以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による冷却装置100の構成について説明する。なお、冷却装置100は、本発明の「冷媒流量制御装置」の一例である。
第1実施形態による冷却装置100は、図1に示すように、冷媒に二酸化炭素(CO2)を用いて所定の冷凍サイクルを形成可能な冷凍機1と、商品を陳列して販売するショーケース2とを備えている。また、店舗内に設置されたショーケース2は、屋外に設置された冷凍機(室外機)1に冷媒配管(液管)3aおよび冷媒配管(ガス管)3bを介して接続されている。
冷凍機1は、圧縮機10と、吐出管3cにより圧縮機10に接続されたガスクーラ(放熱器)20とを含んでいる。圧縮機10は、冷凍サイクルにおける低圧側から吸入されたガス冷媒を圧縮して高圧側(吐出管3c)に吐出する役割を有している。ここで、圧縮機10には、回転数の変更により冷媒吐出量が制御可能なインバータ圧縮機を用いている。ガスクーラ20は、内部を流通する過熱ガス状態の冷媒を送風機21により送風される外部空気を用いて冷却する機能を有している。また、ガスクーラ20内で凝縮(液化)された冷媒は、冷媒配管3aを流通して電子膨張弁30に流入される。
ショーケース2は、電子膨張弁30と、冷媒配管3dにより電子膨張弁30の下流に接続された蒸発器40と、電子膨張弁30に流入される前の高圧(高温)側冷媒と蒸発器40から流出した低圧(低温)側冷媒との間の熱交換を行うための内部熱交換器50とを含んでいる。電子膨張弁30は、ガスクーラ20で冷却(液化)された冷媒を絞り膨張(減圧)させて蒸発器40に供給する役割を有している。ここで、電子膨張弁30は、パルス制御により駆動されるステッピングモータ31の駆動力を利用して弁機構を開閉駆動されるように構成されている。なお、電子膨張弁30により絞り膨張された液冷媒は、気相および液相からなる気液二相状態のまま冷媒配管3dから蒸発器40に流入される。
蒸発器40は、一対の側板(エンドプレート)41間を往復蛇行する伝熱管42を備えている。また、伝熱管42の直管部が側板41間に所定のピッチ(間隔)を有して配置された複数の薄い板状のフィン部材43のフィンカラー部(図示せず)に圧入されており、蒸発器40は、伝熱管42の内部を冷媒が流通するプレートフィン型の空気熱交換器として構成されている。また、蒸発器40は、電子膨張弁30から供給された気液二相状態の冷媒を蒸発(気化)させる機能を有している。すなわち、冷媒は、蒸発器40の入口部42aから出口部42bに向かうにしたがって所定の蒸発潜熱を得ながら蒸発し、この際、ショーケース2の内部を循環する空気から熱が奪われて冷却空気が形成される。また、蒸発器40における蒸発後の冷媒は、気相を多く含んだガス状態となって冷媒配管(ガス管)3b、内部熱交換器50および吸入管3eの順に流通されて圧縮機10に戻される。
内部熱交換器50は、プレート式熱交換器であり、ガスクーラ20により凝縮された高圧(高温)側の液冷媒と、蒸発器40(伝熱管42)から圧縮機10に戻される低圧(低温)側の冷媒との間の熱交換を行う機能を有している。すなわち、冷却運転時に、ガスクーラ20から電子膨張弁30に向かって流れる液化された冷媒(液冷媒)の熱を、蒸発器40から圧縮機10に向かって流れる低温低圧の冷媒に付与することにより、液冷媒の温度を低下させて液冷媒に過冷却度(サブクール)を確保するとともに、低温低圧の冷媒の温度を上昇(蒸発)させて気相状態にする役割を有している。
このように、冷却装置100では、圧縮機10から吐出された冷媒(CO2)が、矢印P方向に沿って、吐出管3c、ガスクーラ20、冷媒配管(液管)3a、電子膨張弁30、冷媒配管3d、蒸発器40、冷媒配管(ガス管)3b、内部熱交換器50および吸入管3eの順に流れて圧縮機10に帰還されるサイクルを繰り返す。また、冷却装置100は、冷凍機1およびショーケース2の動作制御を行うための制御部70を冷凍機1に備えている。これにより、冷凍機1を運転することによってショーケース2の内部が所定の冷蔵温度に維持管理されるように構成されている。なお、ここで述べるショーケース2の内部とは、商品棚に陳列された商品(図示せず)を収容する収容庫を示しており、蒸発器40により冷却された空気が収容庫に吹き出される空間部分のことを意味する。
ここで、第1実施形態では、蒸発器40には、伝熱管42を流通する冷媒温度を検出するための冷媒温度センサ81および82(図2参照)が取り付けられている。具体的には、図1に示すように、冷媒温度センサ81は、蒸発器40(伝熱管42)の入口部42a近傍に取り付けられている。また、冷媒温度センサ82は、蒸発器40(伝熱管42)の出口部42b近傍に取り付けられている。したがって、冷媒温度センサ81は、電子膨張弁30の下流側でかつ蒸発器40(伝熱管42)に流入する入口部42a近傍の冷媒温度T1を検出する機能を有しており、冷媒温度センサ82は、蒸発器40(伝熱管42)から流出する出口部42b近傍の冷媒温度T2を検出する機能を有している。
また、第1実施形態では、冷媒温度センサ81および82に加えて、冷媒配管(ガス管)3bに、冷媒温度センサ83(図2参照)が取り付けられている。具体的には、図1に示すように、冷媒温度センサ83は、冷媒温度センサ82よりも下流側に配置され、蒸発器40の出口部42bから入口部50aを経て内部熱交換器50の出口部50bまでの間の冷媒配管3bを流通する冷媒の冷媒温度T3を検出する機能を有している。また、冷媒温度センサ81〜83は、制御部70にそれぞれ接続されている。なお、冷媒温度センサ81〜83は、それぞれ、本発明の「第1冷媒温度検出部」、「第2冷媒温度検出部」および「第3冷媒温度検出部」の一例である。また、冷媒温度センサ81は、本発明の「第6冷媒温度検出部」の一例である。
そして、第1実施形態では、冷媒温度センサ81〜83により各々検出された冷媒温度T1〜T3に基づいて電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。具体的には、冷媒温度センサ81により検出された冷媒温度T1と冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1(=T2−T1)よりも、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づく蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH2(=T3−T2)が大きくなるとともに、この冷媒配管3bを流通する冷媒が気相状態になるように電子膨張弁30の開度が制御される。なお、過熱度SH1および過熱度SH2は、それぞれ、本発明の「第1過熱度」および「第2過熱度」の一例である。また、過熱度SH1は、本発明の「第5過熱度」の一例である。
また、第1実施形態では、過熱度SH1が0度近傍で、かつ、過熱度SH2が0度よりも大きい値になるように電子膨張弁30の開度が制御される。すなわち、冷媒温度センサ81および82により各々検出される冷媒温度T1およびT2に基づいて蒸発器40における冷媒の蒸発完了点(冷媒が気液二相状態から気相状態に変化する直前の状態)が蒸発器40の出口部42b近傍に位置するように蒸発器40への冷媒供給量(冷媒流量)が調整されている。したがって、蒸発器40の入口部42aから出口部42bに亘る略全ての伝熱管42の部分が冷媒の蒸発領域として使用されるので、蒸発器40の熱交換性能(冷却能力)を最大限に発揮させることが可能に構成されている。また、蒸発器40と内部熱交換器50との間の冷媒配管3bにおいては冷媒が確実に気相状態に変化するので、圧縮機10に対する冷媒の吸入過熱度が確実に確保されて圧縮機10への冷媒の液相戻り(液バック現象)が容易に防止されるように構成されている。なお、過熱度の単位に関しては、たとえば、過熱度が3度とは、過熱度が3K(ケルビン)であることを示す。
このように、冷却装置100では、冷媒温度センサ81および82により各々検出される冷媒温度T1およびT2に基づいて蒸発器40の内部における冷媒の状態(冷媒の蒸発に伴う相変化の状態)を正確に把握するとともに、冷媒温度センサ82および83により各々検出される冷媒温度T2およびT3に基づいて蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管3bにおける冷媒の状態も正確に把握しながら電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。
