JP6131975B2 - 搬送機構 - Google Patents

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Description

本発明は、走行レール上を走行する走行体の搬送機構の技術に関する。
従来、レールに沿って走行体が走行するように構成されたモノレール式の搬送装置が知られており、例えば、以下に示す特許文献1に示されている。
また従来、車椅子用のエレベータであって、車椅子の車輪をエレベータの床に設けられた駆動力の入力部たるローラ上に配置し、車椅子の車輪を回転させることでローラを回転させ、さらに、ローラの回転が搬送機構を介してエレベータの昇降方向への動きに変換されることによって、エレベータを昇降可能にした技術が開示されており、以下に示す特許文献2に示されている。
上記搬送装置に対して、上記搬送機構を適用すれば、走行体が有する駆動源によって駆動輪を回転させるとともに、該走行体を配置したエレベータを、昇降可能に構成することができるものと考えられる。
しかしながら、このように構成した走行体のための搬送機構では、走行体の駆動輪と搬送機構のローラとの摩擦によって、ローラが回転駆動されることとなるため、駆動輪とローラの間ですべりが生じて、搬送機構を駆動するために必要な駆動力が確保できないおそれがあるという問題があった。
特開平6−87436号公報 特開昭57−51682号公報
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、必要な駆動力が確実に確保され、走行体の移動を確実に行うことができる搬送機構を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係る搬送機構は、モータと、前記モータの回転トルクが伝達される駆動輪と、前記モータの回転トルクが伝達される第一ギヤと、を備える自走可能な走行体と、前記走行体が載置可能であって、載置された前記走行体の前記第一ギヤと噛合可能な第二ギヤを備える、前記走行体を搬送可能な搬送体と、前記第二ギヤに伝達される前記モータの回転トルクによって、前記走行体を載置した前記搬送体を移動させる移動機構と、前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が許容されている状態において、前記駆動輪を空転状態とする空転手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る搬送機構では、ギヤ同士の噛み合いによって動力を伝達するため、走行体から搬送体に駆動力が伝達されるときに、すべりが発生することを防止できる。
さらに、本発明に係る搬送機構では、走行体から搬送体に駆動力が伝達されるときに、駆動輪が空転状態となることで、仮に駆動輪とレール部が接地状態であれば、走行体がレール部上を走行するための力に変換されていた分のモータの回転トルクが、第二ギヤに伝達される。これにより、第一ギヤと第二ギヤとがより噛み合い易くなる。
また、本発明に係る搬送機構は、前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が許容されている状態から、前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が規制されている状態になると、前記第一ギヤが、前記第二ギヤに沿って転動されて、前記空転手段による、前記駆動輪の空転状態が解除されることを特徴とする。
本発明に係る搬送機構では、第二ギヤの回転が規制されている状態において、第一ギヤが第二ギヤに沿って転動されるため、搬送体上に載置されている走行体が確実に駆動され、走行体を搬送体から確実に離脱させることができる。これにより、搬送機構による走行体の移動を確実に行うことができる。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明に係る搬送機構によれば、必要な駆動力が確実に確保され、走行体の移動を確実に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る搬送機構(搬送方向が鉛直方向である場合)の全体構成を示す模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構(搬送方向が水平方向である場合)の全体構成を示す模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構の搬送対象である走行体を示す側面側模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構の搬送対象である走行体を示す正面側模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構を示す側面側模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構を示す正面側模式図。 