JP6144078B2 - 海島型複合繊維とその製造方法、およびポリビニルアルコール系極細繊維とその製造方法、ならびに極細炭素繊維 - Google Patents

海島型複合繊維とその製造方法、およびポリビニルアルコール系極細繊維とその製造方法、ならびに極細炭素繊維 Download PDF

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本発明は、生産性の高い方法にて製造が可能なポリビニルアルコール系機能性極細繊維に関するものであり、より詳細には、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維とその製造方法、およびその海島型複合繊維から得られるポリビニルアルコール系極細繊維とその製造方法に関するものである。
繊維の極細化は、風合い、意匠性等の感性の向上のみならず、吸着性、吸音性等の機能性向上、補強効果等の性能向上にも貢献することから、様々な用途において期待されている。
例えば、高い機械特性、耐薬品性、高導電性、高熱伝導性等の優れた特性を有しており、航空機、自動車、レジャー用品、一般産業等さまざまな分野において広く利用されている炭素繊維においては、極細化によって品位の向上および補強効果の向上、導電性性能の向上、電磁波シールド性の向上、熱伝導性の向上等が期待できる。
ポリビニルアルコール(以下PVAと略記する)系極細繊維を製造する試みはこれまでにもなされてきた。例えば、部分けん化PVAと高けん化PVAとの混合原液を乾式紡糸し、部分けん化PVAを除去することによって極細化する方法(特許文献1)、低重合度PVAとナイロンなどの繊維形成能を有する高分子化合物とを使用して同様の方法にて極細化する方法(特許文献2)、低けん化PVAのかわりに非晶性の水溶性高分子を使用する方法(特許文献3)が開示されている。これらの方法によってPVA系極細繊維を得ることができるが、いずれの方法も単成分であるPVA系ポリマーを極細繊維化する方法である。
特開昭54−77720号公報 特公昭58−38526号公報 特開昭54−30930号公報
しかしながら、これらの方法では、PVA系ポリマーを極細繊維化することは可能であっても、そのPVA系ポリマーに対して機能性化合物などを添加した、多機能性PVA系極細繊維を得ることについて、何ら開示されていない。
近年、多岐に渡る機能性材料の要求を満たすためには、容易に機能性を付与することが可能な極細繊維の製造方法が求められている。
本発明の目的は、目的に応じた機能性化合物を島成分に分散できるとともに、海成分が水溶性ポリマーから構成された海島型複合繊維を提供することにある。
本発明の別の目的は、用途に応じて幅広い機能性を有しているポリビニルアルコール系極細繊維を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、導電材料として好適に用いることができる極細炭素繊維を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産性、工程通過性に優れたこれらの繊維の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(i)水溶性のポリビニルアルコール系ポリマーと疎水性変性基を有する疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーとの混合溶液に疎水性の機能性化合物を混合した紡糸原液を用いて湿式紡糸または乾湿式紡糸を行うと、(ii)前記機能性化合物が、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに対して略均一に分散した島成分、および水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーからなる海成分で構成された海島型複合繊維を形成することが可能であることを見出し、(iii)さらに海成分としての水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを溶解して除去すると、得られたポリビニルアルコール系極細繊維には、この機能性化合物を幅広い範囲で略均一に分散することが可能であることを見出した。そして(iv)このポリビニルアルコール系極細繊維を焼成した場合、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の実施形態は、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とを混合した紡糸原液を準備する準備工程と、
この紡糸原液を、湿式紡糸または乾湿式紡糸し、機能性化合物が均一に分散した疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維を得る紡糸工程と、
を備える海島型複合繊維の製造方法である。
