JP6135607B2 - 有限要素解析装置、該方法及び該プログラム - Google Patents
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Description
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
<構成>
図1は、有限要素解析装置の構成を示すブロック図である。図1において、有限要素解析装置1は、演算処理部11、入力部12、出力部13、記憶部14、及び、バス19を備えて構成される。
<動作>
次に、本実施形態の動作について説明する。
Lは増分内でのスピンが一定であると仮定した時の物質点の回転を示す直交テンソルである。
次に、以下の式(A20)で示される方程式f(Δγ)、実施形態の材料損傷モデルについて説明する。実施形態の材料損傷モデルは、分割背応力形Armstrong−Frederik則による加工硬化モデルと損傷モデルとを強連成した静的、完全陰解法の計算手法である材料損傷方程式である。
応力空間における降伏曲面の移動量は、この全体背応力を用いて表現される。また各分割背応力は、以下の式(2)のように、非線形の背応力挙動を表現するArmstrong−Frederick則によって表現される。
ここでak、bkは、各分割背応力に対する材料定数、εp(チルド)は塑性ひずみ、γ(チルド)は塑性乗数を示す。このように分割背応力形Armstrong−Frederick則は全体背応力を複数の非線形特性の組み合わせにより表現する事ができるため、単一の背応力を用いた場合のArmstrong−Frederick則よりも比較的複雑な背応力発展挙動を表現する事が可能となる。
分割背応力形Armstrong−Frederick則と連続体損傷力学に基づく材料損傷を考慮した散逸ポテンシャルΨは、以下の式(4)で示される。
ここでFpは降伏関数、Fβは背応力項、FDは損傷項を示す。δはCauchy応力、Dは材料損傷値、r、Sは損傷発展速度を決める定数である。
更に、弾性材料剛性テンソルをDe(チルド)、偏差射影テンソルをId(チルド)、対称射影テンソルをIs(チルド)、4階の恒等テンソルをI(チルド)、2階の等方テンソルをIとおくと、それぞれ以下の式(6)で表記される。ただしIの成分は、クロネッカーのデルタδと等しくなる。λ、μはLameの定数である。
式(4)のように散逸ポテンシャルに降伏関数以外の項が含まれるため、以下の式(7)のような非関連流れ則が導かれる。
ここで有効相対応力ηを、以下の式(8)に示すようにおくと、
式(7)中の各流れベクトルは、以下の式(9)となる。
ただし、式(7)第3式には、以下の式(10)で示されるように、分割背応力βkに関する自由エネルギΨβに関して熱力学的応力すなわち分割背応力βkとその内部変数Xkとの関係式を用いた。
連続体損傷力学では、マイクロクラックやマイクロボイドなどの微視的な材料損傷によって内力を受け持つ有効面積の減少が、材料の巨視的な弾性材料剛性の低下を引き起こすものと考えており,構成則を式(11)のように表現する。
式(7)に示される分割背応力の発展則をそのまま使用して応力積分を行うと、全ての分割背応力βkが未知数となり応力積分に多大の時間を要してしまう。これを避けるためにステップnからステップn+1に掛けて塑性ひずみ増分の方向が一定であると仮定して、式(7)第3式に対してこの時間増分間での解析解を求めると、最終的に式(12)および式(13)が得られる。ただし添字n、n+1は、そのステップにおける量を示す。式(12)および式(3)のように時間増分間における解析解を用いる事で、各分割背応力はステップnの既知量となり全体背応力βn+1のみが背応力の未知数となる。
ただし、
である。式(7)の流れ則を後退形Euler表記したものと、式(12)および弾塑性状態における降伏関数の適合条件から、式(14)で示すReturn−Mapping方程式が非線形連立方程式として得られる。
ただし、εetry n+1は試行弾性ひずみと呼ばれ、式(15)のように前ステップの弾性に全ひずみ増分を加えたもので定義する。
よって、式(14)は、応力σn+1、等方硬化内部変数Rn+1、全体背応力βn+1、損傷値Dn+1、塑性常数Δγの合計15個の独立な未知変数成分を含む方程式となる。
また有効相対応力ηn+1は、式(8)に式(A1)、式(12)を用いる事で、
さらに降伏曲面に対する法線ベクトルは式(13)より、
