JP6149208B2 - ポーリング処理方法、磁場ポーリング装置及び圧電体膜 - Google Patents
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結晶33を10×10mm2の2枚の平行平板からなる1対の電極35の中心に、機械的ポーリングが施されていない方向に電場が印加されるように挟持する。そして、電極35ごと結晶33をオイルバス37内のオイル36中に浸漬し、結晶33を浸漬したオイル36をヒーター38によって125℃まで加熱する。所定の温度に達した後、高圧電源39からリード線40を介して電極35間に1kV/cmの直流電場を10時間印加する。これにより、結晶33にDCポーリング処理が施される(例えば特許文献1参照)。
また、本発明の一態様は、ポーリング処理された圧電体膜の特性を向上させることを課題とする。
(1)被ポーリング膜を磁気によってポーリング処理することを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜に対して磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記磁界の方向に対して垂直方向に且つ前記磁界に対して相対的に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。
前記ポーリング処理は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理するものであり、
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に且つ前記磁界に対して相対的に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜のキュリー温度以上で行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記ポーリング処理は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理するものであり、
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に且つ前記磁界の方向に対して垂直方向に且つ前記磁界に対して相対的に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜のキュリー温度以上で行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜を移動させることは、前記被ポーリング膜を回転移動させることであることを特徴とするポーリング処理方法。
前記磁界の強度は1000G/100mTより大きいことを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜は、基板上に形成されていることを特徴とするポーリング処理方法。
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜のキュリー温度以上で行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理することを特徴とするポーリング処理方法。
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜に対向する位置にプラズマを形成することを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜に対向する位置に直流プラズマを形成した際の直流電圧または前記被ポーリング膜に対向する位置に高周波プラズマを形成した際の直流電圧成分が±50V〜±2kVであることを特徴とするポーリング処理方法。
前記プラズマを形成する際の圧力が0.01Pa〜大気圧であることを特徴とするポーリング処理方法。
前記プラズマを形成する際のプラズマ形成用ガスは、不活性ガス、H2、N2、O2、F2、CxHy、CxFy及びエアーの群から選ばれた1種以上のガスであることを特徴とするポーリング処理方法。
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に且つ前記磁界の方向に対して垂直方向に且つ前記磁界に対して相対的に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に且つ前記磁界に対して相対的に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜は、誘電体材料膜、絶縁体材料膜、圧電体材料膜、焦電体材料膜および強誘電体材料膜のいずかの膜であることを特徴とするポーリング処理方法。
前記被ポーリング膜に対して磁界を発生させる磁石を保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部または前記第2の保持部を前記磁界の方向に対して垂直方向に移動させる移動機構と、
を具備することを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記磁石は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させるものであり、
