JP6142254B2 - 立体表示形成体及びその作製方法 - Google Patents

立体表示形成体及びその作製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6142254B2
JP6142254B2 JP2014048274A JP2014048274A JP6142254B2 JP 6142254 B2 JP6142254 B2 JP 6142254B2 JP 2014048274 A JP2014048274 A JP 2014048274A JP 2014048274 A JP2014048274 A JP 2014048274A JP 6142254 B2 JP6142254 B2 JP 6142254B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
line group
line
image line
arc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014048274A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015171774A (ja
Inventor
木村 健一
健一 木村
匡 森永
匡 森永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Printing Bureau
Original Assignee
National Printing Bureau
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Printing Bureau filed Critical National Printing Bureau
Priority to JP2014048274A priority Critical patent/JP6142254B2/ja
Publication of JP2015171774A publication Critical patent/JP2015171774A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6142254B2 publication Critical patent/JP6142254B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Credit Cards Or The Like (AREA)
  • Printing Methods (AREA)

Description

本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書及びカード等のセキュリティ分野において、光が入射することで両眼視差を用いた立体画像が出現し、更には、光の入射角度の変化に応じて立体画像が動的に視認される立体表示形成体及びその作製方法に関する。
従来、パララックスバリア、レンチキュラーレンズ又はホログラム等を用いて、観察する角度に応じ、平面上に形成された画像が動いて見える動画的効果を実現したり、立体感を得るといった特殊な視覚効果を実現した画像形成体が存在する。
前述した技術の中には、ピッチの異なる二つの画線、画素及び模様等が干渉することで出現する干渉縞(以下、「モアレ」という。)を利用して動画的効果や立体感を実現している技術がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
このモアレによって出現する画像は、立体感を有し、傾けた場合の動きも極めてスムーズであるという特徴の他に、多くの場合、一定のピッチで繰り返し同じ画像を配列して形成することから、画像の作製も比較的容易であり、厳重な刷り合わせの管理を行わなくても、比較的安定して同じ画像が出現する点において、大量生産に向いているという特徴を有している。
さらに、本出願人は、盛り上がりを有する明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の特性を有する万線の上に、基画像を分割したフレーム内画像を所定の方向に圧縮して形成した、それぞれ形状の異なる潜像要素を重なり合うことなく規則的に盛り上がりを有する万線上に配置することで、観察角度を連続的に変化させると基画像が動的に視認可能な潜像印刷物を出願している(例えば、特許文献3参照)。
また、観察角度により画像の光沢が変化する表示体として、回折格子を用いたものが挙げられる。例えば、回折格子上に、文字及び画像等を輪郭で区分けして表示した後、その輪郭の内側又は外側を滑らかな曲線群から成る回折格子により形成することで、この表示体に対する視点を変化させた場合、輪郭の内側又は外側で回折格子により虹色に輝いて見える位置が滑らかに変化して視認される技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、観察する角度に応じて、平面上に形成された画像が動いて見える動画的効果を実現したり、立体感を感じさせたりといった特殊な視覚効果を実現した意匠性に優れた形成体として、両眼視差を用いたものが知られている。
ここで、両眼視差とは、人間の左右の目が離れていることに起因する左右の目で視認される観察画像の違いを利用し、観察者の脳内で立体画像を生成するものである。平面画像であっても、左右の目で異なった画像を絶縁して見せることで、観察者には、立体画像として認識される。
両眼視差を用いた形成体として、回折格子上に複数の微細線から成る模様が基準点を中心として、その周囲に複数形成されており、形成体を光源下で観察すると、複数形成された模様のうち、隣り合う二つの模様から成る画像が立体視で観察され、観察角度を変えると、他の隣り合う二つの模様から成る画像が立体視で観察され、それによって、肉眼では基準点を中心として立体的な模様が動いているように視認される技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特許第3131771号公報 特許第4452515号公報 特許第5200284号公報 特開平06−67608号公報 特開2011−22478号公報
特許文献1記載の技術は、パララックスバリア方式によって、立体的なモアレ模様を出現させる技術であるが、パララックスバリア方式を用いる以上、第1の模様と第2の模様の間には透明層が必須であり、スムーズな動画効果を実現するためには、通常の用紙には適用できないという問題がある。
特許文献2記載の技術は、凸レンズのレンズ効果を利用した、所謂、レンチキュラー方式で立体的なモアレ模様を出現させる技術であるが、特許文献1の技術と比較するとクリアなモアレ模様を形成することができるという特徴を有するものの、レンズと模様間は、焦点を合わせるために一定の距離が必要であって、特許文献1の技術と同様に厚さが必要であり、また、レンズ自体は、透明又は半透明である必要がある。加えて、レンズを貼り付ける場合、その工程は、複雑になる場合が多い。
また、特許文献3記載の技術は、光輝性を有する盛り上がりのある万線状の画線の上に、基画像を分割したフレーム内画像を圧縮した画線を配置したことで、観察角度の変化に伴い、基画像が立体的に動的効果を奏して視認できるものであるが、光輝性を有する盛り上がりのある万線状の画線は、インキを用いて盛り上がりが形成可能な印刷方式(例えば、スクリーン印刷方式)で形成し、その画線上に、基画像を分割したフレーム内画像を圧縮した画線を配置するため、非常に高い刷り合わせ精度を要するものであった。
また、特許文献4記載の技術は、回折格子を用いることで、観察角度の変化により光沢が変化して視認される。しかしながら、文字及び図形等の輝いて見える位置が、単に左右に移動するだけであり、文字や図形そのものが動いて視認されることはないため、視認性に劣るという問題があった。
さらに、特許文献5記載の技術は、ステレオグラムの原理により立体視させている。よって、必ず同一の模様が二つ並んで形成される必要があり、動的に視認させるための複数の模様は、断続的に形成されている。そのため、動的に視認される際、立体視される画像が断続的に視認されることから、実際には、連続的に動いて視認することができない。
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、立体視される画像が連続的に動的効果を持って視認可能となる形成体を、高い刷り合わせ精度を必要とせず、一度の工程で形成可能とする立体表示形成体及びその作製方法を提供するものである。
本発明は、基材上の少なくとも一部の領域に、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、第1の原画像を基にして分割されたフレーム内画像を第1の方向に特定の縮率で圧縮した第1の円弧状画線群が、第1の方向に万線状に配置されて成る第一の画像を備え、第1の円弧状画線群は、それぞれ形状が異なり、かつ、隣り合う第1の円弧状画線群同士が最も近似した形状を有し、基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有した円弧状画線が万線状に第1の方向とは異なる第2の方向に配置されて成り、基材を、定位置の光源に対して所定の角度から異なる角度へと連続的に変化させて観察した場合、光源からの入射光を反射する位置が画線上で徐々に移動する円弧状画線を複数有した第1の円弧状画線群により、第1の原画像が立体的、かつ、動的に視認されることを特徴とする立体表示形成体である。
