JP6136579B2 - ガラス繊維集束剤、ガラス繊維、及びガラス繊維強化ポリアミド樹脂 - Google Patents

ガラス繊維集束剤、ガラス繊維、及びガラス繊維強化ポリアミド樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス繊維表面を被覆するために用いられるガラス繊維集束剤、より詳細には、ポリアミド樹脂を補強するのに好適なガラス繊維を被覆するために用いられるガラス繊維集束剤、該ガラス繊維が塗布されたガラス繊維、及びこのガラス繊維とポリアミド樹脂を複合化することにより製造されたガラス繊維強化ポリアミド樹脂に関する。
ガラス繊維は、種々の熱硬化性樹脂を強化する補強材として広く使用されており、ガラス繊維で強化されたガラス繊維強化樹脂材は、FRTP(Fiber Reinforced Thermo Plastics)と呼ばれている。FRTPは、金属代替材料として使用されており、FRTPの用途として、電機や電子関連の製品、及び車両の部品などが挙げられ、年々用途が広がっている。ガラス原料を約1200℃に熱し溶融させた溶融ガラスを、底部に多数のノズルが設置された白金製のブッシングと呼ばれる装置を用いて連続的に引き出してガラス繊維フィラメントとし、冷却後にガラス繊維表面処理剤をロールコーター法で塗布し、複数本のフィラメントを束ねてガラス繊維ストランドとした後、コレットに巻き取ることによって、補強材であるガラス繊維が製造される。そして、巻き取られたガラス繊維ストランドを所定の長さに切断し、乾燥させたチョップドストランドを、熱可塑性樹脂と混練し、複合化することにより、FRTPが製造される。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などが挙げられるが、それらの中でも、ポリアミド樹脂とガラス繊維を複合化させたガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、靭性、耐油性、耐磨耗性、引張り特性等の特性が優れた熱可塑性樹脂である。
特許文献1には、熱可塑性樹脂との接着性が良く、FRTPの機械的強度を高くすることができ、しかも耐水性が良好な、不飽和モノカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸と分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体との不飽和共重合体、不飽和モノカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸と分子中に1個の不飽和結合を有する単量体との飽和共重合体、シラン系カップリング剤、及びポリウレタン樹脂を含有する集束剤が開示されている。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸エステルと(無水)マレイン酸からなる重合性単量体混合物をラジカル共重合して得られる重量平均分子量が5000〜150000の共重合体を必須成分とし、(メタ)アクリル酸エステル(a)と(無水)マレイン酸(m)との重量比〔(a)/(m)〕が7/3〜3/7であるアクリル系樹脂組成物を、ガラス繊維集束剤に用いることで、良好な機械特性、特に成型物の引っ張り特性を有する繊維補強樹脂成型体が得られることが開示されている。
特開2005−330606号公報 特開2011−116589号公報
しかしながら特許文献1及び2に開示された集束剤を被覆したガラス繊維では、ポリアミド樹脂と複合化したガラス繊維強化材の靭性、耐磨耗性、引張り特性、耐湿熱性等の機械的強度が十分発現しない問題があった。
本発明は上述したような問題点に鑑み、熱可塑性樹脂、とくにポリアミド樹脂の補強材として用いた場合に、機械的強度が高いガラス繊維強化樹脂が得られるガラス繊維に塗布されるガラス繊維集束剤、このガラス繊維集束剤が塗布されたガラス繊維、及びこのガラス繊維とポリアミド樹脂からなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂を提供することである。
本発明者らは、熱可塑性樹脂、とくにポリアミド樹脂の補強材として用いた場合に、機械的強度が高くなるガラス繊維を提供することについて鋭意努力を重ねた結果、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルの質量比及び重量平均分子量を所定の範囲に調製した共重合化合物、アミノシラン、及びポリウレタン樹脂をガラス繊維集束剤に用いることで、上記の問題を解決できることを初めて見いだし、ここにその内容を提示するものである。
すなわち、本発明のガラス繊維集束剤は、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物20〜60質量%、アクリル酸メチル20〜75質量%、及びメタクリル酸メチル5〜20質量%が共重合してなる共重合化合物と、アミノシランと、ポリウレタン樹脂とを含有するガラス繊維集束剤であって、重量平均分子量が10000〜60000であることを特徴とする。
また、本発明のガラス繊維集束剤は、前記共重合化合物を0.5〜10.0質量%、前記アミノシランを0.3〜2.0質量%、前記ポリウレタン樹脂を0.5%〜5.0質量%含有してなることを特徴とする。
本発明のガラス繊維は、前記のガラス繊維集束剤が塗布されてなり、強熱減量が0.1〜1.5質量%であることを特徴とする。
また、本発明のガラス繊維は、3〜50μmの平均直径を有することを特徴とする。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂と前記のガラス繊維からなることを特徴とする。
