JP6191963B2 - 立体的効果を有する模様形成体 - Google Patents

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Description

本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポ−ト、有価証券、身分証明書、通行券等のセキュリティ分野において、基材に対して観察角度を斜めに変化させていくと、印刷されている模様が立体的に視認できる形成体に関わるものである。
銀行券、パスポート、有価証券等のセキュリティ形成体は、その性質上、偽造や複製がされにくいことが要求される。また、偽造や複製がされたか否かを目視により簡易に判別可能とするため、セキュリティ形成体を形成する網点又は画線と、基材又はインキの盛りにより形成した凹凸を組み合わせることで、観察角度の変化により視認できる画像が変化する偽造防止技術が公知である。
例えば、本出願人が既に開示した特許文献1に記載の技術では、基材上に、高さの異なる二つの盛り上がりのある画線を有し、第一の画像を形成する第一の画線を複数配置し、第一の画線の間に第二の画像を形成する第二の画線を、第一の画線よりも低い画線として配置する。正面からは、第二の画像が視認され、観察角度の変化により、第二の画線が第一の画線によって遮蔽されることで、第一の画像が視認されるものである。
また、凹凸の画線を用いて、立体的な画像を視認させる技術が開示されている。例えば、本出願人が既に開示した特許文献2に記載の技術では、光輝性インキを用いて盛り上がりの有る画線を複数配列して二つの画像が形成され、それぞれの画像は、面積率と配置角度を異ならせることで、それぞれ背景部と画像部に区分けされ、二つの画像の各々の画像部は一つの対を成す図柄を備え、かつ、中心を左右方向に所定距離ずらして配置している。
この特許文献2記載の技術は、基材に対して観察角度を変化させると、光輝性インキにより形成された盛り上がりのある画線に対する光源からの反射によって、画線形成の異なる部位に対して視認できるところが変化し、その際、画像部の中心をずらして形成したことにより、両眼視差の原理によって、画像が立体的に視認できることとなる。
また、前述した凹凸の画線については、基材にすき入れを施すことにより形成することも可能である。このすき入れは、繊維量に差を持たせることで基材の透過率に差を生じさせる技術であるが、この透過率の差を用いて、基材の表裏に模様を形成することにより、透過光下において視認できる潜像模様を形成した形成体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
この特許文献3に記載の形成体は、基材の表面にすき入れにより凹凸の万線を形成し、基材の裏面に、表面の万線と同じ方向に少なくとも2色以上から成る微細な有色画線を万線状に配列し、同色によって情報を形成することにより、裏面から観察すると、1本の画線が2色以上の微細な有色画線が複数配列されているので、1本ごとの色の区別ができない。したがって、同色で形成した情報は認識できず、一様な混色として視認されるが、表面から透過光下で観察すると、すき入れの凹部のみ透過率が高くなるため、裏面に形成された微細画線の中で、凹部の画線と同期している有色画線のみ表面から凹部を通して観察でき、2色以上の中で、同色で形成した情報が視認できる技術である。
特開2011−42049号公報 特許第5131599号公報 特開2012−45743号公報
特許文献1に記載の技術は、1種類の有色インキを用いて形成されているにも関わらず、画線の盛り上がり高さを異ならせて形成することによって、真上から視認できる画像と、観察角度を変化させて視認できる画像が異なるという優れた特徴を有している。しかしながら、使用しているインキが1色に限られることから、製造的には工数が少なくコストパフォーマンスが高いところではあるが、色彩変化が乏しく、視覚的なインパクトが今一つであるという課題があった。
特許文献2に記載の技術も、1色の光輝性インキを用いて形成されていることからコストパフォーマンスが高く、更には、基材に対して観察角度を変化させると、画像が立体的に視認できるという視覚的なインパクトも高い技術ではあるが、立体的に視認させるために、二つの同一画像をそれぞれ背景部と画像部に区分けする必要があり、結果的には面積率及び配列角度の異なる四つの領域を重ならないように隣接して配置することとなり、刷り合わせ精度を要するという問題があった。併せて、特許文献1と同様、色彩的な変化が乏しいという課題もあった。
特許文献3に記載の技術は、表面側に形成したすき入れによる凹凸画線と、裏面側に形成した有色画線を用いて、透過光下でのみ情報が視認できるもので、紙によるすき入れ技術と印刷技術との融合及び基材の表裏を用いた技術として、偽造防止効果の高い技術である。しかし、すき入れによる画線と有色画線を同期させて配列することが必要であり、高い刷り合わせ精度を要するという問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、すき入れ技術を用いて表裏の模様を合成して形成した画像が、真上から視認できる画像と、観察角度を変化させていくことによる立体的な画像と、更に角度を変化さえると色彩が変化した画像の三つの画像として視認できるもので、判別具を必要とせず、色彩変化及び立体視可能な画像を備えた模様形成体を提供する。
