しかし、上記従来のストーカ式焼却炉では、複数の可動火格子の4つの各系列ごとに油圧シリンダを設けてあり、合計4台の油圧シリンダを必要とするので、油圧シリンダ自体のコストが嵩むことになる。そして、これら4台の油圧シリンダの保守点検のコストも嵩むことになる。
また、この4台の油圧シリンダによって、このストーカ式焼却炉全体の嵩が大きくなるので、広い設置スペースが必要であるし、このストーカ式焼却炉を収容するための建屋が大型化することになる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数のストーカに対して共通の搬送駆動部を使用していることによって、搬送駆動部の嵩を小さくしてそのコストの低減を図ることができると共に、保守点検のコストの低減も図ることができ、しかも、複数の各ストーカ上での被焼却物の滞留時間が相違するように設定することができるストーカ式焼却炉を提供することを目的としている。
本発明に係るストーカ式焼却炉は、それぞれが複数の可動火格子及び固定火格子を有する第1ストーカと第2ストーカとを備え、前記第1及び第2の各ストーカの可動火格子を第1及び第2の各移動ストロークで作動させることによって、当該第1及び第2ストーカの順に被焼却物を搬送しながら焼却するストーカ式焼却炉において、前記第1及び第2ストーカの両方に共通して使用され、前記第1及び第2の各ストーカが有する前記複数の可動火格子を駆動して被焼却物を搬送するための搬送駆動部と、前記第1移動ストロークと前記第2移動ストロークとを互いに相違させるための構成を有し、前記第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方のストーカ上での被焼却物の滞留時間を設定するための滞留時間設定部とを備えることを特徴とするものである。
この発明に係るストーカ式焼却炉によると、第1及び第2ストーカの両方に対して共通に使用される搬送駆動部を駆動することによって、第1及び第2の各ストーカが有するそれぞれの複数の可動火格子を作動させて被焼却物を搬送することができる。そして、第1及び第2ストーカの両方に対して共通の搬送駆動部を使用しているにも拘らず、滞留時間設定部は、第1ストーカが有する複数の可動火格子の第1移動ストロークと、第2ストーカが有する複数の可動火格子の第2移動ストロークとを互いに相違させることができる。そして、このように第1及び第2移動ストロークを互いに相違させることによって、第1及び第2の各ストーカ上での被焼却物の搬送速度、つまり、滞留時間が相違するように設定することができる。
これによって、例えば焼却炉の運転開始時から、焼却炉に供給される被焼却物の質や量が変動することがあっても、当該質や量の変動した被焼却物に応じた適切な滞留時間によって決まる適切な燃焼条件を確保することができ、その結果、被焼却物を適切に燃焼させることができる。この適切に燃焼させるとは、例えば完全燃焼又はそれに近い許容範囲内の燃焼を行わせると言う意味である。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記滞留時間設定部は、前記第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方の各ストーカ上での被焼却物の滞留時間の設定を、少なくとも1つ又は両方の各ストーカごとに独立して変更することができる構成とするとよい。
このようにすると、少なくとも1つ又は両方のストーカごとに独立して、ストーカ上での被焼却物の滞留時間を設定することができる。これによって、例えば当該焼却炉の運転開始時から、焼却炉に供給される被焼却物の質や量が変動することがあっても、当該質や量の変動した被焼却物に応じた適切な滞留時間によって決まる適切な燃焼条件を第1及び第2の各ストーカごとに独立して確保することができ、その結果、被焼却物をより適切に燃焼させることができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記滞留時間設定部は、前記第1及び第2ストーカが被焼却物を搬送する運転中に、前記第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方の各ストーカ上での被焼却物の滞留時間の設定を変更することができる構成とするとよい。
このようにすると、第1及び第2ストーカが被焼却物を搬送する運転中に、第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方の各ストーカ上での被焼却物の滞留時間の設定を変更することができる。これによって、第1及び第2ストーカ上での被焼却物の滞留時間を被焼却物に応じた適切な滞留時間に設定又は変更することができる。従って、第1及び第2ストーカが被焼却物を搬送する運転中に、例えば焼却炉に供給される被焼却物の質や量が変動することがあっても、当該質や量の変動した被焼却物に応じた適切な滞留時間によって決まる適切な燃焼条件を確保することができ、その結果、被焼却物を適切に燃焼させることができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記滞留時間設定部は、前記第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方の各ストーカが有する前記複数の可動火格子に前記搬送駆動部の作動を伝達するための作動伝達機構を有し、前記作動伝達機構は、駆動側部と被駆動側部とを有し、前記駆動側部が前記被駆動側部に前記作動を伝達することを禁止する作動禁止区間を、手動若しくは自動で設定又は変更することができる構成とするとよい。
この滞留時間設定部が有する作動伝達機構によると、搬送駆動部の作動を、第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つのストーカが有する複数の可動火格子に伝達することを禁止する作動禁止区間を、手動若しくは自動で設定又は変更することができる。
つまり、第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つのストーカが有する複数の可動火格子の移動ストロークを、他のストーカの可動火格子の移動ストロークと独立して手動若しくは自動で設定又は変更することができる。これによって、第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つのストーカ上での被焼却物の滞留時間を、被焼却物に応じた適切な滞留時間に設定又は変更することができる。