本発明の一実施形態に係る搬送機構における走行体の載置状況を示す側面側模式図。 搬送機構に走行体を載置したときにおける第一ギヤと第二ギヤの噛合状況を示す模式図。 第二ギヤに対して第一ギヤが噛合するときの状況を示す模式図。 第一ギヤと第二ギヤが噛合している状態から第一ギヤが離脱するときの状況を示す模式図。 搬送機構における空転手段(第一の実施形態)を示す模式図、(a)平面模式図、(b)側面模式図。 搬送機構における空転手段(第二の実施形態)を示す模式図、(a)平面模式図、(b)側面模式図。 搬送機構における空転手段(第三の実施形態)を示す側面模式図。 搬送機構における空転手段(第四の実施形態)を示す側面模式図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る搬送機構の全体構成について、図1および図2を用いて説明をする。
図1(a)に示す如く、本発明の一実施形態に係る搬送機構1は、走行体20を搬送するための機構であり、走行体20は、走行レール10に沿って走行することができるように構成されている。
図1(a)において示す走行レール10は、一部の区間が離間しており、その離間している部位の前後において、走行レール10の高さが異なっている。
尚、以後は、図1(a)に示す走行レール10の内、より低所に配置されている走行レール10を低所側走行レール11と呼び、より高所に配置されている走行レール10を高所側走行レール12と呼び、各走行レール11・12の間の走行レール10が離間している部位を離間部13と呼ぶ。
搬送機構1は、走行レール10の離間部13(即ち、低所側走行レール11と高所側走行レール12の間)に配置されており、搬送機構1によって、低所側走行レール11から高所側走行レール12まで、および高所側走行レール12から低所側走行レール11まで、走行体20を搬送することができる。
即ち、図1(a)に示す搬送機構1は、低所側走行レール11のレベルに位置する走行体20を、高所側走行レール12のレベルまで移動(上昇)させて、離間部13において高低差のある走行レール10において、走行体20が離間部13を超えて走行することを可能にするものである。
また、搬送機構1は、低所側走行レール11から高所側走行レール12に走行体20を移動させるだけでなく、図1(b)に示すように、高所側走行レール12から低所側走行レール11に、走行体20を搬送することも可能である。
即ち、図1(b)に示す搬送機構1は、高所側走行レール12のレベルに位置する走行体20を、低所側走行レール11のレベルまで移動(下降)させて、離間部13において高低差のある走行レール10において、走行体20が離間部13を超えて走行することを可能にするものである。
尚、図1(a)(b)では、走行レール10に高低差があって、走行レール10の一部の区間が離間している場合を例示しているが、搬送機構1は、走行レール10が水平方向にズレているために走行レール10の一部の区間が離間している場合にも適用することができる。
図2(a)(b)には、走行レール10が、離間部13の前後において、水平方向にズレている場合を例示している。
尚、図2(a)(b)で示す走行レール10の内、離間部13を挟んで同図における右側に配置されている走行レール10を第一走行レール14と呼び、左側に配置されている走行レール10を第二走行レール15と呼ぶものとする。
図2(a)(b)に示す搬送機構1は、走行レール10の離間部13(即ち、第一走行レール14と第二走行レール15の間)に配置されており、搬送機構1によって、第一走行レール14から第二走行レール15まで、および第二走行レール15から第一走行レール14まで、走行体20を移動させることができる。そして、図2(a)(b)に示す搬送機構1を用いることによって、走行体20を、離間部13において平面配置にズレのある走行レール10において、離間部13を超えて走行させることができる。
尚、搬送機構1では、図1(a)(b)に示すような走行体20を鉛直方向に移動させる態様と、図2(a)(b)に示すような走行体20を水平方向に移動させる態様を組み合わせて、走行体20を鉛直方向と水平方向に移動させることが可能な構成とすることができる。そして、このような構成の搬送機構1によれば、離間部13において、その前後の走行レール10に高低差があり、かつ、水平方向に位置がズレている場合であっても、走行体20を移動させることができ、また、走行体20を鉛直方向および水平方向から傾斜した方向に移動させることもできる。
ここで、走行体20の構成について、図3および図4を用いて説明をする。
図3および図4に示す如く、搬送機構1における走行体20は、走行レール10上を自走可能に構成されるものであり、本体部21、脚部22・23等を備えている。走行体20における脚部22の下端には、駆動輪24・24が回転可能に軸支されており、脚部23の下端には、車輪25・25が回転可能に軸支されている。
走行体20における脚部22の下端には、一対の腕部状の支持部26・26が備えられており、一対の支持部26・26の間に、回転軸27が軸支されている。
