以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すパターン分割ピース製造装置1の平面図であり、図2は、前記装置1に使用するテープカセット20の斜視図、図3は、前記装置1のテープカセット収納部5の斜視図である。
このパターン分割ピース製造装置1は、テープ状の被印刷媒体に対する印刷を行うものであり、被印刷媒体の幅内に収まるサイズのパターンをそのまま被印刷媒体に印刷する機能と、被印刷媒体の幅よりも大きいサイズのパターンを、複数のパターン部分に分割して被印刷媒体に印刷することにより、複数のパターン分割ピースを製造する機能と、を有している。以下、このパターン分割ピース製造装置1を、分割ピース製造装置と略称する。
この分割ピース製造装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に配置されたキーボード入力部3及び表示部4と、筐体2内に設けられたテープカセット収納部5と、を備えている。テープカセット収納部5は、筐体2の上面に開口しており、開閉蓋6により塞がれている。
キーボード入力部3は、文字情報等を入力するための入力キー、表示部4に表示されたカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷パターンの倍率や印刷モード等の各種の設定を行うための種々の設定キー、印刷開始キー等を備えている。
表示部4は、例えば液晶表示パネルからなっている。この表示部4には、分割ピース製造装置1の使用者に対する操作手順のメッセージ、キーボード入力部3から入力された各種の入力情報、各種の設定のための選択メニュー、選択された設定情報、印刷イメージ等が表示される。
さらに、筐体2の上面には、サブ表示部としてのタッチパネル表示部7が設けられている。このタッチパネル表示部7は、表示面上に、タッチペン8により入力されるタッチパネルを備えた液晶表示パネルからなっている。
このタッチパネル表示部7は、例えば複数の行の文字列のような、一度に表示できない量の表示情報を、タッチパネル上でのタッチペン8の移動操作に対応してスクロール表示する機能を有している。
また、図示しないが,筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子や、電源コードが接続される電源端子、メモリカード等の記憶媒体の挿入口等が設けられている。
また、この分割ピース製造装置1は、被印刷媒体として、表面が印刷面とされ、裏面が粘着面とされ、この粘着面に剥離テープが貼付けられた被印刷テープを用いるものである。以下、この被印刷媒体を被印刷テープと称する。この被印刷テープは、図2に示したテープカセット10に収められている。
テープカセット10は、カセットケース11内に、被印刷テープ12が巻装されたテープコア13と、インクリボン14が巻装されたリボン供給コア15と、リボン巻取りコア16と、を収容したものである。
カセットケース11は、当該ケース11の一側面から凹入した形状の印字ヘッド挿入部17を有しており、インクリボン14は、リボン供給コア15から繰り出され、カセットケース11内に配置された図示しないガイド手段により、印字ヘッド挿入部17内のケース側面近くの位置を通るように導かれて、リボン巻取りコア16に巻付けられている。
また、被印刷テープ12は、印刷面とは反対面が粘着面とされ、粘着面に剥離テープが貼付けられた紙または樹脂テープであり、インクリボン14と同じ幅を有している。この被印刷テープ12は、テープコア13から繰り出され、前記ガイド手段により、印字ヘッド挿入部17を、印刷面をインクリボン14の外面に対向させて通るように導かれ、カセットケース11に設けられた図示しないテープ出口から突き出している。
一方、筐体2のテープカセット収納部5には、テープカセット10を所定の位置に支持するための複数のカセット受け部20と、テープカセット10の被印刷テープ12に対する印刷を行う印刷手段21と、が設けられている。
印刷手段21は、印字ヘッド22と、プラテンローラ23と、テープカセット10のテープコア13と係合するテープコア係合軸24と、テープカセット10のリボン巻取りコア16と係合するインクリボン巻取り駆動軸25と、を備えている。
カセット受け部20は、カセットケース11の複数の角部に形成された係合部18に対応させて設けられており、テープカセット10は、被印刷テープ12とインクリボン14の印字ヘッド挿入部17内に露出している部分を印字ヘッド22とプラテンローラ23との間に挿入するとともに、テープコア13とリボン巻取りコア16とをテープコア係合軸24とリボン巻取りコア16とにそれぞれ係合させて、各係合部18をカセット受け部20に係合させて、テープカセット収納部5内の所定の位置にセットされる
印字ヘッド22は、テープカセット10の印字ヘッド挿入部17に入り込む位置に配置されており、印刷開始時に、インクリボン14に押し付けられる。また、プラテンローラ23は、印字ヘッド22の印字面に対向させて配置されており、印字ヘッド22との間に挟み込まれたインクリボン14と被印刷テープ12とを、被印刷テープ12の長手方向に一定ピッチで間欠的に送り駆動する。プラテンローラ23は、図4に示したステッピングモータ38により一定ピッチで間欠的に回転駆動され、リボン巻取り駆動軸25は、前記ステッピングモータ38を駆動原として、プラテンローラ23のテープ送りに同調させて回転駆動される。
この実施形態において、インクリボン14は、熱転写型のインクリボンであり、印字ヘッド22は、所定数のドット状発熱素子が、縦方向、つまりインクリボン14及び被印刷テープ12の幅方向に沿って一列に配列したサーマルヘッドである。印字ヘッド22は、図4に示したヘッド駆動回路37により、間欠送りされるインクリボン14及び被印刷テープ12の停止タイミングに合わせて、発熱素子列のうちの印刷データに対応した発熱素子を駆動され、インクリボン14のインクを被印刷テープ12に転写する。
また、印刷手段21は、印刷の進行に伴ってテープカセット10から送り出されてくる印刷済みの被印刷テープ12を筐体2外に排出するためのテープ排出部26と、被印刷テープ12の印刷済み部分を切り離す切断手段としてのフルカット機構27及びハーフカット機構28を備えている。フルカット機構27とハーフカット機構28とは、テープ送出部26に配置されており、何れか一方を選択され、図4に示したテープカットモータ40により駆動される。
フルカット機構27は、被印刷テープ12を剥離テープとともに切断するカット機構である。このフルカット機構27を選択した場合、被印刷テープ12に印刷データを印刷して製造された印刷片(被印刷テープ12の印刷済みの部分)は、剥離テープ付きの印刷片として排出される。また、ハーフカット機構28は、被印刷テープ12を、剥離テープを残して切断するカット機構である。このハーフカット機構28を選択した場合、製造された印刷片は、筐体2内のテープカセット10に繋がったままの剥離テープから剥ぎ取って取り出されるか、或いは、適当な時期にフルカット機構27を作動させて剥離テープを切断することにより、剥離テープ付きの印刷片として取り出される。
なお、印刷ヘッド22に複数の印刷片分の印刷データを順に供給して複数の印刷片分を連続的に製造する場合は、各印刷データの印刷終了時毎のテープ切断をハーフカット機構28により行い、最後の印刷データの印刷終了時のテープ切断をフルカット機構28により行うこともできる。その場合は、製造された各印刷片が剥離テープを介して繋がっているため、これらの印刷片を一括して保管することができる。これは、特に、関連性のある複数の印刷片を製造する場合に有効である。
一方、テープカセット10には、被印刷テープ12及びインクリボン14の幅が異なる複数種類のものがあり、製造したい印刷片のサイズに応じて、そのサイズに合ったテープ幅のテープカセットがテープカセット収納部5にセットされる。
そのため、この実施形態では、印字ヘッド22として、各種のテープ幅のうちの最も広いテープ幅に対応した印刷幅(発熱素子の配列長)のものを用い、テープカセット収納部5にセットされたテープカセット10のテープ幅に応じて、印字ヘッド22の発熱素子列のうち、被印刷テープ12の幅に対応した有効範囲の各発熱素子を駆動するようにしている。この印字ヘッド22は、例えば、96ドット幅(発熱素子数が96個)のものである。
さらに、この実施形態ではカセットケース21に設けられた係合部18のカセット受け部20と係合する面に、テープカセット10の種類毎に異なる識別用の凹凸部(図示せず)を形成し、テープカセット収納部5のカセット受け部20に、前記係合部18の凹凸部の形状を検知するテープ幅検出スイッチ29を設けることにより、テープカセット10の種類、つまり被印刷テープ12のテープ幅を自動的に判別し、印字ヘッド22の有効範囲を設定できるようにしている。
この分割ピース製造装置1は、キーボード入力部3からの入力データに対応したパターンを表示部4に表示するとともに、表示印刷開始キーによる印刷指示により、入力データに応じて作成した印刷データを印刷手段21に供給して被印刷テープ12へのパターン印刷を行わせ、印刷された被印刷テープ12を、フルカット機構27またはハーフカット機構28により、印刷されたパターンの長さよりもある程度大きい長さに切断する。
図4は、前記分割ピース製造装置1の機能ブロック図であり、この分割ピース製造装置1は、被印刷テープ12に対する印刷手段21と、システム全体を司る制御手段としての制御部30を備えている。