以上に示した本発明により、機械的強度の高いガラス繊維強化ポリアミド樹脂が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[ガラス繊維集束剤]
本発明のガラス繊維集束剤は、ポリアミド樹脂と化学的(分子間力、イオン結合等)及び物理的(分子鎖どうしの絡み合い等)に結合しやすい、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物、アクリル酸メチル、及びメタクリル酸メチルが共重合した共重合化合物、ガラス繊維の表面と有機化合物と結び易くする作用を有するアミノシラン、ガラス繊維とポリアミド樹脂との結合作用を有するポリウレタン樹脂を含有する。そのため、このガラス繊維集束剤を用いたガラス繊維をポリアミド樹脂の補強材として用いた場合に、機械的強度の高いガラス繊維強化ポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明のガラス繊維集束剤は、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物20〜60質量%、アクリル酸メチル20〜75質量%、及びメタクリル酸メチル5〜20質量%が共重合してなる共重合化合物と、アミノシランと、ポリウレタン樹脂とを含有するガラス繊維集束剤であって、重量平均分子量が10000〜60000であることを特徴とする。以下、その詳細について説明する。
本発明のガラス繊維集束剤は、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルが共重合した共重合化合物を含む。共重合は、ラジカル重合、イオン重合などが挙げられる。
不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の共重合割合は、20〜60質量%である。不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の共重合割合が20質量%未満であると、ポリアミド樹脂との化学的な結合が不十分なものとなり、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂機械的強度が低下する。一方、不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の共重合割合が60質量%より大きいと、化学的な結合は十分であるものの、共重合が進行しにくく、共重合化合物の重量平均分子量が小さくなる。そのことで、ポリアミド樹脂との絡み合いが少なくなり、物理的な結合は不十分となる。重量平均分子量が小さくなると、ポリアミド樹脂と共重合化合物との絡み合いが悪くなり、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂の機械的強度が低下する。よ好ましい不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の共重合割合は、25〜55質量%である。
不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水クロレンディック酸等の無水ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、特に無水マレイン酸は、共重合時における立体障害が少なく、化合物の極性が小さいため、無水マレイン酸のみを共重合させることが好ましい。
アクリル酸メチルの共重合割合は、20〜75質量%である。アクリル酸メチルの共重合割合が20質量%未満であると、共重合が進行しにくく、共重合化合物の重量平均分子量が小さくなる。そのことで、ポリアミド樹脂との絡み合いが少なくなり、物理的な結合は不十分となる。一方、アクリル酸メチルの共重合割合が75質量%より大きいと、共重合している不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の割合が低くなり、ポリアミド樹脂との化学的な結合が不十分なものとなり、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂の機械強度が低下する。好ましいアクリル酸メチルの共重合割合は、30〜65質量%である。
メタクリル酸メチルの共重合割合は、5〜20質量%である。メタクリル酸メチルの共重合割合が5質量%未満であると、共重合が進行しにくく、共重合化合物の重量平均分子量が小さくなるため、ポリアミド樹脂との絡み合いが少なくなり、物理的な結合は不十分となる。一方、メタクリル酸メチルの共重合割合が20質量%より大きいと、共重合している不飽和ジカルボン酸またはカルボン酸無水物の割合が低くなり、ポリアミド樹脂との化学的な結合が不十分なものとなり、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂の機械強度が低下する。好ましいメタクリル酸メチルの共重合割合は、7〜17質量%である。
また、スチレン、エチレン、アセチレン等も共重合させても良い。その場合、これらの共重合割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、1質量%以下である。
共重合化合物の重量平均分子量は、10000〜60000である。共重合化合物の重量平均分子量が10000未満であると、ポリアミド樹脂との絡み合いが悪くなりガラス繊維強化樹脂材の機械強度が低下する。一方、共重合化合物の重量平均分子量が60000より大きいと、ガラス繊維のポリアミド樹脂中での分散性が悪化する。好ましい共重合化合物の重量平均分子量は、20000〜50000である。なお、共重合化合物の重量平均分子量は、ガスパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量である。
