JP6138000B2 - 被覆カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

被覆カーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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本発明は、被覆カーボンナノチューブの製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブは、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。特に、個々のカーボンナノチューブを垂直配向させたものは、表面積が大きいので、触媒を担持させた用途、例えば燃料電池の電極用に適している。触媒をカーボンナノチューブに十分担持させるためには、触媒とカーボンナノチューブとの分散性や結合力を高める必要があり、この分散性や結合力を高めるものとして、カーボンナノチューブの表面処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−44970号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のカーボンナノチューブは、垂直配向のカーボンナノチューブに比べて表面積が小さく、燃料電池として高効率が得られない。一方で垂直配向のカーボンナノチューブは、それぞれが互いに密集しているので、それぞれに対して、被覆膜の形成など表面処理を十分に行うことが困難である。
そこで、本発明は、垂直配向のカーボンナノチューブのそれぞれの全周囲に被覆膜を容易に形成することができるとともに、品質を向上させることができる被覆カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る被覆カーボンナノチューブの製造方法は、被覆膜を垂直配向のカーボンナノチューブの全周囲に形成してなる被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
上記被覆膜と同一の材料からなる基板に垂直配向のカーボンナノチューブを配置し、
上記被覆膜と同一の材料からなる材料供給板を、上記垂直配向のカーボンナノチューブに対面させるように配置し、
上記垂直配向のカーボンナノチューブが配置された基板と、上記材料供給板とを加熱することで、基板および材料供給板の材料を昇華させてカーボンナノチューブに付着させ、上記被覆膜を形成するものである。
また、本発明の請求項2に係る被覆カーボンナノチューブの製造方法は、請求項1に記載の被覆カーボンナノチューブの製造方法において、基板および材料供給板がそれぞれ複数であり、
上記材料供給板の配置が、これら材料供給板を上記垂直配向のカーボンナノチューブにそれぞれ対面させて、それぞれ複数の基板および材料供給板が積層するようにされたものである。
さらに、本発明の請求項3に係る被覆カーボンナノチューブの製造方法は、請求項1または2に記載の被覆カーボンナノチューブにおいて、材料供給板の配置が、垂直配向のカーボンナノチューブにおいて被覆膜を形成する範囲にのみ当該材料供給板が対面するようにされたものである。
また、本発明の請求項4に係る被覆カーボンナノチューブの製造方法は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被覆カーボンナノチューブの被覆膜が、担持する触媒の固着性を向上させる材料からなるものである。
上記被覆カーボンナノチューブの製造方法によると、垂直配向のカーボンナノチューブのそれぞれの全周囲に被覆膜を容易に形成することができるとともに、品質を向上させることができる。
本発明の実施例1に係る被覆カーボンナノチューブの拡大断面模式図である。 TG分析の結果を示すグラフであり、(a)がカーボンナノチューブを試料とし、(b)が被覆カーボンナノチューブを試料としたものである。 同被覆カーボンナノチューブの純水に対する濡れ性についての実験結果を示す写真(左側が拡大側面、右側が斜視)であり、(a)が被覆膜のないカーボンナノチューブを示し、(b)が被覆膜のあるカーボンナノチューブを示す。 レーザーラマン分光分析の結果を示すグラフである。 被覆カーボンナノチューブの拡大断面写真(透過電子顕微鏡像)であり、(a)が1100℃で加熱して被覆膜を形成したもの、(b)が1400℃で加熱して被覆膜を形成したものである。 同被覆カーボンナノチューブを製造する製造装置の概略断面図である。 同製造装置によりカーボンナノチューブに被覆膜を形成する過程を説明するための拡大断面模式図であり、(a)が被覆膜の形成前を示し、(b)が被覆膜の形成中を示し、(c)が被覆膜の形成後を示す。 