円筒部材64の上端部と外側円筒部材66の上端部は溶接により気密的に接合されており、燃料ガス供給流路20の上端は閉鎖されている。さらに、中間円筒部材65の下端と、内側円筒部材64の外周面は、溶接により気密的に接合されている。
内側円筒容器68は、外側円筒部材66の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、外側円筒部材66との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が外側円筒部材66と概ね相似形に形成されている。この内側円筒容器68は、内側円筒部材64の上端の開放部を覆うように配置される。外側円筒部材66の外周面と、内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間は、排ガス排出流路21(図2)として機能する。この排ガス排出流路21は、内側円筒部材64の上端部に設けられた複数の小穴64aを介して内側円筒部材64の内側の空間と連通している。また、内側円筒容器68の下部側面には、排ガス流出口である排ガス排出パイプ58が接続されており、排ガス排出流路21が排ガス排出パイプ58に連通される。
排ガス排出流路21の下部には、燃焼触媒60及びこれを加熱するためのシースヒーター61が配置されている。
燃焼触媒60は、排ガス排出パイプ58よりも上方に、外側円筒部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58から排出される。
シースヒーター61は、燃焼触媒60の下方の、外側円筒部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物型燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、燃焼触媒60が活性温度まで加熱される。
外側円筒容器70は、内側円筒容器68の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、内側円筒容器68との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が内側円筒容器68と概ね相似形に形成されている。内側円筒容器68の外周面と、外側円筒容器70の内周面の間の円環状の空間は、酸化剤ガス供給流路22として機能する。また、外側円筒容器70の下部側面には、酸化剤ガス導入パイプ56が接続されており、酸化剤ガス供給流路22が酸化剤ガス導入パイプ56に連通される。
分散室底部材72は、概ね円形の皿状の部材であり、内側円筒部材64の内壁面にセラミック接着剤により気密的に固定される。これにより、第1固定部材63と分散室底部材72の間に、燃料ガス分散室76が構成される。また、分散室底部材72の中央には、バスバー80(図2)を挿通させるための挿通管72aが設けられている。各燃料電池セル16に電気的に接続されたバスバー80は、この挿通管72aを通して燃料電池セル収容容器8の外部に引き出される。また、挿通管72aには、セラミック接着剤が充填され、燃料ガス分散室76の気密性が確保されている。さらに、挿通管72aの周囲には、断熱材72b(図2)が配置されている。
内側円筒容器68の天井面から垂下するように、発電用の空気を噴射するための、円形断面の酸化剤ガス噴射用パイプ74が取り付けられている。この酸化剤ガス噴射用パイプ74は、内側円筒容器68の中心軸線上を鉛直方向に延び、その周囲の同心円上に各燃料電池セル16が配置される。酸化剤ガス噴射用パイプ74の上端が内側円筒容器68の天井面に取り付けられることにより、内側円筒容器68と外側円筒容器70の間に形成されている酸化剤ガス供給流路22と酸化剤ガス噴射用パイプ74が連通される。酸化剤ガス供給流路22を介して供給された空気は、酸化剤ガス噴射用パイプ74の先端から下方に噴射され、第1固定部材63の上面に当たって、発電室10内全体に広がる。
燃料ガス分散室76は、第1固定部材63と分散室底部材72の間に構成される円筒形の気密性のあるチャンバーであり、その上面に各燃料電池セル16が林立されている。第1固定部材63の上面に取り付けられた各燃料電池セル16は、その内側の燃料極が、燃料ガス分散室76の内部と連通されている。各燃料電池セル16の下端部は、第1固定部材63の挿通穴63aを貫通して燃料ガス分散室76の内部に突出し、各燃料電池セル16は第1固定部材63に、接着により固定されている。
図2に示すように、内側円筒部材64には、第1固定部材63よりも下方に複数の小穴64bが設けられている。内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間は、複数の小穴64bを介して燃料ガス分散室76内に連通されている。供給された燃料は、外側円筒部材66の内周と中間円筒部材65の外周の間の空間を一旦上昇した後、内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間を下降し、複数の小穴64bを通って燃料ガス分散室76内に流入する。燃料ガス分散室76に流入した燃料は、燃料ガス分散室76の天井面(第1固定部材63)に取り付けられた各燃料電池セル16の燃料極に分配される。
さらに、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16の下端部は、燃料ガス分散室76内でバスバー80に電気的に接続され、挿通管72aを通して電力が外部に引き出される。バスバー80は、各燃料電池セル16により生成された電力を、燃料電池セル収容容器8の外部へ取り出すための細長い金属導体であり、碍子78を介して分散室底部材72の挿通管72aに固定されている。バスバー80は、燃料ガス分散室76の内部において、各燃料電池セル16に取り付けられた集電体82と電気的に接続されている。また、バスバー80は、燃料電池セル収容容器8の外部において、インバータ54(図1)に接続される。なお、集電体82は、排気集約室18内に突出している各燃料電池セル16の上端部にも取り付けられている(図4)。これら上端部及び下端部の集電体82により、複数の燃料電池セル16が電気的に並列に接続されると共に、並列に接続された複数組の燃料電池セル16が電気的に直列に接続され、この直列接続の両端が夫々バスバー80に接続される。
次に、図4及び図5を参照して、排気集約室の構成を説明する。
図4は排気集約室の部分を拡大して示す断面図であり、図5は、図2におけるV−V断面である。
図4に示すように、排気集約室18は、各燃料電池セル16の上端部に取り付けられたドーナツ型断面のチャンバーであり、この排気集約室18の中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74が貫通して延びている。
図5に示すように、内側円筒部材64の内壁面には、排気集約室18支持用の3つのステー64cが等間隔に取り付けられている。図4に示すように、各ステー64cは金属製の薄板を折り曲げた小片であり、排気集約室18を各ステー64cの上に載置することにより、排気集約室18は内側円筒部材64と同心円上に位置決めされる。これにより、排気集約室18の外周面と内側円筒部材64の内周面の間の隙間、及び排気集約室18の内周面と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面との間の隙間は、全周で均一になる(図5)。
