JP6148644B2 - 車両制動制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両の衝突に応じて車両の制動力を自動で増加させる車両制動制御装置に関する。
走行している車両が、信号待ちや渋滞等で停止している車両の後部に衝突すると、衝突された車両が前方に押し出されてさらにその前方に停止している車両の後部に衝突する、所謂多重衝突が発生する。こうした多重衝突を防止するために、車両の衝突に応じて車両の制動力を、ドライバーの操作の有無に関わらず自動で増加させる自動ブレーキシステムが開発されている。
例えば、特許文献1は、発生した衝突の程度や衝突の形態に応じて、自動ブレーキの作動時間を変える技術を示している。また、特許文献2は、自動ブレーキを作動させてから所定時間(不惑時間)経過後にドライバーの操作に応じて自動ブレーキを解除する技術を示している。
特開2012−1091号公報 特表2009−532790号公報
特許文献1及び特許文献2を含む従来技術は、衝突発生直後から車両に自動ブレーキを作動させている。しかしながら、衝突の際にブレーキ系統に異常が発生することがある。このような場合には自動ブレーキ制御を正常に行うことができず、車両の姿勢が不安定になることがある。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、衝突時の自動ブレーキ制御を適切に行う車両制動制御装置を提供することを目的とする。
この発明が適用される車両には、車両の駆動源として内燃機関、及び(又は)駆動モータを備えるものが該当し、内燃機関自動車の他、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)及びFCV(燃料電池自動車)等の電気自動車が含まれる。
この発明に係る車両制動制御装置は、車両の衝突を検知する衝突検知部と、前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に車両の制動力を増加させる制動力増加部と、を備えた車両制動制御装置において、前記制動力増加部の異常判定を行う異常判定部を備え、前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に、前記異常判定部が前記制動力増加部の異常判定を行い、前記異常判定の結果が正常であった場合に、前記制動力増加部が車両の制動力を増加させることを特徴とする。
この発明によれば、衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に、異常判定部が制動力増加部の異常判定を行い、異常判定の結果が正常であった場合に、制動力増加部が車両の制動力を増加させるようにしている。このため、車両のブレーキ系統に異常が発見された場合に、自動ブレーキ制御は行われないことになる。したがって、不適切な自動ブレーキ制御を行わず、適切な自動ブレーキ制御のみを行うことができるようになる。
また、前記制動力増加部は、前記衝突検知部が車両の衝突を検知した後から前記異常判定部が異常判定を終了するまでの間に車両の制動力を増加させるときに、前記異常判定の結果が正常である場合に車両に作用させる制動力よりも低い制動力を車両に作用させることも可能である。異常判定の間に車両に低い制動力を作用させておけば、異常判定の結果が正常である場合に、車両に高い制動力を早期に作用させることができる。
また、前記異常判定の結果が、前記制動力増加部が作動可能な異常である場合は、前記制動力増加部が車両の制動力を増加させることも可能である。制動力増加部が作動可能であれば、制動力を発生させることができるため、制動距離を短縮できる。
この発明によれば、衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に、異常判定部が制動力増加部の異常判定を行い、異常判定の結果が正常であった場合に、制動力増加部が車両の制動力を増加させるようにしている。このため、車両のブレーキ系統に異常が発見された場合に、自動ブレーキ制御は行われないことになる。したがって、不適切な自動ブレーキ制御を行わず、適切な自動ブレーキ制御のみを行うことができるようになる。
この発明の実施形態に係る車両制動制御装置が組み込まれた車両の概略的なブロック構成図である。 この発明の実施形態に係る車両制動制御装置を示す機能ブロック図である。 車両制動制御装置の動作説明に供されるフローチャートである。 自動ブレーキ制御によって変化する減速度及び車速を示す図である。