ただし、第1及び第2の各ストーカが有するそれぞれの複数の可動火格子に対して、搬送駆動部の作動を伝達するための第1及び第2作動伝達機構を設けた場合は、第1及び第2の各ストーカ上での被焼却物のそれぞれの滞留時間を、各ストーカごとに独立して被焼却物に応じた適切な滞留時間に設定又は変更することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記作動伝達機構は、前記作動禁止区間を変更するための作動禁止区間変更部を有し、この作動禁止区間変更部の取付け位置を手動又は自動で変更することによって前記作動禁止区間を変更する構成とするとよい。
このようにすると、作動禁止区間変更部の取付け位置を手動又は自動で変更することによって、作動禁止区間の設定を変更することができる。これによって、可動火格子の移動ストロークの設定を変更することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記滞留時間設定部は、前記搬送駆動部を制御することで、前記第1及び第2ストーカの前記複数の可動火格子を作動させる前記第1及び第2移動ストロークを、手動若しくは自動で設定又は変更することができる構成を有するものとするとよい。
このようにすると、滞留時間設定部が搬送駆動部を制御することで、第1及び第2ストーカの複数の可動火格子を作動させる第1及び第2移動ストロークを、一緒に手動又は自動で設定又は変更することができる。これによって、第1及び第2ストーカ上での被焼却物の滞留時間を、被焼却物に応じた適切な滞留時間に手動若しくは自動で設定又は変更することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記滞留時間設定部は、前記第1及び第2ストーカのいずれか一方又はその両方の出口に設けられた堰を有し、前記堰は、当該堰の高さを手動若しくは自動で設定又は変更することができるものとするとよい。
この滞留時間設定部が有する堰によると、当該堰の高さを手動若しくは自動で設定又は変更することができる。このように、堰の高さを設定又は変更すると、当該堰が設けられているストーカ上での被焼却物の滞留時間を手動若しくは自動で設定又は変更することができる。これによって、第1及び第2ストーカ上での被焼却物の滞留時間を、被焼却物に応じた適切な滞留時間に設定することができる。
ただし、堰を第1及び第2の各ストーカの出口に設けると、被焼却物の第1及び第2の各ストーカ上での滞留時間を、各ストーカごとに手動若しくは自動で設定又は変更することができる。これによって、第1及び第2の各ストーカ上での被焼却物の滞留時間を、被焼却物に応じた適切な滞留時間に各ストーカごとに設定又は変更することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記堰は、堰本体部と、この堰本体部に取り付けられている堰高さ変更部とを有し、前記堰高さ変更部を手動又は自動で作動させることによって、前記堰の高さを変更する構成としたものとするとよい。
このようにすると、堰高さ変更部を手動又は自動で作動させることによって、堰の高さを変更することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記第1及び第2の各ストーカは、当該各ストーカによる被焼却物の搬送方向においてそれらの各搬送面が略水平となるように据え付けられ、前記第1及び第2ストーカ間での段差を無くした構成であるものとするとよい。
このように、第1及び第2の各ストーカを、各ストーカによる被焼却物の搬送方向において、その各搬送面が略水平となるように据え付けると、第1及び第2ストーカ上の被焼却物が搬送中に塊として転がりにくく、被焼却物の搬送量の不連続性(大きな変動)を無くすことができ、かつ、被焼却物が過剰に分散及び撹拌されることを抑制できる。
そして、第1及び第2ストーカ間での段差をなくした構成とすることによって、各ストーカ間の接続部を被焼却物が通過する際に、被焼却物が落下することが無く、従って、被焼却物が過剰に分散及び撹拌されることを抑制することができる。
これによって、被焼却物が一時的に急激に燃焼することを抑制することができ、安定燃焼を維持することができる。
また、焼却炉の当該安定燃焼によって、焼却炉の排ガスの量及び温度、即ち廃熱量を安定させることができる。よって、このストーカ式焼却炉の廃熱を廃熱ボイラが利用する場合は、ボイラの蒸気発生流量の変動を抑えることができる。
更に、焼却炉の当該安定燃焼によって、排ガス中の一酸化炭素の発生抑制に優れ、ひいてはダイオキシン類の発生を抑制することができる。
そして、第1及び第2の各ストーカの据え付け角度を、各ストーカによる被焼却物の搬送方向において傾斜させずに略水平とし、かつ、各ストーカ間での段差を無くして第1及び第2の各ストーカの設置高さが互いに略同一となる構成としたので、当該ストーカ式焼却炉全体の高さをその分だけ低くすることができる。
よって、当該焼却炉の製造コストの低減を図ることができる。そして、このストーカ式焼却炉を収容するための建屋の高さを低くすることができ、建屋が備える収容容積を小さくすることができるので、建屋に掛かるコストの低減を図ることができる。
また、ストーカ間に段差があると、発熱量の高い被焼却物を供給した際、段差よりも上流側のストーカ上で被焼却物の層厚が薄くなり、火格子表面に熱損傷が生じたり、被焼却物の層厚の薄い部分からの空気の吹き抜けが発生することがあるが、段差を無くすことで、このような事象が発生し難くなる。これにより、火格子の長寿命化を図ることができ、火格子の交換のためのコストの低減を図ることができる。また、空気の吹き抜けを抑制することによって、安定燃焼を実現することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記第1及び第2の各ストーカは、前記可動火格子と前記固定火格子とが被焼却物の搬送方向に沿って交互に設けられ、前記可動火格子が前記搬送駆動部によって駆動されて往復移動するものとするとよい。
