(第一実施形態)
図1は、本発明における立体表示形成体(1)(以下「形成体」という。)を示す平面図であり、一例として商品券とする。
形成体(1)は、基材(2)上に、店舗名、券種等の形成体(1)に関する情報が、プロセスインキであるシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの基本4色インキや、基本4色インキを除く特殊な色を有する特色インキを印刷することで付与される。形成体(1)には、基材(2)上の一部に、第一の画像(3)が配置されている。
なお、基材(2)は、第一の画像(3)を形成することができれば、紙、プラスチックカード、金属等とすることができ、その材質は問わない。また、第一の画像(3)は、基材(2)上に収まる限り、大きさに制限はない。
第一の画像(3)は、可視光源下で正面から観察した場合、複数の細画線から成る模様として視認されるが、観察角度を変化させながら観察した場合に、視認できる画像が、虹彩色を伴って立体的、かつ、動的に視認可能となる。以下第一の画像(3)について、詳細に説明する。
図2は、第一の画像(3)及び原画像(5G)を示す平面図であり、図2(a)は、第一の画像(3)を示す平面図である。第一の画像(3)は、光輝性材料で形成された円弧状画線(4)が、規則的に複数配置されて成る。なお、図2(a)では、全て同一の円弧状画線(4)によって形成されている。本発明において同一とは、形状及び大きさが同じことをいう。ただし、本発明の円弧状画線(4)は、全て同一に限定されるものではなく、形状及び大きさが異なっていてもよい。形状及び大きさが異なる形態については、後述するが、ここでは、図2(a)に示した同一の円弧状画線(4)で説明する。
なお、円弧状画線(4)の断面は、図2(b)に示すように、基材(2)面に対して、垂直な方向に凹形状又は凸形状の断面ではあるものの、本発明における円弧状とは、円弧状画線(4)の断面形状ではなく、図2(a)に示すように、画線形状を円弧とし、図2(b)に示すように、基材(2)面に対して水平方向(二次元方向)となる第1の方向(X1)に円弧状の円弧状画線(4)の頂点(T)が配置されるように形成されることである。画線形状を、水平方向である第1の方向(X1)に円弧として形成することで、角度変化により視認される立体画像が、両眼視差で視認可能となる。
円弧状画線(4)の断面形状については、図2(b)に示すような凸形状又は図示していないが凹形状であればよいが、図2(c)に示すような蒲鉾形状であることが好ましい。蒲鉾形状とすることで、入射光に対する反射光が、より観察者に集束するため、視認される画像がスムーズな動的効果を奏することとなる。
図2(d)に示す原画像(5G)は、観察角度の変化により、立体画像として視認可能となる、第一の画像(3)とは異なる形状の模様である。作製方法についての詳細は後述するが、図2(a)に示す全ての円弧状画線(4)の同じ位置(本発明の画像構成点(V1)のことをいい、詳細は後述する。)により、原画像(5G)が形成されることで、光の反射により立体画像(5)が立体的な画像として出現する形成体(1)である。
次に、第一の画像(3)について作製方法を交えながら、図3から図12までを用いて説明する。
図3は、形成体(1)を作製するためのシステム(M)を示すブロック図である。システム(M)は、少なくとも入力部(101)、処理部(102)及び出力部(103)を備えている。
入力部(101)は、形成体(1)の作製に必要なデータを入力し、処理部(102)に与える手段である。処理部(102)は、形成体(1)の作製に必要な演算処理及び画像処理を行い、得られた結果を出力部(103)に与える手段である。出力部(103)は、処理部(102)から与えられたデータを、外部の、例えば、図示されてない加工装置に出力する手段である。なお、処理部(102)には、与えられたデータ及び作製したデータを記録する記憶部(104)を、更に有していてもよい。
このようなシステム(M)を用いて形成体(1)を作製する方法について、図4に示す形成体(1)の作製手順を示すフローチャートと、図5に示す形成体(1)の作製手順を示す模式図を用いて説明する。本発明の形成体(1)の作製方法は、図4に示すように、原画像設計工程(STEP1)と、基円弧状画線設計工程(STEP2)と、微細画線付与工程(STEP3)と、画線位置設定工程(STEP4)と、第一の画像作製工程(STEP5)と、第一の画像形成工程(STEP6)から成る。
次に、各工程について詳細に説明する。まず始めに、原画像設計工程(STEP1)として、図5(a)に示すように、処理部(102)において、一定の観察条件下で出現し、立体的な画像として視認される立体画像(5)の基となる原画像(5G)を作製又は入力する。原画像(5G)については、第一の画像(3)とは異なる形状であれば、文字、図柄及び模様等、特に限定はなく、任意の画像とすることが可能である。
