JP6141701B2 - 剥離処理剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、剥離処理剤及びその製造方法に関する。
例えば、感圧性粘着テープ、粘着シート等に用いられる剥離処理剤としては、シリコーン系剥離処理剤、非シリコーン系剥離処理剤等が知られている。
シリコーン系剥離処理剤は、剥離性、残留接着性、耐熱性等の特性が優れているが、高価であり、また剥離処理層を形成する際に高温での熱処理が必要であるために、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン等の耐熱性が劣る基材には使用できない。また、シリコーン系剥離処理剤は、剥離処理剤中に不純物として存在する低分子シリコーン化合物により不具合が生じやすい、剥離処理層表面の筆記性が低い等の問題がある。
一方、非シリコーン系剥離処理剤としては、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」という。)に、脂肪族イソシアネートを反応させた長鎖脂肪族ペンダント型重合体等が知られている。非シリコーン系剥離処理剤は、剥離処理層を形成する際に、特別な触媒の併用や、熱処理等の操作が必要なく、例えば、剥離処理剤を溶媒に溶解した液状組成物を支持体上に塗布後、乾燥するだけで剥離処理層を形成できる。そのため、耐熱性が低い支持体(熱可塑性プラスチック等。)に対しても剥離処理層を形成できる。
前記した長鎖脂肪族ペンダント型重合体からなる剥離処理剤の製造方法としては、例えば、下記の工程(i)〜(iv)を有する方法が知られている(例えば、特許文献1、2)。
(i)PVAをトルエンに分散させ、その分散液を還流させて水分を分離除去した後に冷却する。
(ii)前記分散液に脂肪族イソシアネート、ウレタン化触媒(アルカリ金属塩等。)及びジメチルスルホキシド(DMSO)を加えてウレタン化反応を行う。
(iii)反応液に水を加え、分液により水相を除去することでDMSOを抽出した後、トルエン相をメタノール中に注いで、長鎖脂肪族ペンダント型重合体からなる沈殿物を析出させる。
(iv)前記沈殿物をろ別してメタノールで洗浄し、乾燥させた後に粉砕して剥離処理剤を得る。
特開2003−96432号公報 特開2008−239726号公報
しかし、前記製造方法のような溶媒を使用する方法は、溶媒を多量に使用する必要があることに加えて、該溶媒を分離回収する工程が必要になる等、製造工程が煩雑になり、コストが高騰する。また、溶媒には有機溶剤が用いられることから、環境への影響も懸念される。
そこで、本発明者等は、溶媒を使用せずに、PVAを加熱溶融させた状態でウレタン化反応を行うことで剥離処理剤を得る方法を検討した。その結果、該方法で得られた剥離処理剤は、トルエン等の溶剤に対する溶解性、該剥離処理剤を含む液状組成物の冷却時の安定性、剥離力等の性能が大きく低下することが判明した。
本発明は、溶媒を用いずに良好な性能を有する剥離処理剤を製造できる、剥離処理剤の製造方法を提供する。また、本発明は、溶媒を用いずに製造できる、良好な性能を有する剥離処理剤を提供する。
本発明の剥離処理剤の製造方法は、加熱溶融させた下記原料(A)と、下記原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させる反応工程を有する方法である。
原料(A):PVAの少なくとも1種。
原料(B):炭素数8以上の脂肪族基を有する脂肪族イソシアネート化合物の少なくとも1種。
本発明の剥離処理剤の製造方法では、前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸、フタル酸およびサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の剥離処理剤の製造方法では、前記フェノール系酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の剥離処理剤は、加熱溶融させた前記原料(A)と、前記原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させてなる重合体からなることを特徴とする。
本発明の剥離処理剤では、前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸、フタル酸およびサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の剥離処理剤では、前記フェノール系酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の剥離処理剤の製造方法によれば、溶媒を用いずに、良好な性能を有する剥離処理剤を製造できる。
本発明の剥離処理剤は、溶媒を用いずに製造でき、良好な性能を有している。
<剥離処理剤の製造方法>
以下、本発明の剥離処理剤の製造方法の一例を示して説明する。
本実施形態の剥離処理剤の製造方法は、下記の乾燥工程、反応工程及び固化粉砕工程を有する。
乾燥工程:後述の原料(A)を加熱して乾燥させる工程。
反応工程:前記乾燥工程後に、加熱溶融させた原料(A)と、後述の原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させる。
固化粉砕工程:前記反応工程で得られた、溶融状態の反応物(長鎖脂肪族ペンダント型重合体)を冷却して固化させた後に粉砕する。
[乾燥工程]