以下、この発明に係る車両制動制御装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
[車両10の構成]
図1は、この発明の実施形態に係る車両制動制御装置11が組み込まれた車両10の概略的なブロック構成図である。
車両制動制御装置11は、ECU(電子制御ユニット)を含んで構成される各種の制御ユニットを備える。周知のように、ECUは、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時部としてのタイマ等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部(機能実現手段)、例えば制御部、演算部、及び処理部等として機能する。なお、これらの機能は、ハードウエアにより実現することもできる。また、ECUは、1個に統合することも可能であり、さらに分割することも可能である。
この実施形態において、ECUは、エアバッグ制御ユニット12及び走行安全制御ユニット14を含む統括制御ユニット16と、この統括制御ユニット16に接続される油圧制御ユニット18、エンジン制御ユニット20及びトランスミッション制御ユニット38と、から構成される。なお、統括制御ユニット16には、計時部(計時器)としてのタイマ13が含まれている。
統括制御ユニット16により、車両10の走行安全制御の全体的な動作が統括して制御される。
車両10は、4輪の車輪22を有し、4輪の車輪22には、それぞれ制動力を発生するディスクブレーキ等により構成されるブレーキアクチュエータ24が設けられている。ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)は、油圧制御ユニット18内の4つの圧力調整装置(不図示)によりそれぞれ制御される。
油圧制御ユニット18は、走行安全制御ユニット14の制御下にあり、ブレーキペダル操作量センサ28によって検出されるブレーキペダル26の操作量θbに応じた制動油圧を発生させてブレーキアクチュエータ24に出力する構成とされている。また、油圧制御ユニット18は、自動ブレーキ制御に応じた制動油圧を発生させてブレーキアクチュエータ24に出力する構成とされている。具体的には、油圧制御ユニット18は、図示しない圧力調整装置(ECU、油圧ポンプ、アキュムレータ、電動自動車の場合は負圧を発生させるための電動モータ等)を有する。この圧力調整装置は、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧を計測する液圧センサ19を含む。
ブレーキペダル26には、ブレーキペダル26が操作されているときにオンとなるブレーキスイッチ信号Sbを統括制御ユニット16に供給するブレーキスイッチ27が一体的に設けられている。車両10では、ブレーキスイッチ27のオンオフに応じて車両後部に設けられたブレーキランプ(不図示)が点灯乃至消灯される。
4輪の車輪22中、例えば前輪の左右輪には、エンジン30からトランスミッション(T/M)32を通じて駆動力が伝達される。
トランスミッション(T/M)32は、トランスミッション(T/M)制御ユニット38を通じてギアレンジが制御される。
エンジン30は、該エンジン30に設けられたスロットルバルブ(THV)31の開度(スロットル開度)THを調整するエンジン制御ユニット20を通じて回転数(エンジン回転数)等が制御される。
スロットルバルブ31のスロットル開度THは、アクセルペダル操作量センサ34により検出されるアクセルペダル36の操作量(アクセルペダル操作量、ペダル操作量、アクセル角度、又は操作角度ともいう。)θaに応じて調整される。
各車輪22にはそれぞれ車輪速センサ(不図示)が設けられ、4つの車輪速センサにより検知された車輪速及びそれらの平均値が、車速センサ46により検知される車両10の車速Vとして統括制御ユニット16に供給される。
エアバッグ制御ユニット12は、走行安全制御ユニット14、衝突検知センサ40、Gセンサ50及びインフレータ42に接続されている。
衝突検知センサ40は、例えば圧力センサであり、車両10に6個設けられ、それぞれ図示はしないが、車両10のフロントフレームの左右に右前面衝突検知センサと左前面衝突検知センサが設けられ、車両10の中央フレームの左右に右側面衝突検知センサと左側面衝突検知センサが設けられ、車両10のリアフレームの左右に右後面衝突検知センサと左後面衝突検知センサが設けられている。