また、本発明の立体表示形成体は、基材上の少なくとも一部の領域に、第一の画像に対して近接又は隣接して第二の画像を備え、第二の画像は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、第2の原画像を基にして分割されたフレーム内画像を第1の方向に特定の縮率で圧縮した第2の円弧状画線群が、第1の方向に万線状に配置されて成り、第2の円弧状画線群は、それぞれ形状が異なり、かつ、隣り合う第2の円弧状画線群同士が最も近似した形状を有し、基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有した円弧状画線が万線状に第2の方向に配置されて成り、第一の画像を形成している円弧状画線と、第二の画像を形成している円弧状画線は第2の方向に第1のミラー反転して成り、又は、第一の画像を形成している第1の円弧状画線群と、第二の画像を形成している第2の円弧状画線群は第1の方向に第2のミラー反転して成り、基材を、定位置の光源に対して所定の角度から異なる角度へと連続的に変化させて観察した場合、第1の原画像及び第2の原画像が立体的、かつ、相反する方向に動的に視認されることを特徴とする。
また、本発明の立体表示形成体は、基材上の少なくとも一部の領域が明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、円弧状画線がレーザー加工による基材の除去又はエンボス加工により凹形状に形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、少なくとも入力部及び処理部を備えたシステムを用いて、観察角度を異ならせることで画像が立体的、かつ、動的に視認可能な立体表示形成体の作製方法であって、処理部において画像の基となる原画像を作製、又は入力部において、あらかじめ作製済みの原画像を取得する原画像設定工程と、処理部において、原画像を基にして分割したフレーム内画像を第1の方向に特定の縮率で圧縮した立体表示画線を、第1の方向に第1のピッチで配置した立体表示画線群を作製する工程と、所定の線幅を有する円弧状の仮想線が、第1の方向とは異なる第2の方向に第2のピッチで万線状に配置されて成る仮想線帯群を、第1の方向に第1のピッチで複数配置して成る仮想線群を形成する仮想線群作製工程と、仮想線群の上に、立体表示画線群を重ね合わせる工程と、 仮想線群と、立体表示画線群が重なり合った部分のみの円弧状画線を抽出して円弧状画線群とする円弧状画線抽出工程と、抽出した円弧状画線群を、基材上の少なくとも一部の領域に、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有するように形成する円弧状画線群形成工程から成ることを特徴とする立体表示形成体の作製方法である。
また、本発明の立体表示形成体の作製方法における原画像設定工程は、同じ又は異なる二つの原画像を設定し、立体表示画線群作製工程は、それぞれの原画像に対して立体表示画線を作製し、仮想線群作製工程は、二つの原画像に対応した仮想線群を作製し、第1の仮想線群を構成する仮想線の向きに対して、第2の仮想線群を構成する仮想線の向きを、第2の方向に対して第1のミラー反転させ、重ね合わせ工程は、一つの立体表示画線群に対して一つの仮想線群を重ね合わせ、円弧状画線抽出工程は、それぞれ仮想線群と立体表示画線群が重なり合った部分のみを抽出して第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群とし、円弧状画線群形成工程は、第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群を隣接又は近接する位置に形成することを特徴とする。
また、本発明の立体表示形成体の作製方法における原画像設定工程は、同じ又は異なる二つの原画像を設定し、立体表示画線群作製工程は、それぞれの原画像に対して立体表示画線を作製し、第1の原画像に対する第1の立体表示画線と、第2の原画像に対する第2の立体表示画線のうちどちらか一方を第1の方向に対して第2のミラー反転させた立体表示画線群を作製し、仮想線群作製工程は、二つの原画像に対応した仮想線群を作製し、重ね合わせ工程は、一つの立体表示画線群に対して一つの仮想線群を重ね合わせ、円弧状画線抽出工程は、それぞれ仮想線群と立体表示画線群が重なり合った部分のみを抽出して第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群とし、円弧状画線群形成工程は、第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群を隣接又は近接する位置に形成することを特徴とする。
また、本発明の立体表示形成体の作製方法において、隣り合う仮想線帯群を接して配置することを特徴とする。
また、本発明の立体表示形成体の作製方法における円弧状画線群形成工程は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を備えた基材上の少なくとも一部の領域に、円弧状画線をレーザー加工による基材の除去又はエンボス加工により凹形状に形成することを特徴とする。
また、本発明の立体表示形成体の作製方法における円弧状画線群形成工程は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有するインキにより凸形状に円弧状画線を形成することを特徴とする。
本発明は、立体視可能な画像が連続的に動的効果を奏する形成体を、従来のように、2回の印刷工程によって形成するのではなく、複数の円弧状画線を用いて凹形状又は凸形状に1回で形成するため、高い刷り合わせ精度を必要としない。
また、本発明は、高い刷り合わせ精度を必要とせず、1回で形成するため、印刷のアバレに起因する画像のゆがみや観察時の不自然な動的効果が無くなり、明瞭な立体画像がスムーズに動いて視認することができる。
さらに、本発明は、原画像を分割したフレーム内画像を所定の縮率で圧縮した画線群構成としたことで、立体視及び動的効果が生じ、また、画線の形状を凹形状又は凸形状の円弧状としたことで、光源からの入射光が観察角度に合わせて画線上を移動し、立体視及び動的効果が生じるという、二つの特殊な画線構成の相乗効果により、一層の立体的、かつ、動的効果が向上した形成体を得ることができる。
本発明の立体表示形成体を示す図である。 本発明の第一の画像を説明するための図である。 第一の画像を構成している円弧状画線の形状を説明するための図である。 本発明の立体表示形成体を作製するためのシステムの構成図である。 本発明の立体表示形成体を作製する方法を示すフローチャートである。 立体表示画線群作製工程の詳細工程を説明するためのフローチャートである。 第一の画像の基となる立体表示画線群を説明するための図である。 立体表示画線群の構成を説明するための図である。 立体表示画線群を作製する方法を説明するための図である。 円弧状画線群を作製するために必要となる仮想線群を説明するための図である。 仮想線の構成を説明するための図である。 重ね合わせ工程を説明するための図である。 円弧状画線群を説明するための図である。 円弧状画線を説明するための図である。 円弧状画線群における「対応する領域」を説明するための図である。 立体表示形成体を観察する際の観察角度を説明するための図である。 第一の画像の立体的効果に対する視認原理を説明するための図である。 第一の画像の動的効果に対する視認原理を説明するための図である。 変形例1における円弧状画線の配置状態を説明するための図である。 変形例1における仮想線の向きを説明するための図である。 変形例1における画像の動的効果を説明するための図である。 変形例2における円弧状画線の配置状態を説明するための図である。 変形例2における立体表示画線群のミラー反転の関係を説明するための図である。 変形例2における画像の動的効果を説明するための図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第1の実施形態)
図1に、本発明における立体表示形成体(以下、「形成体」という。)(1)の商品券を示す。図1に示すように、形成体(1)は、基材(2)上の少なくとも一部に、光沢を有する画像形成領域(3)を有しており、その画像形成領域(3)内に少なくとも第一の画像(4)が形成されている。
第一の画像(4)の詳細については後述するが、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成されているため、基材(2)については、凹形状又は凸形状の第一の画像(4)を形成することができれば、紙、プラスティック又は金属等とすることができる。ただし、前述のとおり、第一の画像(4)が形成されている画像形成領域(3)は光沢を有する必要がある。したがって、基材(2)自体が光沢を有する材質でも良いし、画像形成領域(3)のみ光沢を有することでもよい。
基材(2)全体が光沢を有するためには、基材(2)自体を光沢のある金属材料(例えば、セキュリティ分野においては、アルミニウム等の金属蒸着膜)又はプラスティック(例えば、カード基材では、ポリ塩化ビニルやPETG、ポリカーボネート等)を用いることができる。また、もともとは光沢を有していない紙やプラスティックについては、基材(2)表面に印刷や塗布により光沢を付与すれば良い。例えば、パールインキを印刷することができる。
また、基材(2)の一部の画像形成領域(3)のみに光沢を持たせるにも、前述のとおり、パールインキ等の光輝性材料を印刷等により付与することが可能である。
