JP6131213B2 - 釣り用のスプール - Google Patents
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Description
また、スプールには、胴部のほかに、胴部の一端から立ち上がるフランジ部と、フランジ部の外周端から胴部と反対側に延びるスカート部と、が設けられている。
以下、胴部とフランジ部とスカート部とを合わせて「スプール本体」を称する。
たとえば、下記特許文献によれば、内金型の周方向に複数のプリプレグシートを並べ、加圧加熱成形することで隣り合うプリプレグシートの端部同士を接合し、胴部とフランジ部とスカート部とが一体に形成されたスプール本体の製造方法が提案されている。
なお、特許文献に係る製造方法では、一枚のプリプレグシートが胴部からスカート部まで延在している。また、スカート部が胴部よりも大径であることから、プリプレグシートは、スカート部から胴部に向かって次第に幅狭となる台形状のものが使用されている。
よって、従来の台形状のプリプレグシートでは、スプール本体を周方向に等分割して展開した展開図に近似していないため、展開図からはみ出るような余分な部分が多く存在し、皺の発生の原因となっていた。
一方で、前記する発明によれば、台形部の長辺と短辺と長さを変えることで、長辺と短辺との両端を結ぶ一対の斜辺の傾きが設定され、台形部の周方向幅を次第に幅狭とすることができる。
さらに、スカート部側延出部の周方向幅は、長辺に対応して広くなり、胴部側延出部の周方向幅は、短辺に対応して狭くなる。
このため、本願発明に係るプリプレグシートによれば、スプール本体を周方向に等分割して展開した展開図に近似し、展開図からはみ出るような余分な部分が少ない。よって、プリプレグシートを内金型に沿って山折り、谷折りしたとしても、皺が発生し難い。
本実施形態の魚釣用リール1は、図1に示すように、スピニングリールであり、リール本体2と、リール本体2の前方に回転可能に設けられたロータ3と、リール本体2の前方に前後動可能に設けられたスプール10と、を主として備えている。
なお、以下の説明において、「前後」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。
さらに、ロータ3の回転運動に同期してスプール10が前後動するため、釣り糸は、スプール10の外周面上に均等に巻回される。
また、ベール7を図1に示す巻取り位置から反対側に倒し、釣り糸の放出を阻害しない位置に保持することで、例えばキャスティングのときに、スプール10から釣り糸を放出することができる。
前壁部材12は、金属材料で形成され、円板状を呈している。前壁部材12の後端部がスプール本体11の前端開口部に嵌め込まれ、接着材により固定されている。
胴部13は、図3(a)に示すように、前端部から後端部に向かうに従って漸次拡径し、胴部13の外周面13aが円錐台形状(テーパ状)になっている。このため、釣り糸の放出がスムーズになっている。
なお、図4に示すように、内金型Mとは、スプール本体11と同一形状を呈する部材であり、内金型Mの外周面は、円錐台状内の胴部面213と、胴部面213から径方向外側に立ち上がる円周状のフランジ部面214と、フランジ部面214から内金型Mの軸方向に延びる円周状のスカート部面215と、を備えたものである。また、胴部面213を構成する基部213aは円柱状をなしている
具体的に、実施形態の胴部13は、四枚のプリプレグシートS(以下、「本体用シート121〜124」と称する。図9(d)参照)、および二枚のプリプレグシートS(以下、「外装用シート131,132」と称する。図10(c)参照)を重ね巻いた積層体である。
なお、図3における胴部13は、積層状態を分かり易く説明するため、二枚の本体用シートと、一枚の外装用シートから積層された状態を図示している。
なお、本実施形態における連結部材50が、特許請求の範囲に記載される「筒状部材」に相当する構成である。
本実施形態の胴部側円筒部16は、胴部側円筒部16の外周面に胴部13の後端の内周面が接合されて、胴部13と連結部材50とを一体にしている。
フランジ部14は、円周状を呈し、胴部側円筒部16に接合する胴部13の外周面13aに対し、フランジ部14の前面が径方向外側に立ち上がっている。
このため、胴部13の外周面13aに沿って後方に移動した釣り糸がフランジ部14の前面に係止し、胴部13から釣り糸が脱落しないようになっている。
スカート部側円筒部17は、胴部側円筒部16の径よりも大径な円筒状を呈しており、スカート部15に接合してスカート部15とフランジ部14とを一体にするための部位である。
連結部材50は、複数の連結部用シート60を内金型Mのフランジ部面214の近傍に環状に外装して緊締テープで固定しつつ、隣り合う連結部用シート60の端部同士を加熱接合することで形成されたものである。
