JP6149501B2 - 同期機の磁極位置検出装置 - Google Patents
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Description
ここで、回転子の磁極位置を検出するには、レゾルバやアブソリュートエンコーダ等の位置センサが用いられる。これらの位置センサは、磁極の絶対位置を直接検出することができるため、絶対位置センサと呼ばれることもある。
また、特許文献2では、回転子が停止している状態で界磁巻線に直流電圧をステップ状に印加し、そのときの三相各相の誘起電圧を二軸回転座標上のd軸電圧Vd、q軸電圧Vqに変換して数式1により初期磁極位置θstartを演算している。
[数1]
θstart=tan−1(Vd/Vq)
また、相対位置センサを備えたシステムにおいても、変圧器起電力を利用して推定した初期磁極位置を、a,bパルスを計数するカウンタにプリセットすれば、磁極と位置センサとの原点調整を行うことができる。
このため、同期電動機に界磁電流だけを流して電機子電流がゼロである場合でも、上記コギングトルクによって回転子が回転する場合がある。回転子が回転すると、前記数式1におけるq軸電圧Vqには回転による誘起電圧、すなわち速度起電力が含まれるので、初期磁極位置θstartには原理的な誤差が含まれることになり、正確な値にならないという問題がある。
前記同期機の停止状態において界磁電流を通流させた時の前記同期機の誘起電圧を3相/2相変換して得た電圧の比を用いて第1の磁極位置を演算する初期位置演算回路と、
前記第1の磁極位置を用いて前記電力変換器を運転し、前記同期機の誘起電圧が所定値に達した時点で前記同期機をフリーランさせ、その時の前記同期機の誘起電圧に基づいて得た磁極位置と前記相対位置センサの出力パルスに基づく角度との差を補正量として前記角度を補正することにより、前記相対位置センサと原点を一致させた第2の磁極位置を演算する磁極位置演算回路と、
を備えたことを特徴とする。
これにより、第1段階で仮にコギングトルクが発生し、これが同期機の誘起電圧に影響したとしても、その影響は第2段階の微調整によって解消され、磁極の原点と位置センサの原点とを正確に一致させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る同期機の制御システムを示すブロック図である。図1において、1は界磁変換器4及び界磁巻線2により直流励磁される三相の同期機(同期電動機)であり、この同期機1は、任意の大きさ及び周波数の三相交流電圧を出力するインバータ等の電力変換器3によって駆動される。
一方、同期機1の回転子には、zパルス付き相対位置センサ6が取り付けられている。この位置センサ6は、前述したようにa,bパルスの他にzパルスも出力可能なロータリーエンコーダによって構成されている。
図2は、位置センサ6の出力パルスを示す波形図であり、この出力パルスは、位相が90°elずれたaパルス,bパルス、及び、同期機1の回転子の1回転ごとに一つ出力されるzパルスからなっている。
なお、図3,図4は同期機1が4極の場合のものである。
初期位置演算回路10は、電圧Vα,Vβ及び角度θabに基づき、変圧器起電力による第1の磁極位置(初期磁極位置)θcalを推定演算する。また、磁極位置演算回路11は、電圧Vα,Vβ及び角度θabzに基づき、速度起電力による第2の磁極位置θabsを演算する。
同期機1が停止している状態で制御電源を立ち上げると、界磁変換器4は、電力変換器3の制御装置からの電流指令に従って界磁巻線2に直流電流を供給する。ここで、同期機1が停止状態であることは、位置センサ6の出力パルスや電圧検出器5a,5bによる電圧検出値から判定可能である。
[数2]
θinitial=tan−1(Vβ/Vα)
この演算結果は、図7における時間Δtにラッチ部10にてラッチされ、初期位置θiniとして出力される。この初期位置θiniは図6におけるθiniに相当しており、加算手段10cにより角度θabに加算され、磁極位置θcalとして出力される。但し、この時点では同期機1が停止しているので、角度θabはゼロであり、磁極位置θcal=θiniである。
同期機1の起動時には、図1におけるスイッチ12を初期位置演算回路10側に接続することにより、磁極位置θとしてθcalが出力され、この磁極位置に基づいて電力変換器3を運転することにより、同期機1が駆動される。