前記製造方法では、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーおよび疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーの総量100重量部に対する機能性化合物の割合が0.1〜50重量部であってもよい。
疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体であってもよい。また、機能性化合物が、易黒鉛化性炭素または易黒鉛化性有機化合物、特にメソフェーズピッチであってもよい。
本発明の第2の実施形態は、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維であって、
前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに対して、疎水性の機能性化合物が略均一に分散している海島型複合繊維である。
本発明の第3の実施形態は、前記海島型複合繊維から、水系溶媒により海成分である水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを溶出して除去して、ポリビニルアルコール系極細繊維を得る除去工程を備えるポリビニルアルコール系極細繊維の製造方法である。
本発明の第4の実施形態は、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とで構成されたポリビニルアルコール系極細繊維であって、
前記機能性化合物は、前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに略均一に分散され、かつ
平均繊維径が0.01〜10μmであるポリビニルアルコール系極細繊維である。
前記ポリビニルアルコール系極細繊維において、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対する前記機能性化合物の割合は、3〜70重量部の範囲であってもよい。
本発明の第4の実施形態は、前記ポリビニルアルコール系極細繊維を焼結することによって得られる極細炭素繊維である。
本発明の第5の実施形態は、前記極細炭素繊維で構成された導電性材料である。
本発明によれば、生産性、工程通過性に優れた方法により、目的に応じた機能性化合物を島成分に分散できるとともに、海成分が水溶性ポリマーから構成された海島型複合繊維を得ることができる。
また、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とを組み合わせることにより、用途に応じて幅広い機能性を有しているポリビニルアルコール系極細繊維を得ることができる。
さらに、前記ポリビニルアルコール系極細繊維から、導電材料として好適に用いることができる極細炭素繊維を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の第1の実施形態は、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とを混合した紡糸原液を準備する準備工程と、
この紡糸原液を、湿式紡糸または乾湿式紡糸し、機能性化合物が均一に分散した疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維を得る紡糸工程と、
を備える海島型複合繊維の製造方法である。
(水溶性ポリビニルアルコール系ポリマー)
本発明で用いられる水溶性ポリビニルアルコール系(以下、PVAと略する場合がある)ポリマーについて説明する。
水溶性PVA系ポリマーは、ビニルアルコールユニットを主成分とするものであり、ビニルアルコールユニットは、例えば、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステルをケン化することにより得ることができる。ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを挙げることができるが、これらの中でも酢酸ビニルが生産性の観点から好ましい。
水溶性PVA系ポリマーの重合度は特に限定されないが、得られる繊維の工程通過性の点から、30℃水溶液の粘度から求めた平均重合度が100〜4000のものが望ましい。また、海島型複合繊維作製後に水または熱水による除去を容易にする観点から、より好ましくは、平均重合度が300〜1500であってもよい。
また、水溶性PVA系ポリマーのケン化度は特に限定されるものではないが、88モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル以上であることが好ましい。水溶性PVA系ポリマーのケン化度が低すぎるものを使用した場合、得られる繊維の機械的特性や工程通過性、製造コストなどの面で好ましくない。
