JP6146351B2 - 一酸化炭素及び水素の製造方法 - Google Patents
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Description
二酸化炭素を代替炭素源とするためには、二酸化炭素を排出源から回収しなければならないが、その回収方法には種々の方法が知られている。吸着剤を利用して分離するPSA法、アミンのような二酸化炭素と化学反応を起こす物質を用いて二酸化炭素を吸収し回収する化学吸収法、物理的な溶解現象を利用して分離する物理吸収法などである(例えば、非特許文献1など)。
また、DMEと二酸化炭素の改質反応は高温で有利なものであり、その平衡転化率は300℃以上で100%となるが、廃熱を利用する場合、300℃より低い温度しか得られないケースがある。300℃未満の温度では、理論上、転化率は低くなり、未反応のDMEが生成ガス中に混入することになる。生成ガスである水素と一酸化炭素を、さらに反応させてメタノールなどの化学品を製造する場合、混入しているDMEを除去する必要があり、また除去したDMEを有効に活用する必要がある。
また、本発明の他の目的は、混合ガスに含まれる二酸化炭素をジメチルエーテルと反応させて水素と一酸化炭素を製造する方法において、低温の廃熱を利用して二酸化炭素とジメチルエーテルを反応させる場合でも、ジメチルエーテルを無駄なく利用して水素と一酸化炭素をより高効率かつ低コストに製造することができる方法を提供することにある。
[1]液体ジメチルエーテルを吸収液として用い、二酸化炭素含有ガスを液体ジメチルエーテルに接触させることにより、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を液体ジメチルエーテルに吸収させ、この二酸化炭素を吸収した液体ジメチルエーテルを気化させ、その気化ガスを改質反応に供して一酸化炭素と水素を生成させることを特徴とする一酸化炭素及び水素の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、改質反応後のガスを冷却又は/及び加圧することで未反応ジメチルエーテルを液化し、この液体ジメチルエーテルを吸収液として再利用することを特徴とする一酸化炭素及び水素の製造方法。
[4]上記[1]又は[2]の製造方法において、−23.6℃以下の温度で液化させたジメチルエーテルを吸収液として用い、二酸化炭素を吸収した液体ジメチルエーテルを昇温させて気化させることを特徴とする一酸化炭素及び水素の製造方法。
また、低温の廃熱を利用することにより、二酸化炭素とジメチルエーテルの改質反応において未反応ジメチルエーテルが生じるような場合には、改質反応後のガスを冷却又は/及び加圧することで未反応ジメチルエーテルを液化し、この液体ジメチルエーテルを吸収液として再利用することにより、ジメチルエーテルを無駄なく利用でき、水素と一酸化炭素をより高効率かつ低コストに製造することができる。また、製造された水素と一酸化炭素から化学品を製造する場合にジメチルエーテルの除去工程を設ける必要がないという利点もある。
本発明では、液体DMEを吸収液として用い、まず、原料ガスを液体DMEに接触させることにより、原料ガスに含まれる二酸化炭素を液体DMEに吸収させる(第1工程)。DMEは、例えば、常圧で温度を−23.6℃の沸点以下にすることにより、或いは、ある温度において一定以上の圧力に加圧する(例えば、25℃で6.1気圧以上)ことで液化するので、その温度・圧力状態を維持することにより液体状態に保つことができる。なお、DMEは温度を低下させ且つ所定の圧力に加圧することで液化させてもよい。
原料ガスを液体DMEに接触させて二酸化炭素を液体DMEに吸収させる方法としては、吸収塔に液体DMEと原料ガスを導入して両者を接触させ、原料ガス中の二酸化炭素を液体DMEに吸収させる方法、タンク内の液体DME中に原料ガスをバブリングすることにより、原料ガス中の二酸化炭素を液体DMEに吸収させる方法、などの任意の方法を採ることができる。
また、DMEは温度を低下させ且つ所定の圧力に加圧することでも液化されるので、そのようにして液化された液体DMEで二酸化炭素の吸収を行った場合は、熱交換などによって昇温させるとともに、圧力を低下させることによりDME(二酸化炭素を吸収したDME)を気化させる。