また、原画像(5G)は、処理部(102)で直接作製してもよく、あらかじめ記憶部(104)に記憶されている複数の原画像(5G)の中から任意に選んで、処理部(102)により決定してもよい。さらには、本システム(M)とは異なる他のシステム又は画像処理ソフト等で作製された原画像(5G)を、入力部(101)から入力してもよい。本実施の形態では、図5(a)に示すように、原画像(5G)として円形状の画像を一例として説明する。
なお、原画像(5G)を作製又は決定すると同時に、原画像(5G)に対応するデータを、入力部(101)から入力する。ここでいうデータとは、後述する立体画像(5)を構成する円弧状の画線のピッチ等、第一の画像(3)を構成する円弧状画線(4)の作製に必要なデータのことである。
次に、基円弧状画線設計工程(STEP2)として、図5(b)に示すように、処理部(102)において、円弧状画線(4)が光輝性を有して肉眼で視認される観察角度内で、光源に対して異なる角度へと連続的に変化させて観察した場合の動きの軌跡(4D)を設定することにより、円弧状画線(4)の基本となる基円弧状画線(4G)を設計する。
図6は、基円弧状画線(4G)及び動きの軌跡(4D)を示す平面図であり、図6(a)は、図2(a)に示す第一の画像(3)を構成する円弧状画線(4)の基円弧状画線(4G)を示す平面図であり、基円弧状画線(4G)は、始点(U)、頂点(T)及び終点(D)を有する。
視認原理についての詳細は後述するが、円弧状画線(4)を、光輝性を有する材料で円弧状に形成することで、入射光に対する反射光が、全ての円弧状画線(4)の同じ位置が光って視認され、更に観察角度の変化により、始点(U)から終点(D)へと徐々に光って視認される同じ位置が変化することで、図2に示す立体画像(5)が、動的に視認される。
つまり、立体画像(5)の動きである軌跡(4D)とは、基円弧状画線(4G)の円弧形状と同一となる。よって、基円弧状画線設計工程(STEP2)では、立体画像(5)の動く方向(軌跡)であり、かつ、円弧状画線(4)の基となる軌跡である基円弧状画線(4G)を設定する。
図6(b)に示すように、立体画像(5)の軌跡である動きの軌跡(4D)は、始点(U)、頂点(T)及び終点(D)を有する。動きの軌跡(4D)は、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線を基準線(H1)とした場合、始点(U)において、基準線(H1)に対する円弧状の基円弧状画線(4G)の接線である立ち上がり線(H2)が成す角度(θ1)(以下「始点角」という。)は、2〜90°の範囲内で、適宜設定する。なお、接線については後述する。
動きの軌跡(4D)を基に作製した基円弧状画線(4G)、更には基円弧状画線(4G)を基に作製した円弧状画線(4)の始点(U)と終点(D)で入射光が異なる方向に反射することで、両眼視差により、立体画像(5)が視認可能となる。始点角(θ1)が2°未満の場合、入射光が、ほぼ同じ方向に反射して両眼視差が不可能となり、好ましくない。反対に、始点角(θ1)が90°を超える場合、入射光は異なる方向に反射するが、両眼視差可能な範囲外となるため、好ましくない。
また、終点(D)における、基準線(H1)に対する動きの軌跡(4D)の接線である立ち下がり線(H3)が成す角度(θ2)(以下「終点角」という。)も、前述の始点(U)と同様の理由から、2〜90°の範囲内で、適宜設定することが可能である。
次に、本発明の最大の特徴点である微細画線付与工程(STEP3)として、図5(c)に示すように、処理部(102)において、基円弧状画線設計工程(STEP2)で作製した基円弧状画線(4G)に基づいて微細画線(6)を付与して円弧状画線(4)を作製する。
基円弧状画線設計工程(STEP2)で、円弧状画線(4)の基となる基円弧状画線(4G)を、始点(U)、頂点(T)及び終点(D)を用いて設定したが、基円弧状画線(4G)の長さについては、設定していない。なお基円弧状画線(4G)、いわゆる円弧状画線(4)の長さとは、始点(U)及び終点(D)を結ぶ基準線(H1)の長さのことである。
基準線(H1)の長さは、始点(U)、頂点(T)及び終点(D)の関係が成り立つのであれば、肉眼で両眼視差により立体視が可能となる、人間の平均的な両目間の距離である65mm以下とすることが、好ましい。
なお、形成体(1)を、セキュリティ製品等に用いる場合、小さい方が改ざんしづらく、偽造防止効果が向上することから、基準線(H1)の長さは短い方が、好ましいが、ポスター、広告物等に用いる場合、形成体(1)が大きいことから、基準線(H1)は長くなる。よって、形成体(1)と観察者との距離により、基準線(H1)の長さは、適宜設定する。
図7は、円弧状画線(4)を示す図であり、その中でも、四角線で囲まれた領域を更に拡大図として示している。前述のとおり、基円弧状画線設計工程(STEP2)で作製した円弧状画線(4)の基となる基円弧状画線(4G)に対し、微細画線(6)を配置して円弧状画線(4)を完成する。
