JP6144044B2 - バッテリーケース用ポリマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特にバッテリーケースへの使用に適するポリプロピレン組成物に関する。
詳しくは、堅くて割れにくいなどの性質を持つ、機械的強度及び耐薬品性に優れたバッテリーケースに関する。
従来より、自動車用のバッテリーケースの成形材料には、機械的強度及び耐薬品性に優れ、且つ高い成形加工性を保持しているポリプロピレン系組成物が多く使用されている。しかしながら、充分な機械的強度を有し、かつ優れた射出成形加工性を有するポリプロピレン組成物は提案されていない。
特許文献1(特開2007−95429号)には、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とを含む樹脂組成物からなるバッテリーケースが開示されている。特許文献1のバッテリーケースは、適度の透明性を有しており、メンテナンスがし易いことが開示されている。
特許文献2(特開2008−542460号)には、結晶質プロピレン重合体、弾性共重合体およびポリエチレンを含むポリプロピレン組成物が開示されている。かかるポリプロピレン組成物は、高い曲げ弾性率と、応力白化抵抗値、ならびにアイゾッド衝撃抵抗値とを有していると開示されている。
特許文献3(特開2011−500907号)には、Mg、Ti、ハロゲン、およびスクシネートから選択される電子ドナー化合物を含む固体触媒成分;アルキルアルミニウム共触媒;およびケイ素化合物を含む触媒系の存在下で行う、幅広い分子量分布を有するプロピレンポリマーの製造方法が開示されている。
特開2007−95429号 特開2008−542460号 特開2011−500907号 WO2009/069483号 WO2009/057747号 特開2005−306910号 特開2004−131537号 特表2002−542347号
本発明は、スクシネート系の電子ドナー化合物を含む、Mg、Ti、およびハロゲンを含む固体触媒成分と、アルキルアルミニウム共触媒、およびケイ素化合物を含む触媒系の存在下で重合させて得たポリプロピレンを含む、特定のメルトフローレート値と、優れた成形加工性とを有するプロピレンポリマー組成物を提供する。特定の触媒を用いて製造したポリプロピレンに、特定のゴム成分ならびに場合によりポリエチレンを正確に添加することにより、バッテリーケースなど、射出成形により成形される物品の製造に適したポリプロピレン組成物を提供することができる。
本発明の態様は、以下の通りである:
1. (A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
(B)有機アルミニウム化合物;および
(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて製造したエチレン単位含有量が0.8重量%未満のポリプロピレン 77〜84重量%と:
エチレン−プロピレンゴム 16〜23重量%と:
場合により、高密度ポリエチレン 10重量%未満と:
を含む、バッテリーケース用ポリプロピレン組成物であって、以下の特性:
組成物の、230℃におけるメルトフローレートが、5〜18g/10分であり;
エチレン−プロピレンゴムの極限粘度が、2.5〜4.0dl/gである、
を満たす前記バッテリーケース用ポリプロピレン組成物。
2. エチレン−プロピレンゴム中のプロピレン濃度が、55〜65重量%である、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
3. さらに1.5重量%未満の核剤を含む、請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物。
4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン組成物から製造したバッテリーケース。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明のポリプロピレン組成物を説明する。本発明は、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
(B)有機アルミニウム化合物;および
(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて製造したエチレン単位含有量が0.8重量%未満のポリプロピレン 77〜84重量%と:
エチレン−プロピレンゴム 16〜23重量%と:
場合により、高密度ポリエチレン 10重量%未満と:
を含む、バッテリーケース用ポリプロピレン組成物であって、以下の特性:
組成物の、230℃におけるメルトフローレートが、5〜18g/10分であり;
エチレン−プロピレンゴムの粘度が、2.5〜4.0dl/gである、
を満たす前記バッテリーケース用ポリプロピレン組成物にかかる。
本発明の第1成分であるポリプロピレンは、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(B)有機アルミニウム化合物;および(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて製造したものである。
本発明の第1成分の製造で用いる(A)成分である固体触媒成分は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体化合物を必須成分として含有する。この固体触媒成分については、多くの先行技術文献が、その製造方法を提示している。具体的には、この固体触媒成分は、マグネシウム化合物とチタン化合物ならびに電子供与体化合物を相互接触させることにより得られる。