制御部30には、電源部31と、記憶手段としてのROM32及びRAM33と、メイン入力部としてのキーボード入力部3と、タッチパネル表示部7からのサブ入力部であるタッチパネル入力部34と、が接続されている。さらに、制御部30には、表示部4を駆動させる表示部駆動回路35と、タッチパネル表示部7を駆動させるタッチパネル表示部駆動回路36と、が接続されている。
表示部駆動回路35は、制御部30からの指令により、キーボード入力部3からの入力データに関する画像や、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等を表示部4に表示させる。
また、タッチパネル表示部駆動回路36は、制御部30からの指令により、タッチパネル表示部7を駆動させる。このタッチパネル表示部駆動回路36は、タッチパネル表示部7に、例えば長文の文字列等のスクロール表示を行わせる機能を有している。
さらに、制御部30には、テープ幅検出スイッチ29と、印刷手段21の印字ヘッド22を駆動する印字ヘッド駆動回路37と、ステッピングモータ38を駆動するモータ駆動回路39と、フルカット機構27及びハーフカット機構28のテープカットモータ40を駆動するカットモータ駆動回路41と、が接続されている。
なお、テープカットモータ40は、フルカット機構27とハーフカット機構28とを駆動する共用モータであり、両方のフルカット機構27,28に対して係合及び切り離し可能に設けられ、これらのフルカット機構27,28のちの選択されたカット機構を駆動する。
ROM32には、システムプログラム、JISコードで定められている各種の文字等のパターン、各パターンの分割プログラム、分割データの処理プログラム、印刷プログラム等が予め登録されている。なお、各種の文字等のパターンは、パターン毎に、ビットマップに書き込まれたデータとして登録されている。
制御部30は、CPUであり、キーボード入力部3及びタッチパネル入力部34からの入力に応じて、ROM33に記憶されているシステムプログラム等を起動させ、RAM32をワークメモリとして、各回路の動作を制御する。
また、この制御部30は、分割ピース製造装置1に接続されたメモリカード等の記憶媒体、またはパーソナルコンピュータ等の外部機器から読み込んだ制御プログラム等を起動させ、RAM32をワークメモリとして各回路の動作を制御する機能を有している。
RAM32は、キーボード入力部3及びタッチパネル入力部34からの入力データ、表示データ、印刷データ、制御部30によりROM32から読み込まれた文字等のパターンのデータ、分割された各パターン部分のデータ、その処理データ、表示データ、印刷データ等を一時的に記憶する。
この分割ピース製造装置1は、被印刷テープ12に対して、そのテープ幅内に収まるサイズの文字列等を印刷した印刷片を製造する機能と、被印刷テープ12の幅よりも大きいサイズのパターンを複数に分割した前記各パターン部分を順に被印刷テープ12に印刷して複数のパターン分割ピースを製造する機能とを有している。
まず、印刷片の製造について簡単に説明する。この印刷片は、キーボード入力部3から入力された文字列等のデータを、印刷データとして印刷手段21の印字ヘッド駆動回路37に供給し、被印刷テープ12に文字列等を印刷させた後に、この被印刷テープ12の印刷された部分を切取る手順で製造する。
このようにして製造された印刷片は、例えば、氏名、会社名、座席番号等の文字列が印刷されたラベルであり、携帯型の電子機器や、電車の座席等の、各種物品に貼り付けて使用される。
次に、前記分割ピースの製造におけるパターン分割ピースの製造について、分割するパターンが文字パターンであるときを例にとって説明する。図5は、前記装置おけるパターン分割ピースを製造するときの基本的な動作例を示すフローチャートである。
図5のように、この分割ピース製造装置1は、例えば電源のオンにより、まずワークメモリとしてのRAM33を初期化(S101)し、表示部4及びタッチパネル表示7に、初期画像(装置起動時の画像)を表示(S102)させる。
一方、パターン分割ピースの製造において、複数のパターン部分に分割する文字は、キーボード入力部3から入力され、その文字の倍率は、キーボード入力部3の倍率キーにより設定される。
そして、分割ピース製造装置1は、ROM32からキーボード入力部3からの入力データに対応した文字パターンのデータを読み込み、そのデータをRAM33に記憶させるとともに、当該データに対応した文字、つまり下入力された文字を表示部4に表示(S103)させる。
さらに、分割ピース製造装置1は、設定された文字倍率に応じて、RAM32に記憶させておいた文字パターンのデータを拡大処理(S104)し、拡大した文字パターンを、被印刷テープ12の幅内に収まるサイズの複数のパターン部分に分割(S105)する。この文字分割は、後に具体的に説明する。
次に、分割した各パターン部分のデータをそれぞれ、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとし、各印刷データに対応した印刷イメージを表示部4に表示(S106)させる。
次に、印刷開始キーによる印刷開始の指令の有無を判断(S107)し、印刷開始が指令されたときに、各パターン部分の印刷データを順に印刷手段21の印字ヘッド駆動回路37に供給し、被印刷テープ12に対して、各印刷データを順に印刷(S108)する。
この後は、印刷データの印刷に伴ってテープ送出部26から送り出される印刷済みの被印刷テープ12を、フルカット機構27またはハーフカット機構28により切断(S109)して、各印刷データが印刷された部分毎に分離し、パターン分割ピースの製造を終了する。
この分割ピースの製造において、印刷手段21は、制御部30により制御され、被印刷テープ12の長手方向における印刷開始側の端縁から所定の前側余白長をとって被印刷テープ12への印刷データの印刷を開始し、印刷データの印刷終了位置から所定の長さの後側余白長をとった箇所で被印刷テープ12を切断する。
なお、被印刷テープ12の長手方向における印刷開始側の端縁は、前回の被印刷テープ12の切断位置であり、前側余白長は、前回の切断位置から印字ヘッド22の印刷ドット配列部までの距離に相当する。また、前側余白長と後側余白長とは、同じ長さであるのが望ましい。そのためには、各パターン部分を前側余白長の2倍の間隔をあけて印刷すればよい。
前記パターン分割ピースの製造において、制御部30は、
被印刷テープ12の幅よりも大きいサイズの文字パターンを複数の向きの複数の領域毎のパターン部分に分割した当該各パターン部分のデータを、当該各パターン部分の領域の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして印刷手段21に供給する多方向分割印刷制御と、
前記パターンを互いに平行な向きの複数の領域毎のパターン部分に分割した当該各パターン部分のデータを印刷データとして印刷手段21に供給する一方向分割印刷制御と、
を選択的に行う。
まず、文字パターンの拡大について説明する。このとき、制御部30は、ROM32から、入力データに対応した文字データが書き込まれたビットマップデータを取り込み、そのビットマップデータを、設定された文字倍率に応じて拡大する。
なお、ROM32に登録されている文字データは、標準サイズ(例えば1倍角)のデータであり、各文字データ毎に、複数のピクセルが行方向と行方向とに対して直交する方向とに配列したビットマップに書き込まれたビットマップデータとして登録されている。
次に、文字パターンの分割について具体的に説明する。このとき、制御部30は、前記拡大されたビットマップ上の文字パターンのサイズが、被印刷テープ12の幅よりも大きいサイズのパターンであるときに、自動的に文字パターンの分割を行う。
図8は、一方向分割の一例を示す図、図9は、第1の多方向分割例を示す図であり、いずれも、「の」の文字パターを分割する例を示している。また、図14は、第2の多方向分割の他の例を示す図であり、「人」の文字パターンを分割する例を示している。
図8、図9における「の」の文字パターン210が書き込まれたビットマップ200と、図14における「人」の文字パターン310が書き込まれたビットマップ300は、いずれも、設定された文字倍率に応じて拡大されたビットマップであり、ROM32に登録されているビットマップに対して、各ピクセル201,202及び301,302のサイズが大きくなっている。図8,図9及び図14において、薄い黒のピクセル201,301は、書き込みピクセルであり、白のピクセル202,302は非書き込みピクセルである。
このビットマップ200,300は、例えば、行方向(図において左右方向)に配列したピクセル数と、行方向に対して直交する列方向(図において上下方向)に配列したピクセル数が、それぞれ48ピクセルのビットマップである。
なお、ROM32に登録されているビットマップは、例えば、印字ヘッド22の各印刷ドットと同じサイズの複数のドットが、印字ヘッド22の印刷ドット配列と同じピッチで行方向及び列方向に配列したビットマップであり、このビットマップの列方向に配列した各ドットは、印字ヘッド22の各印刷ドットにそれぞれ対応する。
それに対して、ROM32に登録されているビットマップを拡大すると、印字ヘッド22の印刷幅内に収まる列方向のピクセル数が少なくなる。図8,図9及び図14のビットマップ200,300は、文字サイズが12倍角になるように拡大されたものである。