微細画線(6)は、基円弧状画線(4G)の長手方向に向かう中心線(7)に対し、必ず同じ角度(α)を有して配置する。本発明における長手方向とは、円弧状画線(4)1本において、始点(U)から円弧状画線(4)上を通って終点(D)に向かう方向のことである。図7では、中心線(7)に対する微細画線(6)の配置角度(α)は、垂直(S1=90°)に配置されている。なお、図8では、中心線(7)に対して微細画線(6)の配置角度(α)は、平行(S2=0°)に配置されている。
微細画線(6)の配置角度(α)は、作製に関しては前述のとおり、基円弧状画線(4G)の長手方向に向かう中心線(7)に対して同じ角度を有して配置することとなるが、実際に作製された形成体(1)における円弧状画線(4)には、中心線(7)は実在しないため、微細画線(6)については、円弧状画線(4)の各位置における接線に対して全て同じ角度(α)を有して配置されていることとなる。
図7に示すように、例えば、円弧状画線(4)を構成している1本の微細画線(6(i-9))に対して見てみると、微細画線(6(i-9))が構成している円弧状画線(4)は、1点(I)で円弧状画線(4)の接線(B−B')と接している。この接線(B−B')は、円弧状画線(4)からの法線方向(図7中、矢印方向のJ)に対して直角となる線である。したがって、円弧状画線(4)の全ての点においては、接線(B−B')は、法線方向(J)に対して直角を成している。すなわち、全ての微細画線(6)は、この接線(B−B')に対して、同じ角度を有して配置されていることとなる。以下、作製過程において、微細画線(6)の配置方向(S1)を示す場合は、対象を中心線(7)とし、作製された形成体(1)における微細画線(6)の配置方向(S1)を示す場合には、接線(B−B')を対象として説明する。
微細画線(6)の配置角度(α)を詳細に説明すると、図7に示すように、複数配置されている微細画線(6)は、始点(U)側では、微細画線(6(1))と、その隣に配置されている微細画線(6(2))とは、画線同士は若干の角度の差を有して配置されている。具体的には、例えば基準線(H1)に対して、微細画線(6(1))と微細画線(6(2))は2°の配置角度差を有している。ただし図の一部拡大図に示すように、中心線(7)に対する微細画線(6(1))の配置角度(α(1))、微細画線(6(2))の配置角度(α(2))は、いずれも垂直方向(S1=90°)に配置されている。
基円弧状画線(4G)上に配置される複数の微細画線(6)は、前述したように、全ての画線が中心線(7)に対して同じ配置角度(α)を有している。したがって、同様に、微細画線(6(i-1))、微細画線(6(i))、微細画線(6(i+1))の配置角度(α(i-1))、(α(i))、(α(i+1))は、いずれも中心線(7)に対して垂直(90°)であり、微細画線(6(n−2))、微細画線(6(n−1))、微細画線(6(n))の配置角度(α(n−2))、(α(n−1))、(α(n))は、いずれも中心線(7)に対して垂直(90°)となっている。
ここで、円弧状画線(4)の画線幅(W1)については、5〜1,000μmの範囲で形成する。これは、画線幅が5μm未満の場合、出現する画像の発現性が劣り、画線幅が1,000μmを超える場合には、出現する画像の立体視がしづらくなり、好ましくない。
また、円弧状画線(4)と隣り合う円弧状画線(4)との間隔は、小さければ小さいほど鮮明な画像が出現する。逆に、大き過ぎると出現する画像の明るさが低下してしまい、好ましくない。そのため、円弧状画線(4)と隣り合う円弧状画線(4)との間隔は、画像に歪みが生じない範囲で適宜設定する必要がある。
なお、出現する画像をより鮮明にするためには、前述した円弧状画線(4)の画線幅と、円弧状画線(4)同士の間隔を等しく形成することが、特に好ましい。
また、円弧状画線(4)を構成している微細画線(6)の画線幅(W2)については、1〜100μmで、画線の高さ、いわゆる基材(2)の垂直方向(Z1)に対する微細画線(6)の高さ又は深さは、1〜100μmの範囲内で適宜設定することが可能である。基材(2)に対する微細画線(6)の高さ又は深さが100μmを超える場合には、基材(2)に対して、好ましくない。
図8は、一部拡大図に示すように、中心線(7)に対して、全ての微細画線(6(1))(6(2))・・・(6(6))の配置角度(α)は水平(0°)に配置されている。また、配置角度(α)は、中心線(7)に対して垂直(90°)や水平(0°)だけでなく、任意の角度が設定可能であり、特に限定はない。ただし、全ての微細画線(6)の中心線(7)に対して同じ方向に配置しなければならない。なお、図8では、微細画線(6)が6本から構成されているが、何本で構成するかは円弧状画線(4)の画線幅(W1)内であれば特に限定されず、微細画線(6)の画線幅(W2)及びピッチ(P2)により適宜設定すればよい。
微細画線(6)については、図7のように、中心線(7)に対して垂直(S1)に配置する場合と、図8のように、中心線(7)に対して平行(S2)に配置する場合があることは既に説明したところであるが、微細画線(6)の画線幅(W2)については、平行(S2)に配置される場合には、前述したように、円弧状画線(4)の画線幅(W1)内に本数が収まらなければならないので、垂直(S1)に配置する場合よりも画線幅(W2)には制約が生じる。ただし、垂直(S1)に配置する場合であっても、極端に画線幅(W2)が太くてもよいということではなく、本発明の効果となる、立体的、かつ、動的に視認可能な画像が更に虹彩色を奏するためには、0.5〜10μmの画線幅(W2)となる。画線幅がこれよりも小さい場合は加工が困難であり、画線幅がこれより大きい場合は、虹彩色が視認可能な観察角度が非常に狭くなってしまう。
