JP6132401B2 - 燻し焼き装置の空気導入機構 - Google Patents

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Description

本発明は、籾殻等の植物原料を燻し焼きして、燻炭,燻灰,燻液(酢液)を製造する燻し焼き装置に関連し、特にこのような燻し焼き装置の燻し焼き窯内に空気を自然送気する空気導入機構に関するものである。
籾殻等の植物原料を燻し焼き炭化して得られる炭(燻炭)は、例えば、農業や園芸において植物成長調整剤や土壌改良剤などとして使用され、畜産や酪農において家畜の整腸剤や栄養補給剤あるいは畜舎の消臭衛生剤として使用される。
燻炭を製造する装置としては、例えば、グリッド部によって底側(下側)の空気導入室と天側(上側)の燻し焼き室とに分割された構造の燻し焼き窯の上記燻し焼き室に、籾殻等の植物原料を充填し、底側の空気導入室から空気を供給するとともに、天側から排気しつつ、植物原料の最上層(天面表層)から下層に向けて燻し焼きして層順次に炭化し、この燻し焼き炭化が植物原料の最下層(底面表層)まで達したら、空気供給を停止して消火することによって、弱酸性〜略中性の燻炭を製造するものがある(特許文献1,2参照)。
このような燻し焼き装置の空気導入機構は、燻し焼き窯の送気開口部を囲い込むようにしてフード部を凸設し、このフード部の天側端辺(上端辺)を回動軸として回動可能に開閉蓋を設け、この開閉蓋を回動させて上記フード部を開閉することによって、上記送気開口部を開閉する構成である。
さらには、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に達したことを感知したら、空気の導入を停止することによって、燻し焼きを自動消火できるようにした自動消火装置もある(特許文献2参照)。
このような自動消火装置を備えた空気導入機構では、燻し焼き時には、その一端がグリッド部において可燃物質を介して支持された支持棒の他端によって、上記開閉蓋を支持固定し、これによって上記フード部(従って上記送気開口部)を開成しておく。
そして、燻し焼き層が最下層に到達すると、上記可燃物質が焼けて上記支持棒が上記開閉蓋を支持できなくなるので、上記開閉蓋が回動して上記フード部に当接して隙間がなくなり、これによって上記フード部(従って上記送気開口部)が閉成され、空気供給が停止して、燻し焼きが消火される。
また、炉内温度を450〜800℃の低温に制御するとともに、導入空気量や灰自体の温度等の焼成条件を制御しつつ、籾殻を灰化することによって、溶解性が高いケイ酸成分を含有した籾殻灰を得る肥料化法が提案されている(特許文献3参照)。
もともと、ケイ酸は、土壌中に豊富に含まれているが、土壌中のケイ酸は、非晶質構造ではなく、水等の溶解性が低いために肥料価値が低い。しかし、籾殻等のイネ科の植物原料は、一般に、そのミネラル成分中に非晶質のケイ酸成分を豊富に含有しており、上記低温での灰化によって得られた籾殻灰は、非晶質で水等の溶解性が高いケイ酸成分を豊富に含んでいるため、水稲などの農作物の肥料として有効である。
このような溶解性の高い籾殻の燻灰(燻炭を燻し焼き灰化して得られる灰)を製造するのに、上記従来の燻し焼き装置は適している。植物原料を上層から下層に層順次に燻し焼き炭化して得られた消火前の燻炭を、今度は逆に下層から上層に層順次に燻し焼き灰化することよって、800°以下の低温での燻し焼き灰化が可能だからである。
燻炭を800°以下の低温で燻し焼き灰化して燻灰を製造する際には、燻し焼き炭化を終了しても、空気の自然送気を停止せず(送気開口部を完全閉成せず)、一般に燻し焼き炭化時よりも少量の空気の自然送気を継続することによって、消火前の燻炭を層順次に燻し焼き灰化する。
特開昭58−1780号公報 実公平4−44609号公報 特開2006−111480号公報
上記のように、植物原料や燻炭を層順次に燻し焼きする燻し焼き装置は、燻炭の製造のみならず、燻灰の製造にも適している。しかしながら、上記自動消火装置も含めた従来の空気導入機構は、1つの燻し焼き装置で燻炭の製造のみならず燻灰の製造もするために、最適な構成であるとは言い難い。
上記従来の空気導入機構は、燻し焼き窯の周面の空気導入室を構成する部位を開口する送気開口部の周囲にフード部を凸設し、このフード部の突端に、回動可能な開閉蓋を設けた構成である。燻炭の製造のみであれば、燻し焼き時には開閉蓋とフード部との間に隙間を作り、消火時にはその隙間を完全閉成する上記構成で足りる。
しかし、一般に、低温での燻し焼き灰化に最適な自然送気量は、燻し焼き炭化のそれよりも少ない。このため、燻灰の製造時には、燻し焼き灰化の開始の際に、燻し焼き炭化時よりも上記隙間を狭くして残しておく必要があるが、例えばフード部に突起を設けて上記隙間を僅かに確保する構成では、空気の自然送気量が不安定になる心配がある。
また、上記従来の空気導入機構は、燻し焼き窯にフード部を凸設し、このフード部に開閉蓋を回動可能に設けた構成である。さらに、上記自動消火装置を設けた場合には、グリッド部にトンネルガイド部を設け、このトンネルガイド部に、開閉蓋を開成支持するための支持棒を挿入した構成も付加される。このため、構成自体が複雑なものとなり、構成部品も大型なものとなるため、メンテナンス頻度が高くなり、燻し焼き装置を家庭用等に小型化するにも、最適な構成であるとは言い難い。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、燻し焼き炭化および燻し焼き灰化のいずれにも最適な空気導入が容易かつ確実に可能な燻し焼き装置の空気導入機構を提供することを目的としてなされたものである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の燻し焼き装置の空気導入機構は、内部の空隙がグリッド部によって天側の燻し焼き室と底側の空気導入室に分割された燻し焼き窯の前記空気導入室に、植物原料を層順次に燻し焼き炭化するのに適量の空気を自然送気したあと、この自然送気を停止して燻炭を消火するか、あるいは燻炭を層順次に燻し焼き灰化するのに適量の空気を自然送気する燻し焼き装置の空気導入機構であって、前記燻し焼き窯の前記空気導入室を構成する周面部位を開口する第1送気開口部と、前記燻し焼き窯の周面を自重で摺動降下可能なシャッタ本体と、前記第1送気開口部よりも狭い開口量で、前記シャッタ本体の第1端辺部よりもこれと向合する第2端辺部に近い部位を開口する第2送気開口部と、前記シャッタ本体の摺動降下をガイドするシャッタガイド部と、燻し焼き炭化が前記燻し焼き室内の植物原料の最下層に到達するまでは、当接支止部位が前記シャッタ本体の底端辺部を当接支止して、前記シャッタ本体の摺動降下を掛止し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達して、可撓可焼部位が燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折したら、前記掛止を解除する掛止構成体と、前記掛止構成体を前記グリッド部に設置するための掛止ガイド部とを備え、前記シャッタ本体が前記第1端辺部を前記底端辺部として前記掛止構成体に掛止されている場合には、この掛止がされている間は、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、前記掛止構成体が前記掛止を解除すると、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第1送気開口部を閉成被覆し、前記自然送気を停止し、前記シャッタ本体が前記第2端辺部を前記底端辺部として前記掛止構成体に掛止されている場合には、この掛止がされている間は、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、前記掛止構成体が前記掛止を解除すると、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第2送気開口部が重なるように第1送気開口部を被覆し、前記第2送気開口部を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気することを特徴とするものである。