なお、水溶性PVA系ポリマーは、本発明の趣旨を損なわない範囲で他のコモノマーを有していてもよい。このようなコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類(例えば、α−C2−4オレフィン);アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸−C1−6アルキルエステル);メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸−C1−6アルキルエステル);アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、およびその塩またはそのエステルなどの誘導体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。これらのコモノマーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
(疎水性ポリビニルアルコール系ポリマー)
本発明に用いる疎水性PVA系ポリマーは、疎水性化合物を良好に分散させるとともに、水溶性PVA系ポリマーと溶媒中で非相溶となるものを選択する必要がある。
疎水性PVA系ポリマーの重合度、ケン化度は特に限定されないが、工程通過性の点から重合度は600以上、ケン化度は95%以上が望ましい。
また、PVA系ポリマーは元来親水性であるため、疎水性PVA系ポリマーとするためには、疎水性基で変性された疎水基変性PVAでなければならない。疎水基変性PVAとしては、例えば、炭素数20以下のα−オレフィン単位を0.1〜20モル%含有するPVA系ポリマー、炭素数20以下の長鎖アルキル基を含有するビニルエーテル単位を0.1〜20モル%含有するPVA系ポリマー、炭素数4〜50の長鎖アルキル基を末端に有するPVA系ポリマーが挙げられるが、生産性の点から炭素数20以下のα−オレフィン単位を0.1〜20モル%含有するPVA系ポリマーが好ましい。このような変性ユニットの導入法は共重合による方法でも、後反応による方法でもよい。
また、疎水性PVA系ポリマーを得ることができる限り、疎水性PVA系ポリマーは、水溶性PVA系ポリマーにおいて記載したコモノマーを有していてもよい
(疎水性の機能性化合物)
次に、疎水性の機能性化合物について説明する。
本発明において、機能性化合物とは、繊維に対して、繊維自体では発現することのできない特殊な付加価値を発現させるために配合される化合物を意味している。
このような機能性化合物は、疎水性PVA系ポリマーに対して非相溶性であるとともに、略均一に分散することによって、得られるPVA系繊維に対して、各種機能性を付加することが可能である。
機能性化合物としては、例えば、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、抗菌剤、易黒鉛化性炭素、易黒鉛化性有機化合物、吸着剤、反射剤などが挙げられる。これらの機能性化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
機能性化合物として易黒鉛化性炭素、易黒鉛化性有機化合物(例えばピッチ類)などの炭素前駆体を使用した場合、得られた極細繊維を焼成することによって極細炭素繊維を得ることができる。炭素前駆体としては特に限定はされないが、炭素収率および得られる炭素繊維の結晶性の点からメソフェーズピッチが好適な例として挙げられる。
機能性化合物の形状は、化合物の性質に応じて適宜定められるが、疎水性PVA系ポリマーとの分散性を良好にする観点から、例えば、粒子径が0.001〜10μmの範囲にあるものであってもよく、好ましくは粒子径が0.01〜1μmの範囲、より好ましくは0.01〜0.3μmの範囲にあるものであってもよい。
本発明においては、2種類のPVA系ポリマーと疎水性化合物とを所定の比率において有機溶剤に混合した紡糸原液を用いて、後述する方法で繊維を製造する。水溶性PVA系ポリマー(A)と疎水性PVA系ポリマー(B)の混合比率は特に限定されないが、好ましくは重量比が(A):(B)=90:10〜40:60、より好ましくは70:30〜50:50である。水溶性PVA系ポリマー(A)の比率が多すぎると、得られる島成分が極めて少量となるため好ましくなく、少なすぎると良好な海島を形成しにくくなることから好ましくない。
水溶性PVA系ポリマー(A)と疎水性PVA系ポリマー(B)に混合される機能性化合物の混合比率は、PVA系ポリマー(A)および(B)総量100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部であってもよく、好ましくは1〜45重量部、より好ましくは1〜40重量部であってもよい。機能性化合物の混合比率が少なすぎると目的とする性能への十分な効果が期待できず、多すぎると良好な海島型分散溶液が得られない。機能性化合物を混合する方法は、上記2種類のPVA系ポリマーを溶解した溶液に、機能性化合物を後で添加してもよいし、2種類のPVA系ポリマーと疎水性化合物を同時に溶媒中に添加してもよい。
