JP5782604B2 - 情報処理装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、情報処理装置及びプログラムに係り、特に、関数の微分計算を行う情報処理装置及びプログラムに関する。
近年、高機能な汎用有限要素法(Finite Element Method、以下FEMと略記)解析ソフトウェアが数多く市販されてきており、これらの汎用ソフトウェアを利用して効率よく設計業務を進めることは、ものづくりの現場において、ごく一般的に行われている。しかしながら、ユーザが抱える解析業務の中には、これらの汎用ソフトウェアが備える機能の範囲を超えた特殊な解析技術を要求されることがしばしばある。
このような問題に対処するため、多くの汎用FEM解析ソフトウェアはユーザサブルーチン機能を提供しており、ユーザ自身がカスタマイズして独自の解析技術やモデルを汎用ソフトウェアの中に組み込むことを可能にしている。通常、汎用FEMソフトウェアにおける材料構成則のユーザサブルーチンでは、所望の材料構成則を実装するために、与えられた変位・ひずみ量に対して、応力値と接線剛性を求める際に必要となる応力ひずみマトリクス(材料ヤコビアンと呼ぶ)を計算してメインプログラムへ返すことが要求される。接線剛性及び材料ヤコビアンは、Newton−Raphson型の収束計算で必要であり、本来は応力増分アルゴリズムと整合した値を返さねばならない。
特に、時間増分を大きく取りたい場合や、材料非線形問題・大変形問題のような非線形性の強い問題へ適用する場合などでは、正確な整合接線剛性及び材料ヤコビアンの計算値が不可欠である。さらに、整合接線剛性はNewton−Raphson法の2次収束性のみならず、正確な感度や座屈固有値を得るためにも重要である。しかし、材料構成則が複雑であるほどに解析的に求めることは難しく、計算を一部でも間違えると、最悪の場合解が発散してしまうこともあるため、その計算には細心の注意が要求される。また、材料構成則によっては現実的に導出自体が不可能なものも少なくない。
材料ヤコビアンは、応力をひずみで微分することで得られる。非特許文献1、2では、この材料ヤコビアンの複雑な解析解の導出を省略するため、以下の(1)式の前方オイラー法を用いた数値微分を利用している。
ここで、f(x)はスカラー関数、f’(x)は関数f(x)の一階微分、Δxは微小な変動量である。
一方、非特許文献3では、丸め誤差のない数値微分法として、以下の(2)式の複素数階微分近似(Complex−Step Derivative Approximation)を提唱しており、その優れた効果を報告している。
ここで、iは虚数単位、Imは虚部を取り出す演算子である。複素数階微分法は、微分操作を複素数平面に拡張することによって、一階微分近似に関してはいかなる小さな変動量Δxを与えても丸め誤差を決して生じさせないという強力な性質を持つ。複素数階微分法を用いれば、問題に非依存な変動量Δxの設定が可能となり、汎用的で高精度な微分近似が得られる。非特許文献4では、この複素数階微分法を用いて、上記の非特許文献1、2の手法を拡張し、整合接線剛性の高精度な数値近似手法の導出を行っている。
Miche,C.,Numerical Computation of algorithmic(consistent)tangent moduli in large−strain computational inelasticity,Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering,Vol.134(1996),pp.223−240. Sun,W.,Chaikof,E.L.and Levenston,M.E.,Numerical approximation of tangent modulus for finite element implementations of nonlinear hyperelastic material models,Journal of Biomechanical Engineering,Vol.130,No.6(2008),pp.0610063. Lai,K.L.and Crassidis,J.L.,Extensions of the first and second complex−step derivative approximations,Journal of Computational and Applied Mathematecs, Vol.219(2008),pp.276−293. 田中真人、藤川正毅、複素数階微分を用いた整合接線剛性の数値近似と大変形問題への応用、日本機械学会論文集A編、Vol.77,No.733(2011),pp.27−38.