なお、図8においても、作製された形成体(1)においては、図7で説明したように、複数の微細画線(6)は、円弧状画線(4)の接線(B−B')に対して全て同じ方向の平行(S2)に配置されていることとなる。
微細画線(6)のピッチ(P2)についても、画線幅(W2)と同様、中心線(7)に対して平行(S2)に配置される場合の方が、配置可能な本数に影響するため、若干の制約は生じることとなるが、本発明の効果を奏するためには、0.5〜10μmの範囲で形成する。画線幅(W2)がこれよりも小さい場合は加工が困難であり、画線幅がこれより大きい場合は、虹彩色が視認可能な観察角度が非常に狭くなってしまう。
なお、図7及び図8においては、画線幅(W2)及びピッチ(P2)は、それぞれ全て同一となっているが、微細画線(6)で最も重要なことは、中心線(7)に対する配置角度(α)であるため、画線幅(W2)及びピッチ(P2)については、全て同一とする必要はなく、異なっていてもよい。ただし、動的効果及び虹彩色を奏するためには、同一とすることが好ましい。
微細画線(6)の作製には、感光性樹脂に微細パターンを露光する方法や電子線描画、レーザ描画、極小バイトによる切削等の加工方法が挙げられる。所望する微細画線(6)の画線幅(W)やピッチ(P)、画線の断面形状を考慮して加工方法を適宜選択すればよい。
次に、画線位置設定工程(STEP4)として、図5(d)に示すように、処理部(102)で、原画像(5G)の輪郭である輪郭部(5E)を抽出した後、輪郭部に作製した円弧状画線(4)の配置位置を設定する。
図9は、画線位置設定工程(STEP4)の詳細を示す模式図である。まず、図9(a)に示すように、処理部(102)で、原画像(5G)の輪郭である輪郭部(5E)を抽出する。
次に、抽出した輪郭部(5E)に、微細画線付与工程(STEP3)であらかじめ作製した第一の画線(4)の配置位置を設定する。配置位置を設定する方法には、直線を用いて設定する方法と、円形を用いて設定する方法があるが、初めに直線を用いる設定方法について説明する。
まず、図9(b)に示すように、処理部(102)で、輪郭部(5E)上の任意の二点を基準点(O1、O2)として設定する。なお、二つの基準点(O1、O2)は、異なる位置に設定する。
次に、図9(c)に示すように、画線を配置する際の輪郭部(5E)上の基準位置を示す配置基準線(L)を設定する。配置基準線(L)は、二点の基準点(O1、O2)を通る直線である。次に、配置基準線(L)を、第1のピッチ(P1)で第1の方向(X1)に複数配置する。輪郭部(5E)と、複数配置する配置基準線(L)の交差する位置が、円弧状画線(4)の始点(U)の配置位置となり、配置基準線(L)は、円弧状画線(4)の基準線(H1)の配置位置となる。
配置基準線(L)を配置する第1のピッチ(P1)は、円弧状画線(4)の形成方法、用いる基材(2)及び画線幅(W1)を考慮し、5〜1,000μmの範囲内で適宜設定することが可能である。
第1のピッチ(P1)を5μm未満とした場合、基材(2)上に円弧状画線(4)を形成しづらくなり、好ましくない。反対に、所定ピッチ(P1)が1,000μmを超える場合、立体画像(5)の視認性が低下し、好ましくない。
なお、図9(c)では、第1のピッチ(P1)を、全て同じ規則的なピッチ(P)である第1のピッチ(P1)で図示しているが、全てを同一とする必要はなく、ランダムなピッチ(P)とすることも可能である。
図10は、配置基準線(L)を第1の方向(X1)に配置した他の形態を示す平面図である。配置基準線(L)は、第1の方向(X1)に、P1−1、P1−2に示すランダムなピッチで配置されている。
ランダムなピッチ(P1−1、P1−2)で配置する場合には、その一つ一つのピッチは、前述した第1のピッチ(P1)の範囲と同様に、5〜1,000μmの範囲内で適宜設定することが可能であるが、立体視される画像の視認性を考慮すると、配置基準線(L)のピッチは、規則的な第1のピッチ(P1)で形成することが、好ましい。よって、以下、本実施の形態では、配置基準線(L)は、全て同じピッチである第1のピッチ(P1)で形成してあると仮定して説明する。
次に、円形を用いた円弧状画線(4)の配置位置の設定方法について、図11を用いて説明する。
まず、図11(a)に示すように、前述した図9(a)と同様に、処理部(102)で、原画像(5G)の輪郭である輪郭部(5E)を抽出する。