本発明は、第1の色を有する紙基材の少なくとも一部に模様形成領域を有し、模様形成領域には、基材の一方の面に、基材から第一の模様及び第二の模様が順に積層され、他方の面に第三の模様が印刷されて、第一の模様、第二の模様及び第三の模様により印刷画像が形成され、第一の模様は、基材に凸形状の第1の要素が万線状に配置され、かつ、第1の要素同士の間の凹部が基材よりも透過率が高く、第1の要素の一部の位相が異なることで模様部と背景部に区分けされ、第二の模様は、第1の色と異なる第2の色の第2の要素が万線状に配列され、かつ、第2の要素は、第1の要素上に第1の要素と同じピッチで配置され、第三の模様は、第一の模様の模様部と形状が等しく、かつ、第1の色及び第2の色と異なる第3の色の第3の要素から成り、模様部と第三の模様は、重畳して共有する共通領域を有し、かつ、所定のずれ量を有して配置され、基材の一方の面を透過光下において基材に対して垂直方向から観察すると、第1の色、第2の色及び第3の色が混色した色の印刷画像が視認され、その位置から傾けて観察すると、印刷模様が立体的に視認され、更にその位置から傾けて観察すると、第2の色の印刷画像が視認できることを特徴とする立体的効果を有する模様形成体である。
また、本発明の立体的効果を有する模様形成体は、模様部と第三の模様が同じ大きさで、各々の中心がずれて配置されていることを特徴とする。
また、本発明は、第1の色を有する紙基材の少なくとも一部に模様形成領域を有し、模様形成領域には、基材の一方の面に、基材から第一の模様及び第二の模様が順に積層され、他方の面に第三の模様が印刷されて、第一の模様、第二の模様及び第三の模様により印刷模様が形成され、第一の模様は、基材にすき入れにより形成された凸形状の第1の要素が万線状に配列され、第1の要素の一部の位相を異ならせることで形成した第1の模様部と、第1の要素の一部の画線幅を異ならせることで形成された第2の模様部から成り、第二の模様は、第2の色の第2の要素が万線状に配置され、かつ、第1の要素上に第1の要素と同じピッチで配置され、第1の模様部と第2の模様部は形状が等しく、かつ、中心がずれて配置され、第三の模様は、第1の色及び前記第2の色と異なる第3の色の第3の要素により形成され、基材の一方の面側を透過光下で傾けて観察すると、印刷模様が立体的に視認されることを特徴とする立体的効果を有する模様形成体である。
また、本発明の立体的効果を有する模様形成体は、一つの第2の要素において、第1の模様部を形成するための位相を異ならせた箇所と、第2の模様部を形成するための幅を異ならせた箇所の両方を備えていることを特徴とする。
また、本発明の立体的効果を有する模様形成体は、第1の模様部と第2の模様部が同じ大きさであることを特徴とする。
本発明の立体的効果を有する模様形成体においては、基材を真上から観察した画像と、基材を徐々に傾けて観察すると立体的な画像として視認でき、さらに観察角度を傾けていくと、画像の色彩が変化して視認でき、一つの形成体において、異なる三つの画像が視認できる。
また、本発明の立体的効果を有する模様形成体は、立体的な画像を視認させるために二つの画像の位置をずらして形成しているが、二つの画像を刷り合わせる必要がなく、複数の画線の一部の位相及び画線幅を異ならせることで位置をずらして形成しているので、製造上の難易度が高くない。
本発明における模様形成体を示す。 本発明における第1の実施形態における模様形成体の構成の概要を示す。 第1の実施形態における模様形成体の三つの模様の積層構造を示す。 模様形成体を異なる観察条件で観察した場合の画像を示す。 第1の実施形態における第一の模様を示す。 第1の実施形態における第二の模様を示す。 第1の実施形態における第三の模様を示す。 第1の実施形態における第1の要素と第2の要素の積層関係を示す。 第1の実施形態における模様部と第三の模様の位置関係を示す。 第2の実施形態における模様形成体の構成の概要を示す。 第2の実施形態における模様形成体の三つの模様の積層構造を示す。 第2の実施形態における第一の模様の構成を示す。 第2の実施形態における第一の模様の別の構成を示す。 第一の模様の凹部の深度を示す。 第2の実施形態における第三の模様を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(第一の実施の形態)
図1に、本発明における立体的効果を有する模様形成体(以下、「形成体」という。)(1)を示す。形成体(1)は、基材(2)と異なる色を有する印刷画像(3)が、基材の少なくとも一部の領域である模様形成領域(4)に形成されて成る。なお、本発明において模様形成領域(4)は、基材(2)の表裏同じ領域を示すものである。基材(2)は、一般の印刷に用いられる上質紙やコート紙等、繊維により形成されており、後述する第1の要素(6)が形成可能な材質を有していれば、特に限定はない。また、図1に示すように、形成体(1)上には、印刷画像(3)以外にも、模様形成領域(4)以外の領域に、ロゴマークや料額等、他の文字、記号、数字等、様々な印刷がされていてもよい。
図2は、本発明の第1の実施形態における印刷画像(3)を説明するための分解図である。印刷画像(3)は、第一の模様(5)、第二の模様(7)及び第三の模様(9)により形成されている。第一の模様(5)は、第1の要素(6)が万線状に配列されて成り、第二の模様(7)は、第2の要素(8)が万線状に配列されて成り、第三の模様(9)は、第3の要素(10)により形成されている。また、第一の模様(5)と第三の模様(9)には、それぞれ模様の中心((13−1)と(13−2))がある。
印刷画像(3)を形成する第一の模様(5)、第二の模様(7)及び第三の模様(9)は、図3(a)に示すように、基材(2)の一方の面において、基材(2)自体に第一の模様(5)が形成され、その上に第二の模様(7)が積層され、基材(2)の他方の面に第三の模様(9)が形成されている。前述のとおり、模様形成領域(4)は、表裏同じ箇所を示すものであるため、基材(2)の一方の面に形成されている第一の模様(5)及び第二の模様(7)と、他方の面に形成されている第三の模様(9)は、同じ模様形成領域(4)に形成されている。