上記の非特許文献1、2に記載の方法により計算された材料ヤコビアンの近似精度は、数値微分で用いる変動量Δxの大きさに依存し、大き過ぎると打ち切り誤差が、小さ過ぎると丸め誤差が発生してしまう。変動量Δxの最適な大きさは、打ち切り誤差と丸め誤差のトレードオフの関係を計りながら決定する必要があるが、材料パラメータ、幾何学的データなどの絶対値に依存して最適なΔxの値は変化し、明確な指針を得ることは難しい。実際のところ、現状では最適なΔxの値は経験的にしか評価できていない。それ故、Δxの値はしばしば“マジックナンバー”と呼ばれる。
また、非特許文献4に記載の複素数階微分法を扱うことができるのは原理的に1階微分のみである。それ以上の高階微分では、前方オイラー法と同じ丸め誤差が生ずる。一般ユーザが新しい構成則を実装する場合を考えると、エネルギー関数式から応力と材料ヤコビアンの両方を同時に求められることが望ましい。すなわち、丸め誤差のない1階および2階の微分近似法と、それを応力および材料ヤコビアンの導出に高効率に適用できる技術が望まれるが、従来技術ではそのような方法は皆無であった。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、誤差の発生を抑制して、関数の1階微分値、2階微分値を計算することができる情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
第1の発明に係る情報処理装置は、虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、関数に対するテンソルの方向微分を行う情報処理装置であって、力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(I)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段と、記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(II)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段と、記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段と、記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である第1物理量のij成分とする第1物理量計算手段と、記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である第2物理量のijkl成分とする第2物理量計算手段と、を含んで構成されている
ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
はテンソル積である。
第2の発明に係るプログラムは、虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、関数に対するテンソルの方向微分を行うためのプログラムであって、コンピュータを、力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(III)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段、記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(IV)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段、記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段、記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である第1物理量のij成分とする第1物理量計算手段、及び記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である第2物理量のijkl成分とする第2物理量計算手段として機能させるためのプログラムである。
ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
はテンソル積である。
第1の発明及び第2の発明によれば、第1増分量計算手段によって、力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、(I)式に従ってΔF1 (ij) を計算する。第2増分量計算手段によって、記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、(II)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する。
そして、関数計算手段によって、記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する。第1物理量計算手段によって、記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である第1物理量のij成分とする。第2物理量計算手段によって、記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である第2物理量のijkl成分とする。
このように、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)のテンソル量Fによる1階微分を用いて求められる第1物理量のij成分とし、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、関数W(F)のテンソル量Fによる2階微分を用いて求められる第2物理量のijkl成分とすることにより、誤差の発生を抑制して、関数の1階微分を用いて求められる物理量、2階微分を用いて求められる物理量を計算することができる。
上記の第の発明において、前記関数は、シミュレーション対象に関する関数であって、前記第1物理量計算手段は、シミュレーションに用いられる前記第1物理量を計算し、前記第2物理量計算手段は、シミュレーションに用いられる前記第2物理量を計算するようにすることができる。