また、図1に示すように、ショーケース2の内部には、蒸発器40により冷却された空気を送風するための送風機45が設けられている。また、ショーケース2には、送風機45により送風されるとともに蒸発器40から供給される冷却空気の温度を検出するための空気温度センサ89が取り付けられている。また、空気温度センサ89は、制御部70に接続されている。したがって、冷却運転中、制御部70により、上記した電子膨張弁30の開度制御とともに圧縮機10の回転数制御も行われて、ショーケース2の内部(商品収容庫)が所定の冷蔵温度に維持されるように構成されている。
また、冷却装置100の制御的な構成としては、図2に示すように、CPUからなる制御部70に加えて、ROM71およびRAM72が設けられている。制御部70は、冷媒温度センサ81〜83、および、空気温度センサ89からの入力信号に基づいて所定の判断を行い、冷凍機1を構成する圧縮機10および送風機21、および、ショーケース2を構成する電子膨張弁30、送風機45などの各種機能部品を適切に駆動する制御を行うように構成されている。
また、ROM71には、制御部70が実行する制御プログラムに加えて電子膨張弁30の開度制御に使用される開度制御テーブル(図示せず)や圧縮機10の回転数制御に関する周波数制御テーブル(図示せず)などが格納されている。なお、開度制御テーブルには、冷媒温度センサ81〜83から算出される過熱度SH1およびSH2の値に応じた弁開度の変更量(パルス数)が規定されている。また、RAM72は、制御プログラムが実行される際に用いられる制御上のパラメータを一時的に保存する作業用メモリとして用いられる。
次に、図1〜図3を参照して、第1実施形態による冷却装置100によって冷却運転が行われる際の制御部70による電子膨張弁30の開度制御に関する処理フローについて説明する。
まず、ステップS1では、図3に示すように、蒸発器40(図2参照)を流通する冷媒の冷媒温度T1〜T3が制御部70(図2参照)により取得される。すなわち、図1に示すように、冷媒温度センサ81による伝熱管42の入口部42a近傍の冷媒温度T1と、冷媒温度センサ82による伝熱管42の出口部42b近傍の冷媒温度T2と、冷媒温度センサ83による蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管3bにおける冷媒温度T3とが取得される。
ステップS2では、図3に示すように、冷媒温度T1と冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b(図1参照)近傍における冷媒の過熱度SH1(=T2−T1)が算出されるとともに、冷媒温度T2と冷媒温度T3とに基づく冷媒配管3bの位置での冷媒の過熱度SH2(=T3−T2)が算出される。
そして、ステップS3では、過熱度SH1が0度近傍か否かが制御部70により判断される。なお、算出された過熱度SH1は、制御上、0度以上3度以下の範囲にある場合に過熱度SH1が0度近傍であると判断される。ステップS3において、過熱度SH1が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)であると判断された場合には、ステップS4において、過熱度SH2が0度よりも大きい(SH2>0)気相状態であるか否かが制御部70により判断される。なお、ステップS4において、過熱度SH2が0度よりも大きいと判断された場合には、電子膨張弁30(図1参照)の開度は変更されない。すなわち、伝熱管42(図1参照)における冷媒の蒸発完了点が出口部42b近傍に位置した理想的な状態であり、電子膨張弁30の現在の開度に伴う冷媒供給量のもとでは蒸発器40(図1参照)の入口部42aから出口部42bに亘る略全ての領域が冷媒の蒸発過程に使用されて蒸発器40が効率的に機能している状態である。さらに、下流の冷媒配管3bにおいては適度な過熱度SH2が得られている状態である。したがって、制御部70により電子膨張弁30の開度が維持されるとともに本制御フローは終了される。
また、ステップS4において、過熱度SH2が0度以下(過熱度SH2が得られていない状態)であると判断された場合には、ステップS5に進み、電子膨張弁30の開度が所定量だけ減少される。すなわち、冷媒の蒸発完了点が出口部42b近傍に位置していたとしても冷媒配管3bを流通する冷媒は気液二相状態であるので、冷媒配管3bを流通する冷媒を気相化させる(過熱度SH2を得る)ために電子膨張弁30を絞って冷媒供給量(冷媒流量)を減少させるような制御が行われる。具体的には、制御部70からステッピングモータ31に対して電子膨張弁30の開度を現在の状態から所定量だけ小さい開度に変更するためのパルス数に対応する制御信号が送信される。そしてステッピングモータ31が回動されて、電子膨張弁30は開度が減少される。なお、冷媒配管3bの下流側に内部熱交換器50が接続されているので、内部熱交換器50を流通する冷媒(低圧側冷媒)は高圧側冷媒の熱を吸熱して確実に気相化される。すなわち、内部熱交換器50が低圧側冷媒の気相化を図るための緩衝材(バッファ)の役割を果たすので、ステップS5による制御1回あたりの電子膨張弁30の開度減少量(パルス数)は小さい。したがって、ステップS3、S4およびS5の処理フローが繰り返される場合、電子膨張弁30の開度はゆっくりと(小刻みに)減少される。
一方、ステップS3において、過熱度SH1が0度近傍ではない(過熱度SH1が0度近傍以外である)と判断された場合には、ステップS6に進む。
ステップS6では、冷媒の過熱度SH1が上記した0度近傍以外の正の値(SH1>3度)であるか否かが制御部70により判断される。過熱度SH1が0度近傍以外の正の値(SH1>3度(3K))であると判断された場合には、ステップS7に進み、電子膨張弁30(図1参照)の開度が所定量だけ増加される。すなわち、冷媒の蒸発完了点が蒸発器40(図1参照)の出口部42bよりも上流側(蒸発器40の内部)に存在する状態であり、蒸発器40内部の蒸発完了点と出口部42bとの間で冷媒が気相化(ガス化)される分、この区間での熱交換性能が低下している状態である。したがって、蒸発完了点を出口部42b近傍に移動させるために電子膨張弁30を開いて冷媒供給量(冷媒流量)を増加させるような制御が行われる。具体的には、制御部70からステッピングモータ31(図1参照)に対して電子膨張弁30の開度を現在の状態から所定量だけ大きい開度に変更するためのパルス数に対応する制御信号が送信される。そしてステッピングモータ31が回動されて電子膨張弁30は開度が増加される。
また、ステップS6において、算出される過熱度SH1が0度近傍以外の負の値(SH1<0)であると判断された場合には、ステップS8に進む。すなわち、冷媒の蒸発完了点が蒸発器40の出口部42b近傍には存在せず蒸発器40よりも下流側の冷媒配管3bに存在する状態であり、蒸発器40においては蒸発し切らない気液二相冷媒が伝熱管42の入口部42aから出口部42bに亘って過剰に流れることで熱交換性能が低下している状態である。このため、蒸発完了点を出口部42b近傍に戻すために電子膨張弁30を絞って冷媒供給量(冷媒流量)を減少させるような制御が行われる。
したがって、ステップS8では、電子膨張弁30の開度が所定量だけ減少されて本制御フローは一旦終了される。なお、内部熱交換器50が低圧側冷媒の気相化を図るための緩衝材の役割を果たすので、ステップS8による制御1回あたりの電子膨張弁30の開度減少量(パルス数)は小さい。したがって、ステップS3、S6およびS8の処理フローが繰り返される場合、電子膨張弁30の開度はゆっくりと(小刻みに)減少される。これにより、冷媒供給量が絞られて冷媒の蒸発完了点が冷媒配管3bの位置から上流側の蒸発器40の出口部42b近傍に若干戻される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図3に示した本制御フローが実行される。このようにして、制御部70による電子膨張弁30の開度制御が行われる。