実験例における基板およびスペーサの写真であり、(a)は被覆膜の形成前を示し、(b)は被覆膜の形成後を示す。 同実験例における被覆カーボンナノチューブの電子顕微鏡写真である。 同実験例における材料供給板の写真であり、(a)は上面を示し、(b)は下面を示す。 同実験例における材料供給板の下面の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2に係る製造装置によりカーボンナノチューブに被覆膜を形成する過程を説明するための拡大断面模式図であり、(a)が被覆膜の形成前を示し、(b)が被覆膜の形成後を示す。 本発明の実施例3に係る製造装置によりカーボンナノチューブに被覆膜を形成する過程を説明するための拡大断面模式図であり、(a)が被覆膜の形成前を示し、(b)が被覆膜の形成後を示す。 同製造装置によりカーボンナノチューブに被覆膜を形成する過程を説明するための拡大平面模式図であり、(a)が被覆膜の形成前を示し、(b)が被覆膜の形成後に材料供給板を除去した状態を示す。
以下、本発明の実施例1〜3に係る被覆カーボンナノチューブについて図面に基づき説明する。
図1に示すように、被覆カーボンナノチューブ1は、垂直配向のカーボンナノチューブ2と、カーボンナノチューブ2の全周囲に形成された被覆膜3とから構成される。図1には、一例として、基板Kに配置された被覆カーボンナノチューブ1を示す。上記カーボンナノチューブ2は、太さが数nm〜数百nmで、長さが数μm〜数mmである。上記被覆膜3は、カーボンナノチューブの従来の被覆膜に比べて、厚さの均一性に優れる。また、上記被覆膜3は、担持する触媒(例えばPt,Niなど)の固着性(担持した触媒の挙動や脱離を抑制)が向上する材料、すなわち、担持する触媒との固着力が高い材料からなり、例えば、Si,SiC,Ti,TiC,Cr,Cr、またはCr複炭化物からなる。なお、上記被覆膜3は、一つの材料からなる単層であってもよく、層ごとに材料が異なる複層であってもよい。複層であれば、被覆カーボンナノチューブ1の耐環境性が向上する。
また、上記被覆膜3は、カーボンナノチューブ2の燃焼を防止する材料(耐酸化性を有する材料)からなり、例えば、Si,SiC,TiC,Cr,Al,Mg、またはCr複炭化物からなる。このため、被覆カーボンナノチューブ1に触媒を担持させるために、酸素雰囲気下で被覆カーボンナノチューブ1を高温(550℃〜900℃)に加熱しても、カーボンナノチューブ2は被覆膜3に保護されて燃焼しない。この作用を説明するために、カーボンナノチューブ2のみのTG分析の結果を図2(a)に示し、一例として被覆膜3がSiからなる被覆カーボンナノチューブ1のTG分析の結果を図2(b)に示す。図2(a)に示すように、カーボンナノチューブ2のみの場合は、温度が550℃を超えた辺りから重量が減少し始め、温度が700℃を超えると重量が−100%(つまり0)近くになっている。すなわち、被覆膜3が形成されていないカーボンナノチューブ2は、温度が550℃を超えた辺りから燃焼し始め、温度が700℃を超えると燃焼により消失する。これに対して、図2(b)に示すように、Siからなる被覆膜3が全周囲に形成されたカーボンナノチューブ2は、温度が900度近くに達しても、重量が一定であるから、被覆膜3に保護されて燃焼しないことが分かる。
さらに、上記被覆膜3がSiC,TiC,Cr,Al,Mg、またはCr複炭化物からなる場合、当該被覆膜3は耐磨耗性が高い。このため、被覆カーボンナノチューブ1は耐磨耗性材料として使用され得る。
特に、上記被覆膜3は、厚さの均一性に優れるので、薄い部分および厚い部分がない。この薄い部分がないことは、被覆膜3による保護の弱い部分がないことにつながる。したがって、厚さの均一性に優れた被覆膜3が全周囲に形成されたカーボンナノチューブ2、つまり上記被覆カーボンナノチューブ1は、従来の被覆カーボンナノチューブに比べて、耐久性、耐環境性、耐酸化性、および/または耐磨耗性が向上する。
加えて、上記被覆膜3がTiからなる場合、当該被覆膜3はSiからなる場合よりも電気伝導性を有する。このため、被覆膜3が大きな電気抵抗とならず、被覆カーボンナノチューブ1の電気伝導性が向上する。