さらに、車両10の重心位置に、車両10の直交3軸方向(車長方向、車幅方向、車高方向)の加速度aを検出する高感度のGセンサ、ロールレートセンサ、ヨーレートセンサ、及び低感度の直交2軸(車長方向、車幅方向)のGセンサを含むGセンサ50が設けられている。
エアバッグ制御ユニット12には、衝突検知センサ40によって車両10の衝突を検知したときに衝突検知センサ40から衝突時圧力に対応する衝突検知信号Scが供給されると共に、Gセンサ50から衝突時の加速度信号Sa(Gに換算可能である。)が供給される。
エアバッグ制御ユニット12は、衝突検知信号Sc及び加速度信号Saに基づいて当該衝突が発生した箇所に対応するエアバッグ44を展開させるエアバッグ展開信号Sabを発生してインフレータ42を駆動する。
一方、走行安全制御ユニット14は、各車輪22のスリップ・ロック状態を判定し、油圧制御ユニット18を介して制動時の各車輪22の制動油圧を独立に調整するABS機能を有する他、例えば、車両10の姿勢・挙動が乱れた際に、車両10の横滑りを防いで方向安定性を向上させる制御を行うものである。この方向安定性を向上させる車両姿勢安定化システムは、例えばVSA(Vehicle Stability Assist)システムに係る技術として知られている。
走行安全制御ユニット14は、車両10の姿勢・挙動等をGセンサ50及び車速センサ46(各車輪速センサ)等によって感知し、オーバーステアと判断すると車輪22中、前輪の旋回外側の車輪22にブレーキをかけるように油圧制御ユニット18を制御する。
走行安全制御ユニット14は、逆にアンダーステアと判断した場合は、エンジン制御ユニット20を通じてスロットルバルブ31のスロットル開度THを小さくしてエンジン30の駆動力を落とす(低減する)と共に、車両10中、後輪の旋回内側の車輪22にブレーキをかけるよう油圧制御ユニット18を制御する。
走行安全制御ユニット14は、エアバッグ制御ユニット12からのエアバッグ展開信号(エアバッグ制御信号)Sabに基づいて、車両10の衝突(エアバッグ展開衝突又は単に展開衝突という。)を認識する。
走行安全制御ユニット14は、車両の衝突を認識した場合に、当該衝突を検出した後(衝突検出時以降)に自動的に油圧制御ユニット18を自動ブレーキ制御する。自動ブレーキ制御について以下で説明をする。
[車両制動制御装置11の機能ブロック]
図2はこの発明の実施形態に係る車両制動制御装置11を示す機能ブロック図である。図2で示すように、自動ブレーキ制御システムという観点では、車両制動制御装置11は、大きくは、衝突検知部62と制動力増加部64と異常判定部144という三つの機能ブロック(サブシステムともいう)に分けられる。
衝突検知部62は、車両10の衝突を検知する機能ブロックである。衝突検知部62には、衝突検知センサ40とGセンサ50とエアバッグ制御ユニット12とが含まれる。
制動力増加部64は、衝突検知部62が車両10の衝突を検知した場合に車両10の制動力を増加させる機能ブロックである。制動力増加部64には、走行安全制御ユニット14の一機能ブロックである自動ブレーキ制御部142と油圧制御ユニット18とブレーキアクチュエータ24とが含まれる。
異常判定部144は、走行安全制御ユニット14の一機能ブロックであり、制動力増加部64の異常判定を行う機能ブロックである。異常判定部144が判定する異常の種類は適宜設定できる。この実施形態において、異常判定部144は、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧を計測する液圧センサ19の圧力信号Spを監視しており、圧力信号Spを受信できない場合、又は、圧力信号Spの示す値が所定圧未満である場合に異常と判定する。
[自動ブレーキ制御の処理フロー]
次に、他の車両が停止している車両10に後方から衝突した場合を想定し、その場合に車両10の車両制動制御装置11が行う自動ブレーキ制御を、図2に示す機能ブロック図及び図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、フローチャートに係るプログラムの実行主体は統括制御ユニット16である。