このようにすると、搬送駆動部が可動火格子を駆動して往復移動させることによって、第1及び第2の各ストーカ上の被焼却物を所定の搬送方向に搬送することができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記第1及び第2の各ストーカが有する前記複数の可動火格子及び前記複数の固定火格子は、被焼却物の搬送方向に向かって登りの10〜30°の傾斜となるように設けられ、前記複数の可動火格子は、前記搬送駆動部に駆動されて前記10〜30°の登りの傾斜方向に往復移動するものとするとよい。
このように、可動火格子が搬送駆動部に駆動されて、10〜30°の登りの傾斜方向に往復移動することによって、第1及び第2の各ストーカ上の被焼却物を適切に分散及び撹拌しながら搬送することができる。つまり、可動火格子が往復移動する登りの傾斜角度θ1を10°未満として、各搬送面が略水平となるように第1及び第2ストーカを据え付けると、可動火格子の移動距離を十分に確保することができない。更に、可動火格子を前進移動させるときに、被焼却物を持ち上げる高さが低くなり、被焼却物を適切に分散及び撹拌することができなくなる。そして、当該登りの傾斜角度θ1が30°を超えると、被焼却物を前進移動させる能力が低くなり、適切な搬送速度が得られないことがある。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記第1及び第2ストーカを含む複数のストーカを有するストーカ装置を備え、このストーカ装置は、被焼却物の乾燥ゾーン、燃焼ゾーン及び後燃焼ゾーンを有するものとするとよい。
このようにすると、ストーカ式焼却炉に供給された被焼却物を、ストーカ装置によって乾燥、燃焼及び後燃焼の各ゾーンを通過させながら搬送することができ、この搬送される被焼却物を乾燥及び燃焼させることができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉において、前記ストーカ式焼却炉の廃熱を利用するボイラが設けられているものとするとよい。
このストーカ式焼却炉によると、上記のように、被焼却物の適切な燃焼状態を安定して継続させることができるので、焼却炉の排ガスの量及び温度、即ち廃熱量を安定させることができる。これによって、ボイラは、焼却炉から安定して排出される熱を継続して利用することができ、従って、蒸気発生流量を安定させることができる。
この発明に係るストーカ式焼却炉によると、滞留時間設定部を設けた構成としたので、例えば当該焼却炉の運転開始時から、焼却炉に供給される被焼却物の質や量が変動することがあっても、第1及び第2ストーカのうち少なくとも1つ又は両方のストーカ上の被焼却物の滞留時間を滞留時間設定部で適切な滞留時間に設定することができ、これによって、被焼却物を適切に燃焼させることができる。
そして、第1及び第2の各ストーカが有するそれぞれの複数の可動火格子を共通の搬送駆動部によって駆動する構成としたので、搬送駆動部自体のコスト及び保守点検のコストを低減できる。そして、搬送駆動部の台数を減らすことができるので、このストーカ式焼却炉全体の嵩を小さくすることができ、設置スペースの狭小化及びこのストーカ式焼却炉を収容するための建屋を小型化することができる。従って、当該設置スペース及び建屋のためのコストを低減することができる。
以下、本発明に係るストーカ式焼却炉の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。この図1に示すストーカ式焼却炉11は、ごみ等の廃棄物(被焼却物12)が供給されるホッパ13を備えている。ホッパ13は、シュート14を介して一次燃焼室15に繋がっており、ホッパ13に供給された被焼却物12は、シュート14を通って一次燃焼室15に送られる。
一次燃焼室15には、ストーカ装置16が設けられている。このストーカ装置16は、第1ストーカ(乾燥ゾーン)17、第2ストーカ(燃焼ゾーン)18及び第3ストーカ(後燃焼ゾーン)19を備えており、第1〜第3の各ストーカ17、18、19の下方から一次空気が送られている。
この図2に示すストーカ装置16によると、ストーカ式焼却炉11に供給された被焼却物12を、乾燥、燃焼及び後燃焼の各ゾーンを通過させながら搬送することができる。この搬送される被焼却物12は、このストーカ装置16で乾燥及び燃焼され、燃焼後に残った焼却灰は、図1に示すシュート10から外部へと排出される。
ただし、図2のストーカ装置16では、第1ストーカ17、第2ストーカ18及び第3ストーカ19に対して、乾燥ゾーン、燃焼ゾーン及び後燃焼ゾーンをそれぞれ割り当てたが、これ以外に、例えば第1〜第3ストーカ17、18、19のうち1つのストーカを省略して、2つのストーカを備えるストーカ装置とし、この2つのストーカのうち前段のストーカに対して乾燥ゾーン及び燃焼ゾーン、又は乾燥ゾーンを割り当て、後段のストーカに対して後燃焼ゾーン、又は燃焼ゾーン及び後燃焼ゾーンを割り当てたストーカ装置としてもよい。勿論、4つ以上のストーカを備えるストーカ装置としてもよい。
また、このストーカ式焼却炉11には、この焼却炉11の廃熱を利用して蒸気を発生する廃熱ボイラ20が設けられている。
次に、図2を参照してストーカ装置16を説明する。このストーカ装置16は、上記のように、第1〜第3ストーカ17、18、19を備えており、更に、搬送駆動部21及び滞留時間設定部33、34、35を備えている。
この第1〜第3ストーカ17、18、19は、図2に示すように、各ストーカによる被焼却物12の搬送方向24においてそれらの各搬送面17a、18a、19aが略水平となるように据え付けられている。そして、第1〜第3の各ストーカ17、18、19間の接続部での段差をなくした構成としてある。従って、第1〜第3の各ストーカ17、18、19のそれぞれの搬送面17a、18a、19aは、略同一水平面上に配置されている。
また、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19は、それぞれが複数の可動火格子22及び固定火格子23を有している。そして、これら可動火格子22と固定火格子23とが被焼却物12の搬送方向24に沿って交互に設けられ、可動火格子22が搬送駆動部21によって駆動されて往復移動する構成となっている。
更に、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有する複数の可動火格子22及び複数の固定火格子23は、被焼却物12の搬送方向24に向かって登りの火格子傾斜角度θ1(=10〜30°)の傾斜となるように設けられている。そして、複数の可動火格子22は、搬送駆動部21に駆動されてθ1の登りの傾斜方向に往復移動するように図示しない支持部に設けられている。