CH3OCH3+CO2 → 3CO+3H2
二酸化炭素を含んだ気化DMEの改質反応は、任意の反応形式及び装置で行うことができるが、装置コストの観点から、特に固定床流通式反応装置での反応が望ましい。反応温度は、理論的な平衡転化率が50%を超える200℃以上であって、DMEの分解反応が起こらない450℃以下が望ましい。反応圧力は低圧が有利であり、常圧での反応が望ましい。この改質反応には、例えば、特開平11−106770号公報などや非特許文献2に示されるような適当な触媒を用いることができる。
一方、この工程で液化されなかったガス成分は製品ガス(一酸化炭素+水素の高濃度ガス)として回収される。また、改質化反応において平衡転化率が100%で未反応DMEが生じない場合には、当然、未反応DMEを液化する工程は不要であり、改質化反応後のガスが製品ガス(一酸化炭素+水素の高濃度ガス)として回収される。
図1において、1は二酸化炭素を液体DMEに吸収させる吸収塔であり、この吸収塔1内には塔下部から原料ガスが導入されるとともに、塔上部から液体DMEがスプレーされる。この液体DMEは、DMEタンク5などから導管6eを通じて吸収塔1に供給される。吸収塔1内は、DMEが液体状態に保たれる所定の圧力(例えば、25℃で6.1気圧以上)に維持される。吸収塔1内でスプレーされた液体DMEに原料ガスが接触し、原料ガス中の二酸化炭素が液体DMEに溶解し吸収される。この二酸化炭素を吸収した液体DMEは、塔底部から排出される。一方、液体DMEに吸収されなかったガス(オフガス)は塔上端から系外に排出される。
3は気化ガスの改質反応器であり、固定床流通式反応装置で構成される。放散塔2から排出された気化ガス(DME+二酸化炭素)が導管6bを通じて反応器下部に導入され、所定の温度(例えば250〜300℃)でDMEと二酸化炭素の改質反応が行われる。この改質反応で生成したガス(水素、一酸化炭素)と未反応ガスは、反応器上部から排出される。
吸収塔1内は常温で9気圧に維持し、液体DMEを2L/分スプレーし、原料ガスを0.1L/分供給した。吸収塔1で二酸化炭素を吸収した液体DMEは放散塔2に送られ、ここで圧力を常圧まで開放し気化させた。この気化ガスを改質反応器3に送り、250℃で改質反応を行った。反応触媒としては、Cu/Al/Zn系触媒を用いた。改質後のガスを液化塔4に送り、ここで9気圧まで加圧して未反応DMEを液化し、液化されないガスを製品ガス(一酸化炭素+水素の高濃度ガス)として回収した。この製品ガスのガス組成は、一酸化炭素:50vol%、水素:50vol%であり、流量は0.15L/分であった。
2 放散塔
3 改質反応器
4 液化塔
5 DMEタンク
6a〜6e 導管
7 昇圧機
8 ポンプ
9 流量調整弁
Claims (4)
- 液体ジメチルエーテルを吸収液として用い、二酸化炭素含有ガスを液体ジメチルエーテルに接触させることにより、二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を液体ジメチルエーテルに吸収させ、この二酸化炭素を吸収した液体ジメチルエーテルを気化させ、その気化ガスを二酸化炭素とジメチルエーテルの改質反応に供して一酸化炭素と水素を生成させることを特徴とする一酸化炭素及び水素の製造方法。
- 改質反応後のガスを冷却又は/及び加圧することで未反応ジメチルエーテルを液化し、この液体ジメチルエーテルを吸収液として再利用することを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素及び水素の製造方法。
- 6気圧以上の圧力下で液化させたジメチルエーテルを吸収液として用い、二酸化炭素を吸収した液体ジメチルエーテルを減圧により気化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の一酸化炭素及び水素の製造方法。
- −23.6℃以下の温度で液化させたジメチルエーテルを吸収液として用い、二酸化炭素を吸収した液体ジメチルエーテルを昇温させて気化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の一酸化炭素及び水素の製造方法。
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