排気集約室18は、集約室上部材18a及び集約室下部材18bが気密的に接合されることにより構成されている。
集約室下部材18bは、上方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための円筒部が設けられている。
集約室上部材18aは、下方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための開口部が設けられている。集約室上部材18aは、集約室下部材18bの上方に開口したドーナツ型断面の領域に嵌め込まれる形状に構成されている。
集約室下部材18bの周囲の壁の内周面と集約室上部材18aの外周面の間の隙間にはセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、大径シールリング19aが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。大径シールリング19aは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
一方、集約室下部材18b中央の円筒部の外周面と、集約室上部材18a中央の開口部の縁の間にもセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、小径シールリング19bが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。小径シールリング19bは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
集約室下部材18bの底面には複数の円形の挿通穴18cが設けられている。各挿通穴18cには燃料電池セル16の上端部が夫々挿通され、各燃料電池セル16は各挿通穴18cを貫通して延びている。各燃料電池セル16が貫通している集約室下部材18bの底面上にはセラミック接着剤が流し込まれ、これが硬化されることにより、各燃料電池セル16の外周と各挿通穴18cの間の隙間が気密的に充填されると共に、各燃料電池セル16が集約室下部材18bに固定されている。
さらに、集約室下部材18bの底面上に流し込まれたセラミック接着剤の上には、円形薄板状のカバー部材19cが配置され、セラミック接着剤の硬化により集約室下部材18bに固定されている。カバー部材19cには、集約室下部材18bの各挿通穴18cと同様の位置に複数の挿通穴が設けられており、各燃料電池セル16の上端部はセラミック接着剤の層及びカバー部材19cを貫通して延びている。
一方、排気集約室18の天井面には、集約された燃料ガスを噴出させるための複数の噴出口18dが設けられている(図5)。各噴出口18dは、集約室上部材18aに、円周上に配置されている。発電に使用されずに残った燃料は、各燃料電池セル16の上端から排気集約室18内に流出し、排気集約室18内で集約された燃料は各噴出口18dから流出し、そこで燃焼される。
次に、図2を参照して、燃料供給源30から供給される原燃料ガスを改質するための構成について説明する。
まず、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間の空間で構成されている燃料ガス供給流路20の下部には、水蒸気改質用の水を蒸発させるための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側円筒部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から構成されている。また、蒸発部86は、発電用の空気を導入するための酸化剤ガス導入パイプ56よりも下方で、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58よりも上方に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側円筒部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側円筒部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
水供給パイプ88は内側円筒部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプであり、水流量調整ユニット28から供給された水蒸気改質用の水が、水供給パイプ88を介して蒸発部86に供給される。水供給パイプ88の上端は、傾斜板86aを貫通して傾斜板86aの上面側まで延び、傾斜板86aの上面側に供給された水は、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面との間に留まる。傾斜板86aの上面側に供給された水は、そこで蒸発され水蒸気が生成される。
また、蒸発部86の下方には、複数の噴射口91aが等間隔に設けられた円環状の金属板としての隔壁91を挟んで、原燃料ガスを燃料ガス供給流路20内に導入するための燃料ガス導入部が設けられている。燃料ブロア38から送られた原燃料ガスは、燃料ガス供給パイプ90を介して燃料ガス供給流路20に導入される。燃料ガス供給パイプ90は、内側円筒部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプである。また、燃料ガス供給パイプ90の上端は、隔壁91よりも下方に位置している。燃料ガス供給パイプ90から導入された原燃料ガスは、一旦、隔壁91の下側の空間に滞留した後、各噴射口91aを通って隔壁91の上側の空間(つまり蒸発部86が設けられた空間)に噴射される。そして、噴射口91aから噴射された原燃料ガスは、傾斜板86aの下側に導入され、傾斜板86aの傾斜により流路を絞られながら傾斜板86aの上側へ上昇する。傾斜板86aの上側へ上昇した原燃料ガスは、蒸発部86で生成された水蒸気と共に上昇する。
燃料ガス供給流路20内の蒸発部86上方には、外側円筒部材66の内周と内側円筒部材64の外周の間の円環状の空間を上下に隔てるように設けられた円環状の金属板である混合板110が設けられている。この混合板110の円周上には1つの連通孔110aが設けられており、連通孔110aにより混合板110の上側の空間と下側の空間が連通されている。連通孔110aは、水供給パイプ88及び燃料ガス供給パイプ90が設けられた位置に対応する位置と、混合板110の中心軸(内側円筒部材64や外側円筒部材66などの中心軸に一致する)を挟んで対向する反対側の位置に設けられている。噴射口91aから噴射された原燃料ガス及び蒸発部86で生成された水蒸気は、一旦、混合板110の下側の空間に滞留した後、連通孔110aを通って混合板110の上側の空間に導入される。