本発明の第2の燻し焼き装置の空気導入機構は、上記第1の燻し焼き装置の空気導入機構において、前記グリッド部の前記当接支止部位の近傍にグリッド盤体切欠き部が設けられていることを特徴とすることを特徴とするものである。
本発明の第3の燻し焼き装置の空気導入機構は、上記第1または第2の燻し焼き装置の空気導入機構において、前記シャッタ本体の前記底端辺部に前記当接支止部位が嵌合する嵌合切欠き部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の第4の燻し焼き装置の空気導入機構は、上記第1ないし第3の何れかの燻し焼き装置の空気導入機構において、前記シャッタ本体の前記第2送気開口部の周囲にフード部が凸設されていることを特徴とするものである。
本発明の第5の燻し焼き装置の空気導入機構は、上記第1ないし第4の何れかの燻し焼き装置の空気導入機構において、前記グリッド部の中心部から周端辺部までの途中の位置に前記可撓可焼部位が配置されていることを特徴とするものである。
本発明の燻炭の製造方法は、上記第1ないし第5の何れかの燻し焼き装置の空気導入機構を使用した燻炭の製造方法であって、前記シャッタ本体の前記第1端辺部を前記底端辺部として、前記シャッタ本体を前記掛止構成体に掛止させ、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の植物原料を層順次に燻し焼き炭化する手順と、前記掛止構成体が前記掛止を解除し、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第1送気開口部を閉成被覆することによって、前記自然送気を停止して燻し焼きを消火する手順とを含むことを特徴とするものである。
本発明の燻灰の製造方法は、上記第1ないし第5の何れかの燻し焼き装置の空気導入機構を使用した燻炭の製造方法であって、前記シャッタ本体の前記第2端辺部を前記底端辺部として、前記シャッタ本体を前記掛止構成体に掛止させ、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の植物原料を層順次に燻し焼き炭化する手順と、前記掛止構成体が前記掛止を解除し、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第2送気開口部が重なるように第1送気開口部を被覆し、前記第2送気開口部を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の燻炭を層順次に燻し焼き灰化する手順とを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達するまでは、燻し焼き窯の周面を自重で摺動降下可能なシャッタ本体を、掛止構成体によって第1送気開口部の直上に掛止して、第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達したら、掛止構成体が燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折することによって上記掛止を解除して、シャッタ本体を摺動降下させ、第1端辺部と第2端辺部の何れを底端辺部としてシャッタ本体を配置していたかによって、第1送気開口部を閉成被覆して燻し焼きを消火するか、あるいは第2送気開口部が重なるように第1送気開口部を被覆して第2送気開口部を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気することにより、簡易かつコンパクトな構成で、燻し焼き炭化および燻し焼き灰化にいずれにも最適な空気導入ならびに燻し焼きの消火が容易かつ確実に可能になるという効果がある。
本発明の実施の形態の燻し焼き装置の空気導入機構の構成および動作を説明する図である。 本発明の実施の形態の燻し焼き装置の全体構成を説明する図である。 本発明の実施の形態の他の空気導入機構の構成を説明する図である。 本発明の実施の形態の他の燻し焼き窯の構成を説明する図である。
本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ、以下に詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の燻し焼き装置の空気導入機構の構成および動作を説明する図である。図1において、(a1),(a2),(b1),(b2)は本実施の形態の空気導入機構を備えた燻し焼き窯の正面図であり、(a1)および(a2)は燻灰を製造する場合の図、(b1)および(b2)は燻炭を製造する場合の図である。
そして、図1において、(a1)および(b1)は植物原料を燻し焼き炭化しているときの図、(a2)は燻し焼き炭化によって得られた燻炭をさらに燻し焼き灰化しているときの図、(b)は燻し焼き炭化によって得られた燻炭を消火しているときの図である。
また、図1において、(c1)は上記(a1)において燻し焼き窯の本体円錐台部を取りはずしたときの天面(上面)図、(c2)は上記(a1)の部分側断面図であり、(d1)は上記(a2)において燻し焼き窯の本体円錐台部を取りはずしたときの天面図、(d2)は上記(a2)の部分側断面図である。
燻し焼き窯100は、本体円筒部110と、本体円錐台部120と、本体天蓋部130と、グリッド部140とを備えて構成されており、この燻し焼き窯100の内部の空隙は、グリッド部140によって、底側の空気導入室101と、天側の燻し焼き室102とに分割されている。
本実施の形態の空気導入機構300は、第1送気開口部310と、シャッタ本体320と、第2送気開口部330と、シャッタガイド部340と、掛止軸351と、掛止ガイド部360と、グリッド盤体切欠き部370とを備えて構成されている。
第1送気開口部310は、燻し焼き窯100の本体円筒部110の周面の内、空気導入室101を構成する周面部位を開口削設したものである。この第1送気開口部310は、その天側に、掛止軸351を挿通突出させるための切欠き開口部を含んでいる。なお、この第1送気開口部310は、本実施の形態のように略円である他、例えば略楕円あるいは略四角とすることも可能である。
シャッタ本体320は、本体円筒部110と略同じ曲率の湾曲平盤型(半筒型)をなす、例えばステンレス鋼製あるいは鉄製の金属体であって、内周面が本体円筒部110の周面に当接するように配置され、燻し焼き窯100の本体円筒部110の周面を自重で摺動降下可能である。
第2送気開口部330は、シャッタ本体320に設けられている。この第2送気開口部330は、第1送気開口部310よりも狭い開口量で、シャッタ本体320の向合する第1端辺部321および第2端辺部322の内、第1端辺部321よりも第2端辺部322に近い部位を開口している。なお、この第2送気開口部330は、本実施の形態のように略円である他、例えば略楕円あるいは略四角とすることも可能である。
シャッタガイド部340は、第1送気開口部310の両側に1つずつ、燻し焼き窯100の本体円筒部110の周面に貼付されたように固設されており、シャッタ本体320の側端辺部がそれぞれ挿嵌され、シャッタ本体320が本体円筒部110の周面を摺動降下するのをガイドする。