第1実施形態では、上記のように、蒸発器40の入口部42a近傍の冷媒温度T1を検出する冷媒温度センサ81と、蒸発器40の出口部42b近傍の冷媒温度T2を検出する冷媒温度センサ82と、蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管(ガス管)3bを流通する低圧側の冷媒温度T3を検出する冷媒温度センサ83と、冷媒温度センサ81により検出された冷媒温度T1と、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と、冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づいて電子膨張弁30の開度を制御する制御部70とを備えることによって、電子膨張弁30、蒸発器40および内部熱交換器50の順に配置された低圧側冷媒の経路において、冷媒温度センサ81および82により各々検出される冷媒温度T1およびT2に基づいて蒸発器40の内部における冷媒の状態(冷媒の蒸発に伴う相変化の状態)を正確に把握することができ、かつ、冷媒温度センサ82および83により各々検出される冷媒温度T2およびT3に基づいて蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管3bにおける冷媒の状態についても正確に把握することができる。これにより、蒸発器40内部の冷媒の蒸発具合と冷媒配管3bの冷媒状態とを共に把握しながら電子膨張弁30の開度を調整することができるので、電子膨張弁30の開度制御により蒸発器40の内部における冷媒の蒸発具合を最適化することができるとともに、電子膨張弁30の開度制御と内部熱交換器50における低圧側冷媒の吸熱とにより低圧側冷媒をより安定的に気相状態にすることができる。その結果、圧縮機10への冷媒の液相戻り(液バック現象)を回避しながら蒸発器40の熱交換性能を向上させて冷却装置100の効率的な運転を図ることができる。
また、第1実施形態では、冷媒温度T1と冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1よりも、冷媒温度T2と冷媒温度T3とに基づく冷媒配管3bにおける冷媒の過熱度SH2が大きくなるとともに、冷媒配管3bにおける冷媒が気相状態になるように電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成する。これにより、内部熱交換器50での低圧側冷媒の吸熱および電子膨張弁30の開度制御により、蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間の冷媒配管3bを流通する冷媒を容易に安定的に気相状態にすることができるとともに、冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH2を蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1よりも大きくなるように電子膨張弁30の開度制御を行うことによって、蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1を容易に0度近傍に制御することができる。
また、上記構成においては、電子膨張弁30の開度制御の過程で、蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1がたとえば0度よりも小さくなった(冷媒の蒸発完了点が蒸発器40の内部に存在せず冷媒が気液二相状態のまま蒸発器40から流出する)場合でも、内部熱交換器50において高圧側冷媒の熱を気液二相状態の低圧側冷媒に適切に吸熱させて低圧側冷媒を確実に気相状態にすることができるので、圧縮機10に対する冷媒の液相戻り(液バック現象)を回避した状態で、電子膨張弁30の開度をゆっくりと(小刻みに)減少させて過熱度SH1を得るような制御を行うことができる。また、過熱度SH1が得られ過ぎて電子膨張弁30の開度を増加させた際、下流の過熱度SH2が一時的に0度よりも小さくなる(気液二相状態になる)場合でも、内部熱交換器50が低圧側冷媒の気相化制御を確実に図るための緩衝材(バッファ)の役割を果たすので、圧縮機10に対する冷媒の液相戻りを回避した状態で再び電子膨張弁30の開度をゆっくりと減少させて過熱度SH2と過熱度SH1とを得るような制御を繰り返すことができ低圧側のサイクル状態を大きく乱すことがない。このように、電子膨張弁30の開度の増加および減少が繰り返されても、蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1が大きくハンチング(振動)することが抑制されるので、電子膨張弁30の開度制御に伴う蒸発器40の冷却効率の上下変動が穏やかとなり、冷却装置100の運転効率が低下することを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態では、過熱度SH1が0度近傍(過熱度SH1が0度以上3度以下の範囲に収められる状態)で、かつ、過熱度SH2が0度よりも大きい値になるように電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成する。これにより、冷媒温度センサ81および82により各々検出される冷媒温度T1およびT2に基づいて蒸発器40における冷媒の蒸発完了点(冷媒が気液二相状態から気相状態に変化する直前の状態)が蒸発器40の出口部42b近傍に位置するように蒸発器40の内部(伝熱管42)を流通する冷媒の状態が制御されるので、蒸発器40の入口部42aから出口部42bに亘る略全ての伝熱管42の部分を冷媒の蒸発過程として使用することができる。すなわち、蒸発器40を冷媒の蒸発に関して最も有効かつ高効率に使用することができるので、蒸発器40が有する熱交換性能(冷却能力)を最大限に発揮させることができる。また、蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の出口部50bとの間においては、冷媒は確実に気相状態に変化するので、圧縮機10に対する冷媒の吸入過熱度が確実に確保されて圧縮機10への冷媒の液相戻りを容易に防止することができる。
(第2実施形態)
図4〜図6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、冷媒配管3bに設けられた冷媒温度センサ83に加えて、内部熱交換器50の内部(入口部50aから出口部50bまでの間)を流通する低圧側冷媒の冷媒温度T4を検出するための冷媒温度センサ84を内部熱交換器50に新たに設けて電子膨張弁30の開度制御を行う例について説明する。なお、冷媒温度センサ83および84は、ぞれぞれ、本発明の「第4冷媒温度検出部」および「第5冷媒温度検出部」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第2実施形態による冷却装置200では、図4および図5に示すように、内部熱交換器50の内部を流通する低圧側の冷媒温度T4を検出するための冷媒温度センサ84を設けている。また、冷媒温度センサ84は、制御部70に接続されている。なお、冷却装置200は、本発明の「冷媒流量制御装置」の一例である。
ここで、第2実施形態では、冷媒温度センサ81〜84により各々検出された冷媒温度T1〜T4に基づいて電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。具体的には、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づく蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の入口部50aとの間の冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH3(=T3−T2)と、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ84により検出された冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50の内部における冷媒の過熱度SH4(=T4−T2)との相互関係に基づいて、電子膨張弁30の開度が制御される。なお、過熱度SH3および過熱度SH4は、それぞれ、本発明の「第3過熱度」および「第4過熱度」の一例である。