図3(b)は、図3(a)におけるX−X’断面図であり、基材(2)の一方の面側に対して、基材(2)自体に凸形状の第1の要素(6)により第一の模様(5)が形成され、その上に第2の要素(8)が万線状に配列され、基材(2)の他方の面側に第3の要素(6)が配置されている。それぞれの要素についての詳細は、後述する。
本発明の形成体(1)は、図4に示すように、観察角度を異ならせることで視認される画像が変化する。図4(a)のように、反射光下において基材(2)に対して真上から観察する(以下、「第1の観察角度」(E1)という。)と、印刷画像(3)は、第2の要素(8)の万線から成る第2の模様(7)として視認できる。また、図4(b)のように、透過光下において、基材(2)に対して垂直方向から観察(以下、「第2の観察角度」(E2)という。)すると、印刷画像(3)は、第2の要素(8)の万線から成る第2の模様(7)と、その中に第3の要素(9)から成る第3の模様(10)が視認できる。その透過光下の状態から、図4(c)のように、基材(2)を傾けて観察(以下、「第3の観察角度」(E3)という。)すると、印刷画像(3)が立体的に視認できる。さらにその位置から、図4(d)のように、基材(2)を傾けて観察(以下、「第4の観察角度」(E4)という。)すると、印刷画像(3)の色彩が変化して視認できる。
以下、各模様について詳細に説明する。はじめに、第一の模様(5)について説明する。本実施の形態では、図5(a)に示すように、第一の模様(5)は「桜の花」の模様である。この第一の模様(5)は、図5(a)の一部拡大図である図5(b)に示すように、基材(2)に、凹凸形状を施した凸部の第1の要素(6)が第1の色(所謂、基材(2)の色)で、規則的なピッチ(P)、第1の画線幅(W1)で万線状に複数配置されて成る。さらに、第一の模様(5)は、第1の要素(6)の一部において位相が異なる(ずれる)ことにより、模様部(11)と背景部(12)に区分けされ、位相のずれ量については、後述する第2の要素(8)の第2の画線幅(W2)に対して、W2/2より大きいことが好ましく、P/2に設計することが更に好ましい。この位相を異ならせて模様部(11)と背景部(12)を区分けすることにより、「桜の花」として形成している。
第1の要素(6)の画線同士のピッチ(P)は、80〜1000μmの範囲で形成する。この第1の要素(6)は、基材(2)自体にすき入れにより形成するため、ピッチ(P)が80μmより狭いと、製造上困難であり、また、この第1の要素(6)上に後から印刷により形成する第2の要素(8)との刷り合わせ精度の関係で好ましくい。1000μmより大きいと、形成する模様自体が大きくなってしまい、観察角度を変化させても模様に変化が生じない場合や、他の印刷模様に影響を及ぼすため、好ましくない。
また、第1の画線幅(W1)は、画線の上に形成する第2の要素(8)及び観察角度を変化させたときに模様が変化するように、ピッチ(P)に対して調整して形成される。模様部(11)と背景部(12)を区分けするためには、画線幅(W2)をピッチ(P)に対して1/2より小さくすることが好ましい。併せて、観察角度を変化させた際に模様の視認性を良くするためには、ピッチ(P)に対して1/5より大きくすることが好ましい。したがって、第1の要素(6)の第1の画線幅(W1)は、ピッチ(P)に対して1/5〜1/2の範囲となる。
例えば、第1の要素(6)のピッチ(P)が80μmの時の画線幅(W2)は、16〜40μmとなり、ピッチ(P)が1000μmのときの画線幅(W2)は、200〜500μmとなる。
また、図5(c)に示す第1の要素(6)の高さを示す凹部の深度(h)は、10〜100μmで形成される。深度(h)を10μmより浅くしても立体的に視認できないこともないが、視認できる視点の範囲が狭くなってしまうため、好ましくない。深度(h)を100μmより深くすることも可能ではあるが、基材(2)が必要以上に高くなってしまい、製造効率が悪くなってしまったり、本形成体(1)が製品として市場に流通した際に、時間経過に伴い、摩擦や各種の圧力により、深度(h)を維持することができなくなってしまい、視認状態が低下してしまったりするため好ましくない。
本発明は、形成体(1)を透過光下で観察するため、第一の模様(5)は、基材(2)よりも透過率が高く形成されている必要がある。第一の模様(5)は、基材(2)に凹凸形状を形成することにより、その中の凸部が第1の要素(6)となるが、複数配置されている第1の要素(6)の凸部同士の間の凹部は、基材(2)よりも透過率が高い必要がある。
第1の要素(6)の凸部と、その間に挟まれている透過率が基材(2)よりも高い凹部の凹凸形状を形成する方法としては、公知のすき入れやレーザー加工により基材(2)の一部を除去する方法がある。すき入れにより第1の要素(6)を形成する方法としては、すき入れを施すことが可能な公知の抄紙機を用いればよい。レーザー加工により基材(2)の一部を除去して第1の要素(6)を形成する方法としては、公知のレーザー装置を用いて、基材(2)に対してハーフカット(非貫通)により凹部を形成すればよい。なお、以下、第1の要素(6)はすき入れにより形成したものとして説明する。
次に、第二の模様(7)について図6を用いて説明する。第二の模様(7)は、第2の要素(8)が第1の要素(6)の第1の色とは異なる第2の色で、第1の要素(6)と同じピッチ(P)で、第1の要素(6)の第1の画線幅(W1)よりも細い第2の画線幅(W2)により万線状に複数配置されて成る。この第2の要素(8)を形成する第2の色の色彩が第3の観察角度(E3)及び第4の観察角度(E4)で観察される模様の色彩に影響するため、色材は、透明以外のインキが適しており、比較的インキ膜厚の薄いオフセット印刷やインクジェット印刷等、一般的な印刷方法を用いて形成する。
