JP6142091B2 - 複合フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、有機ELデバイス等に用いられる複合フィルムに関する。
有機EL(Electro Luminescence(エレクトロルミネッセンス))材料を用いた有機ELデバイス(OLEDデバイス)が、ディスプレイや照明装置等に利用されている。
この有機ELデバイスに利用される有機EL材料は、非常に水分に弱い。そのため、有機EL装置では、金属板、ガラス板あるいはガスバリアフィルム等の水蒸気透過率の低い封止部材を接着して有機EL素子を封止することが行われている。このような封止部材を用いて有機EL素子を封止する場合には、封止部材を有機EL装置に貼着するために接着剤が用いられる。
そのため、封止部材に接着剤層を積層した形態での供給が行われており、また、接着剤層の劣化を防止するため、接着剤層に剥離可能な離型フィルムを貼着して供給することが行われている。
例えば、特許文献1には、ガスバリアフィルムの一方の面上に光硬化性接着剤層を有し、この光硬化性接着剤層の上に保護フィルムを積層してなるフィルム複合体が記載されており、このフィルム複合体を用いて電子素子を封止する際に、保護フィルムを剥離して、電子素子に積層することが記載されている。
特開2011−56775号公報
ここで、水蒸気透過率の低い封止部材を用いて有機EL素子を封止した場合でも、有機EL素子と封止部材との間に積層される接着剤層に水分が含まれていると、接着剤層に起因する水分で有機EL材料が劣化するおそれがある。そのため、有機EL素子の封止に用いられる封止部材の接着剤層には含水率が低いことが求められる。
しかしながら、従来の封止部材としてのフィルム複合体においては、離型フィルムのガスバリア性については考慮されていない。そのため、離型フィルムが水蒸気を通してしまうと、接着剤層が空気中の水分を吸って含水してしまうおそれがある。
そのため、接着剤層に含まれる水分に起因して有機EL材料が劣化するという問題があった。
これを防止するために、離型フィルムにガスバリア性を付与することが考えられるが、一般に、使用後の離型フィルムは廃棄されるものであるため、大幅なコスト増を招いてしまうという問題がある。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、コストの増加を招くことなく、接着剤層の含水を防止することができ、有機EL装置の封止に用いられた際に、有機EL素子を長期間安定して保護して素子が劣化することを防止できる複合フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、防湿フィルムと粘着層とを積層してなる封止積層体を、粘着層を内側にして離型フィルムの両面に積層することにより、両外面側に配置される防湿フィルムにより、空気中の水分が粘着層に到達するのを防止して粘着層の含水を防止し、これにより、有機EL装置の封止に用いられた際に、有機EL素子を長期間安定して保護して素子が劣化することを防止でき、また、離型フィルムの両側に積層される封止積層体がそれぞれ有機EL装置の封止に用いることができ、離型フィルムのみを廃棄すればよいので、コストの増加も防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成の複合フィルムを提供する。
(1) 第1の防湿フィルムと、第1の粘着層と、離型フィルムと、第2の粘着層と、第2の防湿フィルムとをこの順に積層されてなる複合フィルム。
(2) 第1の粘着層および第2の粘着層が吸水能力を有する(1)に記載の複合フィルム。
(3) 第1の粘着層および第2の粘着層の吸水能力が、0.5wt%以上である(2)に記載の複合フィルム。
(4) 第1の粘着層および第2の粘着層の含水率が、200ppm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の複合フィルム。
(5) 第1の防湿フィルムおよび第2の防湿フィルムの水蒸気透過率が、1×10-3[g/(m2・day)]以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の複合フィルム。
(6) 第1の防湿フィルムおよび第2の防湿フィルムが、少なくともガスバリア基材と、平滑層と、バリア層とを有してなるガスバリアフィルムである(1)〜(5)のいずれかに記載の複合フィルム。
(7) バリア層が酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくとも1つからなる(6)に記載の複合フィルム。
(8) 離型フィルムが、フィルム基材と、フィルム基材の両側の表面に形成された離型層とを有してなる(1)〜(7)のいずれかに記載の複合フィルム。
このような本発明によれば、コストの増加を招くことなく、粘着層の含水を防止し、これにより、有機EL装置の封止に用いられた際に、有機EL素子を長期間安定して保護して素子が劣化することを防止できる複合フィルムを提供することができる。
本発明の複合フィルムの一例を概念的に示す断面図である。 複合フィルムに用いられるガスバリアフィルムの一例を概念的に示す断面図である。 図1に示す複合フィルムの封止積層体を有機EL装置に使用した構成の一例を示す概略断面図である。 従来の複合フィルムの一例の概略断面図である。
以下、本発明の複合フィルムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の複合フィルムの一例を、概念的に示す。
図1に示す複合フィルム10は、第1のガスバリアフィルム22aと、第1の粘着層20aと、離型フィルム12と、第2の粘着層20bと、第2のガスバリアフィルム22bとをこの順に積層してなる構成を有する。