ステップS1にて、走行安全制御ユニット14は、エアバッグ44が展開したか否かを判断する。衝突が発生すると、衝突検知センサ40は、車両10の衝突時圧力に対応する衝突検知信号Scをエアバッグ制御ユニット12に供給する。また、Gセンサ50は衝突時の加速度信号Saをエアバッグ制御ユニット12に供給する。エアバッグ制御ユニット12は、衝突検知信号Sc及び加速度信号Saに基づいて衝突が発生した箇所に対応するエアバッグ44(図1参照)を展開させるエアバッグ展開信号Sabを発生させる。このエアバッグ展開信号Sabは、インフレータ42(図1参照)に供給されると共に、走行安全制御ユニット14に衝突検知の信号として供給され、さらにタイマ13に計時開始を指示する信号として供給される。このエアバッグ展開信号Sabをもって走行安全制御ユニット14はエアバッグ44が展開したと判断する(ステップS1:YES)。
なお、エアバッグ制御ユニット12は、発生した衝突が軽度の場合にはインフレータ42及び自動ブレーキ制御部142にエアバッグ展開信号Sabを供給しない。この場合に自動ブレーキ制御は行われない(ステップS1:NO)。重度の衝突が発生し、エアバッグ44が展開していると判断されると、以下で説明するステップS2〜ステップS4の処理がほぼ並行して行われる。
ステップS2にて、走行安全制御ユニット14の自動ブレーキ制御部142は、車両10に予備ブレーキを作用させることによって衝突発生前よりも制動力を増加させる。自動ブレーキ制御部142が、油圧制御ユニット18に予備ブレーキの指示をだす。油圧制御ユニット18は、予備ブレーキの指示に基づいて、Gセンサ50で検出される加速度(以下で減速度という)aが0.3G〜0.4Gとなるように、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)を制御する。予備ブレーキの減速度0.3G〜0.4Gというのは、後に行う本ブレーキの減速度よりも低い。このため、車両10には予備ブレーキによって本ブレーキよりも低い制動力が作用する。
ステップS3にて、走行安全制御ユニット14の異常判定部144は、異常判定を行う。ここでは、異常判定部144は、油圧制御ユニット18に設けられた液圧センサ19の圧力信号Spを監視している。異常判定部144は、液圧センサ19の圧力信号Sp自体を受信でき、且つ、圧力信号Spの示す値が予備ブレーキで必要な圧力以上であることを検知した場合に、自動ブレーキ制御部142に異常判定の結果が正常であることを通知する。一方、異常判定部144は、液圧センサ19の圧力信号Sp自体を受信できない、又は、圧力信号Spの示す値が予備ブレーキで必要な圧力未満であることを検知した場合に、自動ブレーキ制御部142に異常判定の結果が異常であることを通知する。
ステップS4にて、自動ブレーキ制御部142は、トランスミッション制御ユニット38(図1参照)にオーバードライブ禁止の指示をだす。トランスミッション制御ユニット38は、トランスミッション32(図1参照)がギアアップしないように制御する。
ステップS5にて、自動ブレーキ制御部142は、ステップS1にて計測を開始したタイマ13の計測時間が所定時間、ここでは200msを経過したかを判断する。タイマ13の計測時間が200msを経過しない間は上記ステップS2〜ステップS4の処理が継続して行われる(ステップS5:NO)。タイマ13の計測時間が200msを経過すると異常判定は終了しており、次のステップS6の処理に移行する(ステップS5:YES)。
ステップS6にて、自動ブレーキ制御部142は、異常判定部144が行った異常判定の結果に基づき、ブレーキ系統に異常があるかを判断する。異常がないと判断した場合は、ステップS7の本ブレーキの処理に移行する(ステップS6:YES)。一方、異常があると判断した場合は、ステップS10の自動ブレーキ停止の処理に移行する(ステップS6:NO)。
ステップS7にて、自動ブレーキ制御部142は、車両10に本ブレーキを作用させることによって予備ブレーキ時よりも制動力を増加させる。自動ブレーキ制御部142は、油圧制御ユニット18に本ブレーキの指示をだす。油圧制御ユニット18は、本ブレーキの指示に基づいて、Gセンサ50で検出される減速度aが0.5G〜1.0Gとなるように、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)を制御する。車両10には本ブレーキによって高い制動力が作用する。
ステップS8にて、自動ブレーキ制御部142は、車速センサ46(図1)で検出された車両10の車速Vが0(ゼロ)であるかを判断する。車両10の車速Vが0(ゼロ)でない場合は上記ステップS7の本ブレーキは継続される(ステップS8:NO)。車両10の車速Vが0(ゼロ)になった場合は次のステップS9の処理に移行する(ステップS8:YES)。
