JP6142332B1 - 炭素繊維、炭素繊維材製造方法、電気デバイス、二次電池、及び製品 - Google Patents

炭素繊維、炭素繊維材製造方法、電気デバイス、二次電池、及び製品 Download PDF

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Abstract

接触抵抗が低く、かつ、導電性が高い炭素繊維を提供することである。下記の要件が満たされる炭素繊維。前記炭素繊維の直径は0.5〜6.5μmである。前記炭素繊維の長さは5〜65μmである。前記炭素繊維は「うねり」を有する。前記炭素繊維は凸を有する。前記凸の突出高さが20〜300nmである。前記凸の数は、炭素繊維1μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、3〜25個である。前記炭素繊維はカーボンブラックを有する。前記カーボンブラックの一次粒径は21〜69nmである。

Description

本発明は炭素繊維の技術に関する。
炭素繊維は各種の分野で用いられている。例えば、二次電池(リチウムイオン電池など)に用いられている。前記二次電池では、例えば導電助剤として用いられている。
次の炭素繊維が提案(特許第4697901号:特許文献1)されている。前記炭素繊維は大径部と小径部とを具備する。前記大径部の直径は20nm〜2μmである。前記小径部の直径は10nm〜1μmである。(前記大径部における直径)>(前記小径部における直径)。前記特許文献1は次の製造方法を提案している。前記方法は、分散液作製工程と、静電紡糸工程と、変性工程とを具備する。必要に応じて、解布工程を具備する。前記分散液作製工程は、ピッチ及び樹脂を含む分散液が作製される工程である。前記静電紡糸工程は、前記分散液を静電紡糸する工程である。本工程により、不織布(炭素繊維前駆体からなる不織布)が作製される。前記変性工程は、前記炭素繊維前駆体(不織布)が炭素繊維に変性する工程である。前記解布工程は、前記変性工程を経た不織布(炭素繊維製)が解かれる工程である。
前記静電紡糸に代わって遠心紡糸が採用された技術も提案(特許第5334278号:特許文献2)されている。
前記静電紡糸に代わって湿式紡糸(又は乾式紡糸)が採用された技術も提案(特許第5510970号:特許文献3)されている。
次の負極活物質が提案(特許第5376530号:特許文献4)されている。前記負極活物質は、炭素繊維と、リチウムと合金形成が可能な物質とを具備する。前記物質は前記炭素繊維の表面に設けられている。前記負極活物質は、電池に組み込まれる前において、リチウムイオンの吸蔵・脱離処理が行われている。
特許第4697901号 特許第5334278号 特許第5510970号 特許第5376530号
前記特許文献1,2の炭素繊維は、大径部と小径部とを具備する。前記炭素繊維は、同一径の炭素繊維に比べて、表面積が大きい。しかし、前記特徴(大径部と小径部とを具備)の炭素繊維が導電助剤として用いられた場合、繊維と繊維との間の接触抵抗が大きいことが判って来た。繊維と活物質との間の接触抵抗が大きいことも判って来た。電池のレート特性を大幅に向上させることは困難であった。
リチウムイオン電池の分野では、電池の高容量化が求められている。負極材料としては、ケイ素(Si)系活物質が注目されている。正極材料としては、硫黄(S)系活物質が注目されている。前記ケイ素(Si)系活物質や前記硫黄(S)系活物質は導電性がない。この為、導電助剤が必要である。前記活物質は、充放電に伴う体積変化が大きい。この為、充放電が繰り返されると、活物質と導電助剤とは離れる。この結果、放電容量が低下する。
この問題を解決する為、ケイ素系負極活物質と炭素繊維との複合化の検討が行われた。例えば、金属ケイ素が、スパッタリングで、炭素繊維(不織布)に設けられた(特許文献2)。この技術は、金属ケイ素が電極に設けられる方法より、優れていた。しかし、充電容量(667mA/g)に対し、放電容量(300mA/g)が低い。金属ケイ素が、電気化学的処理により、炭素繊維表面に設けられる技術が提案(特許文献4)されている。この技術はサイクル特性が良い。しかし、放電容量(200mA/g)が低い。
本発明が解決しようとする第1の課題は、接触抵抗が低く、かつ、導電性が高い炭素繊維を提供することである。
本発明が解決しようとする第2の課題は、電極材料として好適な炭素繊維を提供することである。
本発明は、
下記の[要件1]〜[要件4]が満足される
ことを特徴とする炭素繊維を提案する。
[要件1]
前記炭素繊維の直径:0.5〜6.5μm
前記炭素繊維の長さ:5〜65μm
(前記炭素繊維の直径)<(前記炭素繊維の長さ)
[要件2]
前記炭素繊維は「うねり」を有する。
[要件3]
前記炭素繊維は凸を有する。
前記凸の突出高さ:20〜300nm
前記凸の数:炭素繊維1μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、3〜25個
[要件4]
前記炭素繊維はカーボンブラックを有する。
本発明は、好ましくは、
前記[要件1]〜[要件4]と、下記要件[5]とが満足される
ことを特徴とする炭素繊維を提案する。
[要件5]
前記炭素繊維はSi粒子を有する。
[前記Si粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記Si粒子の質量]=20〜94%
本発明は、好ましくは、
前記[要件1]〜[要件4]と、下記要件[6]とが満足される
ことを特徴とする炭素繊維を提案する。
[要件6]
前記炭素繊維はS粒子を有する。
[前記S粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記S粒子の質量]=20〜94%
本発明は、炭素繊維を具備する製品であって、前記炭素繊維が上記の炭素繊維である製品を提案する。
本発明は、上記炭素繊維を具備する電気デバイスを提案する。
本発明は、上記炭素繊維を用いて構成された負極を具備する二次電池を提案する。
本発明は、上記炭素繊維を用いて構成された正極を具備する二次電池を提案する。
本発明は、
分散液作製工程と紡糸工程と変性工程とを具備する炭素繊維材の製造方法であって、
前記分散液作製工程は、ポリビニルアルコール、カーボンブラック(一次粒径が21〜69nm)、及び溶媒を含む分散液が作製される工程であり、
前記紡糸工程は、前記分散液から繊維材(炭素繊維前駆体を具備)が作製される工程であり、
前記変性工程は、前記炭素繊維前駆体が炭素繊維に変性する工程である
ことを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記カーボンブラックは、好ましくは、前記ポリビニルアルコール100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記ポリビニルアルコールは、好ましくは、その重合度が2200〜4000、その鹸化度が75〜90mol%であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、好ましくは、更に、解布工程と、分級工程とを具備し、前記解布工程は前記繊維材が解かれる工程であり、前記分級工程は、炭素繊維(直径が0.5〜6.5μm、長さが5〜65μm)が分取される工程であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記分散液作製工程は、好ましくは、更に、Si粒子(又はS粒子)が用いられて分散液が作製される工程であり、前記Si粒子(又はS粒子)は、粒径が0.05〜3μmであり、[前記Si粒子(又はS粒子)の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記Si粒子(又はS粒子)の質量]=20〜94%であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記紡糸が、例えば延伸紡糸であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記紡糸が、例えば遠心紡糸であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
本発明は、前記炭素繊維材製造方法であって、前記紡糸が、例えば静電紡糸であることを特徴とする炭素繊維材製造方法を提案する。
接触抵抗が低く、導電性が高い炭素繊維が得られた。
本発明の炭素繊維がリチウムイオン電池の負極活物質として用いられた場合、Si(ケイ素)粒子と炭素繊維(導電助剤)との乖離が抑えられた。
本発明の炭素繊維がリチウムイオン電池の正極活物質として用いられた場合、S(硫黄)粒子と炭素繊維(導電助剤)との乖離が抑えられた。
耐久性(繰り返しての充放電の特性:サイクル特性)に優れた電極材料が得られた。
遠心紡装置の概略側面図 遠心紡装置の概略平面図 延伸紡装置の概略図 炭素繊維の模式図 SEM写真 SEM写真 放電特性図 SEM写真 SEM写真 SEM写真 SEM写真 X線回折図 放電特性図 SEM写真 SEM写真 放電特性図 TEM写真 SEM写真、炭素マッピング、ケイ素マッピング
第1の発明は炭素繊維である。前記炭素繊維は次の[要件1]〜[要件4]を満足する。好ましくは、次の[要件5](又は、[要件6])を更に満足する。
[要件1]
前記炭素繊維の直径:0.5〜6.5μm
前記炭素繊維の長さ:5〜65μm
(前記炭素繊維の直径)<(前記炭素繊維の長さ)
[要件2]
前記炭素繊維は「うねり」を有する。
[要件3]
前記炭素繊維は凸を有する。
前記凸の突出高さ:20〜300nm