また、上記の第1の発明に係る情報処理装置は有限要素法(FEM)を用いたシミュレーションを行うシミュレーション手段を更に含み、前記テンソル量は、ひずみを示す変形勾配テンソルであって、前記シミュレーションは、材料の挙動に関するシミュレーションであって、記第1物理量、応力テンソルであり、前記第2物理量、材料ヤコビアンであり、前記シミュレーション手段は、前記第1物理量計算手段によって計算された応力テンソル、及び前記第2物理量計算手段によって計算された材料ヤコビアンを用いて、シミュレーションを行うようにすることができる。
以上説明したように、本発明の情報処理装置及びプログラムによれば、誤差の発生を抑制して、関数の1階微分値、2階微分値を計算することができる、という効果が得られる。
本発明の第1の参考例に係る情報処理装置を示すブロック図である。 本発明の第1の参考例に係る情報処理装置の微分計算処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。 本発明の第の実施の形態に係る情報処理装置のシミュレーション処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。 本発明の第の実施の形態に係る情報処理装置によるエネルギー関数をFEM計算に組み込む処理の処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、第1の参考例に係る情報処理装置10は、CPU12、ROM14、RAM16、HDD18、通信インタフェース20、及びこれらを相互に接続するためのバス22を備えている。
CPU12は、各種プログラムを実行する。ROM14には、各種プログラムやパラメータ等が記憶されている。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する微分計算処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
第1の参考例における情報処理装置10による微分計算方法では、後述するMulti dual numberを用いて、1変数の関数の1階微分値および2階微分値を計算する。
ここで、Multi dual numberを用いた微分計算の原理について説明する。
まず、Multi dual numberを以下のように定義する。
Multi dual numberとは複素数の変種であり、ε、εの2種類の虚数単位を持ち、以下の性質を有するとする。
すなわち、それぞれの虚数単位を二乗すると0になり、2種類の虚数単位は、互いに乗算に関して交換可能である。以上のMulti dual numberに対して、通常の複素数と同様に、四則演算や初等関数の定義を自然に拡張することができる。以下に、Multi dual numberの代表的な演算例を示す。(a,b(i=1,2,3,4)は全て実数とする。)
以上の演算規則を持つMulti dual numberを、以下の(3)式に示す関数f(x)に対するTaylor展開式の微小変位量Δxに代入すると、以下の(4)式が得られる。
すなわち、関数f(x)のx=aにおける微分値を計算したい場合は、まず、関数f(x)にx=a+ε+εを代入し、関数計算をMulti dual numberへ機械的に置き換える。その計算結果に対して、εもしくはεの係数を取り出すと1階の微分値f’(a)が、εεの係数を取り出すと2階の微分値f'’(a)が自動的に得られる。
次に、第1の参考例に係る情報処理装置10による微分計算を行う際の動作について説明する。
まず、情報処理装置10に、関数f(x)及び微分値を算出するときの変数xの値aが入力されると、情報処理装置10によって、図2に示す微分計算処理ルーチンが実行される。
まず、ステップ100において、入力された関数f(x)に、x=a+ε1+ε2を代入して、関数f(a+ε1+ε2)を計算する。
そして、ステップ102で、上記ステップ100の計算結果から、ε1又はε2の係数を取り出して、1階の微分値f’(a)を出力する。また、ステップ104で、上記ステップ100の計算結果から、ε1・ε2の係数を取り出して、2階の微分値f’’(a)を出力し、微分計算処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第1の参考例に係る情報処理装置によれば、Multi dual numberを用いて、関数f(a+ε1+ε2)を計算し、関数f(a+ε1+ε2)におけるε1またはε2の係数を、関数をスカラー量で微分したときの1階微分値f’(a)として取り出すと共に、関数f(a+ε1+ε2)におけるε1・ε2の係数を、2階微分値f’’(a)として取り出すことにより、誤差の発生を抑制して、関数の1階微分値、2階微分値を計算することができる。
なお、上記の参考例では、四則演算の定義を説明したが、Multi dual numberを引数にとった初等関数の計算も可能となる。以下にいくつかのMulti dual numberによる初等関数の計算例を示す。
次に、第2の参考例について説明する。なお、第2の参考例に係る情報処理装置は、第1の参考例と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
第2の参考例では、2変数の関数の偏微分値を計算している点が、第1の参考例と異なっている。
2変数の関数の偏微分値は、1変数の関数と同様に、以下のように自然に拡張できる。すなわち、以下の(5)式に示す2変数の関数に対して、微小変位量Δxにεを代入し、微小変位量Δyにεを代入すると、以下の(6)式が得られる。
ここで、関数g(x、y)のx=a、y=bにおける微分値を計算したい場合は、関数g(x、y)もx=a+ε、y=b+εを代入し、計算された結果に対して、εの係数を取り出すと1階の偏微分値∂g(a、b)/∂xが、εの係数を取り出すと1階の偏微分値∂g(a、b)/∂yが、εεの係数を取り出すと2階の偏微分値∂g(a、b)/∂x∂yが自動的に得られる。
次に、第2の参考例に係る情報処理装置10による微分計算を行う際の動作について説明する。