ここで、反転部11b及びPI調節部11c等はPLL(フェイズ・ロックド・ループ)を構成しており、PI調節部11cはVd=0となるように動作して周波数成分を出力する。
前述したように初期位置演算回路10による磁極位置θcalを用いて電力変換器3を起動し、同期機1から十分な大きさの誘起電圧が発生する基底速度の50%程度まで加速した後、電力変換器3を停止して同期機1をフリーランさせる。
同期機1のフリーラン中に誘導される電圧(速度起電力)を電圧検出器5a,5bにより検出し、3相2相変換器9を介して図8の2軸回転座標変換器11aに取り込み、d軸電圧Vd,q軸電圧Vqに変換する。なお、q軸電圧Vqは使用しないものとする。
360°elカウンタ11dから出力された角度θabs’は減算手段11fに入力されて角度θabzとの差分が求められる。この差分はラッチ部11gによりラッチされて補正量θdevとなるが、この補正量θdevは一度ラッチしたら更新せず、固定値として使用される。
この補正量θdevは、不揮発性の記憶手段に書き込まれる。そうすれば、その後に制御電源をオフして投入した時、記憶手段から読み出した補正量θdevを最初のzパルスに基づいて得られる角度θabzに加算して、第2の磁極位置θabsを求めることができる。
初期位置演算回路10により磁極位置θcalを用いて同期機1を起動した後、同期機1が少なくとも1回転した後にスイッチ12を切り替え、磁極位置演算回路11により演算した磁極位置θabsを用いるようにする。この場合、スイッチ12をθcal側からθabs側に切り替えるに当たり、減算手段12aによりθcalとθabsとの差を求めてラッチ部12bに保持し、更に、出力が最終的にゼロになるように徐々に減少するランプ関数12cに入力してその出力を加算手段12dにてθabsに加算することにより、θcalからθabsへの切り替えをショックレスにて行うことができる。
このようにθcalからθabsへショックレスにて切り替えて得た磁極位置θを用いて電力変換器3を運転することにより、同期機1を起動して所定のトルク制御、速度制御等を行えばよい。
なお、電力変換器3が停止して同期機1がフリーラン状態にあるときは、磁極位置θを、第1の磁極位置θcalから第2の磁極位置θabsへ瞬時に切り替えることもできる。
このため、第1段階で仮にコギングトルクが発生したとしても、その影響は第2段階の微調整によって解消され、磁極の原点と位置センサの原点とを正確に一致させることができる。
2:界磁巻線
3:電力変換器
4:界磁変換器
5a,5b:電圧検出器
6:zパルス付き相対位置センサ
7:abパルス計数器
8:zパルスリセット付きabパルス計数器
9:3相2相変換器
10:初期位置演算回路
10a:角度演算部
10b:ラッチ部
10c:加算手段
11:磁極位置演算回路
11a:2軸回転座標変換部
11b:反転部
11c:PI調節部
11d:360°elカウンタ
11e:バッファ
11f:減算手段
11g:ラッチ部
11h:加算手段
12:スイッチ
12a:減算手段
12b:ラッチ部
12c:ランプ関数
12d:加算手段
Claims (2)
- 電力変換器により制御され、かつ、回転子に設置された相対位置センサを有する同期機の磁極位置検出装置において、
前記同期機の停止状態において界磁電流を通流させた時の前記同期機の誘起電圧を3相/2相変換して得た電圧の比を用いて第1の磁極位置を演算する初期位置演算回路と、
前記第1の磁極位置を用いて前記電力変換器を運転し、前記同期機の誘起電圧が所定値に達した時点で前記同期機をフリーランさせ、その時の前記同期機の誘起電圧に基づいて得た磁極位置と前記相対位置センサの出力パルスに基づく角度との差を補正量として前記角度を補正することにより、前記相対位置センサと原点を一致させた第2の磁極位置を演算する磁極位置演算回路と、
を備えたことを特徴とする同期機の磁極位置検出装置。 - 請求項1に記載した同期機の磁極位置検出装置において、
前記第1の磁極位置から前記第2の磁極位置に切り替える際に、前記第1の磁極位置と前記第2の磁極位置との差を徐々に減少させて前記第2の磁極位置に加算する手段を備えたことを特徴とする同期機の磁極位置検出装置。
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