前記凸の数:炭素繊維1μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、3〜25個
[要件4]
前記炭素繊維はカーボンブラックを有する。
[要件5]
前記炭素繊維はSi粒子を有する。
[前記Si粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記Si粒子の質量]=20〜94%
[要件6]
前記炭素繊維はS粒子を有する。
[前記S粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記S粒子の質量]=20〜94%
前記Si粒子を有する場合、リチウムイオン電池負極材料としての容量が増す。
前記S粒子を有する場合、リチウムイオン電池正極材料としての容量が増す。
前記Si粒子(前記S粒子)は導電性が無い。前記炭素繊維はカーボンブラック(導電性を有するカーボンブラック)を持つ。従って、前記炭素繊維は導電性を有する。前記炭素繊維は高容量の活物質となる。前記炭素繊維は繊維形状であるから、球状の場合に比べ、周囲の物質と導電性を保ち易い。充放電による体積変化が大きくても、サイクル特性が低下し難い。
第2の発明は炭素繊維材の製造方法である。本発明において、「繊維材」とは、「繊維で構成されたシートまたはフィルム(例えば、不織布など)」であるとか、
「糸」であるとか、「繊維(例えば、長繊維または短繊維)」である。「繊維材」には前記以外の繊維製品も含まれる。「炭素繊維材」には、(1)不織布(不織布を構成する繊維が炭素繊維)である場合、(2)糸である場合、(3)繊維(繊維は炭素繊維。繊維は長繊維または短繊維)である場合、(4)その他の製品(製品を構成する繊維が炭素繊維)である場合が含まれる。本方法は、分散液作製工程と、紡糸工程と、変性工程とを具備する。好ましくは、更に、解布工程を具備する。好ましくは、更に、分級工程を具備する。
前記分散液(分散液作製工程で得られた分散液)はカーボンブラック(CBと略される。)を含有する。前記分散液はポリビニルアルコール(PVAと略される)を含有する。前記分散液は溶媒を含有する。前記分散液は、好ましくは、Si粒子を含有する。前記分散液は、好ましくは、S粒子を含有する。
前記CBの一次粒径(分散状態におけるCB粒子の粒径)は21〜69nmであった。好ましくは、69nm未満であった。より好ましくは、60nm以下であった。更に好ましくは、55nm以下であった。
一次粒径(平均一次粒径)は、例えば比表面積測定法(ガス吸着法)によって求められる。透過型電子顕微鏡(TEM)によっても求められる。X線散乱法によっても求められる。本発明では、一次粒径(平均一次粒径)はTEMによって求められた。
前記粒径のCBが用いられた場合、比表面積が大きな炭素繊維が得られた。例えば、メソフェーズピッチが用いられた場合に比べて、比表面積が大きな炭素繊維が得られた。比表面積が大きいことから、炭素繊維と活物質との接触面積が大きい。従って、接触抵抗が下がった。内部抵抗が低い電極になった。高速充放電が可能になった。
前記分散液中のCBの濃度は、好ましくは、20〜200g/Lであった。より好ましくは、30g/L以上であった。より好ましくは、100g/L以下であった。但し、Si粒子またはS粒子を含有する場合、CB量は少なくても良かった。例えば、20g/L以下でも良かった。すなわち、Si粒子またはS粒子を含有する場合、CBの濃度は、好ましくは、1〜100g/Lであった。
前記PVAは、好ましくは、平均分子量(重合度)が2200〜4000であった。更に好ましくは、3000以下であった。
重合度はJIS K 6726に準じて求められた。例えば、1部のPVAが100部の水に溶解した。粘度(30℃)がオストワルド粘度計(相対粘度計)にて求められた。重合度(P)が、次の式(1)〜(3)より、求められた。
log(P)=1.613×log{([η]×10)/8.29} (1)
[η]={2.303×log[ηrel]}/C (2)
[ηrel]=t/t (3)
:重合度、[η]:極限粘度、ηrel:相対粘度、C:試験溶液の濃度(g/L)、t:水の落下秒数(s)、t:試験溶液の落下秒数(s)
前記PVAは、好ましくは、鹸化度が75〜90mol%であった。更に好ましくは、80mol%以上であった。
鹸化度はJIS K 6726に準じて求められた。例えば、推定鹸化度に応じて、1〜3部の試料、水100部、フェノールフタレイン液3滴が加えられて完全に溶解した。0.5mol/LのNaOH水溶液25mlが加えられ、撹拌後、2時間放置された。0.5mol/LのHCl水溶液25mlが加えられた。0.5mol/LのNaOH水溶液にて滴定が行われた。鹸化度(H)は、次の式(1)〜(3)より、求められた。
={(a−b)×f×D×0.06005}/{S×(P/100)}×100 (1)
=(44.05×X)/(60.05−0.42×X) (2)
H=100−X
(3)
:残存酢酸基に相当する酢酸量(%)
:残存酢酸基(モル%)
H:鹸化度(モル%)
a:0.5mol/lNaOH溶液の使用量(ml)
b:空試験での0.5mol/lNaOH溶液の使用量(ml)
f:0.5mol/lNaOH溶液のファクター
D:規定液の濃度(0.1mol/l又は0.5mol/l)
S:試料採取量(g)
P:試料の純分(%)
前記分散液中の前記PVAの濃度は、好ましくは、50〜200g/Lであった。より好ましくは、60g/L以上であった。より好ましくは、150g/L以下であった。
前記CBは、前記PVA100質量部に対して、好ましくは、5〜200質量部であった。より好ましくは、10質量部以上であった。より好ましくは、100質量部以下であった。
前記溶媒は、好ましくは、水、アルコールの群の中から選ばれる一種または二種以上(混合物)であった。勿論、他の種類の溶媒を用いることも出来る。環境面から、水あるいはアルコールが好ましかった。水が最も好ましかった。水が用いられた場合でも、他の種類の溶媒の併用は禁止されない。30質量%以下の場合、問題は少ないであろう。
前記Si粒子は、好ましくは、その粒径が0.05〜3μmであった。更に好ましくは、0.1μm以上であった。より好ましくは、0.2μm以上であった。もっと好ましくは、0.25μm以上であった。更に好ましくは、0.3μm以上であった。更に好ましくは、2.5μm以下であった。前記粒径は、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDSによって求められた。
前記S粒子は、好ましくは、その粒径が0.05〜3μmであった。更に好ましくは、0.1μm以上であった。より好ましくは、0.2μm以上であった。もっと好ましくは、0.25μm以上であった。更に好ましくは、0.3μm以上であった。更に好ましくは、2.5μm以下であった。前記粒径は、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDSによって求められた。
前記Si粒子の濃度は、好ましくは、10〜100g/Lであった。より好ましくは、30g/L以上であった。より好ましくは、90g/L以下であった。
前記S粒子の濃度は、好ましくは、10〜100g/Lであった。より好ましくは、30g/L以上であった。より好ましくは、90g/L以下であった。
前記分散液(前記分散液作工程後における分散液:前記紡糸工程(紡糸装置)に供給する前段階での分散液)の粘度は、好ましくは、10〜10000mPa・Sであった。前記粘度は共軸二重円筒型粘度計による粘度である。前記分散液は、好ましくは、固形分濃度が0.1〜50質量%であった。
前記紡糸工程は、前記分散液が紡糸される工程である。紡糸方法には、例えば延伸紡糸法(図3参照)、遠心紡糸法(図1,2参照)、静電紡糸法などが挙げられる。遠心紡糸法または静電紡糸法が採用された場合、不織布が得られる。延伸紡糸法が採用された場合、例えば糸(又は、繊維(長繊維))が得られる。前記紡糸によって得られるのは繊維材(例えば、不織布、糸、又はフィラメント(モノフィラメント又はマルチフィラメント))である。前記繊維材の繊維は炭素繊維前駆体である。好ましい紡糸方法は延伸紡糸法(特に好ましくは、延伸倍率が2〜50倍)であった。他の好ましい紡糸方法は遠心紡糸法(特に、好ましくは、円盤回転数が1000〜100000rpm)であった。
前記変性工程は、炭素繊維前駆体(前記紡糸工程で得られた繊維材(不織布、糸、又はフィラメント)の炭素繊維前駆体)が炭素繊維に変性する工程である。この工程は、基本的には、加熱工程である。この加熱工程では、前記繊維材が、例えば50〜4000℃に加熱される。前記変性工程は、好ましくは、樹脂除去工程を有する。この樹脂除去工程は、前記繊維材に含まれる樹脂が除去される工程である。前記樹脂除去工程は、例えば加熱工程である。この加熱工程は、例えば酸化性ガス雰囲気下において、前記繊維材が加熱される工程である。前記変性工程は、好ましくは、炭化工程を有する。この炭化工程は、前記繊維材(特に、前記樹脂除去工程後の繊維材)が炭化処理される工程である。前記変性工程は、好ましくは、黒鉛化工程を有する。この黒鉛化工程は、前記繊維材(特に、前記炭化工程後の繊維材)が黒鉛化処理される工程である。前記黒鉛化工程は、例えば加熱工程である。この加熱工程は、例えば不活性雰囲気下において、前記繊維材(特に、前記炭化工程後の繊維材)が加熱される工程である。前記加熱工程は、例えば前記繊維材(特に、前記炭化工程後の繊維材)への通電による発熱(加熱)工程である。
前記解布工程は繊維材が解かれる工程である。前記解布工程によって、不織布は解かれる。不織布は繊維そのものになる。勿論、絡み合った状態のものもある。糸も解かれる。長繊維は切断される。長繊維は短繊維になる。前記解布工程は、例えば粉砕工程である。例えば、叩かれる工程である。