まず、図8に示した一方向分割の一例について説明する。この一方向分割では、ビットマップ200上の「の」の文字パターン210を、ビットマップ200の行方向に沿った横向きの複数の領域、例えば3つの領域221,222,223内のパターン部分211a,211b,211cに分割している。
この各領域221,222,223は、被印刷テープ12の幅内に収まる幅で、「の」の文字210の横方向の最大幅と同じ長さの横向きの矩形状領域であり、書き込みピクセル201群と非書き込みピクセル202群とを含んでいる。図8における各領域221,222,223の幅は、8ピクセル分の幅である。なお、この分割ピース製造装置1のテープカセット収納部5には、様々な種類のテープカセット10がセットされるが、セットされたテープカセット10のテープ幅は、テープ幅検出スイッチ29により自動的に判別することができる。そのため、テープカセット収納部5にどのような種類のテープカセット10がセットされても、各領域221,222,223の幅を、セットされたテープカセット10の種類に応じて容易に設定することができる。
なお、図8では、各領域221,222,223を区別しやすくするために、各領域221,222,223のうちの中間の領域221の両端の辺を、ビットマップ200のピクセル境界線からずらしているが、各領域221,222,223の各辺はいずれも、ビットマップ200の各ピクセル201,202の境界線と一致している。
さらに、各領域221,222,223の位置は、各領域221,222,223が、文字パターン210の分割位置を含んで部分的にオーバーラップしている。図8の例では、隣り合う領域221,222及び222,223のそれぞれの縁部が所定の幅でオーバーラップしている。この隣り合う領域同士のオーバーラップ幅は、図8では1ピクセル分の幅である。
そして、各領域221,222,223のピクセル配列データはそれぞれ、分割された各パターン部分211a,211b,211cのデータとして取り出される。すなわち、分割された各パターン部分211a,211b,211cのデータは、各領域231,232,233,235の、書き込みピクセル201群と非書き込みピクセル202群とを含むピクセル配列データである。また、前記オーバーラップ部分のピクセル配列データは、オーバーラップした両方の領域221,222及び222,223のピクセル配列データにそれぞれ含まれる。
図8のような一方向分割を利用した一方向分割印刷制御の場合、各領域221,222,223の向きは、行方向に沿った、互いに平行な向きである。そのため、一方向分割印刷制御を行うときは、分割された各パターン部分211a,211b,211cのデータ、つまり各領域221,222,223のピクセル配列データをそれぞれ、その向きのまま、つまり各領域221,222,223の向きを変えること無く、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとする。なお、このとき、各領域221,222,223の幅方向のサイズを、1.2〜1.5倍にする処理を行う。その倍率は、印刷システムに合理的な整数値により決定する。これは、次に説明する第1及び第2の多方向分割印刷制御においても同じである。
次に,図9に示した第1の多方向分割例について説明する。この実施形態では、ビットマップ200上の「の」の文字データ210を、「の」の文字の書き順を追うように並んだ複数の領域、例えば6つの領域231,232,233,234,235,236内の各パターン部分212a,212b,212c,212d,212e,212fに分割している。
これらの領域231,232,233,234,235,236のうちの、第1領域231、第2領域232、第3領域233、第5領域235は、ビットマップ200の列行方向に沿った縦向きの矩形状領域であり、第4領域234と第6領域236とは、ビットマップ200の行方向に沿った横向きの矩形状領域である。これらの領域231,232,233,234,235,236はそれぞれ、文字パターン210の書き込みピクセル201群と非書き込みピクセル202群とを含んでいる。
この各領域231,232,233,234,235,236の幅は、被印刷テープ12への印刷幅内に収まる幅である。なお、このビットマップ200は、図8に示したビットマップ200と同じである。従って、前記一方向分割によるパターン分割ピースの製造のときと同じテープ幅の被印刷テープ12に対する印刷を行うときは、各領域231,232,233,234,235,236の幅を、図8の各領域221,222,223と同じ幅(8ピクセル分の幅)に設定する。
なお、図9では、各領域231,232,233,234,235,236を区別しやすくするために、第2領域232下辺を、ビットマップ200のピクセル境界線からずらしているが、各領域231,232,233,234,235,236の各辺はいずれもピクセル境界線と一致している。
さらに、各領域231,232,233,234,235,236の位置は、隣り合う領域同士が、文字パターン210の分割位置を含んで部分的にオーバーラップしている。隣り合う領域同士のオーバーラップ幅は、図9では1ピクセル分の幅である。
但し、図9の例では、第1領域231と第3領域233との間隔が、各領域231,232,233,234,235,236の幅の半分程度である。そのため、この例では、第1領域231と第3領域233との間の第2領域232を、隣り合う第1領域231と第3領域233との一方(図9では第3領域233)に対して、前記オーバーラップ幅よりも大きい幅でオーバーラップさせている。
そして、各領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データはそれぞれ、分割された各パターン部分212a,212b,212c,212d,212e,212fのデータとして取り出される。すなわち、分割された各パターン部分212a,212b,212c,212d,212e,212fのデータは、各領域231,232,233,234,235,236の、書き込みピクセル201群と非書き込みピクセル202群とを含むピクセル配列データである。また、前記オーバーラップ部分のピクセル配列データは、隣り合う各領域のピクセル配列データの両方にそれぞれ含まれる。
この多方向分割印刷制御の場合、各領域231,232,233,234,235,236のうちの、横向きの領域である第4領域234と第6領域236とのピクセル配列データは、その向きのまま、つまり、これらの領域234,236の向きを変えること無く、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとする。
一方、縦向きの領域である第1、第2、第3及び第5領域231,232,233,235のピクセル配列データを、その向きのまま、印刷データに変換したのでは、これらの領域231,232,233,235の各パターン部分212a,212b,212c,212eの全体を被印刷テープ12の幅内に印刷することができない。
そのため、この多方向分割例では、縦向きの領域231,232,233,235のピクセル配列データに対して、各領域231,232,233,235の長手方向がビットマップ200の行方向と平行になるように回転させる向き補正を行い、これらのピクセル配列データを、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとしている。
この向き補正は、向き補正を行う領域である第1、第2、第3、第5領域231,232,233,235の図9における右上の角部の頂点P231,P232,P233,P235をそれぞれ、これらの領域231,232,233,235の基点とし、各縦向きの領域231,232,233,235をそれぞれ、基点P231,P232,P233,P235を中心として、同じ方向に90度回転させることにより行う。この実施形態では、向き補正を行う各領域231,232,233,235を図9において基点を中心として左回り方向に90度回転させる。
また、この多方向分割では、向き補正を行わない領域である第4領域234と第6領域236との図9における左上の角部の頂点P234,P236を、これらの領域234,236の基点とし、向き補正を行う各領域231,232,233,235を基点を中心として左回り方向に90度回転させたときに、全ての領域231,232,233,234,235,236の基点P231,P232,P233,P234,P235,P236が同じ向きに揃うようにしている。
図10は、前記第1の多方向分割例によるビットマップ200から取り込まれた各領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データを示す図である。図10の各領域231,232,233,234,235,236のうちの、第1、第2、第3、第5領域231,232,233,235は、基点を中心として左回り方向に90度回転されて向きを補正された領域であり、全ての領域231,232,233,234,235,236の基点P231,P232,P233,P234,P235,P236が、図10において左上の角部に揃っている。
そして、このように行方向以外の向きである各領域231,232,233,235の向き補正を行うことにより、全ての領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データを、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとする。