この火格子傾斜角度θ1、及び火格子の移動傾斜角度θ1は、好ましくは、略18°〜22°であり、更に好ましくは、略20°である。
また、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有する複数の固定火格子23は、架台に固定して設けられている。
搬送駆動部21は、第1〜第3ストーカ17、18、19に共通して使用され、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を駆動して被焼却物12を搬送するためのものである。つまり、この共通の例えば1つの搬送駆動部21を駆動することによって、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を往復移動させることができるようになっている。
ただし、この実施形態では、図2に示すように、共通に使用される1つの搬送駆動部21によって第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を駆動するようにしたが、これに代えて、共通に使用される2つ以上の搬送駆動部21によって第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を駆動するようにしてもよい。
この搬送駆動部21は、例えば油圧シリンダであり、油圧モータ、電動シリンダ、電動リニアモータとしてもよく、無段変速又は段階的可変速のものを採用している。そして、この搬送駆動部21は、手動、自動、遠隔操作で動作させることができるものである。例えば被焼却物12の燃焼状態を制御する燃焼制御部によって、被焼却物12の質や量に応じて自動で動作させるようにすることができる。そして、この燃焼制御部は、例えば予め定めたプログラムに従ってストーカ式焼却炉11に設けられているそれぞれの制御対象(搬送駆動部21、滞留時間設定部33、34、35を含む。)を制御することができるものであり、ストーカ式焼却炉11に設けられている。
次に、図2を参照して例えば油圧シリンダである搬送駆動部21と、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22とを互いに連結するための駆動連結構造25について説明する。
図2に示すように、第1ストーカ17が有する複数の可動火格子22は、それぞれが第1ブラケット26を介して第1フレーム27に固定して設けられている。この第1フレーム27は、θ1の登り傾斜方向に往復移動できるように、図示しない支持部によって支持されている。そして、この第1フレーム27は、後述する第1作動伝達機構28及び第1連結部材31を介して結合部材32に設けられている。この結合部材32は、例えば油圧シリンダである搬送駆動部21のピストンロッド21a(作動部)に結合している。
同様に、図2に示すように、第2及び第3の各ストーカ18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22は、それぞれと対応する第2及び第3の各ブラケット26を介して第2及び第3の各フレーム27に固定して設けられている。そして、この第2及び第3の各フレーム27は、それぞれと対応する第2及び第3の各作動伝達機構29、30、並びに、第2及び第3の各連結部材31を介して結合部材32に設けられている。
上記のように構成された駆動連結構造25によると、搬送駆動部21のピストンロッド21aが伸縮動作すると、第1〜第3ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22は、図2に示す水平方向に対して登りの傾斜角度θ1(略20°)の方向に進退移動することができる。
次に、滞留時間設定部33、34、35を、図2を参照して説明する。この滞留時間設定部33、34、35は、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を設定するためのものであり、第1〜第3滞留時間設定部33、34、35を備えている。
第1滞留時間設定部33は、図2に示す第1〜第3作動伝達機構28、29、30を備えており、この第1〜第3作動伝達機構28、29、30は、第1ストーカ17が有する複数の可動火格子22の第1移動ストローク36、第2ストーカ18が有する複数の可動火格子22の第2移動ストローク37、及び第3ストーカ19が有する複数の可動火格子22の第3移動ストローク38をそれぞれ互いに相違させることができる構成を有している。
また、この第1滞留時間設定部33は、第1〜第3の各移動ストローク36、37、38の設定を、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中に、第1〜第3の各ストーカ17、18、19ごとに独立して変更することができるものである。
そして、このように第1〜第3の各ストーカ17、18、19のそれぞれの可動火格子22の、第1〜第3の各移動ストローク36、37、38を設定、変更することによって、各ストーカ17、18、19上の被焼却物12の搬送速度を設定、変更することができ、このように搬送速度を設定、変更することによって、各ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に設定、変更することができる。
次に、各ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に設定、変更する必要性について説明する。例えばごみ等の被焼却物12中に水分含有量の高いごみ(例えば厨芥ごみ)の割合が多い場合は、厨芥ごみの乾燥時間を確保するため、第1ストーカ17(乾燥ゾーン)上での被焼却物12の滞留時間を長くすることが望ましい。そして、被焼却物12中に揮発し易いごみ(例えばプラスチックごみ)の割合が多い場合は、第1ストーカ17(乾燥ゾーン)上での被焼却物12の滞留時間を短くし早期着火を抑制することが望ましい。また、被焼却物12が空気との接触が十分に行われ難い大きな木材などの場合は、熱灼減量の悪化が懸念されるので、第3ストーカ19(後燃焼ゾーン)上での被焼却物12の滞留時間を長くし、おき燃焼を促進することで熱灼減量の向上を図ることが望ましい。よって、各ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に設定、変更することが望ましい。