ガラス繊維集束剤中における共重合化合物の含有量は、0.5〜10.0質量%であることが好ましい。共重合化合物の含有量が0.5%未満であると、ポリアミド樹脂と化学的な結合をする成分が不足し、ガラス繊維強化樹脂材の機械強度が低下するおそれがある。一方、共重合化合物の含有量が10.0%より大きいと、機械的強度の向上効果に比べてコストが高くなる。また、ガラス繊維のポリアミド樹脂中での分散性が悪化するおそれがある。より好ましいガラス繊維集束剤中における共重合化合物の含有量は、1.0〜8.0質量%である。
アミノシランはアルコキシ基とアルキル基を有し、アルコキシ基は加水分解されることによりシラノール基となり、一部はガラス表面と結合し、残りは互いに結合することによりガラス表面で網目構造をとる。アルキル基はその末端に高反応性の官能基を有し、この官能基がカルボジイミド化合物やエポキシ樹脂などの結合剤と結合する。これに加えてシラノール結合やアルキル基は、ガラス繊維表面を傷や侵食から保護する。上記の結合より、アミノシランは引張強度、耐衝撃性を向上させるという効果を付与することが可能となる。
アミノシランとしては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。これらは単独で使用、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ガラス繊維集束剤中におけるアミノシランの含有量は、0.3〜2.0質量%であることが好ましい。アミノシランの含有量が、0.3質量%未満であると、アミノシランがガラス繊維全体を被覆することができないため、所望の効果が得られないおそれがある。一方、アミノシランの含有量が、2.0質量%より大きいと、本発明のガラス繊維用集束剤が塗布されたガラス繊維と熱可塑性樹脂とを混合させる際に、ガラス繊維の分散性が悪化してしまい、その結果引張強度も悪化するので好ましくない。より好ましいガラス繊維集束剤中におけるアミノシランの含有量は、0.5〜1.0質量%である。
ポリウレタン樹脂は、アミノシラン及びポリアミド樹脂との化学結合性が良好であり、ポリウレタン樹脂をガラス繊維集束剤に含有させることにより、ポリアミド樹脂が、ポリウレタン樹脂を介して、アミノシランのアルキル基末端の官能基と結合することができ、その結果、機械的強度が向上する。
ポリウレタンは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とをウレタン反応させることにより得られるものであり、ウレタン原料のうち、ポリエステルポリオール(縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等)、ポリエーテルポリオールなどが用いられる。
このうち縮合系ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその低級アルキルエステルと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカメチレングリコール等の側鎖を有しない脂肪族ジオールや、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の側鎖を有する脂肪族ジオールとを反応させたものなどが挙げられる。
ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、β−プロピオラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物を、短鎖のポリオール等のヒドロキシ化合物と共に反応させたものなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、短鎖のポリオール等のヒドロキシ化合物と、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネート又はエチレンカーボネートからエステル交換反応によって得られたものが使用される。例えば、ポリ−1,6−ヘキサメチレンカーボネート、ポリ−2,2’−ビス(4−ヒドロキシヘキシル)プロパンカーボネートなどが工業的に生産されており入手しやすい。ポリカーボネートポリオールを得る別の方法としては、いわゆるホスゲン法(又は溶剤法)によることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリンベースポリアルキレンエーテルグリコール等が挙げられる。上記のほか、各種のポリウレタン用ポリオールを使用することもできる。
ウレタン原料のうちポリイソシアネートとしては、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートや、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、多価アルコールとポリイソシアネートとのアダクトなどが挙げられる。
ウレタン化反応に際しては、多価アルコール、多価アミン等の鎖延長剤を使用することもできる。
ガラス繊維集束剤中におけるポリウレタン樹脂の含有量は、0.5〜5.0質量%であることが好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が、0.5質量%未満であると、ポリウレタン樹脂がガラス繊維全体を被覆することができないため、所望の効果が得られないおそれがある。一方、ポリウレタン樹脂野の含有量が、5.0質量%より大きいと、押出し成型時に分解ガスが発生するおそれがある。より好ましいガラス繊維集束剤中におけるポリウレタン樹脂の含有量は、1.0〜4.0質量%である。