図2(a)は、第一の画像(4)の拡大図を示す。第一の画像(4)は、第1の円弧状画線群(5)が第1の方向(S1)に万線状に配列されて成る。本発明における万線状とは、対象となる画線及び画線群が規則的に複数配列されている状態をいう。したがって、図2(a)では、第1の円弧状画線群(5)が第1の方向(S1)に第1のピッチ(P1)で規則的に配列されているため、万線状に配列されていることとなり、併せて、図2(b)では、円弧状画線(6)が第2の方向(S2)に第2のピッチ(P2)で規則的に配列されているため、万線状に配列されていることとなる。
図2(b)は、第1の円弧状画線群(5)の一部の拡大図を示す。第1の円弧状画線群(5)は、更に一部拡大図に示すように、円弧状画線(6)が第2の方向(S2)に複数配列されて成る。この円弧状画線(6)の形状については、図2(b)の四角囲い内の第1の円弧状画線群(5)の拡大図のように、四角囲い内における上部側(t)は円弧状の形状をしているが、下部側(u)に向かうに従って、湾曲性及び画線長さが変化し、円弧状の形状ではないように思えるが、後述する円弧状画線の作製過程を考慮し、第一の画像(4)を構成している1本1本の画線を、本発明では円弧状画線(6)という。
また、複数配列されている第1の円弧状画線群(5)は、全て形状が異なっている。ただし、隣り合う第1の円弧状画線群(5)同士が最も近似した形状を有している。例えば、図2(b)に示すように、一つの第1の円弧状画線群(5a)と、その右隣りに配置されている一つの第1の円弧状画線群(5b)は、最も近似した形状である。また、その第1の円弧状画線群(5b)は、更に右隣りに第1の円弧状画線群(5c)が配置されており、第1の円弧状画線群(5b)と隣りの第1の円弧状画線群(5c)は最も近似した形状となっている。
ただし、一つの第1の円弧状画線群(5a)と隣りの第1の円弧状画線群(5b)が近似し、また、第1の円弧状画線群(5b)と第1の円弧状画線群(5c)が最も近似しているとなれば、第1の円弧状画線群(5a)と第1の円弧状画線群(5c)の関係はどうなっているかというと、同じ形状又は最も近似した関係とはなっていない。あくまでも、一つの第1の円弧状画線群(5)(例えば(5b))に対しては、左側方向(例えば、(5a)方向)に配列されている複数の第1の円弧状画線群(5)において、左側方向に向かう程、異なる形状となっていくことから、隣りに配置された第1の円弧状画線群(5)(例えば、(5a))は、左側方向に配列されている複数の第1の円弧状画線群(5)中では最も近似した形状となっているということである。同様に、逆方向の右側方向(例えば、(5c)方向)に配列されている複数の第1の円弧状画線群(5)においても、隣りに配置された第1の円弧状画線群(5)(例えば、(5c))は、右側方向に配列されている複数の第1の円弧状画線群(5)中では最も近似した形状となっているということである。このように、隣り合う第1の円弧状画線群(5)同士は、異なる形状ではあるものの、互いに最も近似した形状となっている。
第1の円弧状画線群(5)を構成している円弧状画線(6)は、前述のとおり、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成されている。図3は、円弧状画線(6)の凹形状又は凸形状を説明するための図である。円弧状画線(6)の具体的な作製方法等については後述するが、レーザ加工により形成する場合には、基材(2)に対して凹形状となる。また、エンボス版(14)を用いて形成する場合、図3(a)に示す凸形状のエンボス版(14)を用いて基材(2)に押圧を掛けて形成すると、図3(b)に示すような基材(2)に対して凹形状の円弧状画線(6)となり、図3(c)に示す凹形状のエンボス版(14)を用いて基材(2)に押圧を掛けて形成すると、図3(d)に示すような基材(2)に対して凸形状の円弧状画線(6)となる。どちらの形状とするかは、製造条件により適宜設定すればよい。
円弧状画線(6)を凸形状とした場合の画線の高さ及び凹形状とした場合の画線の深さについては、基材(2)の厚み及び材質により異なるが、基材(2)に対して2〜100μmの範囲で形成することが好ましい。画線の高さ又は深さが2μm未満の場合には、光源(Q)からの入射光に対する反射光が、基材(2)に対する反射光との差があまり無くなってしまい、円弧状画線(6)として認識できないため、所望する立体的、かつ、動的な効果を奏しなくなってしまう。また、画線の高さ又は深さが100μmより大きい場合には、視覚的な効果を発現させることにおいては問題ないが、偽造防止用エレメントとして製品に付与することを考慮した場合、製造のし易さや形態にふさわしくないため、好ましくない。
なお、円弧状画線(6)の断面形状は、半円形が好ましいため、画線の高さ又は深さは画線幅に対して半分程度(画線幅:画線の高さ又は深さ=2:1程度)が好ましく、高さ又は深さが極端に小さい場合、画像形成領域(3)と、その他の領域が同等の光輝性を有する基材(2)では、画像を視認できる観察角度が狭くなる。また、高さ又は深さが極端に大きい場合には、画像の視認し易さは変わらないが、製造の容易性、耐久性及び外観に悪影響が出る。
以上、第一の画像(4)を構成している第1の円弧状画線群(5)、更に第1の円弧状画線群(5)を構成している円弧状画線(6)について簡単に説明したが、この円弧状画線(6)及びその集合体である第1の円弧状画線群(5)がどのように形成されているかについて、以下、図4の作製用のシステムに関するブロック図と、図5及び図6の作製フローチャートにより説明する。
図4に示すように、形成体(1)を作製するためのシステム(S)は、少なくとも入力部(101)、処理部(102)及び出力部(103)を備えており、処理部(102)には記憶部(104)を備えていても良い。
前述のシステムを用いて、まず、処理部(102)において、立体的、かつ、動的に視認させたい模様の基となる原画像(7)を作製又は決定する(Step1)。原画像(7)については、文字、図柄及び模様等、特に限定はなく、任意の画像とすることが可能である。
また、原画像(7)は、処理部(102)において直接作製しても良く、あらかじめ記憶部(104)に記憶されている複数の原画像(7)の中から任意に選んで、処理部(102)において決定しても良い。本実施の形態においては、図7に示すように、原画像(7)として「桜の花」の画像の例で説明する。
なお、原画像(7)を作製又は決定することに併せて、正反射光下で出現させるための原画像(7)に対応するデータを、入力部(101)から入力するまでが原画像設定工程となる。ここでいうデータとは、後述する原画像(7)の圧縮率や、円弧状の仮想線のピッチ等、第一の画像(4)を構成する第1の円弧状画線群(5)の作製に必要なデータのことである。
次に、処理部(102)において、原画像(7)から第1の円弧状画線群(5)の基となる立体表示画線群(8)を作製する(Step2)。この立体表示画線群(8)の具体的な作製方法について図6を含め、以下に示す。
図8に示すように、立体表示画線群(8)は、原画像(7)の「桜の花」の模様を基として形成した立体表示画線(9−1、9−2、・・・9−n(nは2以上の自然数とする。))が、一定の第1のピッチ(P1)で一定の立体表示画線幅(W1)により、第1の方向(S1)に規則的に配列されて成る。本発明における第1の方向(S1)とは、図面中におけるS1方向のことであり、立体表示画線(9)と直交する方向である。
図9に、立体表示画線群を形成している立体表示画線(9−1、9−2、・・・、9−n)の構成を示す。複数の立体表示画線(9)のうち、立体表示画線群(8)において、図面一番左側に位置する立体表示画線(9−1)、図面ほぼ中央に位置する立体表示画線(9−i)及び図面右側に位置する立体表示画線(9−n)を抜き出して説明する。
立体表示画線(9−1、9−i、9−n)は、原画像(7)である「桜の花」の模様に対して、特定の大きさのフレーム(F−1、F−i、F−n)を当て嵌めることで原画像(7)を分割し、分割された原画像(7)をそれぞれのフレーム内画像(10−1、10−i、10−n)として抜き出し、このフレーム内画像(10−1、10−i、10−n)を立体表示画線幅(W1)に圧縮して形成して成る。なお、本発明における立体表示画線幅(W1)とは、原画像(7)である「桜の花」の模様の画線部分と、その画線部分が付与されていない空白部分も含んだ幅のことであり、フレーム内画像(10)を圧縮して形成される幅のことである。
原画像(7)に当て嵌めるフレーム(F)の高さは、原画像(7)の高さ以上であれば良く、図9に示すフレームの幅(W2)は、原画像(7)の幅以下である必要がある。よって、立体表示画線群(8)の左端に位置する立体表示画線(9−1)には、原画像(7)の左端部分の画像のみが含まれ、立体表示画線群(8)のほぼ中央に位置する立体表示画線(9−i)には、原画像(7)の中央部分の画像のみが含まれ、立体表示画線群(8)の右端に位置する立体表示画線(9−n)には、原画像(7)の右部分の画像のみが含まれる。
立体表示画線群(8)の作製方法については、まず、すべてのフレーム位置の基準となる最左端のフレーム(F−1)の位置を決定する(Step2−1)。基準となる最左端のフレーム(F−1)の位置は、フレーム(F−1)の右辺が原画像(7)の左端にわずかに重なった位置とする。ここでいう「わずかに重なった位置」とは、フレーム(F−1と原画像(7)が少しでも重なっている状態の位置のことであり、まったく重ならない位置を除いた状態のことである(Step2−2)。このフレーム(F−1)内に含まれる原画像(7)をフレーム内画像(10−1)として、このフレーム内画像(10−1)を立体表示画線幅(W1)に圧縮し(Step2−3)、立体表示画線(9−1)を形成して配置する。