また、第1のガスバリアフィルム22aと第1の粘着層20aとは、第1の封止積層体14aを構成するものであり、第2のガスバリアフィルム22bと第2の粘着層20bとは、第2の封止積層体14bを構成するものである。第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14bがそれぞれ、離型フィルム12から剥離されて、有機EL素子の封止に用いられる。
本発明の複合フィルム10は、このように、離型フィルム12の両面それぞれに、ガスバリアフィルムと粘着層との積層体である封止積層体を、粘着層を内側にして貼着した構成を有する。
そのため、離型フィルム12の両側に貼着される第1の粘着層20aおよび第2の粘着層20bは、第1のガスバリアフィルム22aおよび第2のガスバリアフィルム22bに挟まれているので、空気中の水分が第1の粘着層20aおよび第2の粘着層20bに到達するのを抑制することができ、粘着層の含水を防止できる。
また、第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14b共に、離型フィルム12から剥離して有機EL装置の封止に用いることができる。従って、使用後に廃棄されるのは、離型フィルム12のみであるので、コストの増加を防止できる。
なお、図1に示す複合フィルム10は、第1のガスバリアフィルム22aと、第1の粘着層20aと、離型フィルム12と、第2の粘着層20bと、第2のガスバリアフィルム22bとの5層を積層した構成としたが、本発明の複合フィルム10はこれに限定はされず、他の層を有していてもよい。例えば、ハードコート層、光学補償層、透明導電層等を有していてもよい。
以下、本発明の複合フィルムを構成する各層について詳細に説明する。
離型フィルム12は、その両面が、第1の粘着層20aおよび第2の粘着層20bに剥離可能に貼着されるものである。すなわち、粘着層との間に適度な粘着性を示すフィルム状の部材である。
離型フィルム12としては特に限定はなく、封止積層体の離型フィルムとして用いられる種々の公知の離型フィルムが利用可能である。
具体的には、離型フィルム12は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリトニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、環状オレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)などのフィルムが各種利用可能である。
また、離型フィルム12は、樹脂フィルムからなる基材の表面に離型層を有する構成としても良い。基材の表面に離型層を形成することで、粘着層との間の粘着力を剥離可能な程度の適度な粘着性に調整することができる。
離型層の材料としてはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンビニルアセテート等が利用可能である。
離型フィルム12の厚さには特に限定はないが、離型フィルム12を介しての粘着層への水分の浸入の防止、ラミネートの容易性等の観点から、5μm〜100μmであるのが好ましい。
第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14bはそれぞれ、離型フィルム12に剥離可能に貼着されるものである。図1に示すように、第1の封止積層体14aが離型フィルム12の一方の主面に貼着され、第2の封止積層体14bが離型フィルム12の他方の主面に貼着される。
前述のとおり、第1の封止積層体14aは、第1のガスバリアフィルム22aと第1の粘着層20aとを積層してなるものであり、第2の封止積層体14bは、第2のガスバリアフィルム22bと第2の粘着層20bとを積層してなるものである。また、第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14bはそれぞれ、第1の粘着層20aおよび第2の粘着層20bが、離型フィルム12に貼着されている。
従って、第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14bは、第1のガスバリアフィルム22aおよび第2のガスバリアフィルム22bがそれぞれ外側に配置されるように、離型フィルム12に貼着されている。
なお、両封止積層体は、配置位置、および、表裏の向きが異なるのみで、構成は同じであるので、以下の説明においては、第1の封止積層体14aおよび第2の封止積層体14bを区別する必要がない場合には、両封止積層体をまとめて、封止積層体14ともいう。同様に、第1のガスバリアフィルム22aおよび第2のガスバリアフィルム22bをまとめて、ガスバリアフィルム22ともいう。同様に、第1の粘着層20aおよび第2の粘着層20bをまとめて、粘着層20ともいう。
ガスバリアフィルム22は、本発明における防湿フィルムであり、ガスバリア性を有する部材である。すなわち、ガスバリアフィルム22は、封止積層体14として有機EL素子を封止する際に、主に外部からの水分の浸入を抑制する部位である。また、本発明の複合フィルム10の形態においては、ガスバリアフィルム22は、粘着層20に空気中の水分が到達するのを抑制して、粘着層20の含水を防止するものである。
ここで、ガスバリアフィルム22は、水蒸気透過率が1×10-3[g/(m2・day)]以下であるのが好ましい。
水蒸気透過率が低い、すなわち、ガスバリア性が高いガスバリアフィルム22用いることで、粘着層20への水分の浸入を防止して粘着層20の含水をより好適に防止することができる。
ここで、ガスバリアフィルム22は、ガスバリア基材の上に、少なくとも1層の平滑層と、少なくとも1層のバリア層を有するものが好適に用いられる。
図2にガスバリアフィルム22の構成の一例を表す概略断面図を示す。
図2に示すガスバリアフィルム22は、ガスバリア基材26の上に平滑層27を有し、この平滑層27の上にバリア層28を有するものである。