図11は、図10に示した各領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データをそれぞれ印刷データとして、被印刷テープ12に対する印刷を行うことにより製造された各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406を示している。
図11のように、第1のパターン分割ピース401には、第1領域231のパターン部分212aに対応した文字部分410aが印刷され、第2のパターン分割ピース402には、第2領域232のパターン部分212bに対応した文字部分410bが印刷される。また、第3のパターン分割ピース403には、第3領域233のパターン部分212cに対応した文字部分410cが印刷され、第4のパターン分割ピース404には、第4領域234のパターン部分212dに対応した文字部分410dが印刷される。さらに、第5のパターン分割ピース405には、第5領域235のパターン部分212eに対応した文字部分410eが印刷され、第6のパターン分割ピース406には、第6領域236のパターン部分212fに対応した文字部分410fが印刷される。
なお、印刷手段21に供給される各印刷データは、図9における各領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データに基づいて得られたデータである。また、各領域231,232,233,234,235,236のピクセル配列データはそれぞれ、隣り合う各領域とオーバーラップする部分のピクセル配列データを含んでいる。
そのため、被印刷テープ12に印刷された各文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410d,410fはそれぞれ、前記オーバーラップ部分のピクセル配列データに対応したパターンを含んでいる。
また、この実施形態では、制御部30に、印刷手段21に供給する各印刷データをそれぞれ、当該印刷データに対応した印刷パターンの周縁のうちの、図9に示した分割前の文字パターン210の分割位置に対応した縁、つまり、図9におけるオーバーラップ幅に対応する部分が、被印刷テープ12の縁に一致するように幅寄せ処理して印刷手段21に供給する制御を行わせるようにしている。
そのため、図11に示したように、印刷された文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410fの周縁のうちの、前記分割前の文字パターン210の分割位置に対応した縁を、被印刷テープ12の縁に一致させたパターン分割ピース401,402,403,404,405,406を製造することができる。
また、この実施形態では、被印刷テープ12に対する印刷データの印刷を、被印刷テープ12の長手方向における印刷開始側の端縁から所定の前側余白長をとって開始し、印刷データの印刷に伴ってテープ送出部26から送り出される印刷済みの被印刷テープ12を、印刷データの印刷終了位置から所定の長さの後側余白長をとった箇所で切断する。
そのため、図11に示したように、印刷された文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410fの前後に余白部401a,401b、402a,402b、403a,403b、404a,404b、405a,405b、406a,406bを確保した各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406を製造することができる。
このように、多方向分割印刷制御においては、被印刷テープ12の幅よりも大きいサイズのパターンを複数の向きの複数の領域毎のパターン部分に分割し、当該各パターン部分のデータを、当該各パターン部分の領域の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして、その印刷データを被印刷テープに印刷する方法で、複数のパターン分割ピースを製造する。
このようにして製造された各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406は、これらの401,402,403,404,405,406を、それぞれの文字部分410a,402b,403c,404d,405e,406fが互いに繋がるように並べて配置することにより、大きいサイズの合成パターンを作成するのに使用される。
図12は、図11の各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406により作られた合成パターン420を示す図、図13は、図12の合成パターン420の一部分の拡大図である。
この合成パターン420は、拡大文字を貼り付けたい面上に、各分割ピース401,402,403,404,405,406を、それぞれに印刷された文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410が互いに繋がるように並べて配置しながら、これらの各パターン分割ピース410a,410b,410c,410d,410e,410を前記面上に貼り付けていくことにより作成される。
この合成パターン420の作成において、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406は、隣り合う各分割ピースの縁部同士を、図9における各領域231,232,233,234,235,236のオーバーラップ部分の幅に相当する幅で重ねて配置される。
図12及び図13に示した合成パターン420は、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406は、例えば、第1のパターン分割ピース401、第2のパターン分割ピース402、第3のパターン分割ピース403、第4のパターン分割ピース404、第5のパターン分割ピース405、第6のパターン分割ピース406の順で、先に配置したパターン分割ピースの縁部に次に配置するパターン分割ピースの縁部を重ねながら貼り付けて作成されたものである。
この合成パターン420の作成において、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406は、互いに隣り合う各分割ピースの縁部同士を、図9における各領域231,232,233,234,235,236のオーバーラップ部分の幅に相当する幅で重ねて配置する。
なお、分割された各パターン部分212a,212b,212c,212d,212e,212fのデータは、図9における各領域231,232,233,235,236のオーバーラップ部分のピクセル配列データを含んでいる。さらに、各印刷データをそれぞれ、上記のように幅寄せ処理して印刷手段21に供給される。
そのため、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406に印刷された文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410は、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406の隣り合うパターン分割ピースと重なる縁部の端まで延びている。
従って、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406の文字部分410a,410b,410c,410d,410e,410が、切れ目無く連続しているように見える合成パターン420を作成することができる。
なお、上記一方向分割制御においても、分割された各パターン部分211a,211b,211cのデータに、図8における各領域221,222,223のオーバーラップ部分のピクセル配列データを含ませ、さらに、各印刷データをそれぞれ、上記のように幅寄せ処理して印刷手段21に供給することにより、製造した各パターン分割ピースの各文字部分が、切れ目無く連続しているように見える合成パターンを作成することができる。
次に、図14に示した第2の多方向分割例について説明する。この多方向分割例では、ビットマップ300上の「人」の文字データ310を、「人」の文字の書き順を追うように並んだ複数の領域、例えば4つの領域331,332,333,334内の各パターン部分312a,312b,312c,312dに分割している。
これらの領域331,332,333,334のうちの、第1領域331は、ビットマップ300の列方向に沿った縦向きの矩形状領域であり、第2領域332は、ビットマップ300の行方向に沿った横向きの矩形状領域である。また、第3領域333と第4領域334とは、行方向に対して斜めに交差する方向に沿った斜め向きの領域である。これらの領域331,332,333,334はそれぞれ、ビットマップ300の書き込みピクセル301群と非書き込みピクセル302群とを含んでいる。
この各領域331,332,333,334の幅は、被印刷テープ12の幅内に収まる幅に設定する。なお、図14のビットマップ300の行方向と列方向とのピクセル数及び各ピクセル302のサイズは、図8及び図9のビットマップ200と同じである。従って、前記一方向分割によるパターン分割ピースの製造のときと同じテープ幅の被印刷テープ12対する印刷を行うときは、各領域331,332,333,334の幅を、図8の各領域221,222,223と同じ(8ピクセル分の幅)に設定する。