混合板110の上方には、外側円筒部材66の内周と内側円筒部材64の外周の間の円環状の空間を上下に隔てるように設けられた円環状の金属板である混合板111が更に設けられている。混合板111は、混合板110と接近して配置されている。この混合板111の円周上には1つの連通孔111aが設けられており、連通孔111aにより混合板111の上側の空間と下側の空間が連通されている。連通孔111aは、混合板110において連通孔110aが設けられた位置に対応する位置と、混合板111の中心軸(内側円筒部材64や外側円筒部材66などの中心軸に一致する)を挟んで対向する反対側の位置に設けられている。混合板110の連通孔110aから導入された原燃料ガス及び水蒸気は、混合板110と混合板111との間の空間を移動して、混合板111の連通孔111aを通って混合板111の上側の空間に導入される。この場合、混合板110と混合板111との間の空間における上下方向幅が狭いため、原燃料ガス及び水蒸気は、水平方向に移動していき、その過程で混合される。
混合板111の上方には、外側円筒部材66の内周と中間円筒部材65の外周の間の円環状の空間を上下に隔てるように設けられた円環状の金属板である分散板112が更に設けられている。分散板112は、混合板111と離間して配置されている。具体的には、分散板112と混合板111との上下方向距離は、混合板110と混合板111との上下方向距離よりも長い。分散板112の円周上には複数の連通孔112aが設けられており、これらの連通孔112aにより分散板112の上側の空間と下側の空間が連通されている。混合板111の連通孔111aから導入された原燃料ガス及び水蒸気は、混合板111と分散板112との間の空間を移動して、各連通孔112aを通って分散板112の上側の空間に導入される。この場合、混合板111と分散板112との間の空間における上下方向幅が広いため、原燃料ガス及び水蒸気は、上方向に移動していき、その過程で混合される。
他方で、中間円筒部材65の内周と内側円筒部材64の外周の間の円環状の空間の上部には、改質部94が設けられている。また、改質部94の上部には、金属板である分散板113が設けられている。分散板113は、改質部94の上端を覆うように円環状に構成されており、複数の連通孔113aが等間隔に設けられている。上記した分散板112の連通孔112aを通過した原燃料ガス及び水蒸気は、分散板112の上方へと上昇していき、その後、外側円筒部材66の上面の内側の壁に衝突することで下降して、分散板113の各連通孔113aを通って改質部94に流入する。この場合、分散板113に設けられた複数の連通孔113aにより、改質部94に対して均一に混合ガスが導入される。
改質部94は、各燃料電池セル16の上部と、その上方の排気集約室18の周囲を取り囲むように配置されている。改質部94は、内側円筒部材64の外壁面に取り付けられた触媒保持板(図示せず)と、これにより保持された改質触媒96によって構成されている。
このように、改質部94内に充填された改質触媒96に、改質部94の上流側の燃料ガス供給流路20で混合された原燃料ガス及び水蒸気が接触すると、改質部94内においては、式(1)に示す水蒸気改質反応SRが進行する。
CmHn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (1)
改質部94において改質された燃料ガスは、中間円筒部材65の内周と内側円筒部材64の外周の間の空間を下方に流れ、燃料ガス分散室76に流入して、各燃料電池セル16に供給される。水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるが、反応に要する熱は、排気集約室18から流出するオフガスの燃焼熱、及び各燃料電池セル16において発生する発熱により供給される。
次に、図6を参照して、燃料電池セル16について説明する。
本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池セル16として、固体酸化物を用いた円筒横縞型セルが採用されている。各燃料電池セル16上には、複数の単セル16aが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16が構成されている。各燃料電池セル16は、その一端がアノード(陽極)、他端がカソード(陰極)となるように構成され、複数の燃料電池セル16のうちの半数は上端がアノード、下端がカソードとなるように配置され、残りの半数は上端がカソード、下端がアノードとなるように配置されている。
図6(a)は、下端がカソードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図であり、図6(b)は、下端がアノードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図である。
図6に示すように、燃料電池セル16は、細長い円筒状の多孔質支持体97と、この多孔質支持体97の外側に横縞状に形成された複数の層から形成されている。多孔質支持体97の周囲には、内側から順に、燃料極層98、反応抑制層99、固体電解質層100、空気極層101が夫々横縞状に形成されている。このため、燃料ガス分散室76を介して供給された燃料ガスは、各燃料電池セル16の多孔質支持体97の内部を流れ、酸化剤ガス噴射用パイプ74から噴射された空気は、空気極層101の外側を流れる。燃料電池セル16上に形成された各単セル16aは、一組の燃料極層98、反応抑制層99、固体電解質層100、及び空気極層101から構成されている。1つの単セル16aの燃料極層98は、インターコネクタ層102を介して、隣接する単セル16aの空気極層101に電気的に接続されている。これにより、1本の燃料電池セル16上に形成された複数の単セル16aが、電気的に直列に接続される。
図6(a)に示すように、燃料電池セル16のカソード側端部には、多孔質支持体97の外周に電極層103aが形成され、この電極層103aの外側にリード膜層104aが形成されている。カソード側端部においては、端部に位置する単セル16aの空気極層101と電極層103aが、インターコネクタ層102により電気的に接続されている。これらの電極層103a及びリード膜層104aは、燃料電池セル16端部において第1固定部材63を貫通し、第1固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103aは、リード膜層104aよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103aに集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの空気極層101がインターコネクタ層102、電極層103aを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、第1固定部材63の挿通穴63aの縁とリード膜層104aの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されており、燃料電池セル16は、リード膜層104aの外周で第1固定部材63に固定される。