第2の要素(8)は、曲線、破線等の画線や画素の集合等で形成しても構わない。
ここで、第2の要素(8)に対する画線とは、印刷物における画像を形成する最小単位である印刷網点を、所定方向に隙間無く連続して配置することにより形成した画像要素であって、例えば、直線、曲線、波線、点線や破線等の分断線等が含まれ、画線の形状は如何なるものであってもよい。また画素とは、印刷物における画像を形成する最小単位である印刷網点を複数集合させて形成した一塊の画像要素であって、例えば、円、三角形、四角形等を含む多角形、星形等の各種図形、あるいは、文字や記号等が含まれ、濃淡の変化が面積率、即ち、点の大小により表現される網点形状であり、画素の形状は、如何なるものであってもよい。なお、以下の説明では、第2の要素(8)は直線で形成されているものとして説明する。
第2の要素(8)の画線同士のピッチ(P)は、前述した第1の要素(6)と略同一の80〜1000μmの範囲で形成する。これは、出現する模様を明瞭に形成させるために、凸形状の第1の要素(6)と同じピッチ(P)である必要がある、また、第2の画線幅(W2)は、10μmより太く、ピッチ(P)の9/10までの範囲とする必要がある。第1の要素(6)上に形成させなければならないことと、後述する第3の模様(9)を第2の観察角度(E2)から確認できなければならないためである。
次に、第三の模様(9)について説明する。図7に示すように、第三の模様(9)は、第二の模様(7)の第2の要素(8)を形成する第2の色と異なる第3の色を用い、曲線、破線等の画線や画素の集合による第3の要素(10)で形成する。第2の観察角度(E2)で観察した場合に、第三の模様(9)が観察できるように、第三の模様(9)上には、第一の模様(5)及び第二の模様(7)が積層されない領域(所謂、非画線部)が設けられていれば、第3の要素(10)の形状に限定は特にない。各模様との干渉によって第三の模様(9)が隠ぺいされないような形状を用いればよく、好ましくは、図7(b)のようなベタ模様や、図7(c)のような網点模様を用いれば干渉を考慮する必要は低い。第3の要素(10)の形成方法としては、比較的インキ膜厚の薄いオフセット印刷やインクジェット印刷等、一般的な印刷方法を用いればよい。
第三の模様(9)の形状は、第1の模様(5)によって表現されている有意味情報と同じ形状である必要がある。例えば、本実施の形態では、第一の模様(5)においては、第1の要素(6)の一部位相を異ならせることにより、模様部(11)と背景部(12)に区分けし、「桜の花」の有意味情報を表現している。したがって、第三の模様(9)も同じ「桜の花」の形状をしている。ただし、大きさについては、同じであっても異なっていてもよく、その詳細については、後述する。
次に、三つの模様の位置関係について説明する。まず、第1の要素(6)と第2の要素(8)の位置関係について、図8を用いて説明する。図8(a)に示すように、凸形状の第1の要素(6)の上に第2の要素(8)が形成されている。この第2の要素(8)は、前述したように、第1の要素(6)の第1の画線幅(W1)よりも狭い第2の画線幅(W2)を有しており、少なくとも第1の要素(6)の一方の斜面に載るように配置されている。好ましくは、一方の斜面のみに配置されることであるが、かなり繊細な刷り合わせ精度を要することとなるため、印刷時のアバレにより凸形状の頂上部や隣り合う凸形状同士の間の非画線部に跨っていてもよい。ただし、基材(2)を挟んで反対側の他方の面に形成されている第三の模様(9)を透過光下で視認するため、第1の要素(6)同士の間の非画線部については、他よりも透過率が高い領域となっていることから、第2の要素(8)によって完全に透過率の高い非画線部を塞いでしまわないことが必要である。
第1の要素(6)は、一部で位相を異ならせることにより、第一の模様(5)が模様部(11)と背景部(12)に区分けされているため、直線として形成されている第2の要素(8)は、図8(b)に示すように、例えば、模様部(11)を形成している第1の要素(6)の一方の斜面に配置されていても、背景部(12)を形成している第1の要素(6)においては、他方の斜面に配置されることとなる。これは、第1の要素(6)が1/2ピッチ(P)位相がずれているからである。
このような第1の要素(6)と第2の要素(8)の位置関係により、基材(2)に対して垂直となる第1の観察角度(E1)及び第2の観察角度(E2)では、第2の要素(8)が万線状に配列されている状態が視認でき、基材(2)を傾斜して観察すると、観察者の視点から見えることができる斜面に形成されている第2の要素(8)のみが視認でき、反対側の斜面に形成されている第2の要素(8)は、第1の要素(6)の凸形状が壁となって視認することができない。
次に、立体効果を得るための第一の模様(5)と第三の模様(9)の大きさ及び位置関係について図9を用いて説明する。透過光下において第2の観察角度(E2)から第4の観察角度(E4)まで傾けて観察するときに立体効果を得るためには、第2の観察角度(E2)で観察できる第三の模様と、第3の観察角度(E3)から出現する第一の模様(5)の模様部(11)との位置ずれが必須となる。この模様部(11)同士の位置ずれの距離を、本発明ではずれ量(L)という。ここでいう位置ずれとは、まず、図9(a)では、同一形状の模様が位置をずらして配置されている。これは、第1の模様(5)の模様部(11)の中心(13−1)と、第三の模様(9)の中心(13−2)が、一定の量のずれ量(L)分だけずれて配置されている。
また、図9(b)に示すように、大きさの異なる同一模様(本実施の形態では「桜の花」)が、それぞれの模様の中心(13−1及び13−2)を同じ位置になるように配置し、大きさの差が、そのままずれ量(L)となることでもよい。