なお、縦向きの領域である第1領域331の形状は、その幅に対して縦方向の長さが大きい矩形状である。また、横向きの領域である第2領域332の形状は、その幅に対して横方向の長さが小さい矩形状である。
また、斜め向きの領域である第3領域333と第4領域334とのうちの、第3領域333は、行方向に対し、図14において右回り方向に135度の角度で交差する斜め左下向きの領域であり、第4領域334は、行方向に対し、図14において右回り方向に45度の角度で交差する斜め右下向きの領域である。すなわち、第3領域333と第4領域334は、行方向に対して、互いに反対方向に傾いた領域である。
また、各領域331,332,333,334の位置は、隣り合う領域同士が、文字パターン310の分割位置を含んで部分的にオーバーラップするように設定されている。この分割例において、隣り合う領域同士がオーバーラップする部分は、各領域331,332,333,334が交差している部分である。
そして、各領域331,332,333,334のピクセル配列データはそれぞれ、分割された各パターン部分312a,312b,312c,312dのデータとして取り出される。なお、斜め向きの領域である第3領域333と第4領域334とのパターン部分312c,312dのデータとして取り出されるピクセル配列データは、当該領域333,334内に完全に収まっていないピクセル(図14において領域333,334の各辺を斜辺とした三角形状に見えるピクセル)を除いたピクセル配列データである。
すなわち、分割された各パターン部分312a,312b,312c,312dのデータは、各領域331,332,333,334の、書き込みピクセル301群と非書き込みピクセル302群とを含むピクセル配列データである。また、前記オーバーラップ部分のピクセル配列データは、隣り合う各領域のピクセル配列データの両方にそれぞれ含まれる。
この多方向分割印刷制御の場合、各領域331,332,333,334のうちの、横向きの領域である第2領域332のピクセル配列データは、その向きのまま、つまり、第2領域332の向きを変えること無く、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとする。
一方、縦向きの領域である第1領域331のピクセル配列データと、斜め向きの領域である第3領域333及び第4領域334のピクセル配列データに対しては、各領域331,333,334の長手方向がビットマップ300の行方向と平行になるように回転させる向き補正を行い、これらのピクセル配列データを、印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとする。
縦向きの領域である第1領域331のピクセル配列データの向き補正は、第1領域331の図14における右上の角部の頂点P331を、第1領域331の基点とし、第1領域331を、基点P331を中心として、図14において左回り方向に90度回転させることにより行う。
また、斜め左下向きの領域である第3領域333のピクセル配列データの向き補正は、第3領域333の図14における右端の辺と下辺との交点P333を、第3領域333の基点とし、第3領域333を、基点P333を中心として、図14において左回り方向に135度回転させることにより行う。
さらに、斜め右下向きの領域である第4領域334のピクセル配列データの向き補正は、第4領域334の図14における左端の辺と上辺との交点P334を、第4領域334の基点とし、第4領域333を、基点P334を中心として、図14において左回り方向に45度回転させることにより行う。
また、この多方向分割では、向き補正を行わない領域である第2領域332の図14における左上の角部の頂点P332を、第2領域332の基点とし、第1、第3、第4領域331,333,334をそれぞれ上記のように回転させたときに、全ての領域331,332,333,334の基点P331,P332,P333,P334が同じ向きに揃うようにしている。
なお、この多方向分割例において、印刷手段21に供給される各印刷データは、図14における各領域331,332,333,334のピクセル配列データに基づいて得られたデータである。また、各領域331,332,333,334のピクセル配列データはそれぞれ、隣り合う各領域とオーバーラップする部分のピクセル配列データを含んでいる。
図15は、図14の多方向分割例によるビットマップ300から取り込まれた各領域331,332,333,334のピクセル配列データを示す図である。図15の各領域331,332,333,334のうちの、第1、第3、第4領域331,333,334は、上記のように回転されて向きを補正された領域であり、全ての領域331,332,333,334の基点P331,P332,P333,P334が、図15において左上の角部に揃っている。
但し、この多方向分割例の場合は、前記向き補正によって、第3領域333と第4領域334との各ピクセルが45度回転してしまうとともに、ピクセル配列方向が、ビットマップ300の行方向に対して45度の傾いた方向にずれてしまう。そのため、向き補正された第3領域333と第4領域334とのパターン部分312c,312dを、向き補正後に印刷データに変換したのでは、被印刷テープ12に印刷される文字形状に大きな乱れが生じてしまう。
そこで、この多方向分割例では、向き補正を行った第3領域333及び第4領域334のピクセル配列データに対して、各ピクセルを向き補正とは反対方向に45度回転させるとともに、各ピクセルを、当該領域333,334の長手方向と幅方向とに配列させるピクセル位置調整処理を施し、その後に、当該領域333,334のピクセル配列データを印刷データに変換する。
但し、このような補正処理を行うと、書き込みピクセル301と非書き込みピクセル302との位置関係が狂い、第3領域333及び第4領域334のパターン部分312c,312dの輪郭形状が変化してしまう。
そのため、この多方向分割例では、前記ピクセル位置調整を行った第3領域333及び第4領域334のピクセル配列データに対して、ピクセル配列の調整や補完データの付加により当該領域333,334のパターン部分312c,312dの輪郭形状を前記向き補正の前の形状に近づけるアウトライン処理を行い、その後に、当該領域333,334のピクセル配列データを印刷データに変換する。
図15に示した各領域331,332,333,334のパターン部分312a,312b,312c,312dのうちの、第3領域333と第4領域334とのパターン部分312c,312dの輪郭形状は、前記45度回転による向き補正を行った後にピクセル位置を調整され、さらにアウトライン処理された後の形状である。
そのため、45度回転による向き補正を行った第3領域333及び第4領域334のピクセル配列データに対応したパターン部分312c,312dも、向き補正の前の形状に近い、再現性の良い文字を被印刷テープ12に印刷することができる。
なお、この多方向分割例は、ビットマップ300上での第3領域333及び第4領域334の向きが、行方向に対して135度または45度の向きである例であるが、行方向に対する斜め向きの領域の向きの角度は、他の角度でもよい。その場合も、斜め向き領域の向き補正後に、ピクセル位置調整とアウトライン処理とを行うことにより、再現性の良い文字を被印刷テープ12に印刷することができる。
また、前記アウトライン処理は、向き補正された斜め向きの領域333,334だけでなく、90度回転により向き補正された縦向きの領域331のピクセル配列データに対して行ってもよく、このようにすることにより、縦向きの領域331のピクセル配列データに対応したパターン部分を、より再現性良く印刷することができる。
この多方向分割例においても、被印刷テープ12に対する印刷データの印刷は、被印刷テープ12の長手方向における印刷開始側の端縁から所定の前側余白長をとって開始し、印刷データの印刷に伴ってテープ送出部26から送り出される印刷済みの被印刷テープ12を、印刷データの印刷終了位置から所定の長さの後側余白長をとった箇所で切断する。
図16は、図15に示した各領域331,332,333,334のピクセル配列データをそれぞれ印刷データとして、被印刷テープ12に対する印刷を行うことにより製造された各パターン分割ピース501,502,503,504を示している。
図16のように、第1のパターン分割ピース501には、第1領域331のパターン部分312aに対応した文字部分510aが印刷され、第2のパターン分割ピース502には、第2領域332のパターン部分312bに対応した文字部分510bが印刷されている。また、第3のパターン分割ピース503には、第3領域333のパターン部分312cに対応した文字部分510cが印刷され、第4のパターン分割ピース504には、第4領域334のパターン部分312dに対応した文字部分510dが印刷されている。
なお、各パターン分割ピース501,502,503,504は、各領域331,332,333,334のピクセル配列データに対応した印刷データを印刷された被印刷テープ12は、上記第1の多方向分割例を利用した多方向分割印刷制御と同様に切断する。