また、厚さの均一性に優れた被覆膜3により、被覆カーボンナノチューブ1の濡れ性が向上する。この濡れ性の向上を確認するために、以下の実験を行った。すなわち、比較用として、図3(a)に示すように、被覆膜3が形成されていない垂直配向のカーボンナノチューブ2の先端面を水平にし、その上に水滴を載せた。この場合、接触角は168.1度となった。次の比較用として、図示しないが、被覆膜が全周囲に形成されている垂直配向のカーボンナノチューブ2、つまり被覆カーボンナノチューブの先端面を水平にし、その上に水滴を載せた。なお、この被覆膜は、本発明の被覆膜3と異なり、厚さの均一性に優れないものである。この場合、接触角はより低くなった。さらに本実施例1に係るものとして、図3(b)に示すように、被覆膜3が全周囲に形成されている垂直配向のカーボンナノチューブ2、つまり本発明の被覆カーボンナノチューブ1の先端面を水平にし、その上に水滴を載せた。この場合、接触角はより一層低くなり限りなく0度に近くなった。この実験より、本発明の被覆カーボンナノチューブ1の濡れ性が向上したことが分かる。
ここで、加熱温度と被覆膜3の材質との関係を説明するために、レーザーラマン分光分析の結果を図4に示し、透過電子顕微鏡像を図5に示す。本分析対象は、図4の縦軸における上から、カーボンナノチューブ2(未処理CNT)と、加熱温度を3通りに変更して製造した3種類の被覆カーボンナノチューブ1(Siコーティング)と、Si(ナノSi)と、SiC(炭化ケイ素)とである。上記3種類の被覆カーボンナノチューブ1の加熱温度は、図4の上から、1100℃(加熱時間は5時間),1200℃(加熱時間は5時間),1400℃(加熱時間は1時間)である。図4に示すように、ラマンシフト800cm−1において、加熱温度が1100℃および1200℃の場合(低温の場合)だとピークが現れず、加熱温度が1400℃の場合(高温の場合)だとピークが現れる。これは、図5(a)および(b)に示すように、加熱温度が1100℃(低温)および1400℃(高温)のいずれの場合であってもSiからなる被覆膜3が見られるので、低温の場合だとSiからなる被覆膜3が非晶質またはその混合物であると考えられるからである。
以下、上記被覆カーボンナノチューブ1の製造方法について説明する。
まず、上記製造方法に使用する製造装置について説明する。
図6に示すように、上記製造装置は、内部に加熱用機器10が設置された真空チャンバ20と、この真空チャンバ20の内部を吸引してガスを排出し得る排出管32および真空ポンプ31と、上記真空チャンバ20の内部にガスを供給し得る供給管42およびガス供給源41とを備えている。上記加熱用機器10は、加熱対象物を収容し得るカーボン容器11と、このカーボン容器11の外側に配置されて加熱対象物を加熱し得るカーボンヒータ12と、カーボンヒータ12の外周を覆うカーボン断熱材13と、カーボン断熱材13の外周を覆うシリカ繊維断熱材14とを有している。上記排出管32および供給管42は、外側から、上記真空チャンバ20、シリカ繊維断熱材14およびカーボン断熱材13を貫通して設けられている。上記カーボン容器11に収容される加熱対象物は、基板Kに配置したカーボンナノチューブ2と、被覆膜3の材料と同一材料からなる材料供給板Mとである。この材料供給板Mは、スペーサSに載置されることで、上記カーボンナノチューブ2に対面して配置される。なお、上記基板Kも、被覆膜3の材料と同一材料からなる。カーボンナノチューブ2が配置された基板Kと上記材料供給板Mと上記スペーサSとは、直接カーボン容器11に収容されるのではなく、タンタル容器Vに入れられるとともにタンタル蓋Lで閉じられてから、カーボン容器11に収容される。タンタル容器Vおよびタンタル蓋Lは、加熱により基板Kおよび材料供給板Mから昇華する材料を閉じ込めることで、効率よく上記材料をカーボンナノチューブ2に付着させ、カーボンナノチューブ2の全周囲を覆うようにして、被覆膜3を形成させるものである。
上記製造装置を使用した被覆カーボンナノチューブ1の製造方法について説明する。
予め、熱CVD法などにより、基板Kにカーボンナノチューブ2を生成させておく。この基板Kは、上述の通り、カーボンナノチューブ2に形成したい被覆膜3の材料と同一材料からなるものとする。なお、上記基板Kではなく、別の基板にカーボンナノチューブ2を生成させた上で、生成したカーボンナノチューブ2を上記基板Kに転写して配置してもよい。
上記カーボンナノチューブ2が配置された基板K、材料供給板MおよびスペーサSを、タンタル容器V内に配置する。具体的には、図7(a)に示すように、まずカーボンナノチューブ2側が上面となるように基板Kをタンタル容器V内の底部に配置し、次に上記基板Kの周囲にスペーサSを配置し、さらにスペーサSに材料供給板Mを載置して上記カーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。ここで、材料供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の先端面との距離sは、短いほど好ましく、0であってカーボンナノチューブ2が押圧されない程度が最も好ましい。また、この距離sは、その最大値および最小値が平均値の5%未満に収まっていることが好ましく、カーボンナノチューブ2の先端面のどの位置であっても一定であることが最も好ましい。具体的には、材料供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の先端面とが平行に近いほど好ましい。そして、このタンタル容器Vをタンタル蓋Lで閉じる。その後、タンタル容器Vおよびタンタル蓋Lを、真空チャンバ20内のカーボン容器11に収容する。