前記移動機構は、前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させる機構であることを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記磁石によって前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記移動機構によって前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させることにより、前記第1の保持部に保持された前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理することを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記磁石は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させるものであり、
前記移動機構は、前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させる機構であることを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記磁石によって前記膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、前記移動機構によって前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させることにより、前記第1の保持部に保持された前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理することを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記ポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記被ポーリング膜は基板上に形成されており、
前記第1の保持部は前記基板を保持するものであることを特徴とする磁場ポーリング装置。
前記被ポーリング膜は、誘電体材料膜、絶縁体材料膜、圧電体材料膜、焦電体材料膜および強誘電体材料膜のいずかの膜であることを特徴とする磁場ポーリング装置。
(32)(31)において、
前記圧電体膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインがポーリングされていることを特徴とする圧電体膜。
(33)(31)または(32)において、
前記圧電体膜は、焦電体膜または強誘電体膜であることを特徴とする圧電体膜。
(34)(31)乃至(33)のいずれか一項において、
前記圧電体膜はゾルゲル法またはスパッタリング法により成膜されたものであることを特徴とする圧電体膜。
図1は、本発明の一態様に係る圧電体膜における90°ドメインと180°ドメインを模式的に示す図である。
図2は本発明の一態様に係る磁場ポーリング装置を模式的に示す概念図である。
被ポーリング膜2の下方には磁石を敷き詰めたプレート14が配置されており、この磁石によって被ポーリング膜2の膜厚方向に対して平行方向(例えば図2の矢印12で示す方向)に磁界(磁場)Bが発生される。被ポーリング膜2は固定された状態で、プレート14は図示せぬ回転機構によって矢印13で示す方向に回転される。これにより、磁界Bは、被ポーリング膜2の膜厚方向に対して垂直方向に移動される。言い換えると、磁界Bが被ポーリング膜2に対して相対的に移動されるため、矢印12で示す方向に磁界Bがかかっている被ポーリング膜2が磁界Bの方向と垂直方向(矢印13で示す方向)に力Fが加えられて動くことになる。その結果、フレミングの法則に従って、被ポーリング膜2の外側から中央に向かって電流Iが被ポーリング膜2に発生される。また、磁界の強度は1000G/100mTより大きいことが好ましく、より好ましくは2310G/231mTである。その理由は、1000G/100mT以下の磁界の強度では十分にポーリングすることができないためである。
詳細には、被ポーリング膜2の膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、被ポーリング膜2を、その膜厚方向に対して垂直方向(例えば矢印13で示す方向)に且つ磁界の方向に対して垂直方向に且つ磁界に対して相対的に移動させる。これにより、被ポーリング膜2に電流を膜厚方向に対して平行方向に発生させることができ、被ポーリング膜2の180°ドメインに対するポーリング処理を行うことができる。
図6は、本発明の一態様に係るプラズマポーリング装置を模式的に示す断面図である。このプラズマポーリング装置は、被ポーリング膜2の180°ドメインに対するポーリング処理を行うための装置である。
本発明の一態様に係るポーリング処理方法について説明する。ここで、ポーリング処理方法とは、磁気によるポーリング処理(即ち分極処理とは、ある方向に磁界(磁場)がかかっているセラミック片が磁界に対して相対的に動いた時に、そのセラミック片内にかかる起電力を利用して強誘電体に圧電活性を与えるプロセス)、または、いわゆる強電界によるポーリング処理(即ち分極処理とは、電極を設けたセラミック片に直流高電界を印加し、強誘電体に圧電活性を与えるプロセス)の事を指すだけではなく、熱ポーリングまでを含めるものとする。この熱ポーリングは、中でも特に、誘電体を加熱しながら、磁界又は直流電圧又は高周波を印加し、磁界又は電圧又は高周波をきることで、予め誘電体に異方性を持たせることができる。熱エネルギーを与えることで誘電体内のイオンが運動しやすい状態となり、そこに磁界又は電圧が印加されることでイオンの移動及び分極が誘起される結果、基板の全体が早くポーリングされる。