次に、フレーム(F−1)の位置から一定のピッチだけ右側にずらして、次のフレーム(F−2)の位置を決定する。決定したフレーム(F−2)に対して、前述した左端のフレーム(F−1)と同様に立体表示画線(9−2)を形成して配置する。以降、同様に徐々に右側に規則的にずらしながら順次フレーム(F−3、F−4、・・・、F−n)まで行い、立体表示画線(9−3、9−4、・・・、9−n)を形成して配置し、立体表示画線群(8)が完成する。なお、基準となるフレーム(F)の位置を原画像(7)の左端としたが、これに限定されるわけではなく、原画像(7)の中心や右端を基準点として作製しても良い。
このように、立体表示画線(9)とは、原画像(7)を基にして分割されたフレーム内画像(10)を横方向、縦方向又は両方向に所定の縮率で圧縮した形状の異なる画線のことであり、それぞれの立体表示画線(9)は、すべて同じ縮率で形成されている。
なお、本発明における「原画像(7)を基にして分割されたフレーム内画像(10)」とは、原画像(7)の中心点と立体表示画線(9)の中心点を重ね合わせたと仮定した場合に、立体表示画線群(8)を形成しているそれぞれの立体表示画線(9)における画線幅(W1)方向の中心に、特定の大きさのフレーム(F)における幅方向の中心を当て嵌めた場合、そのフレーム(F)内に収まっている原画像(7)のことである。したがって、原画像(7)を単純に複数に分割しているわけではないため、例えば、一つのフレーム内画像(10−2)には、隣接するフレーム内画像(10−1)の一部が含まれており、さらに別のフレーム内画像(10−3)には、隣接するフレーム内画像(10−2)の一部が含まれている。このように、隣接するフレーム内画像(10)には、それぞれ重複する原画像(7)の一部が存在することとなる。
また、フレーム内画像(10)を圧縮する方向は、縦方向又は斜め方向等の一方向に対して画像を圧縮するものと、縦方向と横方向の両方向(単純な縮小)の圧縮とが可能である。本発明における「所定の縮率」とは、一つの立体表示画線群(8)を形成している複数の立体表示画線(9)同士が、全て同じ縮率であるという意味である。ただし、縦方向と横方向の両方向に圧縮する場合には、縦方向の縮率と横方向の縮率とを異ならせても良い。
以上、本発明における第1の円弧状画線群(5)を作製するために必要となる立体表示画線群(8)を作製する工程(Step2)について簡単に説明したが、更なる詳細については、本出願人が既に開示している特許第5200284号公報に記載されている。
次に、図10に示すように、処理部(102)において、円弧状の仮想線(11)を一定の間隔で第1の方向(S1)に配置して成る仮想線群(13)を形成するための仮想線群形成工程(Step3)を行う。
仮想線群(13)は、円弧状の仮想線(11)が第2の方向(S2)に第2のピッチ(P2)で規則的に複数配置されて成る仮想線帯群(12)が、第1の方向(S1)に第1のピッチ(P1)で規則的に複数配置されて成る。なお、円弧状の仮想線(11)は、曲率が等しい半円状の形状であることが好ましい。
また、第2のピッチ(P2)は、後述する第一の画像(4)を構成している個々の円弧状画線(6)の線幅(W3)より小さいピッチの場合、円弧状画線(6)同士が重複してしまうため、第2のピッチ(P2)は、円弧状画線(6)の線幅以上とする。
さらに、出現する画像を鮮明に動的効果を奏するためには、図11(a)に示すように、仮想線(11)同士が隣接して配置されていることが好ましい。仮想線(11)同士を隣接して配置させるためには、円弧状画線(6)の線幅(W3)に対応させて、図11(b)に示すように、仮想線(11)の第2のピッチ(P2)を円弧状画線(6)の線幅(W3)の1から2倍程度で形成する。
また、仮想線帯群(12)の第1のピッチ(P1)は、5〜3000μmの範囲で形成することが好ましい。第1のピッチ(P1)が5μm未満であると、製造上設計がしづらく、逆に、3000μmを超えると、出現する画像が視認しづらくなり、好ましくない。
また、仮想線帯群(12)を構成する仮想線(11)の個数は、特定の個数に限定されるものではなく、モアレによる画像の動きの細かさ、動きの量及びモアレの発生数等を考慮し、適宜決定することができる。ただし、後述するが、作製段階において仮想線群(13)の上に複数の立体表示画線群(8)を重ね合わせるため、仮想線群(13)は、立体表示画線群(8)よりも大きく形成する必要がある。
仮想線群(13)の大きさは、少なくとも基材(2)上に出現させたい画像の大きさである。すなわち、基材(2)上の少なくとも一部に第一の画像(4)を備える画像形成領域(3)に沿った大きさで決定されるものである。つまり、画像形成領域(3)とほぼ同じ大きさの仮想線群(13)を形成することとなる。
次に、処理部(102)において、図12に示すように、仮想線群(13)の上に立体表示画線群(8)を重ね合わせる(Step4)。仮想線群(13)と立体表示画線群(8)との重ね合わせ角度は、平行に重ね合わせることが好ましい。仮想線群(13)と立体表示画線群(8)に角度のずれが生じた場合、出現する画像に歪みが生じてしまうため、平行に重ね合わせる必要がある。
次に、Step4で重ね合わせた画像に対して、図13に示すように、処理部(102)において、仮想線群(13)を形成している仮想線(11)と、立体表示画線群(8)が重なり合った部分のみの画線を抽出し(Step5)、円弧状画線(6)が複数配置された第1の円弧状画線群(5)が、更に第1の方向(S1)に複数配置された第一の画像(4)を得る。
第1の円弧状画線群(5)を構成している円弧状画線(6)は、図13の一部拡大図に示すように規則的に配置されている。ここでいう規則的とは、仮想線群(13)において、第2の方向(S2)に第2のピッチ(P2)で規則的に複数配置されている仮想線帯群(12)が、第1の方向(S1)に第1のピッチ(P1)で規則的に複数配置されていることに由来している。
図14(a)の第一の画像(4)におけるA1及びB1の拡大図を図14(b)に示す。A1の領域に配置されている複数の円弧状画線(6)と、B1の領域に配置されている複数の円弧状画線(6)において、それぞれ対応する領域に配置されている円弧状画線(6)は、全て形状が異なっている。
ここでいう、それぞれに「対応する領域」とは、図15(a)に示すように、立体表示画線群(8)の基となっているフレーム(F)において、隣り合うフレーム(F)同士で同じ領域(G1、G2、・・・、Gn−1,Gn)の関係のことであり、そのフレーム(F)で対応する領域は、立体表示画線群(8)においても、図15(b)に示すように、隣り合う立体表示画線(9)同士で、対応する領域の関係となっている。具体的には、フレーム(F)において対応する領域(G8、G9、G10)は、立体表示画線(9)においても同じ位置の領域として対応する領域(G8’、G9’、G10’)となっている。つまり、ここでの対応する領域は、仮に複数の立体表示画線(9)を重ね合わせた場合、対応する領域(G8、G9、G10)は、同じ領域に重なることとなる。このような関係のことを「対応する領域」という。
例として、図14(b)に示すA1拡大図のうちの一つの円弧状画線(6−a)と、B1拡大図のうちの一つの円弧状画線(6−b)は、図14(c)に示すように、形状が若干異なっている。これは、によって、それぞれ対応する領域に配置されている円弧状画線(6)は、全て形状が異なることとなる。
すなわち、本発明において、第一の画像(4)を構成している円弧状画線(6)は、隣り合う第1の円弧状画線群(5)同士において、それぞれ対応する領域に配置されている円弧状画線(6)の形状が異なる。
また、円弧状画線(6)の画線幅は、5〜100μmの範囲で形成する。これは、画線幅が5μm未満の場合、出現する画像の発現性が劣り、画線幅が100μmを超える場合には、出現する画像の立体視がしづらくなり、好ましくない。
また、円弧状画線(6)と隣り合う円弧状画線(6)との間隔は、小さければ小さいほど鮮明な画像が出現する。逆に、大き過ぎると出現する画像の明るさが低下してしまい、好ましくない。そのため、円弧状画線(6)と隣り合う円弧状画線(6)との間隔は、画像に歪みが生じない範囲で適宜設定する必要がある。
なお、出現する画像をより鮮明に奏するためには、前述した円弧状画線(6)の画線幅と、円弧状画線(6)同士の間隔を等しく形成することが、特に好ましい。
最後に、出力部(103)において、作製した第一の画像(4)を基材(2)上に形成する(Step6)。円弧状画線(6)は、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成される。スムーズな動的効果を奏するためには、凹部又は凸部の形状は、多角形のような角張った形状ではなく、曲面状の滑らかな形状とすることが好ましい。
第一の画像(4)、所謂、複数の円弧状画線(6)を基材(2)上に形成する方法について説明する。円弧状画線(6)は、光輝性を有する画線で形成される。本発明における光輝性とは、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性のことであり、円弧状画線(6)は、その明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性の特性を有して成る。
明暗フリップフロップ性とは、観察角度の変化により明度の変化が生じることであり、カラーフリップフロップ性とは、観察角度の変化により色相の変化が生じることである。本発明において、立体的、かつ、動的に視認される画像は、円弧状画線(6)上の入射光を正反射する部位から成る。正反射した入射光と拡散反射した入射光のコントラストが大きいことで、肉眼において立体的、かつ、動的に画像をしにすることが可能となる。そのために、円弧状画線(6)は、光源に対して所定の反射光量を有する材料である、明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性の特性を有して成る必要がある。