紡糸原液を構成する溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピリドンなどの極性溶媒やグリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール類、およびこれらとロダン塩、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛などの膨潤性金属塩の混合物、さらにはこれら溶媒同士、あるいはこれらの溶媒と水との混合物などが挙げられるが、これらの中でも、とりわけDMSOがコスト、回収性等の工程通過性の点で最も好適である。
紡糸原液中のポリマー濃度は組成、重合度、溶媒によって異なるが、水溶性ポリマー(A)と疎水性ポリマー(B)の合計が8〜60重量%の範囲であることが好ましい。紡糸原液の吐出時の液温は、紡糸原液が分解、着色しない範囲であることが好ましく、具体的には50℃〜200℃とすることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、紡糸原液にはPVA系ポリマー以外にも、目的に応じて、酸化紡糸剤、凍結防止剤、pH調整剤、油剤、特殊機能剤などの添加剤などが含まれていてもよい。更にこれらは、一種類または二種類以上のものを併用しても構わない。
目的とする繊維は、かかる紡糸原液をノズルから吐出して湿式紡糸あるいは乾湿式紡糸を行うことによって得られる。PVA系ポリマーに対して固化能を有する固化液、あるいは気体中に吐出すればよい。なお、湿式紡糸とは、紡糸ノズルから直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことであり、乾湿式紡糸とは、紡糸ノズルから一旦任意の距離の空気中あるいは不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、その後に固化浴に導入する方法のことである。
本発明において、湿式紡糸または乾湿式紡糸の際に用いる固化浴は、紡糸原液に対して固化能を有するものであれば特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類当のPVA系ポリマーに対して固化能を有する有機溶媒を用いることができる。これらの中でも低腐食性及び回収性の点でメタノールとDMSOとの組み合わせが好ましい。
次に、固化された原糸から紡糸原液の溶媒を抽出除去するために、抽出浴を通過させるが、抽出時に同時に原糸を湿延伸することが、乾燥時の繊維間膠着抑制および得られる繊維の機械的特性を向上させるうえで好ましい。その際に湿延伸倍率としては、例えば2〜10倍、好ましくは3〜8倍であることが、工程性、生産性の点で好ましい。抽出溶媒としては固化溶媒単独あるいは原液溶媒と固化溶媒の混合液を用いることができる。
湿延伸し乾燥した後、乾熱延伸、熱処理を施すことによって疎水性PVA系ポリマーおよび機能性化合物で構成された島成分が伸長され、極細繊維となる島成分が形成される。
乾熱延伸の条件は、一般的には100℃以上の温度、好ましくは120℃〜260℃で行うのが工程通過性の点で好ましい。延伸倍率は特に限定されず、目的とする極細炭素繊維の繊維直径および長さによって適宜選択されるが、5〜25倍の全延伸倍率で延伸すると、高アスペクト比の極細繊維が得られるため好ましい。なお、ここでいう延伸倍率とは、先述した乾燥前の固化浴中での湿延伸倍率と乾燥後の乾熱延伸倍率の積である。
このようにして、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維であって、
前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに対して、疎水性の機能性化合物が略均一に分散している海島型複合繊維を得ることができる。
このようにして作製した海島型複合繊維の単糸繊度は特に限定されず、例えば0.1〜10000dtexであってもよく、好ましくは1〜2000dtexの繊度の繊維が広く使用できる。繊維の繊度はノズル径や延伸倍率により適宜調整することができる。
(ポリビニルアルコール系極細繊維)
このようにして作製した海島型複合繊維から、海成分である水溶性PVA系ポリマー(A)を水などの水系溶媒を用いて溶出して除去することによって、疎水性PVA系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とで構成されたPVA系極細繊維であって、前記機能性化合物は、前記疎水性PVA系ポリマーに略均一に分散されているPVA系極細繊維を得ることができる。
PVA系極細繊維の平均繊維径は、例えば0.01〜10μm程度であってもよく、好ましくは0.05〜5μm程度であってもよく、より好ましくは0.1〜3μm程度であってもよい。