なお、熱ポーリング処理を行う場合は、ポーリング装置に加熱機構を付加し、この加熱機構によって被ポーリング膜を加熱する必要がある。
まず、被ポーリング膜を用意する。被ポーリング膜はポーリング処理が施される前の膜であり、例えば誘電体材料膜、絶縁体材料膜、圧電体材料膜、焦電体材料膜及び強誘電体材料膜のいずれかの膜であるとよい。圧電体材料膜は、ゾルゲル法またはスパッタリング法により成膜されたものであるとよい。
TiO2、MgTiO3−CaTiO3系、BaTiO3系、CaSnO3、SrTiO3、PbTiO3、CaTiO3、MgTiO3、SrTiO3、CaTiO3系:BaTiO3系、BaO−R2O3−nTiO2系(R=Nd、Sm・・・、n=4、5・・・)、Al2O3、ダイヤモンド系(ダイヤモンドライクカーボン等)、BN、SiC、BeO、AlN、BaTi5O11、Ba2Ti9O20、タングステンブロンズAXBO3:Ba2NaNb5O15(BNN)、Ba2NaTa5O15 (BNT)、Sr2NaNb5O15 (SNN)、K3Li2Nb5O15 (KLN)、K2BiNb5O15 (KBN)、ペロブスカイト系、(K,Na,Li)(Nb,Ta,Sb)O3、BixNa1−xTiO3(BNT)、BixK1−xTiO3(BKT)、BiFeO3、SrBi2Ta2O9(SBT)、Bi4Ti3O12、Bi4―xLaxTi3O12(BLT)、SrBi2Nb2O9(SBN)、Bi2WO4(BWO)、SiO2、LiNbO3、LiTaO3、Sr0.5Ba0.5Nb2O6、KDP(KH2PO4)、C4H4O6NaK・4H2O、NaNO2、(NH2)2CS、K2SeO4、PbZrO3、(NH2)2CS、(NH4)SO4、NaNbO3、BaTiO3、PbTiO3、SrTiO3、KNbO3、NaNbO3、BiFeO3、(Na、La)(Mg、W)O3、La1/3NbO3、La1/3TaO3、Ba3MgTa2O9、Sr4NaSb3O12、A2BRO6(A:アルカリ土類、B:Fe,Ln、R:Mo,Mn,W,Ru,でBとRの原子価差2以上)、Bi2NiMnO6、Sr2FeMoO6、BaLnMn2O6、NaxWO3、Ln1/3NbO3、Ba2In2O5、Sr2Fe2O5、Sr2Nd2O7、Sr2Ta2O7、La2Ti2O7、MgSiO3、CaIrO3、CuNMn3、GaNMn3、ZnNMn3、CuNMn3、Ca2MnO4、FeTiO3、LiNbO3、LiTaO3、Gd2(MoO4)3、SrTiO3、KTaO3、RFe2O4、La2-x Srx CuO4 、、Me3B7O13X(Meはイオン半径0.97Å(Cd2+)〜0.66Å(Mg2+)、X:ハロゲン)、Ni3B7O13I、BiFeO3、BiMnO3、Pb2(Co1/2W1/2)O3、Pb(Fe1/2Nb1/2)O3、A2BRO6(A:アルカリ土類、B:Fe、Ln、R:Mo、Mn、W、Ru、BとRの原子価2以上)、Bi2NiMnO6 、YMnO3、YbMnO3、HoMnO3、BaMnF4、BaFeF4、BaNiF4、BaCoF4、YFe2O4、LuFe2O4、TbMnO3、DyMnO3、Ba2Mg2Fe12O22、CuFeO2、Ni3V2O8、LiCu2O2、LiV2O4、LiCr2O4、NaV2O4、NaCr2O4、CoCr2O4、LiFeSi2O6、NaCrSi2O6、LiFeSi2O6、NaCrSi2O6、MnWO4、TbMn2O5、DyMn2O5、HoMn2O5、YMn2O5 R=Tb、Dy、Ho、Y、RbFe(MoO4)2、Pr3Ga5SiO14、Nd3Ga5SiO14、Nd3Ga5SiO14、A3BFe3Si2O14 A=Ba、Sr、Ca B=Nb、T各種パイロクロア酸化物、水晶(SiO2)、LiNbO3、BaTiO3、PbTiO3(PT)、Pb(Zr,Ti)O3( PZT )、Pb(Zr,Ti,Nb)O3(PZTN)、PbNb2O6、PVF2、PMN-PZT, マグネシウムニオブ酸鉛-PZT系 >Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)-PZT、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)-PZT、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)-PT、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)-PT、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 (PMN-PT)、BaTiO3、(Sr1-x, Bax)TiO3、(Pb1-y, Bay)(Zr1-x, Tix)O3 (ただしx=0〜1、y=0〜1)、CdTiO3、HgTiO3、CaTiO3、GdFeO3、SrTiO3、PbTiO3、BaTiO3、PbTiO3、PbZrO3、Bi0.5Na0.5TiO3、Bi0.5K0.5TiO3、KNbO3、LaAlO3、FeTiO3,MgTiO3,CoTiO3,NiTiO3, CdTiO3、(K1-xNax)NbO3、K(Nb1-xTax)O3、(K1-xNax)(Nb1-yTay)O3、KNbO3、RbNbO3、TlNbO3、CsNbO3、AgNbO3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3, Ba(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3、(Na1/2Bi1/2)TiO3, (K1/2Bi1/2)TiO3, (Li1/2Bi1/2)TiO3、Bi(Mg1/2Ti1/2)O3, Bi(Zn1/2Ti1/2)O3, Bi(Ni1/2Ti1/2)O3, (Bi,La)(Mg1/2Ti1/2)O3、 (A1+ 1/2A3+ 1/2)(B2+ 1/3B5+ 2/3)O3 (ここでA及びBには、A1+ = Li, Na, K, Ag、A2+=Pb, Ba, Sr, Ca、A3+= Bi, La, Ce, Nd、B1+= Li, Cu、B2+=Mg, Ni, Zn, Co, Sn, Fe, Cd, Cu, Cr、B3+= Mn, Sb, Al, Yb, In, Fe, Co, Sc, Y, Sn、B4+= Ti, Zr、B5+= Nb, Sb, Ta, Bi、B6+= W, Te, Re といった元素が入る。)