例えば、(1)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、粉砕し、または粉砕することなく、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体と反応条件下に液相をなすチタン化合物と反応させる方法;(2)マグネシウム化合物の液状物と、液状のチタン化合物を電子供与体化合物の存在下または不存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法;(3)固体状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物および電子供与体化合物と反応させる方法;(4)上記(2)や(3)で得られるものに、さらにチタン化合物を反応させる方法;(5)上記(1)や(2)や(3)で得られるものにさらに電子供与体化合物およびチタン化合物を反応させる方法;(6)マグネシウム化合物あるいはマグネシウム化合物と電子供与体化合物の錯化合物を、電子供与体化合物、粉砕助剤等の存在下または不存在下、およびチタン化合物の存在下に粉砕し、電子供与体化合物および/または有機アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに得た固体をハロゲン又はハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処理する方法;および(7)前記(1)〜(5)で得られる化合物をハロゲン又はハロゲン化合物又は芳香族炭化水素で処理する方法など、様々な方法にて、本発明で用いる(A)成分である固体触媒成分を得ることができる。
本発明の第1成分の製造で使用する固体触媒成分(A)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:
Figure 0006144044
(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。より具体的には、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(On−C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(OisoC49)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC25)2Cl2、Ti(On−C49)2Cl2、Ti(OC25)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC25)3Cl、Ti(On−C49)3Cl、Ti(OC25)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC25)4、Ti(On−C49)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられ、これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、とくに好ましいものは、四塩化チタンである。
本発明の第1成分の製造で使用する固体触媒成分(A)の調製に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いる事もでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
本発明の第1成分の製造で使用する固体触媒成分(A)の調製に用いられる電子供与体化合物は、一般には「内部電子供与体」と称される。このような電子供与体化合物として、アルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸又は無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネートの如き含窒素電子供与体などを知られているが、本発明ではスクシネート系の電子供与体化合物を使用する。
好適なスクシネート系化合物は、式I:
Figure 0006144044
(式中、基R及びRは、互いに同一か又は異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合している基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい)
のコハク酸エステル(スクシネート)構造を有する化合物から選択される。
及びRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びR基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。 式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基であるものである。好適な単置換スクシネート化合物の具体例は、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニルスクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。好適な二置換スクシネートの具体例は、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートである。
更に、水素とは異なる少なくとも2つの基、則ちR及びR、又はR及びRが異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。好適な化合物の具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチル、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチル、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネートである。
式Iの化合物のうち、基R〜Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特許文献8に挙げられている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば特許文献4に開示されているような環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
他の環状スクシネート化合物の例としては、特許文献5に開示されている化合物も好ましい。
式Iの化合物のうち、基R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特許文献6に開示される化合物が挙げられる。一方、基R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特許文献7に開示される化合物が挙げられる。
