JP6146672B2 - 廃棄物焼却炉及び廃棄物焼却方法 - Google Patents
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Description
火格子式廃棄物焼却炉であって、火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを有する火格子式廃棄物焼却炉において、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で炉内温度が最高となる位置を燃切点位置として検知する燃切点位置検知手段と、燃切点位置検知手段の出力にもとづき、燃切点位置を所定位置とするように制御する燃切点制御手段とを備え、上記高温ガス吹込み手段は、上記燃焼室の天井の炉長方向で複数の位置に設けられた高温ガス吹込口と、高温ガス吹込口へ高温ガスを供給する高温ガス供給手段とを備え、上記燃切点位置検知手段は、炉長方向で、乾燥火格子から後燃焼火格子までの範囲内で隣接する高温ガス吹込口同士間位置と、最前の高温ガス吹込口の前方位置と、最後の高温ガス吹込口の後方位置とにそれぞれ配された複数の温度検出手段と、最高の温度を示す温度検出手段の位置を燃切点と判定する燃切点位置判定手段とを備え、燃切点制御手段は、廃棄物の燃焼状況を操作する燃焼操作量調整手段を有し、上記燃切点位置判定手段からの出力にもとづき、燃切点を所定位置とするように燃焼操作量調整手段での操作により制御可能となっていることを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。
燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で複数の位置に設けられた高温ガス吹込口から下向きに高温ガスを吹き込む廃棄物焼却方法において、炉長方向で、乾燥火格子から後燃焼火格子までの範囲内で隣接する高温ガス吹込口同士間位置と、最前の高温ガス吹込口の前方位置と、最後の高温ガス吹込口の後方位置とにそれぞれ配された複数の温度検出手段により各位置で温度を検出する温度検出工程と、最高の温度を示す温度検出手段の位置を燃切点と判定する燃切点位置判定工程と、上記燃切点位置判定工程での出力にもとづき、燃切点を所定位置とするように廃棄物の燃焼状況を操作する燃焼操作量調整手段を操作して制御する燃切点制御工程と、を有することを特徴とする廃棄物焼却方法。
廃棄物焼却炉燃焼室の天井に設けた吹込口から高温ガスを下向きに吹き込み、高温ガスの顕熱と輻射により廃棄物の熱分解を促進することができ、廃棄物の熱分解により発生した可燃性ガスの燃焼を促進することができ、さらに、高温ガスの下向きの流れと、廃棄物層から発生する可燃性ガスと燃焼ガスとの上向きの流れとを衝突させ、廃棄物層直上でガス流れが緩やかなよどみ領域又は上下方向に循環する循環領域を燃焼室の幅方向と長さ方向の広い範囲に亘って形成することができるので、安定した燃焼が行われ、平面状燃焼領域(火炎)を定在させることができる。また、定在する平面状火炎の輻射などにより廃棄物の熱分解をさらに促進することができる。このように高温ガス吹き込みにより、焼却炉の大きさに関わらず、空気比が1.5以下の低空気比燃焼においても廃棄物と、発生する可燃性ガスを安定して燃焼することができる。そして、燃焼が安定するため、廃棄物焼却炉から排出される排ガス中のCO、NOxなど有害物の発生量を抑制することができる。
図1(A),(B)は本発明の一実施形態に係る廃棄物焼却炉の概要構成を示している。まず、本発明の一実施形態に係る廃棄物焼却炉の基本構成と焼却方法の概要を説明し、次いで各構成装置の詳細を説明する。この実施形態において、燃焼室内での廃棄物の移動方向(炉長方向)における燃焼室の上流側を前部、下流側を後部という。