図6(b)に示すように、燃料電池セル16のアノード側端部においては、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が延長されており、燃料極層98の延長部が電極層103bとして機能する。電極層103bの外側にはリード膜層104bが形成されている。これらの電極層103b及びリード膜層104bは、燃料電池セル16端部において第1固定部材63を貫通し、第1固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103bは、リード膜層104bよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103bに集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が、一体的に形成された電極層103bを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、第1固定部材63の挿通穴63aの縁とリード膜層104bの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されており、燃料電池セル16は、リード膜層104bの外周で第1固定部材63に固定される。
図6(a)(b)においては、各燃料電池セル16の下端部の構成を説明したが、各燃料電池セル16の上端部における構成も同様である。なお、上端部においては、各燃料電池セル16は、排気集約室18の集約室下部材18bに固定されているが、固定部分の構成は下端部における第1固定部材63に対する固定と同様である。
次に、多孔質支持体97及び各層の構成を説明する。
多孔質支持体97は、本実施形態においては、フォルステライト粉末、及びバインダーの混合物を押し出し成形し、焼結することにより形成されている。
燃料極層98は、本実施形態においては、NiO粉末及び10YSZ(10mol%Y2O3−90mol%ZrO2)粉末の混合物により構成された導電性の薄膜である。
反応抑制層99は、本実施形態においては、セリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLa2O3−60mol%のCeO2)等により構成された薄膜であり、これにより、燃料極層98と固体電解質層100の間の化学反応を抑制している。
固体電解質層100は、本実施形態においては、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3の組成のLSGM粉末により構成された薄膜である。この固体電解質層100を介して酸化物イオンと水素又は一酸化炭素が反応することにより電気エネルギーが生成される。
空気極層101は、本実施形態においては、La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2O3の組成の粉末により構成された導電性の薄膜である。
インターコネクタ層102は、本実施形態においては、SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート)により構成された導電性の薄膜である。燃料電池セル16上の隣接する単セル16aはインターコネクタ層102を介して接続される。
電極層103a、103bは、本実施形態においては、燃料極層98と同一の材料で形成されている。
リード膜層104a、104bは、本実施形態においては、固体電解質層100と同一の材料で形成されている。
次に、図1及び図2を参照して、固体酸化物型燃料電池装置1の作用を説明する。
まず、固体酸化物型燃料電池装置1の起動工程において、燃料ブロア38が起動され、燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。燃料ブロア38により供給された燃料は、脱硫器36、熱交換器34、電磁弁35を介して、燃料ガス供給パイプ90から燃料電池セル収容容器8の内部に流入する。流入した燃料は、燃料ガス供給流路20内を上端まで上昇した後、改質部94内を下降し、内側円筒部材64の下部に設けられた小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、改質部94内の改質触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
燃料ガス分散室76に流入した燃料ガスは、燃料ガス分散室76の第1固定部材63に取り付けられた各燃料電池セル16の内側(燃料極側)を通って排気集約室18に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、各燃料電池セル16の温度が十分に上昇しておらず、また、インバータ54への電力の取り出しも行われていないため、発電反応は発生しない。
排気集約室18に流入した燃料は、排気集約室18の噴出口18dから噴出される。噴出口18dから噴出された燃料は、点火ヒーター62により点火され、そこで燃焼される。この燃焼により、排気集約室18の周囲に配置された改質部94が加熱される。また、燃焼により生成された排気ガスは、内側円筒部材64の上部に設けられた小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。高温の排気ガスは、排ガス排出流路21内を下降し、その内側に設けられた燃料ガス供給流路20を流れる燃料、外側に設けられた酸化剤ガス供給流路22内を流れる発電用の空気を加熱する。さらに、排気ガスは、排ガス排出流路21内に配置された燃焼触媒60を通ることにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58を通って燃料電池セル収容容器8から排出される。
排気ガス及びシースヒーター61により蒸発部86が加熱されると、蒸発部86に供給された水蒸気改質用の水が蒸発され、水蒸気が生成される。水蒸気改質用の水は、水流量調整ユニット28により、水供給パイプ88を介して燃料電池セル収容容器8内の蒸発部86に供給される。蒸発部86で生成された水蒸気と、燃料ガス供給パイプ90を介して供給された燃料とは、改質器94までの燃料ガス供給流路20を移動していく過程で十分に混合される(詳細は後述する)。
こうして混合された燃料及び水蒸気は、分散板113に設けられた複数の連通孔113aを通って改質部94に流入する。改質部94の改質触媒96が改質可能な温度まで上昇している状態においては、燃料及び水蒸気の混合ガスが改質部94を通過する際、水蒸気改質反応が発生し、混合ガスが水素を多く含む燃料に改質される。改質された燃料は、小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。小穴64bは燃料ガス分散室76の周囲に多数設けられ、燃料ガス分散室76として十分な容積が確保されているため、改質された燃料は、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16に均等に流入する。