まず、情報処理装置10に、関数g(x、y)及び偏微分値を算出するときの変数x,yの値a、bが入力されると、情報処理装置10によって、上記図2と同様の微分計算処理ルーチンが実行される。
まず、入力された関数g(x、y)に、x=a+ε1、y=b+ε2を代入して、関数g(a+ε1、b+ε2)を計算する。
そして、上記の計算結果から、ε1の係数を取り出して、1階の偏微分値∂g(a、b)/∂xを出力する。また、上記の計算結果から、ε2の係数を取り出して、1階の偏微分値∂g(a、b)/∂yを出力する。また、上記の計算結果から、ε1・ε2の係数を取り出して、2階の偏微分値∂2g(a、b)/∂x∂yを出力し、微分計算処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第2の参考例に係る情報処理装置によれば、Multi dual numberを用いて、g(a+ε1、b+ε2)を計算し、関数g(a+ε1、b+ε2)におけるε1の係数を、1階偏微分値∂g(a、b)/∂xとして取り出し、関数g(a+ε1、b+ε2)におけるε2の係数を、1階偏微分値∂g(a、b)/∂yとして取り出し、関数g(a+ε1、b+ε2)におけるε1・ε2の係数を、2階偏微分値∂2g(a、b)/∂x∂yとして取り出すことにより、誤差の発生を抑制して、関数の1階偏微分値、2階偏微分値を計算することができる。
次に、第の実施の形態について説明する。なお、第の実施の形態に係る情報処理装置は、第1の参考例と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
の実施の形態では、FEMを用いたシミュレーションを行っている点と、テンソル方向微分による微分値を計算している点が、第1の参考例と異なっている。
の実施の形態における情報処理装置10による微分計算方法では、Multi dual numberを用いて、エネルギー関数のテンソル方向微分による1階微分値および2階微分値を計算する。また、情報処理装置10による材料のシミュレーション方法では、上記の微分計算方法により計算される1階微分値および2階微分値を用いて、FEM計算を行い、入力されるひずみ(テンソル量)に対する応力を、シミュレーション結果として計算する。
次に、Multi dual numberを用いた応力および材料ヤコビアンの自動計算の原理について説明する。
以下にエネルギー関数から応力と材料ヤコビアンを計算する方法を示す。通常、汎用ソフトウェアをはじめとしたFEMプログラムにおける材料構成則のユーザサブルーチンでは、「参照のため引き渡される変数」として、変形勾配テンソルFが入力される。ユーザはFを用いて、エネルギー関数から計算されるCauchy応力σと材料ヤコビアンC∇MJ(4階テンソル)の各成分を引き渡すプログラムを実装することになる。また、汎用FEMソフトウェアの材料構成則ユーザサブルーチンでは、材料ヤコビアンにKirchhoff応力τのJaumann速度を用いて、updated Lagrange法による定式化を採用していることが多い。ここでも、その定式化をもとに説明する。Kirchhoff応力τ、τのJaumann速度τ∇J、対応する材料ヤコビアンC∇MJの定義式はそれぞれ以下の(7)式〜(9)式となる。
ここで、「」は物質時間微分、「 :」はテンソルの二組の基底ベクトルに対する縮約を表す。また、Jは体積変化率であり、変形勾配テンソルFを用いて、以下の(10)式のように表される。
また、D、Wは、以下の(11)式の変形速度勾配テンソルLの対称成分、反対称成分である。
ここで、T−1はテンソルTの逆行列を表す。
次に、応力の計算法について説明する。
τの対称性を考慮すれば、τのij成分τijは、以下の(12)式のように表すことができる。
ここで、eはデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
はテンソル積である。まず、W(F)のFによる微分(テンソルの方向微分)を考える。のちのτの導出過程を単純化するために、変形勾配テンソルFの微小増分量をΔF (ij)とすれば、以下の(13)式に示す近似式が得られる。
いま微小増分量ΔF (ij)を、Multi dual numberの虚数単位εを用いて以下の(14)式のように定義する。
次に、上記(14)式を上記(13)式に代入して右辺を整理すれば、以下の(15)式を得る。
ただし、TはテンソルTの転置を表す。上記(15)式の右辺には、以下の(16)式に示す第1Piola−Kirchhoff応力Pが含まれており、τとの関係は以下の(16)式のようである。
なお、応力τが、関数W(F)のテンソル量Fによる1階微分に基づく第1物理量の一例である。また、材料ヤコビアンが、関数W(F)のテンソル量Fによる2階微分に基づく第2物理量の一例である。
上記(12)式、(16)式を用いて、上記(15)式を整理すれば、W(F)からτを算出する、以下の(17)式が得られる。
ここで、
はεの係数を取り出す演算子とする。
次に、材料ヤコビアンの計算法について説明する。
エネルギー関数W(F)から材料ヤコビアンC∇MJを計算する方法を示す。Kirchhoff応力τから、材料ヤコビアンC∇MJを計算する方法は、以下の(18)式の通りである。
ここで、
はεの係数を取り出す演算子であり、ΔF (kl)は以下の(19)式のように定義される。
上記(17)式と(18)式とを組み合わせると、以下の(20)式が得られる。
ここで、

はεεの係数を取り出す演算子であり、 (kl)は以下の(21)式のように定義される。
このとき、応力は以下の(22)式で求まる。
また、増分量ΔF (ij) (kl)の求め方について説明する。
以下に示すように、ΔF (ij)を、Cauchy応力テンソルσを導くように設定し、 (kl)を、材料ヤコビアンC∇MJを導くように設定している.
Cauchy応力テンソルσとKirchhoff応力テンソルτは、上記(7)式で関係付けられている。すなわち、Kirchhoff応力テンソルτが求められれば、Jで割ることでただちにCauchy応力テンソルσを求めることができる。したがって、エネルギー関数W(F)から Kirchhoff応力テンソルτを導くΔF (ij)の設定方法を以下に示す.