また、第2実施形態では、下流側の過熱度SH4が上流側の過熱度SH3よりも大きい場合に電子膨張弁30の開度を増加させて過熱度SH4の増加を抑制するとともに、過熱度SH4が増加方向から減少方向に転じた際に電子膨張弁30の開度を減少させる制御が行われるように構成されている。そして、過熱度SH1が0度近傍で、かつ、過熱度SH3が0度よりも大きい値になるように電子膨張弁30の開度が制御される。すなわち、過熱度SH3と過熱度SH4との両方の推移に基づいて冷媒流量の調整を詳細に行いながら蒸発器40の冷却効率の上下変動を極力抑えつつ、過熱度SH1を0度近傍(0度以上3度以下の範囲)に維持しながら蒸発器40の熱交換性能(冷却能力)を最大限に得るような制御が行われている。
次に、第2実施形態による冷却装置200によって冷却運転が行われる際の制御部70による電子膨張弁30の開度制御に関する処理フローについて説明する。
図6に示すように、まず、ステップS21では、蒸発器40(図4参照)を流通する冷媒の冷媒温度T1〜T4が制御部70(図5参照)により取得される。すなわち、図4に示すように、冷媒温度センサ81による冷媒温度T1と、冷媒温度センサ82による冷媒温度T2と、冷媒温度センサ83による冷媒配管3bにおける冷媒温度T3と、冷媒温度センサ84による内部熱交換器50の内部における冷媒温度T4とが取得される。
そして、ステップS22では、図6に示すように、蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1が算出されるとともに、冷媒配管3b(図4参照)の位置での冷媒の過熱度SH3(=T3−T2)が算出される。さらには、冷媒温度T2と冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50(図4参照)の内部における冷媒の過熱度SH4(=T4−T2)が算出される。
そして、ステップS23では、過熱度SH1が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)か否かが制御部70により判断される。ステップS23において、過熱度SH1が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)であると判断された場合には、ステップS24において、過熱度SH3が0度よりも大きい(SH3>0)気相状態であるか否かが制御部70により判断される。なお、ステップS24において、過熱度SH3が0度よりも大きいと判断された場合には、電子膨張弁30(図4参照)の開度が維持されるとともに本制御フローは終了される。
また、ステップS24において、過熱度SH3が0度以下(過熱度SH3が得られていない状態)であると判断された場合には、ステップS25に進み、電子膨張弁30の開度が所定量だけ減少される。なお、内部熱交換器50が低圧側冷媒の気相化を図るための緩衝材の役割を果たすので、ステップS25による制御1回あたりの電子膨張弁30の開度減少量は小さい。したがって、ステップS23、S24およびS25の処理フローが繰り返される場合、電子膨張弁30の開度はゆっくりと減少される。
一方、ステップS23において、過熱度SH1が0度近傍ではない(過熱度SH1が0度近傍以外である)と判断された場合には、ステップS26に進む。ステップS26では、現在の冷媒の過熱度SH1が上記した0度近傍以外の正の値(SH1>3度(3K))であるか否かが制御部70により判断される。
ここで、第2実施形態では、過熱度SH1が0度近傍以外の正の値であると判断された場合には、ステップS27に進み、過熱度SH4が増加傾向にあるか否かが判断される。すなわち、所定の制御周期で本制御フロー(特にステップS23、S26およびS27)が繰り返される際の、前回算出された過熱度SH4と今回算出された過熱度SH4とが比較されることにより、過熱度SH4の増減状況が判断される。なお、先のステップS26においてYes判定(過熱度SH1が0度近傍以外の正の値(SH1>3度)である)となった場合には、下流における内部熱交換器50の内部の冷媒の過熱度SH4は、高圧側冷媒から吸熱されるので冷媒配管3bの位置での冷媒の過熱度SH3よりも大きい(SH3<SH4)。そして、ステップS27において過熱度SH4が増加傾向にあると判断された場合には、ステップS28に進み、電子膨張弁30(図4参照)の開度が所定量(微小量)だけ増加される。これにより、冷媒供給量(冷媒流量)が微小量増加されて、過熱度SH1、SH3およびSH4が共に減少されるような制御が行われる。なお、電子膨張弁30の開度を増加させる際も制御1回あたりの開度増加量は微小である。この理由としては、ステップS23およびS26〜S28の処理フローが繰り返される場合に制御1回あたりの開度増加量をゆっくりに(小刻みに)することで過熱度SH4の増減変化もゆっくりとなり、過熱度SH4の増減変化を正確に判断するためである。
制御1回あたりの開度増加量を小刻みにした状況下で、ステップS27において過熱度SH4が増加傾向にない(増加方向から減少方向に転じた状態である)と判断された場合には、ステップS29に進む。
ステップS29では、電子膨張弁30の開度が所定量(微小量)だけ減少される。これにより、冷媒供給量(冷媒流量)が微小量減少されて、過熱度SH1、SH3およびSH4が共に増加されるような制御が行われて本制御フローは一旦終了される。
また、ステップS26において過熱度SH1が0度近傍以外の負の値(SH1<0)であり過熱度が得られず気液二相状態であると判断された場合においても、ステップS29に進む。この場合も、電子膨張弁30の開度の減少とともに冷媒供給量(冷媒流量)が微小量減少されて、過熱度SH1、SH3およびSH4が共に増加されるような制御が行われて本制御フローは一旦終了される。このように、ステップS29を繰り返す際も、制御1回あたりの電子膨張弁30の開度減少量は小さく、電子膨張弁30の開度はゆっくりと減少される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図6に示した本制御フローが実行される。
このように、第2実施形態では、ステップS26およびS27の判断で過熱度SH4が過熱度SH3よりも大きい場合に電子膨張弁30の開度を小刻みに増加させて過熱度SH4の増加を抑制するとともに、過熱度SH4が増加方向から減少方向に転じた際に電子膨張弁30の開度を小刻みに減少させる制御を行うように構成されている。このようにして、制御部70による電子膨張弁30の開度制御が行われる。なお、第2実施形態による冷却装置200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の入口部50aとの間を流通する低圧側の冷媒温度T3を検出する冷媒温度センサ83と、冷媒温度センサ83よりも下流側に配置され、内部熱交換器50の内部を流通する低圧側の冷媒温度T4を検出する冷媒温度センサ84とを設ける。そして、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づく蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の入口部50aとの間の冷媒の過熱度SH3と、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ84により検出された冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50の内部における冷媒の過熱度SH4とを算出する。そして、過熱度SH3と過熱度SH4との相互関係に基づいて、電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成する。これにより、過熱度SH1に加えて、蒸発器40の出口部42bを基準とした場合の内部熱交換器50の入口部50aまでの区間(冷媒配管3b)を流通する低圧側冷媒が有する過熱度SH3と、蒸発器40の出口部42bを基準とした場合の内部熱交換器50内を流通する低圧側冷媒が有する過熱度SH4との両方に基づいて電子膨張弁30の開度制御をより詳細に行うことができる。すなわち、過熱度SH3と過熱度SH4との両方の推移に基づいて冷媒流量の調整を詳細に行いながら蒸発器40の冷却効率の上下変動を極力抑えることができるので、冷却装置200においては、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度SH1を0度近傍(0度以上3度以下の範囲)に安定的に維持した運転を継続させることができる。