次に、第1〜第3作動伝達機構28、29、30を説明するが、これら第1〜第3作動伝達機構は、作動禁止区間Kの長さの設定が相違する以外はそれぞれ同等のものであるため、第2作動伝達機構29を説明し、第1、第3作動伝達機構28、30を同一の図面符号を付してそれらの説明を省略する。
そして、この実施形態では、図2に示すように、第1作動伝達機構28を設けたが、この第1作動伝達機構28を省略して、第1フレーム27と第1連結部材31とを互いに直接に結合させた構成としてもよい。また、同様に、第2又は第3作動伝達機構29、30を省略して、第2又は第3フレーム27と第2又は第3連結部材31とを互いに直接に結合させた構成としてもよい。
つまり、作動伝達機構を1又は2以上の所望の可動火格子22に対して設けて、この可動火格子22の移動ストロークを設定、変更できるようにしてもよい。
図3に示す第2作動伝達機構29は、駆動側部39と被駆動側部40とを有し、駆動側部39が被駆動側部40に動力を伝達することを禁止する作動禁止区間K2を、手動若しくは自動で設定、変更することができる構成となっている。
駆動側部39は、図3に示すように、係合ピンである。この駆動側部39は、第2連結部材31に固定して設けられている。
被駆動側部40は、図3に示すように、長孔40aを有する部材であり、この長孔40aの長さ方向は、可動火格子22の移動方向(登りの傾斜角度θ1の方向)と平行している。そして、この長孔40aには、駆動側部39が挿通されており、この駆動側部39が長孔40aに沿って移動できるように形成されている。そして、この被駆動側部40は、第2フレーム27に固定して設けられている。
作動禁止区間K2は、駆動側部39である係合ピンが、被駆動側部40の長孔40aに挿通された状態で、この長孔40aの長さ方向に移動可能な区間である。この作動禁止区間K2の長さは、所望の第2移動ストローク37に基づいて設定することができるし、変更することができる。同様に、第1及び第3作動伝達機構28、30の作動禁止区間K1、K3の長さは、所望の第1、第3移動ストローク36、38に基づいて設定することができるし、変更することができる。
また、図2に示す第1〜第3の各作動伝達機構28、29、30には、図3に示すように、それぞれ作動禁止区間K1、K2、K3を設定、変更するための作動禁止区間変更部41を設けてあり、この作動禁止区間変更部41の被駆動側部本体40bに対する取付け位置を、例えば作業者が手動又は自動で設定、変更することによってそれぞれの作動禁止区間K1、K2、K3を設定、変更することができる構成となっている。ただし、図2では、作動禁止区間変更部41を図示していない。
図3に示すこの作動禁止区間変更部41は、被駆動側部本体40bに対して長孔40aの長さ方向に移動自在に設けられ、手動又は自動で所望の移動位置に位置決めして固定できるようになっている。このように、作動禁止区間変更部41を所望の移動位置に設定して取り付けることによって、被駆動側部40の長孔40aを所望の長さに設定、変更することができ、これによって、それぞれの作動禁止区間K1、K2、K3を設定、変更することができる。その結果、可動火格子22の第1〜第3の各移動ストローク36、37、38を各移動ストロークごとに設定、変更することができる。
ただし、作動禁止区間変更部41は、例えば図示しないボルト等の締結部材によって被駆動側部本体40bの所望の位置に取り付けることができ、これによって、可動火格子22の第1〜第3の各移動ストローク36、37、38を各移動ストロークごとに設定、変更することができる。
そして、作動禁止区間変更部41は、例えば図示しないアクチュエータによって移動させるようにすることができる。このアクチュエータは、例えば耐熱、耐腐食性及び防塵型とすることが好ましい。
このようにすると、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に自動で設定及び変更するときは、例えば作業者が操作スイッチを操作することによって、作動禁止区間変更部41を自動的にアクチュエータによって所望の方向に移動させて、滞留時間を設定又は変更することができる。又は、このストーカ式焼却炉11に設けられている燃焼制御部が、所定のプログラムに従って、作動禁止区間変更部41を自動的に所望の方向に移動させて滞留時間を設定又は変更することもできる。
なお、図3において、第2作動伝達機構29の作動禁止区間変更部41は、駆動側部39に当接して保持されていない状態であり、この状態で、第2ストーカ18の可動火格子22がその自重で下降方向に移動しないように、例えば火格子どうしの摩擦力又はストッパによって当該位置に留められている。
そして、図2に示す第1〜第3の各作動伝達機構28、29、30には、図3に示すように、作動禁止区間変更部41を設けたが、これに代えて、この作動禁止区間変更部41を省略してもよい。このようにした場合は、図2に示す3つの被駆動側部40の長孔40aの長さが互いに相違するように設定して、可動火格子22の第1〜第3の各移動ストローク36、37、38を互いに相違させることができ、これによって、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物のそれぞれの滞留時間が所望の滞留時間となるように設定することができる。
第2滞留時間設定部34は、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中に、図2に示す搬送駆動部21を制御することで、第1〜第3ストーカ17、18、19の複数の可動火格子22を作動させる際の第1〜第3移動ストローク36、37、38を、一緒に手動又は自動で設定及び変更することができるものである。
このように、搬送駆動部21が第1〜第3ストーカ17、18、19の複数の可動火格子22を作動させる際の第1〜第3移動ストローク36、37、38を設定、変更することによって、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を設定、変更することができる。