掛止軸351は、本発明の掛止構成体に相当するものであって、シャッタ本体320の底端辺部を当接支止する当接支止部位、および燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折する可撓可焼部位を含み、燻し焼き炭化が燻し焼き室102内の植物原料の最下層に到達するまでは、当接支止部位がシャッタ本体320の底端辺部を当接支止して、シャッタ本体320の摺動降下を掛止し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達して、可撓可焼部位が燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折したら、前記シャッタ本体320の掛止を解除する。
この掛止軸351は、その一端部が、第1送気開口部310から突出してシャッタ本体320の底端辺部を当接支止する当接支止端部(掛止構成体の当接支止部位)となり、その他端部がガイド挿入端部となる軸体である。
また、掛止軸351は、その一部または全体が、燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折する可撓可焼体(屈撓あるいは焼折する部位が上記可撓可焼部位に相当する)によって構成された軸体である。この掛止軸351としては、専用のものを用意することの他に、例えば竹串や割り箸を簡易に使用することが可能である。
掛止ガイド部360は、掛止構成体に相当する掛止軸351をグリッド部140に設置するためのものであり、グリッド部140の天面に固設されている。この掛止ガイド部360は、正面視が略コの字型であって、側面のみならず天面をもガイドする構成となっており、掛止軸351のガイド挿入端部が挿入されることによって、掛止軸351を水平および鉛直に位置決めする。
この本実施の形態の空気導入機構300は、内部の空隙がグリッド部140によって天側の燻し焼き室102と底側の空気導入室101に分割された燻し焼き窯100の空気導入室101に、燻し焼き室102内の植物原料を層順次に燻し焼き炭化するのに適量の空気を自然送気したあと、この自然送気を停止して燻し焼き炭化によって得られた燻炭を消火するか、あるいは燻し焼き炭化によって得られた燻炭を消火せずに層順次に燻し焼き灰化するのに適量な空気を自然送気する。
つまり、燻し焼き炭化のあとに燻し焼き灰化して燻灰を製造する場合には、第2端辺部322を底端辺部としてシャッタ本体320を掛止軸351によって第1送気開口部310の直上に掛止させておき(図1(a1)および図1(c1),(c2)参照)、この掛止がされている間は、第1送気開口部310を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、掛止軸351が屈撓あるいは焼折して上記掛止が解除されると(図1(d1),(d2)参照)、シャッタ本体320が摺動降下して第2送気開口部330が重なるように第1送気開口部310を被覆し(図1(a2)および図1(d1),(d2)参照)、第2送気開口部330を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気する。
また、燻し焼き炭化を消火して燻炭を製造する場合には、第1端辺部321を底端辺部としてシャッタ本体320を掛止軸351によって第1送気開口部310の直上に掛止させておき(図1(b1)参照)、この掛止がされている間は、第1送気開口部310を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、掛止軸351が屈撓あるいは焼折して上記掛止が解除されると、シャッタ本体320が摺動降下して第1送気開口部310を閉成被覆し(図1(b2)参照)、上記自然送気を停止して、燻し焼きを消火する。
図2は本発明の実施の形態の燻し焼き装置の全体構成を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は天面図である。なお、図2において、図1と同様のものには同じ符号を付してある。
図2のように、本実施の形態の燻し焼き装置は、燻し焼き窯100と、支持機構200と、本実施の形態の空気導入機構300(図1参照)と、煙突400と、燻液原液収容器500とを備えている。
燻し焼き窯100は、本体円筒部110と、本体円錐台部120と、本体天蓋部130と、グリッド部140とを備えて構成されている。
本体円筒部110は、底面は開口されておらず、天面が開口された略円筒型をなす、例えばステンレス鋼製あるいは鉄製の金属体であって、燻し焼き窯本体を構成する部分である。
本体円錐台部120は、その天面および底面がいずれも開口された略円錐台型をなす、例えばステンレス鋼製あるいは鉄製の金属体であって、その底側周縁部が本体円筒部110の天側周縁部に載置されて、本体円筒部110とともに燻し焼き窯本体を構成する部分である。
本体天蓋部130は、略円盤型をなす、例えばステンレス鋼製あるいは鉄製の金属体であって、その周縁部が本体円錐台部120の天側周縁部上に載置されて、本体円錐台部120の天面開口を閉成する蓋として、本体円筒部110および本体円錐台部120とともに燻し焼き窯本体を構成する部分である。
グリッド部140は、例えばステンレス鋼製あるいは鉄製のグリッド円盤体であって、燻し焼き窯100の本体円筒部110内に、取りはずし可能に水平張設されている。そして、このグリッド部140によって、燻し焼き窯100の内部の空隙は、底側の空気導入室101と、天側の燻し焼き室102に分割されている。
燻し焼き窯100において、本体円錐台部120は、本体円筒部110から取りはずし可能であり、本体天蓋部130も、本体円錐台部120から取りはずし可能である。
本体円錐台部120や本体天蓋部130を本体円筒部110から取りはずし可能な構成とすることによって、本体円筒部110,本体円錐台部120,本体天蓋部130の内面の洗浄や、グリッド部140の取りはずし洗浄等、燻し焼き窯100のメンテナンス作業を容易にすることができるとともに、植物原料の充填作業や燻炭または燻灰の取り出し作業を容易にすることができる。
支持機構200は、燻し焼き窯100の周面に凸設された2つの支軸を掛支することによって、燻し焼き窯100を中空位置に支持している。なお、この支持機構200を設けずに、燻し焼き装置の設置面に燻し焼き窯100を直接載置した構成とすることも可能である。
煙突400は、煙突本体長筒部410と、煙突本体接続部420と、煙突嵌合部430と、煙突支柱部440とによって構成されている。
この煙突400は、植物原料の燻し焼き炭化の際に燻し焼き窯100の燻し焼き室102内に生じる燻煙(炭化時燻煙)を自然排気し、燻炭の燻し焼き灰化の際に燻し焼き室102内に生じる燻煙(灰化時燻煙)を自然排気する役目を果たすとともに、内部を通過する燻煙を高効率に冷却して燻液原液を結露生成させる役目を果たす。
煙突本体長筒部410は、略長筒をなしており、その底部近傍の側面部位において煙突本体接続部420の一端に連接されており、この煙突本体接続部420との連接部位を中心軸として回転可能である。
この煙突本体長筒部410の長尺の略中間位置には、1個または複数個の冷却孔が設けられている。また、この煙突本体長筒部410の底部には、燻液原液の滴下孔が設けられている。
煙突本体接続部420は、L字型の略円筒をなしており、その他端は、本体天蓋部130に固設された煙突嵌合部430の内周面に取りはずし可能に挿嵌されている。
煙突嵌合部430は、本体天蓋部130の周端部の近く、上面視において本体天蓋部130の中心からずれた部位に、略円筒をなして凸設されている。
この煙突嵌合部430内においては、本体天蓋部130が開口されているので、突嵌合部430に煙突接続部420が挿嵌されることによって、燻し焼き窯100に煙突400が取りはずし可能に挿通接続されることとなる。
そして、上面視円周において、第1送気開口部310の位置を回転角0°の位置とすると、本体天蓋部130は、煙突嵌合部430が回転角約180°の位置となるように、本体円錐台部120の天側周縁部上に載置される。従って、上面視において、煙突嵌合部430と、燻し焼き窯100の周面に設けられている第1送気開口部310とのなす中心角は、約180°となる。