回転軸27は、支持部26・26に対して、図示しないベアリングを介して回転可能に軸支されている。そして、駆動輪24・24は、回転軸27上に固定されている。
また、走行体20は、モータ31、制御装置33、バッテリ34等を備えており、走行体20における駆動輪24・24は、モータ31によって回転駆動される。
走行体20は、駆動輪24・24を支持する回転軸27上に、第一ギヤ28が固定されている。
第一ギヤ28は、モータ31から回転トルクが伝達(入力)されるギヤであり、第一ギヤ28と駆動輪24・24は、回転軸27を軸として一体的に回転するように構成され、モータ31から第一ギヤ28に回転トルクが伝達されることによって、駆動輪24・24が回転駆動される。つまり、駆動輪24・24には、モータ31からの回転トルクが伝達される。
一方、走行体20における車輪25・25は、走行体20の走行に伴って従動回転される。
尚、本実施形態では、一対の駆動輪24・24の間の回転軸27上に、第一ギヤ28を配置する構成としているが、走行体20における駆動輪24や第一ギヤ28の配置位置や個数は、これに限定されない。
また、走行体20における第一ギヤ28は、モータ31の回転トルクを走行体20の外部に伝達する役割を併せ持つギヤであり、第一ギヤ28に他のギヤ(後述する第二ギヤ7a)を噛合させることによって、モータ31から第一ギヤ28に伝達された回転トルクを、駆動輪24以外の他のギヤに伝達することができるように構成している。
走行体20は、駆動輪24および車輪25の下方に、走行レール10の厚み分だけ離間させて従動輪29を備えており、駆動輪24および車輪25と従動輪29によって、走行レール10を上下から挟み込むように構成しており、従動輪29が、走行体20の走行に伴って従動回転されるように構成している。
尚、走行体20における従動輪29は、図示しないショックアブソーバを介して支持部26・26から支持されている。走行体20は、従動輪29を備えることによって、走行時における走行レール10の変形や厚みの変動が吸収されるとともに、走行時における走行体20の上下方向の揺れが吸収される。
また、走行体20は、該走行体20の走行方向に対する左右の外側に、案内輪30・30を備えている。案内輪30・30は、走行レール10の側面に接触する位置に配置されており、走行体20の走行に伴って従動回転されるように構成される。
走行体20は、案内輪30・30が配置されることで、走行体20の走行方向に対する左右のズレが抑制され、走行レール10に沿って安定して走行される。
走行体20は、該走行体20の駆動源となるモータ31を備えており、モータ31の回転軸31aにモータギヤ32を設けている。
そして、走行体20では、モータ31を駆動輪24近傍の脚部22に付設するとともに、モータギヤ32を第一ギヤ28に噛合させる構成としている。
このような構成により、モータ31が作動してモータギヤ32が回転すると、モータギヤ32に噛合された第一ギヤ28が回転されるとともに、駆動輪24が回転駆動され、第一ギヤ28に第二ギヤ7aが噛合されている場合には、さらに、第二ギヤ7aが回転駆動される。
モータ31は、制御装置33を介してバッテリ34に接続されている。
走行体20は、予め制御装置33に記憶されたティーチング情報に基づいて、制御装置33からモータ31に通電がなされ、制御装置33によって、モータ31の回転速度および回転方向(正転および逆転)を変更して、走行体20の走行状態(走行速度および走行方向)を制御しつつ自走するように構成している。
尚、本実施形態では、駆動輪24と従動輪たる車輪25を備えた走行体20を例示しているが、走行体20は、全ての車輪を駆動輪24によって構成してもよい。
ここで、搬送機構1の構成について、図5および図6を用いて、さらに詳細に説明をする。
図5および図6に示す如く、本発明の一実施形態に係る搬送機構1は、走行体20(図3、4参照)と、フレーム2、直動ガイド部材3、搬送体4等を備えており、搬送体4により走行体20を搬送可能とする機構である。
直動ガイド部材3は、搬送体4を変位可能に支持するための部材であり、ブロック部3aとレール部3bによって構成され、ブロック部3aがレール部3bに沿って直線方向にスライドすることができるように構成される。
即ち、搬送機構1において、搬送体4は、直動ガイド部材3のブロック部3aに対して固定されており、鉛直方向に向けてスライドすることができるように構成されている。
搬送機構1では、ブロック部3aを鉛直方向にスライド可能とするべく、レール部3bの長さ方向を鉛直方向に向けて直動ガイド部材3を配置しており、このような姿勢の直動ガイド部材3をフレーム2に固定している。尚、本実施形態で示す搬送機構1では、直動ガイド部材3の個数を1個としているが、2個以上の直動ガイド部材3を備える構成であってもよい。
搬送機構1は、低所側走行レール11と高所側走行レール12の間に配置されており、低所側走行レール11と高所側走行レール12は、高さ方向に距離Hだけ離間している。