連結部材50は、内層51と外層52との2層構造であって、内層51に、四枚の連結部用シート60A〜60Dが用いられ、また、外層52に、四枚の連結部用シート60E〜60Hが用いられている。
なお、内層51と外層52とに用いられる連結部用シート60A〜60Hは、同一形状である(図5参照)。
また、スカート部15は、プリプレグシートを湾曲させて円周状にし、そのプリプレグシートの両端を加熱接合することで形成されている。
スプール本体11の製造は、まず、連結部材50を製造し、つぎに、連結部材50に対し、胴部13、スカート部15を構成するプリプレグシートSを加熱加圧成形する、という手順で行われる。
図5に示すように、連結部用シート60は、長辺64と短辺65とからなる平行な対辺を有する台形状の台形部61と、長辺64から延出する矩形状のスカート部側延出部62と、短辺65から延出する矩形状の胴部側延出部63と、を有している。
なお、連結部用シート60の方向において、台形部61を中心として、スカート部側延出部62側を上側、胴部側延出部63側を下側と称する。また、台形部61の長辺64が延びる方向を左右方向と称する。
台形部61の長辺64の幅L2は、内金型Mのスカート部面215の全周の4分の1に対応した長さN2(図4(a)参照)に形成されている。
台形部61の短辺65の幅L3は、内金型Mの胴部面213の基部213aの全周の4分の1に対応した長さN3(図4(a)参照)に形成されている。
このため、台形部61の左右両端61a、61aの幅L4は、上部から下部側に向かうにつれて次第に幅狭になっている。
胴部側延出部63の上下方向の長さL6は、内金型Mの胴部面213の基部213aの長さN6(図4(b)参照)に対応している。
以上のように、連結部用シート60は、内金型Mの外周面を周方向に四等分して展開した展開図に近似した形状になっている。
連結部用シート60の長辺64の両端には、スリット66、66が形成され、長辺64に沿って連結部用シート60を折り曲げやすくなっている。
そして、連結部用シート60は、横方向に延在する繊維SF2の繊維方向SFに対して、連結部用シート60の長辺64および短辺65が平行となるように切りだされている。このため、繊維方向SFに対して長辺64および短辺65が斜めとなる場合よりも、連結部用シート60の上端部62bから下端部63bに亘って連続した繊維SF1の本数を多くすることができる。
また、台形部61、スカート部側延出部62、胴部側延出部63のそれぞれの左右両端部に亘って連続した繊維SF2の本数も多くすることができる。
この結果、連結部材50の剛性を高めることができる。
連結部用シート60のスカート部側延出部62を内金型Mのスカート部面215に乗せるとともに、連結部用シート60のスリット66を、内金型Mのスカート部面215とフランジ部面214と間に形成された角部に重なるように配置する。
連結部用シート60を加熱して連結部用シート60を構成する樹脂を軟化させる。そして、スカート部側延出部62の左右の端部62a、62aを上方から押し付けて、スカート部側延出部62を湾曲させて、スカート部側延出部62をスカート部面215に沿わせる。
さらに、胴部側延出部63の左右の端部63a、63aを胴部面213側に押し付けて、スカート部側延出部62を湾曲させる。
この手順により、図6(a)に示すように、連結部材50を周方向に四等分したものが形成される。
詳細に説明すると、隣り合うスカート部側延出部62の端部62a、62a(図5参照)同士を重ね合わせ、また、隣り合う台形部61の端部61a、61a(図5参照)同士を重ね合わせ、さらに、隣り合う胴部側延出部63の端部63a、63a(図5参照)同士を重ね合わせる。そして、緊締テープで固定する。
なお、加熱接合されて径方向外側に突出する連結部用シート60A〜60Dの端部について、図6(c)では省略する。
ここで、連結部用シート60E〜60Hは、内層51を構成する連結部用シート60A〜60Dとの接合部を覆うように、連結部用シート60A〜60Dに対して45度周方向にずらして配置する。
これにより、胴部側円筒部16とフランジ部14とスカート部側円筒部17とを有する連結部材50が形成される。
つぎに、内金型Mの外嵌された連結部材50の胴部側円筒部16と、胴部13を構成するプリプレグシートS(各本体用シート121〜124、外装用シート131,132)との一体成形について説明する。
なお、図9(a)〜(d)および図10(b),(c)では、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の積層状態を分かり易く説明するために、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の厚みを誇張して示している。