ステップS9にて、自動ブレーキ制御部142は、車両10に5sの間だけ所定圧の本ブレーキを作用させる。自動ブレーキ制御部142は、油圧制御ユニット18に所定圧の本ブレーキの指示をだす。油圧制御ユニット18は、所定圧の本ブレーキの指示に基づいて、液圧センサ19で計測される圧力信号Spの示す値が必要とされる所定圧となるように、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)を制御する。車速Vが0になった時点で、タイマ13による計時が開始され、その計時時間が5s経過した時点で次のステップS10の処理に移行する。
ステップS10にて、自動ブレーキ制御部142は、自動ブレーキを停止させる。自動ブレーキ制御部142は、油圧制御ユニット18に自動ブレーキ停止の指示をだす。油圧制御ユニット18は、自動ブレーキ停止の指示に基づいて、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)を制御して自動ブレーキを解除する。なお、手動ブレーキが作用している場合、油圧制御ユニット18は、ブレーキアクチュエータ24の制動油圧(制動力)を制御して手動ブレーキを維持する。
図4は自動ブレーキ制御によって変化する減速度a及び車速Vを示す図である。減速度aは、予備ブレーキによって衝突発生時点t1から200ms経過した時点t2まで0.4Gを維持し、本ブレーキによって時点t2経過後に0.5Gを維持する。車速Vは、衝突発生時点t1で急上昇した後、時点t2まで予備ブレーキの作用によって徐々に低下し、時点t2経過後に本ブレーキの作用によって大幅に低下する。そして、減速度a及び車速Vは時点t3で共に0になる。
[変形例]
上記実施形態で、異常判定部144は、液圧センサ19の圧力信号Spを監視して異常判定を行っている。しかし、他のセンサ等を監視してブレーキ系統の異常判定を行うようにしてもよい。例えば、油圧制御ユニット18のブレーキ油圧制御回路に設けられたソレノイドバルブに通電できるか否か、電動モータに通電できるか否か等を監視するようにしてもよい。また、エアバッグ制御ユニット12や油圧制御ユニット18のCAN(Control Area Network)の異常を監視するようにしてもよい。複数のセンサを同時に監視して異常判定を行うことが望ましい。
発生した異常が、油圧制御ユニット18に設けられた電動モータ・油圧ポンプ・アキュムレータ等が作動可能な異常であれば、異常判定部144が行う異常判定において、正常とするようにしてもよい。この場合、自動ブレーキ制御部142が油圧制御ユニット18に指示をしてブレーキアクチュエータ24を作動させることができるため、制動力を発生させることができる。このため制動距離を短縮できる。
上記実施形態で、異常判定部144は、液圧センサ19の圧力信号Spを監視して異常判定を行い、液圧センサ19で異常が検出された場合に異常と判定するようにしている。しかし、走行安全制御ユニット14の車両姿勢安定化システム(VSA)が正常に作動するのであれば、液圧センサ19で異常が検出されても正常と判定するようにしてもよい。同様に、走行安全制御ユニット14の車両姿勢安定化システム(VSA)が正常に作動するのであれば、エアバッグ制御ユニット12や油圧制御ユニット18のCANに異常が検出されても正常と判定するようにしてもよい。この場合、自動ブレーキ制御部142が油圧制御ユニット18に指示をしてブレーキアクチュエータ24を作動させることができるため、制動力を発生させることができる。このため制動距離を短縮できる。
また、エアバッグ制御ユニット12や油圧制御ユニット18のCAN(Control Area Network)の異常を監視するようにしてもよい。
上記実施形態では、図3に示すステップS5の処理において、200msという計測時間は、異常判定部144が行う異常判定に要する時間として設定されているが、この設定時間は異常判定の長さに応じて適宜変更可能である。また、図3に示すステップS2の処理における予備ブレーキの減速度a=0.3G〜0.4G、及び、ステップS7の処理における本ブレーキの減速度a=0.5G〜1.0Gも適宜変更可能である。
ステップS8、S9の代わりに、車両10の車速Vが0(ゼロ)になり且つ/又は本ブレーキ開始から5s経過するまで減速度a=0.5G〜1.0G相当の本ブレーキを作用させるようにしてもよい。
上記実施形態では、他の車両が停止している車両10に後方から衝突した場合を想定しているが、他の車両が停止している車両10に前方から衝突した場合(例えば坂道等)にも図3で示す一連の処理は適用可能である。