ずれ量(L)については、模様部(11)の大きさや形状、更には第一の模様(6)の画線ピッチ(P)に依存する模様の解像度にもよるため、立体感を得るためには肉眼で模様のずれを認識できる必要があり、ずれ量(L)は、少なくとも前述した画線ピッチ(P)以上であることが望ましく、ずらす方向については、図9では一つの方向(S方向)で説明しているが立体効果を得たい方向にずらせばよく、特に限定はない。大きさについても同様に、少なくとも画線ピッチ(P)以上のずれ量(L)が生じるような倍率を選択すればよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態における印刷画像(3)を説明するための分解図である。第1の実施形態で印刷画像(3)を立体的に視認させるために第一の模様(5)の模様部(11)と第三の模様(9)との位置をずらして配置していたところを、本第2の実施形態は、第一の模様(5)内において、二つの模様をずらして配置するように形成したものである。
印刷画像(3)は、第一の模様(5)、第二の模様(7)及び第三の模様(9)により形成されている点は、第1の実施形態と同様である。第一の模様(5)は、第1の要素(8)が万線状に配列されて成り、第二の模様(7)は、第2の要素(8)が万線状に配列されて形成され、第三の模様(9)は、第3の要素(10)が模様形成領域(4)全体に形成されている。なお、第1の実施形態と同様の内容についての説明は、省略する。
印刷画像(3)を形成する第一の模様(5)、第二の模様(7)及び第三の模様(9)は、図11(a)に示すように、基材(2)の一方の面において、基材(2)自体に第一の模様(5)が形成され、その上に第二の模様(7)が積層され、基材(2)の他方の面に第三の模様(9)が形成されている。前述のとおり、模様形成領域(4)は、表裏同じ箇所を示すものであるため、基材(2)の一方の面に形成されている第一の模様(5)及び第二の模様(7)と、他方の面に形成されている第三の模様(9)は、同じ模様形成領域(4)に形成されている。
図11(b)は、図11(a)におけるX−X’断面図であり、基材(2)の一方の面側に対して、基材(2)自体に凸形状の第1の要素(6)により第一の模様(5)が形成され、その上に第2の要素(8)が万線状に配列され、基材(2)の他方の面側に第3の要素(6)が形成されている。
第2の実施形態における印刷画像(3)の観察状態は、第1の実施形態において図4を用いて説明した状態と同様であり、第1の観察角度(E1)、第2の観察角度(E2)、第3の観察角度(E3)及び第4の観察角度(E4)の四つの角度により異なる状態として視認できるものである。
第2の実施形態における第二の模様(7)は、第1の実施形態と同様のため、説明は省略する。
第2の実施形態における第一の模様(5)は、第1の要素(6)の画線幅、画線の位相及び/又は第1の要素(6)同士の間の凹部の深度を異ならせたことにより、背景部(12)、第1の模様部(11a)、第2の模様部(11b)、及び第1の模様部(11a)と第2の模様部(11b)が共有する共通領域(15)で形成されている。まず、画線幅(W)と画線の位相を異ならせて区分けした態様について図12を用いて説明する。
第1の模様部(11a)は、図12で示すと、他の部分よりも淡く見える「桜の花」を指し、背景部(12)を形成している第1aの要素(6−a)の第1aの画線幅(W1a)と、第1の模様部(11a)を形成している第1の要素(6−b)の第1bの画線幅(W1b)が異なることにより形成されている。また、第2の模様部(11b)は、形成体(1)を立体視した際に、主として「桜の花」を表現する部分で、図12で示すと、第1の模様部(11a)に対して若干ずれた位置に見える「桜の花」を指し、背景部(12)を形成している第1の要素(6−a)と第2の模様部(11b)を形成している第1の要素(6−c)との画線の位相が異なることで形成されている。
図12を見てわかるように、第1の模様部(11a)と第2の模様部(11b)は、共通した領域を有しており、その共通した領域を含めて、それぞれ第1の模様部(11a)と第2の模様部(11b)が形成されている。その第1の模様部(11a)及び第2の模様部(11b)を共通して形成している領域を共通領域(15)という。したがって、共通領域(15)を形成している第1の要素(6−d)は、第1の模様部(11a)を形成している第1の要素(6−b)と画線幅(W1b)は等しく、位相が異なっており、第2の模様部(11b)を形成している第1の要素(6−c)とは、画線幅が第1aの画線幅(W1a)と第1bの画線幅(W1b)とで異なり、位相は等しい。更に、背景部(12)を形成している第1の要素(6−a)とは、画線幅が第1aの画線幅(W1a)と第1bの画線幅(W1b)で異なり、併せて位相も異なっている。
なお、図12では、第1の模様部(11a)を形成している第1の要素(6−b)と共通領域(15)を形成している第1の要素(6−d)は、第2の模様部(11b)を形成している第1の要素(6−c)及び背景部(12)を形成している第1の要素(6−a)より線幅の細い第1bの画線幅(W1b)で形成しているが、これに限らず、どちらか一方が他方よりも画線幅が太い関係を有していればよい。画線幅をW1a>W1b、若しくはW1a<W1bの範囲で形成することで、第二の模様(7)に濃淡画像が形成され、第1の観察角度(E1)で観察した場合に観察できる模様を形成することができる。したがって、基材(2)上に第二の模様(7)の積層されていない、基材(2)の色の部分が模様として認識できる。