各本体用シート121〜124は、図7(a)に示すように、円弧状に形成されたプリプレグシートである。各本体用シート121〜124は、同一形状に形成されている。
そして、シートS1から切り出された各本体用シート121〜124は、繊維方向SFが同一になる。因みに、本実施形態の各本体用シート121〜124では、長手方向の一端の縁部121b〜124bと繊維方向SFとが直交し、他端の縁部121c〜124cと繊維方向SFとが斜めに交差している。
なお、上述した、各本体用シート121〜124と、外装用シート131,132との形状は、内金型Mの胴部面213の外周面を展開した展開図と同一形状になっている。このため、展開図からはみ出るような部分がなく、皺が発生しないようになっている。
各外装用シート131,132は、各本体用シート121〜124(図7(a)参照)と同様に、一枚のシートS2から切り出されており、繊維方向SFが同一である。
本実施形態の各外装用シート131,132では、長手方向の一端の縁部131b,132bと繊維方向SFとが直交および平行し、他端の縁部131c、132cと繊維方向SFとが斜めに交差している。
第一本体用シート121の両端部を重ね合わせた接合部121aでは、図7(c)に示すように、両端部の繊維方向SF,SFが交差する。
なお、図9(a)〜(d)および図10(b),(c)では、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の積層状態を分かり易く説明するために、各本体用シート121〜124および各外装用シート131,132の厚みを誇張して示している。
これにより、第二本体用シート122の両端部を重ね合わせた接合部122aは、第一本体用シート121の接合部121aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
なお、第二本体用シート122の接合部122aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図7(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じになる。
Eの位置は、Cの位置に対して周方向(図9(c)の右回り)に90度ずれた位置である。したがって、第三本体用シート123の接合部123aは、第二本体用シート122の接合部122aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
第三本体用シート123の接合部123aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図7(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じになる。
Gの位置は、Eの位置に対して周方向(図9(d)の右回り)に90度ずれた位置である。したがって、第四本体用シート124の接合部124aは、第三本体用シート123の接合部123aに対して周方向に90度ずれた位置に配置される。
第四本体用シート124の接合部124aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一本体用シート121の接合部121a(図7(c)参照)において繊維方向SF,SFが交差する角度と同じである。
続いて、図10(b)に示すように、各本体用シート121〜124の積層体の外周面に第一外装用シート131を巻き付ける。このとき、Bの位置から第一外装用シート131を巻き始め、Bの位置において第一外装用シート131の両端部を重ね合わせる。Bの位置は、Aの位置に対して周方向(図10(b)の右回り)に45度ずれた位置である。
第一外装用シート131の接合部131aでは、第一外装用シート131の両端部の繊維方向SF,SFが交差する。
Fの位置は、Bの位置に対して周方向(図10(c)の右回り)に180度ずれた位置である。したがって、第二外装用シート132の接合部132aは、第一外装用シート131の接合部131aに対して周方向に180度ずれた位置に配置される。
第二外装用シート132の接合部132aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度は、第一外装用シート131の接合部131aにおいて繊維方向SF,SFが交差する角度と同じである。
これにより、四枚の本体用シート121〜24および二枚の外装用シート131,132を径方向に積層した胴部13(図3(a)参照)が形成される。
このため、展開図からはみ出るような余分な部分が少なく、皺の発生が抑制されている。