一方、空気流量調整ユニット45により供給された酸化剤ガスである空気は、酸化剤ガス導入パイプ56を介して酸化剤ガス供給流路22に流入する。酸化剤ガス供給流路22に流入した空気は、内側を流れる排気ガスにより加熱されながら酸化剤ガス供給流路22内を上昇する。酸化剤ガス供給流路22内を上昇した空気は、燃料電池セル収容容器8内の上端部で中央に集められ、酸化剤ガス供給流路22に連通された酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入する。酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入した空気は下端から発電室10内に噴射され、噴射された空気は第1固定部材63の上面に当たって発電室10内全体に広がる。発電室10内に流入した空気は、排気集約室18の外周壁と内側円筒部材64の内周壁の間の隙間、及び排気集約室18の内周壁と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面の間の隙間を通って上昇する。
この際、各燃料電池セル16の外側(空気極側)を通って流れる空気の一部は発電反応に利用される。また、排気集約室18の上方に上昇した空気の一部は、排気集約室18の噴出口18dから噴出する燃料の燃焼に利用される。燃焼により生成された排気ガス、及び発電、燃焼に利用されずに残った空気は、小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。排ガス排出流路21に流入した排気ガス及び空気は、燃焼触媒60により一酸化炭素が除去された後、排出される。
このように、各燃料電池セル16が発電可能な温度である650℃程度まで上昇し、各燃料電池セル16の内側(燃料極側)に改質された燃料が流れ、外側(空気極側)に空気が流れると、化学反応により起電力が発生する。この状態において、燃料電池セル収容容器8から引き出されているバスバー80にインバータ54が接続されると、各燃料電池セル16から電力が取り出され、発電が行われる。
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池装置1においては、発電用の空気は、発電室10の中央に配置された酸化剤ガス噴射用パイプ74から噴射され、発電室10内を排気集約室18と内側円筒部材64の間の均等な隙間及び排気集約室18と酸化剤ガス噴射用パイプ74の間の均等な隙間を通って上昇する。このため、発電室10内の空気の流れは、ほぼ完全に軸対称の流れとなり、各燃料電池セル16の周囲には、ムラなく空気が流れる。これにより、各燃料電池セル16間の温度差が抑制され、各燃料電池セル16で均等な起電力を発生することができる。
次に、図7を参照して、本実施形態による蒸発部86の作用について説明する。図7は、蒸発部86の傾斜板86aのみを外側円筒部材66の壁を透視して示した側面図であり、傾斜板86aにより水が分散していく様子について説明するための図である。
まず、図7の上段に示すように、水供給パイプ88から微量な水Wが流れ出て、その水Wは、傾斜板86aの上面に落ちて、傾斜板86aの傾斜により下に流れていく。次に、図7の中段に示すように、微量な水Wは、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面とで形成される間隙に、水滴として一旦溜まる。その直後に、図7の下段に示すように、微量な水Wは、水の毛細管現象によって、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面とで形成される間隙全体に広がっていく。つまり、微量な水Wは、傾斜板86aの外周縁の全周に沿って分散される。
なお、ここでいう「毛細管現象」は、一般的に広く用いられている現象、具体的には細管状物体(毛細管)内の水が表面張力により上昇していく現象を指すのではなく、地面とほぼ水平な方向に延びる狭い凹部(溝など)内の水が表面張力により移動していく現象を指す。後者の現象は、ヒートパイプ(ヒートポンプ)の技術分野などでも「毛細管現象」として使用されている。
このように、本実施形態では、毛細管現象を利用した蒸発部86を用いることにより、水供給パイプ88から蒸発部86に供給された微量な水を適切に分散させることができる。その結果、水蒸気と原燃料ガスとの混合性を向上させることができ、S/C比(水蒸気と原燃料ガスに含まれる炭化水素のカーボン総量との量論比)の管理を適切に行うことが可能となる。また、蒸発部86上の一部の領域に水が溜まり続けないため、蒸発部86での突沸を防止することができる。そのため、燃料不足に伴う燃料電池セルの劣化などを防止することが可能となる。
また、本実施形態では、外側円筒部材66の内壁面を利用して、その内壁面に傾斜板86aを設けることにより鋭角形状の凹部を形成するため、上記した毛細管現象を簡易な構成により実現することができる。
また、本実施形態では、円筒モジュールを採用しているため(図2参照)、微量な水に対して蒸発部86の容積が大きく水が分散しにくい傾向にあるが、外側円筒部材66の内周全周に渡る円環状の傾斜板86aを用いることにより、微量な水の安定した分散性を確保することができる。具体的には、本実施形態のような円環状の傾斜板86aにて構成された蒸発部86を用いた場合には、円環状ではない角などがある環状(例えば矩形環状)の蒸発部を用いる構成と比較して、微量な水が速やかに蒸発部86全体に行き渡るため、水を効果的に分散させることが可能となる。
また、本実施形態では、外側円筒部材66の外周面上で、且つ蒸発部86と対応する位置の周囲全体にシースヒーター61を設けて(図2参照)、蒸発部86の全周を加熱するため、蒸発部86全体で均一に水蒸気を発生させることができる。また、固体酸化物型燃料電池装置1における低温からの起動時でも、シースヒーター61で蒸発部86を加熱することにより、改質部94での改質に必要な水蒸気を蒸発部86で適切に発生させることができる。更に、本実施形態では、蒸発部86の傾斜板86aよりも上側にシースヒーター61を設けることにより(図2参照)、傾斜板86aに対応する外側円筒部材66の外周面上の位置を直接加熱しないため、微量な水が傾斜板86aを分散している最中に蒸発してしまうことを回避することができる。そのため、蒸発部86全体で水蒸気を発生させることを適切に確保することができる。
なお、上記した実施形態では、外側円筒部材66の内壁面に傾斜板86aを設け、傾斜板86aと外側円筒部材66の内壁面とで形成される間隙によって鋭角形状の凹部を構成することにより、毛細管現象を実現していた。他の例では、このような傾斜板86aを用いる代わりに、傾斜していない、地面にほぼ水平な円環状の薄板を用い(傾斜板86aと同様に外側円筒部材66の内壁面に固定する)、その薄板上に鋭角形状の凹部としての細長い溝を設けることによって、毛細管現象を実現してもよい。その場合、円環状の薄板上において水供給パイプ88からの水が流れ落ちる箇所を含む円周を予め特定しておき、その円周全体に沿って溝を形成すればよい。