なお、煙突嵌合部430は、上記のように本体天蓋部130の中心からずれた部位に設けることの他、本体天蓋部130の略中心部位に設けることも可能である。また、煙突嵌合部430に煙突嵌合部430の内周面が挿嵌される構成とすることも可能である。
煙突支柱部440は、煙突本体長筒部410の長尺中間位置よりも天側の部位と燻し焼き装置の設置面(例えば地面等の水平面)の間に配置されて、煙突本体長筒部410を支持する。
燻液原液収容器500は、煙突本体長筒部410の燻液原液の滴下孔の直下に位置するように、煙突本体長筒部410の底部に釣下げられている。
上記の煙突400は、その長尺が傾斜するようにして配置される。つまり、煙突本体長筒部410が、例えばその長尺が鉛直と鈍角をなすように(燻し焼き装置の設置面と鋭角をなすように)、傾斜して配設される。
そして、この煙突本体長筒部410を傾斜配置した構成、さらには煙突本体長筒部410に冷却孔を設けた構成によって、煙突本体長筒部410内面において高効率に冷却結露生成された燻液原液が、滴下孔から滴下して、燻液原液収容器500内に貯められる。
本実施の形態の燻し焼き装置を使用して、燻炭,燻灰,燻液を製造する手順について、以下に説明する。
植物原料として、ここでは籾殻を使用する。なお、この他に、例えば、稲藁,そば殻,竹,葦,薄、あるいはこれらと籾殻を混合したものを植物原料として使用することも可能である。
植物原料となる籾殻は、あらかじめ十分に乾燥させておく。この籾殻全体の含水率は、例えば10〜35重量%にすることが望ましく、最適値は15〜25重量%である。
このように、植物原料全体の含水率を10〜35重量%とするのは、10%重量未満では燻液原液の回収量が少なくなるおそれがあり、35重量%を超過すると、含有水分によって燻し焼きが鎮火中断するおそれがあるからである。
なお、植物原料として、稲藁など、主として植物稈部分を使用する場合には、燻し焼き時の空気の流通性を確保するために、上記植物稈部分をあらかじめ例えば3cm以下に切断しておくことが望ましい。また、植物原料の含水率を調整するために、植物原料に、おが屑や落葉を混合することも可能である。
まず、作業者は、本体天蓋部130(または本体円錐台部120)を本体円錐台部120(または本体円筒部110)から取りはずして、植物原料を燻し焼き窯100の燻し焼き室102内に集積充填したあと、取りはずした本体天蓋部130(または本体円錐台部120)を本体円錐台部120(または本体円筒部110)の天側周円部上に載置する。
これとともに、作業者は、空気導入機構300の掛止軸351のガイド挿入端部を掛止ガイド部360に挿入し、当接支止端部を第1送気開口部310の天側から突出させ、シャッタ本体320の側端辺部をシャッタガイド320に挿嵌して、シャッタ本体320の底端辺部を掛止軸351に掛止させ、第1送気開口部310を介して燻し焼き窯100の空気導入室101に空気が自然送気されるようにする(図1(a1),(b1)等参照)。
このとき、燻炭を製造する場合には、第1端辺部321を底端辺部としてシャッタ本体320をシャッタガイド320に挿嵌し(図1(b1)参照)、燻灰を製造する場合には、逆に第2端辺部322を底端辺部としてシャッタ本体320をシャッタガイド320に挿嵌する(図1(a1)参照)。
さらに、作業者は、煙突400の煙突本体接続部420を煙突嵌合部430に挿嵌し、煙突本体長筒部410を煙突支柱部440によって支持して、煙突400を傾斜配置する。そして、煙突本体長筒部410の底端部位(燻液原液滴下孔の直下)に、燻液原液収容器500を釣下配置する。
次に、作業者は、本体天蓋部130を天側に僅かにずらす操作をして、本体円錐台部120との間に幅の狭い略円環型の隙間を作り、この隙間から種火を投入して植物原料の天面表層(最上層)に点火し、全表層に炎焼(炎を伴った燃焼)が広がったことを目視確認したら、本体天蓋部130をもとの位置に戻して、上記隙間を閉成する。
植物原料の天面表層の炎焼は、本体円錐台部120の天面開口を本体天蓋部130によって閉成したあとも、しばらくの間、介在する空気中の酸素を消費しながら継続する。
そして、上記介在空気中の酸素を消費すると、炎焼を終了して、植物原料の燻し焼きが開始される。なお、煙突400の排煙は、炎焼の間は白色の排煙であるが、炎焼が終了して燻し焼きが開始されると、黒色の排煙(燻煙)となる。
次に、燻し焼き窯100の燻し焼き室102内において、植物原料の燻し焼きを層順次に移動継続させて、この植物原料が燻し焼き炭化される。
つまり、植物原料の燻し焼きは、この植物原料の最上層から開始され、植物原料の内の燻し焼きされている部分(植物原料燻し焼き層)が、最上層から下層に向けて順次進んでいく。そして、この植物原料燻し焼き層がグリッド部140の天面直上に位置する底面表層(最下層)まで到達するによって、植物原料の燻し焼き炭化が終了する。
植物原料の燻し焼きが開始されると、植物原料燻し焼き層は、その底側からの空気供給に応じて、植物原料の上層から下層に移動していく。酸素を含んだ適量の空気は、空気導入機構300の第1送気開口部310から燻し焼き窯100の空気導入室101内に自然送気され、グリッド部140のグリッドを通過して、まだ燻し焼きされていない下層の植物原料の間を通過し、植物原料燻し焼き層に供給される。
そして、植物原料燻し焼き層の熱と、底側から供給される空気との相互作用によって、植物原料燻し焼き層直下の植物原料層の燻し焼き炭化が開始され、このサイクルの繰り返しによって、植物原料燻し焼き層の下層移動がなされる。
このように、燻し焼き層を植物原料の上層から下層に移動させながら継続させ、植物原料の最下層まで中断することなく到達させることにより、燻し焼き室102内に充填された植物原料は、層順次に全て燻し焼き炭化され、燻炭となる。
この植物原料の燻し焼き炭化は、500℃以下の低温での燻し焼き炭化(低温燻し焼き炭化)となる。なお、この燻し焼き化の際に、燻し焼き窯100は静止しており、植物原料を流動させることはしないので、上記燻炭は、植物原料の容姿が略そのまま残ったものとなる。本実施の形態の籾殻を植物原料とした燻炭(籾殻燻炭)では、籾殻の容姿が略そのまま残ったものとなる。
上記植物原料の燻し焼き炭化の際には、空気導入機構300のシャッタ本体320は、掛止軸351によって第1送気開口部310の直上に掛止されており、開口量が固定の第1送気開口部310を介して燻し焼き窯本体100の空気導入室102内に適量の空気が自然送気され、グリッド部140を通過して燻し焼き室102に送り込まれるようになっている。従って、空気導入機構300の構成上の送気条件は、燻し焼き炭化の開始から終了まで固定されたままである。
また、上記植物原料の燻し焼き炭化の際には、煙突400の煙突本体長筒部410は、煙突支持部440によってあらかじめ固定傾斜配置されており、燻し焼き窯100の燻し焼き室102内から傾斜角および開口量を固定された煙突400を通過して炭化時燻煙が自然排気されるようになっている。従って、煙突400の構成上の排気条件も、燻し焼き炭化の開始から終了まで固定されたままである。
上記植物原料の燻し焼き炭化の際、空気導入機構300の第1送気開口部310を介して自然送気された空気は、植物原料燻し焼き層よりも下層の植物原料層の間を通過して植物原料燻し焼き層まで到達し、主にこの植物原料燻し焼き層で消費される。
植物原料燻し焼き層において生じた燻煙は、そこよりも上層のすでに燻炭となった層(炭化時燻炭層)の間を上昇して煙突400内に誘導され、煙突400の煙突本体長筒部410を介して自然排気される。なお、上記植物原料の燻し焼き炭化において、炭化時燻炭層は、下層の植物原料燻し焼き層からの上記燻煙の保護作用によって灰化が防止されるので、燻炭のまま留まることとなる。