つまり、図2に示す第2滞留時間設定部34は、搬送駆動部21が例えば油圧シリンダ、油圧モータ、電動シリンダ、又は電動リニアモータとした場合は、ピストンロッド21aや回転駆動軸等の作動部の移動位置や回転位置に相当する例えば図2に示す結合部材32を検出するための検出器(例えば近接スイッチ、リミットスイッチ)を有するものである。この第2滞留時間設定部34は、架台に設けられ、結合部材32が所望の移動位置に移動したときに当該結合部材32を検出してピストンロッド21aを停止させて、次に、逆方向に移動させるように構成されている。
ただし、図2には、搬送駆動部21の外部に第2滞留時間設定部34を設けた例を示したが、これに代えて、搬送駆動部21自体が第2滞留時間設定部34(例えば近接スイッチ)を内蔵するものとし、この内蔵する第2滞留時間設定部34によって滞留時間を設定、変更するようにしてもよい。
そして、この第2滞留時間設定部34によると、第1〜第3ストーカ17、18、19の複数の可動火格子22を作動させる際の第1〜第3移動ストローク36、37、38を、一緒に手動若しくは自動で設定及び変更することができ、これによって、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を設定、変更することができる。
ただし、第2滞留時間設定部34を手動で設定、変更するときは、近接スイッチ等の検出器の結合部材32に対する取付け位置を、作業者が手動で設定、変更することができる。そして、第2滞留時間設定部34を自動で設定、変更するときは、例えば近接スイッチ等の検出器の結合部材32に対する取付け位置を、アクチュエータを含む検出器設定装置によって、自動で設定、変更することができる。
また、搬送駆動部21自体が第2滞留時間設定部34(例えば近接スイッチ等の検出器)を内蔵するものでも、例えば作業者が操作スイッチを操作することによって、近接スイッチ等の検出器を自動的にアクチュエータによって所望の方向に移動させて、滞留時間を設定又は変更することができる。又は、このストーカ式焼却炉11に設けられている燃焼制御部が、所定のプログラムに従って、当該検出器を自動的に所望の方向に移動させて滞留時間を設定又は変更することもできる。
第3滞留時間設定部35は、図2に示す第1〜第3ストーカ17、18、19のいずれか1つ以上、又は全部のストーカの出口に設けられた堰42を有している。図2では、第3ストーカ19の出口に堰42が設けられた例を示している。
この第3滞留時間設定部35の堰42は、図4の原理図に示すように、堰本体部43と、この堰本体部43に取り付けられている堰高さ変更部44とを有し、堰高さ変更部44を手動又は自動で作動させることによって、堰42の高さを設定、変更することができる構成である。
この図4に示すように、堰本体部43は、水平方向に細長い板状部材である。この堰本体部43は、例えば耐熱性、耐摩耗性、耐食性を有する耐火物、耐熱鋳鋼製等とするとよい。そして、堰高さ変更部44は、2本の送りねじ部45と、1本の駆動ねじ部46とを備えている。また、この堰42は、ストーカ17、18、19の幅方向に複数の堰42を設けて成るものとしてもよい。
2本の各送りねじ部45は、互いに所定の間隔を隔てて鉛直方向に配置され、それぞれの上端部が堰本体部43の下部に回動自在に連結し、堰本体部43を支持している。そして、2本の各送りねじ部45は、架台(図示せず。)に設けられた雌ねじ部に螺合している。
駆動ねじ部46は、水平に配置され、回動自在に軸受部(図示せず。)に支持されている。この駆動ねじ部46は、2本の各送りねじ部45に噛み合っている。そして、この駆動ねじ部46を正転又は逆転方向に回動させることによって、2本の各送りねじ部45を正転又は逆転方向に回動させることができ、これによって、堰本体部43を、高さ方向(鉛直方向)に所望の距離だけ昇降させることができる。
この駆動ねじ部46は、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中に、手動又は自動で正転又は逆転方向に回動させることができ、堰42の高さを設定、変更することができる構成となっている。
ただし、駆動ねじ部46は、例えば作業者が手動によって回転操作することができるし、図示しないアクチュエータによって駆動するようにすることができる。このアクチュエータは、例えば耐熱、耐腐食性及び防塵型とすることが好ましい。
次に、上記のように構成されたストーカ式焼却炉11の作用について説明する。このストーカ式焼却炉11によると、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19に対して共通に使用される搬送駆動部21を駆動することによって、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を作動させて被焼却物12を搬送することができる。
そして、第1〜第3の各ストーカ17、18、19に対して共通の搬送駆動部21を使用しているにも拘らず、第1滞留時間設定部33(第1〜第3の各作動伝達機構28、29、30)により、手動又は自動で第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有する複数の可動火格子22の第1〜第3の各移動ストローク36、37、38の全部を互いに相違させるように設定、変更することができる。これによって、全部の各ストーカ17、18、19上での被焼却物12の搬送速度、つまり、滞留時間が相違するように設定、変更することができる。
従って、例えば当該焼却炉11の運転開始時から、焼却炉11に供給される被焼却物12の質や量が変動することがあっても、当該質や量の変動した被焼却物12に応じた適切な滞留時間によって決まる適切な燃焼条件を、第1〜第3の各ストーカ17、18、19ごとに独立して確保することができ、その結果、被焼却物12を適切に燃焼させることができる。この適切に燃焼させるとは、例えば完全燃焼又はそれに近い許容範囲内の燃焼を行わせると言う意味である。
そして、第1滞留時間設定部33によると、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中に、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間の設定を自動で変更することができるので、当該運転中に、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を被焼却物12に応じた適切な滞留時間に自動で設定及び変更することができる。従って、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中に、例えば焼却炉11に供給される被焼却物12の質や量が変動することがあっても、当該質や量の変動した被焼却物12に応じた適切な滞留時間によって決まる適切な燃焼条件を確保することができ、その結果、被焼却物12を適切に燃焼させることができる。