次に、図11(b)に示すように、処理部(102)で、輪郭部(5E)上に、所定の直径の配置基準円(R)を、配置基準円(R)の中心が輪郭部(5E)上となり、かつ、隣接する配置基準円(R)の中心間の距離が一定間隔となるように複数配置する。輪郭部(5E)と、複数配置する配置基準円(R)の中心が交差する位置が、円弧状画線(4)の始点(U)の配置位置となる。配置基準円(R)の中心間の距離が、円弧状画線(4)を配置する第1のピッチ(P1)となる。なお、第1のピッチ(P1)は、前述した配置基準線(L)と同様の範囲で設定する。
なお、円弧状画線(4)の画線幅(W1)は、第1のピッチ(P1)を考慮し、5〜1,000μmの範囲内で適宜設定される。円弧状画線(4)の画線幅(W1)は、前述のとおり、中心線(7)に対して微細画線(6)を垂直(S1)に配置した場合には、微細画線(6)の長手方向の長さと同じであり、微細画線(6)を中心線(7)に対して平行(S2)に配置した場合には、微細画線(6)の配置可能本数の範囲となる。
画線幅(W1)が5μm未満である場合には、基材(2)上に円弧状画線(4)を形成しづらいため、好ましくない。反対に、画線幅(W1)を1,000μmを超える場合、画線幅(W1)に対応して円弧状画線(3)の形状も大きくする必要があることから、第一の画像(3)を両眼視差により立体視しづらくなり、好ましくない。
次に、第一の画像作製工程(STEP5)として処理部(102)で、画線位置設定工程(STEP4)において設定した配置位置に、微細画線付与工程(STEP3)で作製した円弧状画線(4)を複数配置して画線データを作製する。
図12は、第一の画像作製工程(STEP5)の詳細を示す模式図である。なお、図中の円弧状画線(4)については、基円弧状画線(4G)のように、一本線として記載してあるが、実際は微細画線(6)が複数配置されているものであり、微細な構成のため、図面上では模式的に一本線として記載してある。まず、始めに、図12(a)に示すように、円弧状画線(4)の始点(U)及び終点(D)を結ぶ、基準線(H1)を設定する。
前述した図2に示す、第一の画像(3)は、円弧状画線(4)の少なくとも始点(U)から成る立体画像(5)を有する。よって、立体画像(5)の基となる画像である原画像(5G)の上に円弧状画線(4)を配置する場合は、輪郭部(5E)と、円弧状画線(4)の始点(U)を同じ位置に配置し、さらに、複数の円弧状画線(4)は、原画像(5G)の上に、同一方向である第1の方向(X1)に配置する。
複数の円弧状画線(4)を、原画像(5G)の上に、同一方向に配置するために、複数の円弧状画線(4)の基準線(H1)は、ほぼ平行となるように設定する。
最後に、第一の画像形成工程(STEP6)として、第一の画像作製工程(STEP5)で作製した画線データを基に、明暗フリップフロップ性又はカラーフリップフロップ性の少なくともどちらか一方の特性を有する基材(2)上の一部に、基材(2)に対して凹形状又は凸形状の断面形状を有する複数の微細画線(6)から成る円弧状画線(4)を形成する。
明暗フリップフロップ性とは、観察角度の変化により明度の変化が生じることであり、カラーフリップフロップ性とは、観察角度の変化により色相の変化が生じることである。
本発明の第一の画像(3)は、入射光と反射光のコントラストが大きいことで、肉眼で立体的、かつ、動的に視認できる画像が、更に虹彩色を奏して視認することが可能となる。そのため、第一の画像(3)は、入射した光に対して強い反射光を生じる材料である、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料を用いる必要がある。
基材(2)に用いることが可能な、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有する材料は、アルミ、ステンレス等の一般的な金属材料や、フィルム、プラスチック等の樹脂材料の他に、平滑な表面を形成可能な塗料等が塗工された用紙があるが、円弧状画線(4)が、明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を有していれば、形成する材料に限定はない。また、基材(2)自体が明暗フリップフロップ性及び/又はカラーフリップフロップ性を備えていてもよい。
次に、円弧状画線(4)の形成方法について説明する。
円弧状画線(4)は、光輝性材料から成る基材(2)を凹形状又は凸形状に変形して形成する方法がある。微細画線(6)の作製には、前述のとおり、感光性樹脂に微細パターンを露光する方法や電子線描画、レーザ描画、極小バイトによる切削等の加工方法が挙げられる。所望する微細画線(6)の画線幅(W)やピッチ(P)、画線の断面形状を考慮して加工方法を適宜選択すればよい。
基材(2)を凹形状又は凸形状に変形させて形成する方法とは、光輝性を有する基材(2)をエンボス加工、レーザ加工等、基材(2)を変形することが可能な公知の加工機を用いて、円弧状画線(4)の形状に合わせて加工することで形成される。
また、凹形状又は凸形状に変形させた部位の表面のみが平滑になるように、エンボス加工することも可能である。本発明の特徴点である微細画線(6)を形成することは、繊細な形成方法となることから、エンボス加工又はレーザ加工が好ましい。