本発明の第1成分の製造に使用する固体触媒成分を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物をあげることができ、とくに塩素が好ましい。
本発明の第1成分の製造に使用する(B)成分である有機アルミニウム化合物は、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシドのほかに、R1 2.5Al(OR2)0.5などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム等から選択することができる。
本発明の第1成分の製造に使用する(C)成分である電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体」と称される。このような電子供与体化合物として、有機ケイ素化合物を用いるのが好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられ、とりわけエチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
本発明の第1成分であるポリプロピレンは、エチレン単位含有量が0.8重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であり、多分散性指数(PI)5以上、好ましくは5.5以上という幅広い分子量分布を有する。
本発明の第2成分であるエチレン−プロピレンゴムは、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体であり、例えば、特許文献3に記載された従来法に則り製造することができる。第2成分であるエチレン−プロピレンゴムは、本発明のポリプロピレン組成物中に16〜23重量%含有される。第2成分であるエチレン−プロピレンゴム中のプロピレン濃度は、好ましくは55〜65重量%、さらに好ましくは57〜63重量%である。なお、エチレン−プロピレンゴム成分の粘度は2.5〜4.0dl/g、好ましくは2.5〜3.8dl/gである。
本発明のポリプロピレン組成物中に、任意成分として高密度ポリエチレンを含むことができる。本発明の任意成分である高密度ポリエチレンは、例えば特許3146449号に記載された従来法に則り製造することができる。任意成分である高密度ポリエチレンは、本発明のポリプロピレン組成物中に10重量%未満、好ましくは6重量%未満含有される。
本発明のポリプロピレン組成物の、230℃におけるメルトフローレートは5〜18g/10分、好ましくは6〜17g/10分である。
さらに本発明のポリプロピレン組成物は、成核剤、油展、無機充填材及び他の有機及び無機顔料などのオレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤、充填材及び顔料を添加してもよい。特に、タルク、炭酸カルシウム及び無機充填材などの無機物充填材は、曲げ弾性率及びHDTなどの機械的特性の改良をももたらす。タルクは、さらに成核効果をも有し得る。
本発明のポリプロピレン組成物は、バッテリーケース用途、特に自動車用バッテリーケースに好適に用いることができる。バッテリーケースへの使用に好適な理由として、好適な曲げ弾性率と、高い衝撃強度、ならびに優れた成形流動性を有することが挙げられる。従来バッテリーケース用途に用いられてきたポリマー組成物は、成形加工、特に射出成形加工性が充分でなかった。加工性を向上させるためにメルトフローレートを増加させると、機械的強度や曲げ弾性率が低下し、強度を向上させると成形加工性が低下するという相関関係があった。本発明のポリプロピレン組成物は、好適なメルトフローレート値を維持しつつ、成形加工性を向上させることができた。
本発明のポリプロピレン組成物は、ISO−178にしたがう方法で測定して、1200MPa以上、好ましくは1300MPa以上の曲げ弾性率を有する。さらに、本発明のポリプロピレン組成物は、8J以上、好ましくは10J以上の23℃におけるアイゾッド衝撃抵抗値、4J以上の−20℃でのアイゾッド衝撃抵抗値を有する。本発明のポリプロピレン組成物は、スパイラルフロー測定試験により測定できる、優れた成形加工性を有する。さらに本発明のポリプロピレン組成物は、熱板融着の際の糸曳き性が低いという特性を有する。
本発明の方法により、機械特性に優れ、加工特性にも優れるバッテリーケース用ポリオレフィンが得られる。
次に本発明のポリプロピレン組成物の製造方法を具体的に説明する。
本発明の組成物は、逐次共重合方法によって得られる。各後続の重合は直前の重合反応中に形成された重合性物質の存在下で行われる少なくとも2段の逐次重合ステージを具備する。ここで、第1成分であるポリプロピレンの製造段階である、プロピレンの重合ステージは、少なくとも1段のステージで行われ、次いでエチレンとプロピレンとの混合物からエチレン−プロピレンゴムへの共重合ステージが行われる。場合により高密度ポリエチレンを添加する場合は、2段の重合により得られた重合体と高密度ポリエチレンをヘンシェルミキサー、ブラベンダー等で撹拌した後、押出機を用いて180℃から280℃で溶融ブレンドする事によりポリプロピレン組成物を得る事ができる。重合ステージは、立体特異的チーグラーナッタ(Ziegler−Natta)触媒の存在下で行われる。
好ましい実施形態によれば、全重合ステージは、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(B)有機アルミニウム化合物;および(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物を含む触媒成分の存在下で行われる。上記特徴を有する触媒は、特許文献により周知である。重合ステージは、液相中、気相中又は液−気相中で生じてもよい。好ましくは、結晶質重合体(a)の重合を液体モノマー中(たとえば、液体プロピレンを希釈剤として用いる)で行い、ゴムの共重合ステージを気相中で行う。あるいは、全逐次重合ステージを気相中で行うこともできる。ポリプロピレンの調製用の重合ステージおよびゴムの調製における反応温度は同一でも異なっていてもよく、好ましくは40〜100℃;より好ましい反応温度は、ポリプロピレンの調製時には50〜90℃の範囲であり、ゴムおよびポリエチレンの調製時には70〜100℃の範囲である。ポリプロピレンを調製するための重合ステージの圧力は、液体モノマー中で行われる場合には、用いられる運転温度での液体プロピレンの蒸気圧と競合する圧力であり、触媒混合物を供給するために用いられる少量の不活性希釈剤の蒸気圧によって、任意のモノマーの過圧によって及び分子量調節剤として用いられる水素によって調節されてもよい。