明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料には、アルミニウム粉末、銅粉末、亜鉛粉末、錫粉末、真鍮粉末又はリン化鉄等の一般的な金属顔料や、虹彩色パール顔料及び鱗片状顔料等の一般的なパール顔料を含むインキ、透明インキ、グロス系のインキを用いることができる。これらのインキを一般的な紙基材の上の少なくとも画像形成領域(3)全面に印刷又は塗布し、後述するようにエンボス等により凹形状又は凸形状の円弧状画線(6)を形成すれば良い。
また、基材(2)自体に用いることが可能な明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料には、アルミ又はステンレス等の一般的な金属材料や、フィルム又はプラスティック等の樹脂材料の他に、パールインキ、平滑な表面を形成可能な塗料等が塗工された基材(2)があるが、円弧状画線(6)が明暗フリップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有していれば、形成する材料に限定はない。以下、本実施の形態においては、円弧状画線(6)が光輝性を有する材料により形成されたこととして説明する。
次に、円弧状画線(6)の形成方法について説明する。
円弧状画線(6)は、前述したように、基材(2)に対して凹形状又は凸形状に形成される。具体的な形成方法としては、基材(2)上の少なくとも一部の画像形成領域(3)全面が光輝性を備えた状態とする。光輝性を備える状態とするためには、一般的な紙基材(2)、例えば、上質紙又はコート紙等の少なくとも一部の画像形成領域(3)全面に対して、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、凹版印刷等、公知の印刷方式により印刷又は塗布する方法と、基材自体が光輝性の特性を有する基材(2)を用いる。
前述の方法により少なくとも画像形成領域(3)が光輝性の特性を備えた後、基材(2)の画像形成領域(3)に対して公知の加工機を用いてエンボス加工を行い、凹形状又は凸形状の円弧状画線(6)を形成する。なお、エンボス加工を行う他の方法としては、凸版又は凹版の印刷方式を用いて、インキを使用せず、空印刷により基材(2)に版面を押し当てて一定の圧を掛けることでも、基材(2)にエンボスを施すことも可能である。
また、基材(2)自体が光輝性の特性を有する場合には、公知のレーザ加工機を用いて、基材(2)の一部を除去することにより円弧状画線(6)を形成することも可能である。光輝性のインキを印刷又は塗布する場合においては、凹版印刷又はスクリーン印刷等、比較的膜厚が厚くなる印刷方式を用いて、その膜厚内のみでレーザ加工により一部表面のインキを除去することにより円弧状画線(6)を形成することも可能である。ただし、インキの表面のみを除去して画線を形成するため、膜厚の厚さ及び除去の精度が影響するため、あまり好ましくはない。
以上、本発明の形成体(1)の構成及び作製方法について説明したところであるが、以降、視認原理について説明する。
基材(2)、定位置の光源(Q)及び視点が図16(a)に示す位置関係にあるとき、第1の観察角度(E1)から観察したこととし、図16(b)に示す位置関係にあるとき、第2の観察角度(E2)から観察したこととする。
第1の観察角度(E1)とは、円弧状画線(6)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、光輝性を有して視認される領域のことである。例えば、円弧状画線(6)を、光輝性基材(2)(例えば、ステンレス製)を一部除去して形成した場合、拡散反射領域においては、光源(Q)からの入射光を反射しない。よって、円弧状画線(6)は、所定の反射光量未満の反射光であり、肉眼において光輝性を有しない画線として視認される。
第2の観察角度(E2)とは、円弧状画線(6)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、光輝性を有して視認される領域のことである。例えば、円弧状画線(6)を光輝性基材(2)(例えば、ステンレス製)を一部除去して形成した場合、正反射領域においては、光源(Q)からの入射光を反射する。よって、円弧状画線(6)は、所定の反射光量以上の反射光を有し、肉眼において光輝性を有する画線として視認される。
なお、第1の観察角度(E1)及び第2の観察角度(E2)は、円弧状画線(6)を形成する材料により、基材(2)、光源(Q)及び始点の位置関係が変化し、更には、正反射領域及び拡散反射領域に限らない。
したがって、第1の観察角度(E1)とは、円弧状画線(6)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、光輝性を有して視認されない領域のことであり、第2の観察角度(E2)とは、円弧状画線(6)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、光輝性を有して視認される領域のことである。
図17は、第2の観察角度(E2)における円弧状画線(6)の視認原理を示す模式図である。図17(a)に示すように、第2の観察角度(E2)において、円弧状画線(6)を形成する光輝性の材料は、光源(Q)からの入射光を反射する。円弧状画線(6)が、基材(2)に対して凹形状の場合、光源(Q)からの反射光(V1、V2、V3、V4及びV5)は、一方向ではなく、他方向に反射する。
観察者の左目(L)の視野角度はθLであることから、左目(L)には、視野角度θL内にある反射光(V1及びV2)が視認される。一方、反射光(V3、V4及びV5)は、視野角度θLの範囲外であることから、視認されない。よって、円弧状画線(6)は、観察者の左目(L)において、図17(b)に示すように、視野角度θL内となる図面左(U)側の点線部は、光輝性を有して視認されるが、視野角度θL外となる図面右(D)側の実線部は、光輝性を有しない画線として視認される。
一方、観察者の右目(R)の視野角度はθRであることから、右目(R)には、視野角度θR内にある反射光(V4及びV5)が視認される。また、反射光(V1、V2及びV3)は、視野角度θRの範囲外であることから、視認されない。よって、円弧状画線(6)は、観察者の右目(R)において、図17(c)に示すように、視野角度θR内となる図面右(D)側の点線部は、光輝性を有して視認されるが、視野角度θR外となる図面左(U)側の実線部は、光輝性を有しない画線として視認される。
図17(b)に示す左目(L)で視認される円弧状画線(6)の光輝性を有して視認される箇所と、図17(c)に示す右目(R)で視認される円弧状画線(6)の光輝性を有して視認される箇所は、図面左(U)側と図面右(D)側を結ぶ直線に対して、左右に位相差を持った画線として視認される。よって、同一画像を複数並んで形成しなくても両眼視差により、観察者には、図17(d)に示すように、円弧状画線(6)の両方が視認される。
なお、形成体(1)を観察する際には、図17(a)に示す、左右の視点を結ぶ線と、図面左(U)側と図面右(D)側を結ぶ直線が略平行となるように観察することで、円弧状画線(6)自体、更には、その円弧状画線(6)が集合して形成された第一の画像(4)を立体的に視認することが可能となる。よって、観察時に、左右の視点を結ぶ直線と図面左(U)側と図面右(D)側を結ぶ直線が平行となるように、形成体(1)及び/又は視点を調節する。
また、観察角度を変化することにより、光源(Q)からの入射光が変化するため、円弧状画線(6)上においても、反射する箇所に変化が生じることとなる。したがって、その反射光が円弧状画線(6)上で変化することに伴い、前述した立体的に視認できる状態が移動していくこととなり、結果的に、円弧状画線(6)自体、更には、その円弧状画線(6)が集合して形成された第一の画像(4)が動的に視認できることとなる。
第一の画像(4)の原画像(7)となる立体表示画線群(8)も、その形状が原画像(7)を立体的、かつ、動的に視認させるため、前述した円弧状画線(6)の形状による立体的及び動的に視認できる効果との相乗効果により、更なる立体的、かつ、動的効果を奏することが可能となっている。そこで、立体表示画線群(8)により原画像(7)が立体的、かつ、動的に視認できる原理について、以下説明する。
第一の画像(4)は、原画像(7)から一定のピッチ(P1)ずつ位相をずらして取出したフレーム内画像(10)を、一定の割合で圧縮して、一定のピッチ(P1)で規則的に配置して形成しているため、第一の画像(4)を一定のピッチ(P1)の周期でサンプリングした場合には、いずれの位相でサンプリングしたとしても、原画像(7)と同じ画像が再現される。
この際、一定のピッチ(P1)でサンプリングされる幅、すなわち、それぞれの円弧状画線(6)が光を強く反射する領域の幅が狭い方が、出現する画像は、より原画像(7)に近い状態で再現される。逆に、その幅が広い場合には、より第一の画像(4)に近い状態で再現されてしまい、原画像(7)がぼやけているように見えてしまう。この状態を防ぐためには、それぞれの円弧状画線(6)が光を強く反射する領域をせまくする必要があり、円弧状画線(6)の凹形状の深さを深くする又は凸形状の高さを高くすることや円弧の曲率を上げることが有効である。また、観察者の視点が動いたり、形成体(1)を傾けたりした場合には、光が入射する角度が変化するために、凹形状又は凸形状の円弧状画線(6)のうち、光を反射する領域も移動し、それに伴って第1の円弧状画線群(5)のサンプリングされる領域も移動することで、観察者には出現した原画像(7)が動いて見えることとなる。