次に、円弧状画線(4)の断面形状について、図13を用いて説明する。図13(a)は、1本の円弧状画線(4)の平面図を示し、前述したように、複数の微細画線(6)が中心線(7)に対して垂直(S1)に配置されて成る。円弧状画線(4)は、基材(2)面に対して第1の方向(X1)に頂点(T)が向いて形成されている。図13(b)及び図13(d)は、図13(a)の四角囲部分を拡大した領域におけるK−K’断面図、いわゆる、微細画線(6(i))のK−K’断面図であり、中心線(7)に対して垂直(S1)に切断した際の断面である。また、図13(c)は、円弧状画線(4)の一部のF−F’断面図、いわゆる、微細画線(6(i-1))、(6(i))及び(6(i+1))のF−F’断面図であり、中心線(7)に対して平行な方向(S2)の断面である。
図13(b)、図13(c)及び図13(d)に示すように、円弧状画線(4)を構成している微細画線(6(i))は、基材(2)面に対して垂直(Z1)に凹形状又は凸形状の形状を成す画線である。なお、図13(b)は、凸形状の円弧状画線(4)を示し、図13(d)は、凹形状の円弧状画線(4)を示している。
また、図14(a)は、別の微細画線(6)の配置を示す態様であり、1本の円弧状画線(4)の平面図を示し、前述したように、複数の微細画線(6)が、中心線(7)に対して平行な方向(S2)に配置されて成る。図14(b)及び図14(d)は、図14(a)の四角囲部分を拡大した領域におけるK−K’断面図であり、中心線(7)に対して垂直(S1)に切断した際の断面である。また、図14(c)は、円弧状画線(4)を構成している微細画線(6(3))の1本に当たるF−F’断面図であり、中心線(7)に対して平行(S2)に切断した際の断面である。なお、図14(b)は、凸形状の円弧状画線(4)を示し、図14(d)は、凹形状の円弧状画線(4)を示している。
円弧状画線(4)を形成している微細画線(6)を、基材(2)面に対して垂直の方向(Z1)に凹形状又は凸形状とし、基材(2)面に水平な第1の方向(X1)に頂点が向くような円弧状の画線で形成することで、入射光に対する反射光が、円弧状画線において一方向ではなく、多方向に反射する。それにより、観察者には、円弧状画線(4)の同じ位置が光って視認される。さらに、円弧状画線(4)を微細画線(6)で形成することで、第一の画像(3)が鮮やかな虹彩色に視認できる。
なお、前述したとおり、スムーズな動的効果を奏するため、基材(2)面の垂直方向(Z1)に対して、図13(a)及び図14(a)における円弧状画線(4)の断面形状は、微細画線(6)のK−K’断面形状である図13(b)又は図13(d)、及び図14(b)又は図14(d)に示すように、蒲鉾形状、半円形状又は半楕円形状のような滑らかな形状や、図示はしていないが、四角形、三角形等、角を有する角張った形状でも、特に形状には限定はない。
ここで、スムーズな動的効果を奏するための役割を持つ蒲鉾形状を、他の形状により形成する形態を説明する。通常レンズは、表面が曲面を有する扇型又は蒲鉾状のような、ある程度の厚みを有しており、その厚みにより入射光が屈折して画像を捉えることとなっているが、この厚みを有さずに同様の効果を得られる形状が、従来から知られているフレネルレンズである。
このフレネルレンズを用いることで、本発明の円弧状画線(4)を形成することもできる。図15(a)に示すように、前述した円弧状画線(4)の断面は蒲鉾形状を有しているが、これを図15(d)に示すように、フレネルレンズ形状とする。なお、本発明でいう「フレネルレンズ形状」とは、通常の凸レンズの高さ(H)を所定の高さ(h)に分割して厚みを減らしたレンズであり、それを複数アレイ状に配置したものがフレネルレンズアレイである。
なお、この「所定の高さ(h)」については、円弧状画線(4)の高さ(H)と画線幅(W1)により適宜設定すればよく、特に限定はない。
例えば、図15(a)に示す通常の厚みを有した蒲鉾形状のレンズに対し、図15(b)に示すように、レンズの厚み方向の高さ(H)を所定の高さ(h)でスライスし、曲面を有する複数の領域(8)を抽出してレンズの厚みを減らすことで、図15(d)に示すようなフレネルレンズは、前述のとおり、通常のレンズのような厚みを有さず、細かなノコギリ状の形状を有している。このフレネルレンズ形状は、例えば、複数のレンズ構造を設けた金型を樹脂に押し付けることにより成形することもできる。
円弧状画線(4)をフレネルレンズ形状で形成した形態を図16に示す。図16(a)は、1本の円弧状画線(4')の平面図を示し、前述したように、複数の微細画線(6')が中心線(7')に対して垂直(S1)に配置されて成る。円弧状画線(4')は、基材(2)面に対して水平な第1の方向(X1)に頂点(T')が向いて形成されている。この円弧状画線(4)は、図13に示した円弧状画線(4)とは形状が異なり、フレネルレンズ形状を有して成る。したがって、本発明の特徴点となる微細画線(6')も、図16(a)の一部拡大図に示すK−K’線で切断した場合の断面図となる図16(b)では、画線の中央に向かってノコギリ状のフレネルレンズ形状が形成されている。