上記(16)式で示しているように,エネルギー関数W(F)とKirchhoff応力テンソルτには、以下の(23)式に示す関係がある。
なお、上記(23)式が、第1物理量と関数W(X)との関係式に対応している。
τの対称性を考えて、上記(23)式の両辺の転置をとると、以下の(24)式が得られる。
上記(12)式の方法で、上記(24)式のτのij成分τijを求めると、以下の(25)式となる。
さらに、上記(25)式を、以下の(26)式のように式変形する。
ここで、テンソルの方向微分とMulti dual numberによる微分法の関係を以下に示す。まず、スカラー値テンソル関数に対するテンソルの方向微分の定義を示す。テンソルを独立変数とするスカラー関数を「スカラー値テンソル関数」と呼ぶ。いま、スカラー値テンソル関数G(A)を考え(ここではGはスカラー、Aは2階のテンソル)、このGをΔAの方向にAで微分することを以下の(27)式で表す。
ここで、記号DG(A)[ΔA]で方向微分を表し、ΔAは方向テンソルと呼ばれる。上記(27)式の第2辺の微分の式を、Multi dual numberを用いて書き直すと、以下の(28)式のようになる。
上記(27)式、(28)式より、以下の(29)式となる。
上記(27)式〜(29)式が、テンソル方向微分とε1による微分との関係に対応している。
上記(29)式と上記(26)式とを比べると、GにWを、AにFを、ΔAに
をそれぞれ代入すると、τijは以下の(30)式で表わされることがわかる。
すなわち、
とおくと、上記(17)式によってτijが求まることがわかる。
次に、材料ヤコビアンC▽MJを導くための (kl)の設定方法を以下に示す。上記(9)式のようにC MJはτ ▽J とDの間の係数として定義される。まず、上記(8)式、(9)式を、以下の(31)式、(32)式のように増分形にする。
ここで、ΔD、ΔWは変形勾配テンソルの増分形ΔFを用いて、以下の(33)式、(34)式のように表される。
いま、ΔFに
を代入すると、上記(31)式、(32)式より、以下の(35)式〜(38)式が導かれる。
なお、上記(37)式が、第1物理量の増分と第2物理量との関係式に対応している。
なお、上記(39)式が、テンソル方向微分とε2による微分との関係に対応している。
▽MJの対称性より、上記(39)式を成分表示すると、以下の(40)式となる。
上記(40)式の左辺の微分の式を、Multi dual numberを用いて書き直すと以下の(41)式のようになる。
なお、上記(41)式が、第2物理量と前記第1物理量との関係式に対応している。
したがって、
とおくと、上記(18)式で、C▽MJのijkl成分(C▽MJijklが得られることがわかる。
最後に、上記(30)式と(41)式とを同時に評価できるように式をさらに工夫する。なお、上記(30)式が、第1物理量と関数W(X)との関係式に対応している。
ΔF (ij)は応力の計算(エネルギー関数Wを1階微分)のために使われ、ΔF (kl)は材料ヤコビアンの計算(エネルギー関数Wを2階微分)のために使われていることを考えると、ε1の係数に応力の成分を、ε1ε2の係数に材料ヤコビアンの成分が現れるように設定するのが自然である。そのため、ΔF (kl)の代わりに、上記(21)式の (kl)を使用すると、この目的がうまく果たされる。実際に上記(20)式、(22)式を計算して確かめてみる。
上記(42)式のように、上記(20)式が導出され、上記(43)式のように、上記(22)式が導出された。なお、上記(42)式が、第2物理量と関数W(X)との関係式に対応している。
ここで、FEM計算の概要について説明する。有限要素法は、構造解析などにおいて、変形に対して無限の自由度を持つ物体を有限の自由度を持つ有限要素の集合体、すなわち、微小な部分の集合体として近似し、集合体に対して成立する連立一次方程式を解く方法である。この微小な部分を有限要素と呼ぶ。有限要素は節点と呼ばれる点を結合したものとして規定される。ある要素は他の要素と節点により結合される。力も節点を通じて結合されている。いかに複雑な形状の構造物であっても、これらを有限要素に区分けし、有限要素の集合体として表すことができる。各有限要素は、材料の挙動を表す剛性マトリクス(非線形解析であれば接線剛性マトリクス)を有する。
次に、第の実施の形態に係る情報処理装置10によるFEMを用いたシミュレーションを行う際の動作について説明する。
まず、情報処理装置10に、材料のシミュレーションで用いる、材料科学の分野で提案された複数種類のエネルギー関数W(F)が入力される。また、エネルギー関数W(F)から、Cauchy応力テンソルσを導くためのΔF (ij)の式と、材料ヤコビアンC∇MJを導くための (kl)の式を、予め計算しておき、情報処理装置10に入力する。そして、情報処理装置10によって、図3に示すシミュレーション処理ルーチンが実行される。
まず、ステップ300において、情報処理装置10に、材料の応力ひずみ曲線の実験データが入力されたか否かを判定する。当該実験データが入力されると、ステップ302へ進み、入力されたエネルギー関数のうちの何れか1つを、シミュレーションで用いるエネルギー関数として設定する。また、当該エネルギー関数に含まれる材料パラメータを設定する。たとえば、当該エネルギー関数に含まれる材料パラメータを、上記ステップ300で入力された応力ひずみ曲線の実験データと合致するように同定する。
そして、ステップ304において、上記ステップ302で設定されたエネルギー関数をFEM計算に組み込む処理を行う。
上記ステップ304は、図4に示す処理ルーチンによって実現される。