原料(A)は、活性水素含有高分子であるPVAの少なくとも1種である。
原料(A)を加熱して乾燥させることで、原料(A)中に含まれている水分を低減する。これにより、副生成物の生成がより抑制される。
原料(A)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
原料(A)を加熱する方法は、特に限定されず、例えば、乾燥機等が挙げられる。
乾燥工程の乾燥温度は、80〜120℃が好ましく、90〜110℃がより好ましい。乾燥温度が下限値以上であれば、原料(A)の水分量を少なくしやすい。乾燥温度が上限値以下であれば、過熱による着色を抑制しやすい。
乾燥工程の乾燥時間は、30〜240分が好ましく、60〜180分がより好ましい。乾燥時間が下限値以上であれば、原料(A)の水分量を少なくしやすい。乾燥時間が上限値以下であれば、高い生産性が得られやすい。
乾燥後の原料(A)の水分量は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。原料(A)の水分量が上限値以下であれば、反応工程において副生成物が生成され難くなり、良好な性能を有する剥離処理剤が得られやすい。
なお、原料(A)の水分量は、カールフィッシャー法により測定される。
PVAの平均重合度は、100〜3,000が好ましく、150〜2,000がより好ましい。PVAの平均重合度が下限値以上であれば、高温での剥離性能が向上する。PVAの平均重合度が上限値以下であれば、トルエンへの溶解性が向上する。
なお、PVAの平均重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定される。
PVAは、例えば、ポリビニルアセテートをケン化することにより得られる。この場合、PVAのケン化度は、80%以上が好ましく、90〜100%がより好ましい。PVAのケン化度が下限値以上であれば、高温での剥離性能が向上する。
なお、PVAのケン化度は、NMR法により測定される。
[反応工程]
反応工程では、加熱溶融させた原料(A)と、原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させる。すなわち、溶媒を使用せずに、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に原料(A)と原料(B)をウレタン化反応させる。これにより、長鎖脂肪族ペンダント型重合体が得られる。
ウレタン化反応に芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤を用いることで、反応工程後に溶媒を回収する必要がなくなるため、工程が簡便になり、コストも低くなるうえ、環境負荷も小さくなる。また、副生成物の生成が抑制され、剥離処理剤の性能も良好になる。
原料(B)は、炭素数8以上の脂肪族基を有する脂肪族イソシアネート化合物の少なくとも1種である。
脂肪族基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。なかでも、高温での剥離性能の点から、アルキル基が好ましい。脂肪族基は、高温での剥離性能の点から、直鎖状が好ましい。なお、脂肪族基は、分岐鎖状であってもよい。
原料(B)が有する脂肪族基の炭素数は、8〜30が好ましく、12〜22がより好ましい。前記脂肪族基の炭素数が下限値以上であれば、高温での剥離性能が向上する。前記脂肪族基の炭素数が上限値以下であれば、トルエンへの溶解性が向上する。
原料(B)の具体例としては、例えば、オクチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ドコシルイソシアネート等が挙げられる。なかでも、高温での剥離性能およびトルエンへの溶解性の点から、オクタデシルイソシアネート、ドコシルイソシアネートが好ましい。
原料(B)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族カルボン酸は、カルボキシ基を有し、酸性を示す芳香環を有する有機化合物である。
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、メチル安息香酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、フタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等が挙げられる。なかでも、性能が良好な剥離処理剤が得られやすい点から、芳香族カルボン酸としては、p−トルイル酸、フタル酸およびサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、p−トルイル酸が特に好ましい。
芳香族カルボン酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
市販品としては、例えば、「AO−330」、「AO−60」、「AO−20」(商品名、いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
性能が良好な剥離処理剤が得られやすい点から、フェノール系酸化防止剤としては、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼンが特に好ましい。