また、図16(a)の一部拡大図に示すF−F’線で切断した場合の断面図となる図16(c)では、図13(c)と同様に、微細画線(6'(i-1))、(6'(i))及び(6'(i+1))が規則的に配列されている。ただし、図13に示した微細画線(6)よりも画線高さが低くなっている。
図16については、円弧状画線(4')の中心線(7')に対して、微細画線(6')の配置角度(α)は、垂直(S1=90°)となっている構成を説明したが、図17については、微細画線(6)の配置角度(α)は、円弧状画線(4')の中心線(7')に対して平行(S2=0°)に配置されている。
図17(a)は、1本の円弧状画線(4')の平面図を示し、複数の微細画線(6')が中心線(7')に対して平行(S2)に配置されて成る。この円弧状画線(4')を中心線(7')に対して垂直方向のK−K'線で切断した断面図を図17(b)に示す。なお、図17(a)においては、3箇所にK−K'線を設けているが、どのK−K'線で切断しても、同じ図17(b)に示す断面となる。
円弧状画線(4')は、図17(b)に示すように、複数の微細画線(図中6'(1)〜6'(9))によりフレネルレンズ形状を構成している。図7及び図8により説明した微細画線(6)による円弧状画線(4)では、立体画像(5)が虹彩色を有して視認できるものであったが、図17に示すフレネルレンズ形状では、立体画像(5)の輝度が向上するとともに、一般的な3Dホログラムでは、下地が金属蒸着層により隠蔽されて見えないが、本発明では、円弧状画線(4)間において下地が見えることから、3Dホログラムには無い視覚効果を奏することもできる。
なお、ここでいう「一般的な3Dホログラム」とは、立体物の高さ情報をフレネルレンズと同様に等高線状に分割して厚みを減らしたホログラムであり、薄いフィルム形状ではあるが、観察者には立体物と同様な陰影が見えるため、立体感を伴って視認されるものを示し、立体感を出すために図柄全面に金属蒸着を施し、立体的な面として表現することが可能なホログラムのことである。
次に、形成体(1)の観察条件について説明する。
図18は、形成体(1)が付与された基材(2)を観察するための視点(E1、E2)を示す図である。なお、円弧状画線(4)は、基材(2)面に対して水平な第1の方向(X1)に、更に微細画線(6)は、円弧状画線(4)の接線(B−B')に対して垂直(S1)又は平行(S2)な方向に複数配置されているが、図18では、複数の円弧状画線(4)が配置されて形成された第一の画像(3)として図示して説明する。
本発明では、基材(2)、定位置の光源(Q)及び視点が図18(a)に示す位置関係にあるとき、第1の観察角度(E1)から観察したとし、図18(b)に示す位置関係にあるとき、第2の観察角度(E2)から観察したとする。
第1の観察角度(E1)とは、円弧状画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、反射光が肉眼で光輝性を有して視認されない領域のことであり、図18(a)では、観察角度(θ3)の範囲内が、第1の観察角度(E1)となる。
第2の観察角度(E2)とは、円弧状画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、反射光が肉眼で光輝性を有し、虹彩色で視認される領域のことであり、図18(b)では、観察角度(θ4)の範囲内が、第2の観察角度(E2)となる。
なお、第1の観察角度(E1)及び第2の観察角度(E2)は、微細画線(6)を形成する材料や微細画線(6)の断面形状により、基材(2)、光源(Q)及び円弧状画線(4)の始点(U1)の位置関係は変化する。前述のとおり、本発明における第1の観察角度(E1)とは、円弧状画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、反射光が肉眼で光輝性を有して視認されない領域のことであり、第2の観察角度(E2)とは、円弧状画線(4)が定位置の光源(Q)からの入射光に対して、反射光が肉眼で光輝性を有して視認される領域のことである。
本発明の形成体(1)における第一の画像(3)が立体的に視認できる原理については、既に本出願人が開示した特開2014−32376号公報に詳細が記載されていることから、ここでの詳細な説明は省略するが、観察者の左目で視認される円弧状画線(4)の光輝性を有して視認される位置と、右目で視認される円弧状画線(4)の光輝性を有して視認される位置は、始点(U)と終点(D)を結ぶ直線である基準線(H1)に対して、左右に位相差を持った画線として視認され、両眼視差により、観察者には円弧状画線(4)は立体画線として視認される。この立体画線となる円弧状画線(4)が複数配置されていることから立体画像(5)として視認できる。
この立体画像(5)は、前述のとおり複数の円弧状画線(4)における同じ位置、例えば、始点(U1)のみが、強い反射光を生じることで視認される。この複数の円弧状画線(4)において、立体画像(5)を形成する点を画像構成点(V1)という。画像構成点(V1)とは、複数配置された全ての円弧状画線(4)において、始点(U)と終点(D)からの距離の比率が同じ一点のことである。