また、第1の円弧状画線群(5)が第1の方向(S1)に配置されていることから、観察者から形成体(1)を観察すると、右目と左目とでは、入射した光が基材(2)で反射して目に入る角度がわずかに異なるため、円弧状画線(6)の光を反射する画線表面もわずかに異なっている。そのために、出現する原画像(7)は、右目に映る画像と左目に映る画像が水平方向の位相が異なるため、両眼視差に起因する立体的な視覚効果が生じる。なお、立体表示画線群(8)の視認原理の詳細については、既に本出願人が開示している特許第5200284号に記載されている。
図18は、前述した動的効果を模式的に説明するための図である。図18(a)は、基材(2)に対する観察角度の変化を示す模式図であり、図18(b)は、図18(a)において視認される画像を示す図である。
図18(a)に示すように、第一の画像(4)が光輝性を有して視認される領域(θ4)内において、基材(2)に対する観察角度を、観察角度(E2−1)から観察角度(E2−2)へと連続的に変化させて観察した場合、観察角度の変化に伴い、第一の画像(4)における光源(Q)からの入射光を反射する位置が、第一の画像(4)を構成する円弧状画線(6)上で徐々に変化する。
その変化に伴って、第一の画像(4)の光輝性を有して視認される領域が変化する。それによって、図18(b)に示す出現していた原画像(7)が、矢印方向に動いて見えるように視認される。なお、図18(b)では、円弧状画線(6)の円弧の向きが上向きに形成されているものとなっている。
例えば、観察角度を(E2−1)から(E2−2)へと連続的に変化させて観察した場合、原画像(7)は、右から左へと動いているように視認され、反対に、観察角度を(E2−2)から(E2−1)へと連続的に変化させて観察した場合、原画像(7)は、左から右へと動いているように視認される。
以上、凹形状又は凸形状の円弧状の画線による立体的、かつ、動的な効果と、凹形状又は凸形状のフレーム内画像(10)による立体的、かつ、動的な効果の相乗効果により、本形成体(1)は、立体的、かつ、動的な効果が一段と向上したものとなっている。
次に、形成体(1)の変形例について説明する。
図19は、変形例1の形成体(1)を示す平面図である。なお、前述した実施の形態と同様の点については省略して説明する。本変形例1も、立体的、かつ、動的な効果を奏するものであるが、前述した実施の形態よりも動的効果が向上した構成となっている。
図19に示すように、形成体(1)は、第一の画像(4)と第二の画像(15)を有する。なお、第一の画像(4)は、前述した画像と同一の画像であることから、説明は省略する。図19に示すように、第二の画像(15)は、第一の画像(4)に対して、近接又は隣接する位置に形成されている。また、第一の画像(4)は、前述の実施の形態と同様、原画像(7)は「桜の花」となっているが、本変形例1においては、第二の画像(15)に対しても原画像が存在するため、第一の画像(4)に対する原画像を第1の原画像(4)とし、第二の画像(15)に対する原画像を第2の原画像(17)とする。本変形例1では、第1の原画像(7)も第2の原画像(17)も同じ画像の「桜の花」である。
隣接する位置とは、第一の画像(4)及び第二の画像(15)が隣り合って接して形成されることであり、近接する位置とは、第一の画像(4)及び第二の画像(15)が基材(2)上において近い位置に形成されていることである。
なお、近接又は隣接する位置においては、観察者の視野や左右の目の間の距離、第一の画像(4)及び第二の画像(15)の大きさに合わせて、第一の画像(4)及び第二の画像(15)がいずれも立体視可能となる距離(M)の範囲で設定する。
第二の画像(15)を構成している円弧状画線(6−2)と、第一の画像(4)を構成している円弧状画線(6−1)は、図19の拡大図に示すように、第1の方向(S1)の基準線(K)を軸に第1のミラー反転した形状となっている。この第1のミラー反転した円弧状画線(6−2)が複数配置されて第2の円弧状画線群(16)が形成されて成るのが第二の画像(15)である。
なお、図20に、作製段階におけるStep3の仮想線群形成工程と、Step4の重ね合わせ工程における仮想線群(13及び13’)及び立体表示画線群(8及び8’)の説明図を示す。
図20(a)に示す仮想線群形成工程(Step3)により、第一の画像(4)を形成するために、前述したとおり、円弧状の仮想線(11)を規則的に複数配置して仮想線群(13)を形成する。その際、仮想線(11)の配置の向きについては、図20(b)の一部拡大図に示すように、仮想線(11)の頂点(T)が上になるような円弧状の向きとする。
また、本変形例1においては、第一の画像(4)と近接又は隣接する位置に形成する第二の画像(15)を形成するために、円弧状の仮想線(11’)を規則的に複数配置して仮想線群(13’)を形成する。その際、仮想線(11’)の配置の向きについては、図20(b)の一部拡大図に示すように、仮想線(11’)の頂点(T)が下になるような円弧状の向きとする。したがって、第一の画像(4)用の仮想線(11)の向きと第二の画像(15)の仮想線(11’)の向きは第1のミラー反転(逆向き)の関係となっている。
次に、Step3で形成した仮想線群(13及び13’)に対して、前述した立体表示画線群(8及び8’)を、図20(c)に示すように重ね合わせる。
その後、各仮想線群(13及び13’)を形成している仮想線(11及び11’)と、立体表示画線群(8及び8’)を構成している立体表示画線(9及び9’)が重なり合った部分のみを抽出することで、図19に示すような第二の画像(15)を構成している円弧状画線(6’)と、第一の画像(4)を構成している円弧状画線(6)が、第1の方向の基準線(K)を軸に第1のミラー反転した形状として形成される。
また、第一の画像(4)を形成している円弧状画線(6)と、第二の画像(15)を形成している円弧状画線(6’)は、第1の方向(S1)を1〜180度の範囲内で異ならせることが可能であるが、略180度であることが好ましい。これは略180度とすることで、第一の画像(4)と第二の画像(15)が立体的、かつ、動的に視認される際、より動的効果が高い画像として視認されるためである。
第一の画像(4)に対する動的効果については、図18を用いて説明したとおりであるが、第二の画像(15)に対する動的効果についても、基本的な視認原理は同じであるため詳細の説明は省略する。図21(a)には、本変形例1における第一の画像(4)と、その第一の画像(4)に近接した位置に第二の画像(15)が形成されている模式図を示す。第二の画像(15)を構成している第2の円弧状画線群(16)は、第一の画像(4)を形成している第1の円弧状画線群(5)とは上下方向に第1のミラー反転した関係となっている。
図21(b)に動的効果を説明するための図を示す。前述したとおり、第1の円弧状画線群(5)と第2の円弧状画線群(16)は第1のミラー反転した関係となっているため、視認される第1の原画像(7)及び第2の原画像(17)は、互いに逆方向に動くこととなり、逆方向へ動く二つの画像の相乗効果により、より一層の動的効果が認識されることとなる。
なお、本変形例1では、第一の画像(4)の基となる原画像(7)と第二の画像(15)の基となる第2の原画像(17)を同じ画像として説明したが、異なる画像を用いても良い。
本変形例1は、前述のとおり、二つの画像を隣接又は近接した位置に配置し、画像を構成している一部をミラー反転させて形成することで、二つの画像が異なる方向に動いてみえるため、より一層動的効果が向上するものであるが、この後に説明する変形例2は、二つの画像において、円弧状画線(6)が万線状に配置されて成る円弧状画線群(9)がミラー反転したものである。以下、図22から図24を用いて説明する。
図22は、本変形例2における第一の画像(6)と、その第一の画像(4)に近接した位置に第二の画像(15)が配置されている模式図である。第一の画像(4)は、円弧状画線(6−1)が第2の方向(S2)に万線状に配置された第1の円弧状画線群(5)が、第1の方向(S1)に万線状に配置されている。また、第二の画像(15)は、円弧状画線(6−2)が第2の方向(S2)に万線状に配置された第2の円弧状画線群(16)が、第1の方向(S1)に万線状に配置されている。
それぞれの画像に対して、一部拡大図にて示したが、第1の円弧状画線群(5)と第2の円弧状画線群(16)は、基準線(K’)を軸に各円弧状画線群が左右方向に第2のミラー反転して形成されている。この円弧状画線群(5及び16)を第2のミラー反転するためには、立体表示画線群作成工程(Step2)において、立体表示画線(9)をミラー反転しなければならない。
立体表示画線群作成工程(Step2)は、図23に示すように、原画像(7)を基にして分割されたフレーム内画像(10)を第1の方向(S1)に特定の縮率で圧縮して、立体表示画線(9)を作製し、更に、圧縮された複数の立体表示画線(9)を第1の方向(S1)に配置して立体表示画線群(8)を作製するものである。本変形例2では、二つの画像を隣接又は近接した位置に配置するものであるため、第1の原画像(7)に対する立体表示画線(9)及び立体表示画線群(8)が形成され、第2の原画像(7’)に対する立体表示画線(9’)及び立体表示画線群(8’)が形成される。その際、第1の原画像(7)に対して作製された立体表示画線群(8)と、第2の原画像(7’)に対して作製された立体表示画線群(8’)は、それぞれ対応した領域の立体表示画線(9及び9’)がミラー反転した関係となっている。