次に、図8を参照して、混合板110、111の具体的な構成について説明する。図8は、外側円筒部材66の内周と内側円筒部材64及び中間円筒部材65の外周との間の空間に設けられた構成要素を、外側円筒部材66の壁を透視して観察した斜視図を中央に示している。具体的には、水供給パイプ88、燃料ガス供給パイプ90、傾斜板86a、混合板110、111、及び分散板112などの斜視図を示している。また、図8の右側には、混合板110に設けられた連通孔110a付近の部分拡大図を示し、図8の左側には、混合板111に設けられた連通孔111a付近の部分拡大図を示している。
図8の中央に示すように、混合板110、111は、それぞれ、1つの連通孔110a、111aが設けられている。また、混合板110、111は、混合板110の連通孔110aと混合板111の連通孔111aとが混合板110、111の中心軸(外側円筒部材66などの中心軸に一致する)を挟んで反対側に位置するように配置されている。つまり、混合板110、111は、連通孔110aと連通孔111aとを180度ずらして配置されている。
また、図8の右側及び左側に示すように、連通孔110a、111aは、混合板110、111の半径方向に延びる長穴形状(言い換えると細長いスリット形状)に構成されている。つまり、連通孔110a、111aは、混合板110と混合板111との間に形成されるガスが通過する通路を横断する長穴形状に構成されている。
次に、図9を参照して、分散板112の具体的な構成について説明する。図9は、分散板112の平面図を示している。図9では、参考のために、混合板111の連通孔111aに対応する分散板112上の位置(具体的には、混合板111の連通孔111aの位置を、分散板112が位置する水平面まで鉛直方向に移動させた位置)を破線で示している。
図9に示すように、分散板112には、複数の連通孔112aが設けられている。連通孔112aは、混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、その数が多くなるように(言い換えると連通孔112aの密度が大きくなるように)、分散板112に形成されている。つまり、混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、連通孔112a同士の間隔が狭くなるように、分散板112に連通孔112aが形成されている。より詳しくは、分散板112の各連通孔112aから噴射されるガスの量を等しくするべく、混合板111の連通孔111aから遠い位置では近い位置よりも分散板112の上方に向けたガスの噴射供給が行われ易いように(言い換えると連通孔112aでの圧力損失が低くなるように)、混合板111の連通孔111aに対応する位置からの距離に応じて連通孔112a同士の間隔が設計されている。なお、改質器に対する混合ガスの供給が略均一になれば良いものであって、等間隔の同径穴でも均一性が確保できる場合はそれでも良いことは言うまでもない。
次に、図10を参照して、混合板110、111及び分散板112等の作用について説明する。図10は、隔壁91、混合板110、111及び分散板112を介してガスが上方向に移動していく様子を説明するための図である。具体的には、図10は、外側円筒部材66の内周と内側円筒部材64及び中間円筒部材65の外周との間の空間に設けられた構成要素(図8に示したものと同様の構成要素)を、外側円筒部材66の壁を透視して観察した側面図を示している。
まず、燃料ガス供給パイプ90から噴射された原燃料ガスは、一旦、隔壁91の下側の空間に滞留した後、隔壁91の各噴射口91aを通過して隔壁91の上側の空間に噴射される。そして、噴射口91aから噴射された原燃料ガスは、傾斜板86aの下側に導入され、傾斜板86aの傾斜により流路を絞られながら傾斜板86aの上側へ上昇する。他方で、水供給パイプ88から供給された水Wは、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面とで形成される間隙全体に分散されて(図7参照)、傾斜板86aで蒸発して水蒸気となる。こうして生成された水蒸気は、噴射口91aから導入された原燃料ガスと共に、一旦、混合板110の下側の蒸発部86が設けられた空間(第1の下部第2混合室201)に滞留する。そして、水蒸気及び原燃料ガスは、第1の下部第2混合室201の上壁をなす混合板110の連通孔110aを通過して、混合板110の上側の空間(第2の下部第2混合室202)に導入される。
通常、燃料電池セル収容容器8内の発電室10は下側よりも上側の方が温度が高くなるような温度勾配が生じるため、この温度勾配によって燃料ガス供給流路20内には上昇気流が生じ、それにより、水蒸気及び原燃料ガスは燃料ガス供給流路20内を上昇していく。そのため、第1の下部第2混合室201内の水蒸気及び原燃料ガスは、基本的には、このような上昇気流の影響を受けて、第1の下部第2混合室201内を上昇して、第1の下部第2混合室201の上壁をなす混合板110の連通孔110aを通過していく。ここで、第1の下部第2混合室201では、水及び原燃料ガスが供給される箇所(水供給パイプ88及び燃料ガス供給パイプ90が設けられた箇所)と、水蒸気及び原燃料ガスの出口である混合板110の連通孔110aとが、第1の下部第2混合室201の中心軸を挟んで反対側に位置する。そのため、多くの水蒸気及び原燃料ガスは、第1の下部第2混合室201内を水平方向に移動しながら上昇していく。つまり、第1の下部第2混合室201内の水蒸気及び原燃料ガスは、水平方向移動成分を多く含むこととなる。このような水平方向移動成分は燃料ガス供給流路20内の上昇気流に対向するものとなるため、第1の下部第2混合室201内では水蒸気と原燃料ガスとがゆっくりと混合されることとなる。そのため、蒸発部86が設けられた第1の下部第2混合室201内での水蒸気と原燃料ガスとの混合性を高めることができる。なお、第1の下部第2混合室201内での水蒸気及び原燃料ガスの水平方向の移動(後述する第2の下部第2混合室202内での水平方向の移動も含む)は、燃料ガス供給流路20内の上昇気流に起因して生じるものである。
次に、混合板110の連通孔110aを通過した水蒸気及び原燃料ガスは、混合板110と混合板111との間に形成された空間(第2の下部第2混合室202)を移動し、第2の下部第2混合室202の上壁をなす混合板111の連通孔111aを通過する。この場合、混合板110と混合板111との間隔が狭く、且つ、混合板110の連通孔110aと混合板111の連通孔111aとが混合板110、111の中心軸を挟んで反対側に位置するため、第2の下部第2混合室202内の水蒸気及び原燃料ガスは水平方向に移動する。このような水平方向の移動は、燃料ガス供給流路20内の上昇気流に対向するものとなるため、第2の下部第2混合室202内では水蒸気と原燃料ガスとがゆっくりと混合されることとなる。第2の下部第2混合室202では、そのような水平方向の移動過程でガスが混合される時間が比較的長いため、水蒸気と原燃料ガスとの混合性を大きく向上させることができる。