本実施形態では、廃棄物焼却炉1は、燃焼用空気となる一次空気の一次空気供給系を備えている。一次空気供給系は、空気供給源からの一次空気Pを燃焼用一次空気供給管9を経て、乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの風箱7a,7b,7c,7dに分岐供給管から送り込むようになっており、上記燃焼用一次空気供給管9には、ブロワ8そして流量調整機構としてのダンパ11が設けられている。
本実施形態では、廃棄物焼却炉1は、高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段を備えている。高温ガス吹込み手段は、火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向に複数の高温ガス吹込口と、高温ガス吹込口へ高温ガスを供給する高温ガス供給手段とを備え、高温ガス吹込口が乾燥火格子の後部から後燃焼火格子の前部までの天井に設けられている。
主燃焼領域A3では、廃棄物の熱分解、部分酸化が行われ可燃性ガスが発生し、その可燃性ガスが火炎を伴って燃焼しているとともに廃棄物の固形分が燃焼している。火炎を伴う燃焼が実質的に完了する点である燃切点の位置の検知について説明する。燃切点は主燃焼領域と後燃焼領域との境界となっている。燃切点より後の領域では、廃棄物中の固形分の未燃分が燃焼する熾燃焼領域(後燃焼領域)となる。炉長方向にて、炉内における乾燥領域A1から後燃焼領域A4に至る範囲で炉内温度は変化し、燃切点で火炎を伴う燃焼が実質的に完了し炉内温度が最高となる。本実施形態では、炉長方向での燃切点の位置を検知する燃切点位置検知手段と、該位置を制御する燃切点位置制御手段とを有している。
上記燃切点位置制御手段(図示せず)は、廃棄物の燃焼状況を操作する燃焼操作量調整手段を有し、上記燃切点位置判定手段からの燃切点位置情報出力にもとづき、燃切点を所定位置とするように燃焼操作量調整手段での操作により制御可能となっている。燃切点位置判定手段により判定された燃切点が、所定位置と相違しているとき、燃焼操作量調整手段は下記のように燃焼操作量を調整することにより、燃切点を所定位置とするように制御する。
また、本実施形態の廃棄物焼却炉1は、二次燃焼用ガスを廃熱ボイラ4の入口近傍に相当する二次燃焼領域10に吹き込む二次燃焼用ガス供給系を備えている。二次燃焼用ガス供給系は、二次燃焼用ガス供給源からの二次燃焼用ガスQを管路12を経て、二次燃焼領域10に設けられた二次燃焼用ガス吹込口17に送り込むようになっており、上記管路12には、ブロワ18そして流量調整機構としてのダンパ19が設けられている。二次燃焼用ガス吹込口17は、廃熱ボイラ4の入口近傍にある二次燃焼領域10に二次燃焼用ガスQを吹き込むように、廃熱ボイラ4の周壁に設けられている。 燃焼室2内で発生した可燃性ガスはそのほとんどが燃焼室2内で燃焼され、残存する未燃ガスは、後燃焼火格子5cの上方に連接される廃熱ボイラ4の入口近傍に相当する二次燃焼領域10に流入して、ここで二次燃焼用ガスが供給され、二次燃焼される。
先ず、廃棄物投入口3へ廃棄物を投入すると、落下した廃棄物は図示しない廃棄物供給装置により燃焼室2内に供給され、乾燥火格子5a上に堆積され、各火格子5a〜5cの動作により、燃焼火格子5b上そして後燃焼火格子5c上へと移動し、各火格子上に廃棄物の層を形成する。各火格子は、風箱7a,7b,7c,7dを経て、燃焼用の一次空気を受けており、これにより各火格子の廃棄物は乾燥そして燃焼される。
上述のごとく、火格子5(5a〜5c)上で廃棄物が燃焼すると、燃切点位置検知手段により、火格子の上方位置で炉の側壁に設けられた複数の温度検出手段16a〜16eのそれぞれで、炉長方向の各位置における温度が検出される。燃切点位置検知手段は、既述のごとく、燃切点位置判定手段をも有しており、各温度検出手段16a〜16eのうちから最高の温度を検出した温度検出手段の炉長方向での位置を燃切点位置と判定する。