なお、ガスバリアフィルム22は、ガスバリア基材26の上に、バリア層28と、このバリア層28の下地となる平滑層27との組み合わせを1つ以上有するのが好ましい。従って、ガスバリアフィルム22は、バリア層28と下地の平滑層27との組み合わせを2つ有するものでもよく、あるいは、3つ以上、有するものでもよい。
なお、平滑層27は、バリア層28を適正に形成するための下地層として作用するものであり、下地の平滑層27とバリア層28との組み合わせの積層数が多いほど、優れたガスバリア性を有するガスバリアフィルムを得られる。
また、ガスバリアフィルム22は、最表面がバリア層28であるのが好ましく、バリア層28側に粘着層20が積層されるのが好ましい。
ガスバリアフィルム22の最表面をバリア層28とすることにより、ガスバリア基材26や平滑層27からアウトガスが放出されても、このアウトガスはバリア層28で遮蔽され、粘着層20や有機EL素子に至ることを防止できる。
ガスバリアフィルム22のガスバリア基材26としては、公知のガスバリアフィルムで支持体として用いられているものが、各種、利用可能である。
中でも、薄手化や軽量化が容易である、有機EL装置のフレキシブル化に好適である等の点で、各種のプラスチック(高分子材料/樹脂材料)からなるフィルムが好適に利用される。
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリトニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、環状オレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)からなるプラスチックフィルムが、好適に例示される。
ガスバリア基材26の厚さは、有機EL装置の用途や大きさによって、適宜、設定すればよい。ここで、本発明者の検討によれば、ガスバリア基材26の厚さは、10μm〜200μm程度が好ましい。ガスバリア基材26の厚さを、この範囲にすることにより、有機EL装置の軽量化や薄手化、等の点で、好ましい結果を得る。
なお、ガスバリア基材26は、このようなプラスチックフィルムの表面に、反射防止や位相差制御、光取り出し効率向上等の機能が付与されていてもよい。
平滑層27は、ガスバリアフィルム22において主にガスバリア性を発現するバリア層28の下地層となるものである。
平滑層27は、公知のガスバリアフィルムで平滑層27として用いられているものが、各種、利用可能である。例えば、平滑層27は、有機化合物を主成分とする膜で、基本的に、モノマーおよび/またはオリゴマを、架橋して形成されるものが利用できる。
ガスバリアフィルム22は、この下地となる平滑層27を有することにより、この平滑層27が、バリア層28のクッションとしても作用する。そのため、封止積層体14を有機EL素子に接着する際の押圧時や、封止積層体14が外部から衝撃を受けた場合などに、この平滑層27のクッション効果によって、バリア層28の損傷を防止できる。
これにより、封止積層体14において、ガスバリアフィルム22が適正にガスバリア性能を発現して、水分による粘着層20の劣化、ならびに、水分による有機EL素子の劣化を、好適に防止できる。
また、ガスバリアフィルム22は、バリア層28の下地となる平滑層27を有することにより、ガスバリア基材26の表面の凹凸や、表面に付着している異物等を包埋して、バリア層28の成膜面を適正にできる。その結果、成膜面の全面に、隙間無く、割れやヒビ等の無い適正なバリア層28を成膜できる。これにより、水蒸気透過率が1×10-3[g/(m2・day)]以下となるような、高いガスバリア性能を得ることができる。
ガスバリアフィルム22において、平滑層27の形成材料としては、各種の有機化合物(樹脂/高分子化合物)が、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも、ガラス転移温度や強度に優れる等の点で、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物の重合物から構成された平滑層27は、好適である。
中でも特に、上記強度に加え、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマーやオリゴマの重合体を主成分とする、ガラス転移温度が120℃以上のアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、平滑層27として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマーやオリゴマの重合体を主成分とする、アクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
平滑層27を、このようなアクリル樹脂やメタクリル樹脂で形成することにより、骨格がしっかりした下地の上にバリア層28を成膜できるので、より緻密でガスバリア性が高いバリア層28を成膜できる。
平滑層27の厚さは、0.5μm〜5μmが好ましい。
平滑層27の厚さを0.5μm以上とすることにより、有機EL装置に封止積層体14とを接着する際の押圧時などにおける、クッションとしての効果を十分に発揮して、バリア層28の損傷を、より確実に防止できる。また、平滑層27の厚さを1μm以上とすることにより、より好適にバリア層28の成膜面を適正にして、割れやヒビ等の無い適正なバリア層28を、成膜面の全面に渡って成膜できる。
また、平滑層27の厚さを5μm以下とすることにより、平滑層27が厚すぎることに起因する、平滑層27のクラックや、ガスバリアフィルム22のカール等の問題の発生を、好適に防止することができる。
以上の点を考慮すると、平滑層27の厚さは、1μm〜5μmとするのが、より好ましい。
なお、ガスバリアフィルムが、複数の平滑層27を有する場合には、各平滑層の厚さは、同じでも、互いに異なってもよい。
