JP6144055B2 - 扁平トンネルの構築方法 - Google Patents
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Description
従来、扁平トンネルを構築する際においては、トンネルの側面にかかる水平反力を確保することが周辺地山の状態に左右されることから、トンネル断面が極端に扁平なトンネルを構築することは困難であり、現実には、扁平率(=トンネル構造物の高さH/トンネル構造物の幅B)が70〜75%程度の扁平率の高い扁平トンネルしか構築することができなかった。例えば道路トンネルの分岐合流部等においては、必要なトンネル内空断面より遥かに大きな必要外空間を掘削し、支保する必要のある大断面の扁平トンネルを構築する必要があった。
例えば、図4(a)に示すめがね型トンネル1に対する分岐合流部の扁平トンネルを構築する場合、図4(b)に示すように、めがね型トンネル1の高さよりも高さの高い大断面の扁平トンネル100を構築していた。即ち、発進導坑2から地山に推進させて到達導坑3まで到達させた管列101を構築しようとするトンネル100の延長方向に沿って複数並ぶように設けることによって、当該トンネルの外殻102を、めがね型トンネル1の高さよりも高く構築し、当該外殻102の内側の地山を掘削してトンネル空洞部を形成することにより、扁平トンネル100を構築していた。尚、上記管列101は、例えば、最初に推進させる先頭の管105の先端側に設けられた図外の掘削手段で地山を掘削させるとともに発進導坑2に設置された推進手段で先頭の管105を前方へ押圧することによって先頭の管105を地山に推進させ、さらに、推進させた先頭の管105の後方に順次後続の管105を連結していって前記掘削手段及び推進手段を作動させてこれら管105;105…を地山に推進させる推進工法によって構築される。
本発明は、扁平率の低い扁平トンネルを構築できるようにし、必要外空間の掘削量を少なくできて、施工コストを低減できる扁平トンネルの構築方法を提供する。
つまり、トンネル空洞部形成ステップでは、外殻で囲まれた地山の最上部から下方部に向けてトンネルの路面位置まで段階的に分けて掘削していくとともに、掘削によって露出した外殻の下面にトラス構造体を設け、さらに既に設けたトラス構造体の下部に新たなトラス構造体を増設していく。
即ち、トンネル空洞部形成ステップは、外殻で囲まれた地山の最上部からトンネルの路面位置まで地山を掘削する掘削ステップと、掘削によって露出した外殻の下面にトラス構造体を設置するトラス構造体設置ステップと、を備える。
まず、図1(a)に示すように、めがね型トンネル1に対する分岐合流部のトンネルの両側壁を兼ねる発進導坑2と到達導坑3とを形成し、当該発進導坑2と到達導坑3とを繋ぎ材としてのタイロッド4で繋ぐ。このタイロッド4は、図3に示すように、例えば構築しようとするトンネルの延長方向Xに沿って間隔を隔てて複数本設ける(尚、図3では、外殻11の内側の地山18の図示を省略してある)。
そして、外殻11としては、めがね型トンネル1の高さより高さの低い扁平な大断面の扁平トンネル25(図2(d)参照)を構築するためのトンネルの外殻11を構築する。
また、発進導坑2内、及び、到達導坑3内に図外の鉄筋を配筋した後、発進導坑2内及び到達導坑3内にコンクリートを充填して鉄筋コンクリート構造体16を構築することで、扁平トンネルの側壁部17を構築する(図1(b)参照)。
即ち、管列内10A、発進導坑2内、及び、到達導坑3内に鉄筋を配筋した後にコンクリートを充填して外殻構造体が構築される。つまり、外殻構造体が、上方に湾曲して発進導坑2と到達導坑3とを連通するように設けられてかつトンネルの延長方向Xに沿って並ぶように設けられた複数の支保10によって構築されたアーチ部と、発進導坑2内に鉄筋コンクリート構造体16を形成して構築された一方の側壁部17と、到達導坑3内に鉄筋コンクリート構造体16を形成して構築された他方の側壁部17と、下方に湾曲して発進導坑2と到達導坑3とを連通するように設けられてかつトンネルの延長方向Xに沿って並ぶように設けられた複数の支保10によって構築されたインバートと、によって構築される。
そして、図1(d)に示すように、1段目掘削作業による掘削によって露出した外殻11の下面19にトラス構造体20を取付けていくトラス構造体1段目設置作業を行う。この場合、外殻11の下面19に直接にトラス構造体20を溶接等によって取付けたり、あるいは、外殻11の下面19を形成する互いに隣り合う管列内10A;10A…の下面間に段差が生じている場合には当該段差を吸収するために外殻11の下面19に図外の鉄板等を溶接して、互いに隣り合う管列内10A;10A…の下面間の段差を無くすようにしてから、当該鉄板の下面にトラス構造体20を溶接等によって取付けるようにすればよい。
トラス構造体2段目設置作業を終了した後、掘削機械により、図2(b)に示すように、外殻11で囲まれた地山18をトンネルの路面位置まで掘削する3段目掘削作業を行う。
従って、必要外空間の掘削量を少なくできて施工コストを低減できる扁平トンネルを構築できる。
また、トラス構造体20;21を備えたので、管列10Aを構成する管15の厚さ寸法t(図2(d)参照)を小さくできる。そして、トラス構造体20;21に防錆処理を施すことで、覆工コンクリートを省くことが可能となる。
また、最初に推進させる先頭の管15の先端側に設けられた掘削手段としては、先頭の管15の先頭開口の前方に設けられて管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体であって、先頭の管15の先頭開口の前方において先頭開口の断面よりも左右幅及び上下幅の大きい断面積の孔を掘削できるように構成された回転掘削体を備えた掘削手段、あるいは、管の中心軸線と同じ又は平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えた掘削手段、あるいは、所謂ウォータジェット噴射により地山を掘削する掘削手段を用いればよい。
また、発進導坑2に設置される推進手段は、例えば、管を押圧するための複数の元押しジャッキと呼ばれる例えば油圧ジャッキ、管の後端面に設置されて元押しジャッキからの押圧力を管に伝達する伝達材、管の推進の際に元押しジャッキに加わる推進反力を受ける支圧体等を備えた構成である。
また、トラス構造体の設置数、設置場所なども、構築するトンネルの仕様、地山の状況に応じて適宜決定すればよい。
Claims (1)
- 既設トンネルに対する分岐合流部の扁平トンネルの両側壁を兼ねる発進導坑と到達導坑とを繋ぎ材で繋いで水平反力を確保する水平反力確保ステップと、
発進導坑から地山に推進させて到達導坑まで到達させた管列をトンネルの延長方向に沿って複数並ぶように設けて当該複数の管列と発進導坑と到達導坑とでトンネルの外殻を構築する外殻構築ステップと、
外殻で囲まれた地山を掘削してトンネル空洞部を形成するトンネル空洞部形成ステップと、
を備え、
トンネル空洞部形成ステップは、
外殻で囲まれた地山の最上部からトンネルの路面位置まで地山を掘削する掘削ステップと、
掘削によって露出した外殻の下面にトラス構造体を設置するトラス構造体設置ステップと、
を備えたことを特徴とする扁平トンネルの構築方法。
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