次に、混合板111の連通孔111aを通過した水蒸気及び原燃料ガスは、混合板111と分散板112との間に形成された空間(上部第2混合室203)を移動し、上部第2混合室203の上壁をなす分散板112の連通孔112aを通過する。この場合、混合板111と分散板112との間隔が比較的広く、且つ、分散板112に複数の連通孔112aが設けられているため(図9参照)、水蒸気及び原燃料ガスは、燃料ガス供給流路20内の上昇気流に応じて上部第2混合室203内を上方向に移動し、その過程で混合されることとなる。また、上部第2混合室203の上壁をなす分散板112は、上部第2混合室203の下壁をなす混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、連通孔112aの数が多くなるように構成されているため(図9参照)、図10に示すように、多くの混合ガスは、上部第2混合室203内を水平方向に移動しながら上昇していく。つまり、上部第2混合室203内の水蒸気及び原燃料ガスは、水平方向移動成分を多く含むこととなる。
そして、分散板112の連通孔112aを通過した水蒸気及び原燃料ガスは、分散板112上方の空間(第1混合室204)に導入される。上記したように、分散板112は、混合板111の連通孔111aから遠い位置では近い位置よりもガスの噴射供給が行われ易いように、混合板111の連通孔111aに対応する位置からの距離に応じて連通孔112a同士の間隔が設計されている(図9参照)。そのため、分散板112の各連通孔112aからほぼ同量のガスが噴射されることにより、第1混合室204に対してガスが均一に供給されることとなる。この後、第1混合室204に導入された水蒸気及び原燃料ガスは、燃料ガス供給流路20内の上昇気流に応じて第1混合室204を上方向に移動し、その過程で混合されることとなる。
このように、本実施形態では、水蒸気及び原燃料ガスを水平方向に移動させる過程で混合させる第1及び第2の下部第2混合室201、202及び上部第2混合室203と、水蒸気及び原燃料ガスを上方向に上昇させる過程で混合させる第1混合室204と、を上下方向に配置して、水蒸気及び原燃料ガスを混合させる。具体的には、最初に、第1及び第2の下部第2混合室201、202及び上部第2混合室203において水蒸気及び原燃料ガスを水平方向に移動させる過程で混合させ、次に、第1混合室204において水蒸気及び原燃料ガスを上方向に上昇させる過程で混合させる。したがって、本実施形態によれば、水蒸気及び原燃料ガスを上方向に上昇させる過程でのみ混合させる構成(つまり上昇気流を利用して水蒸気及び原燃料ガスを上方向にのみ移動させる構成)と比較して、水蒸気と原燃料ガスとをゆっくりと混合させることができる。そのため、水蒸気と原燃料ガスとの混合性を向上させることができる。
ここで、円筒モジュールを適用した固体酸化物型燃料電池装置1では、使用する微量な水に対して燃料ガス供給流路20の容積が大きいため、水蒸気及び原燃料ガスを均一に分散させにくい。しかしながら、本実施形態では、水蒸気及び原燃料ガスを水平方向に移動させる過程及び上方向に上昇させる過程の両方で混合させるため、そのような微量な水から生成された水蒸気を原燃料ガスと適切に混合させることができる。
また、本実施形態では、上昇気流に対向する水平方向の移動を利用して水蒸気と原燃料ガスとを混合させる混合室を複数用いるため、水蒸気と原燃料ガスとの混合性を大きく向上させることができる。特に、第2の下部第2混合室202では、そのような水平方向の移動過程でガスが混合される時間が比較的長いため、水蒸気と原燃料ガスとをより効果的に混合させることができる。
また、本実施形態では、混合板110、111の連通孔110a、111aをガスが通過する通路に沿った長穴形状に構成したため(図8参照)、連通孔を小径の円形に構成した場合と比較して、ガスを上方に確実に移動させることができる。また、本実施形態のように長穴形状に構成した連通孔110a、111aによれば、小径の円形に構成した連通孔と比較して、連通孔110a、111aからのガスの噴射速度を遅くし、ガスの移動速度を遅くすることができる。したがって、水蒸気と原燃料ガスとの混合性を効果的に確保することができる。つまり、水蒸気と原燃料ガスとの混合時間及び混合速度を安定化し、混合性を一定にすることが可能となる。
また、本実施形態では、複数の連通孔112aが形成された分散板112(図9参照)を用いることにより、混合性が高まったガスを第1混合室204に向けて均一分散させることができる。よって、燃料ガス供給流路20内の上昇気流を利用して更に安定的にガスを混合させることが可能となる。加えて、第1混合室204に向けてガスを均一分散させることにより、第1混合室204の下流側における改質部94への投入ガスの分散性を均一にすることが可能となる。
なお、上記した実施形態では、下部第2混合室を2つ用いていたが(第1及び第2の下部第2混合室201、202)、変形例では、下部第2混合室を1つのみ用いてもよい。1つの変形例では、混合板111を取り外して、符号201の部屋のみを下部第2混合室として用いてもよい。その場合、符号202及び203の部屋を一体化した部屋を上部第2混合室として用いればよい。また、混合板110の連通孔110aに対応する位置から離れるほど、連通孔112aの数が多くなるように、分散板112を構成すればよい。別の変形例では、混合板110を取り外して、符号201及び202の部屋を一体化した部屋を下部第2混合室として用いてもよい。
なお、上記した実施形態では、混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、連通孔112a同士の間隔が狭くなるような分散板112を示した(図9参照)。他の例では、混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、連通孔の径が大きくなるような分散板を用いてもよい。図11は、この変形例による分散板112’の平面図を示している。図11では、図9と同様に、混合板111の連通孔111aに対応する分散板112’上の位置を破線で示している。
図11に示すように、分散板112’には、複数の連通孔112a’が等間隔に設けられている。連通孔112a’は、混合板111の連通孔111aに対応する位置から離れるほど、その径が大きくなるように、分散板112’に形成されている。詳しくは、分散板112’の各連通孔112a’から噴射されるガスの量を等しくするべく、混合板111の連通孔111aから遠い位置では近い位置よりも分散板112’の上方に向けたガスの噴射供給が行われ易いように(言い換えると連通孔112a’での圧力損失が低くなるように)、混合板111の連通孔111aに対応する位置からの距離に応じて連通孔112a’の径が設計されている。このような分散板112’によっても、上記した分散板112と同様の作用及び効果が得られる。
次に、図12を参照して、改質部94の上部に設けられた分散板113の構成及び作用について具体的に説明する。図12は、分散板113の平面図を示している。図12に示すように、分散板113は、円環状に構成されており、複数の連通孔113aが等間隔に設けられている。