ただし、第1〜第3の各ストーカ17、18、19のうち少なくとも1つのストーカに対して作動伝達機構28等を設けた構成とした場合は、作動伝達機構を設けたストーカ上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に設定及び変更することができる。
そして、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22を共通の搬送駆動部21によって駆動する構成としたので、搬送駆動部21自体のコスト及び保守点検のコストを低減できる。そして、搬送駆動部21の台数を減らすことができるので、このストーカ式焼却炉11全体の嵩を小さくすることができ、設置スペースの狭小化及びこのストーカ式焼却炉11を収容するための建屋を小型化することができる。従って、当該設置スペース及び建屋のためのコストを低減することができる。
また、第2滞留時間設定部34によると、図2に示す搬送駆動部21が第1〜第3ストーカ17、18、19の複数の可動火格子22を作動させる際の第1〜第3移動ストローク36、37、38を、一緒に手動若しくは自動で設定及び変更することができる。これによって、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に手動若しくは自動で設定及び変更することができる。
また、図2及び図4に示す第3滞留時間設定部35が有する堰42によると、堰高さ変更部44を手動又は自動で作動させることによって、堰42の高さを変更することができる。このように、第3ストーカ19の出口に設けられている堰42の高さを手動若しくは自動で設定、変更することによって、当該堰42が設けられている第3ストーカ19上での被焼却物12の滞留時間を手動若しくは自動で設定、変更することができる。これによって、第3ストーカ19上での被焼却物12の滞留時間を、被焼却物12に応じた適切な滞留時間に設定することができる。
ただし、堰42は、図2に示すように、第1及び第2ストーカ17、18の出口には設けずに、第3ストーカ19の出口に設けた構成としたが、これ以外にも、第1〜第3ストーカ17、18、19のうち少なくとも1つ以上のストーカの出口に堰42を設けた構成としてもよい。
このようにすると、堰42を設けたストーカ上での被焼却物12の滞留時間を設定又は変更することができる。そして、第1〜第3の全てのストーカの各出口に堰42を設けた構成とすると、第1〜第3の各ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を、各ストーカ17、18、19ごとに設定又は変更することができる。
そして、第2、第3滞留時間設定部34、35によると、第1滞留時間設定部33と同様に、第1〜第3ストーカ17、18、19が被焼却物12を搬送する運転中、又は焼却炉11の運転開始時に、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間の設定を手動又は自動で変更することができるので、当該運転中、又は焼却炉11の運転開始時に、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を被焼却物12に応じた適切な滞留時間に手動又は自動で設定及び変更することができる。
更に、第1〜第3の各ストーカ17、18、19を、各ストーカ17、18、19による被焼却物12の搬送方向24において、その各搬送面17a、18a、19aが略水平となるように据え付けると、第1〜第3ストーカ17、18、19上の被焼却物12が搬送中に塊として転がりにくく、被焼却物12の搬送量の不連続性(大きな変動)を無くすことができ、かつ、被焼却物が過剰に分散及び撹拌されることを抑制できる。
そして、第1〜第3の各ストーカ17、18、19間での段差をなくした構成とすることによって、各ストーカ17、18、19間の接続部を被焼却物12が通過する際に、被焼却物12が落下することが無く、従って、被焼却物12が過剰に分散及び撹拌されることを抑制することができる。
これによって、被焼却物12が一時的に急激に燃焼することを抑制することができ、安定燃焼を維持することができる。
また、ストーカ17、18、19間に段差があると、発熱量の高い被焼却物12を供給した際、段差よりも上流側のストーカ上で被焼却物12の層厚が薄くなり、火格子表面に熱損傷が生じたり、被焼却物12の層厚の薄い部分からの空気の吹き抜けが発生することがあるが、段差を無くすことで、このような事象が発生し難くなる。これにより、火格子の長寿命化を図ることができ、火格子の交換のためのコストの低減を図ることができる。また、空気の吹き抜けを抑制することによって、安定燃焼を実現することができる。
また、焼却炉11での当該安定燃焼を維持することによって、焼却炉11の排ガスの量及び温度、即ち廃熱量を安定させることができる。よって、このストーカ式焼却炉11の廃熱を廃熱ボイラ20が利用する場合は、ボイラ20の蒸気発生流量の変動を抑えることができる。
更に、焼却炉11の当該安定燃焼によって、排ガス中の一酸化炭素の発生抑制に優れ、ひいてはダイオキシン類の発生を抑制することができる。
更に、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19の据え付け角度を、各ストーカ17、18、19による被焼却物12の搬送方向24において傾斜させずに略水平とし(ただし、この実施形態では、第1〜第3の各ストーカ17、18、19の各搬送面17a、18a、19aが略水平となるように据え付けられている。)、かつ、各ストーカ17、18、19間での段差を無くして第1〜第3の各ストーカ17、18、19の設置高さが互いに略同一となる構成としたので、当該ストーカ式焼却炉11全体の高さをその分だけ低くすることができる。
よって、当該焼却炉11の製造コストの低減を図ることができる。そして、このストーカ式焼却炉11を収容するための建屋の高さを低くすることができ、建屋が備える収容容積を小さくすることができるので、建屋に掛かるコストの低減を図ることができる。