疎水性PVA系ポリマー100重量部に対する前記機能性化合物の割合は、例えば、1〜80重量部の広い範囲から選択できるが、好ましくは3〜70重量部であってもよく、より好ましくは4〜60重量部、特に好ましくは5〜55重量部であってもよい。なお、この割合は、水溶性および疎水性PVA系ポリマーに対して添加する機能性化合物の添加量から算出した値であってもよい。
使用する水系溶媒は、通常の無添加熱水でよいが、これ以外にも、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の酸化物、水酸化物もしくは炭酸塩などの弱酸塩を水に溶解した塩基性水溶液を使用することができる。溶出後、PVA系極細繊維中の水溶性PVA系ポリマーの量は、繊維間の膠着の回避の点から、5重量%以下、更には1重量%以下となるように行うのが好ましい。
水溶性PVA系ポリマー(A)を除去する方法としては、例えば、流水下に複合繊維をさらす方法やオートクレーブ中で水と共に加熱する方法などを例示することができる。使用する水又は塩基性水溶液の温度は、抽出効率の点から、通常130℃以下、特に60〜120℃とするのが好ましい。
(極細炭素繊維)
機能性物質としてメソフェーズピッチを使用した場合、得られた極細複合繊維を焼成することによって極細炭素繊維を得ることができる。具体的には、得られた極細複合繊維に不融化処理を施し、次いで炭化および/または黒鉛化処理を行うことによって極細炭素繊維が得られる。不融化処理は、極細炭素繊維前駆体が軟化変形しない温度条件下で行われればよいが、低温で予備不融化処理後、軟化変形以下の温度でさらに本不融化を行うこともできる。不融化は、空気、酸素、オゾン、二酸化窒素、ハロゲン等のガス気流下における熱処理によって行われるが、取り扱い性の容易さから空気もしくは酸素の単独ガスまたはこれらを含む混合ガスであることが好ましい。ガス気流下における不融化の具体的な方法としては、好ましくは100〜350℃、より好ましくは150〜300℃の温度において、0.5〜24時間程度の時間処理することが好ましい。炭化処理は、例えば不活性ガス雰囲気下において最高到達温度500℃〜1500℃処理する方法が挙げられる。炭化した繊維はさらに1200℃〜2800℃、より好ましくは1500℃〜2500℃程度の温度で黒鉛化処理することにより、黒鉛化した極細炭素繊維とすることができる。
極細炭素繊維の平均繊維径は、例えば、0.01〜10μm程度であってもよく、好ましくは0.05〜5μm程度であってもよく、より好ましくは0.1〜3μm程度であってもよい。ここで、極細炭素繊維の平均繊維径は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
繊維の平均繊維径が小さすぎると工程通過性や生産性に乏しいため好ましくなく、大きすぎると均一な分散性が得られない虞がある。
また、炭素繊維は、長繊維であっても短繊維(チョップドファイバー、ミルドファイバーなど)であってもよく、目的に応じて、繊維長を適宜選択できる。短繊維の場合、繊維を切断、粉砕などすることにより繊維長を調節することができる。さらに、海島型複合繊維におけるPVA系ポリマーとピッチとの混合比率、紡糸口金の孔径、延伸率を適宜調整することにより、黒鉛化処理後の炭素繊維の繊維長を調整することも可能である。
例えば、分散性を高める観点から、炭素繊維は、平均繊維長が10μm以下であってもよく、好ましくは7μm以下であってもよく、より好ましくは5μm以下であってもよい。ここで、平均繊維長は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
炭素材料のラマンスペクトルにおいては、1350cm−1付近の非晶炭素等の欠陥部に由来するDバンドと、1590cm−1付近の結晶性グラファイトに由来するGバンドとが観測される。これらのバンドピークの強度比であるId/Igは結晶性の指標として用いられている。
特に樹脂への導電性付与材、導電助材等の用途においては、高い導電性を発揮するため高結晶性であることが求められる。そのため、本発明の極細炭素繊維は、特定の結晶構造を有しているのが好ましい。
例えば、極細炭素繊維は、ラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドの強度比Id/Igが例えば0.05〜0.50であってもよく、好ましくは0.08〜0.40、より好ましくは0.10〜0.30であってもよい。ここで、DバンドとGバンドの強度比Id/Igは、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
また、X線回折による結晶格子面間隔d(002)も黒鉛の結晶性の指標として用いられている。高結晶性を有する場合、X線回折法における結晶格子面間隔は、例えば0.37nm以下であってもよく、好ましくは0.365nm以下であってもよい。このような高結晶性の炭素繊維は、導電性に優れた材となる。ここで、X線回折による結晶格子面間隔は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
