JP6150703B2 - ピタバスタチンカルシウム塩の分解抑制方法 - Google Patents
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Description
その効能は、用量依存的であり、スタチン系のHMG−CoA還元酵素阻害剤であるアトルバスタチン[販売名:リピトール(登録商標)]と同等であるといわれている。
ピタバスタチンカルシウムは、長期保存した場合に、次式(II):
なお、5−ケト体は、曝光下の製剤中においても分解生成することも知られている(例えば、特許文献1)。
また、特定の水分含有量を維持し保存することとされているが、その保存は、例えば、気密条件下に保存とされているものの、気密条件下とされる具体的な保存条件は、一切開示されておらず、いかなる状態で保存するのか判明しない。
かかる問題点が存在しながら、これまでにピタバスタチンカルシウム塩の医薬品原体の保存に際し、副生成物としての5−ケト体の分解生成を抑制させるための具体的な貯蔵条件については、何ら検討されていないのが現状であった。
その結果、ピタバスタチンカルシウム塩から5−ケト体の分解生成は、ピタバスタチンカルシウム塩の酸化によって生起する不純物であることを確認し、かかる酸化による5−ケト体の生成を抑制すること、すなわち、酸素を排除した保存条件下に保存することで、ピタバスタチンカルシウム塩が長期にわたり安定であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明方法により、通常の医薬品原体の包装形態として用いられている空気を遮断して密閉する密閉包装中の酸素を排除するという簡便な方法、例えば、密閉包装内を窒素ガス置換する、或いは脱酸素剤を共存させるという簡便な方法で、安定性が保持されたピタバスタチンカルシウム塩の医薬品バルクを供給できるものであって、その利用性は極めて多大なものである。
本発明が提供するピタバスタチンカルシウム塩からの5−ケト体の分解生成を抑制する保存方法において、保存対象とされるピタバスタチンカルシウム塩は、これら公知の方法で製造されたピタバスタチンカルシウム塩であり、要するに、ピタバスタチンカルシウム塩から不純物として生成する5−ケト体の分解生成を抑制する限り、特定の水分含量および結晶形態のピタバスタチンカルシウム塩に限定されるものではない。
その包装内の酸素を排除する手段としては、窒素ガス置換をすること、或いは脱酸素剤を共存させ、包装容器内の酸素を排除することで達成することができる。
なお、より効果的には、ピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、更に別のポリエチレン袋に入れ二重とし、その各々の二重のポリエチレン袋を結束バンド(インシュロックタイ:登録商標)で封緘することが、工業的な実際の保存方法として好ましい。
本発明の方法にあっては、この包装形態において、ピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋とアルミ蒸着したポリエチレン製袋体を窒素ガス置換するか、またはポリエチレン製袋体内に脱酸素剤を入れ、アルミ蒸着したポリエチレン製袋体をジートシーラーでシールするか、或いはピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を入れたガラス瓶内に窒素置換後、或いは脱酸素剤を入れ、蓋をすることにより行うことができる。
したがって、200mL程度の酸素吸収能力を有する脱酸素剤が必要であることが判明した。
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
ピタバスタチンカルシウム塩1gをポリエチレン袋に入れ、結束バンド(インシュロックタイ)で封をした。
このピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、アルミ蒸着したポリエチレン袋体に入れ、ヒートシーラーで密封し、40℃/湿度75%条件下で、8週間保存した。
保存開始直後、保存開始2、4及び8週間後におけるピタバスタチンカルシウム塩の水分含量の変動、並びに、5−ケト体の分解生成量、類縁物資の生成合計量を、HPLCにて測定した。
測定波長:紫外吸光光度計(測定波長:245nm)
濃度:本品10mgを移動相10mLに溶解し、試料溶液とした。
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用のオクタデシル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水400mLに塩化ナトリウム約0.29gを加え溶解させ、メタノール600mLを加え、さらに酢酸2mLを加えた液。
流量:0.87mL/min
注入量:10μL
面積測定範囲:80分間
この条件下において、ピタバスタチンカルシウム塩及び5−ケト体の保持時間は、以下の通りであった。
ピタバスタチンカルシウム塩:保持時間 約19.5分
5−ケト体:保持時間 約40分
また、併せて図1に、製造ロット2についての8週間後のHPLC分析チャート図を示した。
したがって、単純に空気のみを遮断するような保存方法では、ピタバスタチンカルシウム塩の安定性は保つことはできないものであることが判明する。
また、図1に示した結果からも、5−ケト体(保持時間:約40分)のピークが認められている。
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
ピタバスタチンカルシウム塩1gをポリエチレン袋に入れ、結束バンド(インシュロックタイ)で封をした。
このピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、アルミ蒸着したポリエチレン袋体に入れ、脱酸素剤を共存させ、ヒートシーラーで密封した。
また、同様にピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、脱酸素剤を共存させ、ガラス瓶にて密封した。
なお、両者において、脱酸素剤を共存させないものを、比較例とした。
脱酸素剤は、以下のものである。
脱酸素剤P:ファーマキープ(三菱ガス化学社製:登録商標)
脱酸素剤E:エージレス(三菱ガス化学社製:登録商標)
保存開始直後、保存開始2、4及び8週間後におけるピタバスタチンカルシウム塩からの5−ケト体の分解生成量を、試験例1と同様の条件によるHPLCにて測定した。
それらの結果を、下記表2〜5に示した。
また、図2に製造ロット2のピタバスタチンカルシウム塩の開始時のHPLC分析チャート図を、図3に、脱酸素剤P(ファーマキープ:登録商標)共存下での保存8週間後のHPLC分析チャート図を示した
しかしながら、その後は、開始時に5−ケト体が微量存在するものも、0.1%程度存在するものも、両者ともに4週間以降では増加を認めていない。
したがって、脱酸素剤を共存させることにより、効果的に5−ケト体の分解生起が抑制されていることが理解される。
また、図2及び3の結果の対比からも、脱酸素剤を共存させることにより、5−ケト体の分解生成が良く抑制されているものであることが判明する。
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
このピタバスタチンカルシウム塩の結晶500gをポリエチレン袋に二重に入れ、各々のポリエチレン袋を結束バンド(インシュロックタイ:登録商標)で縛る。これをアルミ蒸着ポリエチレン袋に入れる。ポリエチレン袋とアルミ蒸着ポリエチレン袋の間にファーマキープKH−500(三菱ガス化学社製)を一ついれ、ヒートシーラーでシールした。
本発明方法は、複雑な操作を必要としないで、医薬品原料となる製造直後の高品質のピタバスタチンカルシウム塩の結晶を製剤化に用いられるまでの間、長期にわたって安定な状態で保存できるものであり、その利点は多大なものである。
Claims (2)
- ピタバスタチンカルシウム塩の結晶を封入したポリエチレン袋を、更に別のポリエチレン袋に脱酸素剤と共に封入して封緘し、酸素を排除した条件下に保存することを特徴とする、ピタバスタチンカルシウム塩からの5−ケト体の分解生成を抑制する保存方法。
- ピタバスタチンカルシウム塩の結晶を封入したポリエチレン袋を封入する別のポリエチレン袋が、アルミ蒸着したポリエチレン袋である請求項1に記載のピタバスタチンカルシウム塩からの5−ケト体の分解生成を抑制する保存方法。
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