また、第2実施形態では、過熱度SH4が過熱度SH3よりも大きい場合に電子膨張弁30の開度を増加させて過熱度SH4の増加を抑制するとともに、過熱度SH4が増加方向から減少方向に転じた際に電子膨張弁30の開度を減少させる制御を行うように制御部70を構成する。このように、内部熱交換器50を流通する低圧側冷媒の過熱度SH4の推移に着目して電子膨張弁30の開度制御を行う際、内部熱交換器50が低圧側冷媒の気相化制御を確実に図るための緩衝材(バッファ)の役割を果たすので、圧縮機10に対する冷媒の液相戻りを回避した状態で、電子膨張弁30の開度をゆっくりと増減させながら過熱度SH1、過熱度SH3および過熱度SH4が所定の関係を有した状態を維持する制御を継続することができる。これにより、電子膨張弁30の開度制御の回数を徐々に低減させることができるので、蒸発器40の冷却効率の上下変動が穏やかとなり、冷却装置200の運転効率が低下することを容易に抑制することができる。
(第3実施形態)
図4、図7および図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態で説明した冷却装置200から冷媒温度センサ83を取り除いた状態で電子膨張弁30の開度制御を行う例について説明する。
本発明の第3実施形態による冷却装置300では、図7に示すように、蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の入口部50aとの間の冷媒配管3bに冷媒温度センサ83(図4参照)を設けていない。なお、冷却装置300は、本発明の「冷媒流量制御装置」の一例である。また、図中において、上記第2実施形態と同様の構成には、第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
ここで、第3実施形態では、冷媒温度センサ81、82および84により各々検出された冷媒温度T1、T2およびT4に基づいて電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。すなわち、冷媒温度T1と冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1(=T2−T1)よりも、冷媒温度T2と冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50の内部における過熱度SH4(=T4−T2)が大きくなるとともに、内部熱交換器50を流通する冷媒が気相状態になるように電子膨張弁30の開度が制御される。
次に、第3実施形態による冷却装置300によって冷却運転が行われる際の制御部70による電子膨張弁30の開度制御に関する処理フローについて説明する。
図8に示すように、まず、ステップS31では、蒸発器40を流通する冷媒の冷媒温度T1、T2およびT4が制御部70(図7参照)により取得される。すなわち、図7に示すように、冷媒温度センサ81による冷媒温度T1と、冷媒温度センサ82による冷媒温度T2と、冷媒温度センサ84による冷媒温度T4とが取得される。
そして、ステップS32では、図8に示すように、蒸発器40(図7参照)の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH1が算出されるとともに、内部熱交換器50(図7参照)の内部における冷媒の過熱度SH4(=T4−T2)が算出される。
そして、ステップS33では、過熱度SH1が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)か否かが制御部70により判断される。ステップS33において、過熱度SH1が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)であると判断された場合には、電子膨張弁30(図7参照)の開度が維持されるとともに本制御フローが終了される。なお、ステップS33においてYes判定(過熱度SH1が0度近傍である)となった場合であっても、下流における内部熱交換器50の内部の冷媒は高圧側冷媒から吸熱されるので過熱度SH4は0度よりも大きい(SH4>0)。
一方、ステップS33において、過熱度SH1が0度近傍ではない(過熱度SH1が0度近傍以外である)と判断された場合には、ステップS34に進む。
ステップS34では、現在の冷媒の過熱度SH1が上記した0度近傍以外の正の値(SH1>3度)であるか否かが制御部70により判断される。過熱度SH1が0度近傍以外の正の値であると判断された場合には、ステップS35に進み、電子膨張弁30の開度が所定量だけ増加される。なお、過熱度SH1が0度近傍以外の正の値である場合においても、内部熱交換器50の冷媒の過熱度SH4は0度よりも大きい(SH4>0)。また、ステップS34において過熱度SH1が0度近傍以外の負の値(SH1<0)であり過熱度が得られず気液二相状態であると判断された場合には、ステップS36に進む。
ステップS36では、電子膨張弁30の開度が所定量(微小量)だけ減少されて本制御フローは一旦終了される。すなわち、内部熱交換器50を設けているので、ステップS36を繰り返す際も、制御1回あたりの電子膨張弁30の開度減少量は微小であり、電子膨張弁30の開度はゆっくりと減少される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。このようにして、制御部70による電子膨張弁30の開度制御が行われる。なお、第3実施形態による冷却装置300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、上記のように、冷媒温度センサ81、82および84により各々検出された冷媒温度T1、T2およびT4に基づいて電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成する。これにより、上記第2実施形態における冷却装置200(図4参照)よりも冷媒温度センサの数を1つ少なくした状態であっても、電子膨張弁30、蒸発器40および内部熱交換器50の順に配置された低圧側冷媒の経路において、冷媒温度T1およびT2に基づいて蒸発器40の内部における冷媒の状態(冷媒の蒸発に伴う相変化の状態)を正確に把握することができ、かつ、冷媒温度T2およびT4に基づいて内部熱交換器50を流通する冷媒の状態についても正確に把握することができる。すなわち、蒸発器40内部の冷媒の蒸発具合と内部熱交換器50の冷媒状態とを共に把握しながら電子膨張弁30の開度を調整することができるので、冷媒の流量不足状態や過剰供給状態を抑制しつつ蒸発器40の入口部42aから出口部42bに亘る伝熱管42の領域を冷媒の蒸発過程に有効に用いることができるとともに、圧縮機10よりも上流側に位置する内部熱交換器50において高圧側冷媒の熱を低圧側冷媒に確実に吸熱させて低圧側冷媒を気相状態にすることができる。このように低圧側経路における3箇所での冷媒温度T1、T2およびT4の検出結果に基づいて電子膨張弁30を制御して冷媒流量を調整することができるので、圧縮機10に対する冷媒の吸入過熱度を確実に確保しつつ蒸発器40の熱交換性能を向上させて冷却装置300の効率的な運転を図ることができる。
(第4実施形態)