また、ガラス繊維集束剤中には、上記成分以外に、潤滑剤、ノニオン系の界面活性剤、帯電防止剤等の各成分を含むことができ、それぞれの成分の配合比は、必要に応じて決定すればよい。潤滑剤としては、脂肪酸アミド、第4級アンモニウム塩などが使用できる。また、ノニオン系の界面活性剤としては、合成アルコール系、天然アルコール系、脂肪酸エステル系などが使用できる。また、水やアルコール等の有機溶媒に上記の成分を溶解させても良い。
[ガラス繊維]
本発明のガラス繊維は、上記に記載のガラス繊維集束剤が塗布されてなり、強熱減量が0.1〜1.5質量%であることを特徴とする。
溶融ガラスを白金製のブッシングの底部に設けられた多数のノズルから引き出すことによって形成された数十から数千本のガラス繊維モノフィラメントに、アプリケーターなどによってガラス繊維集束剤が塗布された後、束ねられて1本のガラス繊維ストランドとされ、その後ケーキとして巻き取られる。
本発明のガラス繊維は、アプリケーターなどによってガラス繊維集束剤を塗布し、乾燥させることにより完全に揮発性物質を揮発させた時におけるガラス繊維集束剤の重量割合、すなわち強熱減量が、0.1〜1.5質量%である。ガラス繊維表面に塗布されたガラス繊維集束剤の強熱減量が0.1質量%未満である場合には、上述した強度性能を十分に発揮することができなくなるので好ましくない。一方、ガラス繊維表面に塗布されたガラス繊維集束剤の強熱減量が1.5質量%より大きいと、塗布量の増加にもかかわらず、強度性能などの諸性能の向上が認められず、経済的ではない。より好ましい強熱減量は、0.4〜1.2質量%である。
ガラス繊維へのガラス繊維集束剤の強熱減量は、JIS R 3420(2006)7.3.2 に従い測定した値である。
本発明のガラス繊維は、上述に加え3〜50μmの平均直径を有するガラス長繊維であるならば、多様な複合化法を適用し、所望の形態の樹脂成型体を得ることが容易であるので好ましい。
ガラス繊維の平均直径が3μm未満では、複合化の際に、ポリアミド樹脂の流動性が低下し、一方、50μmより大きいと、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂として充分な強度、剛性が付与できない。より好ましい平均直径は、3〜20μmである。
ガラス繊維の平均直径は、長さ1000mのガラス繊維の質量の計測、ガラス繊維の密度の計測などからガラス繊維の直径値を算出してもよく、またレーザー計測機などにより繊維径を計測して得たものであってもよい。
本発明のガラス繊維の形状は特に限定されず、DWR、チョップドストランド、ペーパー、マット、ヤーンなどが適用できるが、チョップドストランド、DWRは、熱可塑性樹脂との混合しやすさの観点から見て好ましい。
ガラス繊維を構成するガラスは、特に限定されない。ガラス繊維を構成するガラスとしては、Eガラス(アルカリ成分2.0質量%以下の組成を有する)、ARガラス(耐アルカリ性を有するガラスの組成を有する)、Cガラス(耐酸性を有するアルカリ石灰含有ガラスの組成を有する)、Dガラス(低誘電率を有するガラスの組成を有する)、Hガラス(高誘電率を有するガラスの組成を有する)、Sガラス(高強度、高弾性率を有するガラスの組成を有する)、Tガラス(高強度、高弾性率を有するガラスの組成を有する)、Mガラス(高弾性率を有するベリリウムを含有するガラスの組成を有する)、NEガラス(低誘電率、低誘電正接を有するガラスの組成を有する)などが挙げられる。
[ガラス繊維強化ポリアミド樹脂]
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、上記に記載のガラス繊維とポリアミド樹脂とからなることを特徴とする。
本発明のポリアミド樹脂としては、ジアミンとジカルボン酸の共縮合で得られるもの、または環状アミドの重縮合により得られるものが挙げられる。
ポリアミド樹脂として、具体的には、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン11樹脂、ナイロン12樹脂、ナイロン9T樹脂、ナイロン10T樹脂、ナイロン610樹脂、ナイロン1010樹脂、ナイロン612樹脂、ナイロンMXD10樹脂、ナイロン410樹脂等が挙げられる。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、ガラス繊維が5〜70質量%、ポリアミド樹脂が30〜95質量%複合化されてなることが好ましい。上記のような割合であれば、十分な強度となり、かつ製造時におけるガラス繊維とポリアミド樹脂との混練性に優れる。ガラス繊維が5質量%未満、またはポリアミド樹脂が95質量%より大きいと、ガラス繊維の含有量が少なく、複合材料としての性能が十分発揮されないおそれがある。一方、ガラス繊維が70質量%より大きく、またはポリアミド樹脂が30質量%未満であると、ガラス繊維とポリアミド樹脂とが十分に混練されず、ガラス繊維がポリアミド樹脂中に均一に混合されにくい。より好ましい含有量としては、ガラス繊維が15〜60質量%、ポリアミド樹脂が40〜85質量%である。
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加成分、例えば酸化防止剤、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、顔料、カーボンブラック及び帯電防止剤などの添加剤や、炭素繊維、無機フィラー、合成繊維などの、ガラス繊維以外の補強材を適量含有してよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[測定試料の作製]