そのため、図16に示したように、印刷された文字部分510a,510b,510c,510dの前後に余白部501a,501b、502a,502b、503a,503b、504a,504bを確保した各パターン分割ピース501,502,503,504を製造することができる。
図17は、図16の各パターン分割ピース501,502,503,504により作られた合成パターン520を示す図である。なお、合成パターン520の作成は、基本的に、図12及び図13に示した合成パターン420と同様な手順で作成される。
なお、上記第2の多方向分割例は、ビットマップ300上の文字パターン301を、縦向きの領域331と、横向きの領域332と、斜め左下向きの領域333と、斜め右下向きの領域334と、の各領域毎のパターン部分312a,312b,312c,312dに分離した例であるが、分割するパターンは、その形状やサイズに対応させて、行方向に沿った横向きの領域と、列方向に沿った縦向きの領域と、行方向に対して斜めに交差する方向に沿った斜め向きの領域と、のうちの、少なくとも2つの向きの各領域毎のパターン部分に分割する。
また、前記制御部30から印刷手段21に対して、各パターン部分312a,312b,312c,312dに対応した印刷データと、製造された各パターン分割ピースを並べて合成するときの位置合わせマークを印刷するためのマーク印刷データと、を供給し、各パターン部分と位置合わせマークとが印刷されたパターン分割ピースを製造できるようにしてもよい。
この位置合わせマークは、複数のパターン分割ピースによる合成パターンの作成に際して、各パターン分割ピースを、部分的に重ねて配置するときに、各パターン分割ピースを正確な位置関係で配置するための目印になる。
この位置合わせマークは、被印刷テープ12に対して、例えばパターン分割ピースの図13に示したような箇所に位置する。図13に示した位置合わせマーク60は、合成パターン420の作成において最後に配置されるパターン分割ピース406を除く各パターン分割ピース401、402,403,404,405に、当該分割ピースの次の配置される分割ピースを正確な位置関係で置いたときに、その分割ピースの下に完全に隠れる位置に印刷されている。
なお、図11に示した各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406の製造において、各パターン部分412a,412b,412c,412d,412e,412fはそれぞれ、前側余白部401a,402a,403a,404a,405a,406a側から後側余白部401b,402b,403b,404b,405b,406b側に向かって印刷する。
また、最後に配置されるパターン分割ピース406以外の各パターン分割ピース401,402,403,404,405にそれぞれ位置合わせマーク60を印刷する場合、これらの位置合わせマーク60は、パターン部分412eの印刷長さ内と後側余白部402b,403b,404b,405b,406bの何れか一方または両方に印刷する。
そのため、位置合わせマーク60は、被印刷テープ12へのパターン部分412a,412b,412c,412d,412e,412fの印刷中や、後側余白部404a,405bを確保するための被印刷テープ12の送り中に印刷することができる。
そして、最後に配置されるパターン分割ピース406以外の各パターン分割ピース401,402,403,404,405にそれぞれ位置合わせマーク60を印刷しておけば、各分割ピースを正確な位置関係で配置することができる。また、最後に配置されたパターン分割ピース406には位置合わせマークが無く、他のパターン分割ピース401、402,403,404,405の位置合わせマーク60は、隣り合うパターン分割ピース402,403,404,405,406で完全に隠されて見えなくなるため、合成パターン420の完成後に位置合わせマーク60を切り取ったり、塗り隠したりする必要がない。そのため、再現性が高く、しかも良好な外観の合成パターンを、簡単に作成することができる。
次に、多方向分割印刷制御と一方向分割印刷制御との選択について説明すると、制御部30は、一方向分割印刷制御による被印刷テープ12へのパターンの印刷率が所定の値以上であるときに、一方向分割印刷制御を選択する。
一方向分割印刷制御における、被印刷テープ12への各パターン部分の印刷率は、1つの文字パターン分の全てのパターン分割ピースの製造に使用する被印刷テープ12の長さ範囲における当該被印刷テープ12の面積に対する、各パターン分割ピースに印刷された文字パターンの合計面積の比である。
一方向分割印刷制御における、この印刷率は、被印刷テープ12の前記面積をビットマップ上における文字パターン210のピクセル数に換算し、その全ピクセル数に対する、各パターン部分211a,211b,211cにそれぞれ対応した各書き込みピクセル201群の合計ピクセル数の比を算出することにより求めることができる。
この実施形態では、被印刷テープ12を経済的に使用できるパターンの印刷率を20%以上に設定し、パターンの印刷率が20%以上であるときに、自動的に一方向分割印刷制御を選択する。このときは、図8及び図14に示した多方向分割は行わない。
また、制御手段30は、一方向分割印刷制御による前記印刷率が前記所定の値よりも小さいときに、一方向分割印刷制御により各パターン部分211a,211b,211cに対応したデータを印刷したときの被印刷テープ12の使用長と、多方向分割印刷制御により各パターン部分212a〜212f,312a〜312dに対応したデータを印刷したときの被印刷テープ12の使用長と、を比較し、一方向分割印刷制御と多方向分割印刷制御とのうちの、被印刷テープ12の使用長が少ない方の印刷制御を選択する。
被印刷テープ12の使用長は、1つの文字パターン210,310当たりの全てのパターン分割ピース401〜406,501〜504の製造に使用される被印刷テープ12の長さであり、分割された各パターン部分のデータを印刷データに変換するための印刷パラメータに基づいて算出する。
まず、図9に示した第1の多方向分割印刷制御により[の]の文字のパターン分割ピースを製造するときの被印刷テープ12の使用長の算出について、表1を参照して説明する。なお、ここでは、位置合わせマーク60を印刷しないときの被印刷テープ12の使用長の算出について説明する。
この表1は、印刷パラメータを決定する各データ要素を示しており、No欄の1〜6は、図11に示した第1〜第6の各パターン分割ピース401,402,403,404,405に対応するパーツ番号である。また、[印字側]、[向き]、[Pix幅]、[Pix長]、[基点X]、[基点Y]は、制御部30またはRAM33に確保した印字パーツレコードに書き込む各データ要素である。
[印字側]は、文字パターン210を被印刷テープ12の縁に一致するように幅寄せして印刷するときの幅寄せ方向に関するパラメータであり、被印刷テープ12の上縁側への幅寄せを[0]で表し、被印刷テープ12の下縁側への幅寄せを[1]で表している。
[向き]は、図9の各領域231,232,233,234,235,236の基点P231,P232,P233,P234,P235,P236を基準とした向きであり、ビットマップ200の行方向、つまり被印刷テープ12の長手方向と平行な向きを、コード番号[0]で表し、被印刷テープ12の長手方向に対して直交する向きを、コード番号[2]で表している。
[Pix幅]は、図9の各領域231,232,233,234,235,236の幅方向のピクセル数、[Pix長]は、各領域231,232,233,234,235,236の長手方向のピクセル数である。なお、上記のように、各パターン部分のデータを印字ヘッド22にマッチしたデータに変換して印刷データとするとき、各領域231,232,223,224,225,226の幅方向のサイズを1.2〜1.5倍にする処理を行う。そのため、このテープ使用長の算出においても、[Pix幅]をビットマップ200上にピクセル数の1.2〜1.5倍にする処理を行う。
[基点X]、[基点Y]は、図9のビットマップ200上における各領域231,232,233,234,235,236の基点P231,P232,P233,P234,P235,P236のX軸座標(行方向の座標)とY軸座標(行方向の座標)とであり、[基点X]を、ビットマップ200の上辺と基点P231,P232,P233,P234,P235,P236との間のピクセル数で表し、[基点Y]を、ビットマップ200の左辺と各基点P231,P232,P233,P234,P235,P236との間のピクセル数で表している。
[文字倍率]のうちの、[×12]は12倍角、[×8]は8倍角であり、各領域231,232,233,234,235,236の長手方向のピクセル数の12倍、8倍のピクセル数で表している。例えば、図9における第1領域231の長手方向のピクセル数は17ピクセルであり、従って、パーツ番号1の12倍角のときの長手方向のピクセル数は、17×12=204ピクセルである。
表1において、[印字長計]は、被印刷テープ12に対する各パターン部分212a,212b,212c,212d,212e,212fの印刷長の合計値であり、各文字倍率毎の印字長計は、1〜6の各パーツ番号の文字倍率に対応したピクセル数を合計したピクセル数である。
また、各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406は、図11のように前側余白部401a,402a,403a,404a,405a,406aと後側余白部401b,402b,403b,404b,405b,406bとを確保して製造される。