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)、Pb(Mg1/3Ta2/3)O3 (PMTa)、Pb(Mg1/2W1/2)O3 (PMW)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)、Pb(Ni1/3Ta2/3)O3 (PNTa)、Pb(Ni1/2W1/2)O3 (PNW)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3 (PZN)、Pb(Zn1/3Ta2/3)O3 (PZTa)、Pb(Zn1/2W1/2)O3 (PZW)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3 (PScN)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O3 (PScTa)、Pb(Cd1/3Nb2/3)O3 (PCdN)、Pb(Cd1/3Ta2/3)O3 (PCdT)、Pb(Cd1/2W1/2)O3 (PCdW)、Pb(Mn1/3Nb2/3)O3 (PMnN)、Pb(Mn1/3Ta2/3)O3 (PMnTa)、Pb(Mn1/2W1/2)O3 (PMnW)、Pb(Co1/3Nb2/3)O3 (PCoN)、Pb(Co1/3Ta2/3)O3 (PCoTa)、Pb(Co1/2W1/2)O3 (PCoW)、Pb(Fe1/2Nb1/2)O3 (PFN)、Pb(Fe1/2Ta1/2)O3 (PFTa)、Pb(Fe2/3W1/3)O3 (PFW)、Pb(Cu1/3Nb2/3)O3(PCuN)、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3 (PYbN)、Pb(Yb1/2Ta1/2)O3 (PYbTa)、Pb(Yb1/2W1/2)O3 (PYbW)、Pb(Ho1/2Nb1/2)O3 (PHoN)、Pb(Ho1/2Ta1/2)O3 (PHoTa)、Pb(Ho1/2W1/2)O3? (PHoW)、Pb(In1/2Nb1/2)O3 (PInN)、Pb(In1/2Ta1/2)O3 (PInTa)、Pb(In1/2W1/2)O3 (PInW)、Pb(Lu1/2Nb1/2)O3 (PLuN)、Pb(Lu1/2Ta1/2)O3 (PLuTa)、Pb(Lu1/2W1/2)O3 (PLuW)、Pb(Er1/2Nb1/2)O3 (PErN)、Pb(Er1/2Ta1/2)O3 (PErT)、Pb(Sb1/2Nb1/2)O3 (PSbN)、Pb(Sb1/2Ta1/2)O3 (PSbT)、BaZrO3-BaTiO3、BaTiO3-SrTiO3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3(PMN)、PMN-PbTiO3、PMN-PZT、非線形光学材料(無機物質)例えば、ガーネット結晶( Y A G , Y A O , Y S O , G SG G , G G G ) でもよいし、フッ化物結晶( Y L F 、L i S A F 、L i C A F ) でも、タングステート結晶( K G W 、K Y W ) 、バナデート結晶( Y V O 4 、G d V O 4 など) でも良い。他にB B O 、C B O 、C L B O 、YC O B 、G d C O B 、G d Y C O B 、K T P 、K T A 、K D P 、L i N b O 3 でもよい。
次に、図3、図4および図5(A)に示す磁場ポーリング装置を用いて被ポーリング膜2にポーリング処理を行うことについて説明する。
詳細には、プレート14に敷き詰められた磁石15によって被ポーリング膜2の膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、モータ19によって回転軸18とともにプレート14を回転させる。これにより、磁界が被ポーリング膜2に対して相対的に移動されるため、図2に示すように、矢印12で示す方向に磁界Bがかかっている被ポーリング膜2が磁界Bの方向と垂直方向(矢印13で示す方向)に力Fが加えられて動くことになる。その結果、フレミングの法則に従って、被ポーリング膜2の外側から中央に向かって電流Iが被ポーリング膜2に発生される。
次に、90°ドメインに対するポーリング処理が行われた被ポーリング膜2に、180°ドメインに対するポーリング処理を行うことについて説明する。
なお、180°ドメインに対するポーリング処理とは、被ポーリング膜2の膜厚方向に対して平行方向に電界を発生させて行うポーリング処理であり、以下に示す3つの方法を用いることができる。
まず、被ポーリング膜2をポーリングチャンバー1内に挿入し、このポーリングチャンバー1内の保持電極4上に被ポーリング膜2を保持する。