このようにして得られる極細炭素繊維は、高い結晶性を有し、導電性材料として好適に用いることができる。例えば、そのような導電性材料としては、樹脂への導電性付与剤、電磁波シールド材、電極の導電付与材等が挙げられる。

以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。
[DバンドとGバンドの強度比Id/Ig]
Id/Igは、次の手順に従ってレーザーラマン装置によって求めることができる。測定には、(株)堀場製作所製LabRAM ARAMIS(レーザー波長532nm、照射時間:10秒、積算回数:5回)を使用した。Id/Igは、得られたラマンスペクトルをピーク分離した後、1580cm−1のGバンド強度に対する1360cm−1のDバンド強度の比によって求められる。
[結晶格子面間隔 (nm)]
結晶格子面間隔d(002)は、広角X線回折装置によって求めることができる。測定には(株)リガク製Smartlabを使用し、CuKα線をX線源として測定した。封入管電圧は45kV、電流は200mAとした。測定により得られた回折プロファイルより、回折角2θ=24〜26度付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用いて算出することができる。
[平均繊維径 (μm)]
黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維を走査型電子顕微鏡を用いて観察および写真撮影を行い、無作為に選択された10箇所の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
[平均繊維長 (μm)]
黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維を走査型電子顕微鏡を用いて観察および写真撮影を行い、無作為に選択された10箇所の繊維長の平均値を平均繊維長とした。
[繊維の体積固有抵抗値 (Ωcm)]
体積固有抵抗値は、試料を直径0.5cmの円筒中で圧密し、両端に10Vの電圧をかけた際の抵抗値から、以下の式により算出した。抵抗値の測定には三和電気計器(株)製デジタルマルチメーターPM3を使用した。
体積固有抵抗値(Ωcm)=
抵抗値(Ω)×試料の断面積(cm)/試料間の長さ(cm)
[実施例1]
平均重合度500、けん化度98.0モル%の水溶性PVAポリマーと、エチレン変性量が44モル%、けん化度99.5モル%、のエチレン変性PVAポリマーとを、重量比が70:30、両ポリマーの合計濃度が30重量%となるようにDMSO中に添加し、窒素雰囲気105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解した。さらに、これに軟化点350℃のメソフェーズピッチ(分級による粒子径10〜150nm)を、ポリマー100重量部に対して10重量部となるように添加し、分散して紡糸原液とした。得られた紡糸原液を、孔径0.12mm、ホール数40のノズルを通して液温5℃のメタノール固化浴中に乾湿式紡糸した。さらに、得られた繊維に液温25℃のメタノール浴中で4倍の湿延伸を施し、120℃の熱風にて乾燥した後、140℃の熱風炉にて全延伸倍率が7倍となるように乾熱延伸を行い、単糸繊度10dtexのフィラメントを得た。得られた繊維は水溶性ポリマーを海成分とし、エチレン変性PVAポリマーとメソフェーズピッチとの混合物を島成分とする海島型複合繊維となっていた。
ついで、得られた繊維を90℃の熱水浴に通して海成分である水溶性PVAポリマーを除去し、エチレン変性PVAポリマーとメソフェーズピッチとの混合物からなるPVA系極細繊維を得た。PVA系極細繊維の平均繊維径は、0.7μmであった。
さらに、PVA系極細繊維を空気中において150℃×24時間保持して予備不融化した後、210℃×3時間保持することによって本不融化し、不融化繊維を得た。上記のようにして得られた不融化繊維を、窒素雰囲気下、5℃/分の昇温速度で800℃まで昇温し、同温度で1時間保持することによって炭化を行った。
さらに、アルゴンガス雰囲気下において2800℃まで焼成することにより、高結晶性極細炭素繊維を得た。得られた極細炭素繊維は、繊維の平均繊維径が0.6μm、平均繊維長が3μmであった。また、ラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドの強度比Id/Igが0.15であり、X線回折法における結晶格子面間隔は0.349nmであり非常に高い結晶性を有していた。
[実施例2]