本発明の第2の実施形態における第1の要素(6−a、6−b、6−c及び6−d)のピッチ(P)については、前述した第1の実施形態と同様、80〜1000μmの範囲で形成し、画線幅は、ピッチ(P)の1/5〜1/2の範囲で形成する。この画線幅の範囲内において、前述したように、第1の模様部(11a)及び共通領域(15)か、第2の模様部(11b)及び背景部(12)のどちらか一方の画線幅が他方の画線幅よりも太い関係を有していればよい。
また、この第2の実施形態の別の態様として、図13を用いて説明する。第2の実施形態の別の態様も第一の模様(5)の構成が異なるものである。前述した第一の模様(5)は、第一の模様(5)内に、第1の模様部(11a)と第2の模様部(11b)を、第1の要素(6)の画線幅及び位相を異ならせることで形成したところであるが、図13では、画線幅(W)は全て等しいが、第1の要素(6)同士の間の凹部の深度を異ならせるものである。なお、第1の要素(6)の位相は、図12を用いて説明した態様と同様、異なっている。
第一の模様(5)は、基材(2)に対して凹凸形状により形成されているものであり、その中の凸部は、第1の要素(6)となり、基材(2)を傾けた際に、第2の要素(7)を隠ぺいするための壁となる役割を担っているが、その凸部同士の間に挟まれている凹部は、透過光下において、他方の面に形成されている第三の模様(9)を視認可能とするため、基材(2)よりも透過率が高く形成されている。したがって、基材(2)に対して、第1の深度(h1)を有しており、この第1の深度(h1)を有しているのが背景部(12)である。
図13に示すように、背景部(12)と第1の模様部(11a)は、画線幅(W)は等しいので、平面的に見ると区分けすることができないが、断面を見てみると、第1の要素(6)の凸部に挟まれた凹部の深度が異なっている。前述のとおり、背景部(12)は、第一の模様(5)以外の領域の基材(2)とは深度が異なる第1の深度(h1)を有しているが、この背景部(12)と第1の模様部(11a)とを区分けするため、さらに第1の模様部(11a)を形成する凹部は、第1の深度(h1)より深い第2の深度(h2)を有して成る。したがって、第1の深度(h1)を有している背景部(12)より、第2の深度(h2)を有している第1の模様部(11a)の方が透過率は高い領域となる。
第2の模様部(11b)は、背景部(12)と同じ第1の深度(h1)を有して成り、第1の要素(6)の位相が異なることにより、背景部(12)と第2の模様部(11b)とに区分けされる。
本態様も、第1の模様部(11a)と第2の模様部(11b)は、共通する領域の共通領域(15)を有している。共通領域(15)は、第1の模様部(11a)と深度が等しい第2の深度(h2)を有して成り、第2の模様部(11b)とは、第1の要素(6)の位相が等しくなっている。したがって、第2の深度(h2)を有して成る共通領域(15)を含む第1の模様部(11a)は、第一の模様(5)内では最も透過率が高いことによって、透過光下において他方の面に形成されている第三の模様(9)が視認できることとなる。
第1の深度(h1)は、第1の要素(6)に対して10〜100μmの範囲で形成することが好ましいが、第2の深度(h2)は、第1の要素(6)に対して10〜100μmの範囲の中で、第1の深度(h1)よりも深く形成されれば、特に限定はない。したがって、第1の要素(6)に対して、10〜100μmの範囲の中で第1の深度(h1)及び第2の深度(h2)を形成することとなるため、両方の深度のバランスを考慮した設計が必要となる。
また、凹部における第1の深度(h1)と第2の深度(h2)については、図14(a)に示すように、凹部全体の深度が異なる形状でもよいが、図14(b)に示すように、第1の深度(h1)で形成されている凹部に、更に深度の異なる第2の深度(h2)の凹部要素(14)を所定の形状で形成してもよい。図14(b)では、第1の深度(h1)で形成してある凹部に、更に円形の凹部要素(14)が形成されて第2の深度(h2)となっている。なお、この凹部要素(14)は、円形に限定されるものではなく、楕円形、多角形、文字、記号等、深度を形成可能であれば、特に限定はない。
次に、立体効果が得られるために必要な各部の位置関係について説明する。第2の観察角度(E2)で観察可能な画像は、模様部(11)となる。第3の観察角度(E3)から出現する画像は、模様部(11)と陰影部(14)となる。これらの位置関係は、第一の実施形態と同様である。また、第4の観察角度(E4)から出現する画像は、第2の観察角度(E2)で視認された色とは異なる色の模様部(11)である。
最後に第三の模様(9)について説明する。前述したように、本第2の実施形態では、第一の模様(5)内において、第1の要素(6)の位相を異ならせて立体感のある第一の模様を形成しているため、第1の実施形態にように、第三の模様(9)が第一の模様(5)内の有意味情報と同一形状となっていなければならないという制限はなく、第1の色及び第2の色と異なる第3の色を有すればよい。
図15(a)に示すように、第三の模様(9)は、模様形成領域(4)内全面に形成され、第三の模様(9)上には、基材(2)を挟んで第一の模様(5)及び第二の模様(7)が積層されていることとなるが、第1の実施形態同様、第一の模様(5)を形成している第1の要素(6)の非画線部及び第二の模様(7)を形成している第2の要素(8)の非画線部が第3の要素(10)上に設けられるような構成となっていればよい。したがって、図15(b)に示すように、ベタ模様又は図15(c)に示すように、網点模様により形成する。
第三の模様(9)を形成する方法については、第1の実施形態と同様、比較的インキ膜厚の薄いオフセット印刷やインクジェット印刷等、一般的な印刷方法を用いればよく、特に限定はない。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した本発明の形成体(1)の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本発明における第1の実施形態に伴う立体的効果を有する模様形成体(1)を、以下の通り作製した。