搬送機構1において、搬送体4は、低所側走行レール11のレベルから高所側走行レール12のレベルまで変位可能に構成され、図5および図6に示すように、可動範囲Hが確保されている。即ち、搬送機構1においては、直動ガイド部材3におけるレール部3bの長さを、搬送体4の可動範囲Hを確保することができる長さとしている。
搬送機構1では、搬送体4の上昇および下降を規制するストッパー8を備えている。
搬送機構1におけるストッパー8は、搬送体4の基台部5の上面に付設された上側ストッパー8aと下面に付設された下側ストッパー8bによって構成され、各ストッパー8a・8bをフレーム2に付設したドグ9に当接させることによって、基台部5の変位が規制されるように構成している。即ち、基台部5は、各ストッパー8a・8bがドグ9に当接すると、それより先に変位することができないように構成され、上下一対のドグ9・9によって挟まれた範囲内において、変位することができる。
各ストッパー8a・8bとドグ9・9との当接位置は、低所側走行レール11と高所側走行レール12の高さに応じて決定される。
ここで、搬送機構1を構成する搬送体4について、図5〜図7を用いて説明をする。
図5および図6に示す如く、搬送体4は、走行体20を載置して搬送するための部位であり、基台部5、レール部6、移動機構7等を備えている。
搬送体4は、基台部5がブロック部3aに対して固定されることによって、直動ガイド部材3によって、可動範囲Hの範囲において、鉛直方向にスライドすることができるように構成されている。
レール部6は、走行レール10と略同じ幅及び厚みの平板状部材によって構成されており、基台部5の上面に立設された支持柱5a・5a・5aに対して固定されている。
走行体20は、レール部6上を走行することができ、かつ、レール部6上の所定位置まで走行した後に、所定位置において停車される。そして、走行体20は、レール部6上の所定位置に停車されることによって、搬送体4上(レール部6上)に載置され、さらに、走行体20は、所定位置において搬送体4上に載置された状態で、搬送体4が移動されることによって、搬送体4とともに移動される。
移動機構7は、搬送体4を移動させるための機構であり、第二ギヤ7a、ウォームギヤ7b、第三ギヤ7c、ピニオンギヤ7d、ラック7e等を備えている。
移動機構7は、搬送体4上に載置された走行体20の第一ギヤ28から第二ギヤ7aに回転トルクが伝達されることによって駆動される。
尚、本実施形態の搬送機構1において、第二ギヤ7aは、走行体20の第一ギヤ28と噛合されているが、搬送機構1における移動機構7の構成はこれに限定されず、例えば、第二ギヤ7aをモータギヤ32に噛合させる構成としてもよく、駆動輪24に対する回転トルクの伝達要素から第二ギヤ7aに対して回転トルクが伝達される構成であればよい。
第二ギヤ7aは、回転軸7fに対して固定されている。回転軸7fは、レール部6の下方において基台部5から立設された一対の支持部材7g・7gによって、図示しないベアリングを介して回転可能に軸支されている。
第二ギヤ7aは、レール部6に形成された矩形状の孔部6aから、一部がレール部6の上方にはみ出されており、この第二ギヤ7aにおけるレール部6上方にはみ出された部位において、搬送体4上に載置された走行体20の第一ギヤ28が噛合される。
移動機構7は、第二ギヤ7aが固定されている回転軸7fにおいて、さらにウォームギヤ7bが固定されており、第二ギヤ7aが回転されることによって、ウォームギヤ7bも回転されるように構成している。
そして、ウォームギヤ7bは、第三ギヤ7cと噛合している。
第三ギヤ7cは、回転軸7k上に固定されているはすば歯車であり、回転軸7kは、ウォームギヤ7bの下方において、基台部5から立設された支持部材7h・7hによって回転可能に軸支されている。
移動機構7は、第三ギヤ7cが固定されている回転軸7kにおいて、さらにピニオンギヤ7dが固定されており、第三ギヤ7cとピニオンギヤ7dが、相対回転不能であって、一体的に回転されるように構成している。
尚、移動機構7では、ウォームギヤ7bおよび第三ギヤ7cによって、平面視における回転軸7kの軸方向が、回転軸7fから90度転換される。また、移動機構7では、回転軸7kが、ウォームギヤ7bおよび第三ギヤ7cによって、減速して回転されるとともに、回転軸7kの回転トルクが増大される。
そして、移動機構7では、回転軸7kが回転されることによって、ピニオンギヤ7dが回転される。
ピニオンギヤ7dは、ラック7eと噛合している。
ラック7eは、鉛直方向に向けたフレーム2の側面に付設されており、長さ方向が鉛直方向に向けられている。
移動機構7では、ピニオンギヤ7dが回転されることによって、該ピニオンギヤ7dがラック7eの長さ方向(即ち、直動ガイド部材3のスライド方向)に転動される。
即ち、移動機構7においては、第二ギヤ7aに回転トルクが伝達されることによって、ラック7eに沿ってピニオンギヤ7dが転動し、その結果、ピニオンギヤ7dが付設されている基台部5が鉛直方向に変位され、ひいては、搬送体4が直動ガイド部材3に沿って鉛直方向に変位される。