本実施形態のように、発電室10を形成する内側円筒部材64の外周面に沿って燃料ガス供給流路20を形成した構成(図2参照)では、発電室10内の温度分布にムラがあると、燃料ガス供給流路20を通過する混合ガスがこのムラの影響を受ける傾向にある。具体的には、発電室10の局所的高温領域に対応する部分では上昇気流が強くなる。その結果、上昇気流を利用して混合ガスを改質部94に供給する構成では、改質部94の改質触媒96に対して混合ガスが均一に供給されなくなり、改質ムラが発生してしまう。これに対処すべく、本実施形態では、図12に示したような複数の連通孔113aが等間隔に設けられた分散板113を、改質部94の入口よりも上流側の燃料ガス供給流路20中に配設した(図2参照)。こうすることで、分散板113によって、改質部94の改質触媒96に対する混合ガスの供給量のばらつきを抑制することができる、つまり改質触媒96に対する混合ガスの供給量を安定化することができる。したがって、本実施形態によれば、改質部94の改質触媒96に対して均等に混合ガスを供給することができ、改質部94での安定した改質反応を確保することが可能となる。また、分散板113は、複数の連通孔113aが設けられた円環状のプレートであるため、簡易な構成にて、改質部94に対する混合ガスの供給の均等化を実現することができる。
また、本実施形態では、燃料ガス供給流路20は、その通路が上方から下方へと折り返され、折り返し部分の下方に改質部94が配置されており、分散板113は、その折り返し部分と改質部94との間の燃料ガス供給流路20中に設けられている(図2参照)。これにより、燃料ガス供給流路20を折り返さずに、上昇気流によって上昇された混合ガスを改質部94に直接供給する構成と比較して、燃料ガス供給流路20の折り返し部分において混合ガスの平面的な分散性を是正することができる。したがって、本実施形態によれば、こうして燃料ガス供給流路20の折り返し部分において平面的な分散性が是正された混合ガスを、分散板113を通して改質部94に供給することにより、改質部94に対する混合ガスの供給量を効果的に安定化することができる。そのため、改質部94において、より安定性の高い改質を行わせることが可能となる。
また、本実施形態では、分散板113だけでなく、分散板113の上流側の燃料ガス供給流路20中にも分散板112を設けているため(図2、図9参照)、発電室10内の温度分布にムラがあっても、簡易な構成にて、混合ガスの平面的な分散性を効果的に確保することができる。更に、本実施形態では、そのような分散板112を水蒸気と原燃料ガスとを混合させる空間(具体的には上部第2混合室203)の上部に設けているため、混合されたガスの分散板112からの噴射量を均一化することができる。そのため、燃料ガス供給流路20内の上昇気流も均一化することができ、改質部94に対する混合ガスの供給量を効果的に安定化することができる。
次に、図13を参照して、改質部94の構成及び作用について具体的に説明する。図13は、水平面に沿って切断した改質部94(内側円筒部材64及び中間円筒部材65も含む)の断面図を示している。図13に示すように、改質部94は、周方向に均等間隔に配置された複数の仕切り部材94aが設けられている。各仕切り部材94aは、中間円筒部材65の内周から内側円筒部材64の外周まで延びていると共に、改質部94の上下方向に沿って延びている。改質部94は、このような複数の仕切り部材94aによって仕切られた各部屋に改質触媒96が充填されている。
また、仕切り部材94aによって仕切られた各部屋内の改質触媒96のそれぞれに対して、分散板113における同じ数の連通孔113aからガスが供給されるように、改質部94に設ける仕切り部材94aの数(つまり改質部94を仕切り部材94aで仕切ることにより形成する部屋の数)、及び分散板113に設ける連通孔113aの数などが設定されている。図12及び図13に示した分散板113及び改質部94の例では、分散板113には12個の連通孔113aが設けられ、改質部94には12枚の仕切り部材94aが設けられている。この例では、12枚の仕切り部材94aにより形成された12の部屋内の改質触媒96のそれぞれに対して、分散板113における1個の連通孔113aからガスが供給されるように、改質部94に対して分散板113が配置される。
なお、分散板113に設ける連通孔113aの数、及び改質部94に設ける仕切り部材94aの数は、図12及び図13に示したものに限定はされない。好適には、分散板113に設ける連通孔113aの数を、改質部94に設ける仕切り部材94aの数よりも多くし、仕切り部材94aによって仕切られた1つの部屋に対して、複数の連通孔113aからガスが供給されるようにするとよい。
このように、本実施形態では、周方向に均等間隔に配置された複数の仕切り部材94aを改質部94に設けて、複数の仕切り部材94aによって仕切られた各部屋に改質触媒96を充填することにより、改質部94内における改質触媒96の充填量を均一化することができる。つまり、改質部94内における改質触媒96の充填量のムラを抑制することができる。改質触媒96の充填量にムラがあると、充填量が少ない箇所へ混合ガスが流れ易くなるため、改質部94において改質ムラが発生する傾向にある。しかしながら、本実施形態のように改質部94内における改質触媒96の充填量を均一化することにより、改質触媒96に対して均等に混合ガスを供給することができる。特に、本実施形態では、そのように改質触媒96の充填量が均一化された改質部94に対して、上記した分散板113を介して混合ガスを供給するため、改質部94での安定した改質反応を効果的に確保することが可能となる。したがって、改質部94において水素を安定して発生させることが可能となる。
なお、上記した実施形態では、改質部94の上端に分散板113を設けていたが、具体的には、分散板113の底面が改質部94の上端に接触するように分散板113を配置していたが(図2参照)、分散板113を改質部94に対して離間させて配置してもよい。但し、燃料ガス供給流路20の折り返し部分と改質部94との間の燃料ガス供給流路20中に分散板113を配置するのが好ましい。
また、上記した実施形態では、混合板111と分散板113との間の燃料ガス供給流路20中に1枚の分散板112のみを設けていたが(図2参照)、混合板111と分散板113との間の燃料ガス供給流路20中に、分散板112の他に、1枚以上の分散板を更に設けてもよい。
また、上記した実施形態では、固体酸化物型燃料電池装置1を円筒モジュールとして構成し、蒸発部86、混合板110、111、分散板112、113などを円環状に構成していたが、固体酸化物型燃料電池装置1を楕円筒モジュールとして構成し、蒸発部86、混合板110、111、分散板112、113などを楕円環状に構成してもよい。
また、上記した実施形態では、内側円筒部材64、中間円筒部材65及び外側円筒部材66を利用して、蒸発部86及び混合室201〜203を形成していた。つまり、内側円筒部材64と外側円筒部材66との間の空間、及び中間円筒部材65と外側円筒部材66との間の空間に、蒸発部86及び混合室201〜203を設けていた。他の例では、内側円筒部材64、中間円筒部材65及び外側円筒部材66とは別の部材を用いて、蒸発部86及び混合室201〜203を形成してもよい。具体的には、蒸発部86及び混合室201〜203を、内側円筒部材64、中間円筒部材65及び外側円筒部材66により構成される本体とは別体であるパッケージユニットとして構成して、そのパッケージユニットを本体に対して連結することとしてもよい。