具体的には、図23(a)に第1の原画像(7)に対する立体表示画線群(8)と、図23(b)に第2の原画像(7’)に対する立体表示画線群(8’)を示す。図23(a)の立体表示画線群(8)は、立体表示画線(9−1、9−2、・・・、9−18)が配置されており、図23(b)の立体表示画線群(8’)は、立体表示画線(9’−1、9’−2、・・・、9’−18)が配置されている。この中で、一部の立体表示画線(9−14及び9’−14)を拡大したように、それぞれの対応した領域に配置されている立体表示画線(9−14及び9’−14)がミラー反転した関係となっている。すべての立体表示画線(9−1、9−2、・・・、9−18)に対して、同様に、立体表示画線(9’−1、9’−2、・・・、9’−18)がすべてミラー反転した形状となっている。
なお、この本発明におけるミラー反転については、前述した変形例1の第1のミラー反転と、本変形例2における第2のミラー反転の二つのミラー反転の方法がある。第1のミラー反転は、図20を用いて説明したとおり、第一の画像(4)の基となる仮想線群(13)を構成している一つずつの仮想線(11)と、第二の画像(15)の基となる仮想線群(13)を構成している一つずつの仮想線(11’)がミラー反転しているものである。そのため、第一の画像(4)を構成している全ての円弧状画線(6)と、第二の画像(15)を構成している全ての円弧状画線(6)が、第1の方向(S1)を軸(図19で示すK線)にして、ミラー反転していることをいう。
第2のミラー反転は、この第1のミラー反転とは異なり、図23を用いて説明したとおり、原画像を基にして分割したフレーム内画像を第1の方向(S1)に特定の縮率で圧縮した立体表示画線を、第1の原画像(7)と第2の原画像(7’)とで第2の方向(S2)を軸(図22で示すK’線)にしてミラー反転したものである。したがって、第1のミラー反転と第2のミラー反転では、作成過程において、ミラー反転する対象が異なって、それぞれの円弧状画線(6)が形成されている。
このように、立体表示画線群作成工程(Step2)において、第一の画像(4)用の立体表示画線群(8)と、第二の画像(15)用の立体表示画線群(8’)を作製し、それを基にしてあとの工程を経て、第1の円弧状画線群(5)及び第2の円弧状画線群(16)を作製する。
図24は、本変形例2において作製された第1の円弧状画線群(5)及び第2の円弧状画線群(16)が、第1の方向(S1)に近接して配置された場合のそれぞれの出現する画像の動き方を説明する図である。
図24に示すように、出現して視認される第1の原画像(7)は、前述した動き方と同様、図面上の左側から右側に向かって円弧状に動いて視認される。また出現して視認される第2の原画像(16)は、第2の円弧状画線群(16)が第1の円弧状画線群(5)に対して第2のミラー反転した形状のため、第1の原画像(7)とは、ミラー反転した逆向きの動きの右側から左側へ向かって円弧状に動いて視認される。このように、二つの画像が線対称に逆向きとなって動くため、一つの画像が動くよりも相乗効果により、より一層動的効果が向上する。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した形成体(1)の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
図9に示すように原画像(7)は、約縦10mm×横10mmの桜の図柄を用い、原画像(7)を分割する際のフレーム(F)の幅(W2)を5mmとして、これを横方向に圧縮し、立体表示画線(9)の幅は0.5mmとした。このとき、フレーム(F)をずらす量を0.5mmとして、原画像(7)を計29枚のフレーム(F)に分割し、これらフレーム(F)を横方向に圧縮した立体表示画線(9)を第1の方向に、ピッチ0.5mmで、29枚並べて立体表示画線群(8)を作成した。
次に、図10に示すように円弧状の仮想線(11)は、半径0.35mm、開き角90度分の円弧とし、円弧の両端が水平となるように配置し、この仮想線(11)を第2の方向(S2)にピッチ(P2)0.05mmで、フレームとほぼ同じの高さとなるように複数配置し、仮想線帯群(12)を形成した。次に、この仮想線帯群(12)をフレーム幅(W1)と同じピッチ(P3)0.5mmで、第1の方向(S1)に立体表示画線群(8)と同じ幅になるように複数配置して仮想線群(13)を形成した。
立体表示画線群(8)と仮想線群(13)の左右両端及びほぼ中心が合うように重ね合わせた。この時、各仮想線の両端を結ぶ直線と立体表示画線群は水平とした。その後、立体表示画線群(8)の桜の図柄を形成する領域に重なっている仮想線(11)を全て抽出し、円弧状画線群(4)のデータとした。
作成した円弧状画線群(4)のデータを基に、レーザマーカ(キーエンス製MD−V9910)を用いて、ステンレス板の表面にレーザ出力70%、スキャンスピード200mm/s、周波数20kHzの加工条件で、10回繰り返し加工を行い、円弧状画線群(4)を形成した。この際、円弧状画線は、レーザビームによる加工であるため、凹状の断面となっており、その深さは約10μmであった。
ステンレス板上に作製した円弧状画線群(4)を適当な照明下で観察したところ、原画像(7)と同じ桜の図柄が確認でき、また、観察角度を左右方向に変えることで視認できる桜の出現位置も左右に変化することが確認できた。
図21に示すように、実施例1と同様に作製した円弧状画線群(4)の下に、円弧状画線群(4)を上下方向に第1のミラー反転させた円弧状画線群(15)を配置し、実施例1と同様レーザ加工によって、ステンレス板上に円弧状画線群(4、15)を作製した。これを適当な照明下で観察したところ、2つの桜の図柄が確認でき、これら二つの図柄は観察角度を左右に変えることで、左右逆方向に動いているように視認されることを確認した。また、視認される二つの桜の図柄は、ステンレス板表面の手前側と奥側に浮いているように視認できることも確認した。
実施例2で作製した円弧状画線群(4、15)を多層干渉フィルム(リンテック製 REVI−SD900)に120℃、20kNでエンボス加工を施したところ、実施例2と同様な動的・立体的視覚効果をフィルム上に複製可能であることを確認した。
1 立体表示形成体
2 基材
3 画像形成領域
4 第一の画像
5 第1の円弧状画線群
6 円弧状画線
7 原画像(第1の原画像)
8 立体表示画線群
9 立体表示画線
10 フレーム内画像
11 仮想線
12 仮想線帯群
13 仮想線群
14 エンボス版
15 第二の画像
16 第2の円弧状画線群
17 第2の原画像
F フレーム
G 対応する領域
S1 第1の方向

Claims (9)

  1. 基材上の少なくとも一部の領域に、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、第1の原画像を基にして分割されたフレーム内画像を第1の方向に特定の縮率で圧縮した第1の円弧状画線群が、前記第1の方向に万線状に配置されて成る第一の画像を備え、
    前記第1の円弧状画線群は、それぞれ形状が異なり、かつ、隣り合う前記第1の円弧状画線群同士が最も近似した形状を有し、前記基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有した円弧状画線が万線状に前記第1の方向とは異なる第2の方向に配置されて成り、
    前記基材を、定位置の光源に対して所定の角度から異なる角度へと連続的に変化させて観察した場合、前記光源からの入射光を反射する位置が画線上で徐々に移動する前記円弧状画線を複数有した前記第1の円弧状画線群により、前記第1の原画像が立体的、かつ、動的に視認されることを特徴とする立体表示形成体。
  2. 前記基材上の少なくとも一部の領域に、前記第一の画像に対して近接又は隣接して第二の画像を備え、
    前記第二の画像は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、第2の原画像を基にして分割されたフレーム内画像を前記第1の方向に特定の縮率で圧縮した第2の円弧状画線群が、前記第1の方向に万線状に配置されて成り、
    前記第2の円弧状画線群は、それぞれ形状が異なり、かつ、隣り合う前記第2の円弧状画線群同士が最も近似した形状を有し、前記基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有した前記円弧状画線が万線状に第2の方向に配置されて成り、
    前記第一の画像を形成している前記円弧状画線と、前記第二の画像を形成している前記円弧状画線は前記第2の方向に第1のミラー反転して成り、又は、前記第一の画像を形成している前記第1の円弧状画線群と、前記第二の画像を形成している前記第2の円弧状画線群は第1の方向に第2のミラー反転して成り
    前記基材を、定位置の光源に対して所定の角度から異なる角度へと連続的に変化させて観察した場合、前記第1の原画像及び前記第2の原画像が立体的、かつ、相反する方向に動的に視認されることを特徴とする請求項1記載の立体表示形成体。
  3. 前記基材上の少なくとも一部の領域が、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、前記円弧状画線がレーザー加工による前記基材の除去又はエンボス加工により凹形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体表示形成体。