原料(A)と原料(B)との混合は、原料(A)を加熱溶融させる前に行ってもよく、原料(A)を加熱溶融させた後に行ってもよい。また、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤も、原料(A)を加熱溶融させる前に混合してもよく、原料(A)を加熱溶融させた後に混合してもよい。
原料(B)の使用量は、原料(A)が有する活性水素(水酸基)に対するモル比で、0.5〜1等量が好ましく、0.7〜1等量がより好ましい。前記原料(B)の使用量が下限値以上であれば、トルエンへの溶解性が向上する。前記原料(B)の使用量が上限値以下であれば、高温での剥離性能が向上する。
芳香族カルボン酸の使用量は、原料(A)10質量部に対して、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましく、0.2〜0.5質量部がさらに好ましい。前記芳香族カルボン酸の使用量が前記範囲内であれば、副生成物の生成が抑制され、良好な性能の剥離処理剤が得られやすくなる。
フェノール系酸化防止剤の使用量は、原料(A)10質量部に対して、0.1〜3.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましく、0.2〜0.8質量部がさらに好ましい。前記フェノール系酸化防止剤の使用量が前記範囲内であれば、副生成物の生成が抑制され、良好な性能の剥離処理剤が得られやすくなる。
反応工程では、必要に応じて、ウレタン化触媒を使用してもよい。
ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート等のスズ系触媒、酢酸ナトリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。なかでも、反応速度および反応効率の点から、スズ系触媒が好ましい。
ウレタン化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン化触媒の使用量は、原料(A)10質量部に対して、0.01〜0.5質量部が好ましく、0.03〜0.1質量部がより好ましい。前記ウレタン化触媒の使用量が下限値以上であれば、原料(A)と原料(B)の反応を進行させやすい。前記ウレタン化触媒の使用量が上限値以下であれば、ウレタン化反応の制御が容易になる。
原料(A)を加熱溶融させる際は、急激に昇温させずに、時間をかけて徐々に昇温させることが好ましい。これにより、過熱を防ぐことで長鎖脂肪族ペンダント型重合体の分解を抑制することが容易になる。
原料(A)を加熱溶融させる温度まで昇温させる際の昇温時間は、30〜120分が好ましく、60〜90分がより好ましい。
反応温度は、100〜160℃が好ましく、120〜150℃がより好ましい。反応温度が下限値以上であれば、原料(A)を充分に溶融させやすく、また反応を進行しやすくなるため、より高い生産性が得られる。反応温度が上限値以下であれば、長鎖脂肪族ペンダント型重合体の分解を抑制しやすい。
原料(A)と原料(B)の反応は、加熱を継続して原料(A)が溶融状態のまま維持されるようにして行う。
ウレタン化反応は、良好な性能の剥離処理剤が得られやすい点から、撹拌しながら行うことが好ましい。
原料(A)と原料(B)のウレタン化反応の終結は、例えば、反応液中から適宜サンプリングを行い、そのサンプリング液中の原料(B)の量を赤外分光法で測定することで確認できる。
[固化粉砕工程]
反応工程で得られた溶融状態の反応物(長鎖脂肪族ペンダント型重合体)を冷却して固化させた後に、固化物を粉砕する。
反応物を冷却する方法は、特に限定されず、放冷してもよく、冷却装置を用いて冷却してもよい。
固化物を粉砕する方法としては、特に限定されず、公知の粉砕方法を採用できる。
前述したように、従来の溶媒を用いて原料(A)と原料(B)をウレタン化反応させる方法では、反応後に溶媒を分離回収する等、製造工程が煩雑でコストが高騰し、環境への影響も懸念される。一方、溶媒を使用せずに、加熱溶融させた原料(A)と原料(B)をウレタン化反応させると、脂肪族イソシアネートと水との反応によって、ビスウレア体、ビュレット体、イソシアヌレート体等の副生成物が多く生成し、また剥離処理剤の性能が大きく低下する。具体的には、剥離処理剤の溶剤に対する溶解性、剥離処理剤を含む液状組成物の低温安定性が低下して塗布が困難になる、剥離力が低下する、等の性能の低下がみられる。
これに対して、本発明の剥離処理剤の製造方法では、理由は明らかではないが、芳香族カルボン酸とフェノール系酸化防止剤の存在下で原料(A)と原料(B)を反応させることで、反応時に溶媒を使用しなくても副生成物の生成を抑制でき、また良好な性能を有する剥離処理剤を製造できる。このように、本発明の剥離処理剤の製造方法では、良好な性能を有する剥離処理剤を簡便かつ低コストに製造できる。
なお、本発明の剥離処理剤の製造方法は、前記した方法には限定されない。
例えば、本発明の剥離処理剤の製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記した乾燥工程と固化粉砕工程の少なくとも一方を有さない方法としてもよい。
<剥離処理剤>
本発明の剥離処理剤は、加熱溶融させた前記原料(A)と、前記原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させてなる重合体からなる剥離処理剤である。すなわち、本発明の剥離処理剤は、前述した本発明の製造方法により得られる剥離処理剤である。