各パターン分割ピース401,402,403,404,405,406の前後の余白長W11,W12はそれぞれ、例えば20ピクセル分の長さに設定する。その場合、1パーツ当たりの余白長は40ピクセル、1〜6の各パーツの余白長計は240ピクセルになる。
そして、被印刷テープ12の使用長は、印字長計と余白長計との和に相当するため、被印刷テープ12の使用長を、各文字倍率毎に、印字長計のピクセル数と余白長計のピクセル数との合計ピクセル数として算出することができる。
第1の多方向分割印刷制御により[の]の文字のパターン分割ピース401〜406を製造するときの被印刷テープ12の使用長は、12倍角の場合で、1392+240=1632ピクセルであり、8倍角の場合で、928+240=1168ピクセルである。
一方、一方向分割印刷制御によりパターン分割ピースを製造するときは、パターンを、互いに平行な向きで、且つ同じ長さの複数のパターン部分に分割するため、各パーツの印字長は全て同じである。そのため、一方向分割印刷制御のときの印字長計は、パターンの分割数、つまりパーツ数によって決まる。なお、パーツ数と各パーツ毎の余白長は、文字倍率に応じて選択される。
表2は、[の]の文字パターン210を一方向分割により分割したときの、12倍角、8倍角の各文字倍率毎のパーツ数と、余白長計のピクセル数と、印字長計のピクセル数と、を示している。
一方向分割印刷制御では、余白長計と印字長計とが表2のようなピクセル数であるため、12倍角の場合の被印刷テープ12の使用長は、1872+160=2032ピクセルである。また、8倍角の場合の被印刷テープ12の使用長は、936+120=1056ピクセルである。
ここで、図8のように、[の]の文字パターン210は横39×縦31ピクセルの文字データであるため、印字ヘッド22が96ドット幅であるときには、
12倍角の場合、31×12=96×4−12であるためパターンの分割数は4となり、印字長計は39×12×4=1872ピクセル、余白長計は20×2×4=160ピクセルと計算される。
また、8倍角の場合、31×8=96×3−40であるためパターンの分割数は3となり、印字長計は39×8×3=936ピクセル、余白長計は20×2×3=120ピクセルと計算される。
このように、[の]の文字の各パターン分割ピースを製造するときの一方向分割印刷制御による被印刷テープ12の使用長と、多方向分割印刷制御による被印刷テープ12の使用長と、を比較すると、8倍角では、一方向分割印刷制御の方が少ないが、12倍角では、多方向分割印刷制御の方が少なくなる。
そのため、8倍角の[の]の文字の分割ピースを製造するときは、一方向分割印刷制御を選択し、12倍角の[の]の文字の分割ピースを製造するときは、多方向分割印刷制御を選択する。
次に、図14に示した第2の多方向分割印刷制御により[人]の文字のパターン分割ピース501〜504を製造するときの被印刷テープ12の使用長の算出について、表3を参照して説明する。なお、ここでは、位置合わせマーク60を印刷しないときの被印刷テープ12の使用長の算出について説明する。
この表3は、印刷パラメータを決定する各データ要素を示しており、No欄の1〜4は、図15に示した第1〜第4の各パターン分割ピース501,502,503,504に対応するパーツ番号である。また、[印字側]、[向き]、[Pix幅]、[Pix長]、[基点X]、[基点Y]は、制御部30またはRAM33に確保した印字パーツレコードに書き込む各データ要素であり、表1の各データ要素にそれぞれ対応している。
但し、各データ要素のうちの、[向き]は、図14の各領域331,332,333,334の基点P331,P332,P333,P334を基準とした向きであり、表3では、被印刷テープ12の長手方向と平行な向きと、被印刷テープ12の長手方向に対して直交する向きをそれぞれ、コード番号[0]とコード番号[2]とで表し、さらに、被印刷テープ12の長手方向に対して右回り方向に45度の角度で交差する向きを、コード番号[1]で表し、被印刷テープ12の長手方向に対して右回り方向に135度の角度で交差する向きを、コード番号[3]で表している。
また、[文字倍率]のうちの、[×12]は12倍角、[×8]は8倍角であり、図14の各領域331,332,333,334の長手方向のピクセル数の12倍、8倍のピクセル数で表している。表3において、例えば、図14における第1領域331の長手方向のピクセル数は16ピクセルであり、従って、パーツ番号1の12倍角のときの長手方向のピクセル数は、16×12=192ピクセルである。
表3において、[印字長計]は、被印刷テープ12に対する各パターン部分312a,312b,312c,312dの印刷長の合計値であり、各文字倍率毎の印字長計は、1〜4の各パーツ番号の文字倍率に対応したピクセル数を合計したピクセル数である。
また、図16に示した各パターン分割ピース501,502,503,504の前後の余白長W21,W22は、例えば20ピクセル分の長さであり、その場合、1パーツ当たりの余白長は40ピクセル、1〜4の各パーツの余白長計は160ピクセルになる。
そのため、第2の多方向分割印刷制御により[人]の文字のパターン分割ピース501〜504を製造するときの被印刷テープ12の使用長は、12倍角の場合で、1224+160=1384ピクセル、8倍角の場合で、816+160=976ピクセルである。
表4は、[人]の文字パターン210を一方向分割により分割したときの、12倍角、8倍角の各文字倍率毎のパーツ数と、余白長計のピクセル数と、印字長計のピクセル数と、を示している。
一方向分割印刷制御では、余白長計と印字長計とが表4のようなピクセル数であるため、例えば12倍角の場合の被印刷テープ12の使用長は、3096+240=3336ピクセルであり、8倍角の場合の被印刷テープ12の使用長は、1376+160=1536ピクセルである。
ここで、図14のように、[人]の文字パターン310は横43×縦40ピクセルの文字データであるため、印字ヘッド22が96ドット幅であるときには、
12倍角の場合、40×12=96×5−0=96×6−96であるためパターンの分割数は6となり、印字長計は43×12×6=3096ピクセル、余白長計は20×2×6=240ピクセルと計算される。(パターンの分割数を5としないのはオーバーラップが取れないからであるが、仮にパターンの分割数を5としても、印字長計は43×12×5=2580ピクセル、余白長計は20×2×5=200ピクセルと計算される。)
また、8倍角の場合、40×8=96×4−64であるためパターンの分割数は4となり、印字長計は43×8×4=1376ピクセル、余白長計は20×2×4=160ピクセルと計算される。
このように、[人]の文字パターンの分割ピースを製造するときの一方向分割印刷制御による被印刷テープ12の使用長と、多方向分割印刷制御による被印刷テープ12の使用長と、を比較すると、8倍角や12倍角では、多方向分割印刷制御の方が少なくなる。
そのため、8倍角以上の[人]の文字の分割ピースを製造するときは、多方向分割印刷制御を選択する。
この一方向分割印刷制御と多方向分割印刷制御との選択は、被印刷テープ12に対する文字パターンの印刷率が20%よりも少ないときに実行する。図6は、前記製造における一方向分割印刷制御と多方向分割印刷制御との選択例を示すフローチャートである。
図6のように、まず、分割された各パターン部分のデータを読み込み(S201)、そのデータに基づいて、一方向分割印刷制御のときの被印刷テープ12の使用長と、多方向分割印刷制御のときの被印刷テープ12の使用長と、を算出(S202)する。
次に、一方向分割印刷制御のときのテープ使用長が、多方向分割印刷制御のときのテープ使用長よりも短いか否かを判断(S203)する。そして、一方向分割印刷制御のときのテープ使用長の方が短いときは、一方向分割印刷制御(S204)を実行し、多方向分割印刷制御のときのテープ使用長の方が短いときは、多方向分割印刷制御(S205)を実行する。
次に、多方向分割印刷制御の実行例を説明する。図7は、多方向分割印刷制御の実行例を示すフローチャートである。
図7のように、多方向分割印刷制御においては、まず、ビットマップ上の各領域のパターン部分のデータの有無を判断(S301)し、複数のパターン部分のデータがあるときに、そのうちの1つのパターン部分のデータを読み込む(S302)。
次に、読み込んだデータに対して、前記領域の向きを行方向と平行な向きにする向き補正(S303)を行い、さらに、向き補正されたデータに対して、各ピクセルの位置を長手方向と幅方向とに配列させるピクセル位置調整処理(S304)を行う。
次に、ピクセル位置調整処理を行ったデータに対して、そのパターン部分の輪郭形状を向き補正の前の形状に近づけるアウトライン処理(S305)を行い、そのデータを印刷データとする印刷(S306)を行う。この後は、上記の制御を繰り返し、ビットマップから読み込むデータが無くなったときに、多方向分割印刷制御を終了する。
なお、前記一方向印刷制御または多方向印刷制御を行うのは、例えば[の]や[人]のような画数が極く少ない文字のパターン分割ピースを製造するときであり、画数が比較的多い文字のパターン分割ピースを製造するとき、つまり被印刷テープ12へのパターンの印刷率が所定20%以上であるときは、一方向分割印刷制御を行う。