詳細には、排気ポンプによってポーリングチャンバー1内を真空排気する。次いで、ガスシャワー電極7の供給口からシャワー状のプラズマ形成用ガス(例えば不活性ガス、H2、N2、O2、F2、CxHy、CxFy及びエアーの群から選ばれた1種以上のガス)を、ポーリングチャンバー1内に導入して被ポーリング膜2の表面に供給する。この供給されたプラズマ形成用ガスは、保持電極4とアースシールド5との間を通ってポーリングチャンバー1の外側へ排気ポンプによって排気される。そして、プラズマ形成用ガスの供給量と排気のバランスにより、所定の圧力、プラズマ形成用ガス流量に制御することによりポーリングチャンバー1内をプラズマ形成用ガス雰囲気とし、高周波電源6により例えば380kHz、13.56MHzの高周波(RF)を印加し、プラズマを発生させることにより被ポーリング膜2にポーリング処理を行う。このポーリング処理は、圧力が0.01Pa〜大気圧で、電源が直流電源、高周波電源又はマイクロ波電源で、処理温度が被ポーリング膜2のキュリー温度以上(好ましくはキュリー温度に100℃加えた温度以上の温度)で、プラズマを形成する際の直流電圧成分が±50V〜±2kVである条件で行うことが好ましい。次いで、被ポーリング膜2の180°ドメインに対するポーリング処理を所定時間行った後に、ガスシャワー電極7の供給口からのプラズマ形成用ガスの供給を停止し、ポーリング処理を終了する。
前記の<磁場ポーリング装置>の欄で図2を用いて説明したように、被ポーリング膜2の膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、被ポーリング膜2を、その膜厚方向に対して垂直方向(例えば図2の矢印13で示す方向)に且つ磁界の方向に対して垂直方向に且つ磁界に対して相対的に移動させる。
例えば、図3、図4および図5(A)で説明した90°ドメインの磁場ポーリング装置において、図4に示す磁石15を図5(A)から図5(B)に変更することによって180°ドメインの磁場ポーリング装置を実現することができる。図4に示すプレート14の複数の穴15aには、それぞれ図5(B)に示す磁石が設置される。この際に発生する磁界の方向は被ポーリング膜2の膜厚方向に対して垂直方向である。
このようにして、被ポーリング膜2に電流を膜厚方向に対して平行方向に発生させることができ、被ポーリング膜2の180°ドメインに対するポーリング処理を行うことができる。この際のポーリング処理は、被ポーリング膜2を、キュリー温度以上の温度、またはキュリー温度に100℃加えた温度以上の温度から冷却しながら行う。
例えば図9に示す直流電場を用いたポーリング処理装置を用いて、キュリー温度以上の温度、またはキュリー温度に100℃加えた温度以上の温度から冷却しながら、被ポーリング膜の180°ドメインに対するポーリング処理を行う。これにより、ポーリング処理された圧電体等の特性を向上させることができる。
本実施形態によれば、圧電体膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメイン9がポーリングされ、圧電体膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメイン8がポーリングされた圧電体膜を得ることができる(図1参照)。
25重量%Pb15%過剰ゾルゲルPZT溶液(Pb/Zr/Ti=115/52/48)を用いてスピンコートを行った。これにより、ウエハ上にPZT溶液を塗布した。一回当たり塗布量は500μLとし、スピン条件は以下の条件を用いてPZT厚膜塗布を行った。
(スピン条件)
0〜300rpmまで3秒で上昇、3秒保持
300〜500rpmまで5秒で上昇、5秒保持
500〜1500rpmまで5秒で上昇、90秒保持
処理温度 : 500℃からの自然冷却
磁場の強さ : 2310G(ガウス)
回転速度 : 10rpm
比較例1では、90°ドメインに対してポーリング処理を行わない点を除いて、実施例1と同様の方法でPZT厚膜を作製し、180°ドメインに対してポーリング処理を行った。
図8は、比較例1によるPZT厚膜のヒステリシス評価を行った結果(縦軸:残留分極Pr(μC/cm2),横軸:印加電圧Vc(V))を示す図である。
2…被ポーリング膜
3…プラズマ形成用ガスの供給機構
4…保持電極
5…アースシールド
6…高周波電源
7…ガスシャワー電極(対向電極)
8…被ポーリング膜の180°ドメイン
9…被ポーリング膜の90°ドメイン
11〜13…矢印
14…プレート
15…磁石
15a…穴
16…アルミプレート
17…固定治具
18…回転軸
19…モータ
33…結晶
35…1対の電極
36…オイル
37…オイルバス
38…ヒーター
39…高圧電源
40…リード線
B…磁界
F…被ポーリング膜に加えられる力
I…電流
Claims (19)
- 被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理し、
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。 - 被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理し、
前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理し、
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜に対向する位置にプラズマを形成することを特徴とするポーリング処理方法。 - 被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理し、