ステップ310において、情報処理装置10に、ひずみのテンソル量(変形勾配テンソル)F^が入力されたか否かを判定する。そして、ステップ312において、エネルギー関数WからCauchy応力を計算するように予め設定され、かつ、入力されたΔF (ij)の式を、上記ステップ310で入力された変形勾配F^に基づいて、(ij)成分毎に計算する。このとき、MDN(Multi dual Numbers)であるε1を用いて上記(14)式のようにΔF (ij)が計算される。
次のステップ314では、エネルギー関数Wから材料ヤコビアンC∇MJを計算するように予め設定され、かつ、入力された (kl)の式を、上記ステップ310で入力された変形勾配F^に基づいて、(kl)成分毎に計算する。このとき、MDNであるε1、ε2を用いて上記(21)式のように (kl)が計算される。
そして、ステップ316において、上記ステップ312の計算結果及び上記ステップ314の計算結果に基づいて、(ij)成分,(kl)成分の組み合わせ毎に、エネルギー関数W(F^+ΔF (ij) (kl))の計算を行う。
次のステップ318では、後述するFEM計算におけるCauchy応力の成分σijの計算を、上記ステップ316で計算したエネルギー関数W(F^+ΔF (ij) (kl))のε1の係数を取り出す処理に置き換える。
また、ステップ320において、後述するFEM計算における材料ヤコビアンの成分(C∇MJijklの計算を、上記ステップ316で計算したエネルギー関数W(F^+ΔF (ij) (kl))のε1ε2の係数を取り出す処理に置き換えて、当該処理ルーチンを終了する。
これによって、エネルギー関数式から応力と材料ヤコビアンを自動的に算出する処理を、FEMプログラムの中の材料構成則のルーチンの中へ組み込むことができる。
そして、シミュレーション処理ルーチンのステップ306において、FEM計算により、積分点ごとに、上記ステップ310で入力された変形勾配テンソルFに対する応力を計算する。このとき、応力と材料ヤコビアンの計算では、上記ステップ318、320で置換された計算方法を用いる。
ここで、FEM計算の流れについて説明する。なお、以下では、荷重制御の増分反復(インクリメント−イタレーション)型の非線形FEMの流れについて説明する。
(1)解析対象を有限要素に区分けする。
(2)境界条件を定める。
(3)各有限要素の要素接線剛性マトリクスを計算する。
(4)要素接線剛性マトリクスを重ねて併せて全体接線剛性マトリクスを計算する。
(5)拘束した変位自由度に対応する全体接線剛性マトリクスの成分を消去し、全体接線剛性マトリクスを縮退する。
(6)荷重増分を与える。
(7)連立一次方程式を解いて、変位増分を計算する。
(8)上記(7)で計算した変位増分を全変位量に加算し、全変位量を更新する。
(9)全変位量から各有限要素のひずみ、応力を計算する。
(10)各有限要素の応力から、各有限要素の等価節点力を計算する。
(11)各有限要素の等価節点力を重ね合わせて、構造全体の等価節点力を計算する。
(12)上記(11)で計算された構造全体の等価節点力と上記(6)で与えた荷重増分を比べて力が釣り合っているか確認する。
(13)力が釣り合っていなければ、上記(3)に戻り、上記(7)で計算した変位増分を加味した要素接線剛性マトリクスを計算する。
(14)力が釣り合うまで、上記(3)〜(13)の計算ステップを繰り返す(この反復計算をNewton−Raphson反復(イタレーション)法と呼ぶ)。
(15)力が釣り合ったら、次の荷重増分を加え、上記(3)〜(15)の計算を繰り返す(この増分計算をインクリメントと呼ぶ)。
(16)荷重を増分し続け、所望の荷重値になったら計算を終了する。
(17)ポスト処理により、全体の変位分布、荷重分布、ひずみ分布、応力分布を表示する。
また、以下では、上記(3)における要素接線剛性マトリクスの作成方法について示す。
要素接線剛性マトリクスの算出に際しては、有限要素の体積内での積分が必要となり、通常これには数値積分(Gauss積分、Newton−Cotes積分など)を用いる。すなわち、要素内の複数の積分点において剛性マトリクスを算出し、それに重みをかけて総和を取る。さらにアイソパラメトリック四辺形要素など、一般座標から自然座標への写像を必要とする有限要素の場合、各積分点におけるヤコビ行列(ヤコビアン)の算出を行う。
(3−1)積分点座標と重みを求める。
(3−2)積分点ごとに、ヤコビアンとその逆行列を求める。
(3−3)積分点ごとに、変位ひずみマトリクスを求める。
(3−4)積分点ごとに、応力、ひずみを求める。
(3−5)積分点ごとに、材料ヤコビアンを求める。
(3−6)積分点ごとに、接線剛性マトリクスを求める。
(3−7)各積分点の接線剛性マトリクスに重みを掛けて総和をとり、要素接線剛性マトリクスを計算する。
上記ステップ320の置換では、上記(3−4)の応力の計算、上記(3−5)の材料ヤコビアンの計算における計算方法が置換される。
そして、ステップ308において、上記ステップ306で計算された応力と、上記ステップ300で入力された実験データにおける、上記ステップ310で入力されたひずみ量F^に対する応力とを比較し、実験値とFEMの計算値とが一致しているか否かを判定する。実験値とFEMの計算値とが一致している場合には、このときのエネルギー関数を出力して、シミュレーション処理ルーチンを終了する。一方、実験値とFEMの計算値とが一致していない場合には、上記ステップ302へ戻り、別のエネルギー関数を、シミュレーションで用いるエネルギー関数として設定する。