前記分級工程は、所定形状の炭素繊維を得る工程である。
第3の発明は電気デバイスに用いられる部材である。前記部材は、前記炭素繊維を用いて構成される。前記部材は、例えば電池の電極である。例えば、リチウムイオン二次電池の電極である。前記電極は前記炭素繊維(導電助剤)を含む。例えば、リチウムイオン二次電池の負極である。前記負極は負極活物質(前記Si粒子を含む炭素繊維材からなる負極活物質)を含む。例えば、リチウムイオン二次電池の正極である。前記正極は正極活物質(前記S粒子を含む炭素繊維材からなる正極活物質)を含む。例えば、キャパシタ(電気2重層キャパシタ)の電極である。例えばリチウムイオンキャパシタの電極である。
第4の発明は電気デバイスである。前記電気デバイスは、前記部材を具備する。
第5の発明は炭素繊維を具備する製品である。前記製品の炭素繊維が前記の炭素繊維である。
以下、更に詳しく説明する。
[分散液作製工程(工程I)]
前記分散液は、前記PVAと、前記CBと、前記溶媒とを含有する。
前記PVAは、紡糸性の観点から、好ましくは、重合度が2200〜4000であった。より好ましくは3000以下であった。好ましくは、鹸化度が75〜90mol%であった。より好ましくは80mol%以上であった。重合度が小さ過ぎた場合、紡糸時に、糸が切れ易かった。重合度が大き過ぎた場合、紡糸が困難であった。鹸化度が低すぎた場合、水に溶け難く、紡糸が困難であった。鹸化度が大きすぎた場合、粘度が高く、紡糸が困難であった。
前記分散液は、必要に応じて、ビニル樹脂(例えば、ポリビニルアルコール共重合体、ポリビニルブチラール(PVB)等)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)等)、フッ素樹脂(例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)等)、天然物由来高分子(例えば、セルロース樹脂、セルロース樹脂誘導体(ポリ乳酸、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等))、エンジニアリングプラスチック樹脂(ポリエーテルスルホン(PES)等)、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(ナイロン)、芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂の群の中から選ばれる一種または二種以上を含有しても良い。その量は本発明の効果を損なわない範囲である。
前記分散液は、一次粒径(平均一次粒径)が21nm〜69nmのCBを含む。一次粒径が21nm未満のCBが用いられた場合、得られた炭素繊維の比表面積は増す。しかし、嵩密度が低下した。分散液の固形分濃度が高くならず、取り扱いが困難であった。一次粒径が69nmを越えたCBが用いられた場合、得られた炭素繊維の比表面積が小さくなった。接触抵抗が大きかった。
前記溶媒は、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、シクロヘキサノール等)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、クロロホルム、テトラクロロメタン、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール等)、酸(酢酸、蟻酸など)の群の中から選ばれる一種または二種以上が用いられる。環境面から、好ましくは、水またはアルコールであった。特に好ましくは水であった。
前記分散液は、好ましくは、Si粒子(又は、S粒子)を含有する。前記粒子は、粒径(平均粒径)が0.05〜3μmであった。3μmを越えた大きな粒子は、紡糸時に、繊維に入らない恐れが有った。0.05μm未満の小さ過ぎた場合、製造コストが高くなった。金属ケイ素粒子の場合、水と反応する恐れが有った。比表面積が大きくなり、反応面積も大きくなり、リチウムイオン電池の負極活物質としては適さなくなった。
本発明において、Si粒子(金属ケイ素粒子)は、実質的に、ケイ素単体である。S粒子は、実質的に、硫黄単体である。「実質的」とは、工程上含まれる不純物や、保管中に粒子表面が酸化された場合等による不純物の含有が有る場合も含まれると言う意味である。本発明の前記粒子は、ケイ素単体(又は、硫黄単体)が含まれている粒子であれば制限はない。例えば、粒子表面が他成分で被覆されたものであっても良い。他成分からなる粒子中に、ケイ素単体(又は、硫黄単体)が分散した構造であっても良い。例えば、Si粒子が炭素で被覆された粒子が例示される。Si粒子がSiO中に分散した粒子が例示される。S粒子が界面活性剤で被覆された粒子が例示される。前記複合粒子の場合は、前記複合粒子の粒径が前記範囲内に入っていれば良い。前記炭素繊維に含まれているSi成分(又は、S成分)が単体であるか化合物であるかの判断は、X線回折測定(XRD)など公知の測定方法で判断できる。
前記分散液は、強度や導電性の観点から、必要に応じて、カーボンナノチューブ(例えば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)、マルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)、これ等の混合物)等を含有しても良い。
前記分散液は、必要に応じて、分散剤を含有する。前記分散剤は、例えば界面活性剤である。界面活性剤は、低分子系のものでも、高分子系のものでも良い。
前記PVAと前記CBとは、好ましくは、次の割合である。前記PVAが多すぎると、炭化後に残る炭素分が少なくなる。逆に、前記PVAが少なすぎると、紡糸が困難になる。従って、好ましくは、前記PVA100質量部に対して、前記CBが5〜200質量部(より好ましくは10〜100質量部)であった。
前記Si粒子(又は、S粒子)が含まれる場合、[前記Si粒子(又は、S粒子)の質量]/[前記CBの質量+前記Si粒子(又は、S粒子)の質量]=20〜94%が好ましかった。又、前記粒子と前記CBとの総量が、前記PVA100質量部に対して、好ましくは、5〜200質量部(より好ましくは10〜100質量部)であった。前記CBが多すぎると、負極活物質(又は、正極活物質)としての容量が低下した。前記CBが少なすぎると、導電性が失われた。
前記分散液における固形分(溶媒以外の成分)の濃度が高すぎると、紡糸が困難であった。逆に、前記濃度が低すぎても、紡糸が困難であった。好ましくは、前記固形分の濃度が0.1〜50質量%(より好ましくは、1〜30質量%。更に好ましくは、5〜20質量%)であった。前記分散液の粘度が高すぎると、紡糸時に、分散液がノズルから吐出され難かった。逆に、前記粘度が低すぎると、紡糸が困難であった。従って、前記分散液の粘度(紡糸時における粘度:粘度計は共軸二重円筒型粘度計)は、好ましくは、10〜10000mPa・S(より好ましくは、50〜5000mPa・S。更に好ましくは、500〜5000mPa・S)であった。
前記分散液作製工程は、例えば混合工程と微細化工程とを有する。前記混合工程は、前記PVAと前記CBとが混合される工程である。前記微細化工程は、前記CBが微細化される工程である。前記微細化工程は、前記CBに剪断力が付与される工程である。これにより、CBの二次凝集が解かれる。前記混合工程と前記微細化工程とは、どちらが先でも良い。同時に行われても良い。
前記混合工程においては、前記PVAと前記CBとの双方が粉体の場合と、一方が粉体で他方が溶液(分散液)の場合と、双方が溶液(分散液)の場合とが有る。操作性の観点から、好ましくは、前記PVA及び前記CBが、共に、溶液(分散液)の場合である。
前記微細化工程では、例えばメディアレスビーズミルが用いられる。或いは、ビーズミルが用いられる。又は、超音波照射機が用いられる。異物の混入を防ぎたい場合、好ましくは、メディアレスビーズミルが用いられる。CBの粒径を制御したい場合、好ましくは、ビーズミルが用いられる。簡便な操作で行いたい場合、好ましくは、超音波照射機が用いられる。本発明においては、CBの粒径制御が大事であるから、ビーズミルが用いられた。
本工程Iの条件は、炭素繊維の直径、「うねり」の数、炭素繊維表面の凸の大きさ及び数、炭素成分、Si粒子(又は、S粒子)の割合に影響する。
[紡糸工程(繊維材(炭素繊維前駆体)の作製工程:工程II)]
例えば、図1,2の遠心紡糸装置が用いられた。図1は遠心紡糸装置の概略側面図である。図2は遠心紡糸装置の概略平面図である。図中、1は回転体(円盤)である。前記円盤1は空洞体である。前記円盤1の壁面にはノズル(又は孔)が設けられている。前記円盤1の内部(空洞部)2(図示せず)に紡糸原液が充填される。円盤1が高速回転させられる。これによって、紡糸原液が遠心力によって引き伸ばされる。そして、溶媒は揮発しつつ、捕集板3上に堆積する。この堆積によって、不織布4が形成される。
遠心紡糸装置は、円盤1の加熱装置を有していても良い。紡糸原液連続供給装置を有していても良い。遠心紡糸装置は図1,2のものに限定されない。例えば、円盤1は縦型であっても良い。或いは、円盤1は上部に固定されていても良い。円盤1は公知のスプレードライ装置で使用されるベル型ディスクやピン型ディスクであっても良い。捕集板3は、バッチ式では無く、連続式であっても良い。捕集板3は、公知のスプレードライ装置で使用される逆円錐形の筒であっても良い。溶媒蒸発空間全体の加熱は、溶媒が早く乾燥するので、好ましい。円盤1の回転速度(角速度)は、好ましくは、1,000〜100,000rpmであった。より好ましくは、5,000〜50,000rpmであった。速度が遅すぎると、延伸倍率が低いからである。速度は高速の方が好ましい。しかし、或る上限値を越えても、大きな改善は得られ難い。逆に、装置に掛かる負担が大きくなった。従って、好ましくは、100,000rpm以下とした。円盤1と捕集板3との間の距離が短すぎると、溶媒が蒸発し難い。逆に、長すぎると、装置が必要以上に大きくなる。好ましい距離は装置の大きさによっても異なる。円盤の直径が10cmの場合は、円盤1と捕集板3との間の距離は、例えば20cm〜3mであった。