図19に示すように、画像構成点(V1)は、円弧状画線(4)の長さに対し、始点(U)から画像構成点(V1)までの距離(Y1)と、終点(D)から画像構成点(V1)までの距離(Y2)の比率が、全ての円弧状画線(4)において、同一となることである。なお、本発明において円弧状画線(4)の長さとは、基準線(H1)の長さではなく、円弧の長さのことである。
例えば、図19では、円弧状画線(4(1))の長さを8mmとした場合、始点(U)から画像構成点(V1)までの距離(Y1)が3mmで、終点(D)から画像構成点(V1)までの距離(Y2)が5mmであり、円弧状画線(4(1))の長さに対し、Y1:Y2は、3:5となる。
また、円弧状画線(4(2))の長さを12mmとした場合、始点(U)から画像構成点(V1)までの距離(Y1)が4.5mmで、終点(D)から画像構成点(V1)までの距離(Y2)が7.5mmであり、円弧状画線(4(2))の長さに対し、Y1:Y2は、3:5となる。よって、全ての始点(U)から画像構成点(V1)までの距離(Y1)と、終点(D)から画像構成点(V1)までの距離(Y2)の比率は、円弧状画線(4)の長さに対し、Y1:Y2が3:5となる。
このように、立体画像(5)を形成する円弧状画線(4)の1点となる画像構成点(V1)は、第一の画像(3)を構成している全ての円弧状画線(4)において、始点(U)から画像構成点(V1)までの距離と、終点(D)から画像構成点(V1)までの距離が、円弧状画線(4)の長さに対する比率では全て同じ比率となる。
さらに、本発明の特徴的な効果となる色彩の変化については、前述のとおり立体画像として視認させるための円弧状画線(4)自体を微細画線(6)によって更に微細化していることから、照明光が回折によって分光され、観察角度に応じて視認できる色が虹彩色に変化する。
以上、本発明の形成体(1)は、平面的な彩紋模様として視認される第一の画像(3)を傾けて観察することで、第一の画像(3)とは異なる形状の画像が、立体画像(5)として視認され、かつ、観察角度の変化に伴い、潜像である立体画像(5)が、連続的に色彩変化を奏して視認することが可能となる。
また、立体画像(5)が立体的に視認される際の動き量は、円弧状画線(4)の長さ及び形状を変化させることで、制御可能となる。
以上の実施の形態では、彩紋模様の第一の画像(3)を用いて立体画像(5)を形成することとして説明してきたが、本発明の特徴点は、立体的、かつ、動的に視認可能とするための円弧状画線(4)が、更に微細画線(6)が複数配置されて形成されることで虹彩色に、また、微細画線(6)をフレネルレンズ形状とすることで輝度が向上した立体画像(5)が視認できるものであるため、本出願人が既に開示している様々な円弧状画線(4)を用いた立体画像(5)に適用することができる。
例えば、図20(a)に示した特願2013−015254号公報に記載されている立体表示形成体(No.2)のように、第一の画像(3)が複数の領域から構成され、各々の領域内において複数の円弧状画線(4)が配置されていることで、第一の画像(3)が立体的、かつ、動的に視認できる技術である。
また、図20(b)に示した特願2013−035324号公報に記載されている立体表示形成体(No.3)のように、立体画像(5)の基となる原画像(5G)を圧縮した画線群が複数配置されて第一の画像(3)が形成されており、その圧縮した画線は、円弧状画線(4)が複数配置されて成ることで、画線群がモアレを生じ、原画像(5G)が虚像として視認できる技術である。
また、図21に示した特願2016−080795号公報に記載されている立体表示形成体(No.4)のように、頂点(T)の向きを逆にした二つの円弧状画線(4)の始点(U)又は終点(D)を同一点として配置した第一の画像(3)が形成されていることで、立体画像(5)が円弧状画線(4)の基準線(H1)と平行な方向に動的に視認されるだけではなく、基準線(H1)に垂直な方向にも動的に視認できるため、動き幅が大きくなる技術である。
この図21で示した第一の画像(3)を開示した特願2016−080795号公報には、別の態様として、図22(a)に示した立体表示形成体(No.5)のように、円弧状画線(4)の始点(U)及び終点(D)により、二つの異なる立体画像(5)を形成可能な技術も開示している。
さらに、図22(b)に示した特願2016−080795号公報に記載された立体表示形成体(No.6)には、奥行き感を持った立体画像(5)を形成するために、隣り合う二つの画線の長さが異なり、かつ、相似形の円弧状画線(4)を配置されていることで、奥行き感のある立体画像(5)が形成可能な技術も開示している。
図20から図22までに示した円弧状画線(4)を用いて立体画像(5)を形成可能な技術(No.2〜6)は、その円弧状画線(4)を更に微細画線(6)により形成すれば、各々の立体的、かつ、動的な効果に加え、本発明の特徴的な効果である虹彩色を伴って視認できるものである。その際、円弧状画線(4)を微細画線(6)で形成する方法は、前述した方法を各々の技術において流用すればよい。