基材(2)は、坪量73g/m2、紙厚85μmとし、公知の長網抄紙機を用いて形成した。また、基材(2)の色は、不透明度を80%(JIS−P8149)にするため顔料及び添量を適宜加えて卵黄色とした。なお、透過率を測定する指標として、本実施例では基材(2)の不透明度を用いることとした。
凸形状の第1の要素(6)は、公知の長網抄紙機を用いて基材(2)を製造する工程において、公知のすき入れ方法により、形成した。第1の要素(6)の第1の画線幅(W1)は200μm、画線同士のピッチ(P)は500μmとした。また、模様部(11)と背景部(12)の区分けをするための位相のずれについては、ピッチ(P)の半分の250μmとした。
第1の要素(6)同士の間の非画線部に該当する箇所については、すき入れにより他の箇所よりも透過率が高くなっているところであり、不透明度を測定したところ60%となっていた。
第一の模様(5)内には模様部(11)として「桜の花」の有意味情報を形成し、第三の模様(9)も同じ「桜の花」の模様とした。この第1の模様(5)の模様部(11)と第三の模様(9)とのずれ量(L)は1000μmとした。
第3の要素(9)は、オフセット印刷において、プロセスマゼンタインキ(T&K TOKA製「UV Lカートン紅」)を用いて形成した。
第二の模様(7)を形成するための第2の要素(8)は、オフセット印刷でプロセスシアンインキ(T&K TOKA製「UV Lカートン藍」)を用いて、画線同士のピッチ(P)は第1の要素(6)と同様のピッチ(P)の500μmとし、画線幅(W2)は150μmの直万線として、凸形状の第1の要素(6)の斜面に載るように印刷した。
本実施例1の形成体(1)を反射光下における第1の観察角度(E1)から観察すると、シアン色の万線模様のみが視認できた。
次に、観察者の視点から基材(2)を挟んで光源に向かって透過光下で観察した。まず、基材(2)に対して垂直方向の第2の観察角度(E2)から観察すると、シアン色の万線模様の中にマゼンタ色の「桜の花」の模様が視認でき、その位置から基材(2)を傾斜させていくと、シアン色の「桜の花」とマゼンタ色及びシアン色が混ざった紫色の「桜の花」の陰影が観察され、立体効果を有する形成体を得られた。
本発明における第2の実施形態に伴う立体的効果を有する模様形成体(1)を、以下の通り作製した。
基材(2)については、実施例1と同様であり、坪量73g/m2、紙厚85μmとし、公知の長網抄紙機を用いて形成した。また、基材(2)の色は、不透明度を80%(JIS−P8149)にするため顔料及び添量を適宜加えて卵黄色とした。なお、透過率を測定する指標として、本実施例では基材(2)の不透明度を用いることとした。
凸形状の第1の要素(6)は、公知の長網抄紙機を用いて基材(2)を製造する工程において、公知のすき入れ方法により、形成した。第1の要素(6)の画線同士のピッチ(P)は500μmとした。第一の模様(5)も実施例1と同様「桜の花」とした。背景部(12)及び陰影部(14)の第1の要素(6−a)の第1aの画線幅(W1a)は250μm、模様部(11)及び共通部(15)の第1bの画線幅(W1b)は、背景部(12)及び陰影部(14)よりも細い100μmとし、画線幅の差により模様部(11)を形成した。
また、模様部(11)を形成している第1の要素(6−b)と共通部(15)を形成している第1の要素(6−d)の画線の位相のずれ、及び背景部(12)を形成している第1の要素(6−a)と共通部(14)を形成している第1の要素(6−c)の画線のずれは、共に250μmとした。
第一の模様(5)内において、模様部(11)と陰影部(14)は同じ大きさで、模様のずれ量(L)については1000μmとした。
第1の要素(6)同士の間の非画線部に該当する箇所については、すき入れにより他の箇所よりも透過率が高くなっているところであり、不透明度を測定したところ60%となっていた。
すき入れにより形成した第1の要素(6)上に、第二の模様(7)を形成するための第2の要素(8)を、オフセット印刷でプロセスシアンインキ(T&K TOKA製「UV Lカートン藍」)を用いて、画線ピッチ(P)を500μm、画線幅(W2)を150μmの直万線として形成した。
さらに、基材(2)に対して、第二の模様(7)が形成されていない面に、第一の模様(5)及び第二の模様(7)が形成されている模様形成領域(4)全面に対して、第三の模様(9)を、オフセット印刷において、プロセスマゼンタインキ(T&K TOKA製「UV Lカートン紅」)を用いて形成した。
本実施例2の形成体(1)を反射光下における第1の観察角度(E1)から観察すると、シアン色の万線模様のみが視認できた。
次に、観察者の視点から基材(2)を挟んで光源に向かって透過光下で観察した。まず、基材(2)に対して垂直方向の第2の観察角度(E2)から観察すると、シアン色の万線模様の中にマゼンタ色の「桜の花」の模様が視認でき、その位置から基材(2)を傾斜させていくと、シアン色の「桜の花」とマゼンタ色及びシアン色が混ざった紫色の「桜の花」の陰影が観察され、立体効果を有する形成体を得られた。
1 模様形成体
2 基材
3 模様形成領域
4 印刷模様
5 第一の模様
6 第1の要素
7 第二の模様
8 第2の要素
9 第三の模様
10 第3の要素
11 模様部
11a 第1の模様部
11b 第2の模様部
12 背景部
13 中心
15 共通領域
E1 第1の観察角度
E2 第2の観察角度
E3 第3の観察角度
E4 第3の観察角度
W1 第1の画線幅
W2 第2の画線幅
h 深度

Claims (11)