また、複数の平滑層27を有する場合には、各平滑層27の形成材料は、同じでも異なってもよい。しかしながら、生産性等の点からは、全ての平滑層27を、同じ材料で形成するのが好ましい。
平滑層27は、塗布法やフラッシュ蒸着等の公知の方法で成膜すればよい。
また、平滑層27の下層となるバリア層28との密着性を向上するために、平滑層27は、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。
平滑層27の上には、この平滑層27を下地として、バリア層28が成膜される。
バリア層28は、無機化合物を主成分とする膜で、ガスバリアフィルム22において、ガスバリア性を主に発現するものである。
バリア層28としては、ガスバリア性を発現する、酸化物、窒化物、酸窒化物等の無機化合物からなる膜が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。
特に、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸窒化物およびケイ素酸化物等のケイ素化合物からなる膜は、好適に例示される。その中でも特に、窒化ケイ素からなる膜は、より優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に例示される。
なお、ガスバリアフィルムが複数のバリア層28を有する場合には、バリア層28の形成材料は、互いに異なってもよい。しかしながら、生産性等を考慮すれば、全てのバリア層28を、同じ材料で形成するのが好ましい。
バリア層28の厚さは、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。なお、本発明者の検討によれば、バリア層28の厚さは、10〜200nmとするのが好ましい。
バリア層28の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現するバリア層28が形成できる。また、バリア層28は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、バリア層28の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
また、このような点を考慮すると、バリア層28の厚さは、10nm〜100nmにするのが好ましく、特に、15nm〜75nmとするのが好ましい。
なお、ガスバリアフィルムが複数のバリア層28を有する場合には、各バリア層28の厚さは、同じでも異なってもよい。
バリア層28は、形成材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。具体的には、CCP−CVDやICP−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着など、気相堆積法が好適に例示される。
次に、粘着層20について説明する。
粘着層20は、ガスバリアフィルム22に積層され、封止積層体14として有機EL素子を封止する際の接着層となる接着性を備える構成要素である。また、本発明の複合フィルム10においては、粘着層20は、離型フィルム12に剥離可能に貼着される部位である。
粘着層20と離型フィルム12との粘着力は、粘着層20と離型フィルム12とが剥離可能で、かつ、搬送の際やロール状に巻取る際などに意図せず剥離しない粘着力であれば、特に限定はない。
また、粘着層20と有機EL装置等の被封止部材の貼着面との粘着力は、封止積層体14と有機EL装置とが十分に接着される粘着力であれば特に限定はない。
粘着層20は、含水率が、質量比で200ppm以下であるのが好ましい。
粘着層20の含水率を200ppm以下とすることにより、封止積層体14として有機EL素子を封止した際に、粘着層20中に含まれる水分に起因して、有機EL素子が劣化するのを防止することができる。
また、本発明の複合フィルム10の形態においては、両外面側に積層されるガスバリアフィルム22により、保管中などに空気中の水分が粘着層20に到達するのを抑制することができるので、粘着層の含水率が高くなるのを抑制して、200ppm以下の低い含水率を維持することができる。
また、粘着層20は、吸水能力を備えることが好ましい。具体的には、粘着層20の吸水能力は、質量比で1wt%以上であるのが好ましい。
粘着層20が吸水能力を備えることにより、封止積層体14として有機EL素子を封止した際に、封止積層体14の端面やガスバリアフィルム22の欠陥等から浸入する水分を吸収して、有機EL素子の水分による劣化をより好適に防止できる。
また、本発明の複合フィルム10の形態においては、両外面側に積層されるガスバリアフィルム22により、保管中などに空気中の水分が粘着層20に到達するのを抑制することができるので、複合フィルム10の形態時には、粘着層20が吸水することを抑制して、封止積層体14として有機EL素子を封止した後に、吸水能力を十分に発揮することが可能となる。
ここで、本発明において、含水率とは、膨潤により粘着層20中に含まれる水分の質量比の値である。膨潤により含まれる水分は加熱等により乾燥させることができる。すなわち、含水率とは、粘着層20中に可逆的に含まれる水分の比率である。
一方、吸水能力とは、化学的結合により粘着層20中に吸水することができる水分の質量比の値である。化学的結合により含まれる水分は、基本的には加熱によって除去することができない。すなわち、吸水能力とは、粘着層20中に不可逆的に包含することができる水分量の質量比の値である。
なお、本発明において、含水率および吸水能力の値は、以下の測定方法により計測される。
まず、粘着層20から、サンプル片をグローブボックス内で切り出し、秤量する。このときのサンプル片の質量をx(g)とする。このサンプル片をグローブボックスから出した直後にカールフィッシャー法で測定した水分量を、サンプルの含水率とする。