図9〜図11を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、蒸発器40の入口部42aに設けられた冷媒温度センサ81および出口部42bに設けられた冷媒温度センサ82に加えて、蒸発器40の内部を流通する冷媒の冷媒温度T5を検出するための冷媒温度センサ85を新たに設けて電子膨張弁30の開度制御を行う例について説明する。なお、冷媒温度センサ85は、本発明の「第7冷媒温度検出部」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第4実施形態による冷却装置400では、図9および図10に示すように、蒸発器40の内部を流通する冷媒の冷媒温度T5を検出するための冷媒温度センサ85を設けている。また、冷媒温度センサ85は、制御部70に接続されている。なお、冷却装置400は、本発明の「冷媒流量制御装置」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
ここで、第4実施形態では、冷媒温度センサ81、82、83および85により各々検出された冷媒温度T1、T2、T3およびT5に基づいて電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。具体的には、冷媒温度センサ85により検出された冷媒温度T5と冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5(=T2−T5)よりも、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づく冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH2(=T3−T2)が大きくなるとともに、この冷媒配管3bを流通する冷媒が気相状態になるように電子膨張弁30の開度が制御される。なお、過熱度SH5は、本発明の「第6過熱度」の一例である。
すなわち、第4実施形態では、蒸発器40の内部を流通する冷媒の圧力損失を考慮した状態で、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度制御を行うように構成されている。言い換えると、蒸発器40のサイズ(伝熱管42の長さ)によっては冷媒パスの圧力損失(蒸発圧力降下)に起因して蒸発器40の入口部42a近傍での冷媒温度T1(蒸発温度(飽和蒸気温度))よりも蒸発器40の内部での冷媒の蒸発温度(飽和蒸気温度)が低い場合が生じる。したがって、この場合には、入口部42a近傍での冷媒温度T1ではなく冷媒温度センサ85により検出される蒸発器40内部(冷媒パスの中間部)の冷媒温度T5(蒸発温度)に対する蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5に基づいた冷媒の流量制御を行うことにより、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度制御(過熱度SH5が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)を目指す冷媒流量制御)がより精度よく行われるように構成されている。
また、第4実施形態では、過熱度SH5が0度近傍で、かつ、過熱度SH2が0度よりも大きい値になるように電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。これにより、冷媒温度センサ85および82により各々検出される冷媒温度T5およびT2に基づいて蒸発器40における冷媒の蒸発完了点が蒸発器40の出口部42b近傍に位置する状況を精度よく実現するように冷媒流量が調整される。
次に、第4実施形態による冷却装置400によって冷却運転が行われる際の制御部70による電子膨張弁30の開度制御に関する処理フローについて説明する。
図11に示すように、まず、ステップS41では、蒸発器40(図9参照)を流通する冷媒の冷媒温度T1およびT5が制御部70(図10参照)により取得される。すなわち、図9に示すように、冷媒温度センサ81による冷媒温度T1と、冷媒温度センサ85による蒸発器40の内部(伝熱管42の中間部)を流通する冷媒の冷媒温度T5とが取得される。
そして、ステップS42では、図11に示すように、冷媒温度T5と冷媒温度T1とに基づく蒸発器40の内部における冷媒の過熱度SH6(=T5−T1)がまず算出される。そして、ステップS43では、過熱度SH6が0度以下(SH6≦0:過熱度SH6が全く得られていない状態)か否かが制御部70により判断される。
ステップS43において、過熱度SH6が0度よりも大きい正の値(SH6>0)と判断された場合には、ステップS44に進み、電子膨張弁30(図9参照)の開度が所定量だけ増加される。すなわち、冷媒の蒸発完了点が蒸発器40(図9参照)の冷媒温度センサ85(図9参照)の位置よりも上流側に存在する状態であり、蒸発完了点を冷媒温度センサ85よりも下流側の出口部42b近傍に移動させるために電子膨張弁30を開いて冷媒供給量(冷媒流量)を増加させるような制御が行われる。
また、ステップS43において、過熱度SH6が0度以下の気液二相状態であると判断された場合には、ステップS45に進む。すなわち、冷媒の蒸発完了点が蒸発器40の冷媒温度センサ85の位置よりも下流側に存在する状態であり、以降では、冷媒温度センサ82、83および85を用いて、蒸発完了点を出口部42b近傍に位置させるような電子膨張弁30の開度制御に移行される。
ここで、第4実施形態では、ステップS45において、蒸発器40を流通する現在の冷媒の冷媒温度T2、T3およびT5が制御部70(図10参照)により取得される。すなわち、図9に示すように、冷媒温度センサ82による冷媒温度T2と、冷媒温度センサ83による冷媒温度T3と、冷媒温度センサ85による蒸発器40の内部(伝熱管42の中間部)を流通する冷媒の冷媒温度T5とが取得される。
そして、ステップS46では、図11に示すように、冷媒温度T5と冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5(=T2−T5)が算出されるとともに、冷媒温度T2と冷媒温度T3とに基づく冷媒配管3bの位置での冷媒の過熱度SH2(=T3−T2)が算出される。
そして、ステップS47では、過熱度SH5が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)か否かが制御部70により判断される。ステップS47において、過熱度SH5が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)であると判断された場合には、ステップS48において、過熱度SH2が0度よりも大きい(SH2>0)気相状態であるか否かが制御部70により判断される。なお、ステップS48において、過熱度SH2が0度よりも大きいと判断された場合には、電子膨張弁30(図9参照)の開度が維持されるとともに本制御フローが終了される。
また、ステップS48において、過熱度SH2が0度以下(過熱度SH2が得られていない状態)であると判断された場合には、ステップS49に進み、電子膨張弁30の開度が小刻みとなるように所定量(微小量)だけ減少される。すなわち、冷媒の蒸発完了点が出口部42b近傍に位置していたとしても下流の冷媒配管3bを流通する冷媒は気液二相状態であるので、冷媒配管3bを流通する冷媒を気相化させる(過熱度SH2を得る)ために電子膨張弁30を絞って冷媒供給量(冷媒流量)を減少させるような制御が行われる。
一方、ステップS47において、過熱度SH5が0度近傍ではない(過熱度SH5が0度近傍以外である)と判断された場合には、ステップS50に進む。
ステップS50では、現在の冷媒の過熱度SH5が上記した0度近傍以外の正の値(SH1>3度)であるか否かが制御部70により判断される。過熱度SH5が0度近傍以外の正の値であると判断された場合には、ステップS51に進み、電子膨張弁30の開度が所定量だけ増加される。また、ステップS50において過熱度SH5が0度近傍以外の負の値(SH5<0)であり過熱度が得られず気液二相状態であると判断された場合には、ステップS52に進む。