次に、ガス供給源41から供給管42を介して真空チャンバ20内に不活性ガスを供給するとともに、真空チャンバ20内から排出管32および真空ポンプ31を介してガスを排出する。これにより、真空チャンバ20内を不活性ガスに置換し、所定の真空度(例えば7.6×10−4〜1.3×10−4Pa)にする。その後、カーボンヒータ12によりタンタル容器V内の基板Kおよび材料供給板Mを同時に加熱する。なお、加熱温度は、基板Kおよび材料供給板Mの融点以下である。図7(b)に示すように、加熱された基板Kから材料が昇華し、昇華した材料はカーボンナノチューブ2に下側(基板K側)から付着する。一方、加熱された材料供給板Mから材料が昇華し、カーボンナノチューブ2に上側(基板Kの反対側)から付着する。なお、材料供給板Mの下面(カーボンナノチューブ2の先端面に対面する側)において、カーボンナノチューブ2の直上方の範囲Mrから優先的に材料が昇華する。こうして、カーボンナノチューブ2に付着した材料により、被覆膜3が形成される。カーボンナノチューブ2に被覆膜3が形成されたか否かの判断は、詳しくは実験例により後述するが、カーボンナノチューブ2の色と被覆膜3の色とが異なるので、目視により行うことが可能である。
また、上記カーボンヒータ12による加熱では、1100〜1400℃の加熱温度が好ましく、設定最高温度での保持時間10分〜12時間の加熱時間が好ましい。ここで、加熱温度は形成する被覆膜3の材質を左右し、加熱時間は被覆膜3の厚さを左右する。
詳しく説明すると、被覆膜3は、低い加熱温度だと最表面は非晶質の非炭化物およびその下層は結晶質炭化物層からなり、高い加熱温度だと結晶質の炭化物からなる。具体的には、上記基板Kの材料と粉末材料MとがSiの場合、被覆膜3は、1100℃〜1200℃の加熱温度だと非晶質のSiおよびその下層は結晶質のSiCからなり、1400℃の加熱温度だと結晶質のSiCを含む。なお、形成された被覆膜3における内層のSiCは、外層のSiとカーボンナノチューブ2とが反応したものである。
ここで、上記最表面が非晶質の非炭化物からなる場合、その表面には微細な凹凸が形成されるので、被覆カーボンナノチューブ1は、粒子を担持しやすい、熱吸収性が高い、被覆カーボンナノチューブ1のそれぞれがバンドル化しにくい、などの効果を奏する。
上記カーボンヒータ12による加熱により、図6および図7(c)に示すように、カーボンナノチューブ2の全周囲が被覆膜3で覆われるとともに当該被覆膜3が所望の厚さになると、つまり所定の加熱時間が経過すると、加熱を終了する。このようにして、図1に示す被覆カーボンナノチューブ1が基板Kに製造される。なお、別の基板に被覆カーボンナノチューブ1を配置したい場合は、上記基板Kに製造された被覆カーボンナノチューブ1を上記別の基板に転写すればよい。
このように、上記被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、垂直配向のカーボンナノチューブ2の全周囲が厚さの均一性に優れた上記被覆膜3で覆われるので、被覆カーボンナノチューブ1の濡れ性、並びに耐久性、耐環境性、耐酸化性、および/または耐磨耗性が向上し、被覆カーボンナノチューブ1の品質を向上させることができる。
また、上記被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、垂直配向のようにそれぞれが密集していて十分に被覆膜3を形成するのが困難なカーボンナノチューブ2であっても、それぞれのカーボンナノチューブ2の全周囲に、容易に被覆膜3を形成することができる。
[実験例]
上記実施例1の製造方法で、実際に被覆カーボンナノチューブ1を製造することができるか、以下の実験を行った。
この実験では、図7(a)に示すように、基板Kおよび材料供給板Mの厚さt1,t2をいずれも700μmとし、基板Kに配置されたカーボンナノチューブ2の長さlを60μmとし、スペーサSの高さを基板Kの2枚分である1400μmとした。すなわち、材料供給板Mの下面とカーボンナノチューブ2の先端面との距離sを640μmとした。また、基板Kおよび材料供給板Mの材料は、いずれもSiとした。さらに、基板Kは、図8(a)に示すように、大きな片(同図の左側)と小さな片(同図の右側)の2枚とし、これらを水平に並べて配置した。また、加熱温度を1100℃、加熱時間を10時間とした。その他の条件は、上記実施例1の通りである。