そして、搬送機構1では、上側ストッパー8aによって、搬送体4が上昇し該上側ストッパー8aがドグ9に当接したときに、搬送体4をさらに上昇させる方向への第二ギヤ7aの回転が規制されるように構成している。
また、搬送機構1では、下側ストッパー8bによって、搬送体4が下降し該下側ストッパー8bにドグ9に当接したときに、搬送体4をさらに下降させる方向への第二ギヤ7aの回転が規制されるように構成している。
即ち、搬送機構1における各ストッパー8a・8は、搬送体4の位置を規制するための部材であるとともに、第二ギヤ7aの回転を規制する役割を併せ持っている。
尚、本実施形態では、ストッパー8を基台部5に設ける構成としているが、搬送機構1におけるストッパーの態様はこれに限定されず、例えば、直動ガイド部材3のレール部3bに付設する構成や、ラック7eにストッパーを設けてピニオンギヤ7dの回転を規制する構成等も採用し得る。
ここで、搬送体4に対する走行体20の載置状況について、説明をする。
図8に示す如く、搬送機構1では、搬送体4における走行体20の所定の停車位置Pを、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの各基準円直径C1・C2が接する状態となる位置として規定している。換言すると、搬送機構1では、走行体20が停車位置Pに停車した状態において、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの各基準円直径C1・C2が接しており、この状態においては、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合している。
そして、本実施形態では、走行体20が停車位置Pに停車したとき、第一ギヤ28の回転軸心(回転軸27の軸心位置)と、第二ギヤ7aの回転軸心(回転軸7fの軸心位置)の位置が、走行体20の走行方向(レール部6の延設方向)において一致している。
また、図8に示す形態では、走行体20がレール部6上を走行するとき、第一ギヤ28の基準円直径C1が、各基準円直径C1・C2のピッチ点における接線Xに対して常に接する状態を維持するように構成している。このような構成により、レール部6上を走行する走行体20は、駆動輪24の高さが常に一定となっている。
また、図8に示す如く、搬送機構1では、走行体20が所定の停車位置Pに停車したときに、駆動輪24は、レール部6から離間しており、駆動輪24が空転する状態となっている。
搬送機構1は、レール部6において、駆動輪24を空転状態にさせるための手段である逃がし部6bを備えている。
逃がし部6bは、レール部6のうち、停車位置Pに停車した走行体20の駆動輪24が接する部位を下方に曲げてオフセットさせた部位であり、逃がし部6bにおいて、停車位置Pに停車した走行体20の駆動輪24が、レール部6から離間されるように構成している。
即ち、搬送機構1では、走行体20が停車位置Pに停車したときに、第一ギヤ28と第二ギヤ7aは完全に噛合しており、かつ、駆動輪24はレール部6から離間して空転状態となっており、駆動輪24からレール部6への駆動力の伝達が遮断されているため、駆動輪24とレール部6の接触による回転トルクの伝達ロスが生じず、第一ギヤ28から第二ギヤ7aに対して、安定して回転トルクが伝達できるように構成されている。
ここで、搬送機構1の動作について、説明をする。
図8に示す如く、搬送機構1は、走行体20が停車位置Pに停車している状態において、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合しており、第一ギヤ28の回転を第二ギヤ7aに伝達することができる。
そして、図5および図6に示す如く、搬送機構1は、走行体20が停車位置Pに停車している状態において、第一ギヤ28から第二ギヤ7aにモータ31の回転トルクが伝達されることによって、第二ギヤ7aが回転する。この場合、駆動輪24はレール部6から離間していて、空転している。
搬送機構1は、第二ギヤ7aが回転すると、第二ギヤ7aの回転軸7fに配置されたウォームギヤ7bが回転し、ウォームギヤ7bの回転が、該ウォームギヤ7bに噛合する第三ギヤ7cに伝達される。
搬送機構1は、第三ギヤ7cが回転すると、第三ギヤ7cの回転軸7kに配置されたピニオンギヤ7dが回転する。ピニオンギヤ7dが回転すると、該ピニオンギヤ7dはラック7eに沿って転動し、ピニオンギヤ7dを支持している搬送体4が鉛直方向に変位される。
移動機構7が駆動されるとき、搬送体4のレール部6上には走行体20が載置されており、走行体20自体が有するモータ31で第二ギヤ7aを回転駆動することによって、搬送体4と共に走行体20自体が変位される。
このように、搬送機構1では、搬送機構1自体には駆動源がなく、搬送機構1による移動対象物たる走行体20が駆動源となっており、搬送機構1の所定の停車位置Pに走行体20が載置されることによって、搬送機構1が駆動されるとともに、搬送機構1によって、走行体20を移動させるように構成している。