遠心紡糸装置の代わりに、延伸紡糸装置が用いられても良い。図3は乾式延伸紡糸装置の概略図である。乾式延伸紡糸装置が用いられたが、湿式延伸紡糸装置が用いられても良い。乾式延伸紡糸法は、固化が空気中で行われる方法である。湿式延伸紡糸法は、ポリビニルアルコールが溶けない溶媒中で行われる方法である。何れの方法も用いることが出来る。図3において、11はタンク(分散液(ポリビニルアルコール、カーボンブラック(一次粒径が21〜69nm)、及び溶媒が含まれる。)のタンク)である。12は紡糸ノズルである。タンク11内の分散液が、紡糸ノズル12を介して、紡糸される。この時、加熱空気13によって、溶媒が蒸発する。糸14として巻き取られる。湿式延伸紡糸では、加熱空気の代わりに、ポリビニルアルコールが溶けない溶剤が用いられる。延伸倍率が大き過ぎると、糸が切れる。延伸倍率が小さ過ぎると、繊維径が細くならない。好ましい延伸倍率は2〜50倍であった。3倍以上が更に好ましい。20倍以下が更に好ましい。本工程によって、炭素繊維前駆体製の長繊維(糸)が得られる。
延伸紡糸法および遠心紡糸法は、静電紡糸法よりも、高粘度の液(固形分濃度が高い分散液)を用いることが出来た。遠心紡糸法は、静電紡糸法よりも、湿度(温度)の影響を受け難い。長時間に亘って、安定した紡糸が可能であった。延伸紡糸法および遠心紡糸法は生産性が高かった。遠心紡糸法は、遠心力を利用した紡糸法である。従って、紡糸時における延伸倍率が高い。この為と想像されたが、繊維中における炭素粒子の配向度が高かった。導電性が高かった。得られた炭素繊維の径は小さかった。繊維径のバラツキが少なかった。金属粉の混入が少なかった。不織布の場合、表面積が大きかった。
本工程(紡糸工程)で得られた繊維材は炭素繊維前駆体で構成されている。炭素繊維前駆体は、PVAとCBとの混合物である。前記不織布(炭素繊維前駆体製)が複数枚積層されても良い。積層された不織布がロールなどで圧縮されても良い。圧縮により、膜厚や密度が、適宜、調節される。糸(フィラメント)はボビンに巻かれていても良い。
不織布(炭素繊維前駆体製)が捕集体から剥離して取り扱われる。或は、前記不織布が捕集体に付着したままで取り扱われる。又は、綿あめを製造する場合の如く、生成した不織布が棒で巻き取られても良い。
本工程IIの条件は、炭素繊維の直径、「うねり」の数、炭素繊維表面の凸の大きさ及び数、炭素成分、Si粒子(又は、S粒子)の割合に影響する。
[変性工程(工程III)]
[炭化処理(工程III−1)]
炭素繊維製の繊維材が前記炭素繊維前駆体製の繊維材から得られる。炭素繊維前駆体が炭素繊維に変性されると言うことである。変性処理は、例えば熱処理である。特に、酸化性ガス雰囲気下での熱処理である。この熱処理により、前記炭素繊維前駆体を構成しているPVAが除去される。すなわち、CB以外の炭素源が除去される。
本工程は前記紡糸工程(前記工程II)の後で行われる。
本工程における酸化性ガスは、酸素原子を含有した化合物、又は電子アクセプター化合物である。前記酸化性ガスは、例えば空気、酸素、ハロゲンガス、二酸化窒素、オゾン、水蒸気、及び二酸化炭素などの群の中から選ばれる一種または二種以上である。これらの中でも、コストパフォーマンスと、低温での速やかな不融化の観点から、好ましくは、空気である。或いは、ハロゲンガスを含むガスである。前記ハロゲンガスは、例えばフッ素、ヨウ素、臭素などである。中でもフッ素である。又は、前記成分の混合ガスである。
前記熱処理の温度は、好ましくは、100〜400℃(より好ましくは、150〜350℃)であった。前記熱処理の時間は、好ましくは、3分〜24時間(より好ましくは、5分〜2時間)であった。
本工程で炭素繊維が得られた。
不織布の場合、本工程は枚様式で行われる。或いは、ロールトゥーロールで連続的に行われる。又は、ロール状態で熱処理される。又は、塊状に鞘に詰めて行われる。糸(フィラメント)の場合、ボビンに巻き取られて行われる。生産性の観点から、好ましくは、塊状またはボビンに巻き取られた状態の連続的熱処理である。
[減量処理(工程III−2)]
前記繊維材(炭素繊維)にPVAの炭化物が残っている場合、これを除去する為、好ましくは、減量処理が行われる。この減量処理は熱処理である。好ましくは、不活性ガス雰囲気下での熱処理である。本工程を経て、PVAの炭化物が除去され、減量が行われる。本工程は前記工程III−1の後に行われる。
本工程における不活性ガスは、炭化処理中に、不融化炭素繊維前駆体と化学反応しないガスである。例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、及びクリプトン等の群の中から選ばれる一種または二種以上である。これらの中でも、コストの観点から、好ましくは、窒素ガスである。
本工程の処理温度は、好ましくは、500〜2000℃(より好ましくは、600〜1500℃)であった。500℃未満の低い温度では、減量が進み難い。2000℃を越えた高い温度では、黒鉛化が起きる。但し、後述の黒鉛化処理が行われる場合、2000℃を越える昇温は差し支えない。本工程の処理時間は、好ましくは、5分〜24時間(より好ましくは、30分〜2時間)であった。
[黒鉛化処理(工程III−3)]
好ましくは、黒鉛化処理が行われる。黒鉛化処理は、好ましくは、不活性ガス雰囲気下で行われる。本工程は、鉄分(不純物)を含むCBが原料に用いられる場合、大事な工程である。これによって、前記鉄分が除去される。CBの結晶性が良くなり、導電性が向上する。本工程は、好ましくは、前記工程III−2の後に行われる。
本工程において、不活性ガスは、黒鉛化処理中に、炭素繊維製前駆体と化学反応しないガスである。例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アルゴン、クリプトン等である。窒素ガスは、電離を起こすので、好ましくない。
本工程の処理温度は、好ましくは、2000〜3500℃(より好ましくは、2300〜3200℃)であった。処理時間は、好ましくは、2〜24時間であった。
本工程は前記温度に保持することで実施される。特に、鞘へ充填し、鞘への通電により実施される。通電で発生するジュール熱によって、前記温度が保持される。マイクロ波加熱によっても、黒鉛化が可能である。製造コストの観点から、黒鉛化処理は、好ましくは、通電加熱である。
[解布工程(工程IV)]
本工程は、前記工程で得られた繊維材(炭素繊維製)から炭素繊維を得る工程である。本工程は、例えば前記工程II(或いは、前記工程III−1、若しくは前記工程III−2、又は前記工程III−3)で得られた繊維材が粉砕される工程である。前記粉砕によって繊維が得られる。前記繊維材が叩かれることによっても、前記繊維材は解かれる。すなわち、繊維が得られる。
粉砕には、例えばカッタミル、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル、又はジェットミルが用いられる。湿式法、乾式法の何れの方法でも採用できる。但し、非水系電解質二次電池などの用途に用いられる場合は、乾式法の採用が好ましい。
メディアレスミルが用いられると、繊維の潰れが防止される。従って、メディアレスミルの採用は好ましい。例えば、カッターミルやエアージェットミルの採用は好ましい。
本工程IVの条件は、炭素繊維の長さに影響する。
[分級工程(工程V)]
本工程は、前記工程IVで得られた繊維から所望の大きさのものが選ばれる工程である。例えば、篩(目開き20〜300μm)を通過した炭素繊維が用いられる。目開きが小さな篩が用いられた場合、利用されない炭素繊維の割合が多くなる。これはコスト増を引き起こす。目開きが大きな篩が用いられた場合、利用される炭素繊維の割合が多くなる。しかし、炭素繊維の品質のバラツキが大きい。篩と同等の方法が用いられても良い。例えば、気流分級(サイクロン分級)が用いられても良い。
本工程Vの条件は、炭素繊維の長さに影響する。
[炭素繊維]
以下の要件1〜4を満たす炭素繊維は、大きな特長を奏する。
更に要件5(又は、要件6)を満たす炭素繊維は、大きな特長を奏する。
[要件1]
前記炭素繊維の直径:0.5〜6.5μm
前記炭素繊維の長さ:5〜65μm
(前記炭素繊維の直径)<(前記炭素繊維の長さ)
前記直径は、好ましくは、0.8μm以上であった。前記直径は、好ましくは、5μm以下であった。前記長さは、好ましくは、10μm以上であった。前記長さは、好ましくは、40μm以下であった。
前記直径が大きい場合、表面積が小さかった。前記直径が小さい場合、生産性が低下した。前記長さが短い場合、繊維形状の特徴が失われた。前記長さが長い場合、電極を作製する際の取り扱い性が低下した。このような観点から、前記値が決められた。
前記直径は炭素繊維のSEM写真から求められた。すなわち、炭素繊維のSEM写真から炭素繊維(前記要件1が満たされる炭素繊維)がランダムに10本抽出され、その平均直径が求められた。前記炭素繊維が10本未満(N本)の場合、N本の炭素繊維から平均直径が求められる。