となる。ただし相対相当応力を、
と定義した。これらを式(A2)に代入して整理すると、
が得られる。ここで、
とする。さらに式(A6)の両辺に√3/2をかけて、両辺のノルムを取ると、
となる。さらに式(14)第5式より、
とおくと、式(A8)は、
となる。式(A10)と、損傷発展式である式(14)第4式とを連立させる事で、Return−Mapping方程式は、
となる。この段階で、Return−Mapping塑性方程式は、塑性乗数Δγと損傷値Dn+1の2個のスカラ未知数にまで縮約させた。
次に、まず損傷エネルギ解放率Yについて考える。式(5)より、
となる。式(A12)の右辺第1項は、式(8)および式(12)を用いて、
と表記できる。さらに式(A6)より、
となる。これを式(A13)に代入すると、
となり。式(A15)右辺をgと置く。以上より、損傷エネルギ解放率Yを、式(A16)のように書き直すことができる。
次に、式(A11)第1式より、
ここで、
とおくと、式(A17)から、
となる。式(A18)と(A19)とを、式(A11)第2式に代入して整理すると、式(A20)に示すような、塑性乗数Δγのみのスカラ1変数に縮約されたReturn−Mapping方程式が得られる。
この式(A20)で示す方程式f(Δγ)が、実施形態の材料損傷方程式(モデル)である。
ただし、Lは増分内でのスピンが一定であると仮定した時の物質点の回転を示す直交テンソルである。実施形態の材料損傷方程式(材料損傷モデル)を有限変形モデルに対応させることで、繰り返し大負荷を受ける極低サイクル疲労破壊の中でも、変形が大きなものに対応することが可能になる。このような変形が大きな破壊とは、例えば、「針金を繰り返し何度も大きく曲げると数回目で折れる」、「ジュースの空き缶のフタを何度も繰り返し大きく曲げていると数回目で折れる」といった事例である。
応力ひずみ解析部113が、Consistent接線剛性を算出する方法について説明する。Consistent接線剛性は、完全陰解法によるものである。
となる。式(B1)および式(A18)を用いて、式(A1)で示される構成側を以下のように変形する。
これよりσn+1は内部変数を用いて、
と表記できる。以上より、Consistent接線剛性Dep(チルド)は、σn+1の各内部変数を考慮し、以下の式(B4)に示すように、
と表記できる。各微分について導出すると以下の式(B5)が得られる。
また式(B4)の塑性乗数の試行弾性ひずみによる微分は、式(A20)で示した縮約されたReturn−Mapping方程式を、試行弾性ひずみで微分する事により以下の式(B6)のように得られる。
右辺の分母の微分は、式(A22)から既に求まっている。そこで分子の微分について考えると、以下の式(B7)に示すように、
となる。各微分について計算すると、以下の式(B8)を得る。
以上より、陽的にConsistent接線剛性を計算する事が可能となる。
<シミュレーションの例>
ここでは、図5に示す有限要素モデルを用い、上面に対してZ方向の両振りの繰返し強制変位を与えた場合のシミュレーション結果を説明する。尚、有限要素モデルの上面以外の他の面については、単軸負荷の対称条件を満たす様に拘束するものとする。図5(a)は、有限要素モデルを示す図であり、図5(b)は、シミュレーションで用いた材料定数の表を示す図である。シミュレーションで用いたヤング率、ポアソン比、初期降伏応力、等方硬化定数、移動硬化定数、損傷定数は、図5(b)の表に示すとおりである。
11 演算処理部
12 入力部
13 出力部
14 記憶部
111 制御部
112 初期設定部
113 応力ひずみ算出部
141 有限要素モデル記憶部
142 解析条件記憶部
143 物理量記憶部
Claims (9)
- 非線形有限要素解析を行うための有限要素解析装置であって、
解析対象の有限要素モデルと解析条件とを取得する取得手段と、
前記有限要素モデルの剛性行列を作成し、作成した剛性行列と前記解析条件とで規定される剛性方程式の解に基づいて、前記有限要素モデルの加工硬化特性を算出する特性計算を行う応力ひずみ算出手段と、
前記有限要素モデルの内力と外力とが釣り合うまで、前記応力ひずみ算出手段に前記特性計算を繰り返し行わせる制御手段とを備え、