ここで、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの噛合状況について、図9および図10を用いて説明をする。
ここではまず、走行体20がレール部6上を走行し停車位置Pに至るまでの間の状況について説明をする。
図9に示す如く、搬送機構1は、搬送体4に走行体20を進入させるときには、搬送体4のレール部6が、低所側走行レール11の先に続いて同じ高さに配置され、低所側走行レール11からレール部6に続いて、走行体20が走行することができるように構成される。
走行体20が、低所側走行レール11からレール部6に乗り移り、レール部6上を進行していくと、やがて、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合し始める位置に到達する。
搬送機構1では、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合し始めると、走行体20が走行する勢いによって、第一ギヤ28が第二ギヤ7aに沿って転動するとともに、走行体20の駆動輪24が、逃がし部6bに差し掛かって、走行体20の駆動輪24がレール部6から離間し始める。尚、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合し始めるとき、搬送体4が上昇する方向への第二ギヤ7aの回転は規制されていない。
搬送機構1では、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合し始めると、それと同時に走行体20の駆動輪24がレール部6から離間し始めるため、これ以後は、駆動輪24がレール部6に擦れることがなく、駆動輪24がレール部6に接触することに起因して、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの噛合が不安定になることが防止される。
そして、搬送機構1のレール部6上を走行する走行体20は、第一ギヤ28が第二ギヤ7aに噛合しながら、やがて、レール部6上の停車位置Pに到達する。
ここでは、走行体20がレール部6上に載置され停車位置Pに位置するときにおいて、搬送体4が変位するときにおける第一ギヤ28と第二ギヤ7aの噛合状況について説明をする。
走行体20がレール部6上の所定の停車位置Pに到達すると、走行体20が停車され、レール部6上の停車位置Pにおいて、走行体20が載置されるとともに、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが完全に噛合した状態となる。尚、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが完全に噛合したとき、搬送体4が上昇する方向への第二ギヤ7aの回転は規制されていない。
搬送機構1では、走行体20が、レール部6上の停車位置Pに載置されるとき、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの各基準円直径C1・C2が接する状態となっており、第一ギヤ28と第二ギヤ7aは完全に噛合している。
搬送機構1では、走行体20が停車位置Pに到達したとき、図7に示す固定手段17によって、走行体20の係止部35が係止され、走行体20が搬送体4に対して固定されるように構成している。即ち、走行体20は、停車位置Pに到達したときに、固定手段17によって固定されることで、停車位置Pに確実に位置決めして停車される。
そして、搬送機構1では、固定手段17によって、搬送体4に走行体20が固定されることによって、第一ギヤ28と第二ギヤ7aの各基準円直径C1・C2が接する状態が確実に維持され、これにより、第一ギヤ28から第二ギヤ7aに対して、確実に回転トルクが伝達される状態が維持される。
図7に示す如く、搬送機構1は、走行体20が、停車位置Pに停車し、かつ、固定手段17によって、搬送体4に対して固定されている状態では、モータ31の回転によって、第一ギヤ28から第二ギヤ7aに確実に回転トルクが伝達され、搬送体4が変位(上昇)する。
搬送機構1では、搬送体4が最高位置に到達し、上側ストッパー8aによって搬送体4の変位が規制されると、ピニオンギヤ7dの回転が規制され、ひいては、第二ギヤ7aの回転が規制される。
尚、搬送機構1では、搬送体4が最高位置に到達したとき、レール部6の高さが、高所側走行レール12の高さに一致されるように構成している。
また搬送機構1は、搬送体4が最高位置に到達したときに、搬送体4によってドグ9が押圧されることによって、搬送体4に対して走行体20を固定している固定手段17が解除される。
即ち、本発明に係る搬送機構1は、モータ31と、モータ31の回転トルクが伝達される駆動輪24と、モータ31の回転トルクが伝達される第一ギヤ28と、を備える自走可能な走行体20と、走行体20が載置可能であって、載置された走行体20の第一ギヤ28と噛合可能な第二ギヤ7aを備える、走行体20を搬送可能な搬送体4と、第二ギヤ7aに伝達されるモータ31の回転トルクによって、走行体20を載置した搬送体4を移動させる移動機構7と、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合する状態、かつ、第二ギヤ7aの回転が許容されている状態において、駆動輪24を空転状態とするための空転手段たる逃がし部6bを備えている。