前記長さは炭素繊維のSEM写真から求められた。すなわち、炭素繊維のSEM写真から炭素繊維(前記要件1が満たされる炭素繊維)がランダムに10本抽出され、その平均長さが求められた。前記炭素繊維が10本未満(N本)の場合、N本の炭素繊維から平均長さが求められる。
[要件2]
前記炭素繊維には「うねり」が存在する。
「うねり」は少なくとも形状が固定された炭素繊維に適用される。単層カーボンナノチューブの如くに柔らかい(25℃において形状が変化し得る)繊維には適用されない。
前記「うねり」は次の内容である。前記炭素繊維が、走査型電子顕微鏡(SEM)により、撮影された。撮影された二次元画像が観察された。この時、屈曲部(但し、曲率半径が1〜100μm。高さが2〜50μm)が観察された場合、前記屈曲部が「うねり」であると見做された。すなわち、前記特徴の屈曲部を持つ炭素繊維は「うねり」を有すると見做される。前記特徴を有さない屈曲部は「うねり」とは見做されない。
図6は炭素繊維のSEM写真である。図4は図6の炭素繊維の模式図である。図4中、「うねり(屈曲部)」部分には符号5が記された。
前記炭素繊維の「うねり」の数は、好ましくは、炭素繊維5μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、1〜6個であった。より好ましくは3個以下であった。
前記「うねり」の数が少ない場合、本発明の特長(効果)が低かった。前記「うねり」の数が多い炭素繊維はコストが高く付いた。
[要件3]
前記炭素繊維には凸(突起:突部;図4,6参照)が存在する。
図4中、凸(突起:突部)には符号6が記された。
前記凸の突出高さ:20〜300nm
前記突出高さは、好ましくは、200nm以下であった。
前記凸(前記CBで構成された突出高さが20〜300nmの凸)の数:炭素繊維1μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、3〜25個
前記凸の数は、好ましくは、5個以上であった。前記凸の数は、好ましくは、23.5個以下であった。更に好ましくは20以下であった。
前記「凸」の数が少ない場合、又は、前記「凸」の高さが低い場合、表面積が低下し、本発明の特長(効果)が低かった。前記「凸」の高さが高い場合、炭素繊維は切れ易かった。前記「凸」の数が多い炭素繊維は、作製が困難であった。
前記特徴の凸を有する炭素繊維の作製には、平均一次粒径が21〜69nmのCBの使用が大事であった。これは、CBの粒径が炭素繊維表面の凸の高さを決定する大きな要因であったからによる。
前記凸は炭素繊維のSEM写真から求められた。すなわち、炭素繊維表面形状が確認できる倍率(3,000倍〜10,000倍)のSEM写真が用いられた。この写真中、繊維の長さ方向に1μmの長さにおいて、上記特徴を有する凸の数が、ランダムに、5回に亘って、計測された。そして、平均値が算出された。
前記特徴の「凸」が形成される為には、炭素成分が、実質的に、一次粒径が21〜69nmのCBであることが好ましかった。前記突出高さは、CBの粒径によって、決まるからである。「実質的」は、PVAの炭化物や金属シリコン粒子を被覆する炭素成分など、意図的に添加した以外の炭素成分が除かれると言う意味である。
[要件4]
前記炭素繊維はCB(炭素成分)を有する。
前記CBの一次粒径:21〜69nm
前記一次粒径は、好ましくは、60nm以下であった。
前記一次粒径は透過型顕微鏡(TEM)によって求められた。すなわち、CBの1次粒径が十分に確認できる倍率(10,000倍〜100,000倍)のTEM写真において、上記粒径の粒子がランダムに10個計測された。そして、その平均粒径が算出された。TEM写真には上記粒径の粒子が10個未満(N個)の場合、N個の粒子における平均粒径である。
この一次粒径の値は、分散液作製に用いたCBの一次粒径(21〜69nm)の値である。一次粒径の意味から、これは、当然とも言える。この一次粒径のCBが合体して出来たのが前記「要件3」の凸である。
前記凸(突出高さ:20〜300nm)6は前記CBで構成されている。
[要件5]
前記炭素繊維はSi粒子(例えば、金属ケイ素粒子)を有する。
[前記Si粒子の質量]/[前記CBの質量+前記Si粒子の質量]=20〜94%
より好ましくは40%以上であった。より好ましくは90%以下であった。
前記Si粒子が少な過ぎた場合、活物質としての容量が低下した。前記Si粒子が多すぎた場合、導電性が低下した。
前記Si粒子の量は、SEM−EDSによって求められた。すなわち、EDSスペクトル(横軸:X線のエネルギー(eV)、縦軸:X線のカウント数)において、炭素(0.277eV)とケイ素(1.739eV)のカウント数から、Siの量が求められた。
前記Si粒子の大きさは、好ましくは、0.05〜3μmであった。更に好ましくは、0.1μm以上であった。より好ましくは、0.2μm以上であった。もっと好ましくは、0.25μm以上であった。更に好ましくは、0.3μm以上であった。更に好ましくは、2.5μm以下であった。
前記大きさは、SEM−EDSによって、求められた。すなわち、Siの特性X線(1.739eV)に注目して電子線が操作された。ケイ素のX線マッピングが行われた。得られた画像からSi粒子の大きさが求められた。
[要件6]
前記炭素繊維はS粒子(硫黄粒子)を有する。
[前記S粒子の質量]/[前記CBの質量+前記S粒子の質量]=20〜94%
より好ましくは40%以上であった。より好ましくは90%以下であった。
前記S粒子が少な過ぎた場合、活物質としての容量が低下した。前記S粒子が多すぎた場合、導電性が低下した。
前記S粒子の量は、SEM−EDSによって求められた。すなわち、EDSスペクトル(横軸:X線のエネルギー(eV)、縦軸:X線のカウント数)において、炭素(0.277eV)と硫黄(2.307eV)のカウント数から、S粒子の量が求められた。
前記S粒子の大きさは、好ましくは、0.05〜3μmであった。更に好ましくは、0.1μm以上であった。より好ましくは、0.2μm以上であった。もっと好ましくは、0.25μm以上であった。更に好ましくは、0.3μm以上であった。更に好ましくは、2.5μm以下であった。
前記大きさは、SEM−EDSによって求められた。すなわち、硫黄の特性X線(2.307eV)に注目して電子線が操作された。硫黄のX線マッピングが行われた。得られた画像からS粒子の大きさが求められた。
前記炭素繊維は、好ましくは、前記特徴(要件1〜4、若しくは要件1〜5、又は要件1,2,3,4,6)を有する炭素繊維である。しかしながら、前記特徴を有さない炭素繊維が含まれていても良い。例えば、(本発明の特徴を有する炭素繊維の体積量)/(本発明の特徴を有する炭素繊維の体積量+本発明の特徴を有さない炭素繊維の体積量)≧0.5であれば、本発明の特徴が大きく損なわれるものではなかった。好ましくは、前記比が0.6以上である。より好ましくは、前記比が0.7以上である。更に好ましくは、前記比が0.8以上である。もっと好ましくは、前記比が0.9以上である。体積量比は電子顕微鏡観察などの方法で求められる。この観点から、前記直径は「平均直径」であると言える。前記長さは「平均長さ」であると言える。前記粒径は「平均粒径」であると言える。前記うねりの数は「平均値」であると言える。前記突出高さは「平均突出高さ」であると言える。前記凸の数は「平均値」であると言える。前記粒子の量は「平均値」であると言える。前記粒子の大きさは「平均値」であると言える。
[電極]
前記炭素繊維は、電気素子(電子素子も電気素子の中に含まれる)の部材に用いられる。例えば、蓄電池、キャパシタ、燃料電池などの部材に用いられる。
前記炭素繊維は、蓄電池の電極に応用される。蓄電池は、例えば鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池、リチウムイオンキャパシタ等である。中でも、リチウムイオン電池である。前記電極は、好ましくは、負極(又は、正極)である。好ましくは負極活物質(又は、正極活物質)である。好ましくは導電剤である。
本発明の炭素繊維の中、炭素成分のみの炭素繊維は導電剤として用いられる。Si(金属シリコン)粒子を含む炭素繊維は負極活物質として用いられる。S(硫黄)粒子を含む炭素繊維は正極活物質として用いられる。
リチウムイオン電池は各種の部材(例えば、正極、負極、セパレータ、電解液)からなる。正極(又は、負極)は次のようにして構成される。すなわち、活物質(正極活物質、又は負極活物質)、導電剤、結着剤などを含む混合物が、集電体(例えば、アルミ箔や銅箔など)上に積層される。これによって、正極(又は、負極)が得られる。
負極活物質として、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、又は活性炭などの炭素材料が挙げられる。リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体、合金および化合物、並びにリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体、合金および化合物からなる群の中の少なくとも一種を含んでいるものが用いられる(これらを以下合金系負極活物質と称する)。
前記金属元素(又は半金属元素)としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。具体的な化合物例としては、LiAl,AlSb,CuMgSb,SiB,SiB,MgSi,MgSn,NiSi,TiSi,MoSi,CoSi,NiSi,CaSi,CrSi,CuSi,FeSi,MnSi,NbSi,TaSi,VSi,WSi,ZnSi,SiC,Si,SiO,SiO(0<v≦2),SnO(0<w≦2),SnSiO,LiSiO,LiSnO等が挙げられる。リチウムチタン複合酸化物(スピネル型、ラムステライト型等)も好ましい。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出できる物質であれば良い。好ましい例としては、例えばリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リン酸リチウムなどが挙げられる。
リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物である。或いは、金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。遷移金属元素として、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄の群の中の少なくとも一種以上を含有するものがより好ましい。リチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、例えばLikCoO,LiNiO,LiMnO,LiCoNi1−m,LiCo1−m,LiNi1−m,LiMn,LiMn2−mMnO(Mは、Na,Mg,Sc,Y,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Cr,Pb,Sb,Bの群の中から選ばれる少なくとも一つの元素である。k=0〜1.2,m=0〜0.9,n=2.0〜2.3)等が挙げられる。
オリビン型結晶構造を有し、一般式LiFe1−yPO(Mは、Co,Ni,Cu,Zn,Al,Sn,B,Ga,Cr,V,Ti,Mg,Ca,Srの群の中から選ばれる少なくとも一つの元素である。0.9<x<1.2,0≦y<0.3)で表される化合物(リチウム鉄リン酸化物)を用いることも出来る。このようなリチウム鉄リン酸化物としては、例えばLiFePOが好適である。
リチウムチオレートとしては、ヨーロッパ特許第415856号公報に述べられている一般式X−S−R−S−(S−R−S)n−S−R−S−X′で表される化合物が用いられる。
リチウムチオレート及び本発明の炭素繊維の中、硫黄を含む炭素繊維を正極活物質として用いる場合は、これら活物質自体にリチウムイオンが含まれていない為、対極としてはリチウム箔などリチウムを含む電極が好ましい。
セパレータは多孔質膜により構成される。二種以上の多孔質膜が積層されたものでも良い。多孔質膜としては、合成樹脂(例えばポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等)製の多孔質膜が例示される。セラミック製の多孔質膜が用いられても良い。
電解液は非水溶媒と電解質塩とを含有する。非水溶媒は、例えば環状炭酸エステル(炭酸プロピレン、炭酸エチレン等)、鎖状エステル(炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル等)、エーテル類(γ−ブチロラクトン、スルホラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)である。これらは単独でも、混合物(二種以上)でも良い。炭酸エステルは、酸化安定性の観点から、好ましい。
電解質塩は、例えばLiBF,LiClO,LiPF,LiSbF,LiAsF,LiAlCl,LiCFSO,LiCFCO,LiSCN、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiBCl,LiB10Cl10、ハロゲン化リチウム(LiCl,LiBr,LiI等)、ホウ酸塩類(ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウム等)、イミド塩類(LiN(CFSO,LiN(CFSO)(CSO)等)である。LiPF,LiBF等のリチウム塩は好ましい。LiPFは特に好ましい。
電解液として、高分子化合物に電解液が保持されたゲル状の電解質が用いられても良い。前記高分子化合物は、例えばポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリカーボネート等である。電気化学的安定性の観点から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイドの構造を持つ高分子化合物が好ましい。
導電剤は、例えばグラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛など)、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、導電性繊維(炭素繊維、金属繊維)、金属(Al等)粉末、導電性ウィスカー(酸化亜鉛、チタン酸カリウムなど)、導電性金属酸化物(酸化チタン等)、有機導電性材料(フェニレン誘導体など)、フッ化カーボン等である。
結着剤は、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、変性アクリルゴム、カルボキシメチルセルロース等である。
リチウムイオン電池の電極(負極および正極)は活物質(例えば、黒鉛材、コバルト酸リチウム)が集電極板(例えば、銅箔、アルミ箔)上に積層されたものである。本発明の材料は、炭素成分のみの炭素繊維は導電剤として用いられる。Si粒子を含む炭素繊維は負極活物質として用いられる。S粒子を含む炭素繊維は正極活物質として用いられる。
尚、従来の活物質と併用されても良い。併用の場合、全活物質の量に対する前記炭素繊維の量が3〜50質量%であることが好ましい。5〜30質量%の場合が更に好ましい。10〜20質量%の場合が特に好ましい。
前記炭素繊維は導電助剤として用いられる。リチウムイオン電池の正極にはコバルト酸リチウムなど導電性のない材料が使われている。前記炭素繊維が用いられた場合、内部抵抗が低減される。リチウムイオン電池において、導電性の低い合金系の負極材が用いられた場合、負極の導電助剤として前記炭素繊維が利用できる。導電助剤の量は、電極に用いる全活物質量に対して、0.1〜20質量%である。より好ましくは、0.5〜10質量%である。特に好ましくは0.5〜3質量%である。
従来の導電助剤と併用されても良い。併用の場合、全導電助剤の量に対する前記炭素繊維の量が10〜70質量%であることが好ましい。20〜60質量%の場合が更に好ましい。30〜50質量%の場合が特に好ましい。
前記炭素繊維は、キャパシタの電極に応用される。前記キャパシタは電気二重層キャパシタである。前記キャパシタはリチウムイオンキャパシタである。前記電極は、好ましくは、負極である。リチウムイオンキャパシタの負極は、一般的には、負極活物質が集電極板(例えば、銅箔)上に積層されている。本発明の材料は、導電助剤に用いられる。本発明の材料は、負極活物質に用いられる。
以下、具体的な実施例が挙げられる。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
[実施例1]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)70質量部、カーボンブラック(商品名:#3050B、一次粒径50nm、鉄分1,000ppm、三菱化学株式会社製)30質量部、及び水400質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック分散液(PVAは溶解)が得られた。
遠心紡糸装置(図1,2参照、ノズルと捕集体との距離;20cm、円盤回転数:10,000rpm)が用いられた。上記分散液が用いられ、遠心紡糸が行われた。不織布(炭素繊維前駆体製)が捕集板上に作製された。
得られた不織布が加熱(300℃、1時間、空気中)された。
次いで、加熱(3000℃、黒鉛化炉)が行われた。
得られた不織布(炭素繊維製)がミキサーで処理された。これにより解布が行われた。すなわち、炭素繊維が得られた。
得られた炭素繊維が分級された。分級には、篩(目開き:75μm)が用いられた。
前記篩を通過した炭素繊維がSEM−EDS(JSM−7001F(日本電子株式会社製))で測定された。その結果が図5,6に示される。
この炭素繊維の物性[長さ(平均長さ)、直径(平均直径)、「うねり」の数(長さ(炭素繊維に沿っての長さ)5μm当たりの数(平均値))、炭素繊維の表面に存在する凸(突出高さ:20〜300nm)の数(長さ(炭素繊維に沿っての長さ)が1μm当たりの数(平均値))、BET比表面積]が、表−1に示される。
得られた炭素繊維がTEM(装置名:H−7100、株式会社日立製作所製)で観察された写真が図17に示される。CBが観察された。CBの一次粒径は50nmであった。
この炭素繊維5質量部、コバルト酸リチウム93質量部、及びポリフッ化ビニリデン2質量部が、N−メチルピロリドン200質量部に、分散させられた。この分散液がアルミ箔上に塗工された。乾燥後にプレスされた。リチウムイオン電池正極が得られた。リチウム箔(対極)が用いられた。エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート(1/1(体積比):電解液)が用いられた。1mol%のLiPF(電解質)が用いられた。リチウムイオン電池のコインセルが作製された。
前記コインセルに定電流(充放電レート:10C)で充放電が行われた。放電容量が測定された。得られた充放電曲線が図7に示される。放電容量は50.9mAh/gであった。後述の比較例1の放電容量は5.6mAh/gであった。
[実施例2]
実施例1において、カーボンブラック(一次粒径50nm、鉄分1,000ppm)の代わりに、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)が用いられた以外は、実施例1に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は23nmであった。