ステップS52では、電子膨張弁30の開度が小刻みとなるように所定量(微小量)だけ減少されて本制御フローは一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過された後に、再び、図11に示した本制御フローが実行される。このようにして、制御部70による電子膨張弁30の開度制御が行われる。なお、第4実施形態による冷却装置400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、蒸発器40の内部を流通する冷媒温度を検出する冷媒温度センサ85を設ける。そして、冷媒温度センサ85により検出された蒸発器40の内部の冷媒温度T5と冷媒温度センサ82により検出された蒸発器40の出口部42b近傍の冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5を算出する。そして、過熱度SH5が0度近傍(過熱度SH5が0度以上3度以下の範囲に収められる状態)で、かつ、過熱度SH2が0度よりも大きい値になるように電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成する。これにより、蒸発器40の内部における冷媒の流通に伴う圧力損失を考慮した状態で、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度制御を行うことができる。すなわち、蒸発器40のサイズ(伝熱管42の長さ)によっては冷媒パスの圧力損失(蒸発圧力降下)に起因して蒸発器40の入口部42a近傍での冷媒温度T1よりも蒸発器40の内部での冷媒の蒸発温度が低い場合が生じる。したがって、入口部42a近傍での冷媒温度T1ではなく冷媒温度センサ85により検出される蒸発器40の内部(冷媒パスの中間部)の冷媒温度T5に対する蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH6に基づいた冷媒の流量制御を行うことにより、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度制御をより精度よく行うことができる。これにより、蒸発器40における冷媒の蒸発完了点が蒸発器40の出口部42b近傍に位置させる状況を精度よく実現することができるので、蒸発器40の入口部42aから出口部42bに亘る略全ての伝熱管42の部分を冷媒の蒸発過程として使用することができる。この結果、蒸発器40の熱交換性能(冷却能力)を最大限に発揮させることができる。
(第5実施形態)
図9および図12〜図14を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、上記第4実施形態における冷却装置400(図9参照)に対して上記第2実施形態で説明したように内部熱交換器50の内部を流通する冷媒温度T4を検出する冷媒温度センサ84をさらに設けて電子膨張弁30の開度制御を行う例について説明する。また、図中において、上記第2実施形態と同様の構成には、第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第5実施形態による冷却装置500では、図12および図13に示すように、冷媒温度センサ81、82、83および85に加えて、内部熱交換器50に取り付けられた冷媒温度センサ84を備えている。なお、冷却装置500は、本発明の「冷媒流量制御装置」の一例である。
ここで、第5実施形態では、冷媒温度センサ81〜85により各々検出された冷媒温度T1〜T5に基づいて電子膨張弁30の開度が制御されるように構成されている。具体的には、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ83により検出された冷媒温度T3とに基づく蒸発器40の出口部42bと内部熱交換器50の入口部50aとの間の冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH3(=T3−T2)と、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ84により検出された冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50の内部における冷媒の過熱度SH4(=T4−T2)との相互関係に基づいて、電子膨張弁30の開度が制御される。
また、上記に加えて、第5実施形態では、冷媒温度センサ85により検出された冷媒温度T5と冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5(=T2−T5)よりも、上記した過熱度SH3および過熱度SH4が大きくなるとともに、この冷媒配管3bおよび内部熱交換器50を流通する冷媒が気相状態になるように電子膨張弁30の開度が制御される。
次に、第5実施形態による冷却装置500によって冷却運転が行われる際の制御部70による電子膨張弁30の開度制御に関する処理フローについて説明する。
図14に示すように、まず、ステップS61では、蒸発器40(図12参照)を流通する冷媒の冷媒温度T1およびT5が制御部70(図13参照)により取得される。すなわち、図12に示すように、冷媒温度センサ81による冷媒温度T1と、冷媒温度センサ85による蒸発器40の内部(伝熱管42の中間部)を流通する冷媒の冷媒温度T5とが取得される。
そして、ステップS62では、図14に示すように、冷媒温度T5と冷媒温度T1とに基づく蒸発器40(図12参照)の内部における冷媒の過熱度SH6(=T5−T1)がまず算出される。そして、ステップS63では、過熱度SH6が0度以下(SH6≦0:過熱度SH6が全く得られていない状態)か否かが制御部70により判断される。
ステップS63において、過熱度SH6が0度よりも大きい正の値(SH6>0)と判断された場合には、ステップS64に進み、電子膨張弁30(図12参照)の開度が所定量だけ増加される。また、ステップS63において、過熱度SH6が0度以下の気液二相状態であると判断された場合には、ステップS65に進む。
ここで、第5実施形態では、ステップS65において、蒸発器40を流通する現在の冷媒の冷媒温度T2、T3、T4およびT5が制御部70(図13参照)により取得される。すなわち、図12に示すように、冷媒温度センサ82による冷媒温度T2と、冷媒温度センサ83による冷媒温度T3と、冷媒温度センサ84による冷媒温度T4と、冷媒温度センサ85による蒸発器40の内部(伝熱管42の中間部)を流通する冷媒の冷媒温度T5とが取得される。
また、第5実施形態では、ステップS66において、冷媒温度T5と冷媒温度T2とに基づく蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度SH5(=T2−T5)が算出されるとともに、冷媒温度T2と冷媒温度T3とに基づく冷媒配管3bの位置での冷媒の過熱度SH3(=T3−T2)が算出される。さらに、冷媒温度T2と冷媒温度T4とに基づく内部熱交換器50(図12参照)の内部における冷媒の過熱度SH4(=T4−T2)が算出される。
そして、ステップS67では、過熱度SH5が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)か否かが制御部70により判断される。ステップS67において、過熱度SH5が0度近傍(0度以上3度以下の範囲)であると判断された場合には、ステップS68において、過熱度SH3が0度よりも大きい(SH3>0)気相状態であるか否かが制御部70により判断される。なお、ステップS68において、過熱度SH3が0度よりも大きいと判断された場合には、電子膨張弁30(図12参照)の開度が維持されるとともに本制御フローは終了される。
また、ステップS68において、過熱度SH3が0度以下(過熱度SH3が得られていない状態)であると判断された場合には、ステップS69に進み、電子膨張弁30の開度が小刻みとなるように所定量(微小量)だけ減少される。一方、ステップS67において、過熱度SH5が0度近傍ではない(過熱度SH5が0度近傍以外である)と判断された場合には、ステップS70に進む。
ステップS70では、現在の冷媒の過熱度SH5が上記した0度近傍以外の正の値(SH5>3度)であるか否かが制御部70により判断される。