以上説明したように、第の実施の形態に係る情報処理装置は、Multi dual numberを用いて、エネルギー関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算し、エネルギー関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、エネルギー関数W(F)のテンソル量Fによる1階微分に基づく応力を計算し、エネルギー関数W(F+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、エネルギー関数W(F)のテンソル量Fによる2階微分に基づく材料ヤコビアンを計算することにより、誤差の発生を抑制して、応力及び材料ヤコビアンを計算することができる。
Multi dual numberという新しい数の体系に、関数の1階微分値と2階微分値を自動的に計算させる性質があり、さらに、Multi dual numberは、テンソルの方向微分と相性が良く、これを組み合わせることで、エネルギー関数式から、応力と材料ヤコビアンの両方を自動的に計算させることが可能となる。従来、これらの計算は全て手計算によって解析的に導出せねばならなかった。そのため、複雑な材料構成則を扱う場合は、その計算を遂行するための深い専門知識と多大な工程が必要とされた。本実施の形態に係る情報処理装置の導入により、誰でも簡単に短時間でその材料構成則を正確に実装することができる。これにより、ユーザサブルーチン等を通して、材料科学の分野で提案されるエネルギー関数をその複雑さに関係なく容易に汎用有限要素法ソフトウェア上に実装することが可能になり、材料開発のスピードが大幅に向上される。
また、複雑なエネルギー関数式をFEM計算へ容易に組込むことが可能となり、材料試験結果との比較や、材料のまだ観察されていない任意の変形挙動を予測できるようになる。
ゴムなどの高分子エラストマーに代表される超弾性材料は、ひずみエネルギー密度関数Wを有する。ひずみエネルギー密度関数Wは、物体の変形により蓄積される単位体積当たりの弾性エネルギーとして定義され、等温状態におけるWの変化は、系の自由エネルギー変化と等価である。したがって、Wの関数形が既知であれば任意の変形状態に対する応力−ひずみ関係を求めることが可能となる。複雑な変形下におけるエラストマーの力学応答を知るためにFEMを使用する場合、解析結果の信頼性はWの関数形に大きく依存する。高分子物理の分野では、分子論的な考察によりエラストマーのネットワーク構造を反映したひずみエネルギー密度関数Wが多数提案されている。このようなひずみエネルギー密度関数Wを用いると、実験が簡便な一軸引張試験のみの実験データを用いて、多軸変形場の力学応答を高精度に予測することが可能になる。ただし、高精度なひずみエネルギー密度関数Wの関数形は複雑化する傾向にあり、これらのWから応力テンソル、材料ヤコビアンを計算することがFEMへの実装上の障壁となっている。本実施の形態に係る情報処理装置を用いれば、Wから応力テンソル、材料ヤコビアンを自動的に算出させることが可能になる。
なお、上記の第の実施の形態では、材料シミュレーションで用いるエネルギー関数を入力する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、他のシミュレーションで用いる他の関数を入力するようにしてもよい。たとえば、高分子、金属、非鉄金属、半導体、セラミックス、土質、レオロジー物質、圧電材料、磁性材料、超電導物質、またはこれらを組み合わせた複合材料に対して、様々な応力場における変形量のシミュレーションを行うようにし、当該シミュレーションで用いる関数を入力するようにしてもよい。
本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供するようにしてもよい。
10 情報処理装置
12 CPU
14 ROM
16 RAM
18 HDD

Claims (6)

  1. 虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、関数に対するテンソルの方向微分を行う情報処理装置であって、
    力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(I)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段と、
    記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(II)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段と、
    記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段と、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である第1物理量のij成分とする第1物理量計算手段と、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である第2物理量のijkl成分とする第2物理量計算手段と、を含
    情報処理装置。
    ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
    はテンソル積である。
  2. 前記関数は、シミュレーション対象に関する関数であって、
    前記第1物理量計算手段は、シミュレーションに用いられる前記第1物理量を計算し、
    前記第2物理量計算手段は、シミュレーションに用いられる前記第2物理量を計算する請求項1記載の情報処理装置。
  3. 有限要素法(FEM)を用いたシミュレーションを行うシミュレーション手段を更に含み、
    前記テンソル量は、ひずみを示す変形勾配テンソルであって、
    前記シミュレーションは、材料の挙動に関するシミュレーションであって、