この結果、連結部材50において、スプール本体11の外面を構成するフランジ部14の凹凸が低減し、胴部13に巻回された釣り糸がフランジ部14に係止することなく、スプール本体11からの放出がスムーズとなる。
さらに、図10(a)に示すように、各外装用シート131,132も同一の円弧形状かつ同一の繊維方向SFである。したがって、各外装用シート131,132の接合部131a,132a(図10(c)参照)においても繊維が同じ重なり方となり、繊維が交差する角度が同一になる。
そして、図9(d)および図10(c)に示すように、各本体用シート121〜124の各接合部121a〜124aおよび各外装用シート131,132の各接合部131a,132aは、胴部13(図2(a)参照)の周方向に等間隔に配置されている。
本実施形態では、図6(b)、(c)に示すように、内層51と外層52との2層構造であったが、本発明は、単層構造や、3層以上の積層構造であってもよい。
また、本実施形態では、図6(b)、(c)に示すように、一周あたりに四枚の連結部用シート60を用いているが、これに限定されない。
プリプレグシートSの端部を重ね合わせた接合によれば、プリプレグシートS同士が接合される面積が増加して、連結部材50の剛性を高めることができ、ねじれや潰れに対して強くすることができる。
この構成では、図11(c)に示すように、接合部121aにおける繊維方向SFの角度と、接合部121aに隣接する壁部における繊維方向SFの角度とが同一になる。したがって、接合部121aの剛性と、接合部121aに隣接する壁部との剛性との差を小さくすることができ、胴部13の剛性をバランス良く高めることができる。
この構成では、胴部13の周方向の剛性を高めることができ、胴部13をねじれや潰れに対して強くすることができる。
特に、図11(a)に示すように、四枚のプリプレグシート121〜124の全てに、プリプレグシート121〜124の両端部に亘って連続した繊維SF1を設けた場合には、胴部13(図2(a)参照)の周方向の剛性をより高めることができる。
スプール本体用シート80は、台形状の台形部61と、矩形状のスカート部側延出部62と、台形状の胴部側延出部163と、を有している。
なお、このスプール本体用シート80は、台形状の胴部側延出部163を有している点が、矩形状の胴部側延出部63を有している連結部用シート60との相違点である。
以下、相違点に絞って説明する。
また、胴部側延出部163の下端163bの長さは、内金型Mのスカート部面215の先端側全周の4分の1に対応した幅N8(図4参照)に形成されている。このため、短辺65から胴部側延出部163の下端163bに向かうにつれて、胴部側延出部163の左右両端部163a、163aの左右方向の幅L8が幅狭になっている。
この変形例に係るスプール本体用シート80によれば、従来の台形状のプリプレグシートよりも、スプール本体を周方向に切り、展開した展開図に近似しているため、展開図からはみ出るような余分な部分が少なく、皺の発生が抑制される。
10 スプール
11 スプール本体
12 前壁部材
13、13A 胴部
14 フランジ部
15 スカート部
16 胴部側円筒部
17 スカート部側円筒部
50 連結部材
51 内層
52 外層
60、60A〜60E 連結部用シート
61 台形部
62 スカート部側延出部
63、163 胴部側延出部
64 長辺
65 短辺
66、67 スリット
80 スプール本体用シート
121〜124 本体用シート
131、132 外装用シート
213 胴部面
214 フランジ部面
215 スカート部面
M 内金型
S プリプレグシート
SF 繊維方向
SF1 繊維
SF2 繊維
Claims (2)
- 魚釣用リールに装着されるスプールであって、
複数のプリプレグシートを環状に並べ、隣り合う前記プリプレグシートの端部同士を加圧加熱接合してなる筒状部材を有し、
前記プリプレグシートは、
長辺と短辺とからなる平行な対辺を有する台形状の台形部と、
前記長辺から延出し、前記長辺で山折りされる幅広のスカート部側延出部と、
前記短辺から延出し、前記短辺で谷折りされる幅狭の胴部側延出部と、
を有し、
前記筒状部材は、
前記台形部の端部同士を接合してなる円周状のフランジ部と、
前記スカート部側延出部の端部同士を接合してなるスカート部側円筒部と、
前記胴部側接合部の端部同士を接合してなる胴部側円筒部と、
を備えていることを特徴とするスプール。 - 前記長辺の両端部にスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスプール。
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