[実施例3]
実施例2において、加熱(3000℃、黒鉛化炉)が省略された以外は、実施例2に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は23nmであった。
[実施例4]
実施例3において、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)の代わりに、カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分10ppm)が用いられた以外は、実施例3に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は35nmであった。
[実施例5]
実施例3において、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)の代わりに、カーボンブラック(一次粒径60nm、鉄分10ppm)が用いられた以外は、実施例3に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は60nmであった。
[実施例6]
実施例1において、カーボンブラック量を30質量部から150質量部に変更した以外は、実施例1に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は50nmであった。
[実施例7]
実施例1において、重合度2000、鹸化度88mol%のPVAが用いられた以外は、実施例1に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は50nmであった。
[実施例8]
実施例1において、重合度2400、鹸化度70mol%のPVAが用いられた以外は、実施例1に準じて行われた。その結果が表−1に示される。得られた炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は50nmであった。
[比較例1]
「前記特許文献2の実施例5」が本比較例1に相当する。
PVA(商品名:ポバール117、鹸化度98〜99mol%、重合度1700:株式会社クラレ製)70質量部、メソフェーズピッチ(商品名:AR:三菱ガス化学株式会社社製)30質量部、及び水400質量部が、ビーズミルで、混合された。メソフェーズピッチ分散液(PVAは溶解)が得られた。
実施例1の遠心紡糸装置が用いられた。上記分散液が用いられ、遠心紡糸が行われた。炭素繊維前駆体製の不織布が捕集板上に作製された。
得られた不織布が加熱(300℃、1時間、空気中)された。
この後、加熱(900℃、アルゴンガス雰囲気下)が行われた。
次いで、加熱(3000℃、黒鉛化炉)が行われた。
得られた炭素繊維製の不織布10mgがガラス瓶に入れられた。水10gが投入された。超音波照射により解布が行われた。得られた炭素繊維分散水がフィルタで濾過された。これにより炭素繊維が回収された。
得られた炭素繊維がSEM(JSM−7001F)で測定された。その結果が図8,9に示される。
得られた炭素繊維の物性が表−1に示される。
本比較例1の炭素繊維が用いられ、実施例1に準じて、リチウムイオン電池のコインセルが作製された。実施例1と同様な充放電が行われた。放電容量が測定された。得られた充放電曲線が図7に示される。
[比較例2]
比較例1で得られた炭素繊維が篩(目開き:75μm)により分級された。この分級された炭素繊維が用いられ、実施例1に準じて行われた。その結果が表−1に示される。
[比較例3]
実施例3において、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)の代わりに、カーボンブラック(一次粒径15nm、鉄分1,000ppm)が用いられた以外は、実施例3に準じて行われた。紡糸原液の粘度が高く、紡糸が出来なかった。
[比較例4]
実施例3において、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)の代わりに、カーボンブラック(一次粒径75nm、鉄分10ppm)が用いられた以外は、実施例3に準じて行われた。その結果が表−1に示される。
[比較例5]
実施例3において、PVAの代わりに、ポリエチレングリコールが用いられた以外は、実施例3に準じて行われた。加熱工程で繊維が溶融し、炭素繊維が得られなかった。
表−1
平均直径 平均長さ うねり数 凸の数 比表面積 放電容量
(μm) (μm) (個) (個) (m/g) (mAh/g)
実施例1 0.9 15 1.3 8.2 20.3 50.9
実施例2 2.0 35 2.5 23.4 25.4 63.8
実施例3 2.0 35 2.5 23.4 21.5 55.8
実施例4 1.5 23 1.1 12.8 53.2 73.5
実施例5 2.5 17 1.2 5.3 15.7 46.5
実施例6 3.5 6.5 1.7 18.2 30.2 29.8
実施例7 2.8 10.2 2.4 12.5 18.5 38.5
実施例8 3.2 12.5 3.1 18.4 17.2 32.8
比較例1 1.2 21 1.5 0.8 7.2 5.6
比較例2 1.2 21 1.5 0.8 8.2 8.3
比較例4 2.5 13 1.1 1.8 8.8 10.1
[実施例9]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)5質量部、金属ケイ素(平均粒径0.8μm、キンセイマテック株式会社製)35質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・金属ケイ素分散液(PVAは溶解)が得られた。
この分散液が用いられ、実施例3に準じて行われた。
得られた炭素繊維がSEM(JSM−7001F)で測定された。その結果が図10,11に示される。
得られた炭素繊維の物性が表−2に示される。前記炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は23nmであった。
X線回折測定(XRD:株式会社リガク製)の結果が図12に示される。金属ケイ素に特有の111面(28°付近)、220面(47°付近)、311面(56°付近)に帰属される回折線が観測された。
炭素とケイ素との比率がJSM−7001F(日本電子株式会社製)で測定された。図18の左側はSEM写真である。図18の真ん中は炭素マッピングである。図18の右側はケイ素マッピングである。これによれば、炭素/ケイ素=21/79(質量比)であった。ケイ素粒子の平均粒径は0.8μmであった。
前記ケイ素含有炭素繊維10質量部、人造黒鉛87質量部、カルボキシメチルセルロース1質量部、及びスチレン−ブタジエン共重合体粒子2質量部が、水400質量部に、分散させられた。この分散液が銅箔上に塗工された。乾燥後にプレスされた。リチウムイオン電池負極が得られた。リチウム箔(対極)が用いられた。エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート(1/1(体積比):電解液)が用いられた。1mol%のLiPF(電解質)が用いられた。リチウムイオン電池のコインセルが作製された。
前記コインセルに定電流(充放電レート:0.1C)で充放電が行われた。放電容量が測定された。得られた充放電曲線が図13に示される。放電容量は618mAh/gであった。充放電が30回繰り返された後の放電容量は575mAh/gであった。サイクル特性(30サイクル後の放電容量の初回放電容量に対する割合)は93%であった。結果が表−2に示される。
[比較例6]
実施例9において、ケイ素含有炭素繊維を用いず、人造黒鉛の量を97質量部とした以外は、実施例9に準じて行われた。その結果が表−2に示される。
[実施例10]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分1ppm)30質量部、金属ケイ素(平均粒径0.3μm、キンセイマテック株式会社製)10質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・金属ケイ素分散液(PVAは溶解)が得られた。この分散液が用いられ、実施例9に準じて行われた。その結果が表−2に示される。ケイ素粒子の平均粒径は0.3μmであった。炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は35nmであった。
[実施例11]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分10ppm)1質量部、金属ケイ素(平均粒径0.9μm、キンセイマテック株式会社製)39質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・金属ケイ素分散液(PVAは溶解)が得られた。この分散液が用いられ、実施例9に準じて行われた。その結果が表−2に示される。ケイ素粒子の平均粒径は0.9μmであった。炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は35nmであった。
[実施例12]
実施例9の分散液が用いられた。延伸紡糸装置(図3参照)が用いられた。紡糸(延伸倍率:3倍、フィラメント数:18、40deci Tex)が行われた。
このようにして得られた糸が加熱(300℃、1時間、窒素中)された。
次いで、加熱(800℃、窒素中)が行われた。