次に、同様にグローブボックスで切り出し、秤量を行ったサンプル片をグローブボックスから取り出し、温度25℃、湿度50%RHの環境下で48時間以上、調湿した後に秤量する。調湿後のサンプル片の質量をy(g)とする。すなわち、調湿後のサンプル片は、膨潤による含水と、化学的結合による吸水とによる水分を含んだ状態である。
次に、調湿後のサンプル片を再度、グローブボックス内に入れ、温度80℃で50時間以上、真空乾燥した後に秤量する。乾燥後のサンプル片の質量をz(g)とする。すなわち、乾燥後のサンプル片は、膨潤による水分を除去し、化学的結合による水分のみを含んだ状態である。
これら各状態でのサンプル片の質量から、吸水能力は、(z−x)/xにより算出される。
粘着層20の厚さには特に限定はないが、接着性、吸水能力、コスト等の観点から1〜100μmであるのが好ましい。
粘着層20の形成材料としては、離型フィルム12との粘着力、ならびに、被封止部材の貼着面との粘着力が適切な範囲となるものを、適宜、選択すればよい。
具体的には、粘着層20としては、OCA(Optically Clear Adhesive)シート等の粘着シートを用いてもよく、あるいは、重合や熱などにより樹脂を硬化させた有機層であってもよい。
硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、環状オレフィン系樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、環状オレフィン系樹脂が好ましい。また、3以上の多官能アクリレート/メタクリレート化合物からなる樹脂であるのが好ましい。
また、これらの硬化性樹脂を主成分として、粘度や硬化性を調整するための樹脂が混合されてもよい。例えば、粘度調整のためにスチレン・ブタジエンブロック共重合体を含んでも良い。
また、これらの硬化性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、硬化収縮応力が小さく、硬化物の接着性が高いという観点からは、2官能エポキシ樹脂を用いることが好ましい。さらに、透湿性・含水率が低いという観点からは、ポリブタジエンエポキシ樹脂等を用いることが好ましい。
さらに、上記の硬化性樹脂中に光重合開始剤や、光増感剤等を混合してもよい。
また、必要に応じてシランカップリング剤又はシラン変性エポキシ樹脂を含有してもよい。シランカップリング剤とシラン変性エポキシ樹脂とを併用することも可能である。それら成分を粘着層20としての硬化性樹脂に配合することによって、加湿による接着力の低下を抑えることが可能となる。
また、粘着層20となる硬化性樹脂は、硬化物の耐湿性を更に向上させることを目的として、無機フィラーを含有することが好ましい。
上記無機フィラーは特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土等が挙げられる。
また、粘着層20に吸水能力を付与するために、硬化性樹脂中に乾燥剤を含有させるのが好ましい。
粘着層20が乾燥剤を含有することにより、封止積層体14として有機EL素子を封止した際に、封止積層体14の端面やガスバリアフィルム22の欠陥等から浸入する水分を吸収して、有機EL素子の水分による劣化をより好適に防止できる。
乾燥剤としては、有機金属錯体でも良く、無機系の乾燥剤であってもよい。
有機金属錯体としては、化1の化学式で示される構造の有機金属化合物が好ましく、-[M(OR)-O]n-で示される構造であるのがより好ましく、環状AlOアシレートが特に好ましく、六員環構造を2以上もつ3価金属の有機金属化合物であって、3価金属がアルミニウムである有機金属化合物が好ましい。
ここで、化1の化学式において、R1、R2、R3は、水素、炭素数1個以上のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、複素環基を示す。また、それぞれの基の、水素の一部をハロゲン基に置換したものでもよい。R1、R2、R3は異なる基であっても、同じ基であってもよく、また、それぞれが連結されてもよい。あるいは、ポリマーでもよい。
具体的には、例えば、アルミニウムオキサイド2−エチルヘキサノエート(ホープ製薬株式会社 オリープAOO)、アルミニウムオキサイドイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製 アルゴマー7)、アルミニウムオキサイドステアレート(ホープ製薬株式会社 オリープAOS)、アルミニウムオキサイドエチレートなどが挙げられる。
また、環状ではないアルミニウム−トリイソプロポキシド(AIP)も好ましい。
また、特開2005−298598号公報に記載される水分吸収剤、および、特開2006−297380号公報に記載される乾燥剤も用いることができる。
また、無機系の乾燥剤としては、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)等のアルカリ土類金属酸化物; 硫酸リチウム(Li2SO4)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸コバルト(CoSO4)、硫酸ガリウム(Ga2(SO43)、硫酸チタン(Ti(SO42)、硫酸ニッケル(NiSO4)等の硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl2)、五酸化リン(P25)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr2)、硫酸銅(CuSO4)、塩化亜鉛(ZnCl2)、ゼオライト、シリカゲル及び活性アルミナ等が挙げられる。
無機系の乾燥剤を用いる場合には、粘着層20のヘイズ値や透明性への影響を考慮して粒径を小さくするのがこのましく、10nm以下とするのが好ましい。