図8(a)に示すように、この実験が行われる前の基板Kは黒色であるが、図8(b)に示すように、この実験が行われた後の基板Kは灰色である。言い換えれば、被覆膜3が形成されていない状態だと基板Kは黒色(カーボンナノチューブ2の色)であり、被覆膜3が形成されている状態だと基板Kは灰色(被覆膜3の色)である。これにより、カーボンナノチューブ2に被覆膜3が形成されたか否かの判断は、カーボンナノチューブ2の色と被覆膜3の色とが異なるので、目視により行うことが可能である。
こうして得られた被覆カーボンナノチューブ1の電子顕微鏡写真を、図9に示す。この図9に示すように、被覆カーボンナノチューブ1は、灰色であって明度にばらつきが少ないことから、全周囲が厚さの均一性に優れた被覆膜3で覆われている。
一方、上記実験で使用された材料供給板Mを、上部から見た写真として図10(a)に示し、下部から見た写真として図10(b)に示す。図10(b)に示すように、材料供給板Mの下面において、カーボンナノチューブ2の直上方の範囲Mrが変色している。これは、材料供給板Mがカーボンナノチューブ2の直上方に位置することにより、この範囲Mrから材料がより昇華しやすくなったことで、表面粗さが変化したからである。この範囲Mrを拡大した電子顕微鏡写真(2行3列の6つの写真)を、図11に示す。これら6つの写真のうち、左列の上下2枚は材料の昇華が始まった材料供給板Mを示し、中列の上下2枚は材料の昇華がある程度進んだ材料供給板Mを示し、右列の上下2枚は材料の昇華が十分に進んだ材料供給板Mを示す。また、これら6つの写真のうち、下行の写真は上行の写真をそれぞれ拡大したものである。図11に示すように、材料供給板Mから材料が昇華するにつれて、表面粗さが変化する。
上記実施例1に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法では、基板K、材料供給板MおよびスペーサSの組を1つとしたが(図6および図7参照)、本実施例2に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法では、基板K、材料供給板MおよびスペーサSの組を複数にして積層する(図12参照)。以下、本実施例2に係る製造方法について説明するが、上記実施例1と異なる構成について説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例2に係る製造方法では、図12に示すように、例えばそれぞれ3つ(複数であればよい)の基板K(K1,K2,K3)、材料供給板M(M1,M2,M3)およびスペーサS(S1,S2,S3)を、タンタル容器V内に配置する。具体的には、図12(a)に示すように、まずカーボンナノチューブ2側が上面となるように第一層の基板K1をタンタル容器V内の底部に配置し、次に上記基板K1の周囲に第一層のスペーサS1を配置し、さらにスペーサS1に第一層の材料供給板M1を載置して上記基板K1のカーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。次いで、カーボンナノチューブ2側が上面となるように第二層の基板K2を第一層の材料供給板M1の上面に配置し、次に上記基板K2の周囲に且つ材料供給板M1の上面に第二層のスペーサS2を配置し、さらにスペーサS2に第二層の材料供給板M2を載置して上記基板K2のカーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。同様に、カーボンナノチューブ2側が上面となるように第三層の基板K3を第二層の材料供給板M2の上面に配置し、次に上記基板K3の周囲に且つ材料供給板M2の上面に第三層のスペーサS3を配置し、さらにスペーサS3に第三層の材料供給板M3を載置して上記基板K3のカーボンナノチューブ2に対面させるように配置する。
この配置により、図12(b)に示すように、3枚の基板K1〜K3の各カーボンナノチューブ2の全周囲に被覆膜3が一度に形成される。
このように、本実施例2に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、上記実施例1の効果も奏する上に、被覆カーボンナノチューブ1の生産性を向上させることができる。