本実施の形態の燻し焼き装置では、層順次の燻し焼き炭化に適量の空気を、空気導入機構300の第1送気開口部310を介して植物原料燻し焼き層の底側に自然送気するとともに、炭化時燻煙を、煙突400の煙突本体長筒部410を介して自然排気することによって、植物原料を最上層から下層に向けて層順次に炭化させるようにしているので、燻し焼き炭化のときに、燻し焼き室102内を500℃以下の低温燻し焼き炭化の環境とすることができる。
そして、このような低温燻し焼き炭化によって、燻液成分およびタール成分が適度に揮発除去されるとともに、ケイ酸成分が非晶質構造のまま豊富に残留し、かつ有機成分が豊富に残留した燻炭が得られる。
本実施の形態によって得られる燻炭は、アルカリ性ではなく弱酸性〜略中性であって、PH値のばらつきの少ない(再現安定性の高い)ものである。このような燻炭は、その特性条件が厳しい植物成長調整剤や土壌改良剤としての用途にも、容易に使用が可能である。従って、本実施の形態による燻炭は、様々な用途に使用可能な価値が高いものである。
燻し焼きによって熱せられて植物原料中から揮発した燻液原液成分(燻液成分とともにタール成分等も含むもの)は、炭化時燻煙に混合されて上昇し、煙突400内に誘導され、この煙突400の煙突本体長筒部410内で冷却されて結露し、燻液原液収容器500内に滴下貯集される。この燻液原液収容器500内に貯集された燻液原液(炭化時燻液原液)からは、必要に応じてタール成分等が除去分離され、燻液(炭化時燻液)が抽出される。
植物原料の最下層が燻し焼き炭化されることによって、植物原料の燻し焼き炭化が終了するが、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達すると(植物原料燻し焼き層が最下層に到達すると)、この燻し焼き炭化の熱によって、掛止軸351の可撓可焼部位(掛止軸351全体が可撓可焼体の場合には最も高温になった部位)が屈撓あるいは焼折する。
そして、掛止軸351が屈撓あるいは焼折すると、掛止軸351の当接支止端部(当接支止部位)はシャッタ本体320の底端辺部を支止できなくなって、この底端辺部から離間するので、掛止軸351は、シャッタ本体320を掛止できなくなり、シャッタ本体320の掛止を解除する。
すると、シャッタ本体320は、燻し焼き窯100の本体円筒部110の周面を、シャッタガイド部340に沿って自重で摺動降下し、第1送気開口部310を被覆して摺動降下を停止する。
燻炭を製造する場合には、シャッタ本体320は、あらかじめ第1端辺部321が底端辺部となるようにシャッタガイド360に挿嵌されているので、掛止軸351によって掛止が解除され、自重で摺動降下すると、第2送気開口部330が第1送気開口部310と重なり合うことなく、第1送気開口部310を閉成被覆するので、燻し焼き窯100の空気導入室101に空気が自然送気されなくなる。
そして、このシャッタ本体320による第1送気開口部310の閉成被覆によって、燻し焼き窯100は消壺のような動作をすることとなるので、燻し焼き室102内の燻炭を消火することができる。
なお、この燻炭の消火の際には、第1送気開口部310を上記のように閉成被覆するとともに、作業者は、煙突400を本体天蓋部130の煙突嵌合部430から取りはずし、この煙突嵌合部430も閉成被覆することが望ましい。第1送気開口部310とともに煙突嵌合部430も閉成被覆することによって、消火にかかる時間を短縮することができるからである。
燻灰を製造する場合には、シャッタ本体320は、上記燻炭を製造する場合とは逆に、あらかじめ第2端辺部322が底端辺部となるようにシャッタガイド360に挿嵌されているので、掛止軸351によって掛止が解除され、自重で摺動降下すると、第2送気開口部330が第1送気開口部310と重なり合うように第1送気開口部310を被覆し、燻し焼き窯100の空気導入室101には、第2送気開口部330を介して空気が自然送気されるようになる。
空気導入機構300の第2送気開口部330を介して燻し焼き窯100の空気導入室101内に空気を自然送気することによって、植物原料の燻し焼き炭化によって得られた燻炭は消火されることなく、燻し焼き窯100の燻し焼き室102内において、上記燻炭の燻し焼きを層順次に移動継続させて、この燻炭が燻し焼き灰化される。
つまり、燻炭の燻し焼きは、植物原料の燻し焼きのときとは逆に、直近での植物原料燻し焼き層であった燻炭の最下層から開始され、燻炭の内の燻し焼きされている部分(燻炭燻し焼き層)が、最下層から上層に向けて順次進んでいく。そして、この燻炭燻し焼き層が燻炭の天面表層(最上層)の直下まで到達すると、この天面表層の燻炭を未灰化で残したまま、燻し焼き灰化を終了する。
燻炭の燻し焼きが開始されると、燻炭燻し焼き層は、その底側からの空気の供給に応じて、燻炭の下層から上層に移動していく。酸素を含んだ適量の空気は、空気導入機構300の第2送気開口部330から燻し焼き窯100の空気導入室101内に自然送気され、グリッド部140のグリッドを通過して、すでに燻し焼きされて灰化した下層の燻灰の間を通過し、燻炭燻し焼き層に供給される。
そして、燻灰の余熱と、底側から供給される空気との相互作用によって、燻灰直上の燻炭層の燻し焼き灰化が開始され、このサイクルの繰り返しによって、燻炭燻し焼き層の上層移動がなされる。
このように、燻し焼き層を燻炭の下層から上層に移動させながら継続させ、燻炭の上層まで到達させることにより、燻し焼き室102内に生成された燻炭は、層順次に燻し焼き灰化され、燻灰となる。
なお、上記燻し焼き灰化の終了時には、燻炭の天面表層に未灰化の薄い燻炭層が残る場合がある。例えば、籾殻を植物原料として使用した場合には、籾殻1層〜数層分の薄い籾殻燻炭層が未灰化のまま残る場合がある。
この燻炭の燻し焼き灰化は、800℃以下の低温での燻し焼き灰化(低温燻し焼き灰化)となる。なお、この燻し焼き灰化の際にも、燻し焼き窯100は静止しており、燻炭を流動させることはしないので、上記燻灰は、燻炭の容姿が略そのまま残ったものとなる。本実施の形態の籾殻を植物原料とした燻灰(籾殻燻灰)では、籾殻燻炭の容姿、つまり植物原料である籾殻の容姿が略そのまま残ったものとなる。
上記燻炭の燻し焼き灰化の際には、空気導入機構300のシャッタ本体320は、第2送気開口部330が第1送気開口部310と重なり合うように第1送気開口部310を被覆しており、開口量が固定の第2送気開口部330を介して燻し焼き窯本体100の空気導入室102内に適量の空気が自然送気され、グリッド部140を通過して燻し焼き室102に送り込まれるようになっている。従って、空気導入機構300の構成上の送気条件は、燻し焼き灰化の開始から終了まで固定されたままである。
ただし、一般に、低温燻し焼き灰化に最適な時間当たりの空気の量は、低温燻し焼き炭化に最適なそれよりも少ない。このため、第2送気開口部330の開口量は、第1送気開口部330の開口量よりも狭くするものとし、例えば、第1送気開口部330の開口量のおよそ1/15〜3/4とする。
また、上記燻炭の燻し焼き灰化の際には、煙突400の煙突本体長筒部410は、煙突支持部440によってあらかじめ固定傾斜配置されており、燻し焼き窯100の燻し焼き室101内から傾斜角および開口量を固定された煙突400を通過して灰化時燻煙が自然排気されるようになっている。従って、煙突400の構成上の排気条件も、燻し焼き灰化の開始から終了まで固定されたままである。
上記燻炭の燻し焼き灰化の際、空気導入口300の第2送気開口部330を介して自然送気された空気は、燻炭燻し焼き層よりも下層の燻灰の間を通過して燻炭燻し焼き層まで到達し、主にこの燻炭燻し焼き層で消費される。燻炭燻し焼き層において生じた燻煙は、そこよりも上層の未灰化の燻炭層(灰化時燻炭層)の間を上昇して煙突400内に誘導され、煙突400の煙突本体長筒部410を介して自然排気される。