粘着層20における乾燥剤の含有量は、乾燥剤の種類や求められる性能等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、1〜60質量%が好ましく、2〜40質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。
また、粘着層20は、透明性を有するのが好ましい。具体的には、粘着層20は、可視光(400〜800nm)の光透過率が85%以上であるのが好ましく、ヘイズ値が3.0%以下であるのが好ましい。
また、粘着層20は、ガスバリアフィルム22上に塗布にて形成するのが好ましい。従って、上記の粘着層20を形成するための材料と溶剤とを混合して塗布組成物を調製するのが好ましい。
また、粘着層20を形成する際の塗布方法には特に限定はなく、スリットコート、ダイコート、ロールコート、ディップコート、ブレードコート、ナイフコート、バーコート、スクリーン印刷、スピンコートなどを用いることが出来る。
また、長尺なガスバリアフィルム22上に粘着層20を形成する場合には、長尺なガスバリアフィルム22を長手方向に搬送しつつ、塗布組成物の塗布、乾燥により粘着層20を形成する、いわゆるロール・ツー・ロールにより形成してもよい。
次に、本発明の複合フィルム10の封止積層体14を、有機EL素子の封止に用いた有機EL装置について説明する。
図3に、封止積層体14を用いて有機EL素子を封止した有機EL装置の一例の概略断面図を示す。
図3に示す有機EL装置50は、有機EL素子54が形成された素子基板52上に、封止積層体14を積層した構成を有する。また、図3に示すように、有機EL装置50は、封止積層体14の粘着層20側と有機EL素子54側とを対面して積層した構成を有する。
封止積層体14は、複合フィルム10の封止積層体14であり、離型フィルム12から剥離して、有機EL素子54上に貼着されるものである。
封止積層体14を有機EL素子54上に積層して、有機EL素子54を封止することにより、有機EL素子54の水分による劣化を防止する。
ここで、本発明の複合フィルム10は、封止積層体14を、粘着層20を内側にして離型フィルム12の両面に積層する構成を有するので、保管中などに、空気中の水分が粘着層20に到達するのを防止して粘着層20の含水を防止し、これにより、有機EL素子54の封止に用いられた際に、有機EL素子54を長期間安定して保護して素子が劣化することを防止できる。このとき、複合フィルム10は、離型フィルム12の両側に積層される封止積層体14それぞれを、有機EL素子54の封止に用いることができる。従って、離型フィルム12のみを廃棄すればよいので、コストの増加も防止できる。
素子基板52は、各種の有機EL装置に用いられている素子基板が、全て利用可能である。具体的には、ガラス、プラスチック、金属、および、セラミック等からなる素子基板が例示される。
ここで、本発明の有機EL装置50においては、水分等による有機EL素子54の劣化を防止するために、水分等が素子基板52を透過して有機EL素子54に至るのを防止できるのが好ましい。そのため、素子基板52は、ガラスや金属等のように、水分等の含有量が低く、かつ、水分等の透過率が低い材料からなる基板を用いるのが好ましい。あるいは、封止積層体14のガスバリアフィルム22も、水分等の透過率が低い点で素子基板52として好適に用いることができる。
ここで、有機EL装置50は、有機EL素子54を封止する封止積層体14のガスバリアフィルム22および粘着層20が光透過性を有する場合には、素子基板52と逆側、すなわち、封止積層体14側から光を発する、トップエミッション型の有機EL装置50として利用することができる。
有機EL装置50がトップエミッション型である場合には、素子基板52が光透過性を有する必要は無い。従って、有機EL装置50を、トップエミッション型として利用する場合には、素子基板52として、表面に陽極酸化膜を有するアルミニウム箔や、アルミニウム箔とポリイミドとの積層体など、絶縁層を有する可撓性の金属フィルムを用いてもよい。この際、フレキシブルな有機EL装置50とすることができる。
一方、素子基板52としてガラスやガスバリアフィルム等の光透過性のある材料を用いることで、素子基板52側から光を発する、ボトムエミッション型の有機EL装置50として利用することもできる。
あるいは、封止積層体14、および、素子基板52共に光透過性のある材料を用いて、両面から光を発する構成としてもよい。
素子基板52上には、有機EL素子54が形成される。
有機EL素子54は、例えば、有機電界発光層と、有機電界発光層を挾持する電極対である透明電極および反射電極とを有する公知の有機EL素子である。
なお、有機EL装置50がトップエミッション型である場合には、封止積層体14側に透明電極が配置され、素子基板52側に反射電極が配置される。また有機EL装置50がボトムエミッション型である場合には、封止積層体14側に反射電極が配置され、素子基板52側に透明電極が配置される。
有機電界発光層は、有機EL材料からなる発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を有する、公知の層構成からなるものであればよい。
透明電極としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)等の導電性金属酸化物等の、有機電界発光層から発せられた光を透過する光透過性を有する、種々の公知の電極が利用可能である。
また、反射電極としては、有機EL素子の電極として用いられる、種々の公知の電極が利用可能である。
また、有機電界発光層、透明電極、および、反射電極は、有機EL装置50の用途や大きさ等に応じて、公知の方法で形成すればよい。
また、有機EL装置50は、有機EL素子54と封止積層体14との間に、有機EL素子54を覆う保護膜等を有してもよい。