[実施形態のまとめ]
以上説明したように上述した実施形態に係る車両制動制御装置11においては、車両10の衝突を検知する衝突検知部62と、衝突検知部62が車両10の衝突を検知した場合に車両10の制動力を増加させる制動力増加部64と、制動力増加部64の異常判定を行う異常判定部144を備える。そして、衝突検知部62が車両10の衝突を検知した場合に、異常判定部144が制動力増加部64の異常判定を行い、異常判定の結果が正常であった場合に、制動力増加部64が車両10の制動力を増加させるようにしている。
この実施形態によれば、衝突検知部62が車両10の衝突を検知した場合に、異常判定部144が制動力増加部64の異常判定を行い、異常判定の結果が正常であった場合に、制動力増加部64が車両10の制動力を増加させるようにしている。このため、車両10のブレーキ系統に異常が発見された場合に、自動ブレーキ制御は行われないことになる。したがって、不適切な自動ブレーキ制御を行わず、適切な自動ブレーキ制御のみを行うことができるようになる。
また、衝突検知部62が車両10の衝突を検知した後から異常判定部144が異常判定を終了するまでの間に車両10の制動力を予備ブレーキによって増加させるときには、制動力増加部64は、異常判定の結果が正常である場合に車両10に作用させる制動力、すなわち本ブレーキの制動力よりも低い制動力を車両に作用させるようにしている。異常判定の間に予備ブレーキによって車両10に低い制動力を作用させておけば、異常判定の結果が正常である場合に、本ブレーキによって車両10に高い制動力を早期に作用させることができる。
また、異常判定の結果が、制動力増加部64が作動可能な異常である場合は、制動力増加部64が車両10の制動力を増加させるようにすることも可能である。制動力増加部64が作動可能であれば、制動力を発生させることができるため、制動距離を短縮できる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…車両 11…車両制動制御装置
12…エアバッグ制御ユニット 14…走行安全制御ユニット
16…統括制御ユニット 18…油圧制御ユニット
19…液圧センサ 24…ブレーキアクチュエータ
40…衝突検知センサ 50…Gセンサ
62…衝突検知部 64…制動力増加部
142…自動ブレーキ制御部 144…異常判定部

Claims (3)

  1. 車両の衝突を検知する衝突検知部と、
    前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に車両の制動力を増加させる制動力増加部と、
    を備えた車両制動制御装置において、
    前記制動力増加部の異常判定を行う異常判定部を備え、
    前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に、前記異常判定部が前記制動力増加部の異常判定を行い、前記異常判定の結果が正常であった場合に、前記制動力増加部が車両の制動力を増加させ、前記異常判定の結果が異常であった場合に、前記制動力増加部が車両の制動力の制御を行わない
    ことを特徴とする車両制動制御装置。
  2. 車両の衝突を検知する衝突検知部と、
    前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に車両の制動力を増加させる制動力増加部と、
    を備えた車両制動制御装置において、
    前記制動力増加部の異常判定を行う異常判定部を備え、
    前記衝突検知部が車両の衝突を検知した場合に、前記異常判定部が前記制動力増加部の異常判定を行い、前記異常判定の結果が正常であった場合に、前記制動力増加部が車両の制動力を増加させ、
    前記制動力増加部は、前記衝突検知部が車両の衝突を検知した後から前記異常判定部が異常判定を終了するまでの間に車両の制動力を増加させるときに、前記異常判定の結果が正常である場合に車両に作用させる前記制動力よりも低い制動力を車両に作用させる
    ことを特徴とする車両制動制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両制動制御装置において、
    前記異常判定の結果が、前記制動力増加部が作動可能な異常である場合は、前記制動力増加部が車両の制動力を増加させる
    ことを特徴とする車両制動制御装置。
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