搬送機構1は、走行体20に設けた第一ギヤ28と移動機構7の第二ギヤ7aを噛合させて搬送機構1を駆動する構成とすることにより、走行体20から搬送機構1に対して確実に回転トルクを伝達することができ、これにより、搬送機構1による走行体20の移動を確実に行うことができる。
また、搬送機構1は、走行体20によって搬送機構1を駆動する構成において、駆動輪24がレール部6に擦れて、回転トルクの入力が不安定になることが、逃がし部6bによって防止され、走行体20から搬送機構1に対して確実に回転トルクを伝達することができ、これにより、搬送機構1による走行体20の移動を確実に行うことができる。
ここでは、走行体20が停車位置Pから発進するときにおける第一ギヤ28と第二ギヤ7aの噛合状況について説明をする。
図10に示す如く、搬送体4が最高位置に到達し、レール部6上の停車位置Pに停止している走行体20が発進するとき、走行体20は、固定手段17による固定が解除されると、高所側走行レール12に向けて走行し始める。尚、搬送体4が最高位置に到達したとき、第二ギヤ7aは、搬送体4をさらに上昇させる方向(図5における時計回りの方向)に対しては、回転が上側ストッパー8aによって規制されている。
走行体20が発進するとき、初めは、駆動輪24がレール部6から離間した状態となっており、ピニオンギヤたる第一ギヤ28がラックたる第二ギヤ7aに沿って転動することで、走行体20は、高所側走行レール12側に変位され、第二ギヤ7aと第一ギヤ28の噛み合いが徐々に浅くなっていく。そして走行体20は、やがて、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合わない位置に到達する。
搬送機構1において、停車位置Pから走行体20が発車するとき、走行体20は、第一ギヤ28が第二ギヤ7aに沿って転動することによって、すべることなく確実に発進される。
搬送機構1は、第一ギヤ28が第二ギヤ7aに沿って転動し、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合わない位置まで走行体20が到達したとき、走行体20の駆動輪24がレール部6に接するように構成されている。
これにより、逃がし部6bによる、駆動輪24の空転状態が解除される。
そして、走行体20は、駆動輪24がレール部6に接したとき以後は、駆動輪24によって駆動され、やがて、レール部6の先に配置された高所側走行レール12へと乗り移る。
尚、ここでは、搬送体4が最高位置に到達したときにおける走行体20の動作状況を例示して説明をしたが、走行体20の進行方向が逆であって、搬送体4が最低位置に到達したときにおける走行体20の動作状況も同様である。
即ち、搬送体4が最低位置に到達したとき、第二ギヤ7aは、搬送体4をさらに下降させる方向(図5における反時計回りの方向)に対しては、回転が規制されており、ピニオンギヤたる第一ギヤ28をラックたる第二ギヤ7aに沿って転動することで、走行体20を低所側走行レール11側に変位させることができる。
即ち、本発明に係る搬送機構1は、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合する状態、かつ、第二ギヤ7aの回転が許容されている状態から、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛合する状態、かつ、第二ギヤ7aの回転が規制されている状態になると、第一ギヤ28が、第二ギヤ7aに沿って転動されて、空転手段たる逃がし部6bによる、駆動輪24の空転状態が解除されるものである。
搬送機構1では、このような構成により、搬送体4上に載置されている状態の走行体20を、搬送体4から確実に離脱させることができ、これにより、搬送機構1による走行体20の移動を確実に行うことができる。
ここでは、搬送体4に備えられる駆動輪24を空転状態とするための手段である空転手段の形態について、図11〜図14を用いて説明をする。
まず始めに、図8〜図10で示した空転手段たる逃がし部6bについて、説明をする。
駆動輪24を空転状態とするための空転手段としては、図11(a)(b)に示すような逃がし部6bを採用することができる。
逃がし部6bは、レール部6の一部を、該レール部6の上面位置を下げるように曲げて下方にオフセットさせて形成される部位である。
逃がし部6bを採用する場合には、駆動輪24を被駆動面たるレール部6から離間させることで、駆動輪24の駆動力がレール部6に伝達されないようにすることができる。
尚、逃がし部6bを採用する場合には、レール部6上において、走行体20の駆動輪24の高さが常に変わらないため、第一ギヤ28と第二ギヤ7aをスムーズに噛合させることができる。