この後、ミキサーで処理された。これにより、解布が行われた。すなわち、繊維(炭素繊維)が得られた。
得られた炭素繊維が分級された。分級には、篩(目開き:75μm)が用いられた。その結果が表−2に示される。ケイ素粒子の平均粒径は0.8μmであった。炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は23nmであった。
表−2
実施例9 実施例10 実施例11 実施例12 比較例6
平均直径(μm) 3.2 0.6 5.2 6.2 −
平均長さ(μm) 25 5 45 60 −
うねり数(個) 3.0 4.2 1.8 3.0 −
凸の数(個) 12.3 23.4 8.2 15.2 −
炭素/珪素(wt%)21/79 80/20 7/93 17/83 −
放電容量(mAh/g) 618 411 658 820 360
サイクル特性(%) 93 95 85 88 71
*平均直径、平均長さ、うねり数、凸の数に関しては、実施例1の場合と同様。
比較例6と実施例9,10,11とを比較すると、本実施例のセルは放電容量が増大し、サイクル特性が向上していることが判る。
[実施例13]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径23nm、鉄分1ppm)5質量部、硫黄(平均粒径2μm、キシダ化学株式会社製)35質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・硫黄分散液(PVAは溶解)が得られた。この分散液が用いられ、実施例9に準じて行われた。
その結果が表−3に示される。
得られた炭素繊維がSEM(JSM−7001F)で測定された。その結果が図14,15に示される。前記炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は23nmであった。
前記炭素繊維がSEM−EDS(JSM−7001F)で測定された。炭素/硫黄=17/83(質量比)であった。硫黄粒子の平均粒径は2μmであった。
前記硫黄含有炭素繊維98質量部、及びポリビニリデンフルオライド2質量部が、N−メチルピロリドン200質量部に、分散させられた。この分散液がAl箔上に塗工された。乾燥後にプレスされた。これにより、リチウムイオン電池負極が得られた。リチウム箔(対極)が用いられた。エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート(1/1(体積比):電解液)が用いられた。1mol%のLiPF(電解質)が用いられた。リチウムイオン電池のコインセルが作製された。
前記コインセルに定電流(充放電レート:0.1C)で充放電が行われた。放電容量が測定された。得られた充放電曲線が図16に示される。放電容量は237.3mAh/gであった。充放電が10回繰り返された後の放電容量は206.5mAh/gであった。サイクル特性(10サイクル後の放電容量の初回放電容量に対する割合)は87%であった。結果が表−3に示される。
[実施例14]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分1ppm)30質量部、硫黄(平均粒径0.3μm、キシダ化学株式会社製)10質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・硫黄分散液(PVAは溶解)が得られた。この分散液が用いられ、実施例12に準じて行われた。結果が表−3に示される。硫黄粒子の平均粒径は0.3μmであった。炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は35nmであった。
[実施例15]
PVA(商品名:ポバール224:鹸化度88mol%、重合度2400:株式会社クラレ製)60質量部、カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分1ppm)1質量部、硫黄(平均粒径0.8μm、キシダ化学株式会社製)39質量部、及び水500質量部が、ビーズミルで、混合された。カーボンブラック・硫黄分散液(PVAは溶解)が得られた。この分散液が用いられ、実施例12に準じて行われた。結果が表−3に示される。硫黄粒子の平均粒径は0.8μmであった。炭素繊維にはCBが観察された。前記CBの一次粒径は35nmであった。
[比較例7]
カーボンブラック(一次粒径35nm、鉄分1ppm)5質量部、硫黄(平均粒径2μm、キシダ化学株式会社製)35質量部、ポリビニリデンフルオライド1質量部、及びN−メチルピロリドン200質量部が混合された。カーボンブラック・硫黄分散液が作製された。この分散液が用いられ、実施例12に準じて行われた。結果が表−3に示される。
表−3
実施例13 実施例14 実施例15 比較例7
平均直径(μm) 4.8 2.1 5.3 −
平均長さ(μm) 32 8.4 46 −
うねり数(個) 1.2 3.5 2.5 −
凸の数(個) 5.3 10.2 8.5 −
炭素/硫黄(wt%)17/83 80/20 7/93 −
放電容量(mAh/g) 237.3 60.3 253.2 27.8
サイクル特性(%) 87 91 85 17
*平均直径、平均長さ、うねり数、凸の数に関しては、実施例1の場合と同様。
比較例7と実施例13,14,15とを比較すると、本実施例のセルは放電容量が増大し、サイクル特性が向上していることが判る。
1 回転体(円盤)
2 内部(空洞部)
3 捕集板
4 不織布
5 うねり
6 凸

Claims (16)

  1. 下記の[要件1]〜[要件4]が満足される
    ことを特徴とする炭素繊維。
    [要件1]
    前記炭素繊維の直径:0.5〜6.5μm
    前記炭素繊維の長さ:5〜65μm
    (前記炭素繊維の直径)<(前記炭素繊維の長さ)
    [要件2]
    前記炭素繊維は「うねり」を有する。
    [要件3]
    前記炭素繊維は凸を有する。
    前記凸の突出高さ:20〜300nm
    前記凸の数:炭素繊維1μm長(炭素繊維に沿っての長さ)当たり、3〜25個
    [要件4]
    前記炭素繊維はカーボンブラックを有する。
  2. 更に下記の[要件5]が満足される
    ことを特徴とする請求項1の炭素繊維。
    [要件5]
    前記炭素繊維はSi粒子を有する。
    [前記Si粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記Si粒子の質量]=20〜94%
  3. 更に下記の[要件6]が満足される
    ことを特徴とする請求項1の炭素繊維。
    [要件6]
    前記炭素繊維はS粒子を有する。
    [前記S粒子の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記S粒子の質量]=20〜94%
  4. 分散液作製工程と紡糸工程と変性工程とを具備する炭素繊維材の製造方法であって、
    前記分散液作製工程は、ポリビニルアルコール、カーボンブラック(一次粒径が21〜69nm)、及び溶媒を含む分散液が作製される工程であり、
    前記紡糸工程は、前記分散液から繊維材(炭素繊維前駆体を具備)が作製される工程であり、
    前記変性工程は、前記炭素繊維前駆体が炭素繊維に変性する工程である
    ことを特徴とする炭素繊維材製造方法。
  5. 前記カーボンブラックは、前記ポリビニルアルコール100質量部に対して、5〜200質量部である
    ことを特徴とする請求項4の炭素繊維材製造方法。
  6. 前記ポリビニルアルコールは、
    重合度が2200〜4000、
    鹸化度が75〜90mol%
    であることを特徴とする請求項4又は請求項5の炭素繊維材製造方法。
  7. 更に、解布工程と、分級工程とを具備し、
    前記解布工程は、前記繊維材が解かれる工程であり、
    前記分級工程は、炭素繊維(直径が0.5〜6.5μm、長さが5〜65μm)が分取される工程である
    ことを特徴とする請求項4〜請求項6いずれかの炭素繊維材製造方法。
  8. 前記分散液作製工程は、更に、Si粒子(又はS粒子)が用いられて分散液が作製される工程であり、
    前記Si粒子(又はS粒子)は、粒径が0.05〜3μmであり、
    [前記Si粒子(又はS粒子)の質量]/[前記カーボンブラックの質量+前記Si粒子(又はS粒子)の質量]=20〜94%
    であることを特徴とする請求項4〜請求項7いずれかの炭素繊維材製造方法。
  9. 前記紡糸が延伸紡糸である
    ことを特徴とする請求項4〜請求項8いずれかの炭素繊維材製造方法。
  10. 前記紡糸が遠心紡糸である
    ことを特徴とする請求項4〜請求項8いずれかの炭素繊維材製造方法。
  11. 前記紡糸が静電紡糸である
    ことを特徴とする請求項4〜請求項8いずれかの炭素繊維材製造方法。
  12. 請求項4〜請求項11いずれかの炭素繊維材製造方法によって得られてなる炭素繊維。
  13. 炭素繊維を具備する製品であって、
    前記炭素繊維が請求項1〜請求項3、請求項12いずれかの炭素繊維である
    ことを特徴とする製品。
  14. 請求項1〜請求項3、請求項12いずれかの炭素繊維を具備する電気デバイス。
  15. 請求項1〜請求項3、請求項12いずれかの炭素繊維を用いて構成された負極を具備する二次電池。
  16. 請求項1〜請求項3、請求項12いずれかの炭素繊維を用いて構成された正極を具備する二次電池。
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