保護膜としては、公知の有機EL装置に利用される、ガスバリア性を発現する材料からなる各種の膜(層)が利用可能である。具体的には、ガスバリア性を有する無機化合物からなる膜が例示され、中でも、窒化ケイ素、酸化ケイ素および酸化窒化ケイ素等のケイ素化合物からなる膜が好適に例示される。
以上、本発明の複合フィルムについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1として、図1に示す複合フィルム10を作製した後、封止積層体14を剥離して、この封止積層体14を用いて有機EL素子を封止して図3に示す有機EL装置50を作製した。
<複合フィルム>
(ガスバリアフィルム)
ガスバリアフィルム22としては、ガスバリア基材26上に、平滑層27およびバリア層28の組み合わせを2つ有するフィルムを用いた。
ガスバリア基材26として、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム、帝人デュポンフィルム株式会社製 テオネックスQ65FA)を用いた。
このガスバリア基材26上に平滑層27を形成した。平滑層は、塗布法によりガスバリア基材26に材料を塗布し、乾燥後、紫外線照射して重合を行って、厚さ0.6μmの膜を形成した。
平滑層を形成する塗料として、重合性化合物のTMPTA(ダイセル・サイテック株式会社製)14.9g、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社 SC−1)3.7g、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.4g、2−ブタノン180gからなる重合性組成物を調製した。
調製した重合性組成物を液厚が5μmとなるようにワイヤーバーを用いて基材フィルム上に塗布し、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約1J/cm2)して硬化させ平滑層27を形成した。
次に、CCP(容量結合プラズマ方式)−CVD装置を用いて、厚さ40nmの平滑層27上にバリア層28を形成した。
原料ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を用いた。ガスの供給量は、シランガスが160sccm、アンモニアガスが370sccm、窒素ガスが240sccm、水素ガスが590sccmとした。また、成膜圧力は40Paとした。すなわち、バリア層28は、窒化珪素膜である。
プラズマ励起電力は、周波数13.56MHzで2.5kWとした。
次に、このバリア層28の上に平滑層27を形成した。この平滑層は2層の有機層を積層して構成した。
まず、第1の有機層として厚さ0.6μmの膜を形成した。
第1の有機層を形成する塗料として、重合性化合物のTMPTA(ダイセル・サイテック株式会社製)14.1g、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社 SC−1)3.5g、酸性化合物のPA(日本化薬株式会社製 KARAMER PM−21)1.0g、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.4g、2−ブタノン180gからなる重合性組成物を調整した。
調製した重合性組成物を液厚が5μmとなるようにワイヤーバーを用いて無機層28上に塗布し、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約1J/cm2)して硬化させ第1の有機層を形成した。
次に、第1の有機層上に、第2の有機層として厚さ0.6μmの膜を形成した。
第2の有機層を形成する塗料として、重合性化合物のTMPTA(ダイセル・サイテック株式会社製)14.9g、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社 SC−1)3.7g、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.4g、2−ブタノン180gからなる重合性組成物を調整した。
調製した重合性組成物を液厚が5μmとなるようにワイヤーバーを用いて第1の有機層上に塗布し、窒素置換法により酸素濃度が0.1%となったチャンバー内にて高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約1J/cm2)して硬化させ第2の有機層を形成し、2層の有機層からなる平滑層27とした。
さらに、第2の有機層上に、先と同様の方法で、厚さ40nmのバリア層28を形成し、ガスバリアフィルム22を作製した。
作製したガスバリアフィルム22の水蒸気透過率は、1×10-3[g/(m2・day)]であった。
(粘着層)
次に、塗布法によりガスバリアフィルム22のバリア層28上に、材料を塗布し、乾燥・硬化させて、厚さ10μmの粘着層20を形成し、封止積層体14を作製した。
粘着層20の材料としては、二液熱硬化型のアクリル酸エステルの液状樹脂(綜研化学株式会社製 SKダイン1831)を用いた。
また、塗布はアプリケーターを用いて行った。乾燥後の厚さが10μmとなるように調整して塗布した。また、硬化条件は、温度80℃で30分とした。
(離型フィルム)
離型フィルム12として、厚さ100μmのPETフィルムの両側にシリコーン樹脂を設置したフィルムを用いた。
この離型フィルム12の両面に、上記封止積層体14を、粘着層20側を離型フィルム12に対面させて貼着し、複合フィルム10を作製した。
なお、離型フィルム12への貼り合わせ前に、露点温度−60℃以下のグローブボックス内で、封止積層体14を温度80℃で24時間、加熱処理して乾燥した。
次に、封止積層体14を、温度25℃湿度50%RHの環境下で50時間調湿した。
調湿後、封止積層体14からサンプル片を切り出し、粘着層の吸水能力および含水率を測定した。吸水能力は0wt%、含水率は120ppmであった。
<有機EL装置>