そして、図2に示すように第1〜第3の各ストーカ17、18、19は、可動火格子22と固定火格子23とが被焼却物12の搬送方向24に沿って交互に設けられているので、可動火格子22が搬送駆動部21によって駆動されて往復移動することによって、第1〜第3の各ストーカ17、18、19上の被焼却物12を所定の搬送方向24に搬送することができる。
また、図2に示すように、可動火格子22が搬送駆動部21に駆動されて、10〜30°(θ1)の登りの傾斜方向に往復移動することによって、第1〜第3の各ストーカ17、18、19上の被焼却物12を適切に分散及び撹拌しながら搬送することができる。つまり、可動火格子22が往復移動する登りの傾斜角度θ1を10°未満とすると、可動火格子22を前進移動させるときに、被焼却物12を持ち上げる高さが低くなり、被焼却物12を適切に分散及び撹拌することができなくなる。そして、当該登りの傾斜角度θ1が30°を超えると、被焼却物12を前進移動させる能力が低くなり、適切な搬送速度が得られないことがある。
次に、図2を参照して、第1〜第3の各ストーカ17、18、19が有するそれぞれの複数の可動火格子22に対して、搬送駆動部21の作動を伝達するための第1〜第3の各作動伝達機構28、29、30の設定について説明する。
図2に示すストーカ装置16の作動状態では、第1作動伝達機構28は、駆動側部39が、被駆動側部40の長孔40aの上側端部(図3に示す作動禁止区間変更部41)に当接している。第2作動伝達機構29は、駆動側部39が、長孔40aの上側端部(図3に示す作動禁止区間変更部41)に対して所定の第1の間隔K4を隔てて配置されている。第3作動伝達機構30は、駆動側部39が、長孔40aの上側端部(図3に示す作動禁止区間変更部41)に対して所定の第2の間隔K5(>K4)を隔てて配置されている。
上記のように第1〜第3の各作動伝達機構28、29、30が設定されているので、第1ストーカ17の第1移動ストローク36が最も大きく、第2ストーカ18の第2移動ストローク37は、中程度の大きさであり、第3ストーカ19の第3移動ストローク38が最も小さくなるように設定されている。
次に、図5を参照して、図2に示すストーカ装置16の第2ストーカ18が備える複数の可動火格子22の動作を説明する。図5(a)は、搬送駆動部21のピストンロッド21a側に設けられている駆動側部39が駆動される前の第1後退位置P1(P1は、水平方向の位置)にある状態を示している。
図5(b)は、駆動側部39が第1後退位置P1から前進方向にK2(K2´は、水平方向の距離)だけ駆動されて、駆動側部39が、長孔40aの上側端部(図3に示す作動禁止区間変更部41)に当接する第1前進位置P2(P2は、水平方向の位置)に前進した状態を示している。このK2は、作動禁止区間であり、駆動側部39の作動が被駆動側部40に伝達されない区間である。
図5(c)は、駆動側部39が第1前進位置P2から更に前進方向にS1(S1は、水平方向の距離)だけ駆動されて、駆動側部39が第2前進位置P3(P3は、水平方向の位置)に前進した状態を示している。このS1は、作動区間であり、駆動側部39の作動が被駆動側部40(可動火格子22)に伝達される区間である。
そして、図には示さないが、図5(c)の駆動側部39を後退方向に駆動することによって、駆動側部39が作動禁止区間K2及び作動区間S1を通って、図5(a)に示す状態に戻すことができる。
上記の動作を繰り返して行うことによって、複数の可動火格子22を往復移動させることができる。
ただし、上記実施形態では、第1滞留時間設定部33として、図2に示す第1〜第3作動伝達機構28、29、30を例に挙げて説明したが、これ以外の構成としてもよい。
そして、上記実施形態では、第2滞留時間設定部34として、図2に示す搬送駆動部21のピストンロッド21a(作動部)に駆動される結合部材32の移動位置を制御して、第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を設定、変更する構成を例に挙げて説明したが、これ以外の構成によって第1〜第3ストーカ17、18、19上での被焼却物12の滞留時間を設定、変更してもよい。例えば搬送駆動部21の駆動時間をタイマによって制御してもよい。
また、上記実施形態では、第3滞留時間設定部35として、堰42の高さを図4に示す堰高さ変更部44によって設定、変更する例を挙げて説明したが、これ以外の構成によって堰42の高さを変更するようにしてもよい。更に、この堰42を省略してもよい。
更に、上記実施形態では、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19を、当該各ストーカ17、18、19による被焼却物12の搬送方向24においてそれらの各搬送面17a、18a、19aが略水平となるように据え付けたが、これに代えて、第1〜第3ストーカ17、18、19のうち1又は2以上のストーカを、被焼却物12の搬送方向24において当該搬送面が登り又は下りの傾斜となるように据え付けてもよい。
そして、上記実施形態では、図2に示すように、第1〜第3の各ストーカ17、18、19間の2つの接続部での段差を無くした構成としたが、2つの接続部のうちいずれか一方又は両方の接続部に段差を設けた構成としてもよい。
また、上記実施形態では、図2に示すように、複数の可動火格子22は、搬送駆動部21に駆動されて10〜30°(θ1)の登りの傾斜方向に往復移動する構成としたが、これに代えて、上記以外の角度の登りの傾斜方向に往復移動する構成としてもよい。
更に、上記実施形態では、図2に示すように、第2作動伝達機構29の駆動側部39が、第2連結部材31及び結合部材32を介して搬送駆動部21のピストンロッド21aと連結する構成としたが、これに代えて、図6に示すように、第2作動伝達機構29の駆動側部39が、第1フレーム27、第1作動伝達機構28、第1連結部材31及び結合部材32を介して搬送駆動部21のピストンロッド21aと連結する構成としてもよい。このようにすると、第2連結部材31を省略することができ、この焼却炉11の嵩及びコストの低減を図ることができる。
そして、第3作動伝達機構30の駆動側部39が、第2フレーム27及び第2作動伝達機構29を介して搬送駆動部21のピストンロッド21aと連結する構成としてもよい。