重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは33〜43barの範囲であり、気相中で行われる場合には5〜30barの範囲である。2種のステージにおける滞留時間はポリプロピレンとゴムおよびポリエチレンとの間の所望の比率に依存し、通常は15分間〜8時間の範囲でよい。連鎖移動剤(たとえば、水素又はZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
以下に実施例を掲げ本発明についてさらに説明する。なお、実施例における各分析は以下の方法で行った。
[MFR]
JIS K 7210に準じ、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
[マトリックスPPのエチレン濃度]および、[エチレン−プロピレンゴム中のプロピレン濃度(Pc)]
1、2、4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定を行った。
[極限粘度(XSIV)]
サンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間、攪拌し、サンプルを完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却を行った。得られた溶液を濾紙を用いて、濾過し、濾液を100ml採取し、アルミカップ等に移し、窒素パージを行いながら、150℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置し、キシレン可溶分を得た。上記のキシレン可溶分を試料とし、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラヒドロナフタレン中で極限粘度(XSIV)の測定を行った。
[多分散性指数]
190℃の温度において、PaarPhysica社製UDS200を用い、0.1rad/秒から100rad/秒に増加する振動数で運転することによって測定した。多分散性指数の値は、等式:
PI=10/Gc
(式中、Gcは、G’=G”(ここで、G’は貯蔵弾性率であり、G”は損失弾性率である)における値(Paとして表す)として定義されるクロスオーバー弾性率である)
を用いてクロスオーバー弾性率から誘導した。
[糸曳き特性]
糸曳き性は、射出成形機(α−100C(FANUC社製))を用いて、一般的な2プレートを形成した金型を用いて、金型の型開動作した時にスプルー部先端の糸曳き有無を下記成形条件で測定したものである。
シリンダー温度:220 ℃
金型温度:20℃
保圧:490kgf/cm (5秒保持)
型開速度:10 → 100 mm/秒
型開位置:120mm
ノズルタッチ状態(射出ユニット後退なし)
測定開始:10 ショット以降に糸曳きの有無を確認
[曲げ弾性率]
各樹脂組成物を、成形機としてFANUC社製α−100Cを用い、成形温度230℃、成形圧力50MPaで射出成形し、この成形品の曲げ弾性率(MPa)を、JIS K7203に従って測定した。
曲げ弾性率が大きいほど、剛性に優れることを示す。
[アイゾッド衝撃強度]
ISO−180/1Aにしたがって測定した。
[成形流動性]
スパイラルフロー測定試験:
スパイラル流動長は、射出成形機(α−100C(FANUC社製))を用いて、アルキメデススパイラルを形成されたスパイラルフロー金型(流路断面:上辺8mm、下辺10mm×高さ2mmの台形)を用いた、下記成形条件での測定値である。
シリンダー温度:230 ℃
金型温度:40℃
射出圧力:750kgf/cm
射出速度:10 mm/秒
保圧:750kgf/cm(3秒保持)
冷却時間:8 秒
[白化特性]
各樹脂組成物を、成形機としてFANUC社製α−100Cを用い、成形温度230℃、成形圧力50MPaで射出成形して、130×130×2mm板状の成形品を作製した。
この成形品を、島津製作所社製ハイドロショットを用いて、成形品を破壊しない程度の衝撃を加えたときの白色化の有無を目視で観察し、以下の基準で耐白化性を評価した。
◎:白化が見られなかった。
○:僅かに白化が見られた。
×:白化が見られた。
(1)固体触媒成分の調製
特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下の通りである:
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(USP−4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、及び9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
(2)重合および組成物の製造
[実施例1]
本発明のポリプロピレン組成物は、以下の方法で製造した:
上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が11であり、TEAL/DIPMSの質量比が3となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体またはプロピレン・エチレン共重合体)を重合させた。得られたプロピレン系重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン−プロピレン共重合体を重合させた。その際、各重合反応器へのエチレン供給量および水素供給量(分子量、MFR調整の目的で使用)、前段の重合反応器の水素濃度、重合温度、重合圧力を表1に示したように調整することによって、同じく表1に示すプロピレン系樹脂材料を得た。
得られたプロピレン系樹脂材料に、酸化防止剤(BASF社製B225)を0.24質量%、および中和剤(カルシウムステアレート)を0.05質量%配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。
[実施例2〜7]