次に、図3に示す有機EL装置50を作製した。
素子基板52として、ITO膜を有する導電性のガラス基板(表面抵抗値10Ω/□)を2−プロパノールで洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。素子基板52の厚さは700μmとした。
次に、この素子基板52の陽極上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
(第1正孔輸送層)
銅フタロシアニン 膜厚10nm
(第2正孔輸送層)
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチルベンジジン 膜厚40nm
(発光層兼電子輸送層)
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム 膜厚60nm
さらにフッ化リチウムを1nm、金属アルミニウムを100nm順次蒸着して陰極として形成し、有機EL素子54を形成した。
さらに、有機EL素子54が形成された素子基板52に、平行平板CVD法によって、厚さ5μmの窒化珪素膜からなるパッシベーション膜を形成した。
次に、このパッシベーション膜が形成された素子基板52上に、複合フィルム10の封止積層体14を貼り合わせて有機EL素子54を封止し、有機EL装置50を作製した。
[実施例2]
粘着層20中に乾燥剤を含有させた以外は、実施例1と同様にして複合フィルム10を作製し、この複合フィルム10の封止積層体14を用いて有機EL装置50を作製した。
乾燥剤としては、アルミニウムオキサイド2-エチルヘキサノエート(ホープ製薬株式会社オリープ A00)を用い、粘着層20の材料中に15wt%含有させた。
また、調湿後の粘着層の吸水能力および含水率を測定しところ、吸水能力は1.2wt%、含水率は0ppmであった。
[比較例1]
図4に示すように、離型フィルムの片面のみに、封止積層体を貼着し、複合フィルムを作製した以外は、実施例1と同様にして有機EL装置を作製した。
また、調湿後の粘着層の吸水能力および含水率を測定しところ、吸水能力は0wt%、含水率は520ppmであった。
[比較例2]
離型フィルムの片面のみに、封止積層体を貼着し、複合フィルムを作製した以外は、実施例2と同様にして有機EL装置を作製した。
また、調湿後の粘着層の吸水能力および含水率を測定しところ、吸水能力は1.2wt%、含水率は230ppmであった。
[評価]
<耐久性試験>
作製した実施例1、2および比較例1、2の有機EL装置について、耐久性試験を行った。
具体的には、まず、作製直後の有機EL装置の有機EL素子を、Keithley社製SMU2400型ソースメジャーユニットを用いて7Vの電圧を印加して発光させた。顕微鏡を用いて発光面状を観察したところ、いずれの素子もダークスポットの無い均一な発光を与えることが確認された。
次に、温度60℃の暗い室内に24時間静置した後、先と同様にして、発光面状を観察し、直径300μmよりも大きいダークスポット有無を評価した。
さらに、温度60℃湿度90%RHの環境下で100時間静置した後に、先と同様にして、発光面状を観察し、直径300μmよりも大きいダークスポット有無を評価した。
評価は、
300μm以上のダークスポットが観察されない場合を『A』、
300μm以上のダークスポットが10個未満観察された場合を『B』、
300μm以上のダークスポットが10個以上観察された場合を『C』とした。
結果を下記の表1に示す。
上記表1に示されるように、本発明の複合フィルムを用いて封止された有機EL装置は、比較例に対して、ダークスポットの発生が少なく、より高い耐久性を有することがわかる。
本発明の複合フィルムを用いて封止された有機EL装置は、観察されるダークスポットが無い、または、数が少ないことから、有機EL素子の封止に用いた本発明の封止積層体の粘着層中の水分量が少ないことがわかる。
一方、比較例においては、有機EL素子全面に多数のダークスポットが観察された。これは、有機EL素子の封止に用いた封止積層体の粘着層中に水分が含まれているためである。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10、100 複合フィルム
12、106 離型フィルム
14 封止積層体
20、102 粘着層
22、104 ガスバリアフィルム
26 ガスバリア基材
27 平滑層
28 バリア層
50 有機EL装置
52 素子基板
54 有機EL素子

Claims (7)

  1. 第1の防湿フィルムと、第1の粘着層と、離型フィルムと、第2の粘着層と、第2の防湿フィルムとをこの順に積層されてなり、
    前記第1の粘着層および前記第2の粘着層が吸水能力を有する複合フィルム。
  2. 前記第1の粘着層および前記第2の粘着層の吸水能力が、0.5wt%以上である請求項に記載の複合フィルム。
  3. 前記第1の粘着層および前記第2の粘着層の含水率が、200ppm以下である請求項1または2に記載の複合フィルム。
  4. 前記第1の防湿フィルムおよび前記第2の防湿フィルムの水蒸気透過率が、1×10-3[g/(m2・day)]以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の複合フィルム。
  5. 前記第1の防湿フィルムおよび前記第2の防湿フィルムが、少なくともガスバリア基材と、平滑層と、バリア層とを有してなるガスバリアフィルムである請求項1〜のいずれか1項に記載の複合フィルム。
  6. 前記バリア層が酸化物、窒化物、酸窒化物の少なくとも1つからなる請求項に記載の複合フィルム。
  7. 前記離型フィルムが、フィルム基材と、前記フィルム基材の両側の表面に形成された離型層とを有してなる請求項1〜のいずれか1項に記載の複合フィルム。
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