前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理し、
前記180°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に且つ前記磁界の方向に対して垂直方向に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜のキュリー温度以上で行うことを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項1において、
前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理することを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項2において、
前記被ポーリング膜に対向する位置に直流プラズマを形成した際の直流電圧または前記被ポーリング膜に対向する位置に高周波プラズマを形成した際の直流電圧成分が±50V〜±2kVであることを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項2又は7において、
前記プラズマを形成する際の圧力が0.01Pa〜大気圧であることを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項2、7及び8のいずれか一項において、
前記プラズマを形成する際のプラズマ形成用ガスは、不活性ガス、H2、N2、O2、F2、CxHy、CxFy及びエアーの群から選ばれた1種以上のガスであることを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項2、3、7乃至9のいずれか一項において、
前記90°ドメインのポーリング処理は、前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記被ポーリング膜を、前記膜厚方向に対して垂直方向に移動させることを特徴とするポーリング処理方法。 - 請求項1乃至10のいずれか一項において、
前記被ポーリング膜は、誘電体材料膜、絶縁体材料膜、圧電体材料膜、焦電体材料膜および強誘電体材料膜のいずかの膜であることを特徴とするポーリング処理方法。 - 被ポーリング膜を保持する第1の保持部と、
前記被ポーリング膜に対して磁界を発生させる磁石を保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部または前記第2の保持部を前記磁界の方向に対して垂直方向に移動させる移動機構と、
を具備することを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項12において、
前記磁石は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させるものであり、
前記移動機構は、前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させる機構であることを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項13において、
前記磁石によって前記膜厚方向に対して平行方向に磁界を発生させながら、前記移動機構によって前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させることにより、前記第1の保持部に保持された前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向の90°ドメインをポーリング処理することを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項12において、
前記磁石は、前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させるものであり、
前記移動機構は、前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させる機構であることを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項15において、
前記磁石によって前記膜厚方向に対して垂直方向に磁界を発生させながら、前記移動機構によって前記第1の保持部または前記第2の保持部を回転させることにより、前記第1の保持部に保持された前記被ポーリング膜の膜厚方向に対して平行方向の180°ドメインをポーリング処理することを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項14または16において、
前記ポーリング処理は、前記被ポーリング膜をキュリー温度以上の温度から冷却しながら行うことを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項12乃至17のいずれか一項において、
前記被ポーリング膜は基板上に形成されており、
前記第1の保持部は前記基板を保持するものであることを特徴とする磁場ポーリング装置。 - 請求項12乃至18のいずれか一項において、
前記被ポーリング膜は、誘電体材料膜、絶縁体材料膜、圧電体材料膜、焦電体材料膜および強誘電体材料膜のいずかの膜であることを特徴とする磁場ポーリング装置。
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