前段の重合器の水素濃度を増加させることにより、マトリックスであるポリプロピレンのMFRを調整した(実施例2〜4)。また、実施例5は、さらに後段の重合器の水素濃度を減少させることにより、エチレン−プロピレン共重合体の分子量、すなわちXSIVを調整した。それ以外は実施例1と同様にプロピレン系樹脂材料を得た後、溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。実施例6、7については実施例1と同様に前後段の水素濃度、後段のエチレンフィード量を調整し得られたプロピレン系樹脂材料に、実施例6の場合は、溶融混練の際に、タルク(ネオライト興産社製ネオタルクUNI05)をさらに配合し、押出機を用いて230℃で溶融混練して樹脂組成物を得た。実施例7の場合は、溶融混練の際に、高密度ポリエチレン(HDPE)として日本ポリエチレン社製HJ490Nを配合し、樹脂組成物を得た。
[比較例1〜3]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例1〜3は、フタレート系の固体触媒を用いてプロピレンを重合させた例である。比較例1〜3で使用した固体触媒は、欧州特許第674991号に記載された方法により得られるものである。具体的には以下の通り製造した:
重合に用いる固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。該固体触媒は、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
上記固体触媒と、TEAL及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が11であり、TEAL/DCPMSの質量比が3となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の前段の重合反応器に導入してプロピレン系重合体(プロピレン単独重合体またはプロピレン・エチレン共重合体)を重合させた。得られたプロピレン系重合体を後段の重合反応器に供給し、後段の重合反応器にて、エチレン−プロピレン共重合体を重合させた。前段の水素濃度を増加させることにより、MFRを調整した。比較例2については、実施例1と同様に溶融混練し、比較例1、3については実施例6と同様にタルクを溶融混練し樹脂組成物を得た。
[比較例4〜5]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例4〜5は、ポリプロピレン組成物のMFRの値が本発明の範囲を満たさないものである。比較例4〜5の具体的な製造方法は以下の通りである:
実施例1と同様の予備重合触媒を使用し、前段の重合器の水素濃度を増減させることにより、マトリックスであるポリプロピレン系材料のMFRの調整を行った。得られたポリプロピレン系材料を、実施例1と同様に溶融混練を行い樹脂組成物を得た。
[比較例6〜7]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例6〜7は、配合したエチレン−プロピレンゴムの極限粘度が本発明の範囲を満たさないものである。実施例1と同様の予備重合触媒を使用し、後段の重合器の水素濃度を増減させることにより、エチレン−プロピレンゴムの分子量、すなわち極限粘度(XSIV)の調整を行った。
[比較例8〜9]
比較例8〜9は、エチレン−プロピレンゴム中のプロピレン含有量が本発明の好ましい範囲を満たさないものである。
実施例1と同様の予備重合触媒を使用し、後段の重合器のエチレン濃度を増減させることにより、エチレン−プロピレンゴム中のプロピレン含有量(Pc)を増減させ、実施例1と同様に溶融混練を行い樹脂組成物を得た。
[比較例10〜11]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例10〜11は、エチレン−プロピレンゴムの配合量が本発明の範囲を満たさないものである。実施例1と同様の予備重合触媒を使用し、前段および後段の重合器での滞留時間を増減させることにより、エチレン−プロピレンゴムの配合量を増減させ、実施例1と同様の溶融混練を行い樹脂組成物を得た。
[比較例12]
比較例12は、核剤の配合量が本発明の好ましい範囲を満たさないものである。
[比較例13]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例13は、エチレン−プロピレンゴムの配合量と高密度ポリエチレンの配合量が本発明の範囲を満たさないものである。
[比較例14]
本発明の範囲に入らないポリマー組成物を製造した。比較例14は、マトリックスとしてポリプロピレン単独重合体ではなく、エチレンが1.0重量%含まれるプロピレン・エチレン共重合体を使用した場合である。
各実施例および比較例の結果を、以下の表1にまとめる。
Figure 0006144044
本発明のポリプロピレン組成物は、低い糸曳き性と、高い曲げ弾性率、優れた衝撃強さを併せ持つ。本発明のポリプロピレン組成物は、成形流動性に優れ、白化抵抗性も高い。本発明のポリプロピレン組成物を用いて、効率良くバッテリーケースを製造することができる。

Claims (2)

  1. (A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
    (B)有機アルミニウム化合物;および
    (C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
    を含む触媒を用いて製造したエチレン単位含有量が0.8重量%未満のポリプロピレン 77〜84重量%と:
    エチレン−プロピレンゴム 16〜23重量%と:
    場合により、高密度ポリエチレン 10重量%未満と:
    を含む、バッテリーケース用ポリプロピレン組成物であって、以下の特性:
    組成物の、230℃におけるメルトフローレートが、5〜18g/10分であり;
    エチレン−プロピレンゴムの極限粘度が、2.5〜4.0dl/gである、
    を満たし、かつ
    前記エチレン−プロピレンゴム中のプロピレン濃度が55〜65重量%であり、
    1.5重量%未満の核剤を含む、
    前記バッテリーケース用ポリプロピレン組成物。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン組成物から製造したバッテリーケース。
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