  4. 少なくとも入力部及び処理部を備えたシステムを用いて、観察角度を異ならせることで画像が立体的、かつ、動的に視認可能な立体表示形成体の作製方法であって、
    前記処理部において前記画像の基となる原画像を作製、又は前記入力部において、あらかじめ作製済みの前記原画像を取得する原画像設定工程と、
    前記処理部において、前記原画像を基にして分割したフレーム内画像を第1の方向に特定の縮率で圧縮した立体表示画線を、前記第1の方向に第1のピッチで配置した立体表示画線群を作製する工程と、
    所定の線幅を有する円弧状の仮想線が、前記第1の方向とは異なる第2の方向に第2のピッチで万線状に配置されて成る仮想線帯群を、前記第1の方向に前記第1のピッチで複数配置して成る仮想線群を形成する仮想線群作製工程と、
    前記仮想線群の上に、前記立体表示画線群を重ね合わせる工程と、
    前記仮想線群と、前記立体表示画線群が重なり合った部分のみの円弧状画線を抽出して円弧状画線群とする円弧状画線抽出工程と、
    抽出した前記円弧状画線群を、基材上の少なくとも一部の領域に、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有し、かつ、前記基材に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有するように形成する円弧状画線群形成工程から成ることを特徴とする立体表示形成体の作製方法。
  5. 前記原画像設定工程は、同じ又は異なる二つの原画像を設定し、
    前記立体表示画線群作製工程は、それぞれの前記原画像に対して前記立体表示画線を作製し、
    前記仮想線群作製工程は、前記二つの原画像に対応した前記仮想線群を作製し、第1の仮想線群を構成する前記仮想線の向きに対して、第2の仮想線群を構成する前記仮想線の向きを、前記第2の方向に対して第1のミラー反転させ、
    前記重ね合わせ工程は、一つの前記立体表示画線群に対して一つの前記仮想線群を重ね合わせ、
    前記円弧状画線抽出工程は、それぞれ前記仮想線群と前記立体表示画線群が重なり合った部分のみを抽出して第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群とし、
    前記円弧状画線群形成工程は、前記第1の円弧状画線群及び前記第2の円弧状画線群を隣接又は近接する位置に形成することを特徴とする請求項4記載の立体表示形成体の作製方法。
  6. 前記原画像設定工程は、同じ又は異なる二つの原画像を設定し、
    前記立体表示画線群作製工程は、それぞれの前記原画像に対して前記立体表示画線を作製し、第1の原画像に対する第1の立体表示画線と、第2の原画像に対する第2の立体表示画線のうちどちらか一方を前記第1の方向に対して第2のミラー反転させた前記立体表示画線群を作製し、
    前記仮想線群作製工程は、前記二つの原画像に対応した前記仮想線群を作製し、
    前記重ね合わせ工程は、一つの前記立体表示画線群に対して一つの前記仮想線群を重ね合わせ、
    前記円弧状画線抽出工程は、それぞれ前記仮想線群と前記立体表示画線群が重なり合った部分のみを抽出して第1の円弧状画線群及び第2の円弧状画線群とし、
    前記円弧状画線群形成工程は、前記第1の円弧状画線群及び前記第2の円弧状画線群を隣接又は近接する位置に形成することを特徴とする請求項4記載の立体表示形成体の作製方法。
  7. 隣り合う前記仮想線帯群を接して配置することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項記載の立体表示形成体の作製方法。
  8. 前記円弧状画線群形成工程は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を備えた前記基材上の少なくとも一部の領域に、前記円弧状画線をレーザー加工による前記基材の除去又はエンボス加工により凹形状に形成することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の立体表示形成体の作製方法。
  9. 前記円弧状画線群形成工程は、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有するインキにより凸形状に前記円弧状画線を形成することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載の立体表示形成体の作製方法。
JP2014048274A 2014-03-12 2014-03-12 立体表示形成体及びその作製方法 Active JP6142254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014048274A JP6142254B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 立体表示形成体及びその作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014048274A JP6142254B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 立体表示形成体及びその作製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015171774A JP2015171774A (ja) 2015-10-01
JP6142254B2 true JP6142254B2 (ja) 2017-06-07

Family

ID=54259433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014048274A Active JP6142254B2 (ja) 2014-03-12 2014-03-12 立体表示形成体及びその作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6142254B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7240678B2 (ja) * 2019-11-18 2023-03-16 独立行政法人 国立印刷局 光輝性動画模様

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5099645B2 (ja) * 2009-02-06 2012-12-19 独立行政法人 国立印刷局 潜像印刷物
JP5142153B2 (ja) * 2009-04-30 2013-02-13 独立行政法人 国立印刷局 潜像印刷物
JP5200284B2 (ja) * 2009-12-15 2013-06-05 独立行政法人 国立印刷局 潜像印刷物
JP5652789B2 (ja) * 2011-09-02 2015-01-14 独立行政法人 国立印刷局 立体印刷物
JP6097994B2 (ja) * 2013-02-26 2017-03-22 独立行政法人 国立印刷局 立体表示形成体及びその作製方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015171774A (ja) 2015-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101981833B1 (ko) 합성 이미지의 집합을 투사하기 위한 보안 장치
TWI574211B (zh) 光學可變安全元件
JP6097994B2 (ja) 立体表示形成体及びその作製方法
JP5799431B2 (ja) 立体表示形成体
JP5990792B2 (ja) 潜像印刷物
JP6361978B2 (ja) 潜像印刷物
JP2022141749A (ja) セキュリティエレメント及びセキュリティエレメントの形成方法
CN105374281B (zh) 利用精细图案和微透镜而使图案移动的三维标签
JP6032426B2 (ja) 潜像印刷物
JP6142254B2 (ja) 立体表示形成体及びその作製方法
JP6583632B2 (ja) 立体表示形成体及びその作製方法
JP6569097B2 (ja) 立体表示形成体及びその作製方法
JP6112357B2 (ja) 偽造防止用潜像画像表出構造
JP5131599B2 (ja) 立体視可能な印刷物
JP6418576B2 (ja) 潜像印刷物、潜像印刷物の潜像画線群作製方法及び潜像印刷物の潜像画線群作製用ソフトウェア
JP2020037215A (ja) 潜像印刷物
JP6590347B2 (ja) 偽造防止媒体及びその作製方法
JP6167351B2 (ja) 立体表示形成体
JP6351014B2 (ja) 立体表示形成体及びその作製方法
JP6516262B2 (ja) 潜像印刷物
JP2016093888A (ja) 立体画像発現構造
JP6191963B2 (ja) 立体的効果を有する模様形成体
JP6418577B2 (ja) 潜像印刷物
JP2023121490A (ja) 画像形成体
EP2955564A1 (en) Optically variable element

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170330

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6142254

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250