燃切点位置が燃切点位置判定手段により求められると、その位置が所定位置になるように燃切点位置制御手段により制御される。その制御は該燃切点位置制御手段の燃焼操作量調整手段によりなされる。
(1)ボイラ蒸発量の変動に対応して火格子の送り速度を調整する。
ボイラ蒸発量減少→火格子の送り速度を速くして廃棄物を撹拌し燃焼を促進させる。
ボイラ蒸発量増加→火格子の送り速度を遅くして廃棄物の撹拌を抑え燃焼を緩和させる。
(2)火格子上の廃棄物層厚さを平滑化するように火格子の送り速度を調整する。
火格子下に送気する一次空気の圧損を計測し廃棄物層厚さを推定し、火格子の送り速度を調整し、廃棄物層厚さを平滑化する。
(3)炉出口での排ガスの酸素濃度の変動に対応して火格子の送り速度を調整する。
酸素濃度上昇→火格子の送り速度を速くして廃棄物を撹拌し燃焼を促進させる。
酸素濃度低下→火格子の送り速度を遅くして廃棄物の撹拌を抑え燃焼を緩和させる。
燃焼用一次空気Pは、ブロワ8から燃焼用一次空気供給管9を通って乾燥火格子5a、燃焼火格子5b及び後燃焼火格子5cのそれぞれの下部に設けられた風箱7a,7b,7c,7dに供給された後、各火格子5a,5b,5cを通って燃焼室2内に供給される。燃焼室2内に供給される燃焼用一次空気Pの流量は、燃焼用一次空気供給管9に設けられた流量調整用のダンパ11により調整され、さらに、上記燃切点位置制御手段からの指令にもとづき、各風箱7a,7b,7c,7dに供給される流量は、各風箱に分岐して設けられたそれぞれの供給管に備える上記ダンパ7a−1〜7d−1により調整される。また、風箱7a,7b,7c,7d及び燃焼用一次空気Pを供給するための燃焼用一次空気供給管9等の構成は図示したものに限定されず、焼却炉の規模、形状、用途等により適宜選択され得る。
図1(A)に見られるように、高温ガスが、高温ガス吹込口13(13a、13b、13c、13d)から、燃焼開始領域A2から後燃焼領域A4の前部の領域に向かって吹き込まれ、廃棄物層Wに向かって下向きに吹き込まれる。火炎が存在し可燃性ガスが多く存在する領域に、高温ガスを吹き込むことが燃焼を安定させる上で好ましいため、可燃性ガスが多く存在する領域である燃焼開始領域A2から後燃焼領域A4の前部までの領域に高温ガスを吹き込む。
高温ガス吹込口13から吹き込まれる高温ガスの温度は、100〜400℃の範囲とすることが好ましく、150〜200℃程度とすることがより好ましい。100℃未満の温度のガスを吹き込むと炉内温度が低下し、燃焼が不安定となりCO発生量が増加する。400℃を超えるガスを吹き込むと燃焼室内における火炎温度が著しく高温になり、クリンカの生成が助長されるなど問題が生じる。高温ガスの温度を150〜200℃程度とすることにより、前記の問題の発生を抑制するとともに空気を加熱するエネルギーを適切な範囲とすることができるので、より好ましい。
高温ガス吹込口13は、燃焼室2の天井の、乾燥火格子5aの廃棄物の移動方向下流側(後部)から後燃焼火格子5cの移動方向上流側(前部)までの範囲内での火格子直上の位置に設けられている。
二次燃焼用ガスQが二次燃焼領域10に吹き込まれ、燃焼室2からの未燃ガスが二次燃焼される。二次燃焼用ガスとして、温度は常温〜200℃の範囲であり、酸素濃度は15〜21dry体積%の範囲のガスを用いることが好ましい。二次燃焼用ガスとして、空気、酸素を含有するガス、返送排ガスを用いてよいし、これらの混合ガスを用いてもよい。
2 燃焼室
5 火格子
5a 乾燥火格子
5b 燃焼火格子
5c 後燃焼火格子
7a−1〜7d−1 燃焼操作量調整手段(ダンパ)
13 高温ガス吹込口
16a〜16e 温度検出手段
24 高温ガス供給装置
Claims (8)