本実施の形態の燻し焼き装置では、層順次の燻し焼き灰化に適量の空気を、空気導入機構300の第2送気開口部330を介して燻炭燻し焼き層の底側に自然送気するとともに、灰化時燻煙を、煙突400の煙突本体長筒部410を介して自然排気することによって、燻炭を最下層から上層に向けて層順次に灰化させるようにしているので、燻し焼き灰化のときに、燻し焼き室102内を800℃以下の低温燻し焼き灰化の環境とすることができる。
そして、このような低温燻し焼き灰化によって、燻炭中のケイ酸成分の結晶化を抑制して、有機質成分をじっくりと完全燃焼させることができるので、ケイ酸成分が非晶質構造のまま高濃度に含有された燻灰が得られる。
本実施の形態によって得られる燻灰中に主成分として高濃度に含有されるケイ酸は、低温燻し焼き灰化によって溶解性の高い非晶質のものである。このような燻灰を農作物肥料として使用すれば、農作物が必要量のケイ酸成分を容易に摂取することができる。従って、本実施の形態による燻灰は、ケイ酸質肥料として価値の高い農作物肥料である。
特に、本実施の形態の植物原料である籾殻は、ケイ酸成分を極めて高濃度に含有しているので、得られた籾殻燻灰は、上記低温燻し焼き炭化および上記低温燻し焼き灰化によって、水等の溶解性の極めて高いケイ酸成分を極めて高濃度に含有した肥料(籾殻燻灰肥料)となる。
燻し焼きによって熱せられて燻炭中から揮発した残留燻液原液成分(残留燻液成分とともに残留タール成分等も含むもの)は、灰化時燻煙に混合されて上昇し、煙突400内に誘導され、この煙突400の煙突本体長筒部410内で冷却されて結露し、燻液原液収容器500内に滴下貯集される。この燻液原液収容器500内に貯集された燻液原液(灰化時燻液原液)からは、必要に応じてタール成分等が除去分離され、燻液成分(灰化時燻液成分)が抽出される。
ただし、本実施の形態の燻し焼き装置においては、灰化時燻液原液の回収量は、炭化時燻液原液の回収量よりも少なくなり、灰化時燻液原液の透明度は、炭化時燻液原液よりも高いものとなり、灰化時燻液原液から採取される燻液成分のPH値は、炭化時燻液原液から採取される燻液成分のPH値よりも高いものとなる。
このような本実施の形態の燻し焼き装置では、燻し焼き室102に充填した植物原料のおよそ6〜8割の容量の燻炭が得られ、燻し焼き室102に充填した植物原料のおよそ3〜5割の容量の燻灰が得られる。
なお、本実施の形態の焼き燻し焼き装置では、燻し焼き窯100を、本体円筒部110と本体天蓋部130の間に本体円錐台部120を設けた複合体構造としている。この本体円錐台部120は、燻し焼き炭化温度をより低温でばらつきの少ない再現安定性の高いものとし、燻し焼き灰化温度をより低温とし、煙突400内に誘導される炭化時燻煙および灰化時燻煙をより低温化とする役目を果たすものと推測される。
さらに、植物原料を、その天面表層が本体円錐台部120に達するように充填する場合には、点火時の植物原料の天面表層の面積を狭くすることができるので、未炭化部分の発生を低減することができる。
上記低温燻し焼き炭化の環境および上記低温燻し焼き灰化の環境を確実に確保しつつ、層順次の燻し焼き炭化および層順次の燻し焼き灰化を確実に継続させるとともに、未炭化部分の発生を低減するために、本体円錐台部120の底角は、40°〜50°の範囲内に設定することが望ましい。
以上のように本発明の実施の形態によれば、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達するまでは、燻し焼き窯100の周面を自重で摺動降下可能なシャッタ本体320を、掛止軸351によって第1送気開口部310の直上に掛止して、第1送気開口部310を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達したら、掛止軸351が燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折することによって上記掛止を解除して、シャッタ本体320を摺動降下させ、第1端辺部321と第2端辺部322の何れを底端辺部としてシャッタ本体320を配置していたかによって、第1送気開口部310を閉成被覆して燻し焼きを消火するか、あるいは第2送気開口部330が重なるように第1送気開口部310を被覆して第2送気開口部330を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気することにより、簡易かつコンパクトな構成で、燻し焼き炭化および燻し焼き灰化にいずれにも最適な空気導入ならびに燻し焼きの消火が容易かつ確実に可能になる。
図3は本発明の実施の形態の他の空気導入機構の構成を説明する図である。図3において、(a)〜(d)はそれぞれ他のシャッタ本体の正面図である。また、(e1)および(e2),(f1)および(f2),(g1)および(g2)はそれぞれ他の掛止構成体の図であり、(e1),(f1),(g1)は燻し焼き窯の本体円錐台部を取りはずしたときの天面図、(e2),(f2),(g2)はそれぞれ上記(e1),(f1),(g1)の部分側断面図である。なお、図3において、図1または図2と同様のものには同じ符号を付してある。
図3(a)のシャッタ本体320Aは、上記本実施の形態のシャッタ本体320において、第1端辺部321および第2端辺部322の略中央位置に、それぞれ嵌合切欠き部323,324を削設したものである。
嵌合切欠き部323および324は、掛止構成体の当接支止部位(掛止軸351の当接支止端部)を嵌合させて、ずれを生じないようにする役目を果たす。なお、シャッタ本体320Aに開口された第2送気開口部330Aは、略正方の開口となっている。
図3(b)のシャッタ本体320Bは、上記本実施の形態のシャッタ本体320において、第2送気開口部330の周囲に、略円筒型のフード部325Bを凸設したものである。
このフード部325Bは、高さ寸法が低いもので間に合うものであって、シャッタ本体に必須の構成ではないが、シャッタ本体をシャッタガイド部に挿嵌するときに作業者のハンドリングをし易くする役目を果たし、シャッタ本体の掛止が解除されたときに、シャッタ本体の自重での摺動降下をし易くする錘のような役目を果たす。
なお、フード部325Bを、例えば、半円筒型あるいは角筒型または半角筒型とすることも可能である。また、シャッタ本体の第2送気開口部とは個別の部位に、ハンドリング操作およびシャッタ本体の自重での摺動降下をし易くする役目をするための凸部を設けた構成とすることも可能である。
図3(c)のシャッタ本体320Cは、上記本実施の形態のシャッタ本体320において、第1端辺部321および第2端辺部322を、それぞれ水平から傾斜させた構成としたものである。
傾斜した第1端辺部321および第2端辺部322は、シャッタ本体320Cの底端辺部として配置された場合に、掛止構成体(掛止軸351)の可撓可焼部位が鉛直ではなく斜めに屈撓あるいは焼折しても、掛止構成体の当接支止部位(掛止軸351の当接支止端部)を斜めに逃がして、掛止を解除されたシャッタ本体の摺動降下の邪魔にならないようにする役目を果たす。
図3(d)では、第2送気開口部330が削設開口された第1シャッタ本体320aと、第2送気開口部330がない第2シャッタ本体320bとをあらかじめ個別に用意しておき、燻灰を製造するときには、第1シャッタ本体320aを使用し、燻炭を製造するときには、第2シャッタ本体320bを使用する。
この場合には、同じ1枚のシャッタ本体を燻灰の製造および燻炭の製造に使用する構成よりも、それぞれのシャッタ本体およびシャッタガイド部の高さ寸法(鉛直寸法)を短くすることができる。
図3(e1),(e2)の空気導入機構300Eは、第1送気開口部310と、シャッタ本体320と、第2送気開口部330と、シャッタガイド部340と、掛止軸351Eと、交止軸352Eと、掛止ガイド部360Eと、グリッド盤体切欠き部370とを備えて構成されている。なお、この空気導入機構300Eでは、掛止軸351Eおよび交止軸352Eが、本発明の掛止構成体に相当する。