図18は、一方向分割印刷制御により製造された各パターン分割ピースにより作成された合成パターンと、前記第2の多方向分割例を利用した多方向分割印刷制御により製造された各パターン分割ピースにより作成された合成パターンと、を示す図である。
図18の例は、[海人]の2文字の合成パターンを作成した例であり、[海人]のうちの、画数が多い[海]の合成パターン630を、一方向分割印刷制御により製造した複数(図では6つ)のパターン分割ピース601,602,603,604,605,606を互いに平行に並べて配置することにより作成している。なお、[人]の合成パターン520は、図17に示した合成パターンである。
上記実施形態のように、本発明のパターン分割ピースの製造装置は、
被印刷テープ12に対して印刷を行う印刷手段21と、当該被印刷テープ12の幅よりも大きいサイズのパターン210,310を複数の向きの複数の領域231,232,233,234,235,236または331,332,333,334毎のパターン部分212a〜212f,312a〜312dに分割した当該各パターン部分212a〜212f,312a〜312dのデータを、当該各パターン部分の領域231〜236,331〜334の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして当該印刷手段21に供給する多方向分割印刷制御を行う制御部30と、
を備える。
また、本発明のパターン分割ピースの製造方法は、
前記パターン210,310を複数の向きの複数の領域231,232,233,234,235,236または331,332,333,334毎のパターン部分212a〜212f,312a〜312dに分割し、
前記各パターン部分212a〜212f,312a〜312dのデータを、前記各パターン部分の領域231,232,233,234,235,236または331,332,333,334の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして、当該印刷データを被印刷テープ12に印刷する。
そのため、本発明によれば、被印刷テープ12を経済的に使用してパターン分割ピースを製造することができる。
また、上記実施形態において、前記制御部30は、
前記多方向分割印刷制御と、
前記パターン210を互いに平行な向きの複数の領域221,222,223毎のパターン部分211a,212b、212cに分割した当該各パターン部分211a,212b、212cのデータを印刷データとして前記印刷手段21に供給する一方向分割印刷制御と、
を選択的に行う。
そのため、一方向分割印刷制御によるパターン分割ピースの製造と、多方向分割印刷制御によるパターン分割ピースの製造と、を行うことができる。
さらに、前記制御部30は、
前記一方向分割印刷制御による被印刷テープ12への前記パターンの印刷率が所定の値以上であるときに、一方向分割印刷制御を選択するため、前記印刷率が所定の値以上であるときは、パターンの多方向分割を行わずに、一方向分割印刷制御によるパターン分割ピースを製造を行うことができる。
また、前記制御部30は、
前記一方向分割印刷制御による前記パターンの前記印刷率が前記所定の値よりも小さいときに、一方向分割印刷制御により各パターン部分のデータを印刷したときの被印刷テープ12の使用長と、多方向分割印刷制御により各パターン部分のデータを印刷したときの被印刷テープ12の使用長と、を比較し、一方向分割印刷制御と多方向分割印刷制御とのうちの、被印刷テープ12の使用長が少ない方の印刷制御を選択するため、被印刷テープ12をより経済的に使用してパターン分割ピースを製造することができる。
なお、上記実施形態では、文字のパターンを分割した分割ピースの製造について説明したが、本発明は、例えば記号や図形等の文字以外のパターンを分割した分割ピースの製造にも適用することができる。
多方向分割において、パターンの分割形態を定めるための領域の向きや幅及び長さ等は、任意に設定することができる。従って,多種多様なパターンを、その形状に合わせて複数の領域毎に分割することが可能である。
また、上記実施形態のパターン分割ピースの製造装置は、入力データに対応したパターンの拡大、拡大したパターンの分割、分割された各パターン部分の印刷を順に行うものであるが、各倍率のパターンを予め登録しておき、その中の選択された倍率及び形状のパターンを分割するようにしてもよい。
さらに、各倍率や形状のパターンを複数に分割した各パターン部分のデータを予め登録しておき、そのパターンを印刷データとしてもよい。その場合、各パターン部分のデータは、メモリカード等の記録媒体に記憶されたデータや、パーソナルコンピュータ等の外部機器から取り込んでもよい。
また、本発明は、上記いくつかの実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
テープ状の被印刷媒体に対して印刷を行う印刷手段と、
前記被印刷媒体の幅よりも大きいサイズのパターンを複数の向きの複数の領域毎のパターン部分に分割した当該各パターン部分のデータを、当該各パターン部分の領域の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして前記印刷手段に供給する多方向分割印刷制御を行う制御手段と、
を備える、
ことを特徴とするパターン分割ピースの製造装置。
[2]
前記制御手段は、
前記多方向分割印刷制御と、
前記パターンを互いに平行な向きの複数の領域毎のパターン部分に分割した当該各パターン部分のデータを印刷データとして前記印刷手段に供給する一方向分割印刷制御と、
を選択的に行う、
ことを特徴とする[1]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[3]
前記制御手段は、
前記一方向分割印刷制御による前記被印刷媒体への前記パターンの印刷率が所定の値以上であるときに、前記一方向分割印刷制御を選択する、
ことを特徴とする[2]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[4]
前記制御手段は、
前記一方向分割印刷制御による前記パターンの前記印刷率が前記所定の値よりも小さいときに、
前記一方向分割印刷制御により前記各パターン部分のデータを印刷したときの前記被印刷媒体の使用長と、前記多方向分割印刷制御により前記各パターン部分のデータを印刷したときの前記被印刷媒体の使用長と、を比較し、
前記一方向分割印刷制御と前記多方向分割印刷制御とのうちの、前記被印刷媒体の使用長が少ない方の印刷制御を選択する、
ことを特徴とする[3]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[5]
前記複数のパターン部分の領域の幅は、
前記被印刷媒体の幅内に収まる幅である、
ことを特徴とする[1]乃至[4]の何れかに記載のパターン分割ピースの製造装置。
[6]
前記多方向分割印刷制御及び前記一方向分割印刷制御における前記各パターン部分のデータは、
前記パターンが書き込まれたビットマップ上における前記複数のパターン部分の領域毎のピクセル配列データである、
ことを特徴とする[1]乃至[5]の何れかに記載のパターン分割ピースの製造装置。
[7]
前記多方向分割印刷制御において、前記各パターン部分のデータは、
複数のピクセルが行方向と当該行方向に対して直交する列方向とに配列した前記ビットマップ上における、前記行方向に沿った横向きの前記パターン部分の領域と、前記列方向に沿った縦向きの前記パターン部分の領域と、前記行方向に対して斜めに交差する方向に沿った斜め向きの前記パターン部分の領域と、のうちの、少なくとも2つの向きの各パターン部分の領域のピクセル配列データであり、
前記各パターン部分の領域のうちの、前記縦向きのパターン部分の領域の前記ピクセル配列データと、前記斜め向きのパターン部分の領域の前記ピクセル配列データは、前記パターン部分の領域の向きが前記行方向と平行になるように回転されて前記印刷データとされる、
ことを特徴とする[6]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[8]
前記多方向分割印刷制御において、前記斜め向きのパターン部分の領域の前記ピクセル配列データは、
前記パターン部分の領域の回転によるピクセル配列方向のずれを、前記各ピクセルの位置調整により、前記各ピクセルが前記行方向及び前記列方向に配列するように補正された後に、前記印刷データとされる、
ことを特徴とする[7]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[9]
前記制御手段は、
前記多方向分割印刷制御において、少なくとも前記斜め向きのパターン部分の領域の前記ピクセル配列データに対して、
前記パターン部分の輪郭形状を前記向き補正の前の形状に近づけるアウトライン処理を行い、当該アウトライン処理したデータを、印刷データとして前記印刷手段に供給する、
ことを特徴とする[8]に記載のパターン分割ピースの製造装置。
[10]
テープ状の被印刷媒体に対して印刷を行う装置により、前記被印刷媒体の幅よりも大きいサイズのパターンを複数に分割したパターン分割ピースを製造する方法であって、
前記パターンを複数の向きの複数の領域毎のパターン部分に分割し、
前記各パターン部分のデータを、前記各パターン部分の領域の向きを互いに平行な向きに揃えた印刷データとして、当該印刷データを前記被印刷媒体に印刷する、
ことを特徴とするパターン分割ピースの製造方法。