本発明の剥離処理剤は、例えば、粘着テープ、粘着シート等の粘着体において背面に設けられる剥離処理層の形成に使用される。なお、粘着テープと粘着シートは、構成されている材料については、大きな差異はないが、一般的に、巻物形状のものは粘着テープ、平板形状のものは粘着シートと言われている。
粘着体の具体例としては、例えば、プラスチック、紙等の帯状の支持体の第1の表面に粘着剤によって粘着層が形成され、該支持体の第2の表面(背面)に本発明の剥離処理剤によって剥離処理層が形成された粘着テープ等が挙げられる。
該粘着テープでは、粘着層が背面の剥離処理層に密着するようにロール状に巻いた状態とし、使用時には巻き返して引き出すようにして使用する。粘着層が背面の剥離処理層と接しているため、粘着層の粘着力を低下させることなく、手の力のような小さい剥離力でも粘着層を容易に剥離させることができる。
前記粘着体に用いる粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ホットメルト系等の公知の粘着剤が挙げられる。
前記粘着体における剥離処理層を形成する方法としては、例えば、本発明の剥離処理剤をトルエン等の溶媒に溶解、又は界面活性剤等の乳化剤等と併用したエマルションとした液状組成物を調製し、該液状組成物を支持体の表面に塗布して乾燥する方法等が挙げられる。また、本発明の剥離処理剤を溶融し、その溶融物を支持体の表面に塗布して固化させる方法でもよい。前記した液状組成物又は溶融物には、必要に応じて架橋剤等を添加してもよい。
前記剥離処理層を形成する剥離処理剤の固形分は、0.01〜1.0g/mが好ましく、0.05〜0.5g/mがより好ましい。
また、本発明の剥離処理剤は、例えば、粘着層の粘着面の保護するために用いられる、剥離紙、剥離性のフィルム、シート、テープ等の製品(以下、まとめて「剥離シート」という。)における剥離処理層の形成に使用してもよい。剥離シートにおける剥離処理層を形成する方法は、前記した粘着体における剥離処理層を形成する方法と同様の方法を採用できる。
この態様における、プラスチック、紙等からなる支持体上に設けられる剥離処理層を形成する剥離処理剤の固形分は、0.01〜1.0g/mが好ましく、0.05〜0.5g/mがより好ましい。
なお、本発明の剥離処理剤の用途は、前記したものには限定されない。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[副生成物の含有率]
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、各例で得られた剥離処理剤中の副生成物の含有率を分析した。
(GPCの分析条件)
装置:Waters製 e2695。
溶媒:テトラヒドロフラン。
流速:0.3mL/分。
カラム:HSPgel MB−HとRT2.0とRT4.0の計3本を直列に接続した。
[トルエン溶解性]
各例で得られた剥離処理剤を濃度が5質量%となるようにトルエンに加えて撹拌し、40℃で1時間加温した後、液状態を目視にて観察して、剥離処理剤のトルエンへの溶解性を以下の基準で評価した。なお、基準として60℃で加温した場合の状態も目視にて確認した。
◎:60℃で加温した場合と同程度に溶液が均一で剥離処理剤が溶解していた。
○:60℃で加温した場合と比べて溶液がわずかに濁っていた。
×:60℃で加温した場合に比べて溶液がかなり濁っていた。
[冷却安定性]
23℃において、得られた剥離処理剤を濃度が2質量%となるようにトルエンに溶解し、その液状組成物を5℃で30分間冷却した後、液状態を目視にて観察し、剥離処理剤の冷却安定性を以下の基準で評価した。なお、基準として冷却前の23℃における状態も目視にて確認した。
◎:冷却前の23℃の場合と同程度に溶液が均一で剥離処理剤が溶解していた。
○:冷却前の23℃の場合と比べて溶液がわずかに濁っていた。
△:冷却前の23℃の場合と比べて濁りを生じていた。
×:沈殿物を生じていた。
[剥離力の評価]
得られた剥離処理剤を濃度が2質量%となるようにトルエンに溶解して液状組成物を調製した。コロナ放電処理した延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの放電処理面に、前記液状組成物を固形分として0.1g/m付着するように塗布し、乾燥して剥離処理層を有する剥離フィルムを作成した。
得られた剥離フィルムの剥離処理層上に、25mm幅のアクリル系粘着テープ(日東電工社製)を設置して、自重2kgのゴムローラーにて圧着して試験片とした。20g/cmの荷重を加えた状態で該試験片を温度70℃で24時間保持し、さらに室温(23℃)で2時間放置した。その後、前記試験片における剥離フィルムから粘着テープを引き剥がすときの剥離力を、オートグラフ(島津社製AGS−100型)を用いて測定した。
[実施例1]
PVA(ケン化度88%、平均重合度500)を100℃で1時間加熱して乾燥した。
次いで、撹拌機、冷却器及び滴下ロートを備えると共に、加熱及び冷却が可能な反応容器中に、オクタデシルイソシアネート53質量部を投入し、これに前記PVA10質量部を加えた。さらにフェノール系酸化防止剤である1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン(商品名「AO−330」、ADEKA社製)0.25質量部、及びp−トルイル酸0.30質量部を添加し、撹拌して分散させた。得られた溶液を約30分間かけて80℃まで加温し、さらに、0.03質量部のジブチルスズジラウレートを加え、撹拌して溶解させた。この溶液を撹拌しながら、60分間かけて150℃まで昇温させてポリビニルアルコールを加熱溶融させ、撹拌しながら反応させた。