実施例1と同様の方法にて紡糸原液を調整した。得られた紡糸原液を、孔径2.0mm、ホール数1のノズルを通して液温5℃のメタノール固化浴中に乾湿式紡糸した。さらに得られた繊維に液温25℃のメタノール浴中で5.5倍の湿延伸を施し、120℃の熱風にて乾燥し、単糸繊度60dtexのモノフィラメントを得た。得られた繊維は水溶性ポリマーを海成分とし、エチレン変性PVAポリマーとメソフェーズピッチとの混合物を島成分とする海島型複合繊維となっていた。
ついで、得られた繊維を90℃の熱水浴に通して海成分である水溶性PVAポリマーを除去し、エチレン変性PVAポリマーとメソフェーズピッチとの混合物からなるPVA系極細繊維を得た。PVA系極細繊維の平均繊維径は、1.1μmであった。
さらに、PVA系極細繊維を、実施例1と同様の方法にて不融化、炭化を行った。
さらに、アルゴンガス雰囲気下において2800℃まで焼成することにより、高結晶性極細炭素繊維を得た。得られた極細炭素繊維は、繊維の平均繊維径が1.0μm、平均繊維長が2μmであった。また、ラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドの強度比Id/Igが0.14であり、X線回折法における結晶格子面間隔は0.349nmであり非常に高い結晶性を有していた。
[実施例3]
平均重合度500、けん化度98.0モル%の水溶性PVAポリマーと、エチレン変性量が44モル%、けん化度99.5モル%、のエチレン変性PVAポリマーとを、重量比が70:30、両ポリマーの合計濃度が30重量%となるようにDMSO中に添加し、窒素雰囲気105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解した。さらに、これに導電性付与剤としてカーボンブラック(平均粒子径35nm)をポリマー100重量部に対して10重量部となるように添加し、分散して紡糸原液とした。得られた紡糸原液を実施例1と同様の方法にて紡糸、延伸し、単糸繊度10dtexのフィラメントを得た。得られた繊維は水溶性ポリマーを海成分とし、エチレン変性PVAポリマーとカーボンブラックとの混合物を島成分とする海島型複合繊維となっていた。
ついで、得られた繊維を90℃の熱水浴に通して海成分である水溶性PVAポリマーを除去し、エチレン変性PVAポリマーとカーボンブラックとの混合物からなるPVA系極細繊維を得た。PVA系極細繊維の平均繊維径は、0.7μmであった。
得られた極細繊維の体積固有抵抗値を測定したところ、2.2×10Ωcmであり、良好な導電性を有していた。
[比較例1]
平均重合度1700、けん化度99.7モル%のPVAポリマーと、軟化点350℃のメソフェーズピッチとをPVAポリマー100重量部に対して10重量部となるように混合し、105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解し、紡糸原液とした。得られた紡糸原液を、孔径0.12mm、ホール数40のノズルを通して液温5℃のメタノール固化浴中に乾湿式紡糸した。さらに液温25℃のメタノール浴中で3倍の湿延伸を施し、120℃の熱風にて乾燥した後、230℃の熱風炉にて全延伸倍率が15倍となるように乾熱延伸を行い、単糸繊度2.5dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維を空気中において215℃×7時間保持して不融化し、不融化繊維を得た。このようにして得られた不融化繊維を、実施例1と同様の方法にて炭化、黒鉛化し、直径約10μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維をミキサーにて2分間湿式粉砕し、割繊処理を行ったが、極細形状の炭素繊維は得られなかった。
[比較例2]
平均重合度500、けん化度98.0モル%の水溶性PVAポリマーと、重合度1700、けん化度99.7モル%のPVAポリマーとを重量比が70:30、両ポリマーの合計濃度が30重量%となるようにDMSO中に添加し、窒素雰囲気105℃の窒素雰囲気下にて加熱溶解した。
さらに、これに軟化点350℃のメソフェーズピッチを、ポリマー100重量部に対して10重量部となるように添加し、分散して紡糸原液とした。得られた紡糸原液を実施例1と同様の方法にて乾湿式紡糸し、120℃の熱風にて乾燥した後、210℃の熱風炉にて全延伸倍率が7倍となるように乾熱延伸を行い、単糸繊度10dtexのフィラメントを得た。
得られた繊維を90℃の熱水浴に通して海成分であるPVAポリマーを除去したところ、多量のメソフェーズピッチが熱水浴中に溶出し、十分な量のメソフェーズピッチを含む極細繊維を得ることができなかった。
[比較例3]
平均重合度80万のPEOを濃度80重量%の水溶液としたもの100部と平均重合度1700、けん化度99.7モル%を濃度35重量%に調整した水溶液80部とメソフェーズピッチ10部とを加熱攪拌し、紡糸原液とした。この原液を乾式紡糸し、230℃の熱風炉にて全延伸倍率が7倍となるように乾熱延伸を行い、単糸繊度40dtexの複合繊維を得た。