ここで、第5実施形態では、過熱度SH5が0度近傍以外の正の値であると判断された場合には、ステップS71に進み、過熱度SH4が増加傾向にあるか否かが判断される。なお、第5実施形態においても、内部熱交換器50の内部の冷媒の過熱度SH4は、冷媒配管3bの位置での冷媒の過熱度SH3よりも大きい(SH3<SH4)。そして、ステップS71において過熱度SH4が増加傾向にあると判断された場合には、ステップS72に進み、電子膨張弁30(図12参照)の開度が小刻みとなるように所定量(微小量)だけ増加される。これにより、冷媒供給量(冷媒流量)が微小量増加されて、過熱度SH5、SH3およびSH4が共に減少されるような制御が行われる。また、ステップS71において過熱度SH4が増加傾向にない(増加方向から減少方向に転じた状態である)と判断された場合には、ステップS73に進む。
ステップS73では、電子膨張弁30の開度が所定量(微小量)だけ減少される。これにより、冷媒供給量(冷媒流量)が所定量(微小量)減少されて、過熱度SH5、SH3およびSH4が共に増加されるような制御が行われて本制御フローは一旦終了される。
また、ステップS70において過熱度SH5が0度近傍以外の負の値(SH5<0)であり過熱度が得られず気液二相状態であると判断された場合においても、ステップS73に進む。この場合も、電子膨張弁30の開度減少とともに冷媒供給量(冷媒流量)が所定量(微小量)だけ減少されて、過熱度SH5、SH3およびSH4が共に増加されるような制御が行われて本制御フローは一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図14に示した本制御フローが実行される。このようにして、制御部70による電子膨張弁30の開度制御が行われる。なお、第5実施形態による冷却装置500のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第5実施形態では、上記に説明したように、冷媒温度センサ81〜85により各々検出された冷媒温度T1〜T5に基づいて電子膨張弁30の開度を制御するように制御部70を構成している。これにより、冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH3と内部熱交換器50を流通する冷媒の過熱度SH4とに基づいて圧縮機10に対する冷媒の液相戻りを確実に回避した状態で、蒸発器40が有する冷媒パス(伝熱管42)の圧力損失を考慮してより正確に蒸発器40の冷却性能を把握しながら出口部42b近傍における冷媒の過熱度制御(過熱度SH5≒0)を行うことができる。この結果、冷却装置500においては、蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度SH5を0度近傍(0度以上3度以下の範囲)に安定的に維持した運転を継続させることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、店舗内にショーケース2に屋外に配置された冷凍機(室外機)1を配管接続して冷却装置100〜500を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ショーケース2の内部に圧縮機10およびガスクーラ20などからなる冷凍機部(コンデンシングユニット)が内蔵されたいわゆる冷凍機内蔵型(一体型)の冷却装置に対して本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、1つの冷凍機1に対して1つのショーケース2(蒸発器40)を配管接続して冷却装置100〜500を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。1つの冷凍機1に対して複数台のショーケース2が並列的に接続された冷却装置に対して本発明を適用してもよい。この場合、各々のショーケース2の蒸発器40およびその下流部分(冷媒配管3bおよび/または内部熱交換器50)に冷媒温度センサ81〜85を取り付けて、本発明の過熱度制御を行うように構成することが可能である。特に、並列接続されたショーケース2に対しては、上記第2実施形態で説明したように、各々のショーケース2において冷媒配管3bを流通する冷媒の過熱度SH3と内部熱交換器50の内部における冷媒の過熱度SH4との相互関係に基づいて電子膨張弁30の開度を制御するのが好ましい。冷却運転中、各々のショーケース2(蒸発器40)の運転状態が互いに他のショーケース2(蒸発器40)の運転にも影響し合う場合においても、各蒸発器40の出口部42bにおける冷媒の過熱度を0度近傍に安定的に維持することができる。この結果、冷却システム全体の安定性が向上されるとともに高効率な運転を継続することができる。
また、上記第2および第5実施形態では、冷媒配管3bおよび内部熱交換器50にそれぞれ冷媒温度センサ83および84を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、上記第3実施形態と同様に冷媒配管3bに冷媒温度センサ83を設けることなく冷媒温度センサ81、82、84および85により各々検出された冷媒温度T1、T2、T4およびT5に基づいて電子膨張弁30の開度制御を行うように構成してもよい。
また、上記第2、第3および第5実施形態では、冷媒温度センサ84を使用して内部熱交換器50の内部を流通する低圧側冷媒の冷媒温度T4を検出して電子膨張弁30の開度制御を行った例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷媒温度センサ84を内部熱交換器50の出口部50b近傍に配置するとともに、冷媒温度センサ82により検出された冷媒温度T2と冷媒温度センサ84により検出された冷媒温度T4とに基づいて内部熱交換器50の出口部50bにおける冷媒の過熱度を算出して本発明の制御に適用してもよい。
また、上記第4および第5実施形態では、冷媒温度センサ81を使用して蒸発器40の入口部42a近傍の冷媒の冷媒温度T1を検出して電子膨張弁30の開度制御を行った例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷媒温度センサ81を設けることなく、冷媒温度センサ82および85を使用して蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度を算出して本発明の制御に適用してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、蒸発器40の出口部42b近傍における冷媒の過熱度(SH1またはSH5)が実質的に0度以上3度以下の範囲にある場合をもって過熱度が0度近傍であるか否かを判断するように制御部70を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、圧縮機10の脈動等の影響を考慮した場合、過熱度が0度近傍と判断されるための上限値を3度(3K)以外の若干大きい値に設定してもよい。ただし、上限値が過大となり0度近傍を大きく外れることは制御上好ましくない。したがって、本発明を逸脱しない範囲においては、過熱度が0度近傍と判断されるための上限値は、おおよそ5度(5K)までとするのが有効である。
また、上記第1〜第5実施形態では、プレート式熱交換器を用いて内部熱交換器50を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プレート式熱交換器以外のたとえば、螺旋状または直線状に形成された二重管式熱交換器を用いて内部熱交換器50を構成してもよいし、伝熱管(円管(楕円管または扁平管)の外壁同士が管軸方向に沿って接合された状態で螺旋状に巻回されたスパイラル熱交換器などを用いて内部熱交換器50を構成してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、二酸化炭素冷媒を用いて冷却装置100を動作させる例について示したが、本発明はこれに限られない。二酸化炭素冷媒以外の他の自然冷媒を使用してもよいし、オゾン層破壊係数がゼロの代替フロン冷媒を使用してもよい。
また、上記第1〜第5実施形態では、説明の便宜上、制御部70の冷却装置100の運転に関する制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部70の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。