掛止軸351Eは、その一端部が、第1送気開口部310から突出してシャッタ本体320の底端辺部を当接支止する当接支止端部(当接支止部位に相当する)となり、その他端がガイド挿入端部となる軸体であって、上記本実施の形態の掛止軸351とは異なり、その全体が、燻し焼き炭化の熱によって屈撓も焼折もしない不撓不焼体である。
交止軸352Eは、その一部または全体が、燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折する可撓可焼体によって構成された軸体である。この交止軸352Eとしては、専用のものを用意することの他に、例えば竹串や割り箸を簡易に使用することが可能である。
掛止ガイド部360Eは、掛止構成体(掛止軸351Eおよび交止軸352E)をグリッド部140に設置するためのものであり、グリッド部140の天面に固設されている。この掛止ガイド部360Eは、天面が解放されていて、掛止軸351Eの側面のみをガイドする構成となっており、かつ交止軸352Eを挿通させるための軸挿通開口部を有している。
そして、掛止ガイド部360Eは、掛止軸351Eのガイド挿入端部が挿入された上で、交止軸352Eが、掛止軸351Eの天面に当接するように、かつ掛止軸351Eと略直交をなすように挿通されることによって、掛止軸351Eを水平および鉛直に位置決めする。
このような空気導入機構300Eの掛止構成体(掛止軸351Eおよび交止軸352E)は、燻し焼き炭化が燻し焼き室102内の植物原料の最下層に到達するまでは、シャッタ本体320の摺動降下を掛止軸351Eの当接支止端部によって掛止し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達したら、交止軸352Eが屈撓あるいは焼折して掛止軸351Eのガイド挿入端部の交止が解除されることによって、上記掛止を解除する。
図3(f1),(f2)の空気導入機構Fは、第1送気開口部310と、シャッタ本体320と、第2送気開口部330と、シャッタガイド部340と、掛止軸351Fと、交止軸352Fと、バネ部353Fと、掛止ガイド部360Fとを備えて構成されている。なお、この空気導入機構300Fでは、掛止軸351Fおよび交止軸352Fならびにバネ部353Fが、本発明の掛止構成体に相当する。
掛止軸351Fは、その一端部が、第1送気開口部310から突出してシャッタ本体320の底端辺部を当接支止する当接支止端部(掛止構成体の当接支止部位)となり、その他端部がガイド挿入端部となる軸体であって、上記本実施の形態の掛止軸351とは異なり、その全体が、燻し焼き炭化の熱によって屈撓も焼折もしない不撓不焼体である。この掛止軸351Fのガイド挿入端部の近傍には、軸に略直交する凸部が設けられている。
交止軸352Fは、その一部または全体が、燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折する可撓可焼体によって構成された軸体である。この交止軸352Fとしては、専用のものを用意することの他に、例えば竹串や割り箸を簡易に使用することが可能である。
バネ部353Fは、その一端がグリッド部140の天面側に固定され、その他端は掛止軸351Fのガイド挿入端部に連接されている。
掛止ガイド部360Fは、掛止構成体(掛止軸351Fおよび交止軸352Fならびにバネ部353F)をグリッド部140に設置するためのものであり、グリッド部140の天面に固設されている。この掛止ガイド部360Fは、天面が解放されていて、掛止軸351の側面のみをガイドする構成となっており、かつ交止軸352Fを挿通させるための軸挿通開口部を有している。
そして、掛止ガイド部360Fは、掛止軸351Fのガイド挿入端部が挿入された上で、交止軸352Fが、掛止軸351Eのガイド挿入端部の天面、および掛止軸351Eの上記凸部のグリッド部140中心側の面が当接するように、かつ掛止軸351Fと略直交をなすように挿通されることによって、掛止軸351Fを水平および鉛直に位置決めする。
このとき、バネ部353Fは、自然長よりも長くなっており、掛止軸351Fをグリッド部140の中心側に引き込むように付勢するが、掛止軸351Eの凸部が交止軸352Fのグリッド部140周端側の面に当接することよって、掛止軸351Eは静止保持される。
このような空気導入機構300Fの掛止構成体(掛止軸351Fおよび交止軸352Fならびにバネ部353F)は、燻し焼き炭化が燻し焼き室102内の植物原料の最下層に到達するまでは、シャッタ本体320の摺動降下を掛止軸351Fの当接支止端部によって掛止し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達したら、交止軸352Fが屈撓あるいは焼折して掛止軸351Fのガイド挿入端部および凸部の交止が解除され、バネ部353Fが掛止軸351Fをグリッド部140の中心側に引き込むことによって、上記掛止を解除する。
図3(g1),(g2)の空気導入機構Gは、第1送気開口部310と、シャッタ本体320と、第2送気開口部330と、シャッタガイド部340と、掛止軸351と、掛止ガイド部360Gと、グリッド盤体開口部380Gとを備えて構成されている。
掛止ガイド部360Gは、掛止構成体に相当する掛止軸351をグリッド部140に設置するためのものであり、グリッド部140の底面に固設されている。この掛止ガイド部360Gは、正面視が略コの字型であって、側面のみならず底面をもガイドする構成となっており、掛止軸351のガイド挿入端部が挿入され、掛止軸351を水平および鉛直に位置決めする。
グリッド盤体開口部380Gは、グリッド部140の底面に配置される掛止軸351の軸途中の部位を露出するように、グリッド部140に削設開口されている。
このような空気導入機構300Gの掛止軸351は、その全体が可撓可焼体によって構成されていても、グリッド盤体開口部380Gによって露出された部位が可撓可焼部位となる。
ここで、層順次の燻し焼き炭化の際には、天面視において、燻し焼き室101の中心部よりも周端部で燻し焼き炭化が多少速く進んで、植物原料の最下層に達する場合がある。この場合、上記実施の形態の空気導入機構300では、周端部で掛止軸351が屈撓または焼折したときに、中心部の最下層に植物原料が未炭化のまま残っていることがある。
そこで、上記空気導入機構300Eおよび上記空気導入機構300Fでは、掛止構成体として、掛止軸の他に交止軸を設け、掛止軸ではなく、交止軸に可撓可焼部位を設け(つまり、交止軸の一部または全体を可撓可焼体とし)、交止軸が燻し焼き炭化の熱によって屈撓または焼折したら、シャッタ本体の掛止を解除するようにした。
交止軸の位置は、例えば、グリッド部の中心部から周端部までの間に、掛止ガイド部を複数配置する、あるいは掛止ガイド部に交止軸を挿通するための軸挿通開口を複数設けることによって、グリッド部の中心部から周端部まで途中において変更することが可能である。
従って、上記空気導入機構300Eおよび上記空気導入機構300Fでは、交止軸の位置をグリッド部の中心部から周端部まで途中において変更することによって、シャッタ本体320の掛止を解除するタイミングを微調整可能であり、この掛止解除のタイミングを最適にすることによって、中心部の最下層に植物原料が未炭化のまま残ることを解消できる。
なお、上記空気導入機構300Fでは、バネ部353Fの引き込み動作によって掛止軸351Fが鉛直面内で回動することがないので、グリッド部140にグリッド盤体切欠き部370を設ける必要はない。
また、上記空気導入機構300Gでは、掛止軸351をグリッド部140の底面側に配置しており、掛止軸351の可撓可焼部位が屈撓または焼折しても、当接支止端部側がグリッド部140に当接することはないので、上記空気導入機構300Fと同様に、グリッド部140にグリッド盤体切欠き部370を設ける必要はない。