(実施例)
以下に、実施例にかかる測定試料を作製方法について説明する。
試料No.1の試料は以下の手順により作製した。
最初に、Eガラスのガラス組成となるように秤量、調合した各種のガラス原料を加熱溶融し、溶融ガラスを、白金製のブッシングに形成された多数の耐熱性ノズルから引き出して平均直径が10.5μmのガラス繊維モノフィラメントを作製し、後述するガラス繊維集束剤を、強熱減量が1.0質量%となるようにアプリケーターで塗布し、6000本のガラス繊維モノフィラメントを1本に集束させることで、強熱減量が0.45質量%のガラス繊維ストランドを得た。
ガラス繊維集束剤は、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、アミノシラン)KBE−903(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、ポリウレタン樹脂Y65−55(株式会社ADEKA製)2質量%、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%、共重合化合物水溶液が3質量%となるように脱イオン水で調製することで作製した。
次いでガラス繊維ストランドを3mmの長さに切断した後、乾燥することによってチョップドストランドを作製し、PA66樹脂 ZYTEL101L(E. I. du Pont de Nemours and Company製)70wt%と、チョップドストランド30wt%を、2軸押出機を用いてペレット化した。作製したペレットを用いて射出成形を行い、ASTM D638に従い、引張試験片を作製した。
試料No.2の試料は、ガラス繊維集束剤中のアミノシランが1質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.3の試料は、ガラス繊維集束剤中のポリウレタン樹脂が1質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.4の試料は、ガラス繊維集束剤中のポリウレタン樹脂が4質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.5の試料は、ガラス繊維集束剤中の共重合化合物が1質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.6の試料は、ガラス繊維集束剤中の共重合化合物が8質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.7の試料は、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物の代わりに、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が50000である共重合化合物が3質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
(比較例)
以下に、比較例にかかる測定試料を作製方法について説明する。
試料No.8の試料は、無水マレイン酸40質量%、アクリル酸メチル50質量%、及びメタクリル酸メチル10質量%を共重合させ、重量平均分子量が5000である共重合化合物が3質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
試料No.9の試料は、無水マレイン酸10質量%、アクリル酸メチル70質量%、及びメタクリル酸メチル20質量%を共重合させ、重量平均分子量が20000である共重合化合物が3質量%となるように調製したこと以外は、試料No.1と同様にして作製した。
[評価]
作製した引張試験片を用いて、ASTM D638に従い引張強度を測定した。また耐湿熱性に関する評価を行うため、130℃で加温保持したラジエータークーラント(LLC(ロングライフクーラント))に引張試験片を500時間浸漬保持した後、当該試料の引張強度を、ASTM D638に従い測定した。
実施例及び比較例で得られた評価結果を表1及び2に示す。
表1に示すように、全ての実施例において引張強度が174MPa以上、かつLLC浸漬後の引張強度が110MPaであり、十分な引張強度及び耐湿熱性を有し、十分な機械的強度のガラス繊維強化ポリアミド樹脂が得られた。それに対し、表2の比較例は、引張強度が168MPa以下、LLC浸漬後の引張強度が100MPa以下であり、引張強度と耐湿熱性が劣っていた。

Claims (5)

  1. 不飽和ジカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物20〜60質量%、アクリル酸メチル20〜75質量%、及びメタクリル酸メチル5〜20質量%が共重合してなる共重合化合物と、アミノシランと、ポリウレタン樹脂とを含有するガラス繊維集束剤であって、
    前記共重合化合物の重量平均分子量が10000〜60000であるガラス繊維集束剤。
  2. 前記共重合化合物を0.5〜10.0質量%、前記アミノシランを0.3〜2.0質量%、前記ポリウレタン樹脂を0.5%〜5.0質量%含有してなる請求項1に記載のガラス繊維集束剤。
  3. 請求項1または2に記載のガラス繊維集束剤が塗布されてなり、
    強熱減量が0.1〜1.5質量%であるガラス繊維。
  4. 3〜50μmの平均直径を有する請求項3に記載のガラス繊維。
  5. 請求項3または4のガラス繊維と、ポリアミド樹脂とからなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂。
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