上記実施例1に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法では、カーボンナノチューブ2の先端面の全てを材料供給板Mに対面させていたが、本実施例3に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法では、カーボンナノチューブ2の先端面の所望範囲のみを材料供給板Mに対面させる(図13および図14参照)。以下、本実施例3に係る製造方法について説明するが、上記実施例1と異なる構成について説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例3に係る製造方法では、図13(a)および図14(a)に示すように、基板Kに配置されたカーボンナノチューブ2の先端面の左右側(所望範囲の一例である)のみを材料供給板Mに対面させるように、材料供給板Mを配置する。
この配置により、図13(b)および図14(b)に示すように、材料供給板Mに対面するカーボンナノチューブ2には、材料供給板Mからの材料が上側から付着し、基板Kからの材料が下側から付着する。一方、材料供給板Mに対面しないカーボンナノチューブ2には、基板Kからの材料のみが下側から付着する。このため、材料供給板Mに対面したカーボンナノチューブ2が全周囲を被覆膜3で覆われ、材料供給板Mに対面しなかったカーボンナノチューブ2が下半分のみを被覆膜3で覆われる。
さらに、その後、この基板Kを500℃以上で加熱することにより、被覆膜3で覆われていないカーボンナノチューブ2が燃焼して、所望範囲のみの被覆カーボンナノチューブ1が残る。
このように、本実施例3に係る被覆カーボンナノチューブ1の製造方法によると、上記実施例1の効果も奏する上に、被覆カーボンナノチューブ1を所望範囲で製造することができる。
ところで、上記実施例1〜3では、基板Kが被覆膜3の材料と同一材料からなるとして説明したが、これは、基板Kの下側(カーボンナノチューブ2を配置しない側)に他材料からなる部材を取り付けることも許容する。同様に、上記実施例1〜3では、材料供給板Mが被覆膜3の材料と同一材料からなるとして説明したが、これは、材料供給板Mの上側(カーボンナノチューブ2に対面しない側)に他材料からなる部材を取り付けることも許容する。
また、上記実施例1〜3では、スペーサSの材質について詳しく説明しなかったが、被覆膜3と同一の材料からなるものであってもよい。この場合、加熱されたスペーサSからも材料が昇華し、カーボンナノチューブ2に付着するので、被覆膜3が厚さの均一性により優れて、被覆カーボンナノチューブ1の品質をより向上させることができる。
さらに、上記実施例2では、基板K、材料供給板MおよびスペーサSの組が3つであるとして説明したが、これは一例に過ぎず、複数であればよい。
また、上記実施例3では、所望範囲の例として左右側について説明したが、これは一例に過ぎず、被覆カーボンナノチューブ1を製造したい範囲であればよい。
また、上記実施例3では、基板を500℃程度で加熱する工程について説明したが、この工程は必須ではなく、省略してもよい。
M 材料供給板
K 基板
S スペーサ
1 被覆カーボンナノチューブ
2 カーボンナノチューブ
3 被覆膜

Claims (4)

  1. 被覆膜を垂直配向のカーボンナノチューブの全周囲に形成してなる被覆カーボンナノチューブの製造方法であって、
    上記被覆膜と同一の材料からなる基板に垂直配向のカーボンナノチューブを配置し、
    上記被覆膜と同一の材料からなる材料供給板を、上記垂直配向のカーボンナノチューブに対面させるように配置し、
    上記垂直配向のカーボンナノチューブが配置された基板と、上記材料供給板とを加熱することで、基板および材料供給板の材料を昇華させてカーボンナノチューブに付着させ、上記被覆膜を形成することを特徴とする被覆カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 基板および材料供給板がそれぞれ複数であり、
    上記材料供給板の配置が、これら材料供給板を上記垂直配向のカーボンナノチューブにそれぞれ対面させて、それぞれ複数の基板および材料供給板が積層するようにされたものであることを特徴とする請求項1に記載の被覆カーボンナノチューブの製造方法。
  3. 材料供給板の配置が、垂直配向のカーボンナノチューブにおいて被覆膜を形成する範囲にのみ当該材料供給板が対面するようにされたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の被覆カーボンナノチューブの製造方法。
  4. 被覆膜が、担持する触媒の固着性を向上させる材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の被覆カーボンナノチューブの製造方法。
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