  1. 第1の色を有する紙基材の少なくとも一部に模様形成領域を有し、
    前記模様形成領域には、前記基材の一方の面に、前記基材から第一の模様及び第二の模様が順に積層され、他方の面に第三の模様が印刷されて、前記第一の模様、前記第二の模様及び前記第三の模様により印刷画像が形成され、
    前記第一の模様は、前記基材に凸形状の第1の要素が万線状に配置され、かつ、前記第1の要素同士の間の凹部が前記基材よりも透過率が高く、前記第1の要素の一部の位相が異なることで模様部と背景部に区分けされ、
    前記第二の模様は、前記第1の色と異なる第2の色の第2の要素が万線状に配列され、かつ、前記第2の要素は、前記第1の要素上に前記第1の要素と同じピッチで配置され、
    前記第三の模様は、前記第一の模様の模様部と形状が等しく、かつ、前記第1の色及び前記第2の色と異なる第3の色の第3の要素から成り、
    前記模様部と前記第三の模様は、重畳して共有する共通領域を有し、かつ、所定のずれ量を有して配置され、
    前記基材の一方の面を透過光下において前記基材に対して垂直方向から観察すると、前記第1の色、前記第2の色及び前記第3の色が混色した色の前記印刷画像が視認され、その位置から傾けて観察すると、前記印刷画像が立体的に視認され、更にその位置から傾けて観察すると、前記第2の色の前記印刷画像が視認できることを特徴とする立体的効果を有する模様形成体。
  2. 前記模様部と前記第三の模様が同じ大きさで、各々の中心がずれて配置されていることを特徴とする請求項1記載の立体的効果を有する模様形成体。
  3. 前記模様部は、前記第三の模様よりも相対的に大きく、かつ、前記第三の模様を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1記載の立体的効果を有する模様形成体。
  4. 第1の色を有する紙基材の少なくとも一部に模様形成領域を有し、
    前記模様形成領域には、前記基材の一方の面に、前記基材から第一の模様及び第二の模様が順に積層され、他方の面に第三の模様が印刷されて、前記第一の模様、前記第二の模様及び前記第三の模様により印刷画像が形成され、
    前記第一の模様は、前記基材に凸形状の第1の要素が万線状に配置され、かつ、前記第1の要素同士の間の凹部が前記基材よりも透過率が高く、複数の前記第1の要素の画線幅、位相及び前記凹部の深度の少なくとも一つが異なることで第1の模様部、第2の模様部及び背景部に区分けされ、
    前記第1の模様部及び前記第2の模様部は、同じ形状で一部共有する共通領域を有し、かつ、所定のずれ量を有して配置され、
    前記第二の模様は、第2の色の第2の要素が万線状に配置され、かつ、前記第1の要素上に前記第1の要素と同じピッチで配置され、
    前記第三の模様は、前記第1の色及び前記第2の色と異なる第3の色の第3の要素により形成され、
    前記基材の一方の面を透過光下において前記基材に対して垂直方向から観察すると、前記第1の色、前記第2の色及び前記第3の色が混色した色の前記印刷画像が視認され、その位置から傾けて観察すると、前記印刷画像が立体的に視認され、更にその位置から傾けて観察すると、前記第2の色の前記印刷画像が視認できることを特徴とする立体的効果を有する模様形成体。
  5. 一つの前記第1の要素において、画線幅及び/又は位相が異なることを特徴とする請求項4記載の立体的効果を有する模様形成体。
  6. 二つの前記第1の要素同士の間の前記凹部において、深度が異なることを特徴とする請求項4記載の立体的効果を有する模様形成体。
  7. 前記第1の模様部と前記第2の模様部が同じ大きさ、かつ、各々の中心がずれて配置されていることを特徴とする請求項4乃至6記載のいずれか1項記載の立体的効果を有する模様形成体。
  8. 前記第1の模様部は、前記第2の模様部よりも相対的に大きく、かつ、前記第2の模様部を囲むように配置されていることを特徴とする請求項4乃至6記載のいずれか1項記載の立体的効果を有する模様形成体。
  9. 前記背景部は、第1aの画線幅の前記第1aの要素から成り、
    前記共通領域は、前記第1aの画線幅とは異なる第1bの画線幅で、前記背景部を形成している前記第1aの要素とは異なる位相の第1dの要素から成り
    前記共通領域を除く前記第1の模様部は、前記第1bの画線幅で、前記共通領域を形成している前記第1dの要素とは異なる位相の前記第1bの要素から成り、
    前記共通領域を除く前記第2の模様部は、前記第1aの画線幅で、前記背景部を形成している前記第1aの要素とは異なる位相の第1cの要素から成ることを特徴とする請求項4乃至8記載のいずれか1項記載の立体的効果を有する模様形成体。
  10. 前記背景部は、前記第1の要素同士の間の凹部が第1の深度から成り、
    前記共通領域は、前記第1の要素同士の間の凹部が前記第1の深度より深い第2の深度で、前記第1の要素が前記背景部を形成している前記第1の要素とは位相が異なり、
    前記共通領域を除く前記第1の模様部は、前記第1の要素同士の間の凹部が前記第2の深度で、前記第1の要素が前記背景部を形成している前記第1の要素と同じ位相に配置され、
    前記共通領域を除く前記第2の模様部は、前記第1の要素同士の間の凹部が前記第1の深度で、前記第1の要素が前記共通領域を形成している前記第1の要素と同じ位相に配置されて成ることを特徴とする請求項4乃至8記載のいずれか1項記載の立体的効果を有する模様形成体。
  11. 前記第一の模様がすき入れにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の立体的効果を有する模様形成体。
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