ウレタン化反応の進行状況を確認しつつ、約140℃で約120分間撹拌しながら反応させたところ、ウレタン化反応が完結していることが確認できた。なお、ウレタン化反応の進行状況は、適宜反応液をサンプリングして、サンプリング液中のオクタデシルイソシアネートの量を、赤外分光法で測定することにより確認した。
反応完結後、溶融状態の反応物を冷却し、固化させた。その後、固化物を粉砕し、長鎖脂肪族ペンダント型重合体からなる剥離処理剤を得た。
[実施例2]
p−トルイル酸の代わりにフタル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[実施例3]
p−トルイル酸の代わりにサリチル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[比較例1]
フェノール系酸化防止剤とp−トルイル酸を用いなかった以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[比較例2]
p−トルイル酸を用いなかった以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[比較例3]
フェノール系酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[比較例4]
p−トルイル酸の代わりにp−トルエンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同様にして剥離処理剤を得た。
[比較例5]
PVA(ケン化度88%、平均重合度500)10質量部をトルエン200質量部に分散させ、3時間還流させて水分を分離除去した後、50℃まで冷却した。ジブチルスズジラウレート0.03質量部と、オクタデシルイソシアネート53質量部と、DMSO30質量部を加えて、120℃で3時間反応させた。
その後、反応液に60質量部の水を加えて分液して水相を除去する操作を2回繰り返した。反応液を600質量部のメタノール中に注いで白色沈殿物を析出させ、該白色沈殿物をろ別してメタノールで洗浄し、乾燥させた後に粉砕して剥離処理剤を得た。
各例で得られた剥離処理剤の評価結果を表1に示す。
Figure 0006141701
表1に示すように、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に、溶媒を用いずにPVAとオクタデシルイソシアネートを反応させた実施例1〜3では、副生成物の生成が充分に抑制されており、トルエン溶解性、冷却安定性が共に良好であった。
また、実施例1〜3の剥離処理剤を用いて形成した剥離処理層の剥離力は、溶媒を使用して製造した比較例5の剥離処理剤を用いた場合と同等以上であり、剥離性能が良好であった。
一方、芳香族カルボン酸とフェノール系酸化防止剤を両方用いなかった比較例1では、トルエン溶解性、冷却安定性が共に不良であり、形成した剥離処理層の剥離力も大きく、剥離性能が劣っていた。
芳香族カルボン酸を用いなかった比較例2でも、トルエン溶解性、冷却安定性が共に不良であり、形成した剥離処理層の剥離力も大きく、剥離性能が劣っていた。
フェノール系酸化防止剤を用いなかった比較例3では、冷却安定性が不良であり、形成した剥離処理層の剥離力も大きく、剥離性能が劣っていた。
芳香族カルボン酸の代わりにp−トルエンスルホン酸を用いた比較例4では、トルエン溶解性、冷却安定性が共に不良であり、剥離処理層の形成が不可能であった。
溶媒を使用して製造した比較例5では、冷却安定性が劣っていた。

Claims (6)

  1. 加熱溶融させた下記原料(A)と、下記原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させる反応工程を有する、剥離処理剤の製造方法。
    原料(A):ポリビニルアルコールの少なくとも1種。
    原料(B):炭素数8以上の脂肪族基を有する脂肪族イソシアネート化合物の少なくとも1種。
  2. 前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸、フタル酸およびサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の剥離処理剤の製造方法。
  3. 前記フェノール系酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の剥離処理剤の製造方法。
  4. 加熱溶融させた下記原料(A)と、下記原料(B)とを、芳香族カルボン酸及びフェノール系酸化防止剤の存在下に反応させてなる重合体からなる剥離処理剤。
    原料(A):ポリビニルアルコールの少なくとも1種。
    原料(B):炭素数8以上の脂肪族基を有する脂肪族イソシアネート化合物の少なくとも1種。
  5. 前記芳香族カルボン酸が、p−トルイル酸、フタル酸およびサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の剥離処理剤。
  6. 前記フェノール系酸化防止剤が、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4または5記載の剥離処理剤。
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