- 火格子式廃棄物焼却炉であって、
火格子を備え該火格子上の廃棄物を燃焼する燃焼室と、
燃焼用一次空気を上記火格子の下から上記燃焼室内に吹き込む一次空気吹込み手段と、
高温ガスを上記燃焼室の天井から下向きに吹き込む高温ガス吹込み手段とを有する火格子式廃棄物焼却炉において、
火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で炉内温度が最高となる位置を燃切点位置として検知する燃切点位置検知手段と、
燃切点位置検知手段の出力にもとづき、燃切点位置を所定位置とするように制御する燃切点制御手段とを備え、
上記高温ガス吹込み手段は、上記燃焼室の天井の炉長方向で複数の位置に設けられた高温ガス吹込口と、高温ガス吹込口へ高温ガスを供給する高温ガス供給手段とを備え、
上記燃切点位置検知手段は、炉長方向で、乾燥火格子から後燃焼火格子までの範囲内で隣接する高温ガス吹込口同士間位置と、最前の高温ガス吹込口の前方位置と、最後の高温ガス吹込口の後方位置とにそれぞれ配された複数の温度検出手段と、最高の温度を示す温度検出手段の位置を燃切点と判定する燃切点位置判定手段とを備え、
燃切点制御手段は、廃棄物の燃焼状況を操作する燃焼操作量調整手段を有し、上記燃切点位置判定手段からの出力にもとづき、燃切点を所定位置とするように燃焼操作量調整手段での操作により制御可能となっていることを特徴とする火格子式廃棄物焼却炉。 - 燃切点制御手段の燃焼操作量調整手段は、火格子の送り速度と一次空気吹込み量の少なくとも一方を調整する手段であることとする請求項1に記載の火格子式廃棄物焼却炉。
- 燃切点制御手段は、燃切点位置の所定位置を燃焼火格子の最後部位置又は燃焼火格子と後燃焼火格子の境界位置に設定することとする請求項1又は請求項2に記載の火格子式廃棄物焼却炉。
- 高温ガス供給手段が、焼却炉から排出された排ガスの一部が返送された返送排ガスと高温空気との混合ガス、高温空気及び返送排ガスのうちいずれかを高温ガスとして供給することとする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の火格子式廃棄物焼却炉。
- 燃焼室を備える火格子式廃棄物焼却炉による廃棄物焼却方法であって、
燃焼用一次空気を火格子下から上記燃焼室内に吹き込み、
上記燃焼室の天井に火格子上の廃棄物の移動方向である炉長方向で複数の位置に設けられた高温ガス吹込口から下向きに高温ガスを吹き込む廃棄物焼却方法において、
炉長方向で、乾燥火格子から後燃焼火格子までの範囲内で隣接する高温ガス吹込口同士間位置と、最前の高温ガス吹込口の前方位置と、最後の高温ガス吹込口の後方位置とにそれぞれ配された複数の温度検出手段により各位置で温度を検出する温度検出工程と、
最高の温度を示す温度検出手段の位置を燃切点と判定する燃切点位置判定工程と、
上記燃切点位置判定工程での出力にもとづき、燃切点を所定位置とするように廃棄物の燃焼状況を操作する燃焼操作量調整手段を操作して制御する燃切点制御工程と、
を有することを特徴とする廃棄物焼却方法。 - 燃切点制御工程は、燃焼操作量調整手段により火格子の送り速度と一次空気吹込み量の少なくとも一方を調整することとする請求項5に記載の火格子式廃棄物焼却方法。
- 燃切点制御工程は、燃切点位置の所定位置を燃焼火格子の最後部位置又は燃焼火格子と後燃焼火格子の境界位置に設定することとする請求項5又は請求項6に記載の火格子式廃棄物焼却方法。
- 焼却炉から排出された排ガスの一部が返送された返送排ガスと高温空気との混合ガス、高温空気及び返送排ガスのうちいずれかを高温ガスとして供給することとする請求項5ないし請求項7のうちいずれか一つに記載の火格子式廃棄物焼却方法。
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