得られた繊維を室温の水浴に通して海成分であるPEO成分を除去したところ、多量のメソフェーズピッチが水浴中に溶出し、十分な量のメソフェーズピッチを含む極細繊維を得ることができなかった。
[比較例4]
導電性付与剤を加えない以外は実施例3と同様にして単糸繊度10dtexのフィラメントを得た。
ついで、得られた繊維を90℃の熱水浴に通して海成分である水溶性PVAポリマーを除去し、エチレン変性PVAポリマーからなるPVA系極細繊維を得た。PVA系極細繊維の平均繊維径は、0.7μmであった。
得られた極細繊維の体積固有抵抗値を測定したところ、3.8×1012Ω・cmであり、導電性は有していなかった。
本発明によって得られる海島型複合繊維は、機能性化合物の種類に応じて、幅広い範囲の機能性が付与されたPVA系極細繊維を得るために好適に用いることができる。そして機能性が付与されたPVA系極細繊維は、例えば、フィルター、ワイピング材などとして利用することができる。また、機能性化合物として易黒鉛化性有機化合物を利用した場合、PVA系極細繊維から極細炭素繊維を製造することが可能となる。このような極細炭素繊維は、導電付与材、電磁波シールド材、電池の電極材等の用途に好適に使用される。

Claims (12)

  1. 溶媒と、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーと、疎水性の機能性化合物とを混合した紡糸原液を準備する準備工程と、
    この紡糸原液を、湿式紡糸または乾湿式紡糸し、機能性化合物が均一に分散した疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維を得る紡糸工程と、
    を備える海島型複合繊維の製造方法であって、
    前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対する前記機能性化合物の割合が1〜80重量部である製造方法
  2. 請求項1の製造方法において、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーおよび疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーの総量100重量部に対する機能性化合物の割合が0.1〜50重量部である製造方法。
  3. 請求項1または2の製造方法において、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーが、エチレン−ビニルアルコール共重合体である製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項の製造方法において、機能性化合物が、易黒鉛化性炭素または易黒鉛化性有機化合物である製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項の製造方法において、機能性化合物が、メソフェーズピッチである製造方法。
  6. 疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーを島成分として、水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分として備える海島型複合繊維であって、
    前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに対して、疎水性の機能性化合物が略均一に分散し、前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対する前記機能性化合物の割合が1〜80重量部である海島型複合繊維。
  7. 請求項6に記載の海島型複合繊維から、水系溶媒により海成分である水溶性ポリビニルアルコール系ポリマーを溶出して除去して、ポリビニルアルコール系極細繊維を得る除去工程を備えるポリビニルアルコール系極細繊維の製造方法。
  8. 請求項7に記載されたポリビニルアルコール系極細繊維の製造方法により製造された、ポリビニルアルコール系極細繊維。
  9. 請求項8に記載のポリビニルアルコール系極細繊維であって、
    前記機能性化合物は、前記疎水性ポリビニルアルコール系ポリマーに略均一に分散され、かつ
    平均繊維径が0.01〜10μmであるポリビニルアルコール系極細繊維。
  10. 請求項のポリビニルアルコール系極細繊維において、疎水性ポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に対する前記機能性化合物の割合が1〜80重量部 の範囲であるポリビニルアルコール系極細繊維。
  11. 請求項9または10に記載のポリビニルアルコール系極細繊維を焼結することによって得られる極細炭素繊維。
  12. 請求項11記載の極細炭素繊維で構成された導電性材料。
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