図4は本発明の実施の形態の他の燻し焼き窯の構成を説明する図であり、(a1),(b1),(c1)は正面図、(a2),(b2),(c2)は天面図である。なお、図4において、図1〜図3と同様のものには同じ符号を付してある。
図4(a1),(a2)の燻し焼き窯100Aは、本体円筒部100の天側周縁部上に、略円盤型の本体天蓋部130Aを載置した構成であって、全体として略円筒型である。この燻し焼き窯100Aは、本体円錐台部120を設けていないため、本体天蓋部130Aの径は、本体円筒部110の径と略同じになる。
図4(b1),(b2)の燻し焼き窯100Bは、天側が開口された略四角筒型の本体角筒部110Bの天側周縁部上に、天側および底側が開口された略四角錐台型の本体角錐台部120Bを載置し、この本体角錐台部120Bの天側周縁部上に、略四角盤型の本体天蓋130Bを載置した構成である。
図4(c1),(c2)の燻し焼き窯100Cは、天側が開口された略八角筒型の本体角筒部110Cの天側周縁部上に、略八角盤型の本体天蓋130Cを載置した構成であって、全体として略八角筒型である。
なお、空気導入機構300のシャッタ本体320は、その裏面を燻し焼き窯の周面に当接させて摺動降下可能であることが必要なため、筒部の周面が円面ではなく平面である燻し焼き窯100Bおよび100Cにおいては、その周面にシャッタ本体320が適合するように、空気導入機構300のシャッタ本体320およびシャッタガイド340等を構成することが必要となる。
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
100,100A,100B,100C 燻し焼き窯
101 空気導入室
102 燻し焼き室
110 本体円筒部
110B,110C 本体角筒部
120本体円錐台部
120B 本体角錐台部
130,130A,130B,130C 本体天蓋部
140 グリッド部
200 支持機構
300,300E,300F,300G 空気導入機構
310 第1送気開口部
320,320A,320B,320C シャッタ本体
320a 第1シャッタ本体
320b 第2シャッタ本体
321 第1端辺部
322 第2端辺部
323,324 嵌合切欠き部
325B フード部
330,330A 第2送気開口部
340 シャッタガイド部
351,351E,351F 掛止軸
352E,352F 交止軸
353F バネ部
360,360E,360F,360G 掛止ガイド部
370 グリッド盤体切欠き部
380G グリッド盤体開口部
400 煙突
410 煙突本体長筒部
420 煙突本体接続部
430 煙突嵌合部
440 煙突支柱部
500 燻液原液収容器

Claims (7)

  1. 内部の空隙がグリッド部によって天側の燻し焼き室と底側の空気導入室に分割された燻し焼き窯の前記空気導入室に、植物原料を層順次に燻し焼き炭化するのに適量の空気を自然送気したあと、この自然送気を停止して燻炭を消火するか、あるいは燻炭を層順次に燻し焼き灰化するのに適量の空気を自然送気する燻し焼き装置の空気導入機構であって、
    前記燻し焼き窯の前記空気導入室を構成する周面部位を開口する第1送気開口部と、
    前記燻し焼き窯の周面を自重で摺動降下可能なシャッタ本体と、
    前記第1送気開口部よりも狭い開口量で、前記シャッタ本体の第1端辺部よりもこれと向合する第2端辺部に近い部位を開口する第2送気開口部と、
    前記シャッタ本体の摺動降下をガイドするシャッタガイド部と、
    燻し焼き炭化が前記燻し焼き室内の植物原料の最下層に到達するまでは、当接支止部位が前記シャッタ本体の底端辺部を当接支止して、前記シャッタ本体の摺動降下を掛止し、燻し焼き炭化が植物原料の最下層に到達して、可撓可焼部位が燻し焼き炭化の熱によって屈撓あるいは焼折したら、前記掛止を解除する掛止構成体と、
    前記掛止構成体を前記グリッド部に設置するための掛止ガイド部と
    を備え、
    前記シャッタ本体が前記第1端辺部を前記底端辺部として前記掛止構成体に掛止されている場合には、この掛止がされている間は、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、前記掛止構成体が前記掛止を解除すると、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第1送気開口部を閉成被覆し、前記自然送気を停止し、
    前記シャッタ本体が前記第2端辺部を前記底端辺部として前記掛止構成体に掛止されている場合には、この掛止がされている間は、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気し、前記掛止構成体が前記掛止を解除すると、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第2送気開口部が重なるように第1送気開口部を被覆し、前記第2送気開口部を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気する
    ことを特徴とする燻し焼き装置の空気導入機構。
  2. 前記グリッド部の前記当接支止部位の近傍にグリッド盤体切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燻し焼き装置の空気導入機構。
  3. 前記シャッタ本体の前記底端辺部に前記当接支止部位が嵌合する嵌合切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の燻し焼き装置の空気導入機構。
  4. 前記シャッタ本体の前記第2送気開口部の周囲にフード部が凸設されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の燻し焼き装置の空気導入機構。
  5. 前記グリッド部の中心部から周端辺部までの途中の位置に前記可撓可焼部位が配置されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の燻し焼き装置の空気導入機構。
  6. 請求項1ないし5の何れかに記載の燻し焼き装置の空気導入機構を使用した燻炭の製造方法であって、
    前記シャッタ本体の前記第1端辺部を前記底端辺部として、前記シャッタ本体を前記掛止構成体に掛止させ、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の植物原料を層順次に燻し焼き炭化する手順と、
    前記掛止構成体が前記掛止を解除し、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第1送気開口部を閉成被覆することによって、前記自然送気を停止して燻し焼きを消火する手順と
    を含むことを特徴とする燻炭の製造方法。
  7. 請求項1ないし5の何れかに記載の燻し焼き装置の空気導入機構を使用した燻灰の製造方法であって、
    前記シャッタ本体の前記第2端辺部を前記底端辺部として、前記シャッタ本体を前記掛止構成体に掛止させ、前記第1送気開口部を介して燻し焼き炭化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の植物原料を層順次に燻し焼き炭化する手順と、
    前記掛止構成体が前記掛止を解除し、前記シャッタ本体が摺動降下して前記第2送気開口部が重なるように第1送気開口部を被覆し、前記第2送気開口部を介して燻し焼き灰化に適量の空気を自然送気することによって、前記燻し焼き室内の燻炭を層順次に燻し焼き灰化する手順と
    を含むことを特徴とする燻灰の製造方法。

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