また、駆動輪24を空転状態とするための空転手段としては、図12(a)(b)に示すような逃がし部6cを採用することができる。
図12(a)(b)に示す離間手段たる逃がし部6cは、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合う間に駆動輪24が接触する範囲のレール部6を、レール部6から切除することによって、レール部6が存在しない部位として逃がし部6cを形成しており、逃がし部6cによって、駆動輪24をレール部6に対して離間させるように構成している。
逃がし部6cを採用する場合には、駆動輪24を被駆動面たるレール部6から離間させることで、駆動輪24の駆動力がレール部6に伝達されないようにすることができる。
尚、逃がし部6cを採用する場合には、レール部6上において、走行体20の駆動輪24の高さが常に変わらないため、第一ギヤ28と第二ギヤ7aをスムーズに噛合させることができる。
さらに、駆動輪24を空転状態とするための空転手段としては、図13に示す態様を採用することができる。
図13に示す態様では、第二ギヤ7aがレール部6よりも上方に食み出る高さを、図11に示す場合に比して高くして、第二ギヤ7aが空転手段の機能を有するように構成している。
図13に示す態様では、走行体20の駆動輪24がレール部6に接しているときの第一ギヤ28の基準円直径C1の接線Yと、各基準円直径C1・C2のピッチ点における接線Xを一致させないように構成しており、接線Xのレール部6との距離を、接線Yのレール部6との距離に比して大きくしている。
尚、この場合のレール部6は、逃がし部が形成されていないため、図11(a)に示す場合とは異なり、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合う間とその前後においても、その上面が常に一定の高さに保持されている。
このような構成では、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合っている間において、第一ギヤ28が第二ギヤ7aに乗り上げつつ転動するため、第一ギヤ28の回転軸27は、レール部6に接地して走行しているときの高さから上方に持ち上げられるとともに、駆動輪24がレール部6に対して浮き上がるようになる。
即ち、図13に示す態様では、第二ギヤ7aのはみ出し高さを高くすることで、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合っている間において、駆動輪24を上方に浮き上がらせることによって、レール部6と駆動輪24の間を離間させる構成としている。
そして、図13に示す態様では、駆動輪24を被駆動面たるレール部6から離間させることで、駆動輪24の駆動力がレール部6に伝達されないようにすることができる。
さらに、駆動輪24を空転状態とするための空転手段としては、図14に示すような空転ローラ18を採用することができる。
図14に示す態様では、第一ギヤ28と第二ギヤ7aが噛み合う間に駆動輪24が接触する範囲のレール部6を、空転ローラ18に置き換えることによって、駆動輪24を空転させるとともに、駆動輪24の駆動力がレール部6に伝達されないように構成している。
そして、空転ローラ18を採用する場合には、駆動輪24を被駆動面から離間させることなく、駆動輪24の駆動力がレール部6に伝達されないようにすることができる。
1 搬送機構
4 搬送体
6b 逃がし部(空転手段)
7 移動機構
7a 第二ギヤ
20 走行体
24 駆動輪
28 第一ギヤ
31 モータ
P 停車位置

Claims (2)

  1. モータと、前記モータの回転トルクが伝達される駆動輪と、前記モータの回転トルクが伝達される第一ギヤと、を備える自走可能な走行体と、
    前記走行体が載置可能であって、載置された前記走行体の前記第一ギヤと噛合可能な第二ギヤを備える、前記走行体を搬送可能な搬送体と、
    前記第二ギヤに伝達される前記モータの回転トルクによって、前記走行体を載置した前記搬送体を移動させる移動機構と、
    前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が許容されている状態において、前記駆動輪を空転状態とする空転手段を備える、
    ことを特徴とする搬送機構。
  2. 前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が許容されている状態から、前記第一ギヤと前記第二ギヤが噛合する状態、かつ、前記第二ギヤの回転が規制されている状態になると、
    前記第一ギヤが、前記第二ギヤに沿って転動されて、
    前記空転手段による、前記駆動輪の空転状態が解除される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
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