    記第1物理量、応力テンソルであり
    記第2物理量、材料ヤコビアンであり
    前記シミュレーション手段は、前記第1物理量計算手段によって計算された応力テンソル、及び前記第2物理量計算手段によって計算された材料ヤコビアンを用いて、シミュレーションを行う請求項記載の情報処理装置。
  4. 虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、関数に対するテンソルの方向微分を行うためのプログラムであって、
    コンピュータを、
    力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(III)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段、
    記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(IV)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段、
    記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である第1物理量のij成分とする第1物理量計算手段、及び
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である第2物理量のijkl成分とする第2物理量計算手段
    として機能させるためのプログラム
    ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
    はテンソル積である。
  5. 虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、シミュレーション対象である材料に関する関数に対するテンソルの方向微分を行う情報処理装置であって、
    ずみを示す変形勾配テンソルとして入力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(V)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段と、
    記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(VI)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段と、
    記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段と、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である応力テンソルのij成分とする第1物理量計算手段と、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である材料ヤコビアンのijkl成分とする第2物理量計算手段と、
    前記第1物理量計算手段によって計算された応力テンソル、及び前記第2物理量計算手段によって計算された材料ヤコビアンを用いて、有限要素法(FEM)を用いた、前記材料の挙動に関するシミュレーションを行うシミュレーション手段と、
    を含情報処理装置。
    ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
    はテンソル積である。
  6. 虚数単位である2つの数ε1、ε2であって、ε1、ε2のそれぞれを2乗すると0となり、互いに乗算に関して交換可能な数として定義されたε1、ε2を用いて、シミュレーション対象である材料に関する関数に対するテンソルの方向微分を行うためのプログラムであって、
    コンピュータを、
    ずみを示す変形勾配テンソルとして入力された2階のテンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(VII)式に従ってΔF1 (ij) を計算する第1増分量計算手段、
    記テンソル量Fの値(F=F^)に基づいて、以下の(VIII)式に従って~ΔF2 (kl) を計算する第2増分量計算手段、
    記計算されたΔF1 (ij) 、及び前記計算された~ΔF2 (kl 用いて、関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))を計算する関数計算手段、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1の係数を取り出して、関数W(F)の前記テンソル量Fによる1階微分を用いて求められる2階のテンソル量である応力テンソルのij成分とする第1物理量計算手段、
    記関数計算手段によって計算された関数W(F^+ΔF1 (ij)+~ΔF2 (kl))におけるε1・ε2の係数を取り出して、前記関数W(F)の前記テンソル量Fによる2階微分を用いて求められる4階のテンソル量である材料ヤコビアンのijkl成分とする第2物理量計算手段、及び
    前記第1物理量計算手段によって計算された応力テンソル、及び前記第2物理量計算手段によって計算された材料ヤコビアンを用いて、有限要素法(FEM)を用いた、前記材料の挙動に関するシミュレーションを行うシミュレーション手段
    として機能させるためのプログラム。
    ただし、e 、e j 、e k 、e l はデカルト座標系における単位基底ベクトルであり、
    はテンソル積である。
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