前記応力ひずみ算出手段は、前回算出した前記剛性方程式の解に基づく試行弾性歪みを用い、繰り返し負荷を受けている部分であって、破壊が発生していない部分の応力とひずみを算出する加工硬化モデルと、破壊が発生している部分の破壊進行度と応力を算出する材料損傷モデルとにより応力とひずみとを連成させた材料損傷方程式を作成し、作成した材料損傷方程式の解を求め、求めた解に基づいてコンシステント接線剛性を求め、求めたコンシステント接線剛性から前記剛性行列を作成する
ことを特徴とする有限要素解析装置。 - 前記応力ひずみ算出手段は、前記材料損傷方程式の解に基づいて、前記有限要素モデルの各要素の損傷値を求め、前記損傷値が所定の閾値を上回る要素は破壊されたと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の有限要素解析装置。 - 前記加工硬化モデルは、分割背応力形Armstrong−Frederik則による加工硬化モデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の有限要素解析装置。 - 前記コンシステント接線剛性は、完全陰解法により求める
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有限要素解析装置。 - 前記制御手段は、前記有限要素モデルの内力と外力とが釣り合うと、前記解析条件のうちの強制変位又は外力を、所定の増分値だけ増加させて、前記応力ひずみ算出手段に前記特性計算を繰り返し行わせる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有限要素解析装置。 - 前記有限要素モデルを表示する表示部を、更に備え、
前記制御手段は、前記応力ひずみ算出手段が破壊されたと判断した要素を除いて、各要素をそれぞれの応力に応じた表示態様で、前記有限要素モデルを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の有限要素解析装置。 - 前記剛性算出手段は、作成した材料損傷方程式の解を求める前に、前記有限要素モデルの各要素の応力に対して、共回転変換を行う
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の有限要素解析装置。 - 非線形有限要素解析を行うための有限要素解析装置で用いられる有限要素解析方法であって、
解析対象の有限要素モデルと解析条件とを取得する取得ステップと、
前記有限要素モデルの剛性行列を作成し、作成した剛性行列と前記解析条件とで規定される剛性方程式の解に基づいて、前記有限要素モデルの加工硬化特性を算出する特性計算を行う応力ひずみ算出ステップと、
前記有限要素モデルの内力と外力とが釣り合うまで、前記応力ひずみ算出ステップに前記特性計算を繰り返し行わせる制御ステップとを備え、
前記応力ひずみ算出ステップは、前回算出した前記剛性方程式の解に基づく試行弾性歪みを用い、繰り返し負荷を受けている部分であって、破壊が発生していない部分の応力とひずみを算出する加工硬化モデルと、破壊が発生している部分の破壊進行度と応力を算出する材料損傷モデルとにより応力とひずみとを連成させた材料損傷方程式を作成し、作成した材料損傷方程式の解を求め、求めた解に基づいてコンシステント接線剛性を求め、求めたコンシステント接線剛性から前記剛性行列を作成する
ことを特徴とする有限要素解析方法。 - 非線形有限要素解析を行うための有限要素解析装置で用いられる有限要素解析プログラムであって、
解析対象の有限要素モデルと解析条件とを取得する取得手段と、
前記有限要素モデルの剛性行列を作成し、作成した剛性行列と前記解析条件とで規定される剛性方程式の解に基づいて、前記有限要素モデルの加工硬化特性を算出する特性計算を行う応力ひずみ算出手段と、
前記有限要素モデルの内力と外力とが釣り合うまで、前記応力ひずみ算出手段に前記特性計算を繰り返し行わせる制御手段として、コンピュータを機能させ、
前記応力ひずみ算出手段は、前回算出した前記剛性方程式の解に基づく試行弾性歪みを用い、繰り返し負荷を受けている部分であって、破壊が発生していない部分の応力とひずみを算出する加工硬化モデルと、破壊が発生している部分の破壊進行度と応力を算出する材料損傷モデルとにより応力とひずみとを連成させた材料損傷方程式を作成し、作成した材料損傷方程式の解を求め、求めた解に基づいてコンシステント接線剛性を求め、求めたコンシステント接線剛性から前記剛性行